
不動産を売り出しているものの、なかなか売れずに困っていませんか?
不動産が売れなければ維持費がかかりますし、売却益を見込んだ資金計画を立てていれば予定に狂いが生じます。そのため「なるべく早く売りたい」という人が多いでしょう。
不動産をスムーズに売却するためには、売れない原因を把握し、具体的な解決方法を検討する必要があります。
とくにおすすめの解決方法は、不動産会社の変更です。現状の不動産会社では売れない不動産でも、他社なら適切な売却方法を提案できる可能性があります。
不動産会社にも得意・不得意があるため、複数の不動産会社を比較することが大切です。オンラインの一括査定を利用し、売却期間や細かい条件を聞いてみることをおすすめします。
不動産が売れない3つの原因
不動産が売れない根本的な原因は、次の3つが考えられます。
- 物件に欠点や欠陥がある
- 売却希望価格が高い
- 不動産会社に問題がある
売却したい物件が上記のうち1つでも当てはまっていれば、買主がつかず売れない状態になりやすいでしょう。
それぞれの詳しい問題点や、見極め方を解説します。
1.物件に欠点や欠陥がある
不動産が抱える欠点・欠陥は「瑕疵(かし)」と呼ばれ、4つの種類に分けられます。
物理的瑕疵 | 雨漏りやひび割れ、地盤沈下による家の傾きなど、物理的な瑕疵。 |
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法的瑕疵 | 再建築不可物件や計画道路指定による建築制限など、法律的な瑕疵。 |
心理的瑕疵 | 自殺や殺人、孤独死など、心理的な嫌悪感による瑕疵。 |
環境的瑕疵 | 近隣に嫌悪施設(火葬場や暴力団事務所など)があるといった、環境的な瑕疵。 |
上記のような瑕疵がある場合、物件の購入希望者は減ってしまい、長期間売れ残ってしまう可能性が高くなります。
価格を下げるなど、通常の不動産より条件をゆるくしなければ売却は難しいでしょう。
瑕疵物件の価格相場や売却方法については、下記の関連記事でも詳しく解説しています。

2.売却希望価格が高い
市場の相場価格からかけ離れた売却価格を設定していると、売主がつかなくなります。
しかし、相場価格は地域や立地、築年数や面積など、いくつもの条件に左右されます。
トレンドや経済動向など社会情勢も考える必要があるため、不動産の専門家でもなければ適正価格の判断は困難です。
一般の人でも不動産の適正価格を調べられる方法として、次の3つがあります。
- 複数の不動産会社に査定してもらう
- 近隣で売り出されている物件を調べる
- 過去の取引情報を見てみる
【適正価格の調べ方1】複数の不動産会社に査定してもらう
もっとも簡単な適正価格の調べ方は、複数の不動産会社に査定してもらい、査定額を比較することです。
不動産会社によって査定額は変わるため、それらの中間を取った金額であれば、売却したい物件の平均的な価格がわかります。
また、不動産会社には不自然な高値で査定し、媒介契約を結んだ後で値切ってくる悪質な業者もいますが、こうした業者も複数の不動産会社を比べることで判別しやすくなります。
複数の不動産会社に査定してもらうときは、オンラインの一括査定が便利です。1回の入力で複数の不動産会社にまとめて依頼できるので、効率的に比較できます。
下記のフォームから全国の不動産会社に査定を申し込めるので、ぜひ活用してください。
【適正価格の調べ方2】近隣で売り出されている物件を調べる
近隣で売り出されている不動産の売却希望価格を調べることで、その地域の相場価格をおおよそ把握できます。
不動産ポータルサイトで検索したり、近隣を実際に歩いて売却物件を探してみたりすれば、売却価格の相場がわかるでしょう。
ただし、不動産の売却希望価格は、値下げ交渉も考えて少し高めに設定しているケースがあるため注意が必要です。
どれくらい高めに設定しているかは物件によるので、近隣物件の売却希望価格はあくまで目安程度に考えましょう。
【適正価格の調べ方3】過去の取引情報を見てみる
過去に取引された物件の情報を調べることで、相場価格を調べられます。
過去の取引情報を調べられるWebサイトには、次の2つがあります。
国土交通省「土地総合情報システム 不動産取引価格情報検索」 | 国土交通省が調査した全国の不動産取引価格のデータ | >>Webサイトはこちら |
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全国指定流通機構連絡協議会「レインズマーケットインフォメーション」 | 全国4つのレインズ(国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構)が保有する売買取引のデータ | >>Webサイトはこちら |
これらのWebサイトを使えば、各地域の不動産取引で実際に売買が成立した価格を調べられます。
ただし、これらのデータも過去すべての取引を網羅しているわけではないので、参考程度に考えるようにしましょう。
3.不動産会社に問題がある
不動産の売却でもっとも重要なのは、不動産会社選びです。
優秀な不動産会社を選びさえすれば、物件に瑕疵があっても適切な対策を打てますし、売却希望価格も適正な金額を提案してもらえます。
また、不動産会社によって得意な不動産の種類・地域が異なるため、同じ物件でも不動産会社によって売却期間は変わります。
そのため、複数の不動産会社で査定した上で、具体的な売却プランや必要期間を確認することが大切です。
誰でも知っている大手だからよいというわけでもなく、地元密着型で中小規模の不動産会社の方が早く売れるケースもあるため、企業規模にとらわれずに判断しましょう。
悪徳業者の「囲い込み」に注意
「売り出してからしばらく経つのに購入希望者が現れない」という場合は、不動産会社によって囲い込みをされている恐れもあります。
囲い込みとは、不動産会社が両手仲介をおこなうために、他社からの問い合わせを断ってしまう行為です。
両手仲介によって利益を増やす目的で、他社からの問い合わせに対して「すでに買主が決まった」などと嘘をつく悪徳業者がいるので注意しましょう。
両手仲介や囲い込みの詳しい解説や対策は、下記の関連記事も参考にしてください。

不動産を売れやすくする方法10選
ここまで「不動産が売れない原因」について解説しましたが、実際にどんなことをすれば不動産を売れやすくできるのでしょうか?
物件ごとに抱えている事情は違うため、すべてのケースで必ず売却できる方法はありません。
しかし、個々の物件に合わせて適切な方法を取れば、売れ残っていた不動産でも売却は可能です。
下記にあげる10個の「不動産を売れやすくする方法」から、自分の物件に合った方法を検討してみましょう。
- 不動産会社を変える
- 広告方法の見直しを不動産会社に相談する
- 売却希望価格を下げる
- リフォームやリノベーションをおこなう
- 不動産に問題がないことを証明する
- 空き家バンクを利用する
- ホームステージングで物件のイメージアップをする
- 隣地所有者に売却交渉をおこなう
- 土地を分筆して売り出す
- 不動産が売れやすい時期までまつ
1.不動産会社を変える
最初に検討すべきなのが、売却を依頼する不動産会社の変更です。
先に述べたとおり、優秀な不動産会社であれば個々の物件に合わせて最適な売却方法を提案してくれます。
そういった提案もなく、売れないままの物件を放置しているような不動産会社は、なるべく早く変えた方がよいでしょう。
ただし、不動産会社からの提案を自分で却下している場合、売却条件の理想が高すぎる可能性もあります。
不動産会社を変える前に、自分の希望売却条件は厳しすぎないか冷静に考える時間も取りましょう。
仲介業者なら媒介契約の種類を見直す
依頼している不動産会社が仲介業者の場合、契約の種類を変えてみることも検討しましょう。
仲介業者と結ぶ契約を「媒介契約」といい、種類によって内容が異なります。
専属専任媒介契約 | ・1つの仲介業者と単独契約 ・売主が自分で買主を探すことはできない ・仲介業者には販売状況の報告義務などがある |
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専任媒介契約 | ・1つの仲介業者と単独契約 ・売主が自分で買主を探すことも可能 ・仲介業者には販売状況の報告義務などがある |
一般媒介契約 | ・複数の仲介業者と契約できる ・売主が自分で買主を探すことも可能 ・仲介業者には販売状況の報告義務などがない |
専属専任媒介契約や専任媒介契約は売主の制限も強くなりますが、単独契約なので仲介業者も販売活動に力が入ります。
一方、一般媒介契約だと制限はありませんが、仲介業者としては販売活動に力を入れる義務がないため、放置されて売れにくくなるケースがあります。
媒介契約の特徴やそれぞれのメリット・デメリットについては関連記事でも解説しているので、こちらを参考にして自分の状況に合わせた方法を選びましょう。

買取業者に相談すれば価格は低いが数日で売れる
不動産会社には、物件を直接買い取る買取業者もあります。自社で物件を買い取り、転売することで利益を得る業者です。
不動産会社が直接買い取るため代金の一括支払いが可能であり、早ければ数日で不動産を現金化できます。
ただし、転売して利益を得るという都合上、仲介業者より価格は下がる傾向にあります。下がり幅は物件によって変わりますが、半額程度になるケースもあるでしょう。
買取業者に向いているのは、多少安くてもすぐに現金化したい物件や、仲介では買主がつきにくい瑕疵物件です。
仲介業者では取り扱いを断られた物件でも、買取業者なら買い取れるというケースがあるため、状況に合わせて業者を使い分けましょう。

2.広告方法の見直しを不動産会社に相談する
買主がつかない原因として、物件の情報が広く知れ渡っていない可能性があります。その場合、不動産会社に相談して物件の広告方法を見直してもらいましょう。
物件の広告方法としては、下記の方法が代表的です。
- レインズへの登録
- チラシの新聞折り込みやポスティング
- 住宅情報誌や不動産ポータルサイトへの掲載
- 現地の看板や近隣への張り紙
まずは不動産会社に、現在どのような広告をおこなっているのか確認し、不十分だと感じれば追加の広告を依頼しましょう。
ただし、売主側から広告方法を指定した場合、経費は売主の追加負担となる場合もあります。
不動産会社と相談して追加負担がどれくらいになるか確かめつつ、いくらまでなら追加の費用を出せるのか検討しましょう。
3.売却希望価格を下げる
売却希望価格を下げれば、購入希望者が増える可能性があります。
ただし、価格を下げすぎると「なにか問題のある物件なのでは」と思われる恐れもあるため、注意が必要です。
値下げするタイミングや金額も市場の動向を見て判断する必要があるため、不動産会社と相談した上で値下げしましょう。
登録免許税を売主負担にするのも有効
登録免許税とは、不動産の名義変更を法務局に届け出るときに支払う税金です。
登録免許税は通常、売主と買主で折半するものです。地域によっては、買主が全額負担する慣習になっている場合もあります。
不動産売買における登録免許税は不動産価額の2%なので、3,000万円の物件なら税額は60万円です(軽減税率が適用される場合もあります)。
買主にとっては大きな出費となるため、これをすべて売主負担にすることで売れやすくなる可能性があります。
4.リフォームやリノベーションをおこなう
建物のリフォームやリノベーションをおこなうことで、需要が高くなることを期待できます。
とくに築古の物件は、内装や間取りが現代のニーズに合っていない場合もあるため、流行を押さえたリフォームやリノベーションで売れやすくなる可能性は高いでしょう。
また、壁の塗装や壁紙の張替えなど見た目を改善するだけでも、買主がつきやすくなります。
ただし、リフォームに費用をかけすぎて赤字になってしまっては意味がないため、費用対効果は事前にしっかりとシミュレーションしましょう。
リフォームやリノベーションに関しては、下記の関連記事でも詳しく解説しています。

5.不動産に問題がないことを証明する
不動産が売れない原因として「物件に瑕疵がある」というケースを紹介しましたが、売主負担で瑕疵がないことを証明すれば、買主も安心して購入できます。
次の2つは、不動産を売れやすくするためにもとくに有効な調査です。
住宅診断(ホームインスペクション) | 建物の劣化や損傷を確認する調査 |
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地質調査 | 土壌汚染や埋設物を確認する調査 |
ただし、これらの調査も数万~数百万円の費用がかかります。
また、上記の調査をおこなわなくても、不動産のこれまでの経歴(誰がどのように使用してきたか)を見れば、問題があるかどうか判断できる場合もあります。
そのため、不動会社に相談して調査の必要性や費用対効果をしっかりと検討しましょう。
6.空き家バンクを利用する
空き家バンクとは、使われていない空き家情報をまとめて、これから空き家を利用したいという人に紹介する制度です。
主に自治体が主導し、地域への移住促進や放置空き家の問題を解消するために運用されています。
地方の空き家では、通常の不動産売買より空き家バンクの方が早く買主を見つけられる可能性があります。
自治体によって具体的な取り組みは異なるため、近くの役所に直接問い合わせてみましょう。
7.ホームステージングで物件のイメージアップをする
ホームステージングとは、モデルルームのように部屋の内装や家具をコーディネートし、買主の購買意欲を高める方法です。
照明や小物を使って「上質な住空間」を演出すれば買主の印象がよくなり、成約に繋がりやすくなります。
ホームステージングで売却日数の平均が1/3になったというデータもあるため、不動産が売れないときはぜひ検討してみましょう。
参照:一般社団法人日本ホームステージング協会「ホームステージングとは」
8.隣地所有者に売却交渉をおこなう
なかなか売れない不動産でも、隣地所有者なら欲しいと思うかもしれません。
隣接地所有者としては、土地を購入すれば自分の土地価格が大きくなり、資産価値が上がるというメリットがあります。
また、駐車場や子供家族の住居用に欲しいと思う人もいるため、話をもちかけてみると前向きに考えてもらえる可能性があるでしょう。
9.土地を分筆して売り出す
売却予定の不動産が土地の場合、面積が広すぎて売れないケースもあります。
広大な土地を購入しても使いみちがなく、かえって購入希望者が減ってしまうのです。
そのため、土地の分筆(土地を切り分けて別々の名義にする手続き)をして、使いやすいサイズにしてから売却するという方法があります。
分筆をおこなうためには法律知識や測量技術が必要なので、下記の関連記事を参考にしつつ、司法書士や土地家屋調査士といった専門家に相談しましょう。

10.不動産が売れやすい時期までまつ
自分でなにか工夫をしなくても、時期をまつことで買主が見つかる可能性もあります。
不動産がもっとも売れやすい時期は、進学や就職など新生活を始める人が多い3~4月です。
また、8月~10月も転勤が多いことや、お盆に家族で家のことを話し合うケースが多いことから、不動産需要が高くなる傾向にあります。
ただし、買主が実際に物件を探す時期は上記より早いため、売り出すタイミングは需要が高くなる2~3ヶ月前がベストです。
3~4月や8月~10月の期間を過ぎても売れない場合、不動産会社の変更や値下げなど、この記事で紹介した対策を検討するとよいでしょう。

まとめ
不動産が売れないと、不安や焦りからストレスを感じる人もいるでしょう。
しかし、売れない原因をしっかりと把握し、適切な対応を取れば、どんな不動産でも売却は可能です。
不動産会社選びはとくに大切なので、長い間売れない状況が続くのであれば、依頼する不動産会社の変更も検討してみましょう。
優秀な不動産会社を選べば、物件に合わせた最適な売却方法を提案してもらえます。
不動売却についてよくある質問
不動産が売れない主な原因は「物件に欠点や欠陥がある」「売却希望価格が高い」「不動産会社に問題がある」の3つです。とくに重要なのは不動産会社で、優秀な不動産会社を選んでいればその他の原因があっても適切なアドバイスをもらえます。
物件ごとの事情や条件が異なるため、明確な売却期間はありません。一般的にいわれるのは3ヶ月ですが、売り出す時期などにも左右されます。
新生活を始める人が多い3~4月がもっとも売れやすく、その次に8月~10月が売れやすいといわれます。ただし、買主が実際に物件を探すのはそれより前なので、売り出す時期としては2~3ヶ月前がよいでしょう。
もっとも簡単かつ正確なのは、複数の不動産会社に査定を依頼して査定額を比較することです。オンラインの一括査定を使えば、1回の入力で複数の不動産会社に査定依頼を出せるので、ぜひ活用してみましょう。→ 2分でわかる無料一括査定はこちら
査定額だけでなく、販売プランが具体的であるかどうかや、担当者の人柄、対応の速さを見て選びましょう。大手より地元密着型の中小企業の方が早く売却できる場合もあるので、企業規模にとらわれずに判断することが大切です。