不動産管理会社の「サブリース」ってなに?デメリットを徹底解説

リース契約

近年、有名不動産会社が「サブリース契約」をめぐって訴訟を起こされています。サブリースは一見するとメリットが多いように思えるものですが、実際はトラブルの事例が絶えずデメリットも多いのです。

この記事では、不動産投資においてサブリースにはどのようなメリット・デメリットがあるのか、くわしく解説していきます。

オーナーが不動産会社に物件を貸し出す「サブリース契約」

サブリース契約
サブリースとは、物件のオーナーが不動産会社に物件を貸し出し、物件を借り受けた不動産会社が入居者へ貸し出すというものです。つまりは、不動産会社が物件の又貸しを行うということです。サブリースを行う会社は、物件家賃の1割から2割程度を手数料として受け取り、残りをオーナーに支払います。

サブリース契約をするメリットについて

オーナーにとって、サブリース契約によるメリットは5つほどあります。

1.家賃滞納や空き室のリスクを回避できる

一定期間不動産会社に貸し出すことで、その間に空き室や家賃滞納があったとしてもオーナーの収益には影響を及ぼさないということがメリットのひとつです。賃貸経営以外の事業計画も立てやすくなるでしょう。

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2.物件を直接管理しないで済む

サブリース会社には、賃料による収益の一部を支払うことになります。サブリース会社は、物件の入居者募集や契約、賃料管理などを行います。また、物件の維持管理費用も含まれている場合もあるため、オーナー自らが物件のメンテナンスを手配したり、清掃業者を入れたりという日々の雑務に追われないで済みます。(維持管理費用が別途オーナー負担となるケースもあります)

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3.トラブル対応窓口にならずに済む

オーナーが直接管理する場合には、物件で家賃滞納や迷惑行為などがあった場合、自ら直接クレームを受けたり対応に出向いたりしなければなりません。賃貸物件でのトラブルはしばしば訴訟にまでもつれ込むことがあります。そうなればオーナーは全面的に訴訟に関わり、一刻も早い解決のために奔走しなければならなくなります。このような場合も、サブリース会社に管理を任せているなら、オーナーの出る幕はほぼありません。厄介な入居者管理やクレーム対応、家賃の督促関係の雑務もすべて任せることができます

4.確定申告がシンプルに

オーナーが直接物件を管理していると、確定申告の際には部屋ごとに家賃や契約内容を申告しなければなりません。部屋数が多ければ多いほど、その手間は膨大になります。サブリースの場合は、オーナーにとっての借主はサブリース会社のみになります。ですから収支の計算がしやすく、サブリース会社からもらえる収支内訳書などを使って確定申告をすることができます

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5.経営状態が安定し、融資が受けやすくなる

一般の賃貸経営と違い、オーナーの収入が一定になるため、経営状態が安定して金融機関からの融資を受けやすくなるかもしれません。

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サブリース契約の隠れたデメリットとは

サブリース契約を締結する際には、不動産会社は基本的にメリットばかりを強調し、デメリットはほとんど教えてもらえません。そこでここでは、不動産会社からは教えてもらえない、オーナーにとっての主なデメリットは次の4つです。

1.中途解約はほぼ不可能

サブリース会社とオーナーの間では、賃貸借契約が結ばれます。契約書のタイトルは、「サブリース契約書」や「借上契約書」などと表示されているケースが多いですが、法的な性質は転貸(又貸し)を可能とする賃貸借契約です。つまり両者の関係は、借主(サブリース会社)と、貸主(オーナー)です。そして借地借家法では、貸主よりも借主の権利が重んじられています

大家さんが入居者に立ち退いて欲しいと思った場合、正当な理由と立ち退き料の支払いがなければ立ち退かせられません。それと同じで、サブリースは原則としてオーナー都合での中途解約ができないことになっています。ですから、物件周辺の時価が高騰して今が売り時だと思っても、物件を手放さなければならない急な事情ができても、サブリース会社という借主との契約を解除したければ、違約金を支払って解除するしかなくなります。

しかし、サブリース会社は借主なので、一定期間よりも前に通知をすれば自己都合でいつでも契約を解除できます。そのため、サブリース会社にとって採算が合わない物件だと思われれば、あっさりと契約解除されてしまうこともあります。

ワンポイント豆知識:サブリース契約は解除できない可能性も

上記のように、契約書に記載のある違約金を支払うことで、サブリース契約の解除に応じてもらえるケースはまだ良い方で、実際は解除自体に応じてくれないサブリース会社もあります。そもそもサブリース契約の解除というのは、賃貸借契約を家主側から解除するのと同じため、解除するためには借地借家法上の「正当事由」が必要と規定されています。正当事由とは、よほどの事情がなければ認められず、たとえは自分で使用したい、売却したいといった理由だけでは認められません。

このことを熟知しているサブリース会社は解除を申し出られてもそれに応じずそのまま借り続けることがあるのです。過去に裁判にまで発展した事例も複数ありますが、裁判でも解除が認められないケースはあるようです。サブリース契約が解除できないと、物件を売却するときに買主が見つかりにくくなったり、売却価格が下がってしまう恐れもあります。サブリース契約は一度契約してしまうと、違約金を支払ったとしても解除に応じてもらえない可能性があることに注意しなければなりません。

2.保証される賃料は年数とともに減額する

「〇年間家賃保証します!」と謳っていても、その間ずっと同額の家賃を保証しますとは言っていません。どんな建物でも必ず経年劣化の影響を受けますから、年数が経てば経つほど家賃は安くしなければならないことは当然のことです。ですから何十年もの間、新築時と同じ家賃が入ってくると考えるのには無理があります。しかしサブリース契約を結んだオーナーの中には、家賃の保証額が変わるなんて聞いていない、と驚く人もいます。それもそのはず。ほとんどの場合、サブリース会社の担当者はオーナーにとって不利益な情報にはあまり触れません。多くの場合は、契約書の特記事項などに小さい文字で「〇年に一度、賃料の見直しをします」などの文言が入っているため契約違反だとも主張できず、泣き寝入りになるでしょう。

3.サブリース会社が指定する業者しか使えない

サブリース会社に管理を一任している以上は仕方のないことですが、物件の管理に必要な工事業者やリフォーム業者、清掃業者などはすべてサブリース会社が指定する業者になります。この点を利用して、サブリース会社の関連会社が業者として入ることは多くなります。その業者の業務がどんなに雑でも、費用が相場より高額であっても、オーナーが「業者を変えてくれ」と交渉することは難しいと言えます。業者の質に問題が無ければこの点は何のデメリットでもないのですが、往々にして相場より高い費用を請求されることが多いようです。

4.保証免責期間

保証免責期間とは、サブリース会社がオーナーに対して賃料を支払わなくて良いとされている期間です。これには多くの場合、サブリース契約直後の入居者の募集期間などが該当します。保証免責期間はおよそ1カ月~3カ月くらいになることが多く、その間はオーナーに賃料は入りません。契約直後であればまだ仕方ないと思えるかもしれませんが、サブリース会社によっては、物件に空き室が出る度に保証免責期間を設定し、賃料の支払いを免れようとする場合があります。サブリース契約を結ぶ大きなメリットは、空き室や家賃滞納に関係なく、賃料収入が安定していることであるはずです。それなのに空き室の度に収入が減るのであれば、サブリースの趣旨には反します。もちろんサブリース会社ごとに規定の差はありますが、自社にとって都合の良い内容ばかりを契約書に盛り込んでおり、それが当然であるかのように押し付けてきたなら、そのサブリース会社との契約自体を見直した方が良いかもしれません。少し勇気が要りますが、いったん契約を保留にすると明言して、言われるがままに契約を締結させられないようにしましょう。

集団訴訟に発展するトラブル事例も多数

集団訴訟
サブリース契約時に、「30年間は賃料が減少しない」と説明しておきながら、経済情勢の変動を機に賃料を減額された物件オーナーが数十名、時には100名以上の集団で訴訟に踏み切っています。訴えられているのは、誰もが名前くらいは聞いたことのある某大手不動産会社です。オーナーたちは「損をしないビジネス」とか「相続税対策に良い」という言葉を信じて賃貸経営を始めたものの、契約時の約束に反して一方的に賃料を減額されているということです。訴訟を起こしているあるオーナーの訴状によれば、同社による賃料の減額交渉は調停などの客観性の高い法的手段によるものではなく、担当者が押しかけてきて、賃料の減額に応じないならばサブリース契約を解除するなどの説明をする、非常に強引なものだったようです。またオーナーが交渉に応じようとしないと、減額に合意するまでオーナー宅に居座り続けるなど、去罪にも該当するような強引極まりない手段を講じ、無理やり署名押印させたとのことです。

同社に対しては一方的な賃料減額についてだけでなく、あるオプションサービスの実施を怠っているとする、別の集団訴訟も起こっています。このオプションは物件のメンテナンスに関するもので、毎月一定額のメンテナンス費用をオーナーが支払うことで、会社側が適宜必要な修繕を行うとする契約のものだったようです。しかし実際は、目安表に従った修繕はほとんど実施されておらず、同社がオーナーたちの支払ったメンテナンス費用を不当利得として得ているのでは、という疑いが向けられています。この訴訟を起こしているオーナーたちは、自分たちが今までに支払った約1億4000万円相当のメンテナンス費用の返還を求めています。

また、同社に関しては契約の反故だけでなく、金融機関と裏で結託していたことも指摘されています。金融機関は、賃貸物件建設のための融資を受ける顧客を同社に紹介し、それによって手数料を得ていたものと報道されています。金融機関の側にも、融資面での業績を上げたいがために、サブリースによる賃貸物件経営を熱心に顧客にすすめていたという、およそ顧客本位とは言い難い実態があるとみられています。普段から保険や貯金、給与や年金の受け取りなどで何かと頼りにしている金融機関にサブリースを熱烈にすすめられたことで信用してしまい、無理をして賃貸経営を始めてしまったオーナーも多くいるようです。現在でも集団訴訟の嵐に直面している同社ですが、同社から不当な賃料減額をされたと主張するオーナーは、全国で約1万人以上にも達しているようです。ですから今後も、同社に対する集団訴訟はさらに増えていくことが予想されています。
参照:消費者庁

サブリースによるトラブルを未然に防ぐための予防策

トラブルチェック
では、サブリースを契約する時には何に気を付けたら良いのでしょうか。誰でも実践可能な次の3つに注意するだけでも、堅実なサブリース会社を見極めやすくなるでしょう。

1.契約書の内容は専門家にチェックしてもらう

悪質なサブリース会社の場合、オーナーにとって不利になることは隠しておいたり、あいまいな表現で契約書に記載することがあります。しかし署名押印した以上は、オーナーも契約書の内容に合意したことになってしまい、あとから異議を申し出ることが難しくなります。契約書には、普段聞き慣れない専門用語や理解の難しい表現がたくさん出てきます。物件のオーナーであっても、法律や不動産について素人であるなら、その分野に精通した専門家に契約書の内容を確認してもらい、オーナーにとって不利な条件がないかチェックしましょう依頼先は、弁護士などです契約時に立ち会ってもらうのでなければ、依頼費用も1万~3万円程度でしょう。安心を買うのだと思えば、それほど高くはありません。できる限り弁護士などの意見を仰ぎましょう

2.買取型サブリース会社には用心する

サブリース契約から一定期間が経過したら物件を買い取るとするサブリース会社もあります。しかしよほどのことが無い限り、物件の価値は年月の経過とともに下がっていきます。それでも価値の下がった物件を買い取ると言うのであれば、そのためには満たすべき条件や制約がたくさんあることでしょう。オーナーにとって不利な内容ほど、よく確認しておくべきです。買取型のサブリース会社と契約するのであれば、買い取りの条件をよく聞き出しておきましょう

3.先々の営業戦略を尋ねてみる

どんな物件も、10年、20年と時間が経てば古い物件になります。そうなれば自然と、そこから退去していく住人も増えていくことでしょう。また、物件の周辺環境が変わり、利便性や人口の面で大きな変化が生じるかもしれません。それが物件にとってプラスの影響であれば良いですが、賃貸経営という面ではマイナスの方向に変化していく可能性もあります。また、水害や地震などの災害による物件の劣化も可能性として想定するべきです。サブリース契約を結ぶ前に、物件の大規模修繕が生じたらどうするつもりか、物件の魅力が薄れていった時にはどう入居者を確保するかなど、先々に起こるであろう事態についてどのような戦略を練っているのかを質問してみましょう担当者がこのような質問に何も答えられないなら、少し慎重になってみた方が良いかもしれません。

まとめ

サブリースでのトラブルは、一般のトラブル以上に厄介なものになりがちです。相手はプロの不動産業者だからです。悪意のある不動産業者ならば、訴訟を起こされてもあの手この手で逃げられるよう準備していることでしょう。そのような相手に、素人が一人で立ち向かっても勝ち目はほとんどありません。クレームにすらまともに応対してもらえないこともあります。であれば、こちらも法律のプロを伴って応戦しましょう。泣き寝入りをする前に、まずは弁護士にトラブルについて相談して下さい。自分では思いつかなかったような、最善の解決策が見つかるかもしれません。

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