事故物件とは人が亡くなって告知義務が発生している物件のこと
事故物件とは、人が亡くなり、告知義務が発生している物件のことを指します。
告知義務が発生する事故物件の具体例は、下記のとおりです。
- 殺人の現場となった物件
- 自殺があった物件
- 自然死や事故死があり、特殊清掃がおこなわれた物件
上記のような物件は「心理的瑕疵物件」として、告知義務のある事故物件となります。
「心理的瑕疵」とは、物件に対して人が持つ心理的な抵抗のことです。この点は人によって捉え方がさまざまであるため、事故物件とされる明確な定義はありません。
一方で、老衰や病死のような自然死、階段からの転落やヒートショックのような事故死は、誰しもに起こる可能性があるものです。生活する中で避けられない死もあるため、必ずしも人が亡くなったからと事故物件になるとは限りません。
ただし、通常は事故物件とならない自然死や事故死でも、遺体の発見が遅れて物件に影響があったり、特殊清掃が必要になったりした物件は告知義務が発生する事故物件に該当します。なお、人の死が原因で影響が生じた物件を「物理的瑕疵物件」といいます。
事故物件の売却は仲介よりも専門の買取業者に依頼するのがおすすめ
事故物件の売却を専門業者に依頼すべき理由は、以下のとおりです。
- 高値で素早く売却できる
- 現況のまま売却できる
- 仲介手数料がかからない
- 告知義務違反に問われるリスクがない
- 契約不適合責任が免責される
通常の仲介業者ですと、事故物件は買い手がつきにくいため売却も難しくなります。しかし、専門の買取業者であれば、事故物件であることを考慮した上で、スムーズな売却が可能です。
高値で素早く売却できる
通常の仲介業者では、買い手のつきにくい事故物件は安値での買取となったり、そもそも断られてしまったりするケースが多いでしょう。
しかし、専門の買取業者は事故物件を活用するノウハウがあるため、高値かつスムーズな買取が可能です。
また、仲介業者では買い手が見つかるまで現金化できませんが、買取業者なら買い手は業者になるため素早く現金化できます。スムーズに事故物件を手放せ、かつ現金化も早い点は買取業者の大きなメリットです。
現況のまま売却できる
売却するにあたって、通常は特殊清掃や残置物の撤去が必要ですが、専門の買取業者であればそのままの状態での買取が可能です。なぜなら、専門の買取業者は買取後の清掃や残置物の撤去などにかかる費用も考慮して買取価格を決定しているからです。
その分、買取価格は下がってしまいますが、特殊清掃や残置物の撤去にも数万〜数十万円ほどの費用がかかります。専門の買取業者なら、売却するために費用や手間をかけることなく、スムーズに事故物件が手放せます。
仲介手数料がかからない
仲介業者に売却した場合、物件の買い手が見つかり売買契約が成立すると、仲介手数料を支払う必要があります。
仲介手数料は売買金額に応じて上限額が設定されており、計算方法は以下のとおりです。
売買金額 | 計算式 |
---|---|
200万円以下 | 売買価格(税抜)×5%+消費税 |
200万円超〜400万円以下 | 売買価格(税抜)×4%+消費税+2万円 |
400万円超 | 売買価格(税抜)×3%+消費税+6万円 |
買取業者では仲介手数料が不要であるため、仲介業者に売却するのに比べて手数料分は確実にお得です。
告知義務違反に問われるリスクがない
売却できないことを危惧して、事故物件であることを隠して売却しようと考える人もいるかもしれません。
しかし、事故物件であることを隠して売却すると、告知義務違反として罰則が科される可能性があります。
専門の買取業者であれば、事故物件であることを知った上で買い取ってもらえるため、事故物件であることを隠す必要はありません。「事故物件であることを伝えたら、買い取ってもらえないのでは…」と不安に感じている場合、専門の買取業者への売却がおすすめです。
契約不適合責任が免責される
契約不適合責任とは、売却後に不備や不具合があった場合に、売主に対して損害賠償請求や契約解除などを求められるルールです。
事故物件であることを隠して売却し、後から事故物件であることが発覚すると、契約不適合責任に問われるおそれがあります。
しかし、専門の買取業者は事故物件であることを知り、かつ契約不適合責任を免責した上で買い取ってくれるため、売主はリスクを減らして事故物件を売却できます。
ただし、契約不適合責任を免責とするかは買取業者によって異なるため、買取業者の比較時にしっかりとチェックしましょう。
事故物件の買取業者を失敗せずに選ぶ4つのポイント
事故物件の買取に対応している業者はさまざまであるため、どこに依頼すべきか迷ってしまう人も多いでしょう。事故物件の買取業者選びに失敗しないためのポイントは、以下4つです。
- 事故物件を専門に取り扱っているか
- 買取実績が豊富か
- 評判・口コミは良いか
- サポート体制が充実しているか
事故物件を専門に取り扱っているか
事故物件を専門に取り扱っている業者であれば、ノウハウやネットワークが充実しているため、高値での買取に期待できます。物件の買取に対応していても、事故物件の買取にはあまり慣れていないといった業者もあるでしょう。
相場よりも安い金額やタダ同然で売却してしまわないためにも、買取業者の特徴は要チェックです。
買取実績が豊富か
上記とあわせて、買取実績が豊富かも確認しましょう。買取実績が豊富であればそれだけノウハウを持っていることの証明になり、高値での買取に期待できます。
買取実績は買取業者の公式サイトに掲載されている場合が多いため、この点も参考に業者を比較してみてください。
評判・口コミは良いか
第三者の評判も重要なポイントです。公式サイトに魅力的な言葉が並んでいても、実態が伴っていない場合もあります。
公式サイトにも口コミや評判が掲載されている場合がありますが、そこだけを参考にしないことがポイントです。Googleマップの口コミやSNS、投稿型の口コミサイトなど、第三者のプラットフォームであるほどよりリアルな評価がわかります。
サポート体制が充実しているか
各士業や特殊清掃業者など、各サービスと連携しサポート体制が充実した買取業者であるかもチェックポイントです。
とくに、士業と密接に連携しているかは重要なポイントです。事故物件の買取は法的なトラブルが発生する可能性もあるため、そうした時に士業との連携があると解決しやすくなります。
買取業者が弁護士や司法書士、税理士などの士業と連携があるかもしっかりとチェックしましょう。
事故物件をより高値で買い取ってもらえる2つのコツ
あわせて、事故物件をより高値で買い取ってもらうためのコツもご紹介します。
複数の買取業者で査定する
買取業者によって買取金額は異なるため、複数の買取業者に査定を依頼することがポイントです。査定によって大体の相場がわかり、他社の査定額を引き合いに出すことでより高値での買取を提案してくれる場合もあります。
査定は基本的に無料であり、不動産売却一括査定ツールを利用することで手軽に査定がおこなえます。
特殊清掃や残置物の撤去が必要かを確認する
事故物件であるかどうかにかかわらず、物件は状態が良いほど高値での買取が可能です。しかし、特殊清掃や残置物の撤去には多額の費用がかかってしまうおそれがあります。
状態を良くして高値で買い取ってもらえたとしても、そのためにかかった費用をふまえると相場以下となる可能性もあるでしょう。
そのため、特殊清掃などをした場合とそのままの状態の場合、どちらで売却した方がお得かを確認することがポイントです。2パターンの査定額を出してもらうことで、どちらがお得かを判断できます。
事故物件の買取を買取業者に依頼する流れ
事故物件の買取を依頼してから契約が完了するまでの流れは、以下のとおりです。
- 買取の相談・査定
- 契約
- 決済・引渡し
買取業者であれば、1ヶ月ほどで買取が完了します。流れを詳しくみていきましょう。
買取の相談・査定
まずは、複数者に査定を依頼します。まずは不動産売却一括査定ツールで大体の相場を把握し、その中でも査定額が高い複数者に目星をつけてから、各買取業者の公式サイトで査定依頼を出してみましょう。
その中で最も高い査定額の業者、あるいはその額を引き合いに出してより高値での買取を交渉し、納得のいく買取価格を提示してくれた買取業者を1社選びます。
契約
買取条件をすり合わせ、合意に至れば売買契約を締結します。契約の際には、下記のような書類の準備が必要です。
- 登録済権利証
- 固定資産税納付通知書
- 境界確認書
- 印鑑証明書
- 住民票
- 本人確認書類
- 収入印紙
- 実印
など
準備すべき書類は、買取業者から具体的な指示があります。スムーズに売却するためにも、売却を決めたら必要書類の準備も進めておきましょう。
決済・引渡し
売買契約の締結後、決済と引渡しが済めばすべてのステップが完了です。決済や引渡しのスケジュールは、契約時に決定します。
決済は買取業者から売主への入金のみとなり、売主から買取業者に支払うお金はありません。引渡し日当日は物件の鍵を忘れずに持っていきましょう。
事故物件の買取相場は一概には言えない
事故物件の買取価格はさまざまな要因によって左右されるため、相場は一概には言えません。というのも、死因はさまざまであり、その状況によって「心理的瑕疵」や「物理的瑕疵」の程度は異なるからです。
それでもおおよその目安を知りたいという方もいるでしょう。事故物件となった原因と物件への影響をふまえた、買取価格の下落率の目安は下記のとおりです。
事故物件となった原因 | 下落率の目安 |
---|---|
自殺 特殊清掃が不要なケース |
20~30% |
自然死・孤独死 特殊清掃が不要なケース |
10~20% |
他殺 特殊清掃が必要なケース |
50~90% |
自然死と他殺であれば、自然死の方が心理的瑕疵は少ないでしょう。また、遺体の発見が遅れて特殊清掃が必要になった場合と物件になんの影響もなかった場合では、前者の方が価格は下落しません。
事故物件は個別の事情に応じて買取価格の下落率も異なるため、詳しくは買取業者に査定を出して確認しましょう。
なお、通常の物件の買取価格は以下のとおりです。この価格を参考に、事故物件となった原因を加味して、買取価格の目安を算出してみましょう。
▼北海道
エリア | 取引価格 | 建築年 | 土地平米数 | 構造 |
---|---|---|---|---|
札幌市中央区 | 4,500万円 | 2022年 | 145㎡ | 木造 |
函館市 | 1,200万円 | 1996年 | 280㎡ | 木造 |
旭川市 | 690万円 | 1989年 | 195㎡ | 木造 |
▼東京
エリア | 取引価格 | 建築年 | 土地平米数 | 構造 |
---|---|---|---|---|
新宿区 | 5,000万円 | 2021年 | 35㎡ | 木造 |
世田谷区 | 5,700万円 | 2002年 | 105㎡ | 木造 |
八王子市 | 2,900万円 | 1981年 | 235㎡ | RC |
▼神奈川
エリア | 取引価格 | 建築年 | 土地平米数 | 構造 |
---|---|---|---|---|
横浜市 | 7,500万円 | 2019年 | 100㎡ | 木造 |
川崎市 | 2,900万円 | 2003年 | 45㎡ | 木造 |
平塚市 | 1,600万円 | 1992年 | 150㎡ | 木造 |
▼愛知
エリア | 取引価格 | 建築年 | 土地平米数 | 構造 |
---|---|---|---|---|
名古屋市 | 4,000万円 | 2018年 | 140㎡ | 木造 |
豊橋市 | 2,900万円 | 2011年 | 275㎡ | 木造 |
豊田市 | 1,400万円 | 1976年 | 105㎡ | 木造 |
▼大阪
エリア | 取引価格 | 建築年 | 土地平米数 | 構造 |
---|---|---|---|---|
大阪市 | 4,400万円 | 2023年 | 50㎡ | 木造 |
和泉市 | 3,400万円 | 2017年 | 105㎡ | 木造 |
堺市 | 2,300万円 | 2008年 | 65㎡ | 木造 |
▼福岡
エリア | 取引価格 | 建築年 | 土地平米数 | 構造 |
---|---|---|---|---|
福岡市 | 3,600万円 | 2023年 | 110㎡ | 木造 |
北九州市 | 2,600万円 | 2019年 | 170㎡ | 木造 |
久留米市 | 1,500万円 | 2003年 | 140㎡ | 木造 |
弊社独自のアンケートによると事故物件は安ければ安いほど良いという傾向も
弊社では「持ち家の事故物件を購入する場合、いくらなら出せるか」という内容のアンケートを実施しました。男女間で差はあるものの、安ければ安いほど良いという傾向はみられます。
男性% | 女性% | |
---|---|---|
50万円未満 | 27.9% | 47.7% |
50~100万円 | 14.2% | 15.8% |
100~500万円 | 24.6% | 16.0% |
500~1000万円 | 15.0% | 9.4% |
1000~2000万円 | 7.4% | 5.3% |
2000~3000万円 | 4.3% | 2.8% |
3000~4000万円 | 3.3% | 1.7% |
4000~5000万円 | 2.0% | 0.7% |
5000~6000万円 | 0.3% | 0.0% |
6000~7000万円 | 0.5% | 0.2% |
7000万円以上 | 0.5% | 0.5% |
合計 | 100.0% | 100.0% |
事故物件は一般的な物件より購入価格は安くなりますが、人が死亡した痕跡はほぼありません。そのため、事故物件となった原因やそれを気にするかにもよりますが、安ければや安いほど購入する層は比較的多くなると考えられるでしょう。