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借地は土地の固定資産税が不要!支払いが必要な税金と地代を分かりやすく解説

借地 固定資産税 地代

他人から土地を借りて建物を建てている場合、他人から借りている土地を「借地」、土地を借りる権利を「借地権」と呼びます。あくまで他人の土地を借りている状況であるため、土地に課される固定資産税・都市計画税は、土地の所有者が支払います。

しかし一方で、借地権者は「地代(借地料)」という形で、間接的に固定資産税・都市計画税を支払うのが一般的です。また。自分が所有する建物の固定資産税を支払う必要があります。

ほかにも、印紙税、登録免許税、不動産取得税、贈与税、相続税などの支払いが発生する可能性があります。

地代は、借りている土地のその年の固定資産税・都市計画税の金額に応じて決められることが多いです。住宅用地の場合は固定資産税の3~5倍、商業施設用の土地の倍は5~8倍が相場となっています。土地の固定資産税が上がると地代も高くなり、借地権者の負担も増える可能性があります。

借地権者は発生する支出ついて事前に把握し、キャッシュフローが悪化しないよう注意しましょう。

本記事では、借地と固定資産税の関係、借地権者が支払うべき地代の金額の決まり方、地代の計算方法、地代の支払いが遅れたときの対処法などを解説します。

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借地権者は土地の固定資産税の代わりに地代(借地料)を支払っている

ほかの人から土地を借りて建物を所有する借地権者は、土地に課される固定資産税・都市計画税の納税義務を負いません。

しかし結論から言えば、多くのケースで借地権者は、土地の所有者に対して地代として間接的に税金を支払っています。

地代は土地の固定資産税・都市計画税を元に決められるのが一般的であり、「地代のなかに固定資産税などが含まれている」と解釈できるからです。

納税通知書が借地権者に届かないだけで、借地権者→土地の所有者→地方自治体という流れで納税していると言えるでしょう。

以下では、借地権者が支払う固定資産税・都市計画税についての詳細を解説します。

借地と固定資産税の関係

借地とは、借地借家法における「土地を所有する第三者から地代を支払って土地を借り、借りた土地に建物を建てる権利」のことです。

借地に発生する固定資産税や都市計画税は、土地の所有者へ納税通知書が送付され、土地の所有者が納税します。

借地というのはあくまで、地主の土地を借りて「利用する権利」を持っているだけで、土地そのものを所有しているわけではないからです。

ただし例外として、「100年以上の長い存続期間の定めがある地上権」に関しては、土地の所有者ではなく借地権者が納税義務を負います(地方税法第343条)。

建物にかかる固定資産税は建物の所有者への課税

固定資産税・都市計画税は、土地以外の不動産にも課せられる税金です。

借地権を行使して建物を建築した場合は、建物の所有者に対して当該建物の固定資産税・都市計画税が課せられます。

納税通知書は建物の所有者へ送られ、1月1日時点での建物の固定資産評価額を基に計算された固定資産税・都市計画税を支払う必要があります。

地代の相場は固定資産税の3~8倍

借地権者は、土地の所有者へ支払う地代によって、間接的に固定資産税・都市計画税を渡しています。

地代の相場は、「(固定資産税+都市計画税)×相場の倍率(3〜8倍)」だと言われています。一般的な地代の相場は次の通りです。

  • 借地が宅地の場合:3~5倍
  • 借地が商業地の場合:5~8倍

上記はあくまでおおまかなものであり、詳細な地代の計算は「公租公課倍率法」などが用いられます。また、計算をおこなわず、借地契約の当事者同士の話し合いで合意した金額になるケースもあります。

現在の地代が公租公課に対して何倍になっているかを調べるには、土地評価証明書を取得するとよいでしょう。

固定資産税・都市計画税の金額の決まり方

土地および建物の固定資産税・都市計画税の計算方法は、借地権の有無に関係なく通常のものと同じです。

【一般的な固定資産税の計算方法】
固定資産税評価額×1.4%(標準税率)
【一般的な都市計画税の計算方法】
固定資産税評価額×0.3%

借地権で建築したのが住宅だった場合、住宅用地の特例措置が適用される可能性があります。

区分 固定資産税 都市計画税
小規模住宅用地
住宅用地で住宅1戸につき200㎡までの部分
価格×1/6 価格×1/3
一般住宅用地
小規模住宅用地以外の住宅用地
価格×1/3 価格×2/3

住宅用地の特例措置によって固定資産税・都市計画税が安くなると、安くなった税金を基に地代が計算されます。つまり借地権でマイホームを建てたときは、支払う地代も安くなっている可能性が高いです。

地代とは別に権利金の支払いも必要

借地契約を結んだとき、地代とは別に権利金の支払いを求められる場合があります。権利金とは、賃貸物件における礼金のイメージで、借主から貸主に支払う一時金です。

ただし、借地契約を結んだのが親族同士だったり会社間の取引だったりすると、権利金が発生しないケースがあります。

もし権利金が発生しない借地契約だと、通常の地代よりも高額の「相当の地代」の支払いが発生します。相当の地代の金額は、「土地の価額×6%」です。

参考:国税庁「No.5732 相当の地代及び相当の地代の改訂

土地の固定資産税が値上げされると地代も上がる可能性あり

土地の地代の計算に固定資産税・都市計画税が使われている場合、土地の固定資産税が値上げになると、地代も一緒に値上がりする可能性があります。以下では、地代の増減を請求される正当な理由、請求が認められないケース、地代の値上げに納得がいかないときの法的手続きについて解説します。

地代の増減を請求される理由

借地借家法第11条では、以下の場合には地代の増減を請求できる旨が定められています。

  • 土地に対する租税その他の公課の増減
  • 土地の価格の上昇もしくは低下その他の経済事情の変動
  • 近傍類似の土地の地代等に比較して不相当

参考:e-Gov法令検索「借地借家法

固定資産・都市計画税の値上がりは、「土地に対する租税その他の公課の増減」に該当します。そのため、土地の所有者は地代の値上げを請求できる正当な権利を有するのです。

たとえば、何らかの理由で借地が住宅用地の特例から外れてしまった場合だと、地代も最大で6倍になるケースも考えられるでしょう。

とはいえ、一般的には値上げする前に、借主・貸主の間で話し合いがおこなわれます。値上げに納得できれば合意、納得できなければ調停や訴訟などの法的手続きに進みます。

地代の増減請求ができないケース

以下のケースに該当する場合は、土地の所有者であっても地代の増減請求はできません。

  • 借地契約時に地代の増減をしない旨の特約を結んだ
  • 経済事情の変動が軽微だった
  • 土地の所有者の経済状況を根拠に値上げを要請した

上記のケースで土地の所有者から地代の値上げを求められても、納得ができないときはしたがう必要はありません。

地代の値上げに納得いかないときは調停や訴訟

地代の値上げに納得がいかず、話し合いでも解決しないときは、調停や訴訟などの法的手続きを経て決着を付けることになります。

借地契約は地主と借地権者の人間関係が重要なこともあり、主張を直接ぶつけ合う訴訟ではなく、調停で地代を決めることがほとんどです。

地主から地代の値上げを要求されて結論が出るまでの間については、借地権者が相当と認める額の地代を支払えばよいことになっています。

最終的に、決まった新しい地代とその間に支払った地代の額に差額があれば、その差額分を年1割の利息をつけて精算します。

もし「値上げを要求した地代でなければ受け取らない」と貸主が拒否したとしても、そのまま支払わなければいいわけではありません。

必ず地主に支払う予定だった地代を、法務局の供託所に供託します。

貸主が受け取らないからといって地代を支払わないままであれば債務不履行となり、借地契約の解除にまで発展する恐れがあるので注意してください。

借地権者が支払う地代の計算方法と支払時期

地代は民法上「賃料」にあたります。民法では賃料は後払いと定められていますが、実際には契約で「翌月分を毎月末日に支払う」と記載して前払いとなっていることが多いです。

地代の支払いは民法よりも契約が優先されるので、内容によっては「半年に1度」や「1年に1度」と定められている場合があります。

支払金額の算出に関しても、法的に決められた方法があるわけではありません。しかし一般的には、以下の方法のいずれかで地代を計算するケースがほとんどです。

  • 公租公課倍率法
  • 路線価を使って地代算出
  • 積算法

公租公課倍率法

公租公課倍率法は、固定資産税と都市計画税の合計額(公租公課)に一定の倍率をかけて地代を算出する方法です。

次に解説する積算法とは異なり、専門的な計算方法として不動産鑑定評価基準に規定された方法ではないですが、専門知識がなくても理解しやすいという特徴から広く使われている計算方法です。

居住用住居を建てるために交わす借地契約の場合、公租公課の2倍~3倍程度が相場です。

たとえば、地主が支払っている土地の固定資産税と都市計画税の合計額が15万円であれば、借地権者が地主に支払う年間の地代は30万円~45万円ということになります。

路線価を使って地代算出

毎年7月1日に発表・改定される路線価(道路に面する宅地の1㎡あたりの価額)を用いて、地代を算出する方法があります。

更地価格(路線価×0.8)×土地面積×1.5~3%

路線価は公示価格(国土交通省が毎年1月1日時点で公表する土地の価格)のおおよそ8割になるように定められています。そのため、路線価を0.8倍すると、更地価格が求められます。

1.5~3%は、更地価格から年間借地料を算出する際の相場です。

参考:国税庁「財産評価基準書路線価図・評価倍率表

積算法

積算法は不動産鑑定評価基準に規定された地代の計算方法です。

「対象不動産について、価格時点における基礎価格を求め、これに期待利回りを乗じて得た額に必要諸経費等を加算して対象不動産の試算賃料を求める手法」とされています。

特に積算法で求めた地代を「積算賃料」と呼びますが、この記事ではそのまま「地代」として話を進めます。

積算法による計算方法を式にすると、次のようになります。

【地代 = (基礎価格 × 期待利回り) + 必要諸経費等】

基礎価格は「地代を求めるための基礎となる価格」と定義されています。

これは、大まかには地代を計算する時点での土地の更地価格のことです。

また、期待利回りも不動産鑑定評価基準で「賃貸借等に供する不動産を取得するために要した資本に相当する額に対して期待される純収益のその資本総額に対する割合をいう。期待利回りを求める方法については、収益還元法における還元利回りを求める方法に準ずるものとする」と定義されています。

わかりやすく言えば「一般的に期待される土地の運用利回り」のことですが、収益還元法における還元利回りを厳密に求めるのは計算が難しくなるので、2%とすることが多いです。

そして必要諸経費等には「固定資産税や都市計画税」「減価償却費」「維持管理費」「損害保険料」などが含まれます。

たとえば、更地価格が2,000万円、必要諸経費が30万円だったときの積算法による年間地代は、

【2,000万円 × 2% + 30万円 = 70万円】

となります。

参照: 不動産鑑定評価基準

地代の支払いが遅れて滞納した場合はどうなるのか?

  • 「忙しくて支払いを忘れてしまった」
  • 「支払いをしたつもりだった」
  • 「どうしても地代を準備できなかった」

こうした事情で地代の支払いが遅れて滞納してしまう場合があるかもしれません。

先に結論をお伝えすると、地代を滞納したとしてもすぐに借地契約の解除になるわけではありません。

借地契約は単発の売買契約とは異なり、借地契約成立後、数十年という契約期間で継続されるものです。そして継続的な契約においては、貸主である地主と借主である借地権者との信頼関係が重要になります。

1回滞納があったとしても、それで地主との信頼関係を破壊したとは認められないからです。

借地契約が解除されるには、まず相当の期間を定めてその期間内に地代を支払うように地主から請求がきます。

「相当の期間」というのは滞納している地代を調達するのに必要な期間を指し、一般的には1週間とされています。

つまり、地代を滞納し、地主からの請求があって期間内に支払わなかったときに、地主との信頼関係を破壊したとして借地契約を解除されるということです。

そのため地代の支払いに遅れないことはもちろん大切ですが、万が一、地代の支払いが遅れてもすぐに借地契約が解除されるわけではないので安心してください。

固定資産税以外の借地にかかる税金

借地には土地の固定資産税がかからないものの、借地に関して支払いの可能性がある税金には、さまざまなものが存在します。土地や建物の固定資産税・都市計画税以外にかかる税金は主に次の通りです。

取得 印紙税
登録免許税
不動産取得税
贈与税
相続税
譲渡 譲渡所得税

印紙税

借地権を取得するときには、地主と土地賃貸借契約書を結びます。

この契約書は、第1号文書の「地上権又は土地の賃借権の設定又は譲渡に関する契約書」にあたり、印紙税の課税対象です。

印紙税額は契約書に記載された契約金額によって定められています。

50万円〜1億円の印紙税額は下表のとおりです。

記載された契約金額 印紙税額
50万円超100万円以下 1,000円
100万円超500万円以下 2,000円
500万円超1,000万円以下 10,000円
1,000万円超5,000万円以下 20,000円
5,000万円超1億円以下 60,000円
契約金額の記載のないもの 200円

このとき「記載された契約金額」というのは土地の賃料(地代)や契約終了時に借地権者に返還される敷金などは含まれません。

権利金や保証金のような借地権者に返還されないものが契約金額となります。

つまり、借地権を取得するときに土地の賃借料と敷金しか明記されていない契約書であれば、印紙税は200円です。

また、借地権付き建物の購入時点で、建物と借地権、両方の契約金額が記載されていた契約書が2014年4月1日から2027年3月31日までに作成されていれば印紙税の軽減措置が適用されます。

同じく契約金額が50万円超1億円以下の範囲における軽減措置後の税率は次のとおりです。

記載された契約金額 印紙税額
50万円超100万円以下 500円
100万円超500万円以下 1,000円
500万円超1,000万円以下 5,000円
1,000万円超5,000万円以下 10,000円
5,000万円超1億円以下 30,000円

このように建物取得の契約金額が書かれているかどうかで印紙税額は変わるので、不動産会社の担当者が教えてくれるとは思いますが、収入印紙を貼り間違えないように注意してください。

参考:国税庁「No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置

登録免許税

登録免許税というのは、不動産を登記するときに必要な税金です。

そして、一般的に一戸建てやマンションなどマイホームを建築・購入するための借地契約を交わすときに取得する借地権は賃借権です。

この賃借権も登記できる権利です。しかし実際には、賃借権が登記されることはあまりありません。

賃借権の登記には賃貸人である地主の協力が不可欠ですが、地主には協力義務がないからです。

賃借権が登記されていないので、もし地主が第三者に土地を譲渡した場合、権利を主張できないことになります。

そうなれば借地権者は、新しい地主から突然追い出される可能性があり、安心して住むことができません。

そこで借地借家法では、借地権者と借地上の建物を保護するために、借地権者が借地上の建物を登記していれば、賃借権を登記したときと同じように第三者へ権利を主張できることを認めています。

そのため「借地権の登記」という意味では、登記されないので登録免許税はかからないですが、代わりに、取得した建物の登記にかかる登録免許税が必要ということです。

新築の場合は所有権保存登記、中古の借地権付き建物を購入した場合には所有権移転登記となり、登録免許税率が異なります。

2027年3月31日までの間に購入した建物を自分で住むことを目的として使う場合には住宅用家屋の軽減税率が適用されます(令和6年度の税制改正より)。

登記項目 本則税率 一般住宅
所有権保存登記 固定資産税評価額×0.4% 固定資産税評価額×0.15%
所有権移転登記 固定資産税評価額×2% 固定資産税評価額×0.3%

参考:国税庁「登録免許税の税率の軽減措置に関するお知らせ
参考:国税庁「登録免許税の税率の軽減措置に関するお知らせ

例えば、借地権付きの中古戸建てを購入し、建物の固定資産税評価額が2,000万円の場合必要な登録免許税は、所有権移転登記の軽減税率が適用されるとしたら以下の計算になります。

【2,000万円×0.3%=6万円】

ただし、軽減税率が適用されるためには、登記時に住宅のある市町村の証明書を添付する必要があります。

忘れていたからと登記した後で証明書を提出しても、軽減税率の適用はされないので気をつけてください。

不動産取得税

不動産取得税というのは、その名前の通り、不動産を取得した人に対して都道府県が課税する税金です。

この「取得」というのは新築や売買による取得だけでなく贈与・交換・増築・改築も含まれます。相続の場合は取得に含まれず、改築の場合は、改築によって物件の評価額が増加したときに課税されます。

ただし、借地権の場合は不動産を取得したことにはならないので、固定資産税・都市計画税と同様に課税対象外となり、建物部分のみ不動産取得税を納めます。

このときの納税額は、固定資産税評価額の3%が原則です。さらに一定の要件を満たしている住宅であれば、軽減措置が適用されて固定資産税評価額から定められた金額が控除されます。

不動産取得税は不動産取得後30日以内に申告して納税することが原則ですが、多くの場合、期日を過ぎて都道府県から送られてくる納税通知書に基づいて納税することが多いです。

そのため不動産の所有者が計算して納税することはあまりないです。その代わりに、納税通知書が送られてきたときにはまず軽減処理がされているかを確認するようにしましょう。

もし軽減されていなければ、都道府県税事務所に必要書類を添付して申告することになります。

贈与税

贈与税は個人から財産をもらったときにかかる税金です。そして借地権も贈与税の課税対象となり、贈与を受けた方が納税します。

贈与税は、祖父母や父母などの直系尊属からその年の1月1日において20歳以上の子や孫に贈与した場合であれば「特例贈与財産」、それ以外の場合は「一般贈与財産」と分類されています。

基礎控除額は共通して110万円です。

課税価格ごとに決まっている控除額と税率に基づき贈与税は下記の式で計算されます。

【贈与税 = (借地権の相続税評価額-110万円)×贈与税率-控除額】

※本来、贈与税はその年の1月1日から12月31日までに贈与された財産の価額の合計が課税対象となりますが、わかりやすくするために、借地権のみが贈与されたとしての式にしています。

借地権の相続税評価額は、借地権の種類によっても異なりますが、一般的には借地の更地価格に借地権割合を掛けて求められます。

例えば、更地価格が3,000万円、借地権割合が70%の借地であれば、

相続税評価額は「3,000万円 × 70% = 2,100万円」 です。

贈与税率と控除額は下表のとおりです。

【一般贈与財産用の税率】

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10% -
300万円以下 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円
600万円以下 30% 65万円
1,000万円以下 40% 125万円
1,500万円以下 45% 175万円
3,000万円以下 50% 250万円
3,000万円超 55% 400万円

 

【特例贈与財産用の税率】

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10% -
400万円以下 15% 10万円
600万円以下 20% 30万円
1,000万円以下 30% 90万円
1,500万円以下 40% 190万円
3,000万円以下 45% 265万円
4,500万円以下 50% 415万円
4,500万円超 55% 640万円

したがって、父親から成人している息子に先ほどの評価額の借地権を贈与したときにかかる贈与税額は、特例贈与財産用の税率が適用されて、

【(2,100万円 - 110万円) × 40% - 190万円 = 606万円】

となります。

また、地主の承諾を得て親の借地の上に子供名義の建物に改築リフォームしたり、建物の名義を子どもに変更したりする場合、何もしなければ借地権を贈与したとみなされます。

贈与税を課税されないためには「借地権の使用貸借に関する確認書」を税務署に提出する必要があります。

これは借地権を使用する子供と借地権者である親、そして、土地所有者である地主の3人が連名で、その借地権を使用貸借で又借りしているという事実を確認するものです。

詳しい手続きについては国税庁のページに掲載されているのでご確認ください。

これによって親から子への借地権の贈与ではなく、親と子の間での使用貸借とみなされて贈与税は課税されません。贈与税は相続税よりも納税額が高くなりやすいです。

建物の名義変更などで意図せず借地権まで贈与したとみなされて高額な納税をしないためにも、忘れずに提出することをおすすめします。

またこの使用貸借している借地権は相続税の対象です。

このときの相続税評価額は他人に賃貸している借地権ではなく、自分で使っている借地権として算出するので間違いないようにしましょう。

参照:「借地権の使用貸借であることの確認手続」(国税庁)

相続税

先ほどもお伝えしたとおり借地権も相続税の課税対象です。相続税を計算するときに使われる相続税評価額は、更地価格に借地権割合を掛けたものです。

借地権割合は国税庁がホームページで公開している路線価図にA~Gのアルファベットで示されているので、それで確認します。

また相続税は、借地権単一で課税されるわけではありません。そのほかの相続財産の課税対象価額を合算して基礎控除を差し引いた金額が、課税される相続財産の総額です。

この総額に対して相続税が課税されるので、相続財産が借地権のみという珍しい状況でない限り「借地権のみの相続税」というものはないことを覚えておいてください。

借地権の相続税評価額の計算は【更地価格 × 借地権割合】と簡単な式になっていますが、更地価格を算出するときに路線価図を読み解く専門的な知識が必要になります。

借地権の相続税評価額を求めるときには、税理士や不動産鑑定士などの専門家に依頼することがおすすめです。

評価方法を間違えて追徴課税となったり、納税しすぎたりする失敗を避けられます。

譲渡所得税

借地権を売却したときに利益が出た場合、その利益を「譲渡所得」と呼び、所得税と住民税が課税されます。税率は譲渡した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えるかどうかで異なります。

5年以下の場合は「短期譲渡所得」5年超の場合は「長期譲渡所得」として、税率は下表のとおりです。

所得税 住民税
短期譲渡所得 30% 9%
長期譲渡所得 15% 5%

つまり、平成31年(2019年)中に譲渡した場合、借地権の取得が平成25年(2013年)12月31日以前であれば長期譲渡所得、それ以降であれば短期譲渡所得です。

また、課税対象となる譲渡所得金額は、譲渡価額から借地権の取得時にかかった費用と譲渡時にかかった費用、適用される場合は特別控除額を差し引いた金額です。

【課税譲渡所得金額 = 譲渡価額-取得費-譲渡費用-特別控除額】

借地権の取得費には「権利金や保証金」「仲介手数料」「増改築時に支払った承諾料」などが含まれます。譲渡費用は「仲介手数料」「土地測量費用」などです。

そして、マイホームを借地権付き建物として売却した場合には、3,000万円特別控除の適用を受けることができます。

借地権を売却したときに3,000万円以上の利益が出ることはまずないので、3,000万円特別控除を忘れずに適用させれば納税額はゼロ円になることがほとんどです。

以上、借地に関する税金について解説してきました。

借地も課税対象となるもの、建物だけが課税対象となるものと分かれているので、それぞれの税金計算のときに間違えないように気をつけてください。

もし不安な場合は、不動産を専門にしている税理士や近くの税務署へ相談に行くことがおすすめです。

まとめ

借地権を行使して第三者の土地の上に建物を建築した場合でも、その土地にかかる固定資産税・都市計画税を納税するのは、土地の所有者です。

ただし借地権者も、土地の所有者へ支払う地代を通じて、間接的に固定資産税・都市計画税を支払うのが一般的です。地代の金額は、固定資産税の金額などを用いて計算され、借主・貸主の合意の下で決定されます。

地主から請求されている地代が適切か把握するためにも、借地にかかる固定資産税は把握しておいたほうがよいでしょう。

また、借地権者は地代以外にも、建物に課せられる固定資産税・都市計画税は通常通り納税の義務があります。加えて、印紙税、登録免許税、贈与税、相続税などの税金が発生する可能性があります。

もしわからないことがあれば、無料相談を利用して、借地権の取扱いが得意な不動産会社に聞いてみるのがおすすめです。