任意売却とは、住宅ローンの返済が困難になった際に、金融機関の同意を得て不動産を売却する方法です。経済的余裕がない場合の選択肢であるため、「任意売却を検討しているけれど、手数料が払えるか心配」という方もいるでしょう。
任意売却では不動産会社に支払う仲介手数料のほか、下記のような費用が必要となります。しかし、これらの費用については、売却代金から精算できるケースが一般的です。そのため、まとまった現金を用意できない状況でも、任意売却を進められる場合があります。配分方法は債権者との協議によって異なるため、事前確認が重要です。
- 売却時の仲介手数料:「取引物件価格(税抜)×物件価格に応じた料率(5.5~3.3%)」が上限
- 抵当権抹消費用・手続き依頼した司法書士への報酬:1~3万円程度
- 売買契約書に貼付する印紙代:1,000円~3万円
- 滞納中の各種税金(固定資産税や都市計画税など)
- 滞納している管理費・修繕積立費
- 引越し代
ただし、下記のような場合は売却前に費用が発生する可能性があります。
- 税金滞納による差押えがある場合、役所に差押えを解除してもらうための費用が発生します。これは原則として、売却代金の中から配分して支払われます。
- 登記識別情報を紛失した場合:司法書士費用5~10万円
差押えの状況や債権者との調整内容によっては、売却前に一部費用の支払いを求められる場合があります。実際の対応はケースごとの差が大きいため、任意売却に詳しい不動産会社や司法書士へ早めに相談することが重要です。
任意売却であっても、譲渡所得が発生した場合には税金が課される可能性があります。ただし、居住用財産の3,000万円特別控除などの特例が適用できるケースも多く、結果として税負担が生じない事例も少なくありません。適用可否は個別事情によって異なるため、詳細は税理士へ確認しましょう。
仮に売却益が出たとしても、マイホーム売却の特別控除(3,000万円まで)を利用できるため、譲渡所得税が発生するのは稀といえます。また、抵当権抹消登記にかかる登録免許税については、実務上は売主側が負担するケースが一般的です。一方、所有権移転登記に関する登録免許税は、買主が負担するケースが多く見られます。個人が自己居住用不動産を売却する場合、土地部分には消費税は課税されません。ただし、事業用不動産の建物部分などは課税対象となる場合があります。さらに、売主が課税事業者である場合は課税対象となることがあります。
なお、住宅ローンを滞納したままにすると、債権者の判断で、競売によって不動産を売却される可能性があります。競売では、市場での一般的な売却と比較して売却価格が低くなる傾向があります。実務上は、市場価格より低い水準で落札されるケースも少なくありません。一方で、物件状況や入札状況によって結果は変動します。住宅ローンの返済が難しくなった場合は、競売開始後よりも前の段階で、任意売却を含めた選択肢について早めに相談することが重要です。状況によっては、借り換えや返済条件の変更など別の解決策が取られるケースもあります。
実際に任意売却のご相談では、「手元にお金がないので売却自体ができないと思っていた」という声も少なくありません。任意売却では売却代金の配分について債権者との調整が必要となるため、すべての費用が必ず売却代金から支払えるわけではない点には注意が必要です。
また、マンションの場合は、滞納管理費や修繕積立金の扱いが売却条件に影響するケースもあります。実務上は、金融機関・管理会社・買主との調整が必要になることも多く、早い段階で状況整理を進めることが重要です。
本記事では、任意売却にかかる費用や税金、不動産会社を選ぶ際の注意点、競売との費用の違いなどを解説していきます。
任意売却は売却代金から精算されるケースが多い
任意売却は、住宅ローンの返済継続が難しくなった場合に検討される売却方法の一つです。実務上も、資金面に不安を抱えた状態で相談されるケースが多く、売却費用の取り扱いについて不安を感じる方は少なくありません。
この状況下では、さまざまな手数料の支払いが難しいと考えられます。任意売却では、仲介手数料や登記関連費用などを売却代金から精算できるケースが多いため、まとまった現金を事前に用意せず進められる場合があります。
具体的に説明すると、任意売却にかかるさまざまな費用は、不動産の売買契約を締結した後に売却代金から支払われるのが一般的です。
現時点で手持ちの資金がなくても始められるため、住宅ローンの返済に不安がある場合は、任意売却に対応している不動産会社や、弁護士・司法書士などの専門家へ早めに相談することが重要です。状況によっては、任意売却以外の選択肢が提案されるケースもあります。
任意売却にかかる費用
任意売却時には下記のような費用がかかりますが、基本的には物件の売却代金から控除されます。
- 売却時の仲介手数料:「取引物件価格(税抜)×物件価格に応じた料率(5.5~3.3%)」が上限
- 抵当権抹消費用・手続き依頼した司法書士への報酬:1~3万円程度
- 売買契約書に貼付する印紙代:1,000円~3万円
- 滞納中の各種税金(固定資産税や都市計画税など)
- 滞納している管理費・修繕積立費※
- 引越し代※
※これらの費用は例外もあるため、必ず控除できるとは限りません。
任意売却による不動産の売却代金のうち、手元に残る金額を算出する場合、これらの費用を把握しておくことは大切です。任意売却を検討している場合、売却にかかる各費用をおさえておくとよいでしょう。
売却時の仲介手数料
不動産売却には、基本的に不動産会社に仲介手数料を支払う必要があります。任意売却であっても同様に、不動産会社に仲介手数料を支払うのが一般的です。
仲介手数料は宅地建物取引業法で上限額が定められており、実際の金額は売買価格や依頼内容によって異なります。
とはいえ、不動産会社が受領できる仲介手数料の上限額は下記のように定められているため、上限を超えた仲介手数料を請求されることはありません。
| 取引価格 |
仲介手数料の上限 |
| 200万円以下 |
取引物件価格(税抜)×5.5% |
| 200万円超~400万円以下 |
取引物件価格(税抜)×4.4% |
| 400万円超 |
取引物件価格(税抜)×3.3% |
参考:国土交通省「不動産取引の仲介手数料について」
例えば、1,000万円の物件売却の場合、仲介手数料の上限額は下記のようになります。
200万円 × 5.5% + 200万円 × 4.4% + 600万円 × 3.3%=上限39.6万円(税込)
なお、2024年7月に改正された「低廉な空家等の媒介特例」により、800万円以下の宅地建物については、仲介手数料の上限を超える報酬(最大33万円まで)を受領することが認められています。そのため、計算式にあてはめると仲介手数料の上限が安くても、実際は33万円の仲介手数料が発生することも考えられます。
例えば、400万円の物件売却の場合、仲介手数料の上限額は下記のようになります。
200万円 × 5.5% + 200万円 × 4.4%=上限19.8万円(税込)
しかし、800万円以下の宅地物件であるため、実際の仲介手数料の上限は33万円となります。
抵当権抹消費用・手続き依頼した司法書士への報酬
住宅ローンを利用して不動産を購入する場合、抵当権が設定されます。抵当権が設定されている間は不動産を自由に売却できないため、任意売却をするには借入先の金融機関に相談したうえで抵当権を抹消しなければなりません。
抵当権の抹消にはさまざまな手続きが必要であるため、司法書士に依頼して行ってもらうのが一般的です。そのため任意売却には、抵当権抹消費用や手続き依頼した司法書士への報酬もかかるのです。
抵当権を抹消する際に発生する主な費用は、下記のとおりです。
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登録免許税
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不動産1件につき1,000円
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登記情報代
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事前調査費用1件335円、登記官押印後の証明書1件480~600円
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郵送料
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郵送料、返送料など
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司法書士費用
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5,000~15,000円程度
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※抵当権とは、住宅ローンの借入により不動産を購入する場合、その不動産を金融機関が担保にする権利のこと。
売買契約書に貼付する印紙代
任意売却に限らず、不動産を売却する際は売買契約書が作成されます。不動産売買契約書は印紙税の課税文書に該当するため、契約金額に応じた印紙税が発生します。
印紙税の金額は、不動産の契約金額によって下記のように変動します。
| 契約金額 |
印紙税(軽減税率)※軽減税率の適用期限は改正される可能性があるため、最新情報は国税庁などで確認が必要です。 |
| 100万円を超え 500万円以下 |
1,000円 |
| 500万円を超え1,000万円以下 |
5,000円 |
| 1,000万円を超え5,000万円以下 |
1万円 |
| 5,000万円を超え1億円以下 |
3万円 |
参考:国税庁「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置」
上記の表を踏まえると、契約金額が700万円の場合は5,000円の印紙税がかかります。
なお、任意売却を検討している方の中には、数千円〜数万円程度の印紙代を用意することが難しいケースも少なくありません。
そうした場合は、不動産会社が一時的に印紙代を立て替え、決済時に売却代金から精算する、あるいは引越し費用の中から相殺するといった柔軟な対応をとるケースも多いです。
対応方法は不動産会社や案件ごとに異なりますが、「手元に現金がないから任意売却はできない」とあきらめる必要はありません。費用面に不安がある場合は、早めに不動産会社へ相談してみるとよいでしょう。
滞納中の各種税金
固定資産税や都市計画税などを滞納している場合、売却代金から一部配分を求められるケースがあります。
例えば、固定資産税や都市計画税といった各種税金を滞納している場合、任意売却による売却金額から滞納している税金が支払われます。
ただし、滞納している各種税金の支払いが行われるのは、債権者の同意が得られる場合です。債権者からの同意を得られない場合は、売却金額から税金の支払いが行われず、自身で納税が必要です。
滞納している管理費・修繕積立費【マンションの場合】
マンションを任意売却する場合、滞納している管理費や修繕積立金の支払いが必要になるケースもあります。
管理費や修繕積立金を滞納したまま任意売却すると、買主との条件調整や売却手続きに影響することがあるため、売却時に精算方法が協議されるケースもあります。
とはいえ、管理費や修繕積立金の支払いが認められるのは、債権者の同意が得られる場合です。債権者からの同意を得られない場合は売却金額から支払いが行われず、ほかの方法での支払いが必要となります。
引越し代
不動産を売却すると、基本的には次の住居に引っ越すことになります。任意売却では、債権者との協議によって、引越し費用の一部配分が認められるケースもあります。
とはいえ滞納分の税金や管理費などと同様に、債権者の同意が得られなければ、引越し代を捻出してもらえません。
任意売却後に引越しをする場合、債権者と話し合う際に引越し代の捻出についても相談しておくようにしましょう。
【その他】特別なケースで発生する費用
上記で説明したものとは別に、任意売却時には特別なケースで発生する費用もあります。
| 該当するケース |
かかる費用 |
| 不動産の差押えがされている場合 |
差押解除費用 |
| 登記識別情報を紛失した場合 |
司法書士への作成依頼 |
差押えがされている不動産を売却するには、債権者に差押え登記を解除してもらう必要があります。この手続きなどで費用が発生した際には、差押解除費用の支払いが必要となります。
また登記識別情報を紛失した場合、第三者によるなりすましを防ぐ目的で、登記上の所有者と売主が同人物である本人確認が必要です。
本人確認にはさまざまな手続きが必要になるため、司法書士に依頼するケースもあります。この場合は司法書士に作成依頼をして、報酬を支払わなければなりません。
報酬は司法書士によって異なりますが、5万円〜10万円程度が一般的です。本人確認情報の作成費用については、売却代金からの配分対象とならず、事前負担となるケースもあります。
実際の任意売却では、「どの費用が売却代金から支払えるのか」が相談時によく話題になります。費用配分は金融機関ごとに考え方が異なるため、同じような状況でも認められる範囲に差が出るケースがあります。
また、マンションの管理費滞納や税金の差押えがある場合は、通常の売却より調整事項が増える傾向があります。実務上は、不動産会社だけでなく、必要に応じて司法書士や弁護士と連携しながら進めるケースも少なくありません。
任意売却時に税金はかかる?
不動産取引では譲渡所得税や登録免許税、印紙税といった税金が発生しますが、任意売却では印紙税以外の税金が発生するケースは稀です。
- 譲渡所得税:不動産売却時の利益に対して発生するが、控除によって税金が発生しないケースがほとんどです。
- 登録免許税:買主側が負担するのが一般的です。
- 消費税:個人の不動産売買では発生しません。
それぞれの税金について詳しく解説していきます。
利益が出なければ、任意売却で「譲渡所得税はかからない」
前提として、不動産売却における譲渡所得税は、物件売却によって生じた利益にかかるものです。利益が出なければ、任意売却で譲渡所得税はかかりません。
任意売却では、住宅ローン残債が売却価格を上回っている状態で進められるケースが多いため、譲渡所得(売却益)が発生しないことも少なくありません。
また物件売却により利益が出たとしても、国税庁が実施する「マイホームを売った時の特例」が適用されることで最高3,000万円まで控除ができるため、譲渡所得税の負担が生じないケースもあります。
さらに所得税法9条「強制換価等による特例」が適用される可能性もあります。ただし、適用可否は個別事情によって異なるため、詳細は税理士などの専門家へ確認しましょう。
実務上は、任意売却で譲渡所得税が発生しないケースも多く見られます。ただし、取得費や売却条件によっては課税対象となる場合もあるため、個別確認が重要です。
利益が出た場合は通常通り譲渡所得税がかかる
前述したとおり、不動産売却における譲渡所得税は、物件売却によって生じた利益にかかります。基本的には任意売却の際は譲渡所得税がかかりませんが、売却により大きな利益が出た場合は税が課されます。
任意売却において譲渡所得税の計算や特例適用の可否については、税理士へ相談するのが一般的です。任意売却の際に司法書士へ依頼する際は、譲渡所得税がかかるのかを相談してみるとよいでしょう。
所有権移転の登録免許税は買主負担が一般的
不動産売却における登録免許税とは、物件を購入した際に必要な登記にかかる税金のことです。
任意売却の際には、その物件の所有権が売主から買主に移転します。所有権移転の際には「所有権移転登記」が必要になり、登録免許税が課されます。
買主と売主のどちらが登録免許税を支払うのかは、法律などで厳密に定められていません。とはいえ、所有権移転登記にかかる登録免許税は、実務上は買主が負担するケースが一般的です。
そのため任意売却における登録免許税は、売主負担とならないケースが多いといえます。
個人の不動産売買では消費税が発生しない
消費税とは、商品やサービスの購入時に消費者が支払い、事業者が国に納める間接税です。不動産取引においては、「建物部分」に対して消費税が発生しますが、これは売主が課税事業者(法人や個人事業主など)である場合に限られます。
売主が課税事業者ではない個人であれば、建物であっても消費税は発生しません。そのため、個人所有の不動産を手放すケースが多い「任意売却」では、結果として消費税が課税されない事例が多く見られます。
なお、土地の売買については、売主が法人・個人を問わず、もともと非課税とされています。
実際のご相談では、「任意売却でも税金はかかるのか」という質問をいただくことがあります。
任意売却だから特別に税金が免除されるわけではありませんが、譲渡損失や各種特例の適用によって、結果として税負担が発生しないケースは少なくありません。
また、譲渡所得税の計算では「取得費が不明」「相続した不動産で購入時資料が残っていない」といったケースも珍しくありません。実務上は、税理士へ事前相談しながら進めるケースも多く見られます。
不動産会社からの「販売促進費」等の請求に注意
「宅地建物取引業法」という法律では、不動産会社は仲介手数料以外の報酬を売主から受け取ってはならないと定められています。請求内容によっては法的根拠や実費精算に基づくケースもあるため、費用名目や契約内容を事前に確認することが重要です。不明点がある場合は、説明を求めたうえで慎重に判断しましょう。
不動産会社が請求し得る費用には、下記が挙げられます。
- 事務手数料
- 販売促進費
- 任意売却における相談費用
- 任意売却における申請費
名目や契約内容によっては、宅地建物取引業法上の報酬規制との関係が問題となる場合があります。請求内容について疑問がある場合は、契約前に詳細な説明を受けることが大切です。
想定していない費用請求があった場合は、契約内容や請求根拠を十分確認したうえで、必要に応じて第三者へ相談することも検討しましょう。また不動産会社とのトラブルが起きた場合には、弁護士に相談することも視野に入れておきましょう。
任意売却と競売の違いとは?費用や売却価格の傾向を比較
任意売却とよく比較されるのが「競売」です。競売とは、住宅ローンなどの返済が滞った場合に、債権者の申立てに基づき、裁判所を通じて不動産を売却する手続きのことです。それぞれの特徴と違いは下記のとおりです。
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任意売却
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競売
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売却方法
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債権者の同意を得て売却するため、所有者が主体的に進められる
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裁判所を通じて売却手続きが進められるため、売却条件の調整範囲は限定される傾向があります。
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売却価格
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市場価格に近い価格で売れることが多い
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競売は一般的な仲介売却と比べて、売却価格が低くなる傾向がある
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プライバシー
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周囲に知られにくい
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裁判所の公告により周囲に知られる可能性が高い
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残債の支払い
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売却後の残債について、債権者と返済条件を協議できる場合がある
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一括返却もしくは分割払い
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費用負担
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売却価格から支払い可能
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売却価格から支払い可能だが、裁判所への申立費用や予納金が発生する分、負担が大きい
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競売は売却価格が安くなりやすく、売却後に残債が残るリスクが高い傾向にあります。また競売の場合、任意売却で発生しない申立手数料や予納金、登録免許税などの費用が発生するため、費用負担も大きいといえます。
競売になった際にかかる費用には下記が挙げられます。
- 申立手数料:担保権1件につき4,000円
- 予納金:請求債権額(※)によって変動する
- 登録免許税:請求債権額の4/1000
- 郵便切手代
※請求債権額とは、住宅ローンの貸付金や利息、遅延損害金などの合計金額のこと
予納金は請求債権額によって下記のように変動します。
| 請求債権額 |
予納金 |
| 2,000万円未満 |
80万円 |
| 2,000万円〜5,000万円未満 |
100万円 |
| 5,000万円〜1億円未満 |
150万円 |
| 1億円以上 |
200万円 |
参考:裁判所「不動産競売事件(担保不動産競売,強制競売,形式的競売)の申立てについて」
競売では手続費用が売却代金から配当調整されるため、結果として残債の圧縮幅に影響するケースもあります。
そのため債務者にとって、売却価格や残債状況によっては、競売後も返済負担が残るケースがあります。
ローンの返済が厳しく不動産売却を検討している場合、任意売却・競売・返済条件変更など複数の選択肢があります。状況に応じて、不動産会社や弁護士などへ相談しながら比較検討することが重要です。
実際のご相談では、「競売開始通知が届いてから相談した」というケースも少なくありません。もっとも、競売開始後であっても、開札前であれば任意売却へ切り替えられるケースがあります。
一方で、任意売却は必ず成立するわけではなく、債権者の同意や売却活動の進み方によって結果が変わる点には注意が必要です。
実務上は、「どちらが絶対に有利」というよりも、残債額・滞納状況・売却時期などを踏まえて検討されるケースが多く見られます。
まとめ
任意売却は、住宅ローンの返済が難しくなった場合に検討される不動産売却方法の一つです。実務上は、売却にかかる費用を売却代金から精算できるケースも多く、手元資金が少ない状態で進められる場合もあります。任意売却では、売却代金を住宅ローン残債の返済へ充当する形で進められるのが一般的です。返済継続が難しい場合には、競売以外の選択肢として検討されるケースもあります。
仲介手数料や登記関連費用、滞納税金などが売却代金から配分・精算されるケースもあるため、売却価格の全額を自由に使えるわけではありません。
任意売却では、債権者との協議内容によって費用負担や配分方法が異なる場合があります。実際に検討する際は、必要費用や売却後の返済条件について、事前に不動産会社や専門士業へ確認しておくことが重要です。
実際のご相談では、「売却できれば住宅ローンがすべてなくなると思っていた」というケースも少なくありません。
しかし、任意売却はあくまで「売却代金を残債返済へ充当する手続き」であり、売却後もローン残高が残るケースがあります。
そのため実務上は、「いくらで売れるか」だけでなく、「売却後にどの程度の返済負担が残るか」まで含めて確認することが重要です。
任意売却に関わるQ&A
任意売却専門会社への相談費用も無料?
A. 任意売却の相談を無料で受け付けている不動産会社も多く見られます。
任意売却では、仲介手数料など一定の費用が売却代金から配分されるケースがあります。ただし、相談料の有無や費用体系は不動産会社によって異なります。
任意売却時の引越し費用はどのくらい出してもらえる?
A. 引越し費用の配分が認められるかは、債権者との協議内容によって異なります。
任意売却による引越し費用は、債権者が支払う義務ではありません。場合によっては引越し費用を負担してもらえないケースも考えられます。
とはいえ任意売却はローンの返済が難しい場合に選択される方法です。この前提は債権者も理解しているため、引越し費用を捻出できないことを説明すれば一部を負担してもらえることも考えられます。
任意売却で買主が負担する費用は何?
A. 任意売却で買主が負担する費用には下記が挙げられます。
- 不動産の購入費用
- 所有権移転の登録免許税
- 不動産会社への仲介手数料
- マンション管理費や修繕積立金の滞納分(契約条件による)
不動産の購入費用や所有権移転の登録免許税、不動産会社への仲介手数料は、基本的に買主が負担するものです。
売主が滞納している管理費や修繕積立金については、売主が負担するのが一般的です。滞納分の取り扱いは契約条件や売却時の調整内容によって異なり、買主側で精算対応するケースもあります。