都市計画道路予定地を上手に売る3つのポイント!売却の影響や建築制限など詳しく解説

都市計画道路予定地

昔から住んでいた実家や相続で取得した土地などが都市計画道路予定地に設定されていることもあります。

都市計画道路予定地でも売却可能ですが、計画の進捗状況や内容によって買主の見つけやすさや売却価格など条件が変わるので注意が必要です。

この記事では、都市計画道路予定地を上手に売却する方法を詳しく解説していきます。

また、計画の進捗状況や建築制限など売却にどのような影響を与えるのかをわかりやすく説明するので、ぜひ参考にしてみてください。

都市計画道路予定地の概要

都市計画予定地

都市計画道路予定地・・・都市計画法に基づいて道路の整備が予定されている土地のことです。

都市計画道路には、
「人や物の円滑な移動を確保する」
「火災や地震などの災害時の避難路となる」
「火災などの拡大を遅延させ、防止する」
「電気、上下水道、ガス、地下鉄、バスなどの都市施設を設置する空間となる」

などさまざまな役割があります。

このような機能を実現するため、都市計画道路の内容は既存道路の幅員を拡大する場合と新しい道路を造る場合との2つです。また、都市計画道路の形成にあたって具体的には2つの段階があります。それが以下の通りです。

  1. 計画決定
  2. 事業決定

次の項目からそれぞれの段階について説明します。

①計画決定

計画決定は名前のとおり「計画が決まった」段階です。この段階では、まだ道路整備に向けた土地の買収や工事計画などの具体的な動きはありません。

そのまま住み続けることもでき一定の制限はありますが、住居の新築・建て替えも可能です。

②事業決定

事業決定は「決定された計画を実行しても良い」という事業認可がおり「具体的な工事計画」が決定した段階です。

事業決定となると、戸建てだけでなくアパートの住民といった土地収用の対象となる人たちへの補償の説明・協議・補償金の支払いなど道路整備に向けて進んでいきます。

補償金には土地の評価に対する金額だけでなく、建築物の取り壊し・移動・再建築や引っ越しにかかる諸々の費用も含まれます。

事業決定となれば、都市計画道路予定地の部分に建築物を建てること原則できません。災害時など緊急事態となり建築物の必要があるときに特例として建設が認められます。

都市計画道路予定地の売却は計画の進捗状況と内容が影響する

計画
計画の進捗状況と道路改築の内容によって都市計画道路予定地の「売りやすさ」「売却条件」「売却価格」などに影響が及びます。

事業決定となれば、都市計画道路予定地は収用されてしまうので売却できません。

まずは、計画の進捗状況が売却に与える影響についてわかりやすく解説していきます。

計画決定段階であれば土地全体を売却できる

都市計画道路が計画決定段階であれば、土地全体をそのまま売却できます。計画決定されたといって、すぐに工事が始まるわけではありません。

昭和30年代から40年代の高度経済成長期に決定された都市計画で、もう50年以上経つのに事業決定まで至ってない計画も多いです。

まだ土地収用に向けた説明・交渉もおこなわれていないので、都市計画道路予定地を含めて売買の対象になります。

事業決定段階になれば収用される土地は売れない

計画が進み事業決定の段階になれば、道路整備に向けた具体的な動きが始まります。そのため、収用対象の土地は買主に引き渡すことが不可能です。

つまり、収用対象の土地は売却できなくなり、都市計画道路予定地を除外した土地部分のみの売却になってしまうというわけです。

収用される土地は無条件に没収されるわけではなく、公示価格などを考慮して補償額が決められます。適切な金額の補償金が支払われるので安心してください。

もし収用時の条件や補償金などに納得できない場合は、知事から独立して職務をおこなっている「収用委員会」に審理を依頼することになります。

次に、計画の内容が売却に与える影響についてです。

都市計画道路予定地部分の面積が少なければ値下がりは少ない

たとえば、下図のように都市計画道路予定地部分の面積が小さく、残された土地に建築物を建てるときにも大きな問題がない場合、都市計画道路予定地だからといって値下がり幅が大きいわけではありません。

図1

事業決定となったときに、都市計画道路予定地を分筆します。そのうえで、十分な面積があるのであれば、建築基準法の範囲内で高層の建物も建てられます。

そのため、都市計画道路予定地に建築物を建てるときの建築制限もかかりません。買主の探しやすさも通常の不動産売却の場合と変わらないでしょう。

一方で、下図のように都市計画道路予定地が大きく被さっていると値下がり幅も大きくなります。

図2

たとえば、セットバックすると住居として十分な建築面積を確保できないような場合や接道義務を満たさなくなって再建築不可物件となってしまうような場合です。

これから売ろうと思っている土地にどれくらい都市計画道路予定地が含まれているかを確認するようにしてください。

収用されずに残る土地の形状が悪ければ大きく値下がりする

都市計画道路予定地の面積だけでなく、その計画道路の通り方も売却に影響します。

図3

極端な例ではありますが、上図のように土地の真ん中を突っ切るような形で計画されている場合、売却は難しく売却価格も大きく下がります。

都市計画道路予定地を避けて建物を建てられないので建築制限がかかり、事業決定となったときに土地が収用されると残された土地の使い道に困ってしまいます。

残る土地の形状が悪ければ、所有権を取得してもその土地に建てられる住宅も限られ、駐車場としての活用も難しいでしょう。

このように計画決定の時点で事業決定となったときのリスクが高いため、売却も他の都市計画道路予定地と比べて困難になるというわけです。

都市計画道路予定地の買主が受ける建築制限

建築制限
計画決定の段階であれば、都市計画道路予定地にかかる形でも建物の新築・再建築は可能です。

ただし、建築には一定の制限がありそれは土地の買主も従う必要があります。

都市計画道路予定地は建築制限がある

都市計画道路予定地に建築物の建築するには都市計画法第53条第1項の規定に基づく都道府県知事等の許可を得ることが必要です。

審査の基準は自治体によって異なりますが、多くの都市計画道路予定地の建築制限は以下の通りです。

  • 容易に移転、または除去できること
  • 階数が2階以下で地階がないこと
  • 主要構造部が木造、鉄骨造、コンクリートブロック造、あるいはこれらに類する構造であること

そのため、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造などの耐久性がある構造の建築はできませんが、一般的な木造住宅であれば建築可能です。

階数も2階以下なので、一般的な木造一戸建てを建築する程度であれば問題もないでしょう。

正確な許可基準については、売却したい土地の管轄地域の役所に問い合わせて確認することが大切です。

都市計画道路の見直しで制限緩和される地域もある

都市計画道路の多くは高度経済成長期に想定された都市の拡大を前提とされたものです。

しかし、実際は想定と異なり「人口減少」「経済の低成長」と社会経済情勢は変化しています。

そのため、長期にわたって未着手の都市計画道路については見直しによって廃止・存続だけでなく、は建築制限を緩和する決定もおこなわれています。

東京都内においては、原則、すべての都市計画道路区域内で3階までの建築を可能とする制限緩和がおこなわれており、具体的な建築制限緩和の基準は以下の通りです。

  • 容易に移転、または除去できること
  • 市街地開発事業等の支障にならないこと
  • 階数が3階以下、高さが10m以下で地階がないこと
  • 主要構造部が木造、鉄骨造、コンクリートブロック造、あるいはこれらに類する構造であること
  • 都市計画道路部分と分離できるように設計上配慮されていること

このように都市計画道路予定地が緩和路線に指定されている場合、すぐに土地収用がおこなわれる可能性は低いです。

そのため、都市計画道路予定地であっても緩和路線であれば気にせず購入する買主も多く、売却価格も通常の不動産と大きく変わらないこともあります。

都市計画道路予定地を上手に売る3つのポイント

売却
最後に、都市計画道路予定地を売るときのポイントを3つ解説します。

  1. 売り出し価格は市場価格の1割減程度にする
  2. 都市計画道路の進捗状況を調べる
  3. 都市計画道路予定地のメリットを伝える

特に都市計画道路予定地はそのリスク・デメリットが気になり、メリットを知らない方も多いです。そのため、しっかりとメリットも伝えることで売りやすくなります。

①売り出し価格は市場価格の1割減程度にする

都市計画道路予定地は市場価格から1割程度下げた価格でも買主は見つかります。建築制限があることは事実ですが、再建築不可物件ほど厳しい制限というわけではありません。

さらに、都市計画道路予定地が緩和路線になっていれば、より土地利用の選択肢が広がります。

いずれ事業決定したときに収用されるリスクを考えても売り出し価格は相場の1割下げる程度で十分でしょう。

②都市計画道路の進捗状況を調べる

都市計画道路予定地を売るときには、計画の進捗状況を調べることも重要です。

事業決定時期が近ければ土地が収用される時期が近いということなのでその分、売却価格は低くしなければ買主が見つかりません。

そして、事業決定となれば都市計画道路予定地の部分は売却できなくなります。

そのため、まずは役所で事業決定の予定があるか聞いてみましょう。決まっていれば教えてもらえますし、反対に廃止の動きがあることが分かるかもしれません。

売却したい都市計画道路予定地の延長線上に幹線道路が新しく作られていないか、道路整備に向けた収用が始まっていないかなどを実際に見てみることで、進捗状況を予想できます。

どのような形で都市計画道路が計画されているかは「都市計画地図」でわかります。

これは市役所のホームページでも無料で閲覧できるので、所有する土地がかかっている都市計画道路がどこからどこにつながっているか、その周辺の整備状況を確認するとよいでしょう。

③都市計画道路予定地のメリットを伝える

都市計画道路予定地は買主にメリットもあります。それが不動産取得税・固定資産税・都市計画税などの税金が通常の宅地に比べて低いことです。

なぜなら、固定資産税評価額を計算するときに、都市計画道路予定地には地区区分、容積率、地積割に応じた一定の補正率が適用される軽減措置の制度があるからです。

補正による減額割合は、売却対象の土地に対して都市計画道路予定地の面積が大きいほど高くなります。同様に相続税評価額も減額されるため、相続税額も少なくなります。

また、事業決定となり幹線道路ができれば接道条件もよくなって価値があがるので、地価の上昇を期待できるかもしれません。

土地の広さや周辺環境によっては
「相場より安い価格で土地を取得できる」
「収用される土地部分に対して補償金を受け取る」
「道路整備完了後に高値で土地を売却できる」

というようにして、買主が大きな利益を出せる可能性が高いです。

都市計画道路予定地のリスクだけでなく、このようなメリットも合わせて伝えることで、売却しやすくなるでしょう。

まとめ

都市計画道路予定地は、事業決定のタイミングで土地が収用され、面積が小さくなったり、引っ越したりしなければならないリスクがあります。

しかし、都市計画の見直しによって計画廃止となるものもあれば、長期間、事業決定の見通しが立っていないものもあります。

そのような土地であれば、通常の土地の1割減程度の価格でも売却できるでしょう。また、計画の進捗状況の確認や事業決定時の影響など、都市計画道路予定地の売却では確認するべきことが多いです。

実際に売るときには、必要な確認と手続きを迅速に進め、買主とのトラブルを避けるためにも、信頼できる不動産会社に相談して媒介契約を結ぶようにしてください。

どうしても仲介による売却が難しいときには、不動産会社による買取という選択肢もあります。なかなか買主が見つからないという場合は、買取を検討するとよいでしょう。

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