アパート経営を始めるにあたって「何年で黒字化までいけるか」と気になる人は多いでしょう。
黒字化までの期間は物件によって大きく異なりますが、目安としては10年程度が一般的です。
アパート経営は得られる収入が多いかわりに、初期費用も維持管理費も高くなります。なるべく早く黒字化するには、ある程度の高利回りでありつつ、しっかりとした賃貸需要を見込める物件に投資することが大切です。
この記事では、アパート経営が黒字化するまでのシミュレーションと、黒字化を阻害する要因、黒字化までの期間を短縮するコツについて解説します。
なお、個々の予算や投資目的などにあわせたアドバイスが欲しい場合は、不動産投資会社に相談しましょう。アパート経営に必要な業務・手続きについて一貫したサポートを受けられ、利益を最大限に引き出してもらえます。
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目次
アパート経営が何年で黒字化するかのシミュレーション
ここでは、黒字化までの期間を年数ごとにシミュレーションしていきます。前提条件として、以下の物件を想定します。
物件構造 | 木造 |
---|---|
築年数 | 築9年 |
物件価格 | 3,000万円 |
満室時年収 | 350万円(表面利回り11.7%) |
年間諸経費 | 52.5万円 ※家賃年収の15%想定 |
年間空室率 | 10%想定 |
購入時の自己資金 | 900万円 ※物件価格の30%想定 |
購入費以外の初期費用 | 210万円 ※物件価格の7%想定 |
借入額 | 2,310万円 ※物件価格+初期費用 |
ローン金利 | 2%(元利均等方式) |
融資期間 | 15年 |
年間返済額 | 約178万円 |
年間キャッシュフロー (満室時年収-空室率)-(年間返済額+年間諸経費) |
(350万円-10%)-(178万円+52.5万円)=84.5万円 |
具体的なシミュレーションの前に、いくつか要点を説明します。
年間空室率とは、全部屋で年間どのくらいの空室があったかを割合で表したものです。国の調査では全国平均で17%~18%台ですが、これはボロ戸建なども含めた平均値なので、ここでは一般的な数値の範囲と計算のしやすさから10%で設定しています。
参照:国土交通省「平成30年住宅・土地統計調査の集計結果(住宅及び世帯に関する基本集計)の概要 持家・借家別の空き家率の推移」
年間諸経費や初期費用、自己資金などは、一般的な目安を当てはめて計算しています。実際は個々の状況によって異なるため注意しましょう。
ローン金利は物件の担保価値や借りる人の属性によって変わりますが、借入先ごとのおおまかな目安は以下の通りです。ここでは、銀行や信金で一般的な2%を想定しています。
金融機関 | 金利の目安 | 都市銀行(メガバンク) | 1~2.5%程度 |
---|---|
地方銀行 | 2~3%程度 |
信用金庫・信用組合 | 2~3%程度 |
ノンバンク | 3.0~4.5%程度 |
日本政策金融公庫 | 1.25~2%程度 |
融資期間については、木造住宅の耐用年数を基準とする金融機関が多いため、ここでもほぼ同じ年数を設定しています。
会計上の「資産価値の残存期間」を定めたもの。中古の木造住宅は「(22年-経過年数)+(経過年数×20%)」で算出する。
築9年の場合:(22年-築9年)+(築9年×20%)=14.8年
年間キャッシュフローは、1年間で手元に残る利益を指します。アパート経営における黒字化とは「累積のキャッシュフローが自己資金を超えること」を指すため、いかに年間キャッシュフローを増やすかが重要です。
以上、前提条件の要点について説明しました。次の項目から、黒字化までの道のりを年数ごとに解説していきます。
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経営1~2年目:初期費用の支出があるためキャッシュフローは赤字
経営1~2年目は、物件の購入費や初期費用があるため、キャッシュフローとしては赤字になります。
主な初期費用の内訳は以下の通りです。
ローン事務手数料 | 借入金額の2.2%程度 |
---|---|
ローン保証料 | 物件価格の2%程度 |
登録免許税 | 土地:不動産価額の1.5% 建物:不動産価額の2% |
司法書士報酬 | 5万~20万円程度 |
仲介手数料 | 物件価格×3.3%+6.6万円(内税) ※法律上の上限額 |
印紙税 | 2万円 ※3,000万円の物件の場合 |
不動産取得税 | 不動産価額の3% |
固定資産税・都市計画税の清算費 | 購入日以降の課税額を日割り計算 |
火災保険料・地震保険料 | 補償内容による |
※ローンの頭金については物件の購入代金と相殺されるため除外。
基本的に1年目の支払いになりますが、不動産取得税のみ購入後半年~1年程度経ってから納税通知書が届くので、忘れないよう注意しましょう。
初期費用については、下記の関連記事でも詳しく解説しています。
経営3~9年目:年間収支が黒字になりキャッシュを残しやすい時期
3年目以降は大きな支出が生じにくく、キャッシュフローはプラスに転じます。順調なら5~6年目で自己資金の半分を回収可能です。
5~6年程度なら物件価格の下落もそれほど大きくないため、売却益とトータルで利益を確保できる可能性があります。市場動向や賃貸経営の状況などを踏まえて、出口戦略を検討しても良いでしょう。
一方、物件によっては想定外の修繕費用が発生し、資金回収が想定より進まない恐れがあります。
経営10年~:黒字化達成
問題なくアパート経営を続けられれば、おおむね10年あたりで黒字化を達成できます。
ただし、自己資金の回収後も、ローンの返済や維持管理費は発生します。一方、空室率の上昇や家賃の下落、減価償却の終了など、時が経つほど物件の収益性は下がってしまうため注意が必要です。
以上、アパート経営が黒字化するまでのシミュレーションでした。ただし、実際はさまざまな要因でシミュレーションより遅れる可能性があります。
次の項目からは、アパート経営の黒字化を阻害する要因と、その対応法について詳しく見ていきましょう。
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アパート経営の黒字化を阻害する要因と対応方法
アパート経営の黒字化を阻害する要因としては、以下の8つが挙げられます。
- 空室率の上昇
- 家賃の下落
- 減価償却の終了
- 修繕費の発生
- 災害による物件の損傷
- ローン金利の上昇
- 家賃の滞納
- 事故物件化
アパート経営をするうえで必ず発生する要因もあれば、運に左右される要因もあります。それぞれの内容と対応方法について、詳しく解説していきます。
空室率の上昇
アパート経営において、空室はもっとも避けたい状態です。収入がなくなるのに対し、維持管理費やローン返済負担は変わらず発生するので、収支がマイナスになります。
空室を避けるためには、物件選びの段階で対策が必要です。地元の不動産会社に相談したり、インターネットでエリア情報を調べたりして、賃貸需要の高い地域を見極めましょう。
また、物件の管理を、入居者付けが得意な管理会社に委託することも大切です。管理会社の選び方については、下記の関連記事で詳しく解説しています。
家賃の下落
家賃は、物件の価値や市場の状況によって変動します。築古になるほど、家賃の低下は避けられません。
経年劣化と家賃の相関性についての調査では、築年数1年ごとに家賃が1%ほど下がるとされています。この調査はマンションを対象としていますが、アパートについても同程度の水準と考えられます。
参照:三井住友トラスト基礎研究所「経年劣化が住宅賃料に与える影響とその理由」
新築時には満室時年収300万円のアパートでも、20年後には240万円になる計算です。反面、経年劣化によって維持管理費は上昇するので、キャッシュフローの悪化に繋がります。
対策としては、修繕やリフォームで賃貸物件としての価値を引き上げることが挙げられます。一時的に費用はかかりますが、うまく賃貸ニーズを沿った改善をすれば家賃の維持が可能です。
減価償却の終了
減価償却とは、固定資産の購入費を一定の期間(耐用年数)で分割して経費計上する会計処理のことです。
減価償却の問題点は、終了したときのキャッシュフローの変化です。減価償却が終われば課税所得が増える(控除額が減る)ため、税負担が重くなります。
減価償却の終了への対策は、終了後もキャッシュフローがプラスになる運用計画を立てておくか、終了に合わせて売却するかの2択です。いずれにせよ、経営開始時点でのシミュレーションが重要になります。
なお、耐用年数は物件の構造などによって変わります。アパートの場合は以下の通りです。
物件の構造 | 新築の場合(法定耐用年数) | 中古の場合 | |
---|---|---|---|
木造 | 22年 | ・築年数が法定耐用年数を超えている場合 法定耐用年数×20% ・築年数が法定耐用年数を超えていない場合 |
|
鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)、鉄筋コンクリート造(RC造) | 47年 | ||
金属造(鉄骨造) | 4mmを超えるもの | 34年 | |
3mmを超え4mm以下のもの | 27年 | ||
3mm以下のもの | 19年 |
参照:国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表」
参照:国税庁「中古資産の耐用年数」
修繕費の発生
アパートの価値を維持するためには、リフォームや修繕を適切に行う必要があります。内容としては、日常的な清掃や消耗品の交換といったものから、外壁・屋根のメンテナンスなどまでさまざまです。
賃貸需要があるうちは、修繕にコストをかけることに抵抗を感じるかもしれません。しかし、劣化が進むとかえって費用が高くなったり、家賃や資産価値の下落スピードが早くなったりするため、適宜メンテナンスを施すことが大切です。
修繕費を抑えるためには、こまめに物件の状態をチェックすることが大切です。こまめに手入れをすればトータルでコストは低くなりますし、長く住んでもらえる入居者を見つけやすくなります。
また、普段のメンテナンスとは別に、建築からおおむね12年前後のサイクルで「大規模修繕」も必要です。大規模修繕の費用は数百万円から数千万円かかるので、修繕積立金として年間諸経費に組み込む必要があります。
災害による物件の損傷
災害は予測や防止が困難であり、アパート経営にとっては大きなリスクです。災害によって物件が損傷したり入居者が退去したりすれば、収益は大きく下がります。
災害に対応するためには、オーナー向けの火災保険や地震保険に加入しておきましょう。保険料はかかりますが、災害で被害を受ければ莫大な修繕費が必要になるため、多少のコストを支払ってでも対策しておくべきです。
また、物件選びにあたっても、耐震性の高い構造の建物を選んだり、ハザードマップで危険地域を避けるといった対策を取りましょう。ハザードマップは、国の「ハザードマップポータルサイト」や市町村のWebサイトなどで確認できます。
ローン金利の上昇
ローン金利には「変動型」と「固定型」の2種類があり、変動型を選んだ場合は市場の状況によって金利が上下します。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
変動型金利 | ・固定型より金利が低い ・金利が下がれば返済負担も減る |
・金利が上がれば返済負担は増える ・返済計画が崩れる可能性がある |
固定型金利 | ・返済計画にズレが生じない ・市場金利が上がれば相対的に得になる |
・変動型より金利が高い ・市場金利が下がれば相対的に損をする |
上記のほか、3年や5年など一定期間のみ金利が固定される「固定期間選択型」もありますが、こちらも固定期間終了後は変動金利に移行します。
それぞれにメリットとデメリットがあり、どちらを選ぶかは「金利上昇リスクをどの程度想定するか」次第です。時が経つほど市場の変動リスクも高くなるため、返済期間が長期にわたる場合は固定型のほうが有利といえます。
借りるときの金利市場や、自分の将来的な収入予測などを考慮して選びましょう。
家賃の滞納
家賃の滞納が発生すると、その分の収入が途絶えてしまいます。さらに、住人自体はまだいる状態なので、新しい入居者を見つければ良い空室よりも厄介です。
しかし、家賃を滞納されてもすぐに追い出すことはできません。大家側から契約解除や差し押さえができるのは「家賃滞納から3ヵ月経過後」であり、手続きも裁判所を通す必要があります。
家賃滞納を避ける方法としては、入居審査で職業などをしっかり確認することや、家賃の支払い方法で自動引き落としやカード払いを可能にすることが挙げられます。また、家賃保証会社を付ければ、滞納が発生しても収入は途切れません。
なお、家賃滞納が発生したときの督促や強制退去については、関連記事で詳しく解説しています。
事故物件化
事故物件とは、入居者の自殺や殺人、孤独死などがあった物件のことです。事故物件になると、残置物の撤去や清掃などに数十万円かかるうえ、入居者も見つかりにくくなります。
自殺のケースを除き、原状回復費用は大家側が負担します。資産価値の低下について、遺族に損害賠償請求もできません。
対策としては、入居者の属性審査の厳格化や、セキュリティ強化による部外者の押し入り防止などが挙げられます。また、家賃の損失を保障してもらえる「孤独死保険」の加入も検討しましょう。
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アパート経営で自己資金の回収期間を短縮するコツ
前の項では、アパート経営の黒字化を阻害する要因と対応方法を解説しました。しかし、アパート経営の黒字化は、単に赤字をなくすだけではなく、自己資金の回収期間を短縮することも重要です。
自己資金の回収期間を短縮するためには、次のコツを意識しましょう。
- 収益性の高い物件を見極める
- 余裕のあるシミュレーションを行う
- ローンの返済期間を長く取る
- 繰り上げ返済を行う
- 収益が発生するポイントを増やす
- 自主管理を行う
- 青色申告や法人化を行う(投資規模の拡大を目指す場合)
- 自己資金比率を高くする
- 集客に強い不動産会社を利用する
それぞれ詳しく解説します。
収益性の高い物件を見極める
アパート経営において、物件選びはすべての基礎となる最重要項目です。自己資金の回収期間を短縮するためには、収益性の高い物件を見極めなければいけません。
突き詰めれば「家賃収入が多い」「経費が少ない」「資産価値が高い」の3つが揃っていれば良いのですが、これだけでは具体性に欠けるため、初心者には見極めが困難です。
そこで、ここではより具体的な方法として、以下の3つを紹介します。
- エリアの賃貸需要を調べる
- 利回りだけで選ばない
- キャピタルゲインとインカムゲインの両方を想定する
エリアの賃貸需要を調べる
エリアの賃貸需要とは、そのエリアでアパートを借りたいと思っている人の数や特徴を指します。人口という母数だけではなく、その中の属性がどこに偏っているか知ることで、より入居者付けが楽になります。
例えば、学生が多い地域なら家賃の低いワンルーム、ファミリー層が多い地域なら部屋数の多い広めの物件など、ニーズに沿ったアパートを取得することが重要です。
賃貸需要の調べ方としては、その地域に密着している不動産会社に相談するのがおすすめです。そのほか、現地を実際に歩いてみたり、インターネットで地域情報を検索してみたりするのも良いでしょう。
利回りだけで選ばない
利回りとは、物件価格に対する家賃収入の割合のことです。利回りが高いほど早く資金回収ができるため、黒字化も早くなります。
しかし、高利回りの物件は、物件価格と家賃収入のバランスが崩れている恐れがあるため注意が必要です。
極端な例だと、利回りが50%や100%の高水準でも、物件価格が100万円以下の物件だとなんらかの問題を抱えている確率が高いでしょう。いまにも倒壊しそうなほど劣悪な状態であったり、違法建築であったりするかもしれません。
一方で、高額な家賃が設定されているケースでは、必要経費を抜いて計算しているケースがあります。売主側が悪意をもって、買主を騙そうとしているかもしれません。
利回りに騙されないためには、物件の管理状態や権利関係をしっかり調べることと、周辺相場と比べて不自然な家賃設定ではないか確認することが大切です。
なお、利回りについては下記の関連記事もご覧ください。
キャピタルゲインとインカムゲインの両方を想定する
キャピタルゲインとインカムゲインは、どちらもアパート経営で得られる利益のことです。両方を想定すれば、黒字化までの期間を短縮できます。
- キャピタルゲイン…物件の売却益
- インカムゲイン…家賃収入などの運用益
インカムゲインでコツコツと利益を積み重ねつつ、物件価格が下がりきらないうちに売却してキャピタルゲインを得れば、トータルで黒字化を達成できます。また、地価の高騰などで物件価格が上昇すれば、より大きな収益も狙えます。
キャピタルゲインもインカムゲインも、物件選びのうえで気を付けるポイントは同じです。賃貸需要が多いエリアで、立地や設備が良い物件を選びましょう。
余裕のあるシミュレーションを行う
どれだけ良い物件を選んでも、家賃の下落や空室の増加、固定費の変動など、想定外の出費はアパート経営に付き物です。そのため、余裕のあるシミュレーションが重要となります。
予測可能な出費を洗い出したうえで、それらを上回る資金を常に確保できる状態を作り出しましょう。
なお、国土交通省が公開している「民間賃貸住宅の計画修繕ガイドブック」では、修繕費用の時期と費用相場が掲載されています。あくまでイメージですが、運用シミュレーションの際は参考にしましょう。
ローンの返済期間を長く取る
年間のローン返済額は、返済期間を長くするほど少なくなります。年間のローン返済額が少なければ、手元に残る資金が増えるため、短期間での資金回収が可能です。
ただし、返済期間が長いほど利息も増え、支払い総額が高くなります。黒字化を優先するか、支払い総額を優先するかは、シミュレーションのうえ検討すべきです。
その際は、金利の高さがポイントとなります。低金利で借りられる人ほど返済期間の長期化による影響が少ないので、黒字化を優先しやすくなります。
なお、築古物件(耐用年数が少ない物件)だと、そもそも融資期間を長く取れないのが一般的です。この場合は、支払い総額を優先して短期間の完済を目指したほうが良いでしょう。
繰り上げ返済を行う
繰り上げ返済をすれば、元金が減ることで月々の返済負担も軽くなるため、黒字化までの期間を短縮できます。
また、繰り上げ返済はすべて元金分に充てられるので、利息がない分効率的に返済可能です。
ただし、金融機関によっては手数料が発生する場合もあるため、注意が必要です。また、繰り上げ返済のし過ぎで手元の資金がなくなっては元も子もないため、あくまで余裕があるときに行いましょう。
収益が発生するポイントを増やす
アパート経営では、家賃以外にも収益が発生する要因を作れます。収益ポイントを増やせば、運用が楽になり、黒字化までの期間短縮も可能です。
具体的には、次のような収益ポイントが挙げられます。
- 自販機の設置
- 貸看板の設置
- シェアポートの設置(シェアサイクルの拠点貸出)
- 駐車場や駐輪場の貸出
- 太陽光発電による売電
上記のように、物件の余剰スペースをうまく使えば効率的に収益を得られます。
自主管理を行う
普段のメンテナンスや入居者募集などは管理会社に委託するのが一般的ですが、その分管理費が発生します。自主管理に切り替えることで、委託コストの節約が可能です。
ただし、アパートの管理は多くの時間と手間がかかるため、本業が別にある人は手が回らなくなる可能性があります。知識も必要になるので、初心者がいきなり自主管理を始めるのは困難です。
まずは一部の業務を委託する「部分管理」にするなど、負担が重くならないよう注意しましょう。
自主管理については、下記の関連記事でも詳しく解説しています。
青色申告や法人化を行う(投資規模の拡大を目指す場合)
投資規模が一定以上(おおむね5棟10室以上)になれば、青色申告や法人化で節税する方法もあります。
青色申告とは、個人事業主が税申告するときの形式の1つで、最大65万円の控除を利用可能です。
一方、法人化は会社を設立することを指します。法人化すれば、経費計上できる項目が増えるうえ、年間所得が900万円を超えるなら個人の所得税より税率が低くなります。
個人の所得税税率 | ・695万円超から900万円以下:23% ・900万円超から1,800万円以下:33% ・1,800万円超から4,000万円以下:40% ・4,000万円超:45% |
---|---|
法人税の税率(普通法人の場合) | ・年800万円以下の部分:15% ・年800万円超の部分:23.20% |
参照:国税庁「所得税の税率」
参照:国税庁「法人税の税率」
青色申告や法人化の手続きは個人でも可能ですが、複雑で時間がかかるため、税理士や司法書士に相談することをおすすめします。
自己資金比率を高くする
ローンの借入額を減らし、自己資金比率を高くすることも、黒字化の期間短縮には有効です。
一見すると「自己資金の早期回収」と矛盾しているように思えますが、ローンの返済負担が軽くなるため、現金を手元に多く残せます。
一般的な目安として、自己資金は物件価格の15~30%程度必要といわれます。30%かそれより多い自己資金比率にすれば、アパート運営も余裕を持って取り組めるでしょう。
集客に強い管理会社を利用する
先述した通り、空室はアパート経営においてもっとも避けたい状況です。黒字化を早く達成するためにも、いかに空室率を下げるかが重要となります。
ほとんどの大家は管理会社に入居者募集も委託しますが、会社によって集客力に差があります。安定して入居者を確保するためには、その地域でアパートの入居率が高い管理会社を選ぶことが大切です。
集客に強い管理会社を探すにあたっては、物件選びの段階から不動産投資会社に依頼するのも1つの方法です。不動産投資会社は投資に関するあらゆる業務に対応しており、仲介業者・販売業者と管理会社それぞれの役割を兼任しています。
物件選びから同じ会社にアドバイスをもらうことで、運用や出口戦略まで見据えた投資が可能です。
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所有のアパートで黒字化が無理そうなら売却も検討する
ここまではアパート経営の黒字化達成に向けた解説をしましたが、実際に運用をスタートしてみると、思い通りにいかないことも多々あります。
キャッシュフローが悪化しており、資金も底を突いている状態だと、運用を続けても損失が増えるだけです。改善が難しいのであれば、早めに売却することも検討しましょう。
投資では「損を取り返したい」「ここまで来たら後戻りできない」と思いがちですが、このような状態では合理的な判断ができません。早期撤退も投資判断の1つと考え、損失を拡大させないことが大切です。
売却にあたっては、少しでも資金を回収するためにも、なるべく高値で売る必要があります。依頼する不動産会社によって売却価格も変わるため、まずは一括査定で各社を比較しましょう。
まとめ
収益性の高い物件を見極め、余裕のあるシミュレーションをすれば、アパート経営の早期黒字化も可能です。
ただし、アパート経営は早期黒字化を目指すだけでなく、最終的に手残りがどうなるかも重要です。長期的に運用計画を立て、最終的な出口戦略も用意しておきましょう。
アパート経営について不安や悩みがあれば、不動産投資会社に相談するのもおすすめです。個々の投資目的に合わせたアドバイスをしてくれるので、早期黒字化に適した物件を紹介してもらえます。
アパート経営についてよくある質問
金利や空室率、自己資金の比率などによるため、一概にはいえません。一般的には、10年程度が目安となります。
まずは物件選びで、収益性の高いアパートを見極めることが大切です。エリアの賃貸需要を調査し、ニーズとマッチした物件を見つけましょう。
事前に運用シミュレーションを行い、突発的な出費にも耐えられるよう手元の資金に余裕を持たせることが大切です。また、こまめに修繕やリフォームを行い、物件の資産価値を維持することも有効です。
ローンを借りる場合、物件価格の15~30%程度を用意するのが一般的です。自己資金が多ければ多いほどキャッシュフロー(現金の流れ)が良くなり、黒字化の期間短縮にも繋がります。
不動産投資会社に相談しましょう。物件選びから資金計画、購入後の維持管理まで、あらゆる面で適切なサポートをしてくれます。会社ごとにサービス内容の違いがあるため、なるべく多くの不動産投資会社を比較するのがおすすめです。→【プロが最適な投資をアドバイス!】不動産投資会社の一括比較はこちら