相続時に起こるトラブルと解決案をわかりやすく解説!予防策なども説明

相続トラブル 解決案

「兄弟姉妹の仲がいい」「相続財産の総額が少ない」といっても相続時にトラブルが起きないとは限りません。遺産相続を巡ってお互いの主張がぶつかることで、兄弟姉妹との関係が悪化してしまうこともあります。

この記事では、相続時に起こりやすいトラブルとその解決案を具体例を用いながらわかりやすく解説していきます。

また、相続トラブルを未然に防ぐ対策も詳しく説明するので、穏便に相続が終えられるように参考にしてみてください。

相続時に起こりやすいトラブルと解決案

相続トラブル
お金が絡む遺産相続では相続人の意見が対立してしまうことで、トラブルに発展してしまうケースも多々あります。相続時に起こりやすいトラブルは主に以下のようなものがあります。

  1. 遺産分割協議がまとまらない
  2. 親の介護負担が偏っている
  3. 相続した実家の分割方法が決まらない
  4. 遺言書の内容が不公平
  5. 他の相続人と連絡がとれない
  6. 相続権を主張する人が現れた
  7. 相続財産がマイナスになってしまう

次の項目から、これらのトラブルが起こってしまう背景やそれぞれの解決案を具体的に解説していきます。

①遺産分割協議がまとまらない

遺言書が残されている場合、基本的にその内容の通りに遺産分割がおこなわれます。もし遺言書が残されていないのであれば、遺産の具体的な分け方を決定するために「遺産分割協議」がおこなわれます。

この遺産分割協議は相続争いが起きやすいといわれており、話し合いがまとまらないということも珍しくありません。

例えば、長男という理由で多くの遺産を相続する権利があるということを主張するかもしれません。

一方で、他の相続人は長男の主張に不満を抱くことでいつまでたっても協議がまとまらず、泥沼化してしまうこともあるでしょう。

法定相続分に従う

遺産分割協議が泥沼化してしまった場合「法定相続分」による遺産分割を検討するとよいかもしれません。法定相続分は民法によって定められた割合であるため比較的平等な分割が可能といえます。

例えば、3人の子どもが相続人だとすると法定相続分に従うことでそれぞれ1/3の遺産を相続することになります。法定相続分において長男や長女などであることは考慮されません。

どんなに時間をかけても話し合いが進まないのであれば、法定相続分に従うことを交渉してみることが大切です。

②親の介護負担が偏っている

前の項目では法定相続分によって平等な遺産分割が可能であると説明しました。しかし、場合によっては親の介護負担が1人の相続人に偏っていることも考えられます。

例えば、長男は実家の近くに住んでおり、他の兄弟姉妹(相続人)は地元から離れて生活しているため、親の介護は長男のみがおこなっていたというケースもあります。

介護にかかる労力や費用などを加味すると法定相続分に従った分割では不公平になりかねません。そのため、介護負担を理由に相続割合を多く請求することは妥当といえます。

といっても、他の兄弟姉妹からは「子どもが親を介護するのは当然のことだ」と認めてもらえない可能性があります。

介護負担を理由に相続割合を増やしてもらいたいのであれば「寄与分」を主張するとよいでしょう。

寄与分を主張する

「寄与分」は民法第904条2項で以下のように定められています。

第九百四条の二 共同相続人中に、被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から共同相続人の協議で定めたその者の寄与分を控除したものを相続財産とみなし、第九百条から第九百二条までの規定により算定した相続分に寄与分を加えた額をもってその者の相続分とする。出典:https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=129AC0000000089#3419、民法第904条2項

介護以外にも親から引き継いだ会社の業績を伸ばした場合などでもこの寄与分が認められます。仮に寄与分が認められたとしたら本来の相続財産から寄与分を差し引いたものを相続人で分割します。

例えば、相続財産が3,000万円であり、1人の相続人に300万円の寄与分が認められた場合「3,000-300万円=2,700万円」が分割対象となります。

③実家の相続における分割方法が決まらない

親が住んでいた実家を複数の相続人で相続する場合、どのように分割すればよいのか迷ってしまうことも少なくありません。不動産を分割する方法は主に4つあり、それが以下の通りです。

現物分割・・・主に1つの土地を分筆してそれぞれの相続人が相続する
代償分割・・・不動産を相続する人が他の相続人に代償金を支払う
換価分割・・・不動産を売却した代金を相続人で分配する
共有分割・・・不動産を複数の相続人(相続人全員)で共有して相続する

それぞれの分割方法における詳しい解説については以下の記事を参考にしてみてください。

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相続した実家の分割方法がなかなか決まらないのであれば「実家を残したい場合」と「実家が不要な場合」に分けて検討するとよいかもしれません。

つぎの項目からそれぞれのケースにおける分割方法を解説します。

実家を残したい場合の分割方法

「生まれ育った実家に思い入れがある」「親が購入した実家を知らない人に売りたくない」などの理由で実家を残したいと考える人も多いです。

しかし、不動産を所有していることで固定資産税や管理費などのコストがかかります。そのため「実家を活用する予定がないから売却して現金を分割したい」と主張する相続人もいるかもしれません。

もし実家を残したいと考えている相続人が1人であるならば、他の相続人に代償金を支払うことで実家を売却せずに相続できます。これが「代償分割」です。

例えば、実家の資産価値が3,000万円であり、長男・次男・三男が相続人だとします。長男のみが実家を相続するケースでは、次男と三男に現金を1,000万円ずつ支払って代償分割します。

実家が不要な場合の分割方法

一方で、持ち家を持っていたり地元を離れて生活しているなどの理由で相続人全員が実家を活用しないというのであれば「換価分割」を検討するとよいかもしれません。

仮に実家が3,000万円で売れたとして、相続人が3人であればそれぞれ現金1,000万円を受け取ることになるでしょう。

現金であれば1円単位で遺産分割できるため、前の項目でも説明した「寄与分」を考慮した分割も比較的容易になるといえます。

④遺言書の内容が不公平

「遺言書を確認すると明らかに不公平な分割内容だった」というケースもあります。

例えば「内縁の妻(夫)にすべての財産を相続させる」という内容だとします。このとき、被相続人の子どもなどは本来相続するはずだった財産を一切受け取れなくなってしまいます。

原則として遺言書の内容は優先されます。しかし、あまりにも不公平な内容をそのまま認めてしまうと、相続人の権利が侵害されてしまうことになります。

そのため、遺言書の内容に関わらず最低限の財産を相続する権利が法律によって保証されています。これを「遺留分」と呼びます。

「遺留分の割合」や次の項目で説明する「遺留分減殺請求」についての基本知識などは以下の記事でわかりやすく解説しているので、参考にしてみてください。

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遺留分減殺請求を利用する

遺留分減殺請求・・・遺留分が侵害されている場合、被相続人によって贈与・遺贈された人に対して財産を返還請求できる制度です。

被相続人がほとんどの財産を内縁の妻(夫)に贈与・遺贈しており、遺留分が侵害されていることに気づいたら、内縁の妻(夫)に遺留分減殺請求できます。

例えば「贈与・遺贈の総額が3,000万」「3人の子どもが相続人」だとします。まず、子どものみの遺留分は総額の1/2であり、これをさらに人数で分け合います。

そのため、1/6ずつの遺留分が認められることになります。このケースにおける1人あたりの遺留分を計算式に表すと以下のようになります。

1人あたりの遺留分=3,000万円×1/2×1/3
         =500万円

したがって、遺留分減殺請求によって返還してもらえる財産は500万円となります。

⑤他の相続人と連絡がとれない

連絡がとれない相続人がいるからといって相続に参加させないまま手続きを進めてしまうとトラブルに発展してしまう可能性があります。

なぜなら、基本的に遺産分割協議は相続人全員の同意がなければ成立しないからです。仮に成立したとしても連絡のとれなかった相続人が現れた場合、遺産分割をやり直さなければならない可能性が高いです。

また、すでに財産を使用・消費していたとしたら、不在だった相続人から相続できなかった分を賠償請求されてしまう恐れもあります。

しかし、相続に関する手続きには期限が設けられていることもあるため、行方のわからない相続人を待ち続けるわけにもいきません。このようなケースの解決方法は2つあります。

  • 失踪宣告を申し立てる
  • 不在者財産管理人を選任する

失踪宣告の申し立てと不在者財産管理人の選任については以下の記事でも詳しく解説しているので、参考にしてみてください。

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失踪宣告を申し立てる

そもそも何年も前から行方がわからない」という相続人がいる場合「失踪宣告」を申し立てることも検討しましょう。

失踪宣告・・・行方も生死もわからない人を法律上死亡したとみなす制度です。

失踪宣告が受理されるためには「普通失踪」または「特別失踪」のどちらかに該当していなければいけません。

普通失踪・・・失踪してから生死が7年以上明らかでない場合に失踪宣告が受けられます。申立てが認められると失踪から7年を経過した日に失踪者は死亡したものとみなされます。

特別失踪・・・戦争や船舶の沈没、自然災害などの災難に遭遇し生死が不明の場合は、災難が去った1年後に失踪宣告が受けられます。

上記の要件を満たし失踪宣告が受理されれば、行方不明の相続人を除外して遺産分割を進めることが可能になります。

相続財産管理人を選任する

失踪宣告は要件を満たしていない限り受理されません。もし要件を満たしていないのであれば「相続財産管理人」を選任するとよいでしょう。

相続財産管理人を選任することで、行方不明の相続人の代理人として遺産分割協議に参加してもらうことができます。そのため、本人が不在の場合でも遺産分割が成立します。

相続財産管理人の選任方法や与えられる権限などの詳しい説明は以下の記事を参考にするとよいでしょう。

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⑥相続権を主張する人が現れた

「相続人が全員揃ったため遺産分割をおこなっていたところ、相続権を主張する第三者が現れた」というケースでは相続が複雑になってしまうこともあります。

例えば「自分は被相続人と前妻(前夫)との間の子どもだ」と名乗り出ることもあるでしょう。また、生活を共にしていた内縁の妻(夫)が相続権を主張してくるかもしれません。

もしその第三者に相続権があるとしたら遺産分割を最初からやり直す必要があります。法律上相続権が認められていなかったとしても、いつまでも遺産分割を請求してくる可能性も無いとは言い切れないでしょう。

このように思いもしない第三者が現れることで遺産分割が泥沼化してしまう恐れも考えられます。

相続権の有無を確認する

相続権を主張する第三者が現れたら、相続人の資格を有しているのか確認することが大切です。法定相続人として相続権が認められるのは原則「配偶者」と「血族(血縁関係にある人)」です。

ここでは前の項目で取りあげた「前妻(前夫)の子ども」と「内縁の妻(夫)」に焦点をあてて相続権の有無を解説します。

まず「前妻(前夫)の子ども」は被相続人と血が繋がっている(血縁関係にある)ため、親権の有無に関係なく相続権が認められます。

一方「内縁の妻(夫)」は配偶者ではないため相続権はありません。なぜなら、配偶者として相続権が認められるには法律上の婚姻関係を結んでいなければならないからです。

ちなみに、離婚した前妻(前夫)は婚姻関係を解消しているため、相続権はありません。

法定相続人の範囲についてもっと詳しく知りたいという人は、以下の記事を参考にすることでより理解が深まるでしょう。

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⑦相続財産がマイナスになってしまう

相続人が借金を背負っていたり、連帯保証人として債務を負担していることで相続財産がマイナスになってしまうことも珍しくありません。

借金や債務などのマイナスの財産も相続対象です。そのため、そのまま相続してしまうと多額の借金を負担しなければならない可能性もあります。

また、損害賠償や慰謝料などの支払い義務も相続対象となるため、被相続人の状況をしっかりと把握しておくことが大切です。

もし相続財産のトータルがマイナスになってしまうのであれば「相続放棄」を検討しましょう。

相続放棄をおこなう

相続放棄はすべての財産における相続を放棄することです。多額の借金を相続することが予想されるケースでは相続放棄がおこなわれることが多いでしょう。

相続放棄をおこなう際は「相続の開始を知った日から3カ月以内」に手続きをおこなう必要があります。手続きは被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所でおこないましょう。

ただし、プラスの財産も手放さなければならないため慎重に判断することが大切です。

相続放棄のメリットやデメリットは以下の記事でわかりやすく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

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相続トラブルを防ぐ対策

相続トラブル 対策
相続においてさまざまなトラブルが起きてしまう恐れがあります。しかし、適切な対処をおこなうことでトラブル未然に防ぐことができるかもしれません。相続トラブルを防ぐ対策としては主に以下の3つがあります。

  • 財産目録を作成する
  • 遺言書を残してもらう
  • 法定相続人を確定する

次の項目からそれぞれ具体的な対策方法を解説します。

財産目録を作成する

プラスの財産・マイナスの財産をすべて把握するのは被相続人本人でも難しいかもしれません。そのため、相続人が財産調査をおこなうとなると見落としや漏れが生じてしまう恐れもあります。

もし遺産分割後に新たな相続財産が見つかった場合、その財産について協議をおこなわなければならないでしょう。

また、財産の合計がマイナスになるため相続放棄をしたあとに、プラスに転じるほどの高価な財産が見つかっても相続できません。

このように手間がかかったり取り返しのつかないことになる前に、被相続人に財産目録を作成してもらいましょう。事前にすべての財産を把握できていればトラブルを防ぐことが可能な場合があります。

遺言書を残してもらう

遺言書があれば多くの相続トラブルを回避できるといわれています。なぜなら、相続において遺言書は遺産分割協議や法定相続分よりも優先されるからです。

被相続人が本人の意思で遺産の分け方を遺言書で明記しているのであれば、その内容に従うのが一般的です。そのため、遺産分割を巡り相続人同士で揉めてしまう可能性は比較的低いといえます。

ただし、前の項目でも説明した遺留分を侵害するような内容だと結果的にトラブルに発展しかねません。

遺言書を書き残してもらう際は遺留分を加味した分割内容にしてもらうとよいかもしれません。

相続人を確定する

遺言書がない場合、遺産分割協議または法定相続分に従って遺産の分け方を決定します。ただし、事前に相続人が何人いるのか確定することが大切です。

相続人を確定するためには「被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本」を取得する必要があります。取得したら離婚歴や子どもの有無をしっかりと調べましょう。

調査してみると被相続人に離婚歴があり前の配偶者との間に子どもがいることが判明するケースもあります。

被相続人と法律上の親子関係にある子どもは相続権が認められるため、面識のない相続人と相続について話し合うこともあり得ます。

相続トラブルは弁護士に相談しよう

弁護士
前の項目で解説した対策を実施したとしても必ずトラブルを防げるとは限りません。また、現時点で相続トラブルが発生しているということも考えられます。

相続トラブルに発展してしまったとしても相続人が協力し合うことで解決できることもあるでしょう。

しかし、実際には相続争いが泥沼化したり、法律が複雑に絡み合うこともあるため解決できないままトラブルが大きくなってしまう可能性もゼロではありません。

トラブルを早期解決したいのであれば、相続問題に精通した弁護士に相談しましょう。相続に関係する法律や相続人との交渉に長けている弁護士に依頼することで、穏便に相続を終えることができるかもしれません。

まとめ

遺産相続はさまざまなトラブルが潜んでいます。遺産分割協議や遺言書の内容によってはお互いの主張がぶつかることで、仲の良かった相続人同士の関係が悪化してしまうこともあります。

起きやすいトラブルやその解決案を事前に把握しておくことで、トラブルを最小限に留めることができるかもしれません。

また、相続が発生する前に被相続人に財産目録や遺言書を作成してもらうこともトラブルの防止対策として有効といえます。しかし、必ず防ぐことができるとは限りません。

自分たちで解決が難しいのであれば、相続問題に詳しい弁護士に早めに相談することが大切です。

最終更新日:
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