不動産の任意売却には、さまざまな書類が必要です。各書類を事前に用意しておけば、その分スムーズに任意売却の手続きを進められます。
任意売却を検討している場合、どのような書類を用意するのかを依頼先の不動産会社に相談しながら、必要書類を準備しておくとよいでしょう。
不動産の任意売却には、さまざまな書類が必要です。各書類を事前に用意しておけば、その分スムーズに任意売却の手続きを進められます。
任意売却を検討している場合、どのような書類を用意するのかを依頼先の不動産会社に相談しながら、必要書類を準備しておくとよいでしょう。
任意売却の際には不動産会社や専門業者への依頼が必要で、必要書類は依頼先となる不動産会社や専門業者の指示にしたがって用意することとなります。
なお、不動産会社や専門業者に任意売却の相談をする前に下記の書類を準備しておくと手続きなどがスムーズに行なえます。
■相談前に自分で準備しておくと良い書類一覧
必要書類 | 具体例 |
---|---|
不動産購入時に受け取った書類 | ・登記識別情報通知書(登記済権利証) ・建築確認済証や検査済証 ・地積測量図や境界確認書 ・固定資産評価証明書(土地と建物でそれぞれ必要) ・間取図 ■マンションを任意売却する場合 ・管理費と修繕積立金の明細書 ・管理規約(使用細則) ・重要事項調査報告書 |
債権者(ローンの借入先)からの通知書類 | ・催告書や督促状 ・ローン残高証明書(融資額残高証明書)や償還予定表 ・金銭消費貸借契約書やローン契約書 ・代位弁済通知書や差押・競売開始決定通知書(滞納により手元に届いている場合) |
本人確認書類 | ・運転免許証 ・健康保険証 ・マイナンバーカード など ※書類の捺印が必要になるため、印鑑も必要です。 |
提出が求められる必要書類は、不動産会社や専門業者によって異なります。また借入先の金融機関によって郵送される通知書類も異なるため、上記すべての必要書類を用意できない場合もあるでしょう。
どの書類の提出が求められるかは相談するまでわからないため、任意売却の相談をする際は可能な限り書類を用意しておくとよいでしょう。
任意売却をするには、不動産会社や専門業者と媒介契約を締結する必要があります。任意売却の媒介契約時には、売主自身で下記の書類の用意が必要です。
■媒介契約時に売主が用意する書類
印鑑証明書と住民票に関しては、売却する物件の所有者が複数いる場合、人数分の書類の用意が必要です。
なお、媒介契約の際には、依頼先の不動産会社などが準備する書類もあります。
■不動産会社などが準備する書類
これらの書類は依頼先が用意するため、売主が用意する必要はありません。ただし売主の押印が必要なため、媒介契約時には印鑑も持参するようにしましょう。
媒介契約を締結した後、任意売却の手続きや決済時に必要な書類もあります。これらの必要書類は売主自身が用意するものと、依頼先の不動産会社などが用意するものの2種類に分けられます。
■売主が用意する書類
これらの必要書類は売主が用意するものであるため、任意売却の媒介契約が締結した後から決済するまでに提出できるようにしておきましょう。
任意売却の手続きや決済までに依頼先の不動産会社などが準備する書類は、以下のとおりです。
■不動産会社などが準備する書類
なお、これらの書類は売主が用意する必要はありませんが、押印が必須です。任意売却を依頼した不動産会社などに書類を準備してもらった後は、該当箇所への押印を忘れないようにしておきましょう。
任意売却をするにあたって、売主が記入・捺印をする必要書類もあります。
これらの書類は基本的に依頼先の不動産会社などが準備するものです。準備自体は不要ですが、各書類に合わせた記入や捺印が必要なため、事前に確認しておくとよいでしょう。
売却する不動産に抵当権がついている場合、任意売却時には抵当権を抹消する手続きが必要です。抵当権抹消応諾申請書は、その手続きで必要な書類です。
出典:住宅金融支援機構「任意売却パンフレット」
抵当権抹消応諾申請書では、売主の氏名や住所、電話番号の記入とともに押印が必要です。記入や押印がなければ手続きできないため、任意売却の際には忘れずに対応しましょう。
配分案とは、任意売却による売却代金を誰にどの程度配分するかを明示するための書類です。配分表と呼ばれることもあります。
不動産会社に任意売却を依頼すると、配分案を作成してもらえるのが一般的です。そのため、書類の文面などは不動産会社によって異なります。
とはいえ、下記の内容は配分案に記載が必要です。
参考元:一般社団法人 「全国住宅ローン救済・任意売却支援協会「配分案(配分表)とは」
配分案にも氏名や押印が必須です。必ず対応するように覚えておきましょう。
任意売却による返済額が住宅ローンの残債に満たない場合、売却後に残りの金額を支払う必要があります。その場合、現在の生活状況からどの程度の金額を返済できるのかなどを確認するために、生活状況申出書の提出が求められます。
■生活状況申出書の例
出典:浜松市公式サイト「生活・財産収支状況申出書」
生活状況申出書には、氏名や押印だけでなく、支出や収入などの情報の記入も必要です。記入漏れがあると再度提出を求められるため、生活状況申出書には必要事項をすべて埋めるようにしましょう。
任意売却にかかわらず、不動産売却の際には物件の調査が必須です。その物件調査時に用いられるのが実査チェックシートです。
出典:住宅金融支援機構「任意売却パンフレット」
実査チェックシートには、売主自身が記入や押印をする必要は基本的にありません。調査のために不動産会社の担当者から物件に関する質問が行なわれる場合もあるため、最寄駅のような物件情報を把握しておくとよいでしょう。
任意売却をするには、債権者に対して申出書の提出が必要です。
出典:住宅金融支援機構「任意売却パンフレット」
任意売却の申出書では、売主の氏名や住所、電話番号の記入とともに押印が必要です。記入や押印がなければ手続きできないため、任意売却の際には忘れずに対応しましょう。
任意売却に限らず不動産売却の際には、依頼した不動産会社によって売買契約書が作成されます。売買契約書には下記のような情報が記載されています。
売買契約書にはこのような情報が記載されており、売却を依頼した不動産会社によって作成されます。
基本的には不動産会社の担当者とともに書類を作成していくため、スムーズに手続きが進むように物件の情報などを明確に把握しておくとよいでしょう。
通常の不動産売却とは売買契約書の内容が異なり、任意売却では下記のような特約が盛り込まれます。
特約事項 | 概要 |
---|---|
一括決済を行うこと | 任意売却において、決済までにさまざまなリスクが考えられる。そのため、売買契約の締結時に一括で決済するよう定めるのが一般的。 |
違約金を負担しないこと | 引き渡しの延期など売買が成立しない場合、本来は違約金が発生するケースがある。任意売却においては、このケースが発生しやすいため、売主買主ともに違約金を負担しないよう定められるのが一般的。 |
瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)を負わないこと | 不動産売買において、売却した物件に不具合があった場合、売主が責任を負う必要がある。しかし売主が補修などの責任を負うのが困難であるため、任意売却の場合はこの責任を負わないのが一般的。 |
売買契約の白紙解約条項を設けること | 抵当権の抹消に関して債権者から同意が得られなければ、売買が成立せずに買主から違約金を請求される可能性があるため、売買契約を無条件で解約できるように定められるのが一般的。 |
公簿売買規定の責任を負わないこと | 売却代金を後から変更されるのを防ぐため定められるのが一般的。 |
これらの特約は売買契約書の作成時に不動産会社によって定められます。任意売却の際には、どのような特約が定められているのかを必ず確認しておくようにしましょう。
任意売却にはさまざまな書類が必要です。
売主が準備するものや、不動産会社が用意するものがあるため、まずは自身で用意する必要書類を把握しておくのが大切です。
なお任意売却は通常の物件売却とは異なり、いくつかの特約が設けられるのが一般的です。
任意売却の際には、必要書類だけではなく定められた特約についても確認するようにしておきましょう。