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亡くなった親の土地を名義変更しないとどうなる?放置するリスクと相続登記の流れを解説

亡くなった親の土地を名義変更しないとどうなる?放置するリスクと相続登記の流れを解説

親が亡くなった後の土地の名義変更(相続登記)は、つい後回しになりがちです。「売る予定がないから大丈夫」と考える方もいらっしゃいますが、その放置が将来の資産価値をゼロあるいは負の遺産に変えてしまう致命的なリスクとなりかねません。

まず、2024年4月より「相続登記の義務化」が開始されました。正当な理由なく、相続を知った日から3年以内に登記をしないと、10万円以下の過料(罰則)の対象となります。

しかし、実務の現場で我々が本当に危惧しているのは罰金ではなく、時間の経過による「権利の複雑化」です。

名義変更をせず次の相続が発生すれば、相続人(土地の共有者)は雪だるま式に増え続けます。いざ売却やリフォームをしようとしても、面識のない遠縁の親族全員から同意と実印を得る必要があり、一人でも認知症や行方不明者がいれば、その土地は動かすのが非常に困難な「死んだ不動産」と化します。

放置するほど戸籍収集の手間や専門家への報酬も膨らみ、不動産の価値によっては結果として「手続きコストが売却価格を上回る」という本末転倒な事態も珍しくありません。

放置によるリスク 実務現場で起きる「本当のトラブル」
法的ペナルティ 過料(罰金)の対象になるだけでなく、法務局からの催告に対応する心理的負担が生じる。
資産の凍結 親族の誰かが認知症になると、家庭裁判所を通した複雑な手続きなしには売却すらできなくなる。
費用の膨張 数次相続が発生すると、証明書類の取り寄せだけで数万円が消え、専門家への報酬も割高になる。
出口戦略の喪失 災害時の支援金受け取りや、境界確定の協議ができず、隣地トラブルに発展して「負動産」化する。

では、具体的にどう動くべきか。実務現場における鉄則は、まず「相続人の可視化」から着手することです。親族間での話し合いの前に戸籍謄本を揃え、誰が正当な権利者かを確定させてください。ここで「予期せぬ相続人」の発覚を防ぐことが、後の手戻りを防ぐ最大のポイントとなります。

次に重要なのは、安易な「共有名義」を避けることです。トラブルを先送りするだけの共有化は、次世代で土地を凍結させる「悪手」に他なりません。早期に「誰が継ぐか、あるいは売却するか」の出口戦略を定めるべきです。もし協議が長引きそうであれば、新制度の「相続人申告登記」を検討してください。法務局へ簡易的な申出を行うだけで、義務違反による過料リスクを即座に回避できます。

ただし、これら一連の作業には膨大な書類収集と法的判断が伴います。特に「親族間に面識のない人がいる」「遺産分割で揉めそう」といった火種があるなら、迷わず弁護士などの専門家を頼ってください。実務上の「交通整理」をプロに委ねることは、将来的な紛争コストを抑えるための賢い投資と言えます。

本記事では、こうした実務の定石に基づき、費用と時間を最小限に抑えるための具体的なステップを解説します。せっかくの資産を「負の遺産」に変えないために、今できる最善の備えを一緒に確認していきましょう。

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亡くなった親の土地の名義変更をしないとどうなる?

親が亡くなり土地を相続した場合、速やかに土地の名義変更の手続き=相続登記を進める必要があります。名義変更を放置していると、法律上の罰則を受ける可能性があるだけでなく、将来的に土地の活用や処分が困難になるなど、所有者にとって多くの不利益が生じます。

2024年4月1日からは相続登記が義務化されており、これまでのように「いつかやればいい」と先送りにすることはできません。

以下で解説するリスクを避けるためにも、できる限り速やかに相続登記を行ってください。

相続登記を行わなければ10万円以下の過料が課される恐れがある

相続によって土地の取得を知った日から3年以内に、正当な理由なく相続登記を行わない場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。過料とは、行政上の秩序を維持するために科される金銭的な負担(行政罰)であり、刑法上の罰金とは異なるため前科はつきません。

ただし、期限を過ぎたからといって、直ちに過料が科されるわけではない点は理解しておく必要があります。法務局の登記官が義務違反を把握した場合、以下の手順を経て裁判所へ通知されます。

過料が科されるまでの流れ 内容 実務上のポイント
1. 登記官による催告 義務違反者に対し、期限内に登記を申請するよう促す「催告書」が送付されます。 いきなり罰金が来るわけではなく、まずは法務局から「警告」が届く形になります。
2. 期間内の未申請 催告書に記載された期限内に申請がない場合、登記官が裁判所へ違反の事実を通知します。 この段階で「正当な理由」がないと判断されると、過料の手続きが本格化します。
3. 裁判所の判断 裁判所が要件を確認し、過料(10万円以下)の金額と決定を下します。 過料は「行政罰」であり、前科にはなりませんが、支払いを拒否することはできません。

基本的には、法務局からの催告に応じず放置し続けた場合に初めて過料が課されることになります。

「正当な理由」があれば過料は免除される可能性がある

相続登記の期限を過ぎてしまった場合でも、登記を行えない「正当な理由」があると認められれば、過料は免除される可能性があります。正当な理由に該当するかどうかは、登記官が申請義務者の申告内容をもとに、個別の事情を総合的に考慮して判断します。

法務省の通達では、一般的に「正当な理由」として認められるケースとして以下の例が挙げられています。

【正当な理由として過料が免除され得るケース】

  • 相続人が多過ぎて、戸籍謄本等の収集や他の相続人の把握に多くの時間を要する場合
  • 遺産分割協議で相続人同士の話し合いがまとまらず、誰が土地を取得するかが決まらない場合
  • 相続人本人が重病や要介護状態などで手続きを行うことが困難な場合
  • 配偶者からの暴力などを受けて避難しており、手続きを行うことで生命や身体に危害が及ぶおそれがある場合
  • 経済的に困窮しており、登記に必要な費用を負担できないと認められる場合

出典:法務省 民法等の一部を改正する法律の施行に伴う不動産登記事務の取扱いについての通達(民二第536号)

相続登記ができない事情がある場合は、法務局に対して事前に相談をして、正当な理由として認められるか確認することが重要です。

話し合いがまとまらない場合は「相続人申告登記」で義務を履行できる

「相続人が多すぎて連絡がつかない」「遺産分割協議が長引いている」といった事情があり、3年以内の登記申請が難しい場合には、新設された「相続人申告登記」を活用することも可能です。

これは、自分が相続人であることを法務局へ申し出ることで、暫定的に相続登記の申請義務を果たしたとみなされる制度です。通常の相続登記とは異なり、以下の特徴があります。

特徴 内容・メリット
単独で申請可能 他の相続人の同意や実印、印鑑証明書は不要です。親族間で意見がまとまっていなくても、自分一人で過料リスクを回避できます。
書類の簡略化 自分が相続人だと分かる戸籍謄本など、最小限の書類で手続きできます。全家系の戸籍を揃える膨大な手間を大幅に短縮可能です。
登録免許税が非課税 通常の登記にかかる税金(登録免許税)はかかりません。コストを抑えて「とりあえずの義務履行」を済ませることができます。

実務の現場では、この申告を行うことで過料のリスクを即座に回避し、その間に時間をかけて遺産分割の話し合いや書類収集を進めるという手法が取られます。

ただし、注意が必要なのは、この制度はあくまで「過料を回避するための暫定的な処置」に過ぎないという点です。土地の所有権が正式に決まった(遺産分割協議が整った)後には、そこから改めて3年以内に通常の相続登記を行う義務が生じます。

「とりあえずの義務履行」として有効な手段ですので、期限が迫っている場合は、早めに司法書士などの専門家へ相談し、この制度の利用を検討してください。

土地の名義変更をしなければ第三者に対抗できない(法律関係を主張できない)

土地の名義変更を放置する最大のリスクは、法的に所有権を第三者に主張できなくなる点にあります。民法第177条では、不動産の所有権が移ったとしても、登記を行わなければ他人に対して法的に「これは自分のものだ」と権利を主張できないと定められています。

「不動産に関する物権の変動の対抗要件」
不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。
e-Gov法令検索 民法第177条

つまり、遺産分割協議で「自分が土地を相続する」と決まっても、登記をしていなければ、事情を知らない他人に対して「この土地は私のものだ」と法的に認めさせることができないのです。

例えば、別の相続人が勝手に自分の持分を他人に売却してしまったり、借金の担保に入れてしまったりするケースが考えられます。この場合、先に登記を備えた第三者の権利が優先されるのが原則です。土地の所有者としての権利を守るためには、速やかに名義変更を行い、対抗要件を備えておく必要があります。

売却・贈与・賃貸を行ったり、担保に入れたりできない

登記簿上の名義が被相続人(亡くなった親)のままでは、その土地を売却したり、誰かに贈与・賃貸したりすることはできません。不動産の処分を行うには、現在の所有者が誰であるかを公的に証明する必要があり、名義変更が完了していない状態では契約の当事者になることができないためです。

また、金融機関から融資を受ける際に、土地を担保(抵当権)に入れることもできません。担保設定の登記を行うには、融資を受ける本人と不動産の名義人が一致している必要があるためです。事業資金や生活資金などで急にお金が必要になったとしても、名義変更が済んでいなければ不動産を活用できず、重大な機会損失につながる可能性があります。

なお、売却手続きの実務面において、亡くなった親から買主へ直接名義を移すことは原則として認められていないため、必ず相続人への名義変更を経る必要があります。たとえ、買主が見つかっている状態であっても、相続登記を飛ばして売却することはできません。

行政手続きや災害時の補償に支障が出る

土地の名義変更を放置していると、行政からの重要な通知が届かなかったり、補助金申請などの行政サービスが受けられなかったりする不利益が生じる可能性があります。

行政機関は登記簿の情報を基に所有者を特定するため、土地の名義人が亡くなった親のままでは、現在の権利者(=相続人)を正しく把握できないためです。

例えば、公共事業に伴う用地買収の対象になった場合、所有者を確定できなければ手続きが進められません。名義変更が済んでいない土地では、相続人の特定や権利関係の整理が必要となり、関係者間で同意の取り付けや書面手続きに時間を要することがあります。

また、自然災害で土地や建物が被害を受けた際、所有者として補償を受けられない、または手続きが著しく複雑化するリスクもあります。災害時の復旧支援や補償を受けるには、所有権の証明が求められることが一般的です。

実際に、居住していた家が亡くなった親の名義のままだったために、災害時の補償をスムーズに受けられなかった事例も報告されています。

【事例】名義変更未了によって復旧支援・補償に支障が出たケース
令和6年能登半島地震では、倒壊家屋を行政負担で撤去する公費解体において、未登記による手続きの遅れが問題となった。
解体申請には原則として相続人全員の同意が必要だが、名義変更が長年放置されていた家屋では相続人が数十人に及ぶケースも多く、同意の取り付けが難航。申請までに数か月を要したり、一部の相続人と連絡が取れず解体に着手できなかったりする事例が多発した。

参照:環境省「令和6年能登半島地震を踏まえた公費解体の取組と課題について」

固定資産税等の維持管理費の支払いで共有者と揉める可能性がある

相続登記をしていなくても、固定資産税の納税義務は免除されません。地方税法第10条の2の規定により、登記上の所有者が亡くなった場合は、現に所有している者(=相続人全員)が連帯して納税義務を負うと定められているためです。この「連帯」には、法的に非常に重たい意味があります。

■連帯納税義務とは?
連帯納税義務は、相続人全員が、それぞれ税金の「全額」について支払い義務を負う法的な仕組み。 例えば、相続人が3人で税金が30万円の場合、一人10万円ずつの割り勘にはならない。
役所は、給与差し押さえがしやすいなど、回収しやすい特定の相続人一人に対して、30万円全額を請求することが可能である。「自分には納付書が届いていない」という反論は通用しないのが一般的。

「連帯納税義務」
共有物、共同使用物、共同事業、共同行為又は共同事実に対する地方団体の徴収金は、納税者又は特別徴収義務者が連帯して納付する義務を負う。
e-Gov法令検索 地方税法第10条の2

「連帯債務の履行の請求」
債権者は、連帯債務者の一人に対し、又は同時に若しくは順次に全ての連帯債務者に対し、全部又は一部の履行を請求することができる。
e-Gov法令検索 民法第432条

実際の徴収手続きも、誰か一人から全額回収してもよいという法的根拠に基づいており、市区町村は全員に個別に請求するのではなく、「相続人代表者」一人にのみ納付書を送付して完結させます。そのため、通知を受け取った代表者が、やむを得ず全員分を立て替えるケースが大半です。

しかし、後から他の相続人に立替分を請求しても、「自分は土地を相続するつもりはない」「勝手に払ったのだろう」と支払いを拒否され、金銭トラブルに発展するケースが多発しています。遺産分割協議が長引けば、その期間中ずっと代表者が負担を強いられることになり、親族間の紛争が決定的になる恐れがあります。

次の相続が発生すると権利関係がより複雑化する

名義変更を行わず、遺産分割協議も終わっていない状態で相続人の一人が亡くなると、本来その人が持つはずだった相続権は、さらにその配偶者や子供、孫へと引き継がれます。相続を繰り返されると、関係する相続人の人数がネズミ算式に増えていき、権利関係が極めて複雑になる事態を招きます。このような状態を「数次相続」と呼びます。

■数次相続とは?
数次相続(すうじそうぞく)は、最初の相続(一次相続)の手続きが終わらないうちに、相続人が亡くなり、次の相続(二次相続)が発生してしまう状態のこと。一つの不動産に対して複数の相続が重なり、権利者が雪だるま式に増えていく原因となる。

最初の相続が発生した当初(=親が亡くなった直後)であれば、配偶者と兄弟姉妹だけの話し合いで済んだはずが、放置している間に代替わりが進み、互いに面識のない遠い親戚や、連絡先の分からない人が権利者に加わっていきます。その結果、数十人規模の相続人が発生するケースも珍しくありません。

不動産の売却や解体、担保設定などを行うには、相続人全員の実印と印鑑証明書が必要ですが、人数が増えれば増えるほど全員の同意を得ることは困難になります。たった一人でも反対したり連絡が取れなかったりすれば、手続き全体がストップし、解決が困難な塩漬け物件となるリスクが高まります。

相続人が認知症や行方不明になると手続きがさらに複雑化する

名義変更を放置して期間が空くと、相続人自身の高齢化も進みます。もし遺産分割協議を行う段階で、相続人の中に認知症などで判断能力を欠いている人が一人でもいれば、その協議は法律上無効となり、手続きを一切進めることができません。判断能力が不十分な相続人がいる場合は、家庭裁判所に申し立てて「成年後見人」を選任する必要があります。

一方で、音信不通で行方の分からない相続人がいる場合も、勝手にその人を除外して手続きすることはできません。行方不明者がいる場合は、その財産を守る「不在者財産管理人」の選任や、法的に死亡したとみなす「失踪宣告」などの手続きが必要になります。

■成年後見人とは?
成年後見人は、認知症などで判断能力が不十分な人を法的に支援する代理人。生活全般を守るために財産管理や契約行為を行う幅広い代理権を持つため、遺産分割協議にも本人の代理としてそのまま参加できる。専門家が選任されると、原則として本人が亡くなるまで月額数万円からの報酬が発生し続けるため、長期的な費用負担が生じる。
■不在者財産管理人とは?
不在者財産管理人は、行方不明になった人の代わりに、財産を管理する人。あくまで財産の現状維持が権限の範囲であり、遺産分割協議に参加するには別途家庭裁判所から権限外行為の許可を得る必要がある。選任申し立て時に、管理費用として数十万円から百万円程度の予納金をまとめて納めるケースが多い。

いずれの手続きも、医師の診断書や戸籍の追跡調査など膨大な資料を揃えて家庭裁判所に申し立てる必要があり、準備から選任までに数か月から半年以上の時間がかかります。さらに、高額な報酬や予納金が発生するため、金銭的な負担も大きくのしかかり、相続登記完了までの道のりが一層遠のく原因となります。

■予納金とは?
予納金は、裁判所が選任する管理人などの報酬や事務費用に充てるため、手続き開始時に申立人があらかじめ裁判所へ預けるお金。実際にかかった費用を差し引いた残額が戻る場合もあるが、状況によっては追加の納付を求められる。

亡くなった親の土地を名義変更する流れ

相続登記を行わない多くのリスクを回避するためには、相続が発生したら速やかに名義変更の手続きを進める必要があります。

手続きで必要な対応や収集すべき書類は状況によって異なりますが、標準的な流れは以下の6つのステップで構成されています。

  1. 遺言書の有無を確認する
  2. 法定相続人を確定させる
  3. 名義変更に必要な書類を収集する
  4. 遺産分割協議を実施する
  5. 法務局に相続登記(名義変更)を申請する
  6. 登記識別情報通知を受け取る

全体を通して戸籍の収集や法的な書類作成が必要となるため、完了までには数か月程度の期間を見込んでおくことをおすすめします。次項より、各ステップにおける具体的な作業内容と注意点について順を追って解説します。

①遺言書の有無を確認する

まずは被相続人(亡くなった親)が遺言書を残しているかどうかを確認します。遺言書の種類によって探し方が異なります。

【公正証書遺言の場合】
最寄りの公証役場で「遺言検索システム」を利用して検索できる。

【自筆証書遺言】
自宅の仏壇や貸金庫などを探す。また、法務局の「自筆証書遺言書保管制度」を利用していた場合は、全国どこの法務局でも有無を確認(遺言書保管事実証明書の交付請求)できる。

遺言書が見つかり、他の相続人から異議申し立てがなければ、原則として遺言書の内容に従って相続手続きを進めましょう。

【遺言書がある場合の必要書類】

書類 取得先 備考
登記申請書 (自分で作成) 法務局の様式を使用して作成する。
遺言書 自宅または公証役場など 自筆証書遺言(自宅保管)の場合:検認済証明書が必要。

公正証書遺言の場合:検認は不要。法務局保管の自筆証書遺言の場合:検認は不要。
被相続人の戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)または除籍全部事項証明書(除籍謄本) 本籍地の市区町村役場 死亡の事実が記載されているものを用意する。

※出生まで遡る戸籍一式が不要となるケースがある。
被相続人の住民票の除票 最後の住所地の市区町村役場 登記記録上の住所と死亡時の住所をつなぐために使用する。

本籍の記載があるもの。
不動産を取得する人の戸籍全部事項証明書(戸籍謄本) 本籍地の市区町村役場 現在の戸籍を用意する。
不動産を取得する人の住民票 住所地の市区町村役場 コンビニ交付は対応自治体のみ。

マイナンバーの記載がないものを取得する。
固定資産評価証明書または固定資産課税明細書 対象不動産がある市区町村役場または納税通知書 登録免許税の計算に使用する。登記申請日が属する年度のものを用意する。
委任状 (自分で作成) 司法書士などの代理人に依頼する場合のみ必要。

参照:相続による所有権の登記の申請に必要な書類とその入手先等|法務局

遺言書が見つからない場合や、遺言書があっても相続人全員の合意により遺言とは異なる内容で遺産分割を行う場合は、民法のルールに従って遺産を分割します。そのためには、まず誰が権利を持つ相続人なのかを法的に確定させる必要があるため、次項「②法定相続人を確定させる」へと進みます。

②法定相続人を確定させる

遺言書があり、その内容通りに名義変更する場合は、法定相続人を確定させる調査は原則不要です。次の「③名義変更に必要な書類を収集する」へ進んでください。

遺言書がない場合、遺産分割協議は、相続人全員で行わなければ無効となるため、まずは対象となる親族を公的な書類で厳密に特定します。

具体的には、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本をすべて収集し、記載内容を精査します。現在の戸籍を見るだけでは不十分で、過去にさかのぼって確認しないと、家族も知らなかった前妻との間の子や、結婚していない相手との子(認知された子)、養子の存在などが判明するケースがあるためです。

戸籍調査で相続人を一人でも漏らしてしまうと、後に行う遺産分割協議は無効になります。もし手続きが終わった後に新たな相続人が見つかれば、すべての手続きを最初からやり直すことになり、金銭的・精神的に大きなトラブルへと発展しかねません。

戸籍を収集し、正確に法定相続人を確定させるには専門的な知識が必要です。複雑な家系の場合や不安がある場合は、相続に詳しい司法書士や弁護士などの専門家に依頼する方が確実です。

③名義変更に必要な書類を収集する

遺言書の有無や遺産分割の方法に関わらず、不動産の名義変更(相続登記)には戸籍謄本などの公的書類が必ず必要になります。自身の状況に合わせた必要書類を確認し、収集を進めます。

■広域交付とは?
広域交付は、本籍地が遠くにある場合でも、最寄りの市区町村役場の窓口で、国の戸籍システムで管理される証明書(戸籍謄本や除籍謄本など)をまとめて請求できる制度。
請求者は配偶者と直系親族(父母・祖父母などの直系尊属/子・孫などの直系卑属)に限られ、兄弟姉妹や代理人は利用できないため、対象外の戸籍は従来通り本籍地へ請求する必要がある。

広域交付制度を利用する場合、請求できる範囲(直系親族の分)については最寄りの役所で一括取得し、対象外となる書類(兄弟姉妹の戸籍や、住民票など)は個別に取得します。

【遺産分割協議または法定相続する場合の必要書類】

書類 取得先 備考
被相続人の戸籍関係書類

(戸籍全部事項証明書

・除籍全部事項証明書・改製原戸籍謄本など)
本籍地または最寄りの市区町村役場 【広域交付対象】

出生から死亡まで連続したもの一式が必要。

戸籍の状態により複数種類が必要になる。
被相続人の住民票の除票または戸籍の附票 最後の住所地または本籍地 【広域交付の対象外】

登記簿上の住所と死亡時の住所をつなぐために使用する。
相続人の戸籍全部事項証明書(戸籍謄本) 本籍地または最寄りの市区町村役場 【広域交付対象】

※戸籍抄本(個人事項証明書)は広域交付の対象外。

遺産分割協議や法定相続分で相続する場合は相続人全員分が必要。
相続人の印鑑証明書 住所地の市区町村役場 【広域交付の対象外】

遺産分割協議の場合:原則、相続人全員分が必要。

法定相続分の場合:通常は不要。

※コンビニ交付は対応自治体のみ。
不動産を取得する人の住民票 住所地の市区町村役場 【広域交付の対象外】

取得者(登記名義人)全員分が必要。

共有名義の場合も同様。

※コンビニ交付は対応自治体のみ。

※マイナンバーの記載がないものを取得。
固定資産評価証明書

または固定資産課税明細書
対象不動産がある市区町村役場または納税通知書 【広域交付の対象外】

登録免許税の計算に使用する。

登記申請日の属する年度のものを用意。

参照:法務局「相続による所有権の登記の申請に必要な書類とその入手先等」

土地以外の相続財産の有無も確認する

不動産(土地・建物)だけでなく、預貯金・株式・生命保険・借金などのあらゆる相続財産について、漏れがないか確認しておきましょう。

遺産分割協議は、預貯金や不動産を含む相続財産の全体像を把握した上で行うことが重要です。協議の後に新たな財産が見つかると、分割案をすべてやり直す手間が発生しかねません。また、借金などの負債が多い場合には「相続放棄」という選択肢も検討する必要があります。相続放棄の申し立てには、相続開始を知った時から3か月以内という期限があるため、早めの財産調査が求められます。

■相続放棄とは?
相続放棄は、借金などの負債が資産を上回る場合などに、亡くなった人の権利や義務を一切引き継がないよう家庭裁判所へ申し立てる手続き。相続開始を知った時から3か月以内に申し立てる必要があり、認められると相続人ではなかったものとみなされる。

④遺産分割協議を実施する

兄弟姉妹など複数の相続人がいる状況では、相続人全員で遺産をどのように配分するかを話し合う遺産分割協議の実施が法律上求められます。一方、相続人が1人の場合、遺産を分ける相手が存在しないため遺産分割協議を行う必要はありません。

■遺産分割協議とは?
遺産分割協議は、亡くなった人の遺産を、相続人の間でどのように具体的に配分するかを話し合って決める手続き。相続人全員の合意が必要であり、一人でも欠けた状態で行われた協議は無効となる。

遺産分割協議で合意した内容は、必ず「遺産分割協議書」という書面に残します。遺産分割協議書は、親族間のトラブルを防ぐだけでなく、法務局で土地の名義変更を申請する際、誰が不動産を引き継ぐのかを証明する必須の添付書類となります。

遺産分割協議書を有効なものとするためには、相続人全員の署名と実印による押印が欠かせません。

実印の押印は、各相続人が自身の意思で協議内容に同意したことを公的に証明する重要な手続きであり、あわせて印鑑証明書の準備も必要となります。

遺産分割協議書の具体的な書き方や作成時の注意点については、以下の記事で詳しく解説しています。

⑤法務局に相続登記(名義変更)を申請する

遺産分割協議書や収集した必要書類一式を揃え、土地の所在地を管轄する法務局へ相続登記の申請を行います。

申請方法 概要 向いているケース
窓口申請 管轄法務局の窓口に提出する 記載内容や添付書類をその場で確認したい/不備が不安
郵送申請 書類一式を簡易書留などで送付する 遠方で窓口に行きにくい/平日に時間が取りづらい
オンライン申請 専用システムで電子的に申請する 事前準備を整えたうえで効率重視/PC操作に抵抗がない

登記申請書のひな形や具体的な書き方は、法務局のホームページ「不動産登記の申請書様式について」で公開されています。不動産の種類や相続の形態により使用する様式番号が異なるため、一覧の中から自身の状況に合致するテンプレートを選択して記載例を確認します。

相続登記の手続きは専門的な知識を要し、書類に不備があると何度も法務局へ足を運ぶ負担が生じます。相続人が複数いて連携が取りにくい場合や、多忙で協議や手続きの時間が取れない状況では、専門家である司法書士に依頼することで、正確かつ円滑に名義変更を完了できます。

⑥登記識別情報を受け取る

登記完了後、法務局から土地や建物ごとに「登記識別情報通知」が発行されます。登記識別情報通知は、従来の登記済権利証に代わる書類です。

登記識別情報は12桁の英数字で構成されています。将来不動産を売却する際や銀行で担保を設定する時に必要となる重要な情報です。

通知書類を紛失しても再発行は一切認められないため、他人の目に触れない場所へ厳重に保管する必要があります。

ただし、通知書類を紛失して登記識別情報を提供できない場合でも、登記識別情報の提供に代わる手続きにより、登記申請を進められる場合があります。

■登記済権利証を紛失した場合の代替手段
①事前通知制度
登記識別情報を提供できない場合に、法務局が名義人本人へ郵送で確認を行う手続き。法務局から届く書面に押印等を行い、所定の期限内に手続きをすることで本人確認が進む。

② 司法書士による本人確認情報の作成
司法書士などの専門家が本人と直接面談して本人に間違いないことを保証する書類を作成する手続き。郵送のやり取りを待つ必要がなく迅速に手続きを完了できる一方で、専門家への報酬が発生する。

③公証人による認証
登記申請書などの書類への署名が間違いなく本人のものであることを公証人が証明する手続き。公証役場へ出向いて認証を受けた書類を提出することで、事前通知制度を利用せずに登記の申請が可能となる。

亡くなった親の土地を名義変更する際にかかる費用・税金

土地の名義変更を行う相続登記では、国に対して納める税金だけでなく、必要書類の収集費用や専門家への報酬といったコストが発生します。費用の全体像は以下の通りです。

項目 概要 費用の目安
登録免許税 登記手続きの際に国へ納める税金 固定資産税評価額の0.4%
司法書士への報酬 書類作成や申請の代行を依頼する費用 5万円から10万円程度
必要書類の取得費用 戸籍謄本や住民票などの発行手数料 数千円から1万円程度

登録免許税:土地の固定資産税評価額×0.4%

登録免許税は、不動産の登記手続きを行う際に国へ納める税金です。相続を原因とする名義変更の場合、納める税額は以下の計算式で算出します。

土地の固定資産税評価額×0.4%

例えば、土地の固定資産税評価額が1,000万円であれば、登録免許税は4万円となります。計算の根拠となる固定資産税評価額は、市区町村から毎年届く固定資産税の納税通知書や、役場にて取得可能な固定資産評価証明書で確認が可能です。

ただし、2027年3月31日までの特例措置として、土地の固定資産税評価額が100万円以下の場合は登録免許税が免除され、0円となります。また、免税対象外であっても計算結果が1,000円に満たない場合には、最低額として一律1,000円を納めるルールが適用されます。

登録免許税の納付方法は、自身の状況に合わせて最適な方法を選択してください。

納付方法 手続きの内容 向いているシーン
収入印紙 登録免許税が3万円以下の場合に限り、登記申請書に収入印紙を貼付して納付する 登録免許税が3万円以下で、窓口申請または郵送申請で処理したい時
現金納付 金融機関等で現金納付し、交付された領収証書を登記申請書に添付して提出する 登録免許税が3万円を超える場合、または収入印紙で納められない金額の時
電子納付 インターネットバンキング等、またはPay-easy(ペイジー)を利用して納付する オンライン申請を行う時、または金融機関へ行かずに納付したい時

司法書士への報酬:5〜10万円程度が目安

相続登記を司法書士に依頼する場合、5万~10万円程度の報酬がかかるのが一般的です。報酬額は、各事務所が自由に定められるため、土地の筆数や相続人の人数、案件の複雑さなどによって変動します。

司法書士に依頼することで、戸籍謄本や印鑑証明書の収集、登記申請書の作成や提出など、煩雑な作業を一括して任せられる点が大きなメリットです。その際、報酬とは別に戸籍謄本の発行手数料や郵送代、法務局への交通費などの実費が別途請求されます。見積もりを確認する際は、報酬額だけでなく実費の概算が含まれているかを確認することが大切です。

また、名義変更が長期間放置されている場合や、面識のない親族が相続人に含まれる場合など複雑な案件の場合は、追加料金が発生する傾向にあります。

調査に時間がかかる戸籍収集や遺産分割協議書の作成代行など、作業量に応じて費用が変動するため、複数の司法書士事務所に見積もりを依頼し比較検討するようにしましょう。

必要書類の取得費用:数千円〜1万円程度

戸籍謄本や住民票、印鑑証明書などの取得には、各市区町村で定められた発行手数料がかかります。主な書類の取得費用の目安は以下の通りです。

書類 手数料の目安(窓口請求)
戸籍全部事項証明書(戸籍謄本) 450円/通
除籍全部事項証明書(除籍謄本) 750円/通
改製原戸籍謄本 750円/通
住民票の写し(除票を含む) 300円前後/通
印鑑登録証明書 300円前後/通

相続人の人数が多い場合や、亡くなった方の本籍地が転籍や婚姻などにより複数の自治体に渡る場合は、取得する通数が増えるため費用が増加します。また、窓口へ行かずに郵送で請求を行う際は、手数料を納めるための定額小為替の発行費用や往復の郵便料金などの実費が別途必要となります。

亡くなった親の土地を相続する際は相続税が課税される

土地の相続税は、建物や預貯金といった遺産全体の価値を評価した金額に基づいて決定されます。土地の相続税評価額は、道路に面した標準的な価格を用いる路線価方式で算出されるのが一般的です。路線価が設定されていない地域では、固定資産税評価額に一定の倍率を乗じる倍率方式によって算出します。

土地や家屋、現金といった遺産の総額が基礎控除額を超える場合には、基礎控除額を上回る部分に対して相続税が課税されます。基礎控除額は以下の計算式で算出します。

3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

相続税の申告と納税には期限があり、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内に行わなければなりません。期限内に、亡くなった方の住所地を管轄する税務署へ申告書を提出し、税金を納める必要があります。

また、要件を満たすことで税負担を軽減できる特例も存在します。例えば、小規模宅地や特定事業用宅地などの特例を適用すれば、自宅として使われていた土地のうち330㎡までの部分について、評価額を最大80%減額することが可能です。このほか、配偶者の税額軽減や贈与税額控除などの制度を活用することで、最終的な納税額を大幅に抑えられる場合があります。

相続税の具体的な計算方法や節税対策については、以下の関連記事で詳しく解説しています。

まとめ

亡くなった親の土地の名義変更を放置すると、義務化による罰則だけでなく、将来の売却や活用が著しく困難になるリスクを抱えることになります。放置する間に次の相続が重なれば、手続きに膨大な時間と専門家への費用がかさみ、せっかくの資産が負債に変わりかねません。

将来の負担を最小限に抑えるためにも、まずは戸籍の収集など、できる準備から早めに着手しましょう。自分で行うのが不安な場合は司法書士への相談も検討し、次世代へ円滑に資産を引き継げるよう確実な手続きを目指しましょう。

亡くなった親の土地の名義変更についてよくある質問

土地の名義変更を放置しても相続税はかかる?

不動産の名義変更である相続登記を済ませているかどうかに関わらず、相続税は発生するものです。法務局での手続きを完了させていなくても、遺産の総額が基礎控除額を超えていれば、税務署への申告や納税の義務が免除されることはありません。

相続税の申告と納付の期限は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。期限を過ぎてしまうと、延滞税や無申告加算税などのペナルティが課される可能性があるため、早めの確認が欠かせません。

なお、名義変更手続きである相続登記と、国へ税金を納めるための相続税申告は、全く別の手続きです。登記は不動産の権利を確定させるためのものであり、2024年4月からは取得を知った日から3年以内の申請が法律で義務付けられました。一方で、相続税の申告は以前から10か月という短い期限が設定されています。

相続登記手続きと相続税の申告は、提出先や期限、必要となる書類などがそれぞれ異なるため、両方の手続きを混同しないよう注意が必要です。

相続登記は自分で行えますか?それとも司法書士に依頼した方が良いですか?

相続登記は、専門家に頼らず自分で行うことも可能です。法務局のWebサイトは、登記申請書の記載例や様式のひな形、必要書類の一覧などが公開されており、それらを参考にしながら手続きを進められます。

ただし、相続人が複数いる場合や、亡くなった方の名義をさらに遡って変更する必要がある数次相続が発生している場合など、複雑なケースでは司法書士に依頼した方が確実です。専門家へ依頼することで、戸籍謄本の収集漏れや申請書の記入ミスなどのリスクを未然に防ぎ、正確に名義変更を完了させることができます。

自身で対応する場合、私道や未登記の建物などの名義変更漏れが発生したり、書類の不備によって将来の売却や銀行の融資などに支障をきたしたりするリスクがあります。

費用を抑えたい場合は自分で行い、時間や手間を省きたい場合は司法書士への依頼がおすすめです。自身の状況や相続関係の複雑さに合わせて、最適な方法を選択してください。

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    更新日 : 2025年11月07日
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