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袋地は売却できる?売却相場や売却方法・注意点を解説

袋地は売却できる?売却相場や売却方法・注意点を解説

袋地でも売却は可能です。ただし、建築や通行の条件によって買主や売却価格が変わるため、「通常の土地価格の何割」といった一律の相場では判断できません。

売却方法には、隣地所有者への売却、不動産会社の仲介、買取などがあり、現状のまま売却を検討することもできます。隣地を購入して接道条件を改善する場合も、売却価格だけでなく、購入費や工事費などを差し引いた手取りが増えるかを比較して判断することが大切です。

本記事では、袋地の売却相場を左右するポイントや売却方法、売却前に確認しておきたい注意点を解説します。

大江剛
監修
大江剛(株式会社クランピーリアルエステート 代表取締役)

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袋地でも売却できる|まず確認したい土地の条件

袋地でも売却できます。ただし、袋地は一般的な宅地と比べて、公道への通行方法や建築の可否が売却価格や買い手に影響しやすい土地です。

まずは、袋地の状態と建築条件を確認しましょう。

袋地は周囲を他の土地に囲まれ、公道に通じない土地

袋地とは、周囲を他人の土地などに囲まれ、公道に通じていない土地のことです。袋地から公道へ出るには、周囲の土地を通行する必要があります。

なお、袋地を取り囲んでいる周囲の土地は「囲繞地(いにょうち)」と呼ばれます。ただし、袋地の所有者が囲繞地のどこでも自由に通行できるわけではありません。

民法210条の要件を満たす袋地の所有者には、公道へ出るために周囲の土地を通行する権利が法律上認められます。一般に「囲繞地通行権」と呼ばれる権利です。

ただし、通行する場所や方法は、袋地の利用に必要で、周囲の土地への損害が最も少ないものを選ばなければなりません。また、通行できることと、その土地に建物を建てられることは別の問題です。

そのため、袋地を売却するときは「公道まで出られるか」だけでなく、「現在の建物を利用できるか」「建て替えが可能か」といった点も確認する必要があります。

なお、囲繞地を所有していて売却を検討している場合は、袋地所有者とは確認すべきポイントが異なります。囲繞地の売却については、以下の記事で詳しく解説しています。

公道へ通行できることと、建築できることは別

袋地から公道へ通行できたとしても、それだけで建築できるとは限りません。

建築できるかどうかは、通路が建築基準法上の道路に該当するか、敷地がその道路に必要な幅で接しているかなどを確認する必要があります。

建築基準法の接道規定が適用される区域では、建築物の敷地は原則として、建築基準法上の道路に2m以上接していなければなりません。ただし、道路の種類や自治体の条例、接道義務の例外規定などによって扱いが異なる場合があります。

そのため、袋地に通行できる通路があったとしても、その通路が建築基準法上の道路に該当するとは限りません。

また、一定の条件を満たす場合には、建築基準法43条2項の認定・許可によって、接道義務の原則とは異なる扱いを受けられる場合があります。ただし、利用できるかどうかは、敷地や周辺の状況、建築計画、自治体の基準などによって個別に判断されます。

そして、現在建物が建っていることだけを理由に、将来も同じ場所で建て替えられるとは限りません。建て替えを検討する場合は、現在の接道状況や道路の種類、適用される規定などを確認する必要があります。

売却前に建築の可否を確認する場合は、土地の所在地を管轄する自治体の建築担当窓口などに相談し、接している道路の種類、接道状況、認定・許可の可能性、条例などを個別に確認することが重要です。

袋地の売却相場は?価格を左右するポイント

袋地の売却価格は、「通常の土地価格の何割」といった一律の基準では決まりません。建築の可否や通行条件、建物の状態、立地など、土地ごとの条件によって価格が変わるためです。

周辺の土地の取引価格を参考にしながら、袋地特有の条件を踏まえて査定してもらうことが大切です。

「通常の土地の何割」と一律には決められない

袋地の売却価格は、「通常の土地価格の3割」「7割」などと一律には決められません。インターネット上には一定の割合を目安として紹介する情報もありますが、実際の価格は土地ごとの条件によって変わります。

たとえば、建て替えができるか、どのように公道へ出られるか、古家を利用できるかなどによって、買主が土地をどのように利用できるかが変わります。そのため、同じ地域・同じ面積の袋地でも、売却価格が同じになるとは限りません。

売却価格の目安を知るには、国土交通省の「不動産情報ライブラリ」で周辺の土地の取引価格を確認する方法があります。

ただし、周辺の一般的な宅地の価格を、そのまま袋地の売却価格と考えないことが重要です。周辺の取引価格を参考にしながら、袋地特有の条件を反映して査定してもらいましょう。

なお、相続税評価額や固定資産税評価額も、実際の売却価格とは別のものです。これらの評価額だけを見て「この金額で売れる」と判断するのは避けましょう。

建築の可否・通行条件・建物の状態が査定に影響する

袋地の査定では、土地の面積や立地だけでなく、買主がその土地をどのように利用できるかも確認されます。

主な確認項目は次のとおりです。

確認項目 確認するポイント
建築条件 建築・建て替えの可否、接道改善の可能性
通行条件 通行経路や幅、徒歩・車両での利用状況
通行の根拠 通行権の種類、契約書・承諾書などの書面、費用負担
給排水など 給水管等の経路、利用・修繕・工事の条件
建物 古家を利用できるか、修繕・解体が必要か
工事条件 建築・解体時に車両や資材を搬入できるか
土地・周辺環境 立地、土地面積、周辺の需要

特に重要なのが、建築できるか、通行にどのような条件があるかです。建て替えが難しい土地や、通行方法に制限がある土地では、買主が想定できる利用方法も限られるためです。

古家がある場合も、解体すれば必ず有利になるとは限りません。建物を利用したい買主もいるため、建物の状態や修繕費、解体費などを踏まえて判断する必要があります。

隣地所有者への売却と第三者への売却では評価が変わることがある

袋地は、隣地所有者と第三者では購入する目的が異なるため、売却先によって評価が変わることがあります。

隣地所有者であれば、袋地を取得して自分の土地と一体的に利用したり、敷地を広げたりできる場合があります。そのため、第三者にとっては利用しにくい袋地でも、隣地所有者には購入するメリットが生じる可能性があります。

ただし、隣地所有者に購入する意思があるとは限りません。土地を広げる必要がない、購入資金を用意できないなどの事情があれば、取引につながらないこともあります。

そのため、「袋地だから隣地所有者に高く売れる」とは限りません。隣地所有者への売却と第三者への売却の両方を選択肢として考え、条件を比較するとよいでしょう。

袋地を現状のまま売却する方法

袋地は、隣地を購入したり接道条件を改善したりしなくても、現在の状態のまま売却を検討できます。主な方法は、隣地所有者への売却、不動産会社の仲介、買取の3つです。

どの方法が適しているかは、売却価格だけでなく、買主を探す期間や交渉の負担、物件の条件などを踏まえて判断しましょう。

隣地所有者に購入意向を確認する

袋地は隣地所有者にとっても利用価値が生じる場合があるため、売却を検討する際は、まず購入意向を確認する方法があります。

声をかける場合は、価格だけでなく、どの範囲を購入したいのか、どのように利用したいのか、いつ引き渡せるのかなども確認すると、具体的な条件を整理しやすくなります。

一方、袋地に通行する権利があることを理由に、隣地所有者へ購入を迫るのは適切ではありません。購入する意思や資金面の事情もあるため、あくまで選択肢の一つとして相談しましょう。

直接の交渉に不安がある場合は、不動産会社に仲介を依頼して、間に入ってもらうこともできます。

また、袋地と隣地の双方を売却できる状況であれば、2つの土地をまとめて第三者に売却する方法も考えられます。ただし、売却価格の配分や契約条件などを所有者同士で調整する必要があります。

不動産会社の仲介で条件に合う買主を探す

隣地所有者に売却する以外にも、不動産会社の仲介を利用して、袋地の条件を理解した第三者の買主を探せます。

仲介では、不動産会社が物件の調査や価格査定を行い、購入希望者を探して売買の成立をサポートします。袋地であっても、建物をそのまま利用したい人や、土地の条件を理解したうえで購入を検討する人が見つかれば、第三者への売却を進められます。

ただし、袋地は一般的な宅地と比べて買主が物件を利用できる条件が限られる場合があります。そのため、不動産会社を選ぶ際は、袋地や再建築が難しい土地などの取扱経験があるか、建築・通行条件を調査して買主に説明できるかを確認するとよいでしょう。

また、査定額だけで依頼先を決めるのではなく、どのような買主を想定しているのか、どのような販売方法を取るのか、一定期間売れなかった場合にいつ方針を見直すのかも確認しておくと安心です。

なお、隣地所有者への売却についても、不動産会社に仲介を依頼できます。直接交渉に不安がある場合は、第三者を介して条件を整理する方法も検討しましょう。

売却期限や調整の負担を重視するなら買取を検討する

売却までの期間や買主との交渉負担を抑えたい場合は、不動産会社による買取も選択肢になります。買取では、不動産会社自身が買主となって土地を購入します。

仲介のように一般の買主を探す必要がないため、条件が合えば売却までの手続きを進めやすい点が特徴です。一方で、買取できるかどうかや購入価格は、不動産会社が土地の条件や再販の可能性などを確認したうえで個別に判断します。

また、買取では不動産会社が購入後の再販や活用に必要な費用・リスクなどを考慮して価格を提示するため、仲介での想定成約価格より買取価格が低くなる場合があります。

そのため、「早く売りたい」「買主との交渉に時間をかけたくない」といった事情がある場合は買取を検討し、時間をかけても売却価格を重視したい場合は仲介も含めて比較するとよいでしょう。

袋地だからといって、すべての不動産会社が買取できるわけではありません。

また、買取であれば隣人との問題が必ず解消されるわけでもありません。買取の可否や条件を確認したうえで、仲介の場合の査定額とも比較して判断することが大切です。

接道条件を改善して売却する方法と判断基準

袋地は、隣地の一部を取得したり、一定の制度を利用したりして接道条件を改善できる場合があります。

ただし、接道を改善すれば必ず高く売れるとは限りません。 隣地の取得費や測量・工事費などもかかるため、改善後の売却価格と必要な費用を比較して判断することが大切です。

隣地の一部を購入・交換して道路につながる敷地を確保する

隣地の一部を購入・交換して道路につながる敷地を確保できれば、接道条件を改善できる可能性があります。

ただし、隣地所有者の合意が必要であり、取得した土地の形状や接続先などによって建築できるかどうかは別途確認しなければなりません。

たとえば、袋地と道路の間にある隣地の一部を取得し、道路までの通路状部分を設ける方法があります。ただし、単に「2m幅の土地を購入すれば再建築できる」というわけではありません。

取得した土地が建築基準法上の道路につながっているか、通路状部分の形状や長さに問題がないか、自治体の条例が適用されないかなどを確認する必要があります。

また、隣地の一部を売却・交換すると、隣地所有者側に残る土地の形状や利用方法にも影響します。そのため、価格だけでなく、どの範囲を取得するのか、境界をどうするのか、費用を誰が負担するのかなども含めて交渉することになります。

隣地を購入する場合は、契約を先に進めるのではなく、取得後に想定している敷地で建築できるかを自治体の建築担当窓口などに事前に相談することが重要です。

道路位置指定や43条2項の認定・許可を検討できるか確認する

隣地の取得以外にも、道路位置指定によって接道を確保する方法や、建築基準法43条2項の認定・許可によって建築を検討する方法があります。ただし、両者は効果や要件が異なる制度です。

道路位置指定とは、土地を建築物の敷地として利用するために築造する道について、法令で定められた基準を満たし、特定行政庁から位置の指定を受ける制度です。指定された道は、建築基準法42条1項5号の道路となります。申請には、道路となる土地の所有者など、関係権利者等の承諾も必要です。

一方、43条2項の認定・許可は、一定の条件を満たす建築物について、同条1項の接道義務の適用を除外する制度です。認定・許可を受けても、通路自体が建築基準法上の道路になるわけではありません。

これは、建築基準法42条1項5号に規定されています。

一方、43条2項の認定・許可は、建築基準法上の道路に2m以上接するという原則について、一定の条件を満たす場合に接道義務の適用を除外する制度です。第1号が特定行政庁による認定、第2号が建築審査会の同意を得たうえでの特定行政庁による許可とされています。

ここで注意したいのが、通行承諾書を取得することと、これらの制度を利用できることは別だという点です。隣地所有者から通行の承諾を得られたとしても、それだけで建築基準法上の接道義務を満たすことにはなりません。

道路位置指定や43条2項の認定・許可を利用できるかどうかは、敷地や周辺の状況、予定している建築物、自治体の基準などによって変わります。また、一度認定・許可を受けたからといって、将来のあらゆる建て替えまで認められるとは限りません。

そのため、制度の利用を検討する場合は、所在地を管轄する自治体の建築担当窓口などに相談し、現在の土地でどの制度が利用できるのか、想定する建築計画で認められるのかを確認することが大切です。

改善後の売却価格ではなく、費用を引いた手取りで比較する

接道条件を改善するかどうかは、改善後の売却価格だけでなく、改善にかかる費用を差し引いた手取りで比較して判断することが重要です。

次のように「現状のまま売る場合」と「接道条件を改善してから売る場合」を比較します。

比較項目 現状のまま売却 接道改善後に売却
見込める売却価格 現況での査定額 改善後の条件を踏まえた査定額
隣地の取得費 原則なし 購入・交換にかかる費用
測量・分筆・登記など 必要な費用のみ 測量、分筆、登記などの費用
申請・工事費 原則なし 申請や通路整備などの費用
売却にかかる費用 仲介手数料など 仲介手数料など
売却までの期間 現況で売る場合の期間 交渉・工事・申請などの期間も考慮
その他のリスク 現況の条件による 隣地の合意や認定・許可が得られない可能性

たとえば、接道改善によって売却価格が300万円上がるとしても、隣地の購入費や測量・登記、工事などに250万円かかれば、価格の上昇分だけを見ると改善のメリットは小さくなります。

さらに、売却までの期間が長くなれば、その間の固定資産税などの維持費も考慮する必要があります。

また、隣地所有者との交渉がまとまらない、必要な認定・許可を受けられないなど、計画どおりに接道条件を改善できない可能性もあります。

そのため、接道改善を検討するときは、まず現状のまま売却した場合の査定を受け、そのうえで改善後に見込める価格と必要な費用を比較しましょう。

比較する金額については、税引前の金額なのか、税金を考慮した金額なのかをそろえて確認することも大切です。税金は取得費や譲渡費用、適用できる特別控除などによって変わるため、具体的な税額については税理士などに確認しましょう。

袋地の売却前に確認したい注意点と進め方

袋地を売却するときは、すべての問題を解決してから不動産会社に相談する必要はありません。

まずは手元にある資料や現在の土地の状況を整理し、分からない点も含めて査定を依頼することから始められます。

特に確認しておきたいのは、通行の方法や権利、給水管などの設備、古家の状態です。あわせて、これらの情報を不動産会社に伝え、査定額や売却方法、契約時の説明事項について相談しましょう。

通行の根拠・経路・費用負担を整理する

袋地では、「どこを通って公道へ出ているか」と「なぜそこを通れるのか」を整理しておくことが重要です。

まず、現在利用している通路の場所や幅、徒歩・車両での利用状況を確認しましょう。そのうえで、次のような通行の根拠がないか、登記や契約書などの資料を確認します。

  • 囲繞地通行権(袋地から公道へ出るための通行権)
  • 通行地役権
  • 土地所有者との契約や通行承諾
  • その他の合意や書面

民法では、周囲を他人の土地に囲まれて公道に出られない土地について、一定の条件で公道へ出るための通行が認められています。ただし、どこでも自由に通れるわけではなく、通行する場所や方法には制限があります。

民法210条に基づいて通行する場合は、原則として、通行する土地に生じる損害に対して償金を支払う必要があります。償金とは、通行によって相手の土地に生じる損害を補うための金銭です。

ただし、土地の分割によって袋地が生じ、民法213条が適用される場合は、原則として他の分割者の所有地のみを通行でき、その通行について償金を支払う必要はありません。土地の所有者が土地の一部を譲渡したことで袋地が生じた場合も、同様のルールが適用されます。

通行先や費用負担を確認する際は、現在の利用状況だけでなく、袋地が生じた経緯や過去の合意内容も確認しましょう。

そのため、「袋地だからどこでも通れる」「車でも当然に通れる」と一律に判断することはできません。

通行について書面がない場合や、隣地所有者と通行できる範囲について認識が異なる場合も、すべて解決してから売却する必要はありません。

まずは不動産会社に現在の状況を伝え、何を確認すべきか相談しましょう。通行権そのものに争いがある場合や、通行を妨げられている場合は、弁護士への相談も検討します。

売却後の通行の扱いは、権利の種類によって異なります。

  • 民法上の囲繞地通行権は、買主も法律上の要件を満たす場合に認められます。
  • 通行地役権は、原則として、その利益を受ける土地の所有権とともに買主へ移転します。ただし、設定内容や登記の有無などを確認する必要があります。
  • 契約や通行承諾に基づいて通っている場合は、買主にも同じ条件で通行が認められるか、契約・承諾の内容を確認する必要があります。

通行地役権の登記や通行承諾書がある場合は、その内容を不動産会社に提示し、必要に応じて弁護士や司法書士にも確認しましょう。

給水管等の経路と工事の条件を確認する

他人の土地を通っている給水管などがある場合は、経路や所有者、修繕・交換などを行う際の条件を確認しておくことが大切です。

まずは、給水管などがどこを通っているのか、誰が所有しているのか、過去にどのような工事をしたのかが分かる資料を集めます。自治体や水道事業者の図面、工事記録、過去の契約書などがあれば、確認資料として役立ちます。

ただし、他人の土地を通行できる権利があるからといって、その土地に給水管などを自由に設置したり、必要なときに自由に掘削したりできるとは限りません。

民法213条の2では、他の土地に設備を設置したり、他人の設備を使用したりしなければ電気・ガス・水道水などの供給を受けられない場合に、必要な範囲で設備を設置・使用する権利を認めています。

法律上の要件を満たせば、相手の承諾が得られない場合でも、この権利が認められます。ただし、相手への損害が最も少ない場所・方法を選び、あらかじめ所有者や土地の使用者に目的・場所・方法を通知するなど、法定のルールに従う必要があります。損害に対する償金や、他人の設備を使用する場合の費用負担も確認が必要です。

権利の有無や工事方法に争いがある場合は、工事を強行せず、弁護士や水道事業者などに相談しましょう。

設備の問題が未解決でも、不動産会社への相談や査定依頼はできます。分からない部分も含めて資料を提示し、自治体や水道事業者などに確認しましょう。

そのうえで、契約・引渡しまでに解決する事項と、買主に説明して契約上の扱いを決める事項を整理することが大切です。

古家の解体や大きなリフォームは売却方針を決めてから判断する

袋地に古家がある場合は、先に解体を決めるのではなく、建物を残す場合と解体する場合のどちらが売却しやすいかを確認してから判断しましょう。

袋地では、建築基準法上の接道条件などによって、現在の建物を解体すると新しい建物を建てられない可能性があります。その場合、解体によって既存の建物を利用したい買主への売却機会を失うことがあります。

一方で、建物の老朽化が進んでいて修繕費が大きい場合や、土地として利用したい買主が想定される場合は、解体したほうが売却しやすいケースもあります。建物の状態、修繕費、解体費、工事車両や資材の搬入条件などを確認し、売却方法と合わせて判断することが大切です。

また、大きなリフォームを検討する場合も注意が必要です。2025年4月以降に着手する工事では、2階建ての木造一戸建て住宅などで行う、建築基準法上の「大規模の修繕・模様替」に建築確認が必要です。

これは、主要構造部である壁・柱・床・梁・屋根・階段のうち、いずれか一種類以上について過半を修繕・模様替えする工事を指します。過半かどうかは種類ごとに判断し、構造上重要でない間仕切壁などは対象となる主要構造部に含まれません。

キッチン・トイレ・浴室の設備交換だけであれば、通常はこれに該当しません。ただし、あわせて行う工事の内容によって判断が変わります。

また、接道義務を満たさない建物でも、大規模な修繕・模様替えが一律に禁止されるわけではありません。建築時などには適法で、その後の法令改正等により現行基準に合わなくなった「既存不適格建築物」では、一定の要件を満たし、必要な認定を受けることで接道義務に関する緩和を利用できる場合があります。

工事を検討する際は、建築確認の要否だけでなく、既存建物の法的な状態や緩和制度の適用可否も、建築士や自治体の建築担当窓口などに確認しましょう。

同じ資料で査定を比較し、既知の問題を契約に反映する

袋地の査定を比較するときは、できるだけ同じ資料と条件を各社に伝え、査定額だけでなく査定の根拠や売却方法まで比較しましょう。

また、通行や建築、給排水などについて把握している問題があれば、早い段階で不動産会社に伝え、買主への説明や契約内容への反映方法を確認することが大切です。

まずは、手元にある次のような資料をまとめます。

  • 登記事項証明書などの登記関係書類
  • 公図や地積測量図、確定測量図など
  • 境界に関する資料
  • 通行に関する契約書・承諾書など
  • 給水管などの設備に関する資料
  • 建物の確認済証や図面、修繕履歴など

資料が不足していても、査定を依頼できないわけではありません。「資料がない」という状態も含めて不動産会社に伝え、何を追加で確認する必要があるのか相談しましょう。

複数社に査定を依頼するときは、同じ資料と条件を提示したうえで、次の点を比較すると判断しやすくなります。

比較する項目 確認するポイント
査定額 価格の根拠や周辺の取引事例
売却方法 仲介・買取など、どの方法を想定しているか
費用 仲介手数料など、売却時に必要な費用
売却期間 どの程度の期間を想定しているか
引渡し条件 建物・通行・設備などをどのような状態で引き渡すか

なお、仲介会社が提示する査定額は、その金額で売却できることを保証するものではありません。一方、不動産会社による買取は、その会社が買主として提示する価格なので、仲介の査定額とは性質が異なります。

また、建築条件、通行状況、給排水設備、隣地とのトラブルなど、売主が把握している問題や未確認事項があれば、早い段階で不動産会社に伝えましょう。買主への説明や契約内容を検討する際の重要な情報になるためです。

「現状有姿で引き渡す」と契約書に記載するだけで、売主の契約不適合責任が当然にすべて免除されるわけではありません。契約不適合責任とは、引き渡した物件が契約で約束した内容に合っていない場合に、売主が負う責任です。

また、責任を免除する特約を設けても、民法572条により、売主が知りながら買主に告げなかった事実などについては責任を免れません。

通行・建築・設備などについて把握している問題は買主に説明し、物件の状態や売主・買主の負担を契約書などに具体的に記載しましょう。

まとめ

袋地でも売却は可能で、隣地所有者への売却や不動産会社の仲介、買取など、現状のまま売却を検討できる方法があります。建築や通行に制限がある場合でも、土地の条件に合った売却方法を選ぶことが大切です。

また、隣地の一部を購入するなどして接道条件を改善できれば、売却条件が変わる可能性があります。ただし、隣地の取得費や測量・登記、工事などの費用がかかるため、改善後の売却価格だけで判断するのは適切ではありません。接道改善が実現できるかを確認したうえで、必要な費用を差し引いた手取り額を比較しましょう。

まずは、建築の可否や通行の方法・権利、古家の状態などを整理し、現在の状態で不動産会社の査定を受けてみることをおすすめします。

資料が不足していたり、通行や建築について分からない点があったりしても、最初からすべてを解決する必要はありません。現在分かっている情報を伝えたうえで、売却方法や追加で確認すべき事項を相談するとよいでしょう。

袋地の売却に関するよくある質問

袋地の売却には隣地所有者の同意が必要ですか?

自己所有の袋地を売却すること自体について、原則として隣地所有者の同意は必要ありません。ただし、契約に基づく通行を買主にも認めてもらう場合や、隣地の一部を購入して接道を改善する場合などは、契約内容に応じた承諾や合意が必要になることがあります。

袋地を売却するときに測量は必要ですか?

測量が必須とは限りませんが、境界や通路の範囲が不明確な場合などは、売却条件を整理するために測量が必要になることがあります。

袋地を売却すると通行権はどうなりますか?

民法上の囲繞地通行権は、買主も法律上の要件を満たす場合に認められます。通行地役権は原則として土地の所有権とともに移転しますが、契約や通行承諾による通行は、買主にも同じ条件が適用されるか確認が必要です。売却前に、通行の根拠や登記・書面の内容を整理しましょう。

袋地は古家を残したまま売却できますか?

古家を残したまま売却することは可能ですが、建物の状態や再建築の可否などを確認し、解体した場合との売却条件を比較して判断しましょう。

袋地の売却で税金はかかりますか?

個人が袋地を売却した場合、売却代金から取得費・譲渡費用を差し引き、利用できる特別控除を適用した後に課税対象の譲渡所得が残れば、原則として所得税・復興特別所得税・住民税がかかります。また、課税対象となる紙の売買契約書を作成する場合には、利益の有無とは別に印紙税がかかります。

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    更新日 : 2026年09月13日
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