共有名義の土地を分筆する方法と費用や高く売るコツについて

共有名義 分筆 売却

共有名義の土地は、売却するのに共有者全員の同意が必要です。

そのため、共有者のなかに土地を売却したい人と、土地を維持したい人がいると、トラブルになってしまいます。

そんなとき、土地を持分割合に応じて分割する「分筆」という解決方法があります。分筆で自分と共有者の土地を分けてしまえば、売却も自由です。

ただし、分筆するためにも他共有者の同意は必要です。加えて、測量と登記に手間や費用もかかります。

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共有名義不動産の所有権や持分について

共有名義

共有名義不動産は、1つの土地や建物を複数人で所有している状態のことを指しています。

分筆という方法をご紹介する前に、まずは共有名義不動産がどんなものなのかを詳しく解説していきます。

共有名義不動産の所有権を「共有持分」という

共有名義不動産

共有名義不動産とは、1つの土地や建物を複数人で所有している状態のことです。これが一体どんな状態なのかを、両親から実家を相続した兄弟3人という例をもとに解説していきます。

まず、前提として共有物に対して各共有者が持っている所有権のことを「共有持分」といいます。

この共有持分は、共有者の人数に合わせて等分にすることが原則ですので、上記の兄弟3人の例では3等分の1人あたり3分の1ずつの共有持分を所有しているということとなります。

共有持分は状況に応じて割合で分けることもできる

共有名義不動産 持分割合

共有名義不動産の共有持分は、共有者の人数に合わせて等分することが原則とご紹介しました。ただ、これには一部例外も存在します。

ここからは、夫婦の共有名義で約3,000万円の不動産を購入したという例をもとに解説していきます。

上記の不動産ですが、夫が2,400万円、妻が残りの600万円を出して購入しました。

これは、夫が不動産全体の約80%、妻が約20%の金額を負担していることになります。

このように両者の負担額に大きな差が生まれた場合、共有者の人数に合わせて分割するよりも、それぞれが支払った金額に合わせて持分を分配するという方法が正しいとされています。

そのため、上記のような例では不動産全体の約80%を負担した夫が10分の8、残りの約20%を負担した妻が10分の2という分配をすることになります。

また、仮に今回のような状況で共有持分を2分の1ずつにしてしまった場合、妻は600万円しか支払っていないのにもかかわらず、不動産全体の半分である1,500万円を負担していると判断されます。

一方、夫は2,400万円を支払っているのにもかかわらず、1,500万円しか負担していないと判断されて、差額である900万円は妻に贈与したという扱いとなってしまいます。

上記のような状態となると、夫婦間でのトラブルに繋がってしまうだけでなく、金銭を贈与したということで贈与税も発生してしまうことも十分に考えられますので注意が必要です。

そのため、共有名義不動産の共有持分は人数分で分けるということだけでなく、状況に応じて割合でも分けられることを覚えておきましょう。

共有名義の土地を売る方法

ここまで、共有名義不動産がどんなものかをご説明してきました。ここからは、実際に共有名義の土地を売却する方法について解説していきます。

最初に、共有名義不動産(共有名義の土地)を売却したいのであれば、

  • 自身の共有持分のみを売却する
  • 共有者全員で不動産全体を売却する

上記の2つの選択肢があります。順に解説していきます。

自身の共有持分のみを売却する

自分の共有持分のみを売却する

共有名義不動産(共有名義の土地)を売却できる方法に、自身の共有持分のみを売却するというものがあります。

共有名義不動産の共有持分ですが、自身が所有している分であれば自由に扱えます。

そのため、共有名義不動産(共有名義の土地)を売却したいとお考えの場合、自身が所有している共有持分であれば、他の所有者の同意を得ることなく自由に売却等をすることが可能ということになります。

共有者全員で不動産全体を売却する

共有者全員で不動産全体を売却する

共有名義不動産(共有名義の土地)を売却できる方法に、共有者全員で不動産全体を売却するというものがあります。

先程もご説明したように、共有名義不動産は自身が所有している共有持分に限り自由に扱えます。

ただ、共有持分の所有者全員が同意した場合、不動産そのものを売却することも可能です。

そのため、共有名義不動産(共有名義の土地)を売却したいとお考えの場合、共有持分の所有者全員が賛成してくれるのであれば不動産そのものを売却できることになります。

しかし、あくまで不動産全体を扱えるのは共有者全員の同意を得た場合に限ります。

仮に1人でも反対という意見が出た場合は売却できませんので注意が必要です。

「分筆」をすることで土地そのものを売却できる

共有名義不動産 土地分筆方法

共有名義不動産(共有名義の土地)を売却したいのであれば、

・自身の共有持分のみを売却する
・共有者全員で不動産全体を売却する

上記の2つの選択肢があるとご説明しました。

自身が所有している共有持分であれば自由に扱えますが、不動産そのものを売却したいと考えるのであれば所有者全員の承諾が必要となります。

ただ、なかなか所有者全員の承諾を得るということは難しいです。

その問題を解決するのが「分筆」という方法となります。

「分筆」とは、1つの土地(一筆の土地)を2つ以上の土地(二筆以上の土地)に分割する方法。(登記簿にも記載できる)

ここからは、両親から実家を相続した兄弟の例をもとに解説していきます。

両親から実家を相続した兄弟でしたが、建物の老朽化が激しいということで実家を取り壊し更地にすることにしました。

実家を更地にした後ですが、特に使い道がないという理由で第三者への売却を希望する長男、このまま残しておくべきという次男の2つの意見に分かれることとなりました。

しかし、先程もご説明したとおり、共有名義不動産(土地も含む)は共有持分の所有者全員の同意がないと売却できません。

こういった場面で先程ご紹介した「分筆」という方法が使われます。

上記のような共有名義不動産(共有名義の土地)を分筆することで、1つの土地を2つに分割することが可能となります。

また、分筆で分割をした土地には新しい地番をつけることができるため、それぞれが独立した土地を単独所有できるということです。(登記簿上にも記載ができる)

そのため、それぞれが単独で不動産を所有しているという状態となるため、自身の意思のみで土地売却しても問題ないということとなります。

土地を分筆して売却するまでの流れ

手順

ここからは、分筆が一体どのように行われるのかということを解説していきます。

  1. 分筆を始める前に土地を事前に調査する
  2. どのように分筆するのかという「分筆案」を作成する
  3. 役所の担当者が現地で確認をする
  4. 隣接する土地所有者の立会いと同意を得る
  5. 分筆する箇所へ境界標を設置する
  6. 分筆登記に必要な書類を作成する
  7. 実際に分筆登記を行う

1.分筆を始める前に土地を事前に調査する

共有名義不動産(共有名義の土地)を分筆する前に、まずは分筆することが可能な土地なのかを調査する必要があります。

この事前の調査には役所や法務局から集めた、

  • 公図
  • 地積測量図
  • 登記事項証明書

上記3点の資料が必要です。

順にご紹介していきます。

①公図
一定地域の土地の位置関係を表している資料です。
この資料では、それぞれの土地の区割や地番(一筆の土地ごとに付けられた番号)などを確認できます。

②地積測量図
一定地域の土地測量結果を詳細に表している資料です。
この資料では、それぞれの土地の正確な面積や境界標の詳細について確認できます。

③登記事項証明書
特定の不動産の情報を記載している資料です。
この資料では、特定の不動産の所有者、所在地、面積、権利関係などを確認できます。

上記の3点の資料をもとに土地の調査をして、問題がないと判断がされると分筆することが可能となります。

ただ、この事前調査の段階で境界標がズレているなどの問題が見つかった場合、まずはそれらの対処をする必要があります。

2.どのように分筆するのかという「分筆案」を作成する

分筆する土地の事前調査に問題がなければ、共有名義不動産の分筆案を作成することになります。

「分筆案」とは、共有名義不動産をどのように分筆するのかを簡単にまとめた書類です。

簡単にまとめるといっても、分筆案の作成には高い専門性を要します。

また、ここで作成する分筆案は役所や隣接する土地所有者との立会い確認でも使用されるものになるので、必ず測量の専門家などに依頼をして作りましょう。

3.役所の担当者が現地で確認をする

分筆案の作成を終えたら、次は役所の担当者が実際に分筆を行う土地の確認を行います。

役所の担当者は、前段階で作成した分筆案や、事前調査で準備をした資料をもとに、今回の分筆に間違いはないかを確認します。

ここまでの事前調査や分筆案を丁寧に行っているのであれば、問題なく確認を終えられます。

4.隣接する土地所有者の立会いと同意を得る

役所の担当者の確認を終えると、次は隣接する土地の所有者への確認が必要となります。

実際に分筆を予定する土地に隣接している土地所有者全員の立会いのもと、現地での分筆案の確認を行います。

こちらも、ここまでの事前調査や分筆案を丁寧に行っているとスムーズに確認、同意を得られます。

5.分筆する箇所へ境界標を設置する

役所、隣接している土地所有者への確認を終えると境界標を設置できます。

境界標には、コンクリート杭、プラスティック杭、金奥プレート、金属鋲などの様々な種類がありますが、いずれかのものが設置されます。

6.分筆登記に必要な書類を作成する

ここまでの手順を終えたら、分筆登記に必要な書類の作成をします。

分筆登記には、

  • 地積測量図
  • 筆界確認書
  • 分筆登記申請書

上記3点の書類が必要となります。

順にご紹介していきます。

①地積測量図
一定地域の土地の測量結果の詳細を表している書類です。
こちらは事前調査で集めたものとは別に新たに用意する必要があります。

②筆界確認書
役所や隣接する土地所有者の立会いや同意の記録をまとめた書類になります。
境界確認書、同意書、協定書などがあります。

③分筆登記申請書
分筆登記をするために必要な申請書となります。
こちらの書類は土地家屋調査士などの専門家に依頼して作成してもらいましょう。

上記の3点の資料を準備し終えると、実際に分筆登記することが可能となります。

7.実際に分筆登記を行う

分筆登記に必要な書類を準備し終えると、法務局へ分筆登記を申請しましょう。分筆登記に掛かる期間ですが、新たに行う境界確定測量の進行具合によって大きく異なります。

境界確定測量を終えている場合は、分筆登記の申請から約2週間程度で完了します。

しかし、境界確定測量が終わっていない場合は、分筆登記の申請から約1〜2ヶ月以上掛かることがあります。

また、分筆登記の申請後に問題がないと判断がされると、登記識別情報や番号などを交付されます。

これらが交付されると全ての手続きを終えて、共有名義不動産の分筆が完了したということになります。

以上が共有名義不動産の分筆手順となりますが、多くの時間や手間を要する作業なので、必ず余裕を持ったスケジュールで申請するようにしましょう。

土地を分筆する際にかかる費用

費用

ここまで共有名義不動産(共有名義の不動産)の分筆方法についてご説明してきました。

ただ、実際に共有名義不動産を分筆しようと考えた時、「一体どのくらいの費用が必要なのか」と不安になってしまう方も多いはずです。

そこで、ここからは共有名義不動産の分筆に掛かる費用について解説していきます。

最初に分筆に必要な費用は大きく分けて3つあります。

  • 分筆準備や境界標の設置費用
  • 分筆登記の申請に必要な費用
  • 土地家屋調査士などへの報酬

順にご説明します。

分筆準備や境界標の設置費用

まず最初に必要なものは、分筆準備や境界の設置費用となります。分筆の準備とは、土地の測量や各種書類の作成などです。

また、それに加えて境界標を設置するのにも費用が掛かります。

これらを全てまとめると、一般的な不動産であれば約20〜30万円前後が相場とされています。

ただ、土地の面積や設置する境界標の数はもちろん、土地家屋調査士などの専門業者によっても費用が大きく異なってくるので確認してみましょう。

分筆登記の申請に必要な費用

分筆登記の申請にも費用が掛かります。

分筆登記の申請に必要な費用は、分筆登記申請書の準備や登録免許税などになりますが、一般的な不動産であれば約5万円前後が相場とされています。

しかし、これも土地家屋調査士などの専門業者によって大きく費用が異なりますので確認してみましょう。また、登録免許税は、分筆する土地の数(筆数)に1,000円を掛けた金額となります。

共有名義不動産を2つに分筆したいと考えるなら、登録免許税は2,000円必要ということですので、覚えておきましょう。

土地家屋調査士などへの報酬

土地家屋調査士への報酬は、分筆準備や境界標の設置費用に含まれていることが多いです。

しかし、別途必要となる可能性もありますので確認してみましょう。

以上が、土地を分筆する際にかかる費用となります。

分筆した土地をできるだけ高く売却するコツ

ここまで、共有名義不動産の分筆に掛かる費用についてご説明してきました。

上記の内容を確認すればわかるように、分筆するためには多くの時間や費用が必要となります。

そのため、分筆した土地を売却するのであれば、なるべく高値で売りたいですよね。

結論からいうと、分筆した後の土地が道路に接するように分筆を行うのが高く売却するコツとなります。

なぜ、分筆した土地が道路に接しているだけで高く売れるのかというと、これには「建築基準法」という法律が大きく関係しています。

建築基準法とは、国民の生命や健康、財産の保護のために建築物の敷地や設備、構造などについての最低基準を定めたものです。昭和25年5月24日に定められた法律になりますが、それ以降にも多くの法改正が行われて現在にまで至ります。

この建築基準法の中には、「接道義務」という項目が存在します。

接道義務とは、建築物が建つ土地が道路に2m以上接していなければならないという義務のことです。

この接道義務を満たしていない土地は「再建築不可物件」という扱いになり、一般的な不動産に比べて大きく価値が下がってしまいます。

そのため、分筆した土地が建築基準法を満たした道路に接している方が、高く売却できるということになります。

したがって、共有名義不動産を分筆するのであれば、必ず分筆後の土地が道路に接するようにすることが、できるだけ高く売却できるコツだといえます。

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分筆した土地はもちろん、分筆が難しい共有不動産・共有持分でも買い取り致しますので、お気軽にご相談ください。

まとめ

共有名義不動産とは、1つの土地や建物を複数人で所有している状態のことです。

この共有している1つの土地を2つ以上に分割できるのが「分筆」という方法になります。

また、分割した土地はそれぞれが独立した土地として登記簿上に登録できるので、一人一人が単独名義の土地を所有できるということです。

しかし、この分筆という方法は事前の調査をはじめ、分筆案の作成や境界標の設置、分筆登記に必要な書類の作成など多くの手間と時間を要します。

そのため、必ず余裕を持ったスケジュールで分筆を行うようにしましょう。

もし、自身が所有する共有名義不動産を分筆したいとお考えであれば、今回の記事を読むだけでなく、お近くの不動産会社などへ相談してみることもおすすめします。

土地の分筆についてよくある質問

土地の分筆とはなんですか?

土地を切り分けて、別々の土地にすることです。「筆」とは土地の数え方で、一筆の土地を複数に分割することを分筆といいます。

分筆すると、どんなメリットがありますか?

共有名義の土地の場合、持分割合にそって土地を公平に分割できます。共有者たちは共有名義を解消して単独名義の土地をもつことになるので、自由に売却・活用が可能になります。

土地を分筆するには、なにをすればよいですか?

土地家屋調査士に依頼して、測量や境界標の設置、分筆登記の申請をおこないます。

土地の分筆にはどれくらいの費用がかかりますか?

分筆する土地の広さや形状、隣接地との境界確定測量の有無などによります。25万円~150万円と、個別の事情によって大きく幅があるといえるでしょう。

分筆した土地を高く売るために、気をつけるべきことはありますか?

分筆した後の土地が、道路に接するよう分筆をおこないましょう。道路と接していない土地は建物の新築や建て替えができなくなるため、市場価値が大きく下がってしまいます。また、日当たりが悪い場合や、利便性の悪い形状(細長い土地や旗竿地)も価格が低くなります。逆にいえば、これらの問題点が起こらないように分筆すれば、高く売れるようになるでしょう。

最終更新日:
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