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任意売却に費用はいくら必要?引越し代や税金はかかる?

任意売却は手持ちの資金がなくとも不動産を売却できる方法です。

また滞納しているローンや税金、任意売却でかかる仲介手数料といった費用を不動産の売却金額から控除できるため、現時点でお金の問題を抱えている場合には検討してみてもよい売却方法といえます。

住宅ローンを滞納したままにすると、競売という形で不動産を売却することにもなり得て、任意売却よりも支払う費用がかさみます。

なるべく損をせずに不動産売却をする場合、まずは任意売却を検討してみるとよいでしょう。

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任意売却は費用0円で始められる

任意売却は、住宅ローンの返済が難しい状況で選択される一つの方法です。そのため、資金に問題があることを想定したうえでの不動産の売却方法ともいえます。

この状況下では、さまざまな手数料の支払いが難しいと考えられます。そのため、任意売却を依頼する際には費用がかかりません。

具体的に説明すると、任意売却にかかるさまざまな費用は、不動産の売買契約が締結した後に売却代金から支払われるのが一般的です。

現時点で手持ちの資金がなくても始められるため、住宅ローンの返済が難しいために任意売却を検討している場合は専門家や専門機関などに早期の相談を検討してみてください。

<専門機関>
任意売却のご相談は一般社団法人 全日本任意売却支援協会へ

任意売却にかかる費用

任意売却時には下記のような費用がかかりますが、基本的には物件の売却代金から控除されます。

  • 売却時の仲介手数料
  • 抵当権抹消費用・手続き依頼した司法書士への報酬
  • 売買契約書に貼付する印紙代
  • 滞納中の各種税金の一部または全額
  • 滞納している管理費・修繕積立費※
  • 引越し代※

※これらの費用は例外もあるため、必ず控除できるとは限りません。

任意売却による不動産の売却代金のうち、手元に残る金額を算出する場合、これらの費用を把握しておくことは大切です。任意売却を検討している場合、売却にかかる各費用をおさえておくとよいでしょう。

売却時の仲介手数料

不動産売却には、基本的に不動産会社に仲介手数料を支払う必要があります。任意売却であっても同様に、不動産会社に仲介手数料を支払うのが一般的です。

仲介手数料は依頼する不動産会社が決定するため、一概に「〇〇円」とは言い切れません。

とはいえ、不動産会社が受領できる仲介手数料の上限額は下記のように定められているため、上限を超えた仲介手数料を請求されることはありません。

取引価格 仲介手数料の上限
200万円以下 取引物件価格(税抜)×5%+消費税
200万円超~400万円以下 取引物件価格(税抜)×4%+2万円+消費税
400万円超 取引物件価格(税抜)×3%+6万円+消費税

参考:国土交通省「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」

たとえば、売買価格が税抜500万円の物件売却を上記の式に当てはめると、「500万円×3%+6万円+(500万円×10%)=71万円」が仲介手数料の上限となります。

任意売却における仲介手数料の目安を知りたい場合、上限を算出する計算式を活用してみてください。

抵当権抹消費用・手続き依頼した司法書士への報酬

住宅ローンを利用して不動産を購入する場合、抵当権が設定されます。抵当権が設定されている間は不動産を自由に売却できないため、任意売却をするには借入先の金融機関に相談したうえで抵当権を抹消しなければなりません。

抵当権の抹消にはさまざまな手続きが必要であるため、司法書士に依頼して行なってもらうのが一般的です。そのため任意売却には、抵当権抹消費用や手続き依頼した司法書士への報酬もかかるのです。

抵当権を抹消する際には、不動産1個につき1,000円の登録免許税がかかります。また報酬は依頼する司法書士によって異なりますが、16,000円程度となるのが一般的です。

※抵当権とは、住宅ローンの借入により不動産を購入する場合、その不動産を金融機関が担保にする権利のこと。

売買契約書に貼付する印紙代

任意売却に限らず、不動産を売却する際は売買契約書が作成されます。不動産売買契約書には印紙を貼付する必要があり、その印紙にかかる印紙税の支払いも必要です。

印紙税の金額は、不動産の契約金額によって下記のように変動します。

契約金額 印紙税(軽減税率)※令和6年3月31日までに作成したもの
100万円を超え 500万円以下 1,000円
500万円を超え1,000万円以下 5,000円
1,000万円を超え5,000万円以下 1万円
5,000万円を超え1億円以下 3万円

参考:国税庁「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置」

上記の表を踏まえると、契約金額が700万円の場合は5,000円の印紙税がかかります。

滞納中の各種税金

不動産にかかわる税金を滞納している場合、任意売却をするにはその金額の一部または全額の支払いが必要なこともあります。

たとえば、固定資産税や都市計画税といった各種税金を滞納している場合、任意売却による売却金額から滞納している税金が支払われます。

ただし、滞納している各種税金の支払いが行なわれるのは、債権者の同意が得られる場合です。債権者からの同意を得られない場合は、売却金額から税金の支払いが行なわれず、自身で納税が必要です。

滞納している管理費・修繕積立費【マンションの場合】

マンションを任意売却する場合、滞納している管理費や修繕積立金の支払いも必要になるケースもあります。

管理費や修繕積立金を滞納したまま任意売却すると、不動産の買主がこれらの債務を負ってしまうため、このケースを避けるのを目的として支払いが求められます。

とはいえ、管理費や修繕積立金の支払いが認められるのは、債権者の同意が得られる場合です。債権者からの同意を得られない場合は売却金額から支払いが行なわれず、ほかの方法での支払いが必要となります。

引越し代

不動産を売却すると、基本的には次の住居に引っ越すことになります。債権者との交渉次第では、引越しにかかる費用を不動産の売却代金から捻出してもらえることも想定されます。

とはいえ滞納分の税金や管理費などと同様に、債権者の同意が得られなければ、引越し代を捻出してもらえません。

任意売却後に引越しをする場合、債権者と話し合う際に引越し代の捻出についても相談しておくようにしましょう。

【その他】特別なケースで発生する費用

上記で説明したものとは別に、任意売却時には特別なケースで発生する費用もあります。

該当するケース かかる費用
不動産の差押えがされている場合 差押解除費用
登記識別情報を紛失した場合 司法書士への作成依頼

差押えがされている不動産を売却するには、債権者に差押え登記を解除してもらう必要があります。この手続きなどで費用が発生した際には、差押解除費用の支払いが必要となります。

また登記識別情報を紛失した場合、第三者によるなりすましを防ぐ目的で、登記上の所有者と売主が同人物である本人確認が必要です。

本人確認にはさまざまな手続きが必要になるため、司法書士に依頼するケースもあります。この場合は司法書士に作成依頼をして、報酬を支払わなければなりません。

報酬は司法書士によって異なりますが、5万円〜10万円程度が一般的であり、不動産の売却代金から控除してもらうのは基本的にできません。

任意売却時に税金はかかる?

不動産を売却する場合、譲渡所得税や登録免許税、印紙税といった税金がかかります。任意売却だと印紙税の支払いは必要ですが、譲渡所得税や登録免許税については免除または買主負担とならないのが一般的です。

ここからは一般的に不動産売却時に発生する「譲渡所得税」「登録免許税」について解説していきます。

原則「譲渡所得税はかからない」

前提として、不動産売却における譲渡所得税は、物件売却によって生じた利益にかかるものです。利益が出なければ、任意売却で譲渡所得税はかかりません。

任意売却においては、不動産の売却金額は住宅ローンの残債に金額が当てられるため、利益が出る場合のほうが少ないと考えられます。

また物件売却により利益が出たとしても、国税庁が実施する「マイホームを売った時の特例」が適用されることで、利益がなくなり譲渡所得税が発生しないケースもあります。

さらに所得税法9条「強制換価等による特例」が認められれば、譲渡所得税が非課税と見なされるケースもあります。

つまり任意売却においては、譲渡所得税がかかることは多くないといえるのです。

利益が出た場合は通常通り譲渡所得税がかかる

前述したとおり、不動産売却における譲渡所得税は、物件売却によって生じた利益にかかります。基本的には任意売却の際に譲渡所得税がかかりませんが、売却により利益が出た場合は税が課されます。

任意売却において譲渡所得税がかかるか否かについて、一般的には司法書士に相談が可能です。任意売却の際に司法書士へ依頼する際は、譲渡所得税がかかるのかを相談してみるとよいでしょう。

所有権移転の登録免許税は買主負担が一般的

不動産売却における登録免許税とは、物件を購入した際に必要な登記にかかる税金のことです。

任意売却の際には、その物件の所有権が売主から買主に移転します。所有権移転の際には「所有権移転登記」が必要になり、登録免許税が課されます。

買主と売主のどちらが登録免許税を支払うのかは、法律などで厳密に定められていません。とはいえ物件の所有者となる買主が登録免除税を納めるのが一般的です。

そのため任意売却における登録免許税は、売主負担とならないケースが多いといえます。

不動産会社からの「販売促進費」等の請求に注意

宅地建物取引業法」という法律では、不動産会社は仲介手数料以外の報酬を売主から受け取ってはならないと定められています。そのため、仲介手数料以外の請求をする不動産会社は悪徳業者である可能性があります。

悪徳な不動産会社が請求し得る費用には、下記が挙げられます。

  • 事務手数料
  • 販売促進費
  • 任意売却における相談費用
  • 任意売却における申請費

これらの請求は、任意売却での不動産取引では法律で認められていません。

このような請求があった際には、ただちに任意売却の契約を中止するようにしてください。また不動産会社とのトラブルが起きた場合には、弁護士に相談することも視野に入れておきましょう。

競売になると任意売却よりも費用負担が多くなる

任意売却と比較されがちな方法に「競売」があります。

任意売却における競売とは、債権者が残債を回収するために、債務者が所有する不動産を処分する方法のことです。

債務者が返済困難となった場合に債権者が残債を回収する目的があるのは、任意売却と競売に共通する点です。しかし、任意売却ではかからない費用の支払いが必要なうえに、売却価格が安価になりやすい点に違いがあります。

競売になった際にかかる費用には下記が挙げられます。

  • 申立手数料:担保権1件につき4,000円
  • 予納金:請求債権額(※)によって変動する
  • 登録免許税:請求債権額の4/1000
  • 郵便切手代

※請求債権額とは、住宅ローンの貸付金や利息、遅延損害金などの合計金額のこと

任意売却では登録免許税が基本的にかかりませんが、競売では支払いが必要です。また申立手数料や予納金といった費用もかかります。

予納金は請求債権額によって下記のように変動します。

請求債権額 予納金
2,000万円未満 80万円
2,000万円〜5,000万円未満 100万円
5,000万円〜1億円未満 150万円
1億円以上 200万円

参考:裁判所「不動産競売事件(担保不動産競売,強制競売,形式的競売)の申立てについて

競売にかかった費用は債権者によって売却代金から差し引かれるため、残債に充てられる金額は任意売却よりも少なくなります。

そのため債務者にとって、競売は任意売却よりも「売却後の金銭的な負担が増えやすい方法」であるともいえます。

ローンの返済が厳しく不動産売却を検討している場合、基本的には競売ではなく任意売却を検討してみるとよいでしょう。

まとめ

任意売却は現在手持ちのお金がなくても行なえる物件売却の方法です。物件の売却金額は残債の返済に充てられるため、住宅ローンの返済が厳しい場合は視野に入れてみてもよい方法でしょう。

ただし不動産会社への仲介手数料や滞納している税金は、物件の売却金額から差し引かれるため、売却金額がそのまま手元に残るわけではありません。

任意売却を検討する場合、売却が完了するまでにどの程度の費用がかかるのかを事前に調べておくとよいでしょう。

任意売却に関わるQ&A

任意売却専門会社への相談費用も無料?

A. 任意売却の相談費用はかかりません。

任意売却にかかる相談費用は、債権者が支払います。そのため売主が相談費用を支払うことはありません。

相談自体は無料であるため、任意売却を検討している場合は専門会社に相談してみるのもよいでしょう。

任意売却時の引越し費用はどのくらい出してもらえる?

A. 出してもらえる引越し費用は債権者との相談によります。

任意売却による引越し費用は、債権者が支払う義務ではありません。場合によっては引越し費用を負担してもらえないケースも考えられます。

とはいえ任意売却はローンの返済が難しい場合に選択される方法です。この前提は債権者も理解しているため、引越し費用を捻出できないことを説明すれば全額または一部を負担してもらえることも考えられます。

任意売却で買主が負担する費用は何?

A. 任意売却で買主が負担する費用には下記が挙げられます。

  • 不動産の購入費用
  • 所有権移転の登録免許税
  • 不動産会社への仲介手数料
  • 売主が滞納している管理費や修繕積立金(買主が負担しない場合)

不動産の購入費用や所有権移転の登録免許税、不動産会社への仲介手数料は、基本的に飼い主が負担するものです。

売主が滞納している管理費や修繕積立金については、売主が負担するのが一般的です。しかし場合によっては売主が負担しないこともあり、その場合は物件の買主が支払うことになります。

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更新日 : 2024年05月23日
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