
不動産情報サイトなどで物件情報を探していると、再建築不可という物件が見つかることがあります。
価格が同じような立地の物件と比較してみると、坪単価で2~3割程度安いことが多く、価格面でのメリットは非常に大きいと言えます。
しかし、再建築不可物件は建替えができないという大きなデメリットがあります。銀行や信用金庫などからの融資も受けづらいため、購入時は資金繰りに頭を悩ませることが多いのです。
そんな再建築不可物件ですが、実際に投資する価値はあるのでしょうか。
この記事では、投資に値する再建築不可物件の見抜き方と、投資してはいけない再建築不可物件の注意点、購入した後の活用法やノウハウを詳しく解説します。
目次
再建築不可物件は投資する価値がある!
再建築不可物件の最大のリスクは、建物を建て直す許可が行政から下りない点です。
購入後の運用の自由度が低く、火災や地震などが起きて建物が失われても建て直しができず、更地しか残りません。
一般的には購入しない方が良いと考える投資家も多いのですが、再建築不可物件は間違いなく投資する価値がある不動産なのです。その理由を見てみましょう。
価格が安い
再建築不可物件の最大のメリットは、価格の安さです。立地や広さなど、同条件の不動産と比較をすると、2割から3割程度、場合によっては5割ほど安いことがあります。
なぜこんなに安いかと言うと、欠陥が多いので安くしないと売れないからです。
また、金融機関による担保評価が低く、融資が受けにくいため、住宅ローンやアパートローンを利用して購入することが難しくなります。
融資を受けるとしたらノンバンクの高金利ローンを利用するしかないでしょう。そのため、現金で買えるように価格を安くせざるをえないのです。
建築基準法にのっとって建てられていない物件、現在の建築基準法が施行されるより前に建てられた物件など古い建物が多く、建物の価値が非常に低いものが多いのです。
建物の価値の低さが価格面にも反映されています。
ただし、立地に関しては再建築ができないというデメリットはあるものの、必ずしも悪い場所にあるわけではありません。駅から10分以内の場所に建っている再建築不可物件も多く見つかります。
駅から徒歩5分以内など立地の良い場所にありながら、価格が非常に安い物件を購入できれば、不動産投資で高い収益性が期待できるかもしれません。

物件の種類に様々なものがある
再建築不可物件といっても戸建てやアパート、賃貸併用住宅など様々な種類があります。不動産会社に聞いても紹介が受けられますし、大手不動産情報サイトSUUMOで検索しても関東だけで、60件見つかります。(2018年9月現在)
自分の投資対象や予算に合わせて探し、それぞれの物件を比較することで、より投資しやすい物件が見つかるでしょう。
投資に優れている再建築不可物件の見分け方は?
実際に投資対象に向いている再建築不可物件には、どのようなものがあるのでしょうか。良い再建築不可物件を見抜くためのコツをお伝えします。
立地条件が良い再建築不可物件
不動産投資の成否を左右する最も大きなポイントは、やはり立地条件です。駅から近い場所にある再建築不可物件は自分たちが住むのに便利ですし、投資用物件としても大変需要が高いです。
自分たちが再建築不可物件に住むにあたっては、建て直しがきかない、増築ができないなどのデメリットを被ってしまいます。
もし定住するつもりで購入したとしても、地震で建物が倒壊してしまえば、もうそこには住めません。
地震保険はおりるかもしれませんが、建て直しができないため、土地を売却して新しい場所に家を買わなければいけないでしょう。
しかし、賃貸で住む人間にとって、再建築不可物件であることは、それほどデメリットにはなりません。
もともとその場所に定住するつもりがない単身者であれば、再建築不可のアパートやシェアハウスが壊れても、引っ越せばよいだけです。
自分の所有する不動産を賃貸に出して不動産サイトに掲載するときも、特に再建築不可物件の旨を記載する必要はありません。
自宅用ならともかく、投資用不動産としての再建築不可物件は、価格面のメリットが運用面のデメリットを大きく凌駕することもあるのです。
賃貸物件として入居者が見るポイントは、立地の良さです。大きな駅の近くにあり、最寄り駅から近い場所にある再建築不可物件は狙い目と言えるでしょう。
敷地内に、ある程度スペースがある
再建築不可物件は、道路に対する接道義務を満たしていないため建て直すことができません。
大抵の場合、住宅が密集しているエリアの奥まった場所にあるため、自転車や車で入ることが難しくなっています。容積率や建ぺい率をオーバーしていることもあります。
それでも、敷地内に庭などのスペースがある再建築不可物件は、様々な方法で運用ができます。空いている敷地を駐車場や駐輪場にすれば、賃貸に出した時に入居者の利便性が上がります。
植物を植えて雰囲気を良くすることもできますし、周囲と建物との間に多少なりともスペースが空いていれば、火災リスクを下げることもできます。
建物がそれほど古くない
再建築不可物件と言ってもピンからキリまであります。
基本的に築年数20年以上など古い建物が多いですが、しっかりとリフォームや修繕を済ませて、売るまでに人がかかわっていた再建築不可物件であれば、最低限の費用を掛けたハウスクリーニングやリフォームでも居住用として貸し出すことができます。
できれば1981年以降に建てられた新耐震基準を満たしている再建築不可物件を購入しておきましょう。
耐震工事を行うとなると、大変大掛かりなリフォームが必要です。100万円以上の施工費がかかってしまいますし、施工する工務店などの車両が、再建築不可物件の敷地まで進入できないこともあります。
それまで人が住んでいて、きちんと手入れがされてきた再建築不可物件であれば、コストをかけずに賃貸用物件として活用できるのです。
周辺の密集度が低い
基本的に賃貸併用住宅は、住宅街の中にあることが多く、住宅が密集しているエリアに建っていることが多いです。
再建築不可物件の周りに高い住宅が並んでいると、建物の影になって日が入ってこなくなり、日中でも部屋の中が暗くなったり、寒くなったりします。
入居者にとって住み心地の悪い物件となってしまうでしょう。きちんと日照が確保されているもの、ある程度日差しが入って冬でも暖かさが感じられるような物件を選ぶようにしましょう。
将来、周辺の土地を買い取ったり、借りたりできるか
再建築不可物件を建築可能物件に再生する方法として、隣地の買い取りがあります。
建築基準法上の道路に対する接道義務を満たすために、隣家の土地の一部を買い取り、自分の敷地が道路に2メートル以上接することができれば、接道義務を満たして建築ができるケースもあるのです。また買い取りをせずとも、土地を借り入れることができれば、再建築は可能です。
土地としての運用の柔軟性が飛躍的に上がりますし、資産価値も大きく上昇します。不動産会社に再建築不可物件の情報を聞くときは、隣家との話し合いができるかどうかも確認しておくとよいでしょう。
セットバックをすれば、建築可能になる物件
再建築不可物件を建築可能物件にする別の方法に、セットバックがあります。
建築基準法では幅員4メートル以上の道を道路として定めており、仮に幅員3mの道路にしか面していなかった場合、再建築ができません。
しかし、敷地の接道部分を1メートルバックして、幅員4メートルの道路にすれば、建築が可能になることもあります。
セットバック部分には塀などの建造物を設置できませんが、それでも建築可能になれば資産価値が上昇し、大きなメリットが生じます。
戸建住宅である
再建築不可物件はリフォームが可能な場合と、そうでない場合があります。リフォームが可能なのは戸建住宅であり、集合住宅はリフォーム不可な場合があります。
集合住宅の場合、共同住宅というカテゴリーになるため、再建築不可物件をリフォームする場合は行政への確認や申請が必要になることがあります。
戸建住宅の場合は、特に増築などしなければリフォームやリノベーションができますが、集合住宅は確認や申請が通らなければリフォームができません。
投資用の再建築不可物件を購入するときの注意点は?
購入してはいけない再建築不可物件の具体例として、どのようなものが挙げられるでしょうか。
建物が古く、とても人が住めるような状態ではない
再建築不可物件を購入した後は、基本的に、賃貸に出すケースが多いです。賃貸に出すためには、部屋探しをしている人にとって魅力的な物件でなくてはいけません。
築40年、50年と経過しており、空き家として放置されていた再建築不可物件では、大規模なリフォームをしなければとても住めないことがあります。
先に挙げたように、新耐震基準を満たしていない物件はリスクが大きく、地震が起これば母体に大きなダメージが残ります。一度崩壊してしまうと再建築ができず、賃貸収入が得られなくなります。
旧耐震基準しか満たしておらず、壁や床、水回りなどの設備がボロボロな築古物件は買わない方がよいでしょう。活用できずに固定資産税を支払うだけになってしまいます。
大変奥まった場所にある再建築不可物件
接道義務を満たしていない建物がなぜ再建築不可とされるのか、その大きな理由は、消防車などの緊急車両が進入できないからです。再建築不可物件は、火災が起きた時、大きなリスクになります。
それでも極端に奥まった場所でなければ、ホースを伸ばして消火できるかもしれません。
しかし、本当に消防車が全く入れないような奥まった場所に再建築不可物件が建っていた場合、大きな被害に発展する可能性があります。
消火ができないため周囲が延焼する可能性もあります。火災リスクが大きい再建築不可物件は購入しないようにしましょう。
集合住宅はリスクが高い
戸建住宅のところで述べたように、集合住宅は必ずしもリフォームができるとは限りません。
集合住宅を購入する際には、あらかじめ不動産会社にリフォームやリノベーションができるのか確認しておきましょう。
投資用の再建築不可物件を購入後、有効な活用方法は?
実際に再建築不可物件を購入した後はどのような運用が考えられるでしょうか。高収益を出すためのポイントをお伝えします。
シェアハウスにする
収益性を重視するのであれば、再建築不可物件をシェアハウスにすることを考えましょう。
大規模なリフォームは必要になりますが、リフォームに関しては再建築不可物件でもリフォームローンの融資が受けられます。
シェアハウスは利回り20%を狙うことができるなど、一般的なアパートや戸建てよりも利回りが高いです。
住人の入れ替わりが激しいというデメリットがありますが、その分、新規入居者も決まりやすいため、空室率が一気に上昇するリスクもありません。
建物面積の広い戸建住宅を改装してシェアハウスにすることは、再建築不可物件の最も有効的な活用方法です。キャッシュフローも多く確保できます。
ファミリー向け住宅にリフォームする
戸建住宅を購入したのであれば、ファミリー向け住宅にリフォームしてみましょう。
古い戸建て住宅は六畳や四畳半などの小さな部屋が多いのですが、間取りを変更して広めのリビングや、DK、ベッドルームなど2~3人用の戸建住宅に改造します。
そうすれば再建築不可物件といえども、窮屈さを感じさせない住宅にすることができます。
壁紙や床も全て交換し、水回りの設備も最新のものに一新すれば、新築住宅のような見た目や設備にすることも不可能ではありません。
ファミリー向け住宅はすぐに入居者が決まらないデメリットがありますが、一度決まってしまえば10年、15年と長く住んでくれることもあります。客付けさえできれば安定した収益が見込めるのです。

まとめ
再建築不可物件にリスクやデメリットが多いことは事実です。しかし、不動産投資において最も重要な収益性の面では大きなメリットがあります。
価格が安ければ利回りを上げることができますし、運用次第では表示利回り以上の利益を上げることも不可能ではないのです。
基本的に再建築不可物件は上級者向けの不動産です。不動産投資の初心者が戦略を練らずに運用するのは、決して簡単なことではありません。
それでも様々な物件を見定めた上で需要のありそうな良い物件が見つかれば、大家として投資する価値は十分あるでしょう。
再建築不可物件を専門に取り扱う会社もあるので、興味を持った方は一度話を聞いてみてもよいかもしれません。