訳あり物件の主な種類
訳あり物件とは、何らかの問題を抱えた不動産を指します。訳あり物件=事故物件というイメージを持っている人も少なくないでしょう。しかし、実際には、不動産としての価値に影響する問題がある不動産は全て訳あり物件に含まれます。
訳あり物件は、抱えている問題によって、下記のような種類があります。
訳あり物件の名称 | 概要 |
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事故物件 | 心理的に抵抗感や嫌悪感を抱くような、人が亡くなった事件・事故が起きた物件。具体的には「自殺・他殺や不慮の死以外の死が起きた場合」「社会的な影響が大きい死亡事件・事故が起きた場合」「特殊清掃が必要になった場合」が該当する。病死・自然死(老衰)・不慮の事故による死は、遺体の発見が遅れたことで遺体が腐敗し、特殊清掃が必要になると事故物件となる。 |
空き家 | 1年以上誰も住んでおらず、何にも使われてもいない建物。定期的に掃除や管理に人が出入りし、電気・ガス・水道が使われている場合は基本的には空き家に該当しない。建物が適切に管理されず、著しく景観を損なう状態、または周囲の建物や近隣住民に有害・危険だと判断される空き家は、「特定空き家」に指定され、自治体から問題の是正を求められる。 |
再建築不可 | 新たな建物を建てられない物件。都市計画区域と準都市計画区域内にのみ存在している。建築基準法ができた1950年以前と土地計画法ができた1968年以前に建てられた建物が該当し、現在の法律の基準を満たしていない状態にある。建物を解体・建て替えは不可だが、リフォームは可。 |
底地・借地 | 借地権や地上権が設定されており、第三者に土地が貸し出されている土地。底地(そこち)は貸主から見た土地の呼び方、借地は借主からみた土地の呼び方。底地を貸している人は、底地権者(そこちけんじゃ)と呼ばれ、いわゆる地主(土地の所有者)。第三者が土地を使用しているため、購入者が自由に使用・活用できない。 |
共有持分 | 複数人で不動産を共同で所有している共有名義の不動産において、共有者(=所有者)それぞれが持つ所有権の割合。持分割合に応じて、物件の維持管理や処分にかかる負担や家賃収入が分配される。不動産の管理や活用、処分については、共有者全員で話し合って決める必要がある。 |
ゴミ屋敷 | 屋内・屋外に、大量の不用品や廃棄物が長年溜め込まれ、正常な使用ができない状態にある物件。悪臭・害虫・害獣が発生しているケースが多い。また、建物の劣化や物の崩落、景観の悪化、不衛生な環境による健康被害など多くのトラブルを招き、周辺の不動産の価値まで下げる。 |
その他の問題については、物理的瑕疵・法的瑕疵・心理的瑕疵がある物件として、いずれも訳あり物件に分類されます。
■物理的瑕疵
建物や土地に物理的な問題を抱えた物件。物理的な問題とは、雨漏り・シロアリ・ひび割れの発生や有害な建材の使用、耐震強度の不足、配管の損傷、土地の汚染、地盤沈下などが該当する。
■法的瑕疵
法令や用例によって利用が制限される物件。建築基準法・土地計画法・消防法によって規定されている、建物の建ぺい率や接道義務、構造の安全基準、設備義務のある設備の設置などが守られていない状態にある。
■心理的瑕疵
心理的に嫌悪感や抵抗感、恐怖を抱く可能性のある物件。事故物件のほか、周囲に火葬場・墓地・下水処理場・ゴミ焼却場・風俗店・パチンコ屋・刑務所などの嫌悪施設・迷惑施設や暴力団事務所がある物件が該当する。
神奈川で訳あり物件を売却するなら買取がおすすめ
神奈川で訳あり物件を売却したい場合、「買取」を選ぶのがおすすめです。一般的に、不動産の売却方法には、「仲介」と「買取」の2つがあります。
仲介とは、仲介業者に仲介してもらって買い手を探す方法です。買い手の多くは、自分で住みたい・使いたいという一般人や法人、投資家です。中古不動産市場で買い手を探すことで、より高く買い取ってくれる人を見つけられる反面、市場での需要がない不動産は売却まで時間がかかる上、悪くすると買い手が何年も見つかりません。何の問題のない不動産であれば、仲介で売却するほうが高く売れるため、一般的には不動産の売却といえば仲介が選択されます。
一方で、買取とは、不動産買取業者に不動産を買い取ってもらう方法です。買取業者はビジネスで買取を行っており、仲介よりも売却金額は下がります。しかし、仲介で売れない不動産も、買取なら売却が可能です。訳あり物件のような問題を抱えた不動産をわざわざ購入したいという人は少なく、大半は一般の中古不動産市場で買い手が見つかりません。
市場でニーズのない訳あり物件の売却では、買取のほうが現実的な手段といえるでしょう。不動産業者による買取で必要なステップは、申し込み査定・契約・決済/引き渡しとシンプルで、通常は1ヶ月程度で売却が完了します。
神奈川で訳あり物件の買取業者を選ぶポイント
一口に不動産買取業者といっても、神奈川にはかなりの数の業者が存在します。売却先を絞るだけでも迷ってしまうでしょう。そこで、訳あり物件の買取業者を選ぶときは、下記の3点を基準にしてください。
- 実績のある買取業者を選ぶ
- 地域に詳しい買取業者を選ぶ
- 行政処分が行われていない買取業者を選ぶ
業者の過去の実績では、自身が所有する不動産と同様の訳あり物件の取引の有無を確認します。訳あり物件を主に扱う買取業者でも、どの種類の訳あり物件の取り扱いが多いかは業者ごとに異なります。同時に、どの地域で買取を行っているかもチェックしましょう。地域に精通しているほど、地域の価値やトレンド、将来的なニーズに関する情報を多く持っています。対象地域での同種類の訳あり物件の買取実績が多いほど、より適正な価格で買い取ってもらいやすくなります。
そして、より誠実でトラブルになりにくい業者を選ぶために、行政処分の有無も確認します。行政処分は法規違反や行政目的に反する行為に対して下されるため、行政処分を受けた業者は何らかの問題行為を行ったということになります。国土交通省の「ネガティブ情報検索サイト 宅地建物取引業者」では、過去に行政処分になった業者を検索できます。
コンプライアンスが重視される昨今、より信頼性の高い業者を選ぶために確認しておくとよいでしょう。
神奈川で訳あり物件を買い取ってもらう流れ
神奈川で買取業者に訳あり物件を買い取ってもらう際は、下記の4ステップで進められます。
- 買取業者に査定を依頼する
- 査定価格を確認する
- 売買契約を締結する
- 決済と引き渡しを行う
申し込みをすれば、業者が査定をして、見積もりを出してくれます。査定には、物件の情報から見積もりを出す「机上査定」と、現地に担当者が調査をして見積もりを出す「訪問査定」の2つがあります。実際の取引では訪問査定で出される査定価格が使われるため、机上査定での査定価格で業者を決めてしまわないよう注意してください。
契約する買取業者が決まったら、売買契約を結びます。契約時には、売主の契約不適合責任が免責になるかをチェックします。仲介では売却後でも新たに発見された不動産の瑕疵は売主の責任となりますが、買取業者への売却では売主の契約不適合責任を免責にしてくれるのが一般的です。ただし、業者によって免責にするかしないかは異なるため、事前に確認が必要です。取引額が大きい場合は、司法書士や弁護士などのリーガルチェックを受けるのもよいでしょう。
最後は、業者からのお金の振込を待ち、売主が不動産を引き渡せば完了です。