郊外マンションが売れない原因3つ
郊外マンションが売れない主な原因としては、次の3点があげられます。
- 価格下落のリスクが高い
- 地域の過疎化が進み発展性がない
- 都市部と比較して注目されにくい
実情として、都市部のマンションと比較して不利な点が多くなります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
価格下落のリスクが高い
郊外マンションは、都市部のマンションと比べて価格下落のリスクが高くなります。
マンションに限らず、住宅の需要は地域人口が少ないほど下がります。需要が低ければ価格相場は低くなり、値下がりのペースも早くなるのが原則です。
また、郊外は土地が余っていることも重要です。土地が余っているということは新築を建てやすく、個人でマイホームを建てるケースや、新しいマンションを建てるケースが多くなります。
つまり、あえて中古マンションを購入せずとも広くてきれいな住宅を取得しやすいため、中古のマンションを買うメリットが少ないのです。
もともとの需要の低さに加え、中古のマンションを買う人が少ないことから、価格の下がりやすさにつながっています。
地域の過疎化が進み発展性がない
少子高齢化が進む現代では、郊外の過疎化も深刻な問題です。過疎化が進むとマンションの需要が下がるだけでなく、地域全体の活気もなくなります。
具体的には商業施設の撤退や小・中学校の統廃合、交通機関の廃止などが起こり、利便性が下がっていくといった事態が考えられます。
利便性が下がればますます人口は流出し、過疎化もより進行します。こうした悪循環に陥る可能性から、郊外のマンションも避けられやすくなってしまうのです。
都市部と比較して注目されにくい
郊外マンションと都市部マンションを比べると、注目度に違いがあることも売却に影響します。
都市部のマンションは「都市にある」というだけで様々なメリットがありますし、東京23区・大阪・名古屋などは、エリア自体にブランド力をもっています。
一方の郊外マンションは、その地域に強い特徴がなければ買主の目を引くことも困難です。広告を出しても、都市部の数ある物件に埋もれやすくなります。
あえて郊外マンションを探すような人が少ないため、より売りにくくなってしまうのです。
売れない郊外マンションを売却するための対策9選
郊外マンションが売りにくいことは事実ですが、一切売れないというわけではなく、対策次第で売却は可能です。
大切なのは、中々売れない状況が続いても諦めず、自分のできる範囲で適切な対策を打っていくことです。
スムーズな売却を実現するための対策を、1つずつ詳しく見ていきましょう。
1.複数の不動産会社を比較する
郊外マンションに限らず、不動産の売却でとくに重要なのは「不動産会社選び」です。売却期間も売却価格も、不動産会社によって大きく変わります。
不動産会社ごとに培ってきた売買ノウハウや顧客ルートが異なるため、ある会社では1年以上売れなかった物件が、別の会社だと1ヶ月以内に売れるというケースもあり得ます。
そのため、複数社を比較し売却物件と相性の良い不動産会社を見つけることが、郊外マンションをスムーズに売却する最大のコツです。現在依頼している不動産会社があるなら、他社への切り替えも検討してみましょう。
具体的な比較方法としては、一括査定サイトの利用がもっとも手軽で確実なのでおすすめです。各社が提示する査定額や売却予想期間、担当者の態度から、優良業者を見つけられます。
仲介の場合は媒介契約の種類も重要
マンション売却は、不動産会社のなかでも「仲介業者」に依頼するのが一般的です。仲介とは手数料の代わりに買主募集や売買手続きのサポートをおこなう依頼方式で、「媒介契約」ともいいます。
「媒介契約」にはさらに3つの契約方式があり、どの契約を結ぶかで売主・業者双方の制限が変わります。
媒介契約 |
メリット |
デメリット |
一般媒介契約 |
・同時に複数の不動産会社へ依頼できる ・自分で買主を見つけても良い |
・不動産会社にレインズへの登録や状況報告の義務なし |
専任媒介契約 |
・不動産会社は7日以内にレインズへ登録する義務がある ・2週間に一度以上、必ず状況報告がある ・自分で買主を見つけても良い |
・1社にしか仲介を依頼できない |
専属専任媒介契約 |
・不動産会社は5日以内にレインズへ登録する義務がある ・1週間に一度以上、必ず状況報告がある
|
・1社にしか仲介を依頼できない ・自分で買主を見つけるのは不可 |
基本的には、一般媒介だと買主が見つかりにくく、専任媒介や専属専任媒介契約のほうが早く売却できます。
なぜなら、専任媒介・専属専任媒介は1社としか契約できないので、不動産会社からすれば他社に成約を取られる心配がなく、営業活動に最大限のリソースを注げるからです。
人気エリアの物件であったり、自分で売主を見つけられる可能性があったりすれば一般媒介もおすすめですが、郊外マンションのように売りにくい物件は専任媒介・専属専任媒介を契約しましょう。
価格よりスピード重視なら買取も要検討
マンション売却を依頼できる不動産会社には、仲介業者のほかに「買取業者」があります。買取業者とは、文字通り物件を直接買い取る業者です。
買取の特徴は、買主を探す手間がないため、仲介より早く売却できる点です。査定から現金化まで、早ければ数日で終わります。
また、買取業者は物件を再生・再販することで利益を得る業態なので、郊外マンションのように普通では売りにくい物件も売却しやすいメリットがあります。
ただし、買取価格は再生・再販するためのコストが差し引かれるため、仲介で売るより2~5割ほど安くなる点には注意が必要です。「安くなっても早く売りたい」という場合は買取を検討してみましょう。
2.価格を下げる
売れない状態が続いている場合、価格設定が高過ぎる可能性もあります。安値に設定すれば、買い手が見つかるかもしれません。
価格を下げるときのポイントは、事前に相場価格をしっかり把握しておくことです。不必要に下げ過ぎると損になってしまいますし、買主側からも「トラブルを抱えた物件では?」と警戒される恐れがあります。
相場価格を把握するときは、不動産ポータルサイトで近隣の物件価格を調べたり、国土交通省の「不動産取引価格情報検索」や不動産流通機構の「REINS Market Information」で過去の取引事例を調べるといった方法があります。
また、一括査定で複数の査定額を入手し、平均値を出す方法も手軽に相場を知れるのでおすすめです。
相場価格を把握したら、それより少し安い程度まで値下げし、反響を見てからその後の値下げを検討すると良いでしょう。ただし、少しでも早く売りたいのであれば一度に10~20%と大幅値下げするのも方法の1つです。
3.売却時期を変えてみる
売却時期が悪いために売れないケースもあるので、一度売却を取り下げ、売りやすい時期まで待つという方法もあります。
不動産が売れやすくなるのは、基本的に人の移動が多くなる時期です。具体的には3月ごろに成約しやすいため、その少し前、1月あたりから売り出すのが良いでしょう。
反対に、暑さで内見希望者が減る8月や、年末でなにかと忙しい11・12月は売却しにくくなるため避けたほうが無難です。
時期を変えることで不動産を探す人が増え、買主募集の広告も目に留まりやすくなります。
4.ハウスクリーニングや傷んだ箇所の修繕をおこなう
中古マンションの売買において、室内の管理状態は買主の意思決定に大きく影響します。見た目からして経年劣化が激しかったり、設備などの不具合が目立ったりすると、売却は困難です。
まずは自分がおこなえる範囲で清掃を徹底し、それでも取れない汚れや臭いがあればハウスクリーニングを検討しましょう。とくに、タバコやペットの臭いは個人では取り切れないため、プロの手を借りるのがおすすめです。
設備などの修繕については、費用が高くなるようであれば無理のない範囲に留めておきましょう。自分で直さず、売却価格から修繕費用を差し引く方法もあります。
入居する前の状態まで近づければ、現状のまま売るより成約率を上げることが可能です。
5.ホームインスペクションを受ける
ホームインスペクションとは、建物の専門家が物件の状態をチェックし、不具合がないか調べてもらうサービスです。
すぐに修繕が必要な箇所だけでなく、今後どのような部分で修繕が必要になるかや、そのときの費用目安まで教えてもらえます。
指摘された箇所を修繕することで成約率を上げることもできますし、買主も今後の管理計画を立てやすくなるので安心して購入できます。
不具合が出やすい築古物件ほど、売却しやすくなる効果を実感できるでしょう。
6.ホームステージングを利用する
内見時に物件の印象を上げる方法として、ホームステージングというサービスがあります。インテリアや照明をコーディネートし、室内をモデルルームのように演出するというサービスです。
その部屋に住んだときの快適さを伝えることができるので、買主の購買意欲を刺激し、成約しやすくなる効果があります。
実際にホームステージングで売却期間を短縮できたというデータもあるので、中々売れない郊外マンションの売却時にはぜひ検討してみましょう。
参照:一般社団法人 日本ホームステージング協会「ホームステージングとは」
7.郊外マンションのメリットをアピールする
郊外マンションはデメリットばかりが目立ちやすいため、売主として「実際に購入・入居してわかったメリット」を伝えることも大切です。
郊外マンションのメリット例としては、
- 都市部より相場が安い
- 公園や河川など自然が豊か
- 人通りが少なく落ち着いた雰囲気
- 見晴らしや風通りが良い
などがあげられます。
これらの特徴を広告に記載したり、内見時に伝えたりすることで、成約率を上げることが可能です。
8.リフォームしてみる
経年劣化が激しい物件や、間取り・内装が現代のニーズに合っていない物件なら、リフォームするのも方法の1つです。
壁紙を変えて室内の印象を変えたり、対面式キッチンやワークスペースなど最近の流行に合わせた間取りにするなど、発想次第で様々なリフォームができます。
ただし、リフォームは大掛かりなものになると1,000万円以上かかる場合もあるため、赤字にならないよう気をつける必要があります。リフォーム費用を丸ごと売却価格に上乗せできるとは限らない点も要注意です。
まずは不動産会社と相談し、リフォームでどれくらい売りやすくなるかや、上乗せできる価格など費用対効果を検証してみましょう。
9.入居者を見つけてから「オーナーチェンジ物件」として売り出す
マンションは投資目的で買う人も多く、そのような買主には「オーナーチェンジ物件(入居者がいる状態の物件)」だと売りやすくなります。
入居者がいる状態ならすぐに賃料収入が得られますし、賃料基準で売却価格を決めるのが一般的なので、築古でも高く売れる可能性があります。
また、しばらく賃貸物件として運営してみて、収益が安定しそうであれば売らずに収入源として持ち続けることも可能です。
郊外マンションを放置しているとどんなリスクがある?
郊外マンションが売りにくいからといって、いつまでも放置していると次のようなリスクが発生します。
- 中古マンションの増加で今後ますます売れなくなる
- 大規模修繕の費用負担が重くなる
- 管理組合が機能不全になり必要な修理がおこなわれない
- 相続で権利関係が複雑になる
目的もなく持ち続けてもデメリットが多いので、不要な場合はなるべく早く売却すべきです。
リスクをそれぞれ詳しく見ていきましょう。
中古マンションの増加で今後ますます売れなくなる
日本にマンションが建てられ始めた1960年代以降、戸数は増加し続けています。
下記は、国土交通省が作成した分譲マンションのストック戸数(現存する全戸数)を表すグラフです。新規供給戸数は年によって異なりますが、ストック戸数は右肩上がりで増えています。
画像引用:国土交通省「マンションに関する統計・データ等 分譲マンションストック戸数(2021年末現在)」
マンションは長ければ60年、70年と使えるため、新規で建てられ続ける限りストック戸数も増え続けることになります。
近い将来、中古マンションが溢れかえってまったく売れなくなる可能性もゼロではありません。利用価値のない物件を抱え込むのを避けるには、需要が残っているうちに売却したほうが良いでしょう。
大規模修繕の費用負担が重くなる
マンションの所有者は、定期的な大規模修繕に備えて修繕積立金を負担します。毎月数万円を支払っている人が多いでしょう。
積立金の金額は大規模修繕にかかる総費用をもとに設定されますが、大規模修繕は2回、3回と回数を重ねるごとに高くなります。つまり、築年数が古い物件ほど月々の修繕積立金も高くなるということです。
また、多くのマンションは積立金だけで修繕費をまかなえず、工事をする年に一時金を負担することになります。物件によりますが、一戸につき100万円以上を請求されることも少なくありません。
長く保有するほど負担が重くなるため、経済的余裕がなくなる前に売却しておくようにしましょう。
管理組合が機能不全になり必要な修理がおこなわれない
中古マンションに多いトラブルとして、管理組合の機能不全があげられます。組合員(各部屋のオーナー)の高齢化であったり、相続で権利関係があやふやになったりして、重要事項の決定ができなくなるという問題です。
管理組合が機能不全になると、修繕の手配や規約違反者への対応、建て替えの決定など、マンション全体の問題を話し合う機会がなくなってしまいます。
結果としてマンションの住環境が悪くなり、住人同士のトラブルや落書き・器物破損といった犯罪被害が増えるかもしれません。
また、管理組合が機能しているかどうかは外部からも調べることができるので、ますます売却が困難になります。健全な組合運営ができているうちに売り出したほうが、売却はしやすいでしょう。
相続で権利関係が複雑になる
先にも少し触れましたが、マンションは相続で権利関係があやふやになるケースが珍しくありません。
相続時に適切な手続きをおこなったり、相続の繰り返しで複数人の共有名義になっていたりすると、だれがどれくらいの権利を持っているか把握が困難となります。
売却・賃貸どちらも権利者間の話し合いが必要となるので、マンションを遺すことで子供・孫世代に迷惑をかける可能性があります。将来のトラブルを防ぐためには、早めに売却したほうが良いでしょう。
郊外マンションを売るときの注意点
郊外マンションを売るにあたって、事前に押さえておきたい注意点は次の3つです。
- 売却期間は長めに見積もる
- 売却にかかる費用を把握しておく
- 物件に問題点があれば正直に告知する
売却に失敗して後悔しないよう、これらの注意点をしっかり把握しておきましょう。
それぞれ詳しく解説していきます。
売却期間は長めに見積もる
マンションの売却は、おおむね2~3ヶ月程度で成約するのが一般的です。不動産会社の査定も、基本的に「3ヶ月以内に売れるであろう金額」を提示されます。
しかし、実際にどれくらいの期間で成約するかは、売り出してみるまでわかりません。半年や1年以上かかる場合もありますし、反対に1ヶ月程度で売れる場合もあります。
大切なのは、売却期間に余裕を持たせて焦らないようにすることです。焦って売ろうとすると、不必要に値下げしてしまったり、悪徳業者にだまされて高額なリフォーム工事を契約するなどのミスを犯す恐れがあります。
後悔のない売却をおこなうためには、売却期間にゆとりを持たせ、腰を据えて売却活動にあたることが重要です。
売却にかかる費用を把握しておく
マンションの売却では様々な支出が発生するため、具体的にどれくらいの費用になるか事前に計算しておきましょう。
代表的な売却費用と金額の目安は、次の通りです。
上記のほか、状況次第ではローンの繰り上げ返済や引っ越し費用なども発生します。
どのタイミングでいくらぐらい必要になるのか、お金が流れを意識しながらシミュレーションしてみましょう。
物件に問題点があれば正直に告知する
設備の故障や欠陥工事、自殺・事故死の発生など、なんらかの問題を抱えている物件は、買主に隠さず告知するようにしましょう。
告知をおろそかにした場合、契約不適合責任を問われてトラブルになる恐れがあります。
契約不適合責任とは?
引き渡した物件が契約内容に適合しないときに売主が負う責任の範囲を定めたもの。損害賠償のほか、追完(補修もしくは不足数量の補完をすること)や、代金の減額、契約解除などを請求される可能性がある。
買主の購入意思決定を左右する事実を隠していると、悪意があるとみなされて弁明できなくなります。
自分が把握していることは正直に伝え、売却後に訴えられないようにしておきましょう。
まとめ
郊外マンションの需要は低く、都市部と比べれば売りにくいのは確かです。
しかし、不動産会社に丸投げせず、売主が積極的に対策を打つことで、スムーズに売却できる可能性もあります。
まずは優良な不動産会社を見つけ、協力しながら自分のできる範囲で対策をおこなっていきましょう。
郊外マンションの売却についてよくある質問
「郊外にあるマンションは売却できない」というのは本当ですか
確かに、都市部と比べて郊外のマンションは売りにくいのが実情です。しかし、まったく売れないということはなく、工夫次第でスムーズに売却することも可能です。
郊外マンションが売れない原因はなんですか?
都市部と比べて資産価値が下がりやすい点や、地方の過疎化が進んでいること、マイナーな地域だと注目されないことなどが原因としてあげられます。
郊外マンションをスムーズに売る方法はありますか?
複数の不動産会社を比較して相性の良い不動産会社を見つけることが大切です。そのうえで、価格の値下げや内見対策など具体的な対策を打つと良いでしょう。
郊外のマンションを放置していると、なにかデメリットはありますか?
中古のマンションは今後ますます増えていく恐れがあり、より売却しにくくなる恐れがあります。また、維持・管理がされず、スラム化してしまうケースもありえるでしょう。
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