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市街化調整区域の家は売却できる?売却のポイントや活用方法を解説

市街化調整区域の家は売却できる?売却のポイントや活用方法を解説

市街化調整区域とは、無秩序な市街化を防ぐ目的で、建築や開発が厳しく制限されているエリアです。

そのため一般的な住宅地に比べて買主が限られやすく、「市街化調整区域の家は売れないのでは?」「買い手が見つからないのでは?」と不安を感じる方も少なくありません。

実際の売却相談でも、「相続した実家を売ろうとしたが、不動産会社から調整区域なので難しいと言われた」「買主候補はいたものの、住宅ローン審査が通らなかった」といったケースがあります。

市街化調整区域の家が売れにくい主な理由としては、次のような点が挙げられます。

  • 住宅ローンが通りにくい
  • 生活インフラが整っていないケースがある
  • 周辺環境の利便性が低いことが多い
  • 建て替えや新築に制限がかかる可能性がある
  • 地目が農地の場合、転用許可が必要になる

ただし、実務上は「市街化調整区域だから売れない」と一括りにできるわけではありません。

市街化調整区域にある家の売却のしやすさや利用可能性は、「市街化調整区域に指定される前から建物が存在しているか」「過去にどのような許可を受けて建築されたか」「地目が宅地か農地か」などによって大きく変わります。

また、市街化調整区域のなかでも、区域指定の有無や接道条件、立地条件によっては、一般住宅として比較的スムーズに売却できるケースもあります。

そのため、条件次第では住宅としての需要が見込める場合もあるほか、駐車場や資材置き場、事業用途など、用途を限定した需要で売却できるケースもあります。

本記事では、市街化調整区域にある家について、なぜ売却が難しいとされるのか、どのような条件なら売れやすくなるのかを実務の視点で解説します。

あわせて、売却を進める際に確認しておきたいポイントや、現実的な売却先も紹介するため、市街化調整区域の家が売却できるか不安な方は参考にしてください。

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市街化調整区域の家の売却が難しい原因

市街化調整区域の家が売却しにくくなる背景には、都市計画法による建築制限やに加え、住宅ローン審査や生活利便性など、一般的な住宅地とは異なる特有の事情があります。

実際の売却相談では、「相続した実家を売りたいが買主が見つからない」「不動産会社に相談したものの取り扱いを断られた」といったケースも少なくありません。

市街化調整区域の家の売却が難しい原因としては、主に以下の5つが挙げられます。

市街化調整区域の家の売却が難しい5つの原因

ここからは、それぞれの原因について詳しく解説します。

住宅ローンが通りにくい

市街化調整区域は、都市計画法により建築や増改築が原則として制限されている地域です。

そのため、一般的な住宅地と比べて利用用途が限定されやすく、金融機関による担保評価が慎重になりやすい傾向があります。

住宅ローンを組む際、金融機関は購入する不動産を担保として評価します。しかし、市街化調整区域の不動産は、建て替えや再建築が制限されるケースもあるため、担保価値を低めに判断されることがあります。

その結果、金融機関によっては住宅ローンの審査が通らなかったり、通常の住宅地に比べて融資条件が厳しくなったりするケースが多くみられます。

売却相談の現場でも、購入希望者は見つかったものの、金融機関から再建築可否が不明と判断され、融資承認が下りなかったというケースは珍しくありません。

特に地方エリアでは、金融機関ごとに審査基準が大きく異なることもあり、ある銀行では否決でも、別の金融機関では融資可能だったという事例もあります。

住宅ローンが利用できない場合、自己資金を多く用意できる買主に限定されやすく、結果として売却活動が長期化する要因になることがあります。

生活インフラが整っていない

市街化調整区域では、計画的な市街化を抑制する目的から、道路や上下水道などの生活インフラが十分に整備されていない地域も少なくありません。

特に、上下水道が引き込まれていないケースでは、浄化槽の設置や給水管の延長工事が必要になることがあります。また、都市ガスが供給されておらず、プロパンガスを利用するケースもあるでしょう。

インフラ整備に費用がかかる場合、その負担条件は物件によって異なるものの、購入後に追加コストが発生するケースもあります。

実際に、購入後に水道引込工事で数十万円単位の費用が必要とわかり、買主が契約を見送ったというケースもあります。
また、古い集落では前面道路が狭く、工事車両が入りにくいことで、想定以上に整備費用がかかるケースもみられます。

インフラが未整備の場合、その整備費用は原則として所有者の自己負担となるケースが多く、購入後のコスト負担が大きくなりがちです。

こうした事情から、生活面での不便さや追加費用を懸念され、市街化調整区域の不動産は買主から敬遠されやすく、売却が難しくなる傾向があります。

一方で、実際の売買事例では、既に上下水道が整備されている物件や、市街化区域に近いエリアでは比較的スムーズに取引されるケースもみられます。

周辺環境の利便性が悪い

市街化調整区域は、スーパーやコンビニ、学校、駅、病院、ドラッグストアなど、生活に欠かせない施設が周辺に少ないケースが多く、日常生活の利便性が低くなりやすい傾向があります。

「駅が遠く、通勤・通学に車が必須になる」「日用品や食料品の買い出しに時間がかかる」「急病時にすぐ受診できる医療機関が近くにない」といった不便さを感じる場面も少なくありません。

実際の内覧時でも、「自然環境は良いが、毎日の生活をイメージすると不安が残る」と判断され、購入に至らないケースは少なくありません。

特に、子育て世帯では通学環境や送迎負担、高齢者世帯では通院や買い物環境を重視される傾向があります。

こうした立地条件は、居住用として購入を検討する買主にとって敬遠されやすい要素となるため、市街化調整区域の不動産が売却しにくくなる要因の1つとされています。

一方で、市街化区域に隣接している場合や既存集落内に位置する場合など、立地によっては一定の生活利便性が確保されているケースもあります。

家の建て替えや新築ができない可能性がある

市街化調整区域では、原則として新たな住宅の建築や大規模な開発行為が制限されています。そのため、住宅の新築や既存住宅の建て替えが自由にできないケースも多く、売却時に大きなネックとなることがあります。

実際に新築や建て替えを行うには、都市計画法や自治体条例で定められた要件を満たし、自治体の許可を得る必要があるのが一般的です。

ただし、許可の要否や可否は物件ごと・自治体ごとに異なります。また、市街化調整区域では「建て替え」と「増改築」で扱いが異なる場合があり、外壁の修繕や内部改修など、内容によっては比較的認められやすいケースもあります。

実際のご相談でも、「親から相続した家に住み続ける予定だったが、老朽化後に建て替えできない可能性があると知って売却を検討し始めた」というケースは一定数みられます。

また、買主側でも「今は住めても、将来的に再建築できないなら購入を避けたい」と考えるケースは少なくありません。

このように、将来的な建築の可否が不明確な不動産は利用計画が立てにくく、買主から敬遠されやすい傾向があるでしょう。

農地の場合は転用許可が必要

農地は農地法により、原則として農業従事者や農業法人など、農地を取得できる要件を満たす者にしか売却できず、その可否は農業委員会の許可によって判断されます。そのため、市街化調整区域の不動産のなかでも売却が難しくなりやすいといえます。

農地を宅地などへ転用できれば活用の幅は広がりますが、市街化調整区域では、農地転用にあたっては原則として自治体や農業委員会の許可が必要です。

しかし、市街化調整区域は自然環境や農業振興を目的とした地域であるため、農地転用は厳しく制限されています。立地や利用目的によっては許可が下りないケースも多いでしょう。

実務上も、「住宅用地として売れると思っていたが、農地転用の許可見込みが低いと判明し、売却方針を見直した」というケースは少なくありません。

さらに、農地転用の許可が下りた場合でも、その後に住宅などの建築許可が別途必要です。つまり、転用できたからと住宅として売れるとは限りません。

転用許可と建築許可を別問題として確認しなければならず、ここを見落として購入トラブルになるケースもあります。

転用許可が得られない場合、農地のまま売却することになりますが、購入できる人が限られるため、売却はさらに難しくなります。

市街化調整区域でも売れやすい家の特徴

市街化調整区域にある不動産でも、建築や将来的な利用について一定の見通しが立つ物件は、比較的買主が見つかりやすい傾向があります。

実際の売却現場でも、市街化調整区域だから一律に売れないというケースばかりではありません。反対に、建築条件や立地条件が整理されている物件は、一般住宅として流通するケースもあります。

特に、「再建築の可否がある程度明確」「インフラ状況が把握しやすい」「生活圏として成立している」といった物件ほど、買主側も検討しやすい傾向があります。

具体的には、次の5つのケースに該当する場合、買主が見つかる可能性が高まるといえるでしょう。

  • 市街化区域に隣接している
  • 市街化調整区域になる前から家が建てられている
  • 事業のために開発された地域にある
  • 低層住居専用地域(用途地域)内にある
  • 都市計画法第60条証明に当てはまっている

ただし、建築や再建築の可否、許可の要否は自治体ごとに判断基準が異なります。

実務上も、隣の市では許可対象だったが、別自治体では認められなかったというケースは珍しくありません。

そのため、同じ条件に見えてもエリアによって扱いが変わるため、必ず個別に確認することが重要です。

1.市街化区域に隣接している場合

市街化調整区域の土地でも、市街化区域との境界付近に位置している場合は、条件次第で建築の許可が認められるケースがあります。

すでに周辺まで市街化が進んでいる地域であれば、住宅を新築・建て替えしても「市街化の抑制」という都市計画の趣旨に反しにくく、インフラ整備の面でも合理性があると判断されやすいためです。

実際の売却現場でも、「住所上は市街化調整区域だが、道路を挟んだ向かいは市街化区域」というケースでは、一般住宅として購入検討されることがあります。

特に、スーパーや学校、病院などが近く、生活圏が既に形成されているエリアでは、買主側も実際の暮らしをイメージしやすくなります。

都市計画法第34条では、自治体が条例で定めている場合に限り、次のような条件を満たす地域について、市街化調整区域での開発行為を許可できるとされています。

・市街化区域に隣接、近接していて、市街化区域と一体的な生活圏を構成している地域
・市街化区域部分も含めた周辺地域に、おおむね50以上の建築物が建築されている

参照:e-Govポータル「都市計画法34条11号」

建築の可否について一定の見通しが立てやすく、生活利便性も確保されやすい立地であることから、市街化調整区域のなかでは売却が進みやすい傾向があります。

ただし、すべての隣接地が一律に許可されるわけではなく、具体的な建築可否は自治体の条例や個別審査によって判断されます。

実際に、「市街化区域の近くだから大丈夫だと思っていたが、接道条件を満たさず建築許可が下りなかった」というご相談も実際にはあります。

そのため、売却前には「隣接しているか」だけでなく、接道状況や条例条件まで確認しておくことが重要です。

2.市街化調整区域になる前から家が建てられている場合

市街化調整区域にある不動産でも、市街化調整区域に指定される前から建っている家については、条件次第で建て替えが認められる場合があります。

かつては「既存宅地確認制度」により、市街化調整区域の指定前から宅地として利用されていた土地では、建築に際する許可が不要とされていました。

既存宅地確認制度自体は2001年(平成13年)に廃止されていますが、現在でも自治体ごとに類似の運用基準が設けられているケースがあります。

実際に、相続した古家について、調整区域だから建て替え不可だと思っていたが、既存宅地として扱われ再建築可能だったというケースがある一方、長年空き家状態だったことで継続利用性を否定され、想定していた許可が得られなかったケースも存在します。

このように、昔から建っている家であっても、利用実態や建築履歴によって判断が変わる点は実務上よくみられます。

また近年では、国土交通省が観光振興や地域集落の維持を目的として、既存建築物の用途変更について柔軟な運用を促す方針を示しています。

そのため、住宅として使われてきた建物を、店舗や事業用途などに変更できる可能性がある点も特徴です。

こうした物件は、買主側が将来的な活用イメージを持ちやすく、住む以外の用途も検討できるという点から売却が進みやすい傾向があります。

参照:国土交通省「開発許可制度運用指針の一部改正」

3.事業のために開発された地域の場合

市街化調整区域の不動産であっても、過去に事業目的で開発許可を受けた実績がある地域では、土地利用の方向性が比較的明確になっているケースがあります。この場合、建築行為について、自治体の判断が比較的行われやすい傾向があります。

たとえば、工場や倉庫、物流施設などの開発履歴がある地域では、インフラ整備や接道条件が一定程度整っている場合もみられます。また、幹線道路沿いの物件では、資材置場や事業用地として検討されることも少なくありません。

こうした地域では、住宅用途に限らず、事業用途や特定目的での利用を前提に検討されるケースもあり、市街化調整区域のなかでは比較的売却が進みやすい傾向があるでしょう。

ただし、許可の可否は用途や規模によって異なり、過去に工場が建っていたから住宅も建てられるとは限りません。

実務上も、用途変更の可否を十分確認しないまま売買が進み、後から希望用途で利用できないことが判明するケースがあります。

そのため、売却を検討する際は、想定される用途を前提に自治体へ事前確認しておくことが重要です。

4.低層住居専用地域(用途地域)内にある場合

用途地域とは、建築できる建物の用途や規模があらかじめ定められている区域のことです。低層住居専用地域では、主に戸建て住宅や低層住宅の建築が想定されています。

原則として、市街化調整区域には用途地域は指定されません。しかし、線引き前から用途地域が指定されていた地区や、都市計画上の経緯により、例外的に用途地域が残っているエリアも存在します。

たとえば住宅の供給不足を防ぐため、1970〜1980年代に街の中心部から離れたエリアで造成された公営団地やニュータウンは、市街化調整区域内でも低層住居専用の用途地域として扱われていることがあります。

実際の売却現場でも、街並みが整っていて、一見すると通常の住宅地と変わらないという理由から、一般住宅として検討されるケースがあります。

また、金融機関側も周辺利用状況を踏まえて評価するため、調整区という名称だけで一律に判断されないケースも実務上あります。

このような地域では、住宅用途としての位置づけが比較的明確なため、市街化調整区域のなかでも建築の可否を判断しやすく、居住用として検討されやすい傾向があります。

5.都市計画法第60条証明に当てはまっている

都市計画法第60条証明とは、建築物が都市計画法に基づく開発許可や建築許可を必要としない建築物に該当することを示す書類です。

実務上は、都市計画法施行規則第60条に基づく証明で「60条証明」と呼ばれることもあります。

都市計画法施行規則第60条証明の対象となる建築物には、主に次のようなものがあります。

  • 農家住宅
  • 農林漁業の用に供する建築物
  • 公益上必要な建築物
  • 日常生活用品の販売・加工等の業務用建築物

これらに該当する場合、開発許可や建築許可が不要、または簡略化されるケースがあり、利用計画の見通しを立てやすくなるため、市街化調整区域の不動産であっても売却が進みやすくなる傾向があります。

実際の売却現場でも、「農家住宅として60条証明の対象になることが確認でき、買主側が安心して契約を進められた」というケースがあります。

ただし、すべての建築物が対象となるわけではなく、具体的な用途や建築内容によっては別途確認が必要です。

たとえば、以前は農家住宅だったというだけでは認められず、現況利用や要件確認で時間を要するケースもあります。

特に、古い建物では建築当時の許可資料が残っていないことも多く、役所調査に数週間〜数ヶ月かかるケースも珍しくありません。

そのため、売却前には自治体窓口や不動産会社へ確認し、必要資料を早めに整理しておくことが重要です。

家の所在地が市街化調整区域に入っているか確認する方法

市街化調整区域かどうかは、売却のしやすさだけでなく、建て替えや増改築の可否、住宅ローン審査にも影響する重要なポイントです。

そのため、売却を検討する前に、まずは自分の家がどの区域に該当するのかを正確に把握しておくことが重要です。

実際の売却相談でも、「調整区域だと知らずに売却活動を始めていた」「購入希望者が現れてから初めて建築制限を把握した」というケースは珍しくありません。

特に市街化調整区域では、「建物が建っている=自由に建て替えできる」とは限らないため、早い段階で確認しておきましょう。

また、同じ市街化調整区域でも、建築可能なケースとそうでないケースがあり、区域区分だけでは判断できないこともあります。

家の所在地が市街化調整区域に入っているか分からない場合は、主に以下の2つの方法で確認できます。

  • 役所で確認する
  • インターネットで確認する

ここからは、それぞれの方法について詳しく解説します。

役所で確認する

市街化調整区域について確認したい場合は、市区町村の担当窓口で直接確認する方法がもっとも確実です。

役所を訪ねるのが難しければ、電話やメールでも問い合わせることが可能です。

自治体によっては、市街化調整区域かどうかだけでなく、建て替えの可否や過去の建築許可の有無なども確認できる場合があります。

多くの自治体では「都市計画課」や「開発指導課」が管轄していますが、自治体によっては部署名が異なる場合があるので、事前に確認しておきましょう。

実際の売却相談でも、「古くから家が建っているから問題ないと思っていたが、役所調査で現在の制度では再建築が難しい可能性があると判明した」というケースがあります。

反対に、「調整区域なので売れないと思い込んでいたが、役所確認の結果、一定条件のもとで再建築の可能性があることが分かった」というケースもあります。

このように、市街化調整区域では現地を見ただけでは分からない事情が多く、実務上も役所調査は重要です。

特に確認されることが多いのは、次のような内容です。

  • 建物がいつ建築されたか
  • 建築確認や開発許可の履歴があるか
  • 再建築が可能か
  • 接道義務を満たしているか
  • 用途変更が可能か

築40〜50年以上の建物になると、当時の許可資料が残っていないケースも少なくありません。

その場合、閉鎖公図や古い航空写真、固定資産課税台帳などをもとに調査を進めることもあります。

また、実務上よくあるのが、売主本人は「昔から住んでいる家だから問題ない」と考えている一方で、買主側の金融機関や建築会社から詳細資料を求められるケースです。

そのため、売却活動を始める前に役所で整理しておくと、その後の取引がスムーズになりやすいでしょう。

役所を訪問する際は、固定資産税納税通知書や登記簿、公図などを持参すると確認がスムーズです。

なお、自治体によっては電話やメール相談に対応している場合もありますが、最終的には窓口で資料確認を求められるケースも多いため注意が必要です。

インターネットで確認する

地域によっては、市街化調整区域に関する情報がインターネットで公開されている場合もあります。GoogleやYahooなどで「地域名 市街化調整区域」と検索すれば、ネット上からでも簡単に調べられます。

たとえば、横浜市の場合は「iマッピー(横浜市行政地図情報提供システム)」を利用して区域区分を確認できます。

近年では、多くの自治体がGIS(地理情報システム)を導入しており、自宅住所を入力するだけで用途地域や区域区分を確認できるケースも増えています。

実際の売却現場でも、まずインターネットで確認したうえで、詳細確認のために役所へ相談するという流れはよくあります。

ただし、GIS情報は概略表示であり、正式な法的判断資料として扱えない場合もある点に注意しましょう。

また、インターネット情報だけを見て判断し、後からトラブルになるケースも少なくありません。

たとえば、実務上は以下のようなケースもみられます。

  • 地図上では建築可能に見えたが、接道条件を満たしていなかった
  • 古い航空写真では宅地利用されていたが、既存宅地扱いが認められなかった
  • 隣接地は建築できているのに、自分の土地だけ許可条件を満たしていなかった

特に市街化調整区域では、地図情報と実際の許可可否が一致しないケースがあるため注意が必要です。

また、自治体サイトによっては情報更新が追いついていないこともあり、古い区域情報が掲載されたままになっているケースもあります。

そのため、インターネットはあくまで初期確認として活用し、最終的には役所窓口で正式確認を行うことが重要です。

市街化調整区域の家を売るポイント

市街化調整区域の家は、一般的な住宅地と比べて売却が難しい傾向があります。

ただし、物件の状況や地域特性を整理し、適切な売却方法を選ぶことで成約につながるケースも少なくありません。

実際の売却相談でも、「不動産会社から難しいと言われていたが、用途を変えて募集したことで買主が見つかった」というケースがあります。

また、市街化調整区域では、住宅として売るという発想だけでなく、「誰が・何目的で使うか」まで整理できるかが重要です。

具体的なポイントとして、次の7つを押さえておきましょう。

  • 自治体に申請して「開発許可」を取得する
  • 市街化調整区域のメリットを買主へ伝える
  • 購入する可能性が高いターゲットを絞る
  • 市街化調整区域の「区域指定」を確認する
  • 売りたい不動産の「地目」を確認する
  • 市街化調整区域の「建築年月日」を確認する
  • 訳あり物件専門の買取業者に買取してもらう

それぞれ詳しく解説します。

自治体に申請して「開発許可」を取得する

あらかじめ売主側で「開発許可」を取得してから、建物を建てられる不動産として売却する方法です。

市街化調整区域では「建築できるか不透明」という点が、買主側の大きな不安材料になりやすいため、この点をあらかじめ解消しておくことで売却につなげる戦略です。

実際の売却現場でも、「建築可否が不明確な状態では反響が少なかったが、自治体へ事前相談したことで問い合わせが増えた」というケースがあります。

市街化調整区域にある不動産については、自治体へ申請を行い、次のような流れで開発許可を取得します。

  1. 市区町村役場で事前相談を行う
  2. 申請書および必要な資料を提出する
  3. 自治体による現地調査・審議が行われる
  4. 問題がなければ、自治体から開発許可が下りる

事前相談の際には、以下のような書類の提出を求められる場合があります。

  • 不動産の案内図
  • 公図の写し
  • 土地・建物の登記事項証明書

ただし、開発許可の申請手続きや必要書類、許可基準は自治体ごとに異なります。

また、実務上は上記の資料だけでは済まないケースも少なくありません。

たとえば、以下のような追加資料を求められるケースもあります。

  • 建築確認履歴
  • 固定資産課税台帳
  • 閉鎖登記簿
  • 古い航空写真
  • 既存建物の配置図

特に築古物件では、「当時の許可図面が残っていない」「増改築履歴が不明」という理由で調査が数ヵ月単位になるケースも実際にあります。

そのため、必ず売却予定の不動産が所在する市区町村役場で確認したうえで進めましょう。

また、自治体によって運用差が大きいのも市街化調整区域の特徴です。

実際の売却現場では、「隣の市では許可見込みありだったが、別自治体では接道条件を理由に難しいと判断された」というケースがあります。

そのため、似た事例があるから大丈夫と自己判断せず、必ず所在地自治体へ個別確認することが重要です。

なお、開発許可は申請後すぐに下りるものではありません。

許可にあたっては、自治体による現地調査や審議が行われるため、申請から許可までに1〜2ヵ月程度かかるケースもあります。

そのため、売却スケジュールには、あらかじめ余裕を持っておくことが重要です。

市街化調整区域のメリットを買主へ伝える

市街化調整区域の不動産は、建築制限や再建築リスクばかりが注目されやすく、メリットが十分伝わらないまま検討対象から外されてしまうケースも少なくありません。

しかし、市街化調整区域にはデメリットだけでなくメリットもあるため、適切に買主へ伝えることで、売却できる可能性が高まります。

実際には、市街化調整区域ならではの特徴を魅力として捉える買主も一定数います。

特に最近は、

  • 自然環境を重視したい
  • 広い敷地を確保したい
  • 都市部から離れて静かに暮らしたい

と考える層から相談を受けるケースもあります。

具体的には、以下のような市街化調整区域のメリットを買主へ伝えるとよいでしょう。

  • 宅地以外にも利用用途がある
  • 建物が少ないので、静かで環境がよい
  • 都市計画税がかからないので税金が安い

それぞれのメリットを解説します。

【メリット1】宅地以外にも利用用途がある

市街化調整区域の不動産でも、建築を伴わない用途や認められた範囲であれば、住居以外の目的で活用できるケースがあります。

  • 更地にして駐車場を経営する
  • 農地として利用し、農業を営む

すべての買主が居住目的で不動産を購入しているわけではなく、資産運用や事業利用を目的に検討しているケースも少なくありません。

実際の売却事例でも、「住宅用途では反響が少なかったが、運送会社向けの車両置場として募集したところ成約につながった」というケースがあります。

また、近年では、

  • キャンプ場
  • ドッグラン
  • 太陽光関連用地
  • トランクルーム用地

などとして検討されるケースもあります。

ただし、市街化調整区域では建物の用途変更に厳しい制限があります。

たとえば、住宅を店舗へ変更したり、倉庫を事務所として利用したりする場合には、都市計画法第43条に基づく許可が必要となるケースがあり、認められなければ計画自体が進められません。

用途変更の内容によっては、是正指導を受けたり、継続利用が認められなかったりする可能性もある点に注意が必要です。

このように、市街化調整区域では「住宅地として売れない=価値がない」わけではありません。

住宅用途に限定しない視点を持ち、買主に対して宅地以外の利用用途を提示できれば、価格を大きく下げずに売却できる可能性があります。

【メリット2】建物が少なく静かで環境がよい

市街化調整区域は建築制限があるため、周囲に建物が密集しにくく、静かな住環境が維持されやすい特徴があります

そのため、住環境を重視する層から一定の需要があります。

実際の内覧時でも、「隣家との距離が取れている」「夜が静かで落ち着いている」「子どもを自然環境で育てたい」といった声が聞かれるケースも多いです。

特に最近は、リモートワーク普及の影響もあり、「多少駅から遠くても、住環境を優先したい」という層からの需要もみられます。

また、市街化調整区域では大型マンションや商業施設が建ちにくいため、周辺環境が急激に変わりにくい点を評価する買主もいます。

実際の売却現場でも、「将来的に隣へ高い建物が建ちにくい点を気に入った」という購入理由は少なくありません。

都市部の騒音や混雑を避け、静かな住環境を求める買主であれば、市街化調整区域の不動産を購入してくれる可能性は高いでしょう。

【メリット3】都市計画税がかからないので税金が安い

市街化調整区域は市街化を抑制する区域であるため、不動産を所有しても、原則として都市計画税がかかりません。

固定資産税はかかりますが、市街化調整区域は公示地価や評価額が低くなりやすいため、税額も比較的抑えられる傾向にあります。

税負担が軽くなりやすい点は、購入する買主にとって節税面でのメリットといえるでしょう。

実際に、「住宅ローン返済後の維持費まで考えたい」という理由から、税負担の軽さを重視されるケースがあります。

また、市街化調整区域は地価や固定資産評価額が低めになるケースも多いため、結果として固定資産税自体も抑えられることがあります。

ただし、土地利用状況や自治体運用によって課税内容が異なるケースもあるため、個別確認は必要です。

購入する可能性が高いターゲットを絞る

市街化調整区域の不動産は、一般住宅として広く売却活動を行うよりも、利用目的が合致しやすい相手へアプローチしたほうが成約につながるケースがあります。

市街化調整区域の不動産のターゲット層としては、以下のような人が挙げられます。

  • 隣地の所有者
  • 農業従事者
  • 近隣で事業を行っている個人・法人

隣地の所有者からすれば、隣地を購入することで自身の所有地が広がり、土地の活用方法が広がるというメリットがあるため、交渉を持ち掛ければ購入してもらえる可能性があります。

たとえば、実際の売却事例でも、「半年以上反響がなかった土地が、隣地所有者へ声をかけたことで短期間でまとまった」というケースがありました。

また、農業従事者であれば、一定の要件を満たすことで農家住宅や農業用倉庫などの建築が認められるケースもあるため、農家の人や新たに農業を始めようとしている人にも需要があるでしょう。

さらに、近隣で事業を行っている個人・法人であれば「従業員やお客様用の駐車場が欲しい」「社宅を建てたい」「資材置き場が欲しい」などのニーズがあるため、市街化調整区域の不動産でも購入してくれる可能性があります。

実際の売却現場でも、一般住宅としては売れなかった土地が、建設会社の資材置場として成約したケースは珍しくありません。

このように、市街化調整区域では「誰に売るか」を具体的に整理することが、売却成功につながりやすいポイントです。

市街化調整区域の「区域指定」を確認する

区域指定とは、市街化調整区域のなかでも、一定の条件を満たすことで開発許可や建築許可が認められているエリアのことです

区域指定がされている場合、住宅などの建築が可能となるケースもあるため、同じ市街化調整区域であっても、買主からの需要が比較的高く、売却が進みやすい傾向があります。

実際の売却相談でも、当初は調整区域なので売れにくいと考えられていた土地が、区域指定対象と分かったことで、一般住宅用地として購入検討が進んだケースがあります。

区域指定の対象となるかどうかは、一般的に次のような条件をもとに判断されます。

  • 近隣に50戸以上の集落がある
  • 上下水道が整備されている
  • 公道に接している

ただし、区域指定の基準や運用は自治体ごとに異なります。

たとえば、以下のような理由で想定していた許可が難しいと判断されるケースもあります。

  • 接道幅員が足りない
  • 排水条件を満たさない
  • 線引き前後の利用履歴に問題がある

また、市街化調整区域は自治体ごとの運用差が非常に大きい分野です。

実際のご相談でも、「隣の市では区域指定対象だったが、別自治体では制度自体がなかった」というケースがあります。

そのため、売りたい不動産が区域指定に該当するかどうかについては、「近隣で建築できているから大丈夫」と自己判断せず、事前に市区町村役場へ確認しておくことが重要です。

売りたい不動産の「地目」を確認する

地目とは、不動産登記法における土地の種類のことで、
宅地や農地をはじめとする23種類に区分されています。

市街化調整区域では、この「地目」が売却方法や必要手続きに大きく影響するケースがあります。

売りたい不動産の地目は、以下の方法で確認可能です。

  • 毎年届く「課税明細書」や「評価明細書」を確認する
  • 法務局で申請して登記記録を取得する
  • 法務省のホームページから登記記録を取得する

なお、課税明細書などに記載されている地目は、実際の利用状況に基づくものであり、正式な地目は登記記録(登記簿)で確認する必要があります。

たとえば、建物が建っているのに地目は「山林」であったり、長年宅地利用されているが登記変更されていなかったりするケースは珍しくありません。

実際の売却現場でも、「宅地だと思っていたが、登記上は農地のままで、農地法の許可が必要だった」というケースに直面したことがありました。

特に農地の場合は、農地法3条許可や農地転用許可、農振除外などが関係することもあり、売却スケジュールへ大きく影響する恐れがある点に注意しましょう。

また、買主側の金融機関が融資審査時に登記地目を重視することもあるため、実務上は早めに確認しておくことが重要です。

なお、正式な地目は登記記録(登記簿)で確認する必要があります。

参照:「登記・供託オンライン申請システム」(法務省)

市街化調整区域の「建築年月日」を確認する

最後に、市街化調整区域にある建物の「建築年月日」を確認しましょう。

市街化調整区域では、建物がいつ建築されたかによって、再建築や増改築の扱いが変わるケースがあります。

市街化調整区域は1968年の都市計画法改正をきっかけに制度化されましたが、実際の線引き時期は自治体ごとに異なります。そのため、建築年月日が線引き前か後かによって、売却のしやすさに差が出るケースがあります。

建築年月日 傾向
線引き前に建築された建物 売却しやすい傾向
線引き後に建築された建物 売却が難しい傾向

建物の建築年月日は「固定資産税課税台帳」や「登記事項証明書」で、線引き時期については市区町村役場の窓口で確認できます。

実際の売却現場でも、「築年数だけで判断していたが、線引き時期を確認すると扱いが変わった」というケースは少なくありません。

「線引き前に建築された建物」は売却しやすい

線引き前に建築された建物は、市街化調整区域に指定される前から存在していた可能性が高いです。

行政の都合で後から市街化調整区域に指定された不動産であるため、一定の条件を満たす場合には、居住者の権利が考慮され、建替え・増改築にあたって開発許可が不要と判断されるケースがあります。

売却現場では、「調整区域だから再建築不可だと思われていたが、線引き前建築だったことで購入検討が進んだ」というケースがあります。

一般的には、次のような条件が確認されます。

  • 用途が同じ
  • 敷地面積が同じ
  • 延べ床面積が1.5倍まで

ただし、線引き前に建築された建物であっても、線引き後に1度でも建替えを行っている場合は、線引き後の建物として扱われます。その場合、2度目以降の建て替えには許可が必要となり、売却しにくくなるケースがあります。

また、古い建物では、「建築確認資料が残っていな」「登記と現況が一致していない」「違法増築が疑われる」といったケースもあり、買主側が慎重になる場合もみられます。

そのため、売却前に建築履歴を整理しておくと、取引が進みやすくなるでしょう。

「線引き後に建築された建物」は売却しにくい

線引き後に建築された建物は、市街化調整区域であることを前提に許可を受けて建築されている可能性が高いです。

そのため、再建築や将来の利用に制約が生じやすく、第三者への売却では買主が敬遠しやすい傾向があります。

実際の売却現場でも、

  • 許可を受けた本人しか住めない条件だった
  • 用途変更が難しかった
  • 第三者への承継条件が複雑だった

というケースがあります。

また、金融機関側も、再建築可否や許可継承、雪道条件を慎重に確認するため、一般住宅より審査に時間がかかる可能性がある点に注意が必要です。

このような理由から、線引き後に建築された建物は、市街化調整区域のなかでも売却が難しくなるケースが多いといえるでしょう。

訳あり物件専門の買取業者に買取してもらう

市街化調整区域の不動産は開発許可がないと建物を建てられない大きなリスクを抱えているため、一般的な買取業者では、市街化調整区域の不動産は対応が難しいと判断されるケースも少なくありません。

弊社にご相談にこられる方の中でも、「仲介会社へ相談したが、買主を探すのは難しいと言われた」というケースは多いです。

さらに、市街化調整区域の不動産は通常よりも需要が少ないため、仲介業者だと売却まで数ヵ月〜数年かかってしまうケースも珍しくありません。

一方、買取業者のなかでも「訳あり物件の専門業者」であれば、市街化調整区域の活用方法を熟知しているので、開発許可がなくても問題なくスムーズに買取してもらえる可能性が高いです。

ただし、仲介に比べると売却価格は相場より低くなる傾向があるため、スピードを優先するか価格を重視するかを踏まえて検討するとよいでしょう。

買取までの期間も「訳あり物件の専門業者」なら自社で不動産を買取しているので、買主を探す手間がかかりません。そのため、書類が揃っている場合などは、最短2日ほどで市街化調整区域の不動産を手放して現金化できる点も魅力です。

なかなか買主が見つからない場合や開発許可を取るのが面倒な場合は「訳あり物件の専門業者」への売却を検討するとよいでしょう。

実際の相談でも、「市街化調整区域にある相続した空き家を早く整理したかったため、仲介ではなく買取を選んだ」というケースがあります。

このように、市街化調整区域では仲介だけでなく、買取を含めて比較検討することが重要です。

市街化調整区域にある不動産の売却先

住宅の建築許可を得られない場合でも、不動産売却をあきらめる必要はありません。市街化調整区域の不動産でも、用途やターゲットを整理することで売却につながるケースは十分あります。

売却現場では、「住宅用地としては難しいと言われたが、事業用途へ切り替えたことで成約した」というケースは少なくありません。

ただし、市街化調整区域の不動産は、一般的な住宅地と比べて購入できる人や利用目的が限られるため、「誰に売るか」を見極めることが重要です。

実際に「市街化調整区域の土地をあえて探している」買主も一定数存在します。需要のある層に向けて適切にアプローチすれば、高額での売却が成立するケースもあるでしょう。

実務上も、「一般住宅として募集していた時は数ヵ月反響がなかったが、事業者向けへ切り替えたことで問い合わせが増えた」というケースがあります。

市街化調整区域の不動産の主な売却先としてあげられる候補は以下のとおりです。

  • 農業・林業・漁業を営んでいる人
  • 農産物・水産物の加工業者
  • 市街化調整区域で事業をしようと考えている業者
  • 隣地の所有者
  • 中古住宅を探している人
  • 訳あり物件の専門買取業者

ここでは、各売却先について詳しくみていきます。

売却先1.農業・林業・漁業を営んでいる人

農地は農地法により取得できる人が農業従事者などに限定されているため、一般の人に向けて売却するのは難しい傾向があります。

そのため、農地のまま売却する場合は、農業従事者などが現実的な買主候補になりやすい傾向があります。

なぜなら、農地のまま近隣の農家や林業・漁業従事者へ売却する場合であれば、都市計画法上の開発許可を取得せずに売却できるケースがあるためです。

この場合でも、農地法に基づく許可は必要となりますが、農地を農地のまま売却する場合、買主は農家などに限定されるうえ、農業委員会の審査をクリアしなければならないため、決してハードルが低いわけではありません。

買主探しから許可取得まで、専門家のサポートを受けながら進めることが重要です。

そのため、物件の地目が農地や山林である場合には、農業・林業・漁業などを営んでいる人への売却を検討するとよいでしょう。

また、市街化調整区域では、農家住宅や農業用倉庫、農機具置場として土地を必要としているケースもあります。

特に隣接農地を所有している農家の場合、耕作効率の改善や管理負担の軽減につながるため、購入意欲が高くなることがあるでしょう。

実務上も、「一般市場ではなかなか売れなかった農地が、隣接地の農家へ打診したところ比較的スムーズにまとまった」というケースは珍しくありません。

売却先2.農産物・水産物の加工業者

農地や漁港周辺が多い市街化調整区域では、地域産業と結びついた事業者から需要が出るケースがあります。

農産物加工業者や水産物加工業者は、市街化調整区域でも事業用途として開発許可の対象になりやすいため、有力な買主候補といえます。

たとえば、農産物加工場や冷蔵倉庫、出荷施設などの用途です。特に生産地に近い場所では、輸送コストや鮮度管理の観点から、加工業者が土地を探しているケースがあります。

実際の売却相談でも、「住宅用地としては反響が少なかったが、食品加工会社の倉庫用地として購入希望が入った」というケースがあります。

また最近では、地産地消や観光需要の高まりを背景に、農家レストランや直売所を兼ねた施設として検討されるケースもみられます。

農産物・水産物の加工業者とうまくマッチングすれば、立地や用途条件によっては高額で不動産を買い取ってもらえるかもしれません。

つまり、地域特性に合った用途を想定しながら売却先を探すことが重要です。

売却先3.市街化調整区域で事業をしようと考えている業者

市街化調整区域では、一定条件を満たすことで事業用途として利用できるケースがあります。

そのため、市街化調整区域で事業を営もうとしている事業者も、有力な買主候補となります。近年での具体例としては、老人ホームといった介護事業者が挙げられます。

また、主要道路に面した土地であれば、コンビニエンスストアやレストラン、ガソリンスタンドなどに利用できるため、住宅を建てられない土地でも需要が高いです。

主要道路に面していない土地であっても「レジャー施設周辺の駐車場」「危険物を取り扱う工場」のように事業用地としての需要があれば、市街化調整区域での開発申請のハードルが低くなるでしょう。

一方で、市街化調整区域では業種によって許可可否が大きく異なります。

実務上も、「事業用なら問題ないと思っていたが、交通量や周辺環境への影響を理由に許可が難しかった」というケースがあります。

そのため、「事業用途だから必ず売れる」と考えるのではなく、自治体へ事前相談したうえで売却活動を進めることが重要です。

売却先4.隣地の所有者

市街化調整区域では、隣地所有者がもっとも現実的な買主候補になるケースがあります。

なぜなら、土地を一体で利用できれば(合筆など)、買主にとっても資産価値を高められる大きなチャンスとなるからです。

隣地所有者が「子どもが結婚した後も自分の近所に住まわせたい」と考えている場合も、買主・売主の双方にメリットがあるでしょう。

実際の売却現場でも、「一般市場では数年間売れなかった土地が、隣地所有者へ声をかけたことで短期間でまとまった」というケースがあります。

また、街の中心部から離れたエリアの市街化調整区域では、車移動が前提となる地域も多く、駐車スペース不足に悩んでいる家庭も少なくありません。そのため、駐車場として隣地の購入を検討する人も多くいます。

さらに、隣地を取得することで接道条件や敷地条件が改善し、結果として土地全体の利用価値が上がるケースもあります。

このように、市街化調整区域では一般の第三者には需要が薄くても、隣地所有者にとっては価値が高いというケースが実際によくみられます。

売却先5.中古住宅を探している人

初期費用を抑えたいという理由などで、中古物件を探している人も有力な買主候補となります。

近年は、地方移住やセカンドハウス需要、リモートワーク普及などの影響から、「多少不便でも自然環境を重視したい」という考え方を持つ人も増えている背景から、中古住宅は以前よりも売却しやすくなっています。

実際に、「駅から距離はあるが、庭付き古民家を探していた買主とマッチした」というケースがあります。

また、自治体によっては空き家バンクや移住支援制度、リフォーム補助金などを設けていることもあり、以前より中古住宅として流通しやすくなっている地域もあります。

ただし、市街化調整区域では建て替えや用途変更に制限があるため、増改築を伴う大規模なリフォームには、内容によって自治体の許可が必要となる場合があります。

特に注意したいのが、既存建物の用途変更です。

市街化調整区域内の建物は、「誰が」「何の目的で」使用するかといった条件のもとで建築許可を受けているケースが多く、住宅を店舗へ変更したり、倉庫を事務所として利用したりする場合には、都市計画法第43条に基づく新たな許可が必要となることがあります。

実際には、「古民家カフェとして活用したい」「事業用として転用したい」と考えていても、自治体の審査で認められず、計画自体が進められないケースも少なくありません。

無許可で用途変更を行うと、都市計画法違反として是正指導や使用停止の対象となる可能性もあります。

実務上も、「購入後に大規模リフォームを予定していたが、自治体確認の結果、想定していた工事が難しいと分かった」というケースもありました。

そのため、住宅を残したまま物件を売却する際には、再建築の条件をしっかり確認し、用途変更の可否についても事前に自治体へ確認したうえで、売買契約前に十分な説明をしておきましょう。

売却先6.訳あり物件の専門買取業者

「市街化調整区域であっても売却できる」と解説しましたが、それでも一般的な不動産と比べて売却しにくいことは確かです。

というのも、建築制限や許可関係の複雑さ、再建築リスクなどから、一般的な不動産会社では対応が難しいと判断されるケースがあるためです。

とくに、建築許可の申請手続きは複雑です。そのため、一般の人はもちろん、不動産業者であっても取り扱いを避けるケースがあります。

弊社へのご相談でも、「仲介会社へ相談したが、調整区域なので取り扱いが難しいと言われた」というケースは少なくありません。

そのため、「すぐに不動産を手放したい」「急いで現金化したい」という場合には、訳あり物件専門の買取業者に相談するのも1つの選択肢です。訳あり物件専門の買取業者なら、一般的な不動産会社が取り扱えないような物件でも、条件次第では比較的スピーディーに買取してもらえる可能性があります。

ただし、買取は仲介と比べると価格が低くなる傾向があります。

そのため、「価格を優先するのか」「早く現金化したいのか」「管理負担を減らしたいのか」を整理したうえで検討することが重要です。

市街化調整区域の家が売却しにくい場合は更地にして活用する

市街化調整区域の家がなかなか売却できない場合には、建物を解体し、更地にして土地を活用するのも1つの方法です。

売却現場でも、「古家付きの状態では数年間反響がなかったが、更地にしたことで資材置場用途の問い合わせが入った」というケースがあります。

特に市街化調整区域では、築年数が古い建物ほど、再建築可否がわかりづらかったり、リフォーム費用が高額になりやすかったりするなどの理由から、買主側が慎重になりやすい傾向があります。

そのため、実務上も「建物付き住宅」として売却するより、「土地利用前提」で方向転換したほうが進みやすいケースがあります。

更地にした土地の具体的な活用例は下記の通りです。

  • 駐車場経営(コインパーキング・月極駐車場)
  • 太陽光発電用地
  • 資材置き場
  • 霊園・墓地

このなかでも特におすすめなのが駐車場経営です。月極駐車場として長期的に利用する人が見つかれば、毎月安定した収入を得られるでしょう。

また、アスファルト舗装せずに枠線を引くだけでも駐車場として活用できるため、初期費用を大幅に節約できます。

一方で、更地化には注意点もあります。

特に注意すべきは、住宅を解体すると固定資産税の住宅用地特例が適用されなくなり、税負担が大きく増える点です。

実際の相談でも、「空き家管理の負担から先に解体したが、翌年の固定資産税が想定以上に上がり、慌てて土地活用を検討した」というケースがあります。

また、市街化調整区域では、更地にした後の用途によっては許可や届出が必要になるケースもあります。

実務上も、「資材置場として貸し出す予定だったが、車両出入りの関係で自治体協議が必要になった」というケースがあります。

そのため、更地化は単純に「建物を壊せばよい」という話ではありません。

解体費用や固定資産材の変化、土地利用の需要や周辺環境まで含めて検討する必要があります。

特に市街化調整区域では、建物付きより土地利用前提のほうが需要と合致するケースも多いため、売却だけでなく活用も含めて選択肢を整理することが重要です。

まとめ

市街化調整区域の不動産が売却しにくいといわれる背景には、建築制限や用途制限によって、一般的な住宅地よりも買主層が限られやすい点があります。

実際の売却相談でも、「住宅用地として売り出していた時は反響が少なかったものの、事業用途や隣地需要を前提に方向転換したことで成約につながった」というケースは少なくありません。

また、市街化調整区域では、区域指定の有無や建築時期、接道状況、地目、過去の許可履歴などによって、売却のしやすさや将来的な利用可能性が大きく変わります。

そのため、「市街化調整区域だから売れない」と一括りに考えるのではなく、まずは物件ごとの条件を整理し、「どのような用途が想定できるか」「どのような買主に需要があるか」を確認することが重要です。

また、市街化調整区域では、一般的な仲介だけでなく、隣地所有者への売却や事業用途での活用、更地化後の土地利用、専門買取業者への売却など、複数の選択肢を比較しながら進めることが重要です。

なお、訳あり物件を専門に扱う買取業者では、市街化調整区域特有の許可関係や活用方法に慣れているケースがあります。

実務上も、「一般仲介では取り扱いが難しいと言われたが、調整区域に詳しい業者へ相談したことで売却方針を整理できた」というケースがあります。

そのため、市街化調整区域の不動産売却で悩んでいる場合は、1つの方法に限定せず、複数の売却方法や活用方法を比較しながら進めることが大切です。

市街化調整区域についてよくある質問

市街化調整区域にある不動産の売却価格はどのくらいですか?

市街化調整区域にある不動産の売却価格は、周辺の市街化区域にある同条件の不動産と比べて、おおむね5割〜7割程度まで下がるケースが多いとされています。

これは、建築や用途に制限があり、購入できる人や活用方法が限られるためです。

ただし、区域指定の有無や建築年月日、開発許可の状況、立地条件、売却先によって価格差は大きく、条件次第では相場に近い価格で売却できる場合もあります。

市街化調整区域で家の貸し出しはできますか?

原則として、市街化調整区域では新たに賃貸目的の住宅を建築することは認められていません。

ただし、市街化調整区域に指定される前に建てられた建物や、指定後であっても適法に建築された既存建物については、建築時の用途に反しない範囲であれば、例外的に賃貸が認められるケースがあります。

たとえば、市街化調整区域に指定される前に建てられた居住用の建物を、居住用の賃貸物件として貸し出すことは可能です。

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    更新日 : 2025年11月07日
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