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任意売却の価格相場はいくら?査定方法や競売との違いや差額についても解説

任意売却の価格相場はいくら?査定方法や競売との違いや差額についても解説

任意売却とは、住宅ローンの返済が難しくなった場合に、債権者(金融機関など)の承諾を得たうえで、不動産を売却する方法です。基本的に、滞納による差し押さえ・競売を回避するために行います。

任意売却は、競売までの限られた期間内で売却活動を進める必要があるため、通常売却に比べると価格調整が必要になるケースがあります。
また、売買契約では契約不適合責任を免責とする特約が設けられることも多く、買主側が一定のリスクを考慮して購入を検討する傾向があります。

こうした事情から、実務上は市場価格の8〜9割前後で成約するケースが多いとされています。ただし、物件の立地や需要、競売開始までの残り期間によって価格は大きく異なります。

実際に弊社へ寄せられるご相談でも、「できるだけ高く売りたいが、時間的な制約もある」という悩みは非常に多く、価格とスピードのバランスを重視して販売戦略を組み立てるケースが一般的です。

任意売却の目的は「住宅ローン返済に充てる資金を期間内(競売前まで)に捻出すること」なので、競売開始までのスケジュールを意識しながら、債権者の承諾を得られる価格設定で売却活動を進める必要があります。高すぎる価格設定では買主が見つかりにくく、反対に安すぎる価格では債権者の同意が得られない場合もあります。そのため、実務上は「一定期間内で成約が見込める価格帯」を見極めながら調整していくことが重要です。

通常の不動産売却に加えて、債権者との調整や売却期限の管理などが必要になるため、任意売却の取扱実績がある不動産会社へ相談するとスムーズに進みやすくなります。なお、売却方法には「仲介」と「不動産会社による買取」があり、それぞれ特徴が異なります。

仲介は市場価格に近い条件で売却できる可能性がある一方、買主が見つかるまで時間がかかる場合があります。一方、買取は価格が市場相場より低くなる傾向があるものの、短期間で現金化しやすい点が特徴です。

実際には、競売までの残り期間や物件状況、住宅ローン残債などによって適した方法は異なります。そのため、査定時には複数の選択肢を比較しながら進めることが重要です。

この記事では、任意売却の価格相場や競売との違い、査定方法について解説しています。任意売却における価格の決め方を把握して、適正価格で売却できるようにしましょう。

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任意売却とは債権者の承諾を得て住宅ローンが残っている住宅を売却すること

任意売却とは、住宅ローンの返済継続が難しくなった場合に、債権者(金融機関など)の承諾を得たうえで、住宅ローン残債がある不動産を売却する方法です。

住宅ローンを一定期間滞納すると、金融機関は債権を回収するために抵当権を実行し、住宅を競売にかける手続きを始めます。

抵当権:住宅ローンなどの融資を行う際に、金融機関が不動産を担保として設定する権利。返済が滞った場合には、金融機関は法的手続きを通じて不動産を売却し、貸付金の回収を図ります。

しかし、競売手続きが進む前に債権者と調整を行い、任意売却について承諾を得られれば、通常の不動産売却と同様に市場で買主を募集できる場合があります。

任意売却は競売よりも高値で売却できる可能性が高く、残債の支払い方法や引き渡し日などもある程度調整できます。債権者にとっても、競売より高い水準で売却できる見込みがある場合には、任意売却が選択肢となるケースがあります。ただし、任意売却には債権者全員の同意が必要となるため、必ず認められるとは限りません。

弊社へのご相談でも、「まずは仲介で売却を試みたい」という方もいれば、「期限が迫っているため早期売却を優先したい」という方もいます。任意売却では、残された期間やローン残債、物件状況によって適した進め方が異なるため、状況に応じた判断が重要です。

競売では裁判所を通したオークション形式で住宅を売却する

競売とは、住宅ローンの返済ができなくなった場合に債権者が裁判所に申し立てを行い、裁判所を通したオークション形式で住宅を売却する方法です。

競売の開札日までに任意売却が成立しなかった場合や、債権者・連帯保証人の同意が得られず任意売却ができない場合は、競売手続きによって不動産が売却される流れになります。

競売では、売却手続きやスケジュールが裁判所主導で進められるため、通常の不動産売却と比べると、売主側の希望を反映しにくい傾向があります。また、競売物件は市場相場よりも安く買い叩かれてしまうので、住宅ローンの返済に充てられる金額も少なくなってしまいます。

競売と任意売却では、それぞれ手続きや売却条件に違いがあります。住宅ローンの返済に不安を感じ始めた段階で、早めに不動産会社や必要に応じて弁護士などへ相談し、状況に応じた方法を検討することが大切です。

任意売却は住宅ローン滞納後、競売手続きが進む前に検討することが重要

住宅ローンの滞納が一定期間続くと、債務者は「期限の利益」を喪失し、金融機関や保証会社から住宅ローンの一括返済を求められるのが一般的です。なお、実際に期限の利益を喪失するまでの期間は、金融機関や契約内容によって異なる場合があります。

一括返済ができなければ、金融機関は裁判所に対して競売の申し立てを行い、競売の手続きが開始されます。競売で強制的に売却されるのを避けるためには、競売にかけられる前に任意売却を成立させる必要があるため、一括返済を求められたら早めに任意売却の手続きを始めましょう。

実際には、「まだ数か月だから大丈夫」と考えて相談が遅れるケースも少なくありません。しかし、任意売却は競売開始までのスケジュール管理が重要となるため、督促状や期限の利益喪失通知が届いた段階で一度状況を整理しておくと、その後の選択肢を広げやすくなります。

任意売却の期限は販売開始から1年程度

任意売却が行えるのは一定期間に限られています。期限は債権者が決めるので個人差がありますが、販売開始から1年程度の期限が設けられるケースが多いです。

任意売却が成立しないまま競売手続きが進行した場合には、最終的に競売による売却へ移行する可能性があります。

すでに競売にかけられている場合は開札日前日が任意売却の期日

すでに債権者が裁判所に対して競売を申し立てている場合は、開札日前日が任意売却の期日になります。

任意売却が認められ、市場で買主を探している間も競売の手続きは進行するため、競売の手続きを止めるには、開札日前日までに債権者などの関係者と調整を行い、必要な手続きが完了している必要があります。

そのためには、開札日前日までに任意売却の手続きをすべて終わらせる必要があります。開札日前日までに競売の手続きを取り下げてもらえなかった場合は、開札日に最も高い金額で入札した人が買主となり、強制的に売却されます。

購入希望者を見つけただけでは競売の手続きを取り下げてもらえないので注意しましょう。

任意売却における売却価格の相場

任意売却は、通常の不動産売却と同じように市場価格での取引が可能です。ただし、売却期限の制約や契約条件など任意売却特有の事情があるため、実務上は市場価格より低い水準で成約するケースもみられます。

一般的には、競売になると任意売却よりも低い価格帯で落札される傾向があります。

売却方法と相場の比較
売却方法 売却価格の相場
通常不動産 市場価格
任意売却 市場価格の8~9割程度で成約するケースが多い
競売 市場価格の5~7割程度で落札されるケースが多い

任意売却で価格を決めるときは、通常売却と同じように査定を行います。物件そのものの評価額を算出したうえで、市場価格や細かい売買条件などを考慮し、債権者や買主と交渉するのが基本的な流れです。

任意売却は市場価格より低い水準で成約するケースが多い

任意売却では、売却スケジュールや契約条件に一定の制約があるため、一般的な売却と比べて価格調整が必要になるケースがあります。
任意売却物件の価格が下がる理由は以下の通りです。

売却期間が短い 競売手続きの進行状況によっては、限られた期間で売却活動を進める必要がある。
契約不適合責任が免責になる 任意売却では、物件に欠陥などがあっても売主の責任を免除する契約が一般的
(経済的な理由で売却する売主がほとんどであり、損害賠償を請求しても支払える保証がないため)
停止条件付の特約がつく 「債権者から承諾を得られない場合は無条件で解約」という条項を盛り込むため
現状での引き渡し以外にない 現況有姿での引き渡しとなるケースも多く、買主側が修繕費用などを見込んで購入を検討する場合がある

前述の通り、競売手続きが進行すると、任意売却による対応が難しくなる場合があるため、買主探しはスピードが重要です。飛び抜けて需要が高いなどの例外でなければ、通常より高額で売り出されることはありません。

一方、住宅ローンの残債を減らすためには、少しでも高く売る必要があります。任意売却には債権者の承諾が必要ですが、売却価格によっては、債権者から承諾を得られない場合もあります。

実務上は、「早期売却の必要性」と「債権回収額の確保」のバランスを踏まえ、市場価格より一定程度低い水準で調整されるケースが多くみられます。

競売は通常不動産売却よりも価格が低くなる傾向

任意売却も価格は下がりますが、競売による落札価格はさらに下がります。個々のケースによりますが、地域や物件条件によって差はありますが、一般的には市場価格より低い価格帯で落札される傾向があります。

競売物件の場合、以下のような理由で価格が下がります。

  • 内見が原則不可(書面上の情報でしか判断できない)
  • 書面上にすべての情報が記載されているとは限らない
  • 検討時間が短い(入札期間は1か月程度が多い)
  • 契約不適合責任が限定される
  • 居住者がいれば落札者が立ち退き手続きを行う

総じて落札者の負担が大きいため、価格が低くなります。

また、競売では売却基準価額(競売時の基準となる価格)と買受可能価額(入札の最低価格)が、次のように定められています。

第六十条 執行裁判所は、評価人の評価に基づいて、不動産の売却の額の基準となるべき価額(以下「売却基準価額」という。)を定めなければならない。
2 執行裁判所は、必要があると認めるときは、売却基準価額を変更することができる。
3 買受けの申出の額は、売却基準価額からその十分の二に相当する額を控除した価額(以下「買受可能価額」という。)以上でなければならない。出典:e-Govポータル「民事執行法第60条」

売却基準価額は、市場価格や物件状況などを踏まえて裁判所が定めます。売却基準価額が決まったら、そこから最大2割を差し引いて入札が開始されます(条文の第3項)。

最も高い価格を入札した人が落札となりますが、競売では、物件リスクや明渡し負担などを考慮して入札価格が調整される傾向があります。

結果として、競売による落札価格は市場価格の5~7割程度まで落ちてしまいます。

任意売却の価格決定には債権者の承諾が必要

任意売却の価格決定は、売主と不動産会社が協議し、最終的に債権者が可否を決めるというプロセスになります。つまり、特に、抵当権の抹消には債権者の同意が必要となるため、売却価格についても債権者の意向が大きく影響します。

債権者としてはなるべく多く融資を回収する必要があるため、一定額以上でなければ承諾しません。購入希望者が見つかった場合でも、売買価格や条件によっては債権者の承諾を得られないケースがあります。

売主も価格について希望をいえますが、優先的に取り入れられることはないと考えておきましょう。

実際の任意売却では、「少しでも高く売りたい」という売主の希望と、「競売より多く回収したい」という債権者側の意向を調整しながら価格を決めていきます。

そのため、通常の不動産売買以上に、査定根拠や販売戦略を整理したうえで債権者へ説明することが重要になるケースも少なくありません。

任意売却をするまでの流れ

任意売却は、下記の流れで進むのが一般的です。

  1. 金融機関から一括返済の督促状が届く
  2. 住宅ローンの残高証明を取得して現状を把握する
  3. 弁護士や不動産会社に相談
  4. 物件の査定や調査を行う
  5. 弁護士や不動産会社と媒介契約を締結する
  6. 債権者や保証人に交渉する
  7. 任意売却を開始する
  8. 購入者が決定したら決済・任意売却契約を締結
  9. 所有権移転登記手続きをして完了

一連の流れをそれぞれ詳しく見ていきましょう。

金融機関から一括返済の督促状が届く

住宅ローンの返済が滞ると、金融機関から電話やハガキで支払いの督促があります。

それから3~6か月返済を放置すると、債務者は期限の利益(債務を分割で支払う権利)を喪失するため、金融機関から、期限の利益を喪失した旨や一括返済を求める通知書が届くのが一般的です。
一括返済ができなければ、金融機関は裁判所に対して競売を申し立てられる流れになります。

住宅ローンの返済が厳しくなってきた場合は、期限の利益を喪失してからではなく、できるだけ早い段階で行動することが大切です。
実際には、3〜6か月程度の滞納が続いて期限の利益を喪失した頃には、金融機関や保証会社による競売に向けた準備が進み始めているケースも少なくありません。
そのため、「このままでは返済が難しくなりそう」「すでに1〜2か月返済が遅れている」といった段階で、まずは金融機関へ返済条件の見直し(リスケジュール)について相談するとともに、不動産会社へ任意売却の査定や相談を行うことが大切です。
早めに相談することで選択肢を確保しやすくなり、状況によっては競売を回避できる可能性も高まります。

住宅ローンの残高証明を取得して現状を把握する

一括返済の督促状が届いたら、住宅ローンの残高証明書で残債額がいくらあるのか現状を把握しましょう。住宅ローンの残高証明書は、一般的に年1回金融機関から送付されます。

残高証明書を紛失してしまった場合は、住宅ローンを契約している金融機関に電話で連絡すれば再発行してもらえます。残高証明を取得して住宅ローンの完済が難しそうなら、任意売却を検討しましょう。

実際のご相談では、「ローン残高を正確に把握できていなかった」というケースも少なくありません。任意売却では、残債額だけでなく、滞納している管理費・税金・遅延損害金なども含めて整理する必要があるため、早い段階で資料を揃えておくとその後の交渉がスムーズです。

弁護士や不動産会社に相談

任意売却を行う決意ができたら、複数の不動産会社に相談しましょう。任意売却は債権者全員の同意を得ないと行えないため、債権者との交渉が重要なポイントになります。

交渉を有利に進めるためにも、任意売却の取扱い実績が豊富な不動産会社に相談するのが望ましいです。任意売却そのものは不動産会社を中心に進められるケースもありますが、債務整理や訴訟対応、保証人との法的整理が必要となる場合には、弁護士への相談も検討するとよいでしょう。

物件の査定や調査を行う

信頼できる不動産会社が見つかったら、物件の査定や調査を行ってもらいます。

任意売却では、不動産会社の査定価格や周辺の売却事例などを参考に販売価格を決めます。
ただし、債権者が確認するのは販売価格だけではありません。実際には、売却代金から仲介手数料や滞納している税金などの費用を差し引いた後、残ったお金を各債権者へどのように振り分けるのかの「配分案(配分表)」が重要になります。

そのため、任意売却では「いくらで売れるか」だけでなく、「売れたお金をどのように配分するか」についても債権者と調整しながら進めていくのが一般的です。
特に、住宅ローンのほかにも第2順位以降の抵当権を設定している債権者がいる場合や、税金滞納による差し押さえがある場合は、売却代金の配分をめぐって関係者との調整が必要になります。
それぞれの債権者が回収できる金額に関わるため、協議が長引くことも少なくありません。そのため、任意売却では債権者との調整実績が豊富な不動産会社へ相談することが重要です。

また、物件を査定してもらうことで物件の売却代金で住宅ローンを完済できるのか、完済できる場合はいくら手元に残るのか事前に見込みを把握できます。

この段階で売却代金を充てても住宅ローンを完済できなさそうであれば、本格的に任意売却の手続きを進めていくことになります。

弁護士や不動産会社と媒介契約を締結する

物件の査定や調査が完了し、任意売却になる見込みが高ければ、信頼できる不動産会社と媒介契約を締結して任意売却の手続きを進めていきましょう。

媒介契約には「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」「一般媒介契約」の3種類ありますが、任意売却の場合は原則として不動産会社1社のみと契約を結ぶ専属専任媒介契約か専任媒介契約を締結します。弁護士に依頼する場合は、このタイミングで依頼しましょう。

債権者や保証人に交渉する

任意売却は債権者や保証人の許可を得ないと行えないため、媒介契約を締結したら債権者や保証人との交渉に移ります。

債権者との売却条件の調整については、不動産会社が窓口となって進行をサポートするケースが一般的です。なお、法的な債務整理や代理交渉が必要となる場合には、弁護士への依頼が必要になることがあります。販売価格や細かな売買条件、売却までのスケジュールなどについて話し合い、債権者や保証人の許可を得られれば売却活動が行えるようになります。

任意売却を開始する

債権者や保証人から任意売却の許可が取れたら、任意売却を開始します。通常の不動産売買と同様に物件情報がインターネットやチラシなどに掲載され、一般の市場で購入希望者を募集します。購入希望者が現れたら、内見や価格交渉などの対応が必要になります。

購入者が決定したら決済・任意売却契約を締結

任意売却物件の購入者が決まったら、購入者と決済・任意売却契約を締結します。任意売却の売買契約書には、下記の項目を特約として盛り込むのが一般的です。

  • 売買代金を一括で決済すること
  • 一定の場合に違約金の負担範囲を限定する
  • 契約不適合責任を免責とする特約が設けられる
  • 公簿売買規定の責任を負わないこと
  • 売買契約の白紙解約条項を設けること

売買価格や引き渡し日などに問題がないか確認し、売買契約書に署名押印をして収入印紙を貼り付ければ契約完了です。契約が完了したら、物件の引き渡しを行います。

所有権移転登記手続きをして完了

物件の引き渡しが完了したら、最後に所有権移転登記の手続きを法務局で行います。所有権移転登記とは、売買や相続などで不動産の所有権が移った際、変更内容を登記簿に反映させるために行う手続きです。

所有権移転登記は、通常、決済・引き渡しと同日に司法書士を通じて申請されます。申請の際に必要となる書類は下記の通りです。

  • 所有権移転登記の申請書
  • 本人確認書類
  • 印鑑証明書と実印(売主)
  • 登記識別情報または権利証(売主)
  • 固定資産評価証明書
  • 住民票(買主)
  • 売買契約書
  • 委任状(司法書士に依頼する場合)

買主と売主が自ら必要書類を揃えて申請することも可能ですが、所有権移転登記は手続きが複雑なので、実務上は登記の専門家である司法書士に依頼します。司法書士に依頼すれば、通常は1~2週間程度で手続きが完了します。

任意売却では、「いくらで売れるか」だけでなく、「いつまでに債権者の承諾を得られるか」が重要になります。実際の現場でも、価格交渉よりスケジュール調整が大きな論点になるケースは少なくありません。

任意売却の査定方法

任意売却でも、通常売却と同じように物件の査定が必要です。査定結果をもとに、債権者と交渉して売り出し価格を決めます。

では、任意売却ではどのように査定を行うのでしょうか?ここでは、任意売却の査定方法について詳しく解説します。

物件の査定方法は通常売却と同じ

査定自体は通常の不動産売却と同様の方法で行われることが一般的ですが、任意売却では「売却期限」や「債権者との調整」といった事情も加味される点に特徴があります。不動産会社による机上査定や訪問査定は、無料で対応しているケースが一般的です。
査定では、主に以下の項目が見られます。

  • 立地
  • 築年数
  • 間取り、広さ
  • 建物の構造や管理状態
  • 設備や内装
  • 周辺環境
  • 日当たりや眺望
  • 隣接道路との接道状況
  • 土地の形状

上記の項目を評価するとともに、市場での需要や供給、近隣の成約事例に加え、「競売開始までの期間」「債権者が承諾可能な水準か」「現況での引き渡し条件」など、任意売却特有の事情も踏まえて査定価格が検討されます。

査定はあくまで参考値であり、最終的な価格とは異なる場合があります。前述の通り債権者の意向を聞く必要がありますし、買主との交渉によっても変わるかもしれません。

査定額が住宅ローン残債にいくら充てられるのかが重要

任意売却は、オーバーローン状態(住宅ローン残債が売却価格を上回る状態)で行われます。任意売却の利益は残債の返済に充てられ、返しきれない分は改めて分割返済していきます。

つまり、売却代金で残債をどこまで減らせるかが、任意売却では重要です。一般的には、売却代金によって住宅ローン残債をどこまで圧縮できるかが重要視されます。残る債務が少ないほど、その後の返済計画も立てやすくなる傾向があります。

ただし、任意売却後も返済継続が難しい場合には、任意整理・個人再生・自己破産などの債務整理を検討するケースもあります。これらは任意売却とは異なる手続きなので、別途弁護士などに相談しましょう。

債務整理の種類とメリット・デメリット
債務整理の種類 特徴・メリット 主なデメリット
任意整理 債権者と交渉して、債務を減額してもらう制度 ・5年程度、信用情報機関に事故情報として登録される可能性がある(クレジットカードの利用や新規借入ができない) など
個人再生 裁判所手続きによって、債務を最大1/10まで減額する制度 ・5~7年程度、ブラックリスト状態になる
・財産の大部分を処分することになる(すべてを処分する必要はないが、処分しないと手続き後の弁済額が増える可能性がある) など
自己破産 裁判手続きで債務の返済を全額免除してもらう制度 ・5~7年程度、ブラックリスト状態になる
・一定以上の価値がある財産については、処分対象となる可能性がある
・手続き中、一部の資格・職業が制限される など

なお、アンダーローンならそもそも任意売却する必要はなく、普通に売却して完済できます。債権者から拒否されることもありません。

競売よりも任意売却をした方が良い理由

競売よりも任意売却をした方が良い理由としては、主に下記の3つが挙げられます。

  • 任意売却は競売と比べると周囲に事情を知られにくい傾向がある
  • 引越し費用を確保できる可能性がある
  • 競売よりも高値で売却できる可能性がある

ここからは、上記の理由についてそれぞれ詳しく解説していきます。

任意売却は競売と比べると周囲に事情を知られにくい傾向がある

任意売却なら、住宅ローンの滞納で差し押さえを受けたことが周りに知られにくい傾向があります。

物件が競売にかけられた場合は、裁判所やインターネット、新聞、競売情報誌などに競売物件の情報が一般公開されるため、知り合いや近所の人に見られてしまう可能性があります。

競売情報から、住宅ローンの返済が困難な状況にあることを推測される可能性があります。

一方、任意売却では、一般的な不動産売却と同様に市場で販売活動を行うため、競売のように裁判所を通じて物件情報が公開されるわけではありません。そのため、競売に比べると事情を知られにくい傾向があります。

実際のご相談でも、「近隣に事情を知られたくない」という理由で任意売却を検討される方は少なくありません。特に競売の場合は、物件情報や写真が公開資料として掲載されることがあるため、心理的負担を理由に早めの相談へ進まれるケースもあります。

引越し費用を確保できる可能性がある

任意売却は、売却した物件を買主に引き渡した後でないと売却代金が受け取れません。しかし、手元にお金がほとんどなくて引越し費用の捻出が難しく、立ち退きができない可能性もあります。

債権者からすれば、早くお金を返してもらいたいと考えているため、引越し費用の捻出が難しい場合は債権者と交渉することで引っ越し費用を負担してもらえる場合があります。

実務上は、10〜30万円程度が引越し費用として認められるケースもありますが、金額や可否は債権者の判断や配分状況によって異なります。
引越し費用の支給は法律で義務付けられているものではなく、必ず受け取れるわけではありません。債権者としても、任意売却をスムーズに進めて競売を回避できるメリットがあるため、引越し費用の一部負担を認める場合があります。
「任意売却をすれば引越し費用がもらえる」と考えるのではなく、あくまでも債権者との協議によって認められる可能性があるものと理解しておきましょう。

競売よりも高値で売却できる可能性がある

前述の通り、個別事情によって差はあるものの、競売では一般的な市場売却より低い価格帯で落札されるケースが多いとされています。

競売物件が安値で落札されるのは、「任意売却は市場価格より低い水準で成約するケースが多い」でも紹介したように買主にとって不利な条件が多く、市場相場よりも大幅に価格を下げないと買主がなかなか見つからないからです。

一方、任意売却は通常の不動産売買と同様の流れで売却活動を行うため、競売と比較すると高値で成約できる可能性があります。

任意売却物件の価格は市場価格よりやや低い傾向にあるものの、市場価格の8~9割で落ち着くことが多く、立地条件や物件状態、市場動向によっては、一般的な市場価格に近い水準で成約するケースもあります。

任意売却をする際の注意点

競売よりもメリットが多い任意売却ですが、下記の点に注意が必要です。

  • 任意売却を取り扱っていない不動産会社もある
  • 内覧では立ち会う必要がある
  • 債権者から同意が得られない可能性がある

ここからは、それぞれの注意点について詳しく解説していきます。

任意売却を取り扱っていない不動産会社もある

任意売却では、通常の売却活動に加えて、債権者との価格調整や配分協議、売却スケジュール管理などが必要になるため、一定の実務経験が求められます。

そのため、不動産会社によっては、任意売却案件を取り扱っていない場合もあります。基本的に任意売却をする際は、自分で業者を探す必要があるため、相談開始が遅れると、販売活動や債権者との調整に十分な時間を確保できず、結果として競売手続きへ移行する可能性もあります。

そのため、金融機関から督促を受け支払いが難しいとわかったら速やかに対応してくれる不動産業者を探しましょう。

内覧では立ち会う必要がある

任意売却は売主も売買に協力する必要があるため、内覧時には、売主本人または不動産会社担当者による対応が必要になるケースが一般的です。

特に任意売却は、売主が引越す前に行うケースが多いため住んでいる状態のまま内覧に対応する必要があります。

任意売却が決まったら、購入希望者に良い印象を持ってもらうためにも、室内を整理整頓し、内覧対応しやすい状態を維持しておくことが望ましいです。

債権者から同意が得られない可能性がある

前述の通り、最終的に任意売却するか決めるのは債権者である金融機関です。

債権回収の観点から任意売却が選択されるケースもありますが、債権者の方針や回収見込みによっては承諾が得られない場合もあります。

任意売却を検討する場合は、不動産会社へ相談したうえで、必要に応じて債権者との調整を進めていく流れが一般的です。

任意売却物件の査定は取扱実績がある不動産会社へ相談する方法もある

任意売却を検討する際は、任意売却の取扱実績がある不動産会社へ相談する方法があります。専門の不動産会社に依頼するのがおすすめな理由としては、下記の3つが挙げられます。

  • 短期間でもスムーズに手続きを進められる
  • 高値で売却できる可能性がある
  • リースバックできる可能性がある

ここからは、上記の理由についてそれぞれ詳しく解説していきます。

短期間でもスムーズに手続きを進められる

任意売却では、債権者が設定するスケジュール内で売却活動を進める必要があります。期限内に売却が成立しない場合、競売手続きへ移行するケースもあるため、早めの準備が重要です。

しかし、任意売却は通常の売却活動に加えて、債権者との交渉や抵当権の抹消手続きなどを行う手間もかかります。任意売却物件の扱いに慣れていない不動産会社だと手続きがスムーズに進まず、期限内に売却できない可能性が高いです。

任意売却の取扱実績がある不動産会社のなかには、必要に応じて弁護士・司法書士などの専門家と連携しながら手続きを進めている会社もあります。

高値で売却できる可能性がある

任意売却の経験が豊富な不動産会社へ相談することで、債権者との調整や販売戦略について具体的な提案を受けられる場合があります。任意売却は通常の仲介業務に加え、債権者や保証人との交渉も必要になります。

任意売却の取扱経験がある不動産会社では、これまでの実務経験をもとに、債権者との調整や売却条件の整理を進めているケースがあります。状況によっては、売却条件やスケジュール調整について柔軟な提案を受けられる場合があります。

リースバックできる可能性がある

任意売却物件を専門の不動産会社に査定してもらえば、売却した住宅をリースバックできる可能性があります。リースバックとは、不動産売買と賃貸契約を同時に行う取引方法のことをいいます。

不動産会社に物件を売却した後に賃貸契約を結ぶことで、売却した物件に引き続き住み続けられます。ただし、リースバックを利用するには、原則として売却代金で住宅ローンを完済できることが条件になります。

また、リースバックでは、通常売却と比較して売却価格や賃料条件が異なる場合があります。契約内容によって負担感が変わるため、事前に条件を十分確認することが大切です。
なお、リースバックは「住み続けられる」というメリットがある一方、長期的に見ると賃料負担が大きくなるケースもあります。
実際の相談現場では、「数年間だけ住み続けたいのか」「将来的に買い戻したいのか」といった目的整理を行ったうえで検討されることが多いです。

まとめ

任意売却では、一般的な市場価格に近い水準で売却できるケースもありますが、売却期限や物件条件などの影響から、市場価格を下回る価格帯で成約するケースも見られます。

少しでも高く売れれば、その分だけ後々の返済が楽になります。住宅ローンの返済が難しくなった場合は、競売に至る前の段階で、任意売却を含めた複数の選択肢について早めに整理しておくことが大切です。

返済できないことが原因で自宅を手放すのには、後悔や罪悪感が強いかもしれません。競売では、売却条件やスケジュールを債務者側で調整しにくく、結果として市場価格を下回る価格で売却されるケースもあります。

任意売却は、住宅ローン問題を整理するための選択肢のひとつです。状況に応じて、仲介・買取・債務整理なども含めながら、自身に合った方法を検討していくことが重要です。

任意売却について良くある質問

任意売却にかかる費用はどのくらいですか?

費用は売却代金から差し引かれるので、持ち出し金0円で任意売却が可能です。差し引かれる費用は個々のケースによりますが、内訳は一般的な不動産売却と同じで、売却代金の数%程度が目安です。

任意売却の代金は手元に入ってくるのですか?

売却費用を差し引かれた後、住宅ローン残債の返済に充てられます。ただし、債権者との交渉次第では、引越し費用の配分が認められるケースもあります。

任意売却と競売の違いはなんですか?

一般的に、任意売却は市場価格に近い水準で売却できるケースが多く、競売より高値で成約しやすい傾向があります。
一方で、競売は内覧制限や契約条件の制約などから、任意売却より低い価格帯で落札されるケースが多いとされています。
ただし、実際の売却価格は物件条件や地域、市場動向によって異なります。

任意売却の査定はどこに依頼しますか?

任意売却を検討する場合は、任意売却の取り扱い実績がある不動産会社へ相談する方法があります。
任意売却では、通常の売買に加えて債権者対応やスケジュール調整が必要になるため、経験のある担当者へ相談することで手続きを進めやすくなる場合があります。
また、債務整理を伴う場合には、必要に応じて弁護士などの専門家へ相談することも検討しましょう。おすすめの任意売却業者について、関連記事も参考にしてみてください→任意売却おすすめ業者はどこ?不動産査定会社の選び方も解説

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    更新日 : 2025年11月07日
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