相続登記の必要書類や申請方法を詳しく解説!放置するデメリットも説明

相続登記

不動産を相続すると持ち主は被相続人から相続人へ変わります。そのため、不動産の名義を被相続人から相続人へ変更する(相続登記)ことが可能となります。

登記をおこなう際は司法書士に依頼する場合が多いといわれています。ただし、数万円~数十万円の報酬を支払わなければなりません。

そのため、なるべく費用をかけたくないなどの理由で自ら登記をおこなう人も少なくありません。

この記事では、相続登記における必要書類や申請方法について詳しく解説していきます。

また、相続登記を放置することのデメリットも説明するので、ぜひ参考にしてみてください。

相続登記の必要書類

相続登記

相続登記をおこなうためには必要書類を入手しなければなりません。さまざまな種類があるため、以下の表で確認しておきましょう。

①登記申請書
②登記事項証明書
③被相続人の出生から死亡までの記載がある戸籍謄本
④相続人全員の戸籍謄本および住民票
⑤遺言書
⑥遺産分割協議書
⑦固定資産評価証明書
⑧相続関係説明図

これらの書類を入手するには多くの時間がかかってしまうことがあります。そのため、相続登記をおこなうのであれば少しずつ必要書類を入手しましょう。

次の項目から、それぞれの書類における内容や入手方法について解説していきます。

①登記申請書

相続登記を完了させるためには「登記申請書」を作成して法務局へ提出します。様式や記載例は法務局が公開しているので参考にするとよいでしょう。

作成する際は、手書きでもパソコンによる打ち込みのどちらでも問題ありません。もし手書きで作成するのであれば、ボールペンなど消えないもので記入しましょう。

ただし、登記事項証明書に記載されている通りに記入しなければなりません。そのため、この書類も入手する必要があります。

②登記事項証明書(登記簿謄本)

登記事項証明書は被相続人と不動産の権利関係を確認するためと、登記申請書に不動産の情報(所在や地番など)を正しく記入するために入手します。

入手方法は法務局(登記所)に発行申請をおこないます。申請には「窓口で請求する方法」と「オンライン請求する方法」があります。

窓口で請求する場合は受付時間が平日の午前8時30分~午後5時15分までです。発行手数料600円がかかります。

一方で、オンライン請求は「登記・供託オンライン申請システム」にアクセスすることで請求できます。

受付は平日の午前8時30分~午後9時までおこなっています。また、「窓口での受取」と「郵送での受取」を選択できます。

窓口での受取は手数料480円、郵送での受取は手数料500円がかかります。

平日は仕事で忙しいため窓口での請求が困難だという人は、郵送またはオンライン請求するとよいでしょう。

③被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本

被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本は相続人を確定するために必要なものです。

遺産分割協議が終わり、相続登記をおこなおうとしたら他にも相続人がいた」とならないためにも、相続人の確定はとても重要です。

戸籍謄本を入手するには被相続人の最終本籍地を管轄する役所の窓口で発行できます。

また、郵送請求もできます。この場合は「返信用封筒」と「手数料(定額小為替)」を同封しましょう。

戸籍は結婚や転籍(本籍地の変更)などによって新しいものが作られるため、多くのケースでは複数の戸籍を入手しなければなりません。

そのため、前の戸籍、さらにその前の戸籍というように出生の記載がある戸籍が見つかるまで収集する必要があります。

ちなみに、戸籍謄本一通ごとに発行手数料450円がかかります。

④相続人全員の戸籍謄本および住民票

相続人全員の戸籍謄本および住民票は「相続人であること」と「生存していること」を証明するために必要な書類です。

前の項目で説明したように、戸籍謄本は本籍地を管轄する役所でしか発行申請できません。

しかし、住民票であればどこでも構わないため、最寄りの役所で発行可能です。また、コンビニに設置されているマルチコピー機多機能端末)からも住民票を発行できます。

住民票の発行手数料は一通につき300円です。

相続登記に間に合うように相続人全員に戸籍謄本および住民票を取得するようにお願いすることが大切です。

⑤遺言書

遺言書の内容によって不動産を相続する場合は、遺言書も提示する必要があります。公正証書遺言以外の遺言書は家庭裁判所に検認を請求する必要があります。

検認・・・遺言書の内容を明確にして偽造・変造を防止するための手続きです。

検認を請求するには遺言者(被相続人)の最終住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てをおこないます。

その際に費用として「800円分の収入印紙」と「連絡用の郵便切手」が必要です。連絡用の郵便切手の金額は家庭裁判所によって異なるため、問い合わせましょう。

参照:裁判所「遺言書の検認」

⑥遺産分割協議書

遺言書がない場合は、遺産分割協議をおこない誰が何をどの割合で相続するのかを取り決めるケースもあります。その協議の内容を証明するための書類として「遺産分割協議書」を作成します。

特に書式や形式はないため記載する情報が正確であれば書き方は基本的に自由です。ちなみに、手書きまたはパソコンの打ち込みのどちらでも問題ありません。

相続人全員が遺産分割協議書の内容に同意したら、実印を押印してもらいましょう。また、印鑑証明書も用意してもらうようにお願いすることが大切です。

⑦固定資産税評価証明書

相続登記をおこなう際に「登録免許税」がかかります。この金額を算出するには相続不動産の固定資産税評価額を調べなければなりません。

その際に必要となる書類が「固定資産税評価証明書」です。

発行する際は税務署や役所で請求します。例えば、東京都23区内の不動産であれば最寄りの都税事務所で発行できます。

詳しい手続きについては以下のリンクを参考にしてみてください。

参照:東京都主税局「証明書が必要なとき」

⑧相続関係説明図

戸籍謄本などは入手に手間や費用がかかるため、原本を返還して欲しいという人も少なくありません。もし返還を希望するのであれば「相続関係説明図」を作成して法務局へ提出しましょう。

相続関係説明図・・・被相続人と相続人がどのような続柄なのかという相続関係を説明するための図のことです。

相続関係説明図は手書きで自由に作成できます。書式や形式などの規定はありませんが、法務局が記載例を公開しているため参考にするとよいでしょう。

参照:法務局「相続関係説明図例 p.3」

相続登記の申請方法

相続登記 申請方法

必要書類の準備ができたら不動産を管轄する法務局へ登記申請をおこないます。申請するには「窓口で直接申請する方法」「郵送して申請する方法」「オンライン申請する方法」の3つがあります。

書類の不備がなければ登記後に法務局から「登記完了証」を受け取ります。また、「登記識別情報通知書」の取得を希望していたのであれば、これも受け取ります。以上で相続登記は完了です。

それでは具体的な申請方法や受け取る書類について解説していきます。

①窓口で直接申請する

窓口で申請する際は必要書類を一式持参しましょう。申請書に使用した印鑑も持って行くことで、書類の不備があったとしてもその場で訂正できる場合があります。

申請時に担当者に登記について相談・確認が可能なため、どの書類のどこに不備があるのかわかりやすく教えてもらえるかもしれません。

ただし、法務局の業務取扱時間は平日8時30~午後5時15分であるため、平日は仕事などで忙しいという人は窓口申請できないかもしれません。

また、不動産を管轄する法務局が遠方にある場合もあります。このようなケースでは、郵送申請するかオンライン申請するとよいでしょう。

②郵送で申請する

郵送して申請する際は重要書類のため「書留郵便」で送ることが大切です。もし完了書類や原本を送付してもらう場合は、その旨を申請書に記載して「返信用封筒」と「切手」を同封しましょう。

また、申請書には訂正印として「捨印」を押しておくことで、不備があったとしても柔軟に対応してもらえる場合があります。

郵送費用はかかりますが、窓口に行く時間がないという人にとって申請しやすい方法といえるでしょう。

③インターネットで申請する

オンライン申請はいつでもどこでも登記申請ができます。そのため、休日のまとまった時間や仕事の合間を縫って手続きを進めることが可能です。

ただし、オンライン申請は登記申請書をインターネット上で提出するシステムであるため、それ以外の添付書類は窓口または郵送で提出しなければなりません。

パソコンの操作が得意な人はオンライン申請が効率的といわれていますが、そうでない人は郵送申請が簡単かもしれません。

登記完了証および登記識別情報通知書を受け取る

登記申請に不備がなければ「登記完了証」を受け取って手続きは終了です。

また、登記申請書に登記識別情報の通知を希望すると記載していた場合は、「登記識別情報通知書」も交付されます。

登記識別情報通知書に記載されている登記識別情報は、12桁の英数字の形式になっています。これは従来の登記済証(権利証)に取って代わる大切な情報です。

今後、権利に関する登記をおこなう際は本人確認書類として必要になるため、紛失したり他人に見られたりしないよう十分注意してください。

なお、登記識別情報通知に貼られているシールは絶対にはがしてはいけません。

相続登記をしないとどうなる?

相続登記 デメリット
相続登記は義務ではないため、手続きしなくても法律上の罰則が課せられることはありません。

しかし、相続登記をおこなわないまま放置してしまうとさまざまなデメリットが考えられます。それが以下の通りです。

  • 不動産が売却できない
  • 相続が難航する
  • 差し押さえられてしまう

次の項目からいくつかのデメリットについて具体的に解説していきます。

不動産が売却できない

相続した不動産を売却するためには相続登記は必須です。その理由は、登記簿上の所有者にならないと不動産の権利を主張できないからです。

そのため、第三者(買主)側からすると、売却する権利がないとみなされてしまい契約を結ぶことが不可能となります。

また、自分の登記を省略して直接被相続人から買主へ所有権を移転させる(中間省略登記)ことは、原則認められていないことも売却できない理由です。

相続時に売却の予定が無くても、売却する際に慌てることのないように登記をおこなっておくことが大切です。

相続登記が複雑になる

相続登記を完了させなければ、相続人全員が法定相続分に応じて不動産を共有している状態が続きます。

この状態で相続人の誰かが亡くなってしまいその相続人に子どもがいる場合、その子どもが相続人として不動産を共有することになります。

例えば、まず相続人A、B、Cが相続登記をおこなっていため不動産を共有しているとします。加えて、BとCにはそれぞれ子どもが2人(計4人)いるとします。もしBとCが亡くなってしまうと、BとCの子どもがその不動産に相続人となります。

つまり、相続人の人数が3人から5人に増えてしまいます。そのため、亡くなったBとCの子どもたちと遺産分割協議をおこなわなければならないケースがあります。

このように人数が増えてしまうことで協議がまとまりにくくなったり、相続人全員の必要書類(実印や印鑑証明書など)の入手もより難しくなってしまうでしょう。

相続登記が複雑化してしまうと自分で手続きをおこなうのは困難となり、司法書士などの専門家に依頼する際も費用が高額になってしまうことも考えられます。

そのため、遺産分割について全員が合意したのであれば早めに登記を終わらせておきましょう。

不動産の差し押さえを阻止できなくなる

まず、相続人の誰かが借金やローンなどの支払いを滞納していた場合債権者は債務者である相続人の持分(法定相続分)を差し押さえることができます。

この場合、差し押さえられた不動産を取り戻そうとしても、相続登記がされていなければ債権者側へ所有権を主張することはできません。遺産分割協議が完了していたとしても同様です。

差し押さえられた法定相続分が競売にかけられ第三者に売却されてしまうと、共同相続人は第三者と不動産を共有することになってしまいます。

不動産を自由に活用したり売却するためには第三者から買い戻さなければなりません。

せっかく遺産分割協議にて不動産の相続の話がまとまったのに、第三者が介入したことでまた争いに発展するおそれもあります。

このような問題を未然に防ぐには相続登記はしっかりとおこなうことが大切です。

まとめ

相続登記の手続きをおこなうためには多くの書類が必要です。場合によっては入手に時間がかかってしまうため、余裕のあるうちに少しずつ集めることが大切です。

すべての必要書類が集まったら、相続不動産を管轄する法務局に登記の申請をします。窓口での申請」「郵送での申請」「オンライン申請」の3つ方法があるため、自分に合った方法を選ぶとよいでしょう。

申請に手間がかかるからという理由で相続登記をしないまま放置しておくとトラブルに発展してしまう可能性があります。

具体的にはスムーズに売却ができなかったり相続登記が複雑になってしまうことがあります。しかし、早めに登記を完了させておくことでこのようなトラブルを未然に防ぐことが可能です。

もし相続登記の手続きに疑問や不安があれば法務局の窓口や司法書士に相談しましょう。

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