共有持分の割合の決め方や計算方法を【購入時】と【相続時】に分けてわかりやすく解説!

共有持分 決め方 計算

共有名義の不動産を取得する場合、共有持分(共有者それぞれがもつ所有権)の割合を決めます。共有持分の割合を「持分割合」といいますが、この持分割合の決め方にはルールがあります。

持分割合を好き勝手に決めると、贈与税が課税されたり、住宅ローン控除で損をする恐れがあるので注意しましょう。

不動産購入で共有持分を取得する場合は「負担費用の割合」を、相続で共有持分を取得する場合は「法定相続分」を基準に持分割合を設定します。

ただし、共有持分はトラブルが起こりやすく、不動産の管理や利用で揉めるケースが多いので、そもそも不動産を共有名義にすることは避けるべきです。

相続などで仕方なく共有持分を取得する場合、所有していてもメリットが少ないため、専門の買取業者に売却することをおすすめします。

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新しく不動産を共有名義で購入するときの持分割合

共有持分 決め方 計算

不動産を共有名義で購入する際、共有持分の割合は購入における負担額の割合に比例させるのが一般的です。

しかし、購入金額と負担額が上手く割り切れなかったり、親に資金援助をしてもらう場合があるのではないでしょうか。

この項目では、不動産を共有名義で購入する際の決め方をまず解説し、そのあとの項目で割り切れない場合と親の資金援助がある場合について、詳しくお伝えします。

購入時の負担額に応じて割合を決める

夫婦共有名義でマイホームを購入したら持分割合を設定しなければなりません。

持分割合は、基本的に購入時の負担額によって決められます。

例えば
「住宅の購入代金が3,000万円」
「夫の自己負担額が2,000万円」
「妻の自己負担額が1,000万円」

だとします。

共有持分は「負担金額÷不動産の金額」で計算が可能です。そのため、このケースではそれぞれの持分割合は以下のように計算されます。

夫の共有持分=2,000万円÷3,000万円=2/3
妻の共有持分=1,000万円÷3,000万円=1/3

持分が割り切れない場合の決め方

共有持分を決めるために計算した結果、持分が割り切れないというケースも珍しくありません。

例えば
「マイホームの購入代金が3,000万円」
「夫の自己負担額が2,300万円」
「妻の自己負担額が700万円」

だとします。このケースにおける夫婦の共有持分は以下の通りです。

夫の共有持分=2,300万円÷3,000万円=0.7666・・・(76.66・・・/100)
妻の共有持分=700万円÷3,000万円=0.2333・・・(23.33・・・/100)

このように割り切れない場合、共有持分を調整してきれいな数字に直します。調整後の共有持分が以下の通りです。

夫の共有持分=0.77=77/100
妻の共有持分=0.23=23/100

調整前の共有持分と比較すると夫の持分は増えており、妻の持分は「0.33・・・/100」減っていることになります。

調整による持分の増加・減少は税務上において妻から夫へ「贈与された」みなされます。

贈与とみなされた妻の持分を金額に置き換えると「0.33・・・/100×3,000万円=約10万円」となるため、妻から夫へ約10万円が贈与されたことになるのです。

ちなみに、年間110万円までの贈与であれば非課税であるため、今回のケースでは贈与税は課せられません。

もし共有持分が割り切れず調整するのであれば、調整額を110万円以下にするとよいでしょう。

親の資金援助がある場合の決め方

ケースによってはお互いの親から資金援助してもらうこともあるでしょう。

親から資金援助をしてもらうとき、主に以下の方法が考えられます。

  • 贈与してもらう
  • 借用書を作成して借り入れる
  • 共同出資してもらう

それぞれの方法における共有持分の決め方について、次の項目からわかりやすく解説します。

贈与してもらう

贈与によって資金援助をしてもらうのであれば、そのお金は自己負担額として計上することが可能です。

そのため、親が共有持分を取得することはありません。

例えば
「マイホームの購入代金が3,000万円」
「夫の自己負担額が1,500万円」
「妻の自己負担額が1,000万円」
「贈与による夫の親の資金援助が500万円」

だとすると、資金援助500万円は夫の自己負担額として認められます。

そのため、夫婦の共有持分は「夫が2/3」「妻が1/3」となり、夫の親は共有持分を取得しません。

ただし、贈与額が500万円だと非課税枠を超えてしまいます。そのため「500万円-110万円=390万円」に対して贈与税が課せらる可能性があります。

もし非課税枠を超える金額の贈与であれば特例が適用されないか検討してみましょう。

贈与における特例については以下の記事で解説しているので参考にしてみてください。

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借用書を作成して借り入れる

借金として資金援助してもらう場合は必ず「借用書」を作成しましょう。

なぜなら、借入であることを証明できる文書などがなければ贈与とみなされてしまう可能性があるからです。

口約束だけでは第三者から見て借入と贈与どちらなのか判断できません。借用書をきちんと作成しておけばこのようなトラブルを防ぐことが可能です。

借用書には、以下のことを記載するとよいでしょう。

  • 借用書の作成日
  • 金銭の授受があった日にち
  • 返済期日
  • 利息
  • 返済方法
  • 借主の氏名、住所、印鑑
  • 貸主の氏名

ちなみに、無利子や明らかな低金利に設定してしまうと浮いた利息分が贈与とみなされてしまうケースもあります。

そのため、一般的な相場の利息に設定しておくことが大切です。

共同出資してもらう

贈与・借入であれば自己資金として計上できるため、親が共有持分を取得することはありません。

しかし、親名義の預金を共同出資してもらうのであれば、親に共有持分を設定する必要があります。

夫・妻・親の三者がお金を出し合う形になるため三者の共有名義不動産となります。

例えば、夫婦それぞれの父親から共同出資してもらった場合、4人が共有持分を取得することになります。共同出資であれば贈与税が課税されることも利息を設定する必要もありません。

ただし、共有不動産を売却するためには共有者全員の同意が必要なため、人数が増えることで取り扱いが困難になるというデメリットもあります。

共有持分のメリット・デメリットを詳しく知りたいという人は以下の記事でわかりやすく解説しているので、参考にしてください。

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共有持分を相続するときの決め方

相続 決め方
共有持分は不動産の購入だけでなく相続によっても取得するケースもあります。

例えば、親が亡くなった場合に、配偶者と子どもで被相続人の不動産を共有することは珍しくありません。

次の項目から、相続による共有持分の決め方をわかりやすく解説していきます。

法定相続分によって決める方法

もし相続で不動産を共有名義にするのであれば、被相続人との関係性や人数によって共有持分が決められることがあります。

法律によって相続人やケースごとに相続できる割合が決められています。これを法定相続分と呼びます。

法定相続分がどのように決められているのかについては、以下の記事で具体的なケースを用いながらわかりやすく解説しているので参考にしてみてください。

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今回は以下のシミュレーションで共有持分の決め方を説明します。

・被相続人・・・夫
・相続人・・・妻と子供2人
・相続財産・・・夫の共有持分½
※妻は共有持分1/2を有している

まず妻である配偶者とその子どもには法定相続分1/2が認められます。

子どもの法定相続分はさらに人数で分けるため、上記のケースでは子ども1人あたり「1/4」の法定相続分が与えられます。

夫の共有持分1/2をそれぞれ法定相続分によって分け合います。それを式に表したものが以下の通りです。

妻が相続する共有持分=1/2(夫の共有持分)×1/2(妻の法定相続分)=1/4
子どもが相続する共有持分=1/2(夫の共有持分)×1/2(子どもの法定相続分)×1/2(子どもの人数)=1/8

このように妻は1/4・2人の子どもはそれぞれ1/8ずつの共有持分を相続します。

ただし、妻ははじめから1/2の共有持分を有しているため、結果として「1/2+1/4=3/4」の共有持分を取得したということになります。

遺産分割協議によって決める方法

もし夫の共有持分を妻のみが相続して単独名義とするのであれば、遺産分割協議をおこなうとよいでしょう。

相続人全員の同意があれば、法定相続分によらず自由に相続割合を決められます。

例えば、子どもが自立しており持ち家を所有しているとしたら、不動産の共有持分を相続しなくてもよいと判断するかもしれません。

ただし、相続財産が共有持分のみだとすると、子どもが遺産を受け取れなくなってしまいます。

このような場合、妻が相続分の相当額である代償金を子どもに支払うことで解決できることもあります。

また、遺言書に相続する共有持分が明記されていたとしても、相続人全員の同意があれば遺産分割協議によって持分割合を決めることが可能です。

もしも、相続時に持分割合で揉めてしまったり、相続した共有持分を持て余している場合は、共有持分専門の買取業者に相談することをおすすめします。

当社クランピーリアルエステートでは、連携している弁護士と協力して、共有者間でトラブルが起きている共有持分でも、スムーズに買取可能です。

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共有持分を決める際のポイント

ポイント
夫婦それぞれの共有持分を決める際は以下のポイントを押さえて設定することが大切です。

  • 住宅ローンの種類を確認する
  • 持分を適当に決めない

次の項目からそれぞれのポイントについてわかりやすく解説します。

住宅ローンの種類を確認する

住宅購入のために住宅ローンを借りる際は種類ごとの特徴を理解しておきましょう。夫婦が協力して住宅ローンを借りるパターンは「連帯保証型」「連帯債務型」「ペアローン」の3つが基本です。

それぞれのパターンにおいて持分がどのように設定されるのかわかりやすく説明します。

連帯保証型の場合

夫が債務者・妻が連帯保証人とする連帯保証型の場合、住宅ローンは夫の単独名義です。そのため、夫の返済が滞ってしまわない限り、基本的に妻が住宅の購入代金を負担することはありません。

つまり、住宅購入時の名義は夫のみとなるため、一般的に妻には持分が認められません。連帯保証型でも妻に持分を与えることは可能ですが、次の項目で説明するように贈与とみなされてしまいます。

夫婦それぞれに持分を設定したいのであれば「連帯債務型」または「ペアローン」を選択するとよいでしょう。

連帯債務型の場合

連帯債務型であれば夫婦で債務者となるためそれぞれに返済義務が生じます。そのため、連帯保証型とは異なり、妻にも持分が認められます。

連帯債務型で持分を設定する際は一般的に収入の割合と同じ割合とします。

例えば「夫の年収が500万円」「妻の年収が200万円」だとすると、夫の持分は5/7・妻の持分は2/7と設定します。

妻の持分を多くしたり少なくすることも可能ですが、お互いの返済を補うことで贈与とみなされてしまうこともあるので注意しましょう。

ペアローンの場合

夫婦それぞれが個別に住宅ローンを組む方法をペアローンと呼びます。ペアローンにおける持分は「頭金と借入の総額」で設定されるのが基本です。

例えば
「住宅の購入代金が5,000万円」
「夫の頭金と借入の合計額が3,500万円」
「妻の頭金と借入の合計額が1,500万円」

だとします。

このケースにおける夫婦それぞれの持分は以下の通りです。

夫の持分=3,500万円÷5,000万円=7/10
妻の持分=1,500万円÷5,000万円=3/10

持分は出資額を無視して設定しない方がよい

「夫婦だから持分は1/2ずつに設定する」などのように出資額や返済負担額などを無視して持分を設定するのは好ましくないでしょう。

その理由は「贈与とみなされてしまう」「住宅ローン控除で損をしてしまう」などのケースがあるからです。

次の項目からこの2つのケースを中心に解説していくので、持分を適当に決めるとどのような影響があるのか理解しましょう。

贈与とみなされてしまう

前の項目でも解説しているように、妻に設定した持分よりも購入代金に対する自己負担額の割合が小さい場合、贈与とみなされてしまう可能性があります。

例えば
「住宅の購入代金が3,000万円」
「夫の自己負担額が2,500万円」
「妻の自己負担が500万円」
「夫婦の持分は1/2ずつに設定」

だとします。

夫婦の持分が1/2ずつだということは夫婦ともに1,500万円ずつ負担していることになります。しかし、実際のところ妻は500万円しか負担していません。

この差額の1,000万円は夫から贈与されたものとみなされてしまい、贈与税が課せられてしまう可能性があります。

贈与とみなされないためには持分の割合を購入代金に対する自己負担額の割合と同等にすることが大切です。

住宅ローン控除で損をしてしまう

出資割合と異なる割合で持分を設定してしまうと、本来受けられるはずの住宅ローン控除額が減額されてしまうケースがあります。

住宅ローン控除・・・10年間に渡って住宅ローンの年末残高の1%を控除してくれる制度です。

例えば
「住宅の購入代金が3,000万円」
「夫婦の連帯債務で借入」
「夫の返済負担が2,000万円」
「妻の返済負担が1,000万円」
「家の持分は1/2ずつに設定」

といったケースです。

夫の住宅ローンの年末残高が2,000万円だとすると、20万円が控除されるようにみえます。

しかし、持分を1/2に設定していることで持分を金額にした1,500万円が控除対象となり、控除額は15万円になってしまいます。結果的に、このケースにおいて年間5万円の控除額を損してしまうことになります。

一方で、妻の場合、持分1/2であるため控除対象は1,000万円から1,500万円に増えると考えられるかもしれません。しかし、実際は1,000万しか控除対象になりません。

わかりやすくいうと、住宅ローン控除の対象は「自分が住宅を取得するための借入金」だけなので、返済負担と持分割合の差額(上記の例だと500万円)は「妻の住宅取得費用を、夫が贈与で一部肩代わりするための借入金」なので、控除対象にならないということです。

そのため、夫の控除額が減るだけで妻の控除額は増えないのです。

このように、住宅ローンの割合と異なる持分に設定してしまうと控除額が少なくなってしまう恐れがあるので注意しましょう。

まとめ

共有持分は基本的に「自己負担額÷購入代金」によって求められた割合で設定されます。もし割り切れなかったとしたら贈与として持分を調整することも可能です。

また、共同出資として親から資金援助してもらう場合、親にも共有持分が認められます。親に持分を与えないようにするには贈与してもらうか借入れましょう。

実際に共有持分を決めるときは、住宅ローンの借り方や自己負担額の割合などに注意しなければいけません。

勘違いや割合を無視して持分を設定してしまうと贈与とみなされ税金が課せられたり、受け取れるはずの控除額が受け取れないなどの恐れがあります。

もし持分の決め方に疑問や不安があるという人は不動産に詳しい弁護士や税理士などの専門家に相談することが大切です。

共有持分のよくある質問

共有持分とは?共有不動産との違いは?

共有持分とは共有不動産における「共有者ごとの所有権割合」を表したものです。持分の権利割合は1/3などの数字で表記します。ちなみに共有不動産は「他人と共有している不動産そのもの」を指します。

共有持分の割合はどうやって決めるのですか?

不動産を新しく購入するときは、取得費用の負担割合に応じて決めます。2人が半額ずつ負担したのであれば、持分割合はそれぞれ1/2ずつです。相続の場合、法定相続分にあわせるか、遺産分割協議で決定した割合で共有持分を取得します。

共有持分を適当に決めると、どんな問題がありますか?

購入時の持分割合を取得費用の割合にあわせないと、差額分に贈与税が課されてしまいます。また、場合によっては住宅ローン控除の金額が低くなってしまうケースもあります。

共有持分を決める際、どんなことに注意すればよいですか?

持分を適当に決めないことはもちろん、住宅ローンの種類を確認しておくことも重要です。連帯保証型の住宅ローンでは、連帯保証人は取得費用を直接負担するわけではないので、不動産は単独名義となります。一方、連帯債務型やペアローンの場合は負担額に応じて持分割合を設定することになります。

共有持分の割合について相談したいときは、だれに相談すればよいですか?

共有持分の決め方や計算方法に疑問や不安がある場合、弁護士や税理士などに相談するとよいでしょう。

最終更新日:
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