マンションの売却と賃貸にかかる費用を比較
「マンションを売却して完全に手放すか?賃貸物件として貸し出すか?」で悩んだ場合、かかる費用を判断基準にしましょう。
マンションを売却・賃貸することで売却益や家賃収入を得られますが、費用をかけ過ぎては赤字になってしまうからです。
はじめにマンションを売る場合と賃貸経営する場合について、それぞれどのような費用が必要になるのかを解説します。
マンションを売却する際にかかる費用
まずはマンションを売却する場合にかかる費用を見ていきましょう。
マンション売却において費用がかかるタイミングは、売却時と売却後の2回です。
売却時にかかる費用 |
仲介手数料 |
印紙税 |
抵当権抹消費用 |
住宅ローンの完済手数料 |
売却後にかかる費用 |
譲渡所得税 |
マンション売却時にかかる費用
マンションを売却するタイミングでは、以下の費用がかかります。
- 仲介手数料
- 印紙税(売却金額によって数万円)
- 抵当権抹消費用(抵当権が残っている場合)
- 住宅ローンの完済手数料(住宅ローンが残っている場合)
マンション売却時にかかる費用の合計は、マンションの売却価格の約5〜7%といわれています。
不動産売却にかかる費用を詳しく知りたい人は、こちらの記事もご覧ください。
マンション売却後にかかる税金
マンションを売却して利益が発生した場合は「譲渡所得税」が課税されます。
「譲渡所得税」とは、所得税・復興特別所得税・住民税をまとめた総称で、マンション売却で得た利益「譲渡所得」に対して課税されます。
マンションの売却価格がそのまま譲渡所得になるわけではなく、マンションを取得する際にかけた費用や売却時にかかった費用が差し引かれます。
ちなみに譲渡所得税には「短期譲渡所得」と「長期譲渡所得」の2種類があり、それぞれ税率が異なります。
短期譲渡所得 |
所有期間が5年以下
(マンション売却年の1月1日時点) |
長期譲渡所得 |
所有期間が5年を超える
(マンション売却年の1月1日時点) |
以下のように「短期譲渡所得」は税率が安いですが「長期譲渡所得」は税率が高くなってしまうため注意しましょう。
税金 |
短期譲渡所得 |
長期譲渡所得 |
所得税率 |
30% |
15% |
復興特別所得税率 |
0.63% |
0.315% |
住民税率 |
9% |
5% |
合計税率 |
39.63% |
20.315% |
マンションで賃貸経営をする際にかかる費用
マンションで賃貸経営をおこなう場合にも、もちろん費用がかかります。
マンションを賃貸物件にする場合、賃貸経営を始めた後も継続的に費用がかかり続けるため注意が必要です。
開始前にかかる費用 |
管理委託手数料 |
清掃・修繕費 |
開始後にかかる費用 |
固定資産税 |
管理費・修繕積立金 |
所得税 |
設備修繕費 |
管理委託手数料 |
清掃費 |
賃貸経営を始める前にかかる費用
マンションを賃貸経営を始める場合、まずは以下の費用がかかります。
マンションの管理を管理会社に任せる場合、委託手数料を支払う必要があります。
自分で管理するのであれば、管理会社に委託する必要はありませんが、物件が遠方にある場合や、賃貸経営に慣れていない場合は管理会社に委託した方がよいでしょう。
また入居者を集めるために、マンションを清掃・修繕しなければなりません。
賃貸経営を始めた後も定期的にかかる費用
マンションを賃貸物件にした後、以下の費用がかかります。
- 固定資産税
- 管理費・修繕積立金
- 所得税
- 設備修繕費
- 管理委託手数料
- 清掃費(退去者が出た場合)
賃貸物件にしても、マンションの所有権はオーナーにあるので、固定資産税を毎年支払わなければなりません。
また家賃収入に対する所得税や、管理会社への管理手数料も継続的に負担していく必要があります。
物件内の設備が故障した場合も、オーナーの費用で修繕しなければなりません。
さらに入居者が退去した場合、次の入居者を募集するために、退去した部屋を清掃・修繕する必要もあります。
マンションは売却するべき?賃貸にするべき?
マンションを利用しない場合「いますぐ売却するか?賃貸物件にするか?」どちらにするかで迷ってしまう人が多いです。
|
売却 |
賃貸経営 |
利点 |
まとまったお金がすぐに手に入る |
継続的な不労所得が得られる |
基本的には、見込める家賃収入と賃貸経営にかかる費用から利益を計算して、以下のように判断するとよいでしょう。
マンションを売却するべきケース |
家賃収入<賃貸経営のコスト |
マンションで賃貸経営するべきケース |
家賃収入>賃貸経営のコスト |
とはいえ「どの程度の家賃収入が見込めるか?」や「賃貸経営にいくらかかるか?」は素人には判断がむずかしいです。
そこでこの項目では、マンションを売却した方がよいケースとマンションを賃貸物件にした方がよいケースについて、わかりやすい具体例で解説します。
それぞれのケースについて、順番に見ていきましょう。
マンションを売却した方がよいケース
まずはマンションを売却した方がよいケースについて解説します。
以下のような場合、マンションを賃貸物件にせず売却した方がよいでしょう。
- 将来的にマンションを使う予定がない場合
- 賃貸物件としての需要が見込めない場合
わかりやすくいうと、家賃収入よりも賃貸経営にかかるコストの方が高いケースです。
それぞれどういったケースか、具体的に見ていきましょう。
将来的にマンションを使う予定がない場合
将来的にマンションを使う予定がないのであれば、賃貸物件にはせず早急に売却した方がよいです。
賃貸経営を始めたとしても、家賃収入が手に入る代わりに、毎年の固定資産税といった維持費も払い続けなければなりません。
また「とりあえずマンションを残しておきたい」と迷う人も多いですが、売却を先延ばしにするほどマンションの資産価値が下がり、売却価格も安くなります。
「もっと早く売ればよかった」と後悔する人も多いので、将来的にマンションを利用する可能性が低ければ、思い切って早めに売却することをおすすめします。
賃貸物件としての需要が見込めない場合
賃貸物件として需要が見込めない場合、家賃収入よりも賃貸経営にかかる費用が上回って赤字化してしまいます。
以下のような場合、賃貸経営としての需要が少なく、空室が生まれやすいです。
- 徒歩圏内に駅・バス停がない
- 徒歩圏内にスーパー・コンビニがない
- 築年数が古く物件の状態がきれいでない
このような物件は家賃収入で不労所得を得るどころか、支出を産むだけの負の財産になってしまいます。
また賃貸物件の入居者もずっと住み続けてくれるわけではなく、数年単位で入れ替わるため、その度に新しい入居者を見つけなければなりません。
一方でマンション売却であれば、買主を一度見つけるだけで済みます。
そのため、安定して入居者が見つかる見込みが低いのであれば、リスクを抱えて賃貸経営をおこなうのではなく売却してしまった方がよいでしょう。
マンションを賃貸物件にした方がよいケース
つづいて、賃貸物件にした方がよいケースを見ていきましょう。
以下のような場合、マンションを売却せず賃貸物件にした方がよいでしょう。
- 立地がよいので安定した家賃収入が見込める
- 将来的にはマンションへ戻る予定がある
わかりやすくいうと、賃貸経営にかかるコストよりも家賃収入の方が高いケースです。
具体的にどのようなケースなのか、1つずつ見ていきましょう。
立地がよいので安定した家賃収入が見込める
駅から徒歩10分圏内のマンションなど、立地がよく賃貸物件としての需要が高ければ、売却するよりも賃貸に出した方がお得でしょう。
賃貸物件の最大のデメリットが空室リスクですが、立地の良いマンションであれば、入居率も高いので空室が起こりにくく、安定した家賃収入が得られます。
とくに分譲マンションの賃貸は、通常の賃貸マンションよりも家賃相場が高い傾向にあります。
ですので、安定した家賃収入が見込めるのであれば、固定資産税や修繕費用を差し引いても、売却するよりも高い利益を得られるでしょう。
将来的にはマンションへ戻る予定がある
また2~3年の短期での海外転勤のように、将来的にはマンションに戻ってくる予定があるならば、賃貸物件にした方がよいでしょう。
このとき普通借家契約で貸し出すと、あなたがマンションへ戻りたいタイミングで都合よく「マンションに帰るから引越してください」と入居者を退去させることはできません。
普通借家契約では入居者が自由に契約を更新できるため、入居者へ立退き料を払って退去してもらうか、入居者が退去するまで別のマンションを借りることになります。
そのため、マンションを貸し出す際は普通借家契約ではなく、契約期間を終えた時点で入居者を退去させられる「定期借家契約」にすることをおすすめします。
マンション売却・賃貸経営どちらにもデメリットがある
マンションを売却する場合、マンションで賃貸経営をする場合、どちらのケースでもデメリットは存在します。
ですので、マンション売却と賃貸経営で迷った際はデメリットを比較してみるのもよいでしょう。
この項目では、マンションを売却する場合のデメリットとマンションを賃貸物件にする場合のデメリットを順番に解説します。
マンションを売却する場合のデメリット
マンションを売却する場合、次のデメリットがあります。
- すぐに売却できるとは限らない
- 住宅ローンが残っていると売却できない可能性もある
マンション売却は買主を見つけて売れば済むため、継続的に続ける必要のある賃貸経営よりも手軽だと思われがちですが、そもそも売却できないケースもあるのです。
それぞれのデメリットを具体的に見ていきましょう。
すぐに売却できるとは限らない
マンションを売りたいと思っても、買主が見つからない限り売却できません。
一般的な中古マンションであれば、3カ月〜半年で売却できますが、必ずしも買主が見つかるわけではなく、そうした場合は値下げしなければ売れないケースもあります。
もし住み替えを検討している場合、マンションを売却できないと二重ローンや売却価格の値下げによって資金計画が破綻してしまい、住み替えできない状況にも陥りかねません。
そのためマンションを売却する場合、売れ残るリスクや値下げせざるを得ない状況も考慮して、余裕を持ったスケジュールを組んでおきましょう。
住宅ローンが残っていると売却できない可能性もある
住宅ローンが残っている場合、マンションの売却が認められないケースもあります。
まだ住宅ローンを完済していない場合、マンションには「抵当権」が設定されているため、借入先の金融機関はマンションを競売にかけることができます。
抵当権を外さずにマンションを売却することもできますが、売主がローン返済を滞らせた際に競売にかけられてしまうマンションを購入する買主はまずいません。
そのため、マンションを売却する場合、売却で得た利益も利用して住宅ローンを完済して、金融機関に抵当権を抹消してもらうことが前提とされています。
ちなみに売却価格が住宅ローンを完済できない場合も次のような対処法をとることでマンションを売却できます。
- 自己資金で補填する
- 買い換えローンを組む
マンションの売却価格で住宅ローンを返しきれない場合、まずは自分の貯金などから資金を補填してローン返済に充てるケースが多いです。
また買い換えローンという別のローンから融資を受けて、現在の住宅ローンを完済することで、マンションの抵当権を外すケースもあります。
マンションを賃貸物件にする場合のデメリット
マンションを賃貸物件に出す場合、デメリットは以下の3つです。
- 住宅ローンから賃貸ローンへの切り替えが必要
- 入居者が集まらないと赤字になる恐れがある
- いつでも賃貸物件を取り戻せるわけではない
一度しか利益を得られないマンション売却に比べて、継続的に利益が入る家賃収入の方がお得と考える人もいますが、利益を得る機会が多い分、損失が出てしまうタイミングも多いのです。
それぞれのデメリットを1つずつ具体的に見ていきます。
住宅ローンから賃貸ローンへの切り替えが必要
住宅ローンは「借主がその家に住むこと」を条件に融資を受けられるため、マンションを賃貸物件にしてしまうと住宅ローンの融資を受けることができません。
例えば、下記の「みずほ住宅ローン」のホームページにも、資金用途に関して「賃貸の目的にはご利用できません」と明記されています。
資金使途
(1)本人居住用の土地・住宅の購入、住宅の新築・増築・改築、底地の買取資金
* 賃貸の目的にはご利用できません。
(2)火災保険料、保証会社手数料・保証料、仲介手数料、担保関連費用、印紙税、引越費用、修繕積立金、リフォーム費用、付帯工事費用、管理準備金、水道加入金”
出典:「みずほ住宅ローン商品概要」(みずほ銀行)
賃貸物件にすると資金使途の範囲外になるため、住宅ローンが残っているマンションを賃貸物件にする場合、賃貸ローンへの切り替えが必要になる可能性が高いです。
一般的に賃貸ローンは住宅ローンに比べて金利が高いことが多く、ローン返済額が増えてしまうため注意しましょう。
例外として、以下のような止むを得ない事情により自宅を賃貸物件にする場合であれば、継続して住宅ローンを利用することが認められるケースもあります。
- 転勤によって地方へ引越すことになった
- 親の介護のため実家へ戻ることになった
そのためマンションを賃貸物件にする場合、事前に住宅ローンを借りている金融機関へ相談して「賃貸ローンへの借り換えが必要か?」を確認する必要があります。
もしも金融機関の許可なく、勝手にマンションを賃貸物件にしてしまった場合、契約違反としてローン残高の一括返済を求められる恐れもあるため注意しましょう。
入居者が集まらないと赤字になる恐れがある
マンションを賃貸物件にしても、入居者が集まらなければ家賃収入は得られません。
例えば、死亡事故などが起きてマンションが事故物件となってしまった場合、需要が大きく下がるため全部屋が空室になり、家賃収入が一切入らないといったケースもあります。
しかし、賃貸物件に入居者が集まらなくても、ローン返済やマンションの管理費などの費用は払い続けなければなりません。
また予期せぬトラブルによって物件が損傷したり、経年劣化によって設備が故障した際は、さらに修繕費用の負担が加わります。
賃貸経営では家賃収入による不労所得に目が行きがちですが、このようなデメリットがあることも忘れてはいけません。
いつでも賃貸物件を取り戻せるわけではない
賃貸物件の場合、オーナーだからといって自分の好きなタイミングで入居者を退去させて、マンションを取り戻せるわけではありません。
一般的な賃貸物件で交わされる契約は「普通借家契約」が多いですが、この契約では「2年更新」となっていたとしても、貸主から契約解除すること認められていません。
もしマンションに戻ってくる時期が決まっている場合、事前に定めた期間で必ず契約が終了する「定期借家」として貸し出すことをおすすめします。
例えば、転勤で3年後にはマンションに戻ってくる場合であれば、3年間の定期借家契約として貸し出すことで、転勤が終わるタイミングでマンションを取り戻すことができます。
ただし、契約期間が決められている定期借家契約は、普通借家契約に比べて入居者が不利な契約のため、家賃が30%程度安くなるため注意しましょう。
マンション売却と賃貸経営で迷ったら不動産業者の査定を受けよう
ここまで解説したとおり「使わないマンションを売却するべきか?賃貸物件にするべきか?」についてはケースバイケースといえます。
判断基準となるのが、賃貸物件にする場合に見込める家賃収入や賃貸経営にかかるコストですが、こうした費用は専門家でないと予想できないでしょう。
ですので、マンション売却と賃貸経営で迷った場合、ますは不動産業者の査定を受けることをおすすめします。
不動産業者の査定を受ければ、売却した場合はどのくらいの売却価格になるのか、賃貸に出した場合にはどのくらいの家賃収入が見込めるかを予想してもらえます。
不動産会社を探すなら一括査定サイトがおすすめ
不動産会社へ査定を申し込もうと考えても、どの業者に依頼するべきか迷ってしまう人も多いでしょう。
なるべく売却価格を高く査定してくれる不動産業者へ相談した方がよいですが、1社ずつ査定を申し込んで売却価格を比較するのでは、時間も手間もかかってしまいます。
そうした場合、全国1,600以上の不動産会社へ一気に査定を申し込める一括査定サイトを利用するとよいでしょう。
一括査定サイトを利用すれば、国内大手から地元密着型の業者まで、全国1,600以上の不動産会社の査定結果が2分でわかります。
まずは無料で利用できる一括査定サイトを用いて、どの不動産会社へ相談するべきか目星をつけることをおすすめします。
まとめ
所有しているマンションを利用しない場合、売却または賃貸物件にすることで現金化できますが、どちらの方法が適しているかはケースバイケースになります。
「売却するべきか?賃貸物件にするべきか?」の判断が難しい場合、まずは不動産業者の査定を受けて、客観的な数字を見て考えることも大切です。
このとき、将来的にマンションを売却する可能性を考えると、なるべくマンションを高額査定してくれる不動産業者へ相談したほうがよいでしょう。
一括査定サイトを利用すれば、マンションを高額売却できる不動産業者を手軽に見つけられるので、一括査定を受けてみることをおすすめします。
いま住んでいるマンションを離れる場合によくある質問
マンションを売却する場合、どのような費用がかかりますか?
マンション売却時にまずは仲介手数料・印紙税・抵当権抹消費用・住宅ローンの完済手数料などがかかります。その後、譲渡所得税といった税金も納めなければなりません。
マンションを賃貸物件にする場合、どのような費用がかかりますか?
まずは賃貸経営を始める際に管理委託手数料や清掃・修繕費といった初期費用がかかります。その後も賃貸経営を続ける限り、固定資産税・管理費・修繕積立金・所得税・設備修繕費・管理委託手数料・清掃費といった費用もかかります。
どのような場合であれば、マンションを売却した方がよいですか?
将来的にマンションを使う予定がない場合や賃貸物件としての需要が見込めない場合、マンションを売却した方がよいでしょう。
どのような場合であれば、マンションを賃貸物件にした方がよいですか?
立地がよいので安定した賃貸収入が見込める場合や将来的にはマンションへ戻る予定がある場合、マンションを賃貸物件にした方がよいでしょう。
マンション売却と賃貸経営で迷ったら、どうすればよいですか?
不動産業者の査定を受けて、売却価格と賃貸収入を予想してもらいましょう。高額査定してもらえる不動産業者を探す場合、一括査定サイトを利用することをおすすめします。
【2分でわかる】不動産業者の一括査定はこちら
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