価値が低い雑種地を売却するポイント3つと節税方法について

雑種地

都市計画法などの法令によって「いずれの地目にも該当しない土地」とされる雑種地。宅地でもない農地でもない雑種地を売却するためには、どんな手続きをとっていけばいいのでしょうか。

この記事では、価値が低い雑種地を売却するポイント3つと節税方法について解説いたします。

雑種地を売却するために必要なこと

雑種地

雑種地を売却するために、まずは雑種地の現状をチェックすることから始めましょう。

いずれの地目にも該当しない土地とされる雑種地ですが、よくよく調べてみたら宅地や農地であったりすることがあります。

まずは雑種地の定義は何か、また雑種地かどうか確認するにはどうしたらいいのかについて学んでいきましょう。

そもそも雑種地とは何かを知ろう!

土地には地目という土地の用途が決められています。地目を設定することで、固定資産税などの税額を決めるのです。この地目は全部で23種類あり、そのいずれにも該当しない土地を雑種地と呼びます。

<地目一覧表>
田、畑、宅地、学校用地、鉄道用地、塩田、鉱泉地、池沼、山林(森林)、牧場、原野、墓地、境内地、運河用地、水道用地、用悪水路、ため池、堤、井溝、保安林、公衆用道路、公園

地目を定める際は、土地の上に物件があるかどうか、建物の建築が制限されている地域かどうか、建物の利用状況はどうかなどを総合的に判断していきます。

さらに、使用状況や環境の変化により地目の変更登記も可能です。はじめは雑種地でも、建築物を建てたり田畑を作ったりすれば地目を変えることもできます。

つまり、雑種地と登録されている土地でも、これまでの経過を辿れば「実は雑種地ではなかった」ということも有り得るわけです。

地目の役割とは

地目とは、不動産登記簿に土地の現況や目的を記したものです。売買価格のみならず、納税時に地目が大きく関わってきます。

地目ごとに固定資産税の納税額を設定しており、評価が高い宅地は納税額が大きく、反対に山林や田畑は納税額が低くなる仕組みです。

しかしながら、実際の用途や使用状況と地目が、必ずしも一致しているとは限りません。実際に地目を登記してから、用途を変更して土地を使用するケースも多くみられるからです。

もし間違って地目を登記してしまった場合は、所有者が「変更のあった日から1カ月以内に変更登記を申し出る」ことが義務付けられています。

ただ、登記申請を忘れてもペナルティが発生しないため、土地の用途が変わっても地目を変更しないままでいる人もいるのが現状です。

このように、登録している内容と実際の地目が相違していることがあります。雑種地を売却するときは、売却前に地目を確認しておくことが大切です。

地目によって売却価格や戦略が大きく変わってくるため、売却前に所有している土地の地目をしっかりと把握しておきましょう。

地目を確認する方法

地目を確認する方法は3つあります。いずれかの方法でまずは地目を確認してみましょう。

登記データを確認する

まずは登記権利証や登記済証を見る方法です。自宅にある登記証を見たり、オンライン上で登記簿データを閲覧したりすれば、地目を確認できます。

ただし、前述したとおり、土地の用途や使用目的によって、地目は変更登記することができます。

もしも、登記権利証を発行した年から地目が変更されている場合は、この方法では確実に地目を確認することができませんので、これから紹介する方法も試してみてください。

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地目を目視で確認する

続いて、現状を目視で確認する方法です。実際に現場へ足を運び、隣地との境界や関係、接道状況などを目視で確認してみます。

もし事情があり現地へ向かうことが難しい場合は、Googleマップのストリートビューを使い、インターネットで物件写真を見ながら土地の状況や情報を得るのもひとつの手段です。

固定資産税納付通知書を確認する

最後に、固定資産税納付通知書を確認する方法です。この固定資産税納付通知書には、市町村が確認した土地の現況地目が記載されています。

固定資産税納付通知書の右側の欄に「土地」という欄があり、その横に「雑種地」「宅地」などが書かれています。ここで地目を確認してみてください。

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地目を確認しないまま売ることのリスク

とにかく早く土地を売却したい人にとっては「雑種地でも何でもいいから売れればいい」と考えるかもしれませんが、このことが2つのリスクを発生させます。

・相場よりも安く売られる可能性
・売却後にトラブルが起こる可能性

地目の違いは土地の評価に直結します。なかでも「建物を建てられる」「用途が広い」宅地は使いやすいため売却価格が高い傾向にあります。

そのため地目を確認し、土地の価値を把握しておかないと「相場よりも安く売られる可能性」があるのです。また、土地には利用制限がかけられていることもあります。

そのため「建物を建てようと思って買ったが建築不可地だった!金返せ!」と買主から訴えられる可能性も否定できません。

このように、売主の利益と安全を守るために、地目を確認し土地がどのように利用できるか不動産売買前に確認しておく必要があるのです。

市街化区域内かどうかもチェック

雑種地が市街化区域内かどうかも確認しておきましょう。市街化区域か否かによっても今後の売却のしやすさが違ってきます。

市街化区域・・・住宅地や商業施設を積極的に建設するよう指定された区域のことです。

国内の土地は、都市計画区域と都市計画区域外とに分かれています。このうち、都市計画区域内には、市街化区域・市街化調整区域・どちらでもない非線引区域の3つに分かれています。

この3つの区域のうち、市街化調整区域には注意が必要です。

なぜならば、市街化を活性させる市街化区域であれば許可なく住宅を建てることができますが、市街化調整区域や非線引き区域であれば、住宅を建てるのに知事の許可、または土地の形成に開発許可申請が必要だからです。

つまり、土地活用しやすい市街化区域であれば雑種地でも買い手がつきやすく、反対に市街化調整区域であれば買い手がつきにくい傾向にあります。

市街化区域かどうかは市町村にある都市計画マップで確認可能です。自治体のウェブサイトから簡単にアクセスできますので、一度検索してみるといいでしょう。

また、売買契約のときに交付された物件確認書(告知書)にも、土地の状況が表示されています。売却時に影響を及ぼすような事柄はないか、物件確認書に目を通しておきましょう。

農地の場合は農業委員会へ

雑種地の地目が農地であった場合、通常の売却方法とは異なりますので注意が必要です。農地を売却するには「農地のままで売却するか」「宅地などに用途変更して売るか」のどちらかを選択します。

いずれにせよ農業委員会の事務局に届出を行わなければ売却ができません。

スムーズに売却したいのであれば宅地などに用途変更してから売却することをおすすめします。農地は、農家もしくは農業生産法人にしか売却することができない規則です。

しかし、宅地など地目を変更した場合は個人にも売却できますので、買主を限定する必要はありません。ただし、農地を用途変更して売る場合は、農業委員会または知事の許可が必要になります。

その際は、必ず転用申請を行ってください。届出先である農業委員会は、市町村ごとに設置されています。市役所または区役所に行けば場所を教えてもらえますので、問い合わせてみてください。

森林の場合は林業推進課へ

放置していた雑種地が森林となっていた場合、森林法の規制によりスムーズに売却できないことがあります。

森林法・・・木や森を守るために定められた法律で、許可なく木を伐採することができないことも考えられます。

しかし「必ずしも売れない」ということではなく「一般の土地の売却よりも、提出する書類がいくつか増えるかもしれない」ということです。森林売却にはどんな手続きが必要か、自治体の林業推進課に確認を取っておきましょう。

「雑種地」の概要と売却方法

駐車場

では、具体的にどのような土地が雑種地と呼ばれているのでしょうか。ここからは、どのような土地が雑種地に該当するのか、そしてどのようにして売却していけばいいのか、雑種地の定義と売却方法を紹介していきます。

雑種地の定義とは

雑種地の定義は「土地の面積に対し極めて小さい建物が建っている土地」となります。実はこの雑種地、普段何気なく目にしている土地であることが多いのです。

例えば、以下のような土地が雑種地と判断されます。

駐車場

国税庁のウェブサイトでは「ほとんどの駐車場は雑種地として評価する」としています。駐車場として利用している土地は、現況により、ほとんどの場合、雑種地として評価することとなります。

参照:国税庁

駐車場には、青空駐車場、アスファルト舗装された駐車場、立体駐車場などがありますが、このうちほとんどが雑種地として判断されます。

また以前宅地として使用しており、地目が「宅地のまま」であった土地でも現況が駐車場であれば雑種地です。

資材置き場

活用できない土地を、資材置き場として利用しているケースが多い傾向にあります。資材置き場として活用している地域は、市街化調整区域であることが多く、建物を自由に建設することができません。

それ以外にも「排水設備が整わない」「上水道が通っていない」ような土地は、売りにくいため、資材置き場として活用されているためです。

ちなみに、資材ではなく太陽光発電パネルを設置しているケースもあります。

ゴルフ場

ゴルフ場も雑種地として評価されます。ただし、ゴルフ場の土地の価値を算出する方法は、少し難しくなります。ゴルフ場の広大な面積のうち、土地の場所によっては、評価がそれぞれ異なるケースも。

このような場合は、土地を分割し、1㎡当たりの固定資産税評価額に倍率を乗じた金額から価値を算出します。

水道用地

「自宅敷地だと思っていた場所が水道用地だった」というケースも多く見られます。

もし水道用地であった場合は、雑種地ですが自治体の所有物になり市有財産となりますので、売却したり建物を建てたりすることはできません。

水道用地とは「水源地、貯水池、ろ水場又は水道線路に要する土地」のことで、沼や送水パイプが設置された土地、もともとは貯水池だった土地を指します。

浄水場から一般家庭に送水するために、土地の一部に集合下水管が設置され、水道用地とされていることがあります。

雑種地の売却方法

雑種地を売却する方法は2つです。「そのままで売却する」「地目を変更する」かのいずれかです。

ただし、地目によって売れやすい・売れにくいが左右されるため、雑種地のままよりは、地目を変更した方が売れやすいでしょう。

地目を変更するためには、まず「本当に雑種地かどうか」土地の現況を確認することから始めます。雑種地と思っていた土地が、実は田畑だったというケースも少なくありません。

地目を確認したら、法務局へ行き、地目変更登記を行います。不動産登記法では「目又は地積について変更があったときは、変更があった日から一月以内に、変更の登記を申請しなければならない」としています。そのため、地目を変更したら、忘れずに変更登記を行いましょう。

雑種地をできるだけ高く売却するポイント

司法書士

「売りにくい」「高く売れない」というイメージが強い雑種地。しかし、価値が低い雑種地でも高く売却できるチャンスは、ゼロではありません。

そこで、価値が低い雑種地を売却する3つのポイントを紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

他の土地とセットで売る

価値の低い雑種地は、単体で売るのがとても難しいもの。それならば、他の土地とセット販売してしまう方が得策です。

もし雑種地以外にも条件がよく売れやすい宅地などを所有しているのであれば、雑種地を抱き込んで売却してしまいましょう。

もしくは「雑種地の買主を見つけてくれたら宅地を売ってもいい」というように、雑種地の仲介を条件に購入申込者に宅地の売却を持ちかけるという方法もあります。

雑種地以外の土地に、購入希望者から申込みがあったときは、雑種地のセット販売を持ちかけるか、雑種地を購入することを条件に売却を許可するなど、有利な条件で売却できるよう購入者と交渉してみましょう。

地目変更をして宅地とする

地目によって価値が変動しますので、雑種地を人気のある「宅地」へと変更して売却するという方法も有効的です。地目の変更手続きはそれほど難しくはありません。

まずは、土地の地目を登記簿で確認したあと、現地調査し宅地として利用可能かどうかを調べ、申請書類を作成してもらうだけです。専門家の協力を得ずに、個人で申請もできます。

ただし、土地の地目が「田畑」であった場合、農業委員会や知事の許可が必要になることがあります。また「市街化調整区域」であった場合は、建物の建設に規制がかかることがあります。

もし雑種地だと思っていた土地が田畑もしくは市街化調整区域であった場合は、土地家屋調査士や司法書士や不動産業者などの専門家に相談しましょう。

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不動産会社を選びなおす

不動産会社の中には、雑種地の売却に強い業者もいます。もしすでに不動産会社に雑種地売却を依頼しているにもかかわらず、売却が進まないのであれば、不動産会社を選びなおすことも視野に入れましょう。

ただし、不動産会社を変更するときは、違約金が発生しないよう注意が必要です。仲介を依頼するとき媒介契約を交わしたと思いますが、媒介契約には「期限」や「ペナルティ」が設定されているはずです。

「指定した期限外に解約する」「他の不動産会社と重複依頼する」など、契約内容に違反した行動を取った場合、ペナルティとして違約金が発生する可能性もあります。

そのため、不動産会社を変更するには、まず媒介契約書を確認します。「媒介契約の種類」「媒介契約が終了する日」をチェックしてみてください。

どこの不動産会社でも媒介契約の有効期限は3カ月で切れます。そのため、媒介契約後3カ月を経過すれば特別な手続きを取らなくても、不動産会社の変更は可能です。

また「他の不動産会社に仲介を依頼し直そうと考えている」と言えば、業者の競争意識を高めることができます。

実際に変更する予定はなくても、不動産会社を変更する態度をみせることで、業者を動かすキッカケになったりもしますので試してみる価値はあります。

相続した雑種地を売却するときの節税方法

雑種地のみならず不動産を売却したときに譲渡益が出た場合は、その譲渡益に対して税金がかかります。これを譲渡取得税と言います。

譲渡所得=収入金額―取得費―譲渡費用

ただし、不動産を購入した時にかかった取得費用があれば、譲渡益から控除できるため、納税額が安くなるのです。

しかし、相続によって土地を入手していた場合、すでに納めた相続税は取得費として控除することはできません。では、相続によって得た土地を売却すると、損をしてしまうのでしょうか。

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取得費加算の特例

相続によって得た土地を売却するとき、取得費加算の特例を使用すると対象不動産の譲渡取得税が安くなります。

ある条件を満たした場合にのみ、取得費加算の特例として相続税の一部を取得費として加算することが出来るようになるのです。

取得費加算の特例は、相続した土地を売却するときに、かなりお得になる控除制度。相続した不動産を売却するときは、必ずこの特例措置について理解しておきましょう。

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取得費加算の特例の適用条件

ある条件を満たした場合にのみ、取得費加算の特例が適用となりますが、その条件とは以下の3つです。

1.相続や遺贈により財産を取得した人
2.その財産を取得した人に相続税が課税されている
3.その財産を、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡している

1と2を要約すると、特例を使えるのは「相続した本人」「相続税を支払う人」のみです。相続に関係のない人または所有者でない人は、意味もなく特例を使うことができません。

これについては、特段問題はなく条件に該当するでしょう。問題は、3つ目です。特例が適用となるのは「相続開始から3年以内」です。

ですが、相続税の申告期限日は、相続開始から10カ月以内となります。

相続後すぐに申告をせず、期限ギリギリになって申告した人は、その申告しなかった期間が猶予されます。よって、相続税を申告した日から3年以内が特例措置を受けられる期限日という解釈になります。

相続した雑種地を売却する際、特例が適用となるかどうか不安なときは、相続問題に詳しい弁護士や不動産会社に特例措置についても相談してみましょう。

まとめ

地目が雑種地である土地を売却するときには、必ず現状がどのようになっているのか確認することから始めましょう。家を建てて住んでいた場合は、地目が雑種地でも、宅地扱いとなります。

また、雑種地が市街化調整区域であったり、農地であったりすることもあります。一見、何もないような土地に見えても、目に見えない法令上の規制にかかっているケースも多々ありますので注意が必要です。

よく分からない時や困った場合は、専門の不動産業者などに問い合わせて、相談してみることをオススメします。

最終更新日:
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