不動産売却の詐欺に注意!確認ポイントと対処法を紹介

不動産詐欺

大金が動く不動産売却の世界では、あの手この手で巧妙な詐欺を働こうとする悪徳業者が常にいます。

ここでは、不動産売却でよくある詐欺の例と、詐欺にあわないために注意できるポイントや対策についてご紹介します。

詐欺例その1:勝手に登記移転されてしまう

不動産登記
不動産業者、または不動産業者になりすました詐欺師が、売却代金の支払い前に勝手に物件の移転登記をしてしまい、物件を奪われてしまうというものです。これは、土地の売却の際によく使われる手口です。通称「地面師」と呼ばれる詐欺師が土地の所有者から書類をだまし取り、自分が所有者であるかのように装って移転登記し、売却してしまうのです。地面師という詐欺の手口は、大昔からあるものです。地面師が現れ始めたのは戦後間もない時期と言われており、戦後の混乱に乗じて土地の所有者になりすまし、書類も偽造することで大胆な詐欺を行っていたようです。

しかし、そんな古い手口がどうして最近になって騒がれているのでしょうか?近年は、ものを精巧に再現する技術が発達しているためと思われます。それらはすでに「偽造」の域を超えており、プロの目で見ても「ほぼ同じもの」と言わしめるほどの出来だということです。売却手続きに必要になるパスポートや印鑑証明書などの公的な書類も、プロでも見分けるのが難しいほど精巧に偽造できてしまいます。また印影が分かっていれば、3Dプリンターで実印を再現することもできてしまいます。このため、物件の本当の所有者が本人確認書類や印鑑証明書を売却代金の受け取り前に渡してしまわなくても、うっかり個人情報を伝えてしまったがためにそれをもとに地面師が書類を偽造して、勝手に取引されてしまった例もあります。

本人確認書類と印鑑証明書があれば、物件の移転登記は第三者でも行えてしまいます代金を受け取る段階になるまでは、何があってもこれらの書類を渡さないこと、また偽造のもとになる個人情報を漏らさないことを気をつけましょう。移転登記には実印も必要になりますから、「実印さえ守っていれば大丈夫なのでは?」と考えてしまうかもしれません。しかし相手は詐欺のプロです。あらかじめ作成しておいた偽の書類に捺印させようとしたり、巧妙に実印をかすめ取られてしまうことさえあります。書類や個人情報と一緒に、実印も守るようにしましょう。

この手口でだまし取られた物件はその後どうなるのかと言うと、詐欺によって取得された物件は知らない第三者に転売されることが多くなります。また、物件を担保にして金融機関から融資を受けた後に行方をくらましたりする手口もよく見られます。残念なことですが、第三者の手に渡ってしまった物件は取り戻すことが困難になります。詐欺に加担していたのでもない限り第三者に詐欺の責任はなく、それが後で分かったからと言って元の持ち主に返還するべきという法律もありません。取り戻したい場合は、それを買い取るしか方法がないかもしれません。


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詐欺例その2:手付金支払い後に音信不通になる「手付金詐欺」

不動産を売却してもらう側、購入者になる時にも注意したい詐欺があります。手付金詐欺です。不動産の売買契約の際には、まず申込金や頭金と呼ばれる手付金を支払い、残りの代金は物件の引き渡し時に支払います。手付金も支払ったし、あとは引き渡してもらうだけ・・・という段階になって業者と連絡が取れなくなるというのが、手付金詐欺の代表的な例です。異変に気付いた頃に購入予定の物件の登記を確認すると、すでに別の人の名義になっており、手付金も戻ってこないという結果になります。手付金詐欺は、詐欺と見破るのが非常に難しく、おかしいと思い始めた頃にはもう第三者の手に渡っているケースがほとんどです。

不動産売却で詐欺にあわないための対策例

詐欺対策

信頼できる不動産業者を選ぶ

取引しようとしているのが本当に信頼できる不動産業者かを見極めることが、詐欺に遭わないための最重要ポイントです。実際の店舗や事務所があるか、どれくらい営業しているか、初めて聞く名前の業者なら、本当に実在している会社かどうかなどを調べます。その業者に、宅地建物取引業の免許があるかどうかも確認するべきです。冒頭で紹介した地面師による詐欺の場合は、免許を持っていないことで売主が詐欺に気付き、被害を未然に防いだケースもあります。また、誰もが知っているような大手不動産業者の名前を出してくるとしても、勝手に名乗っているだけの場合もありますから安心できません。その人が本当にその会社に所属しているのかどうか不審な場合は、名刺に記載されている電話番号に電話をしたり、その社員が在籍しているかを問い合わせることもできるでしょう。自分自身が所在を知っていて、地元で長年不動産業を営んでいるような業者を選ぶことが、安心して取引できる不動産業者を選ぶ上での安全策かもしれません。

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移転登記は代金受け取り&契約時に!

どんな場合でも、移転登記は売買契約の締結が終わって代金を受け取ってからにしましょうこうすることで、移転登記を勝手にされて物件を持ち逃げされることは防げます。ですから売主自らがスケジュールを握り、移転登記は代金の受け取りと同時に行うという意思を曲げないことが重要です。代金の支払いや売買契約がまだなのに、移転登記だけを先に済ませなければならない正当な事情が発生することは、通常あり得ません。詐欺を働こうとする業者はもっともらしい理由を付けてなんとか登記してしまおうとするでしょうが、絶対に屈してはいけません。あまりにしつこいようなら、「お金をもらっていない内に商品を渡してしまうような真似はできません。そういう詐欺も多いと聞きますから」とはねつけてしまうのも良いでしょう。本当に詐欺を働こうと思っていた相手なら、ここで諦めるかもしれません。不動産売却は大金が動くとは言え、通常であれば他の売買行為と同じく、代金の受け渡しと商品提供(移転登記)のタイミングは同時になるはずです。この点でも、詐欺師の口車に乗せられないよう注意しましょう。

決済は現金が鉄則!小切手は使わない

不動産の取引をする際には、お金のやり取りは現金で行うのが普通です。代金を小切手で支払いたいと持ちかけられても、簡単に応じないようにしましょう。なぜなら小切手は、本当に換金できるか不確実なものだからです。小切手でお金を引き出すには、小切手を振り出した人の当座預金に小切手の額面以上の残高がなければならず、残高不足だと不渡り(換金できない状態)となってしまいます。小切手を渡されたその場で、それが本当に有効な小切手かどうかを見極めることは不可能です。確実な取引のためには、現金以外の支払い方法に応じないことも重要です。ちなみに小切手は小切手でも、預金小切手のひとつ「銀行振出小切手」であれば話は別です。この小切手は名前の通り、個人ではなく金融機関が振り出すものです。つまりお金を払い出すのも金融機関になるので、不渡りになることはまずあり得ません。小切手ではあるものの、現金とほぼ同等の信頼性を備えていると言えます。

レインズをしっかり確認しよう

詐欺というよりは法令違反になりますが、不動産売却の仲介を依頼した不動産業者が物件の囲い込みをしている場合は、取引をやめるべきでしょう。囲い込みの代表的な手口は、全国の不動産会社が利用するネットワークシステム「レインズ」に物件情報を登録せずに、自社でのみ買主を見つけようとするものです。レインズに登録すると、他の不動産業者に買主を見つけられてしまう可能性が出てきます。そうなると自社が受け取れる手数料が下がるので、あえて登録しないでおくという訳です。また自社で買主を見つけられれば、物件の売主と買主の双方から仲介手数料を受け取ることができ、不動産業者にとってはおいしい取引となります。
しかし、不動産業者と交わした媒介契約が「専任」または「専属専任」の場合、レインズへの登録は必須です。ですからこれらの契約を結んでおきながらレインズに登録しないのであれば、その業者は宅地建物取引業法に違反していることになります。

巧妙な例としては、レインズに登録することはするもののステータスを「商談中」にしておき、他の不動産業者に取られないようにしている場合もあります。囲い込みによって情報の公開範囲は確実に狭まるため、物件はなかなか売れなくなってしまいます。早く売りたい場合は大幅な値引きを強いられる場合もあるでしょう。ですから囲い込みは、売主に不利益しかもたらさないことです。初めて取引する不動産業者で信頼できるか不安な場合や、囲い込みのウワサがある場合には、他の不動産業者を使ってレインズに物件が登録されているか、正しいステータスで登録されているか、確認してもらうこともできます。

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決済時には司法書士に立ち会ってもらうのがベスト

司法書士
安心で確実な不動産売却のためには、売買契約や代金の受け渡しの際に司法書士に立ち会ってもらうことが理想です。契約や決済には、不動産や法律の素人には分かりづらい落とし穴が隠されていることもあります。また詐欺の多くも、決済時に起こります。法に精通している司法書士を同席させることで、取引の内容は安全か、利害関係は正しく調整されているかを知ることができ、詐欺を未然に防ぐことができます。また司法書士の立ち会いによって、売主にとっては売買代金を確実に受け取ることができ、買主にとっても担保権が抹消された安全な物件を手に入れることができるようになります。双方にとって、司法書士の立ち会いは大きなメリットがあるのです。司法書士が立ち会った場合は、次のような流れで契約や決済、移転登記までを完全サポートしてくれます。

司法書士に依頼した場合の手続きの流れ

1.登記識別情報の確認 

最初に、司法書士が取引対象の物件の登記識別情報を確認します。それにより、担保設定や差し押さえ、短期間の頻繁な転売などが行われている、トラブルが起きそうな物件でないかどうかを知ることができます。

2.当事者間の売買意思の確認

決済時には、司法書士が当事者の本人確認を実施します。あわせて、取引する物件の登記簿の写しを読み合わせて物件の詳細情報を確認し、双方の認識に間違いがないか、売買の意思は変わらないかを確認します。なお、投資物件の売買などでは当事者が不動産会社に委任して、決済日当日は同席しないこともあります。そう言った場合は、あらかじめ司法書士が当事者と面談して本人確認を行うなど、徹底した確認を行います。

3.登記関係の必要書類の確認

司法書士が、登記に必要な権利証や印鑑証明書、実印、住民票などを当事者から預かり、必要書類が揃っているか確認します。登記原因証明情報や委任状への署名捺印もここで行います。

4.決済

司法書士が、間違いなく安全な取引ができると判断した場合は、売買代金の決済が行われます。買主が住宅ローンを利用する場合は、書類の確認と署名捺印が済んだ後、司法書士が融資担当者に融資実行の指示をします。あわせて、固定資産税や都市計画税の精算、不動産業者への仲介手数料、登録免許税や司法書士への報酬支払いもこのタイミングで行います。

固定資産税の精算に関する豆知識
固定資産税については、毎年1月1日時点で所有している人に課税される税金です。ただ、不動産売買においては、年の中で売却することが多いため、1年間の中での所有日数に応じて固定資産税を按分して精算するのが一般的です。

注意点1:固定資産税の金額について
固定資産税は4月1日以降に請求書が届きます。そのため、4月以降に決済をする場合、その年の固定資産税額が確定しないまま、決済をすることになる場合があります。その際には、昨年の固定資産税額をベースに精算書を作成し、後日差額が発生した場合に再度精算するか、差額が発生しても精算を行わないとする条項を設けて当事者で合意するといった手法が取られます。

注意点2:固定資産税の支払い方法
固定資産税は一括払いと4分割払いが選択できます。その影響からか、4分割で支払っている人は、売却した日以降の分割払いの支払いを免れると勘違いするケースがあります。固定資産税は、3カ月でいくら、と言う概念ではなく、1月1日時点で所有している人に対して一括で課税される税金です。たとえ分割払いで支払っていたとしても同じことなので、決済後の分割分についてもきちんと支払う必要があります。なお、固定資産税の精算は、売買代金の精算時にその分をプラスして買主が売主に支払うのが一般的です。決済時の精算書をきちんと確認しないと、固定資産税が精算されていることに気がつかないため注意しましょう。

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5.物件の引き渡し

決済が確認できたら、速やかに引き渡しを行います。物件の鍵や建築確認済証(新築の場合)、その他物件に関係する書類を買主に渡したら、決済は終了です。

6.登記申請

決済が終了したら、司法書士はその日のうちに管轄の法務局へ出向き、所有権移転登記、抵当権設定登記などの申請を行います。これで、不動産売却に関する一連の手続きは終了です。これが大まかな流れです。なお、決済日当日は、司法書士が登記関係の書類をすべて確認した上で、買主に対して残代金の支払いのゴーサインを出します

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まとめ

ここまで厳格な確認が行われても、相手の手口が巧妙だと詐欺に遭ってしまう可能性があります。中には司法書士までグルというケースもあるためたちが悪いです。そのため、もしも決済後に騙されたと感じたら、迷わず弁護士に相談することをお勧めします。そもそも騙されているのか、それとも不動産会社の説明不足なのか、もしくは勘違いなのか、そのあたりは実際に弁護士に相談してみるまでわからないという可能性もあります。弁護士に相談するかどうかを迷っているうちに、事態が悪化する恐れもあるため、できる限り早めに相談しましょう。不動産売却でなにかお困りでしたら、弁護士等の士業と連携している不動産会社である当社クランピーリアルエステートにご相談ください


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