底地を手間なく確実に売却したいなら専門の買取業者への依頼がおすすめ
不動産買取業者の中には、底地の買取を専門とした業者もあります。専門の買取業者への依頼がおすすめな理由をみていきましょう。
スピーディーに現金化できる
買い手は業者本人であるため、スピーディーな買取と現金化が可能です。一般的な不動産会社に売却すると、買い手が見つからなければ現金化できません。
さらに、専門の買取業者には独自のノウハウとネットワークがあるため、可能な限り高値での買取が可能です。査定なら最短即日、買取が決定したら数日ほどで現金化できる場合もあります。
契約不適合責任を免責できる
通常、不動産を売却すると、売主には契約不適合責任が課されます。契約不適合責任とは、売却後に不動産に不具合が生じた際、売主に対して契約解除や損害賠償請求などを求められる制度です。
底地は権利関係が複雑になりやすかったり、土地利用に制限があったりと、後々トラブルが起こるリスクの高い不動産です。しかし、底地の買取を専門とした業者は、契約不適合責任を免責としている業者が多いため、売り手も安心して売却できるでしょう。
仲介業者に断られた底地も買い取ってもらえる
買取業者なら、仲介業者に断られた底地も買取可能です。仲介業者は個人への売却を想定しているため、市場での需要が低い底地の買い取りを断る業者も多くみられます。たとえ買い取ってもらえたとしても、底地を専門とした買取業者ほどの買取価格にはならず、無償同然での売却になるケースも珍しくありません。
一般の不動産買取業者よりも高値で買い取ってもらいやすい
底地を専門とした買取業者は、底地を収益化するノウハウを持っています。底地の取引実績が多い買取業者は、一般の不動産業者よりも高額での買取が可能です。
底地の買取相場は買主によって変動する
底地は利用制限のある土地であることから一般的な買取相場は高くはありませんが、買主によって変動します。とくに、借地人への売却は、相場よりも高額な買取に期待できるでしょう。
借地人と買取業者の2パターンから、底地の買取相場をみていきます。
【借地人に売却】更地価格の約50%
借地人へは、更地価格の約50%と高額売却が可能です。更地価格とは、借地権や抵当権が付いておらず、かつ建物が建っていない状態の土地の価格のことです。
更地価格は、国税庁が設定する路線価によって算出します。路線価は1平方メートルあたりの価額であり、路線価が定められている地域の土地を評価する際に用いる指標です。なお、路線価が定められていない地域は、市区町村の「評価倍率表」を参考にします。
更地価格=路線価(千円/㎡)×土地の面積(㎡)÷0.8
【買取業者に売却】更地価格の約10~15%
買取業者への売却は、更地価格の約10~15%が相場です。底地の売却にかかる人件費などのコストや利益を見込んで買取する必要があるため、借地人への売却に比べると買取相場は下がってしまいます。
しかし、底地は本来は売却が難しく、売却益にも期待できない不動産です。そんな底地に売却益が入り、かつ確実に手放せる点でメリットは大きいでしょう。
底地を仲介で売却するのが難しいのはなぜ?
底地は、以下のような理由から仲介での売却が難しいといわれています。
- 土地を自由に利用できないから
- 収益性が低いから
- 借地権者とのトラブルが起こる可能性があるから
土地を自由に利用できないから
底地は、借地権が設定されている土地です。第三者に土地を貸し出しているため、地主は自由に利用できません。つまり、土地は所有しているが、自分の目的で自由に利用できない状態です。
たとえ底地を購入したとしても利活用できないため、個人への需要がないことから売却が難しいのです。
収益性が低いから
底地は、土地を借りている人から地代を徴収できます。
地代収入が得られることを考えると底地の購入にメリットがあると思われますが、底地の所有には固定資産税など税金や管理費が発生します。しかし、地代は収益性が低く、地代が維持費と相殺されてしまったり、むしろ赤字になってしまったりするケースも珍しくありません。
地代の収益性が低い理由には、借地権の設定期間と特約が関係します。普通借地権の場合、契約期間は最低30年間です。地代は、借地人との契約時に当時の物価や相場に応じて決定されますが、特約があると増額ができません。
たとえば、20年前の相場で地代が設定されている底地を購入したとしても、現在の相場に見合った地代に変更できないため、収益化できない可能性が考えられるのです。
こうした理由から、底地は収益性が低い、あるいは収益化できない可能性があるため、なかなか購入者が現れず、売却も難しくなってしまいます。
借地権者とのトラブルが起こる可能性があるから
底地を購入したら、借地人と関係を持つことになります。地代の値上げや更新料、契約内容などで借地人とトラブルになる可能性も考えられるでしょう。
たとえば、特約がなく地代を値上げできる底地だとしても、借地人に拒否されるケースがほとんどです。最悪の場合、話し合いが長期化して裁判に発展するおそれもあるでしょう。
また、借地人とのトラブルが原因で底地が売り出されている可能性もあり、そうした底地を購入してしまうとトラブルまで受け継いでしまうことになります。
こうしたリスクを抱えていることも、底地の売却が難しい理由の一つです。
底地の買取業者を選ぶ5つのポイント
底地の買い取りに対応している業者は、たくさんあります。より高値で買い取ってもらうためには、以下5つのポイントを比較検討して業者を選んでみましょう。
- 底地を専門に取り扱っているか
- 底地の買取実績が豊富に公開されているか
- 底地の買取査定額が明確な根拠に基づいているか
- 士業と連携しているかどうか
- 口コミや評判が良いかどうか
底地を専門に取り扱っているか
不動産の買取業者は多数ありますが、なかでも底地を専門としている買取業者を選びましょう。
底地は活用が難しい不動産であるため、高値で買い取ってもらうには買取業者がノウハウを持っているかが重要です。底地の買い取りに対応しているとうたってながらも、実際には底地の買い取り実績がない業者も少なくありません。
タダ同然で売ってしまったり、買取後にトラブルに発展したりしないためにも、買取業者が底地を専門に取り扱っているかは要チェックです。
底地の買取実績が豊富に公開されているか
底地を専門とした買取業者であれば、一般的に買取実績を公開しています。確実に底地を専門としているかを見極めるためにも、買取実績が公開されているかをチェックしましょう。
買取実績からは、実際の買取相場や買取の対応範囲などもわかります。
底地の買取査定額が明確な根拠に基づいているか
明確な根拠のもと買取査定額を提示してくれる業者であれば、後から買取額を下げてくるなど、悪質な対応をされる心配がありません。
なかには、買取査定額だけ高値を提示し、自社での買い取りに持ち込んでもらおうとする悪質な担当者もいます。一方、買取査定額が想定より低かった場合も、明確な根拠を提示しているかが重要です。
士業と連携しているかどうか
底地は権利関係が複雑な土地であるため、借地人や底地の共有者とトラブルになりやすいリスクを抱えています。権利関係に問題が生じている底地でも買い取りは可能ですが、この場合は士業と連携している買取業者を選ぶことがポイントです。
士業と連携している買取業者であれば、底地の問題を解消しつつ、トラブルなくスムーズな買い取りが可能となります。
口コミや評判が良いかどうか
買取業者のホームページ以外でも、口コミや評判をチェックすることもポイントです。自社ホームページ以外の口コミには、マイナスな情報も掲載されています。
すべてを鵜呑みにする必要はありませんが、外部の口コミや評判はより客観性のある情報です。プラスの口コミが多かったり、担当者が丁寧に口コミに返信していたりすると、信頼できる買取業者といえるでしょう。
底地の買取を買取業者に依頼する際の注意点
底地の買取を依頼する際は、以下のポイントに注意しましょう。
- 共有名義の底地を売却する場合は共有者全員の同意が必要
- 底地を売却することを借地人に伝えておき不要なトラブルを防ぐ
- 借地人との契約書はできるだけ揃えておく
共有名義の底地を売却する場合は共有者全員の同意が必要
底地が共有名義である場合、売却するには共有者全員の同意を得なければなりません。
共有者の中に売却を拒否する人がいた場合でも、共有持分のみであれば売却は可能です。共有持分なら、共有者の同意なしに売却できます。しかし、底地全体を売却した場合と比べて、買取価格は下がってしまうでしょう。
売却を拒否する共有者がいる中でも底地全体を売却したい場合には、他の共有者の持分を買取り、単独名義にしてから売却するのも一つの方法です。
底地を売却することを借地人に伝えておき不要なトラブルを防ぐ
底地を売却すると地主が変わるため、地代の支払い先が変わるなど借地人に少なからず影響が生じます。たとえ大きな影響がなかったとしても、自分が借りている土地の所有者が変更したと突然知らされると不安に感じる方もいるでしょう。
売却によって地主が変わることを事前に知らせておくことは両者にとって損はなく、トラブルを未然に防ぐためにも有効です。
ただし、借地人との相手にすでにトラブルが生じている場合は、必ずしも伝える必要はありません。
借地人との契約書はできるだけ揃えておく
借地人に土地を貸し出すにあたって、賃貸契約書を作成しているはずです。しかし、契約からかなりの年数が経過していると、契約書が見つからなかったり、紛失してしまったりすることもあるでしょう。
借地人との契約書がなくても、買取自体は可能です。しかし、契約書がある場合と比べて買取価格が下がる傾向があります。
契約書が見つからない、あるいは契約書の一部を紛失してしまったなどの場合は、売却前に新たに契約書を作成し直すことがおすすめです。
底地の買取を買取業者に依頼する流れ
底地の買取を依頼する際の基本的な流れは、下記のとおりです。
- 買取業者に査定の依頼をする
- 査定額を提示してもらう
- 借地人に底地を売却することを伝える
- 売買契約を締結する
- 決済・引き渡しを行う
- 確定申告を行う
スムーズに買取を進めるためにも、買取の流れを確認しておきましょう。
買取業者に査定の依頼をする
まずは買取業者を選び、査定を依頼しましょう。買取査定額は業者によって異なるため、複数の買取業者に査定を依頼することがポイントです。
査定方法は、主に「机上査定」と「訪問査定」の2パターンです。机上査定は問い合わせフォームの入力内容を元に査定額を算出するため、査定結果がすぐにわかります。訪問査定は実際に底地をみて査定するため、査定結果が出るまでに時間はかかってしまうでしょう。しかし、実際の買取価格が把握できたり、担当者に直接会えたりすることで判断材料が揃いやすくなります。
とはいえ、査定額に大幅な差は生じないため、素早く比較検討したい場合には机上査定で問題ないでしょう。
査定額を提示してもらう
査定依頼後、結果が出たら買取業者から連絡があります。査定結果は最短即日、または1〜3日ほどでわかるケースが一般的です。
少しでも高値で買い取ってもらうには、他社の査定額も伝えて価格交渉してみましょう。
借地人に底地を売却することを伝える
依頼する買取業者が決まったら、借地人に底地を売却する旨を伝えましょう。売却によって、借地人は地代の支払い先が代わり、場合によっては新たな地主から地代の増額を交渉される可能性もあります。借地人が売却の事実を知らずに後から困ってしまうことがないよう、配慮することが大切です。
売買契約を締結する
ここまで準備ができたら、売買契約書を作成して契約を締結します。契約書などの手続きは、すべて担当者がおこなってくれます。契約書の内容はしっかりと確認して、不明点や疑問点は契約締結前に解消しておきましょう。
査定額から買取価格が下がっていないか、契約不適合責任が免責されているかといったポイントは要チェックです。
決済・引き渡しを行う
契約締結後、早ければ1週間、一般的であれば1ヶ月ほどで底地を引き渡します。引き渡しに際し、底地の権利移転の手続き(登記)が発生しますが、基本は買取業者側で手続きを進めてくれます。決済と引き渡しは同日に行われることが多く、登記書類への署名と捺印、売買代金の受け取りで契約のすべてが完了します。
確定申告を行う
底地の売却で得た利益には、譲渡所得税が課せられます。そのため、売却した翌年の2月15日から3月16日までに、所轄の税務署で確定申告と納税をおこないましょう。
日本全国の底地の数は100万以上
政府統計の総合窓口e-Statによると、東京都における借地・底地の数は平成30年時点で約17万件です。全国では、100万戸以上の底地があります。
日本全国の世帯数 | 底地 | 底地の割合 |
---|---|---|
3287万3700戸 | 103万8700戸 | 3.2% |
参照:住宅・土地統計調査 平成30年住宅・土地統計調査 住宅の構造等に関する集計 全国・都道府県・市区町村|e-Stat
底地の割合が多い都道府県ランキングは、以下のとおりです。
神奈川県 | 3.4% |
---|---|
千葉県 | 2.7% |
愛知県 | 2.9% |
大阪府 | 3.1% |
福岡県 | 2.2% |
なお、統計では底地を「借地」と記載していますが、底地と借地は同義です。借地とはその名のとおり「他人から借りた土地」のことであり、借地人からみた「底地」の呼び方です。
「土地を貸した側(地主)」と「土地を借りる側(借地人)」のどちらの視点からみるかによって呼び方が変わるだけであり、底地と借地は物理的には同じ土地を指します。