マンションの購入を検討している人のなかには、将来的にその物件を売却することを視野に入れている人もいるでしょう。この場合、「買った後に売れるのかどうかが不安」「そもそも売るつもりで買ってもよいのか」のように考えるかもしれません。
マンションを売るつもりで買うことには、さまざまなメリットがあります。また、慎重に物件を選ぶことで、将来売却する際に比較的高値で売れるマンションを探すことも可能です。
当記事では、マンションを売るつもりで買うことのメリットや注意点、物件の選び方を解説していきます。売るつもりでマンションを買うことを検討している場合は参考にしてみてください。
マンションを売るつもりで買う3つのメリット
将来的に売却を視野に入れたうえでマンションを買う場合には、下記のようなメリットがあります。
- 生活や環境の変化に対応できる
- 経年劣化のリスクを回避できる
- 築浅であれば高く売れやすい
売るつもりでマンションを買う場合、それぞれのメリットを把握したうえで物件を探すとよいでしょう。
生活や環境の変化に対応できる
長期間住むことを想定してマンションを購入する場合、ライフステージの変化によって物件を売却し、ほかの場所へ引越しが必要なケースもあります。ライフステージの変化の具体例には、転勤や転職、子どもの成長などが挙げられます。
売るつもりで購入したマンションであれば、ライフステージが変化してもスムーズな住み替えが可能です。生活や環境の変化に対応できる点は、売るつもりでマンションを買うことのメリットといえます。
経年劣化のリスクを回避できる
マンションのような建物は、築年数が経過するごとに経年劣化していき、資産価値が下落するのが一般的です。そして、経年劣化により老朽化が進めば、定期的な修復やメンテナンスなどの費用がかかります。
売るつもりでマンションを購入すれば、経年劣化による老朽化が進む前に物件の売却が可能です。そのため、マンションを早期で売却できれば、資産価値の下落を抑えたうえで、修復やメンテナンスにかかる費用を抑えられます。
マンションを売るつもりで買う場合、なるべく早期で売却することも視野に入れておくとよいでしょう。
築浅であれば高く売れやすい
マンションの資産価値は築年数に応じて変動します。築年数が浅ければ浅いほど、マンションの資産価値は保てる仕組みです。
売るつもりでマンションを購入すれば、築年数が浅いうちに物件の売却も可能です。この場合は資産価値も保てるため、比較的高値での売却にも期待できます。
マンションの築年数に応じた資産価値に関しては、「マンションにおける資産価値の下落率」の見出しで詳しく解説するため参考にしてみてください。
マンションを売るつもりで買う際の注意点
マンションを売るつもりで買うことには、メリット以外にも下記のような注意点があります。
- ローンが残っていると売れない
- 税額には気を付ける
- 売る際は買主が納得する理由を伝える
- スケジュールには余裕をもつ
マンションを売るつもりで買う場合、これらの注意点を踏まえて物件購入を検討してみてください。
ローンが残っていると売れない
マンションを購入する場合、住宅ローンを利用するのが一般的です。この場合、借入先となる金融機関から購入したマンションに抵当権がつきます。
抵当権とは、住宅ローンの利用で購入した不動産を担保にとれる権利のことで、借入先となる金融機関に付与されます。
抵当権がついているマンションを売却するには、事前に抵当権を抹消してもらうのが一般的です。抵当権を抹消する場合、ローン残債の返済が必要になるケースが多いため、住宅ローンの残債があると基本的には売却ができません。
なお、マンションの売却金額でローン残債を返済できる場合は、抵当権がついている物件でも売却できるのが一般的です。また、売却金額と自己資金で返済できる場合も同様です。
住宅ローンを利用してマンションを売るつもりで買う場合、ローン残債を売却金額で返済できるかどうかを把握しておくとよいでしょう。
抵当権がついている物件を売る方法については「住宅ローン残債がある訳あり物件でも売却できる方法」の記事で詳しく解説しているため参考にしてみてください。
税額には気を付ける
マンションを売却する場合、さまざまな税金がかかります。
税金 | 発生する場合 | 金額の目安 |
---|---|---|
譲渡所得税 | 売却によって利益が出た場合 | ー(売却金額や所有年数などさまざまな要因で変わるため) |
印紙税 | 必ず発生する | 売買契約書1通につき数万円 |
登録免許税 | 必ず発生する | マンションの価格の0.4% |
マンションを売却する際には、印紙税と登録免許税を納めなければなりません。
また、売却によって利益が出た場合には譲渡所得税の支払いも必要です。譲渡所得税は売却による利益(譲渡所得)や家の所有期間によって変動します。
5年以下(短期譲渡所得) | 39.63% |
---|---|
5年超(長期譲渡所得) | 20.32% |
10年超(10年超え所有軽減税率適用) | 14.21% |
参照元:国税庁「短期譲渡所得の税額の計算」「長期譲渡所得の税額の計算」「マイホームを売ったときの軽減税率の特例」
所有期間が5年以下の場合、譲渡所得税を算出する割合が最も高くなります。そのため、購入から5年以内にマンションを売却すると、譲渡所得税が高額になることも考えられるのです。
マンションを売るつもりで買う場合、売却時期にはどの程度の税金がかかるのかを不動産会社の担当者などに聞いておくとよいでしょう。
売る際は買主が納得する理由を伝える
購入から売却までの期間が短い物件の場合、騒音や隣人などのトラブルが原因であったことを疑われる可能性があります。「何か問題がある物件なのか?」と疑われてしまうと、買い手が購入を踏みとどまってしまうことも考えられます。
マンションの売却時には、買い手が納得するような売却理由を伝えるとよいでしょう。自分で理由を伝えるのが難しい場合、仲介をしてもらう不動産会社に伝えてもらうことも手です。
スケジュールには余裕をもつ
マンション売却にはスケジュールに余裕を持って売却活動を行なうのが大切です。早期で売却しようとすると、希望金額よりも安値で購入されてしまうリスクがあります。
一般的に、マンションを売却できるまでには3か月〜4か月ほどの期間がかかります。
立地などの物件条件によってはさらに期間がかかる可能性もあるため、マンション売却の際には、どの程度の期間がかかるのかを不動産会社に相談しつつスケジュールを立てるとよいでしょう。
売るつもりで買うマンションの選び方
売るつもりでマンションを買う場合、今後も売れやすい物件を選ぶことが大切です。資産価値が下がりにくい物件を見つけるためにも、売るつもりで買うマンションを探す際は、下記の選び方を把握しておくとよいでしょう。
- 築年数が浅い
- 耐用年数が長い
- 立地条件や生活利便性が良い
- 今後需要が高まるエリアにある
築年数が浅い
マンションのような不動産は、築年数がかさむにつれて資産価値が下落していくのが一般的です。そのため、築年数が浅いマンションであれば資産価値がある程度保たれており、将来的にも需要があることが期待されます。
不動産流通機構が運営しているREINSが公表する「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2022年)」をみると、2022年の中古マンションの成約率は築年数が6年〜15年までであれば比較的高いことがわかります。
そのため、売却時には築年数が15年までになるように、購入するマンションを決めたり売却のスケジュールを立てたりするのも1つの手といえます。
なお、築年数に応じたマンションの資産価値については、「築浅のうちに売る」の見出しで詳しく解説するため、こちらも参考にしてみてください。
耐用年数が長い
マンションのような不動産は、耐用年数が長ければ長いほど資産価値が高くなります。そのため、耐用年数が長いマンションを購入すれば、将来的にも比較的高い価格での売却を期待できます。
なお、マンションの構造ごとの耐用年数は下記のように定められています。
構造 | 耐用年数 |
---|---|
木造 | 22年 |
鉄骨鉄筋コンクリート造 | 47年 |
軽鉄骨構プレハブ造(骨格材肉厚3mm以下) | 19年 |
軽鉄骨プレハブ構造(骨格材肉厚3mm超〜4mm以下) | 27年 |
重鉄鋼構造(骨格材肉厚4mm超) | 34年 |
参照:国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表」
耐用年数が長い構造のマンションであれば、耐久性も高く、資産価値も高まります。安全面にも期待ができ需要高い物件ともいえるため、売るつもりでマンションを買う際には、耐用年数が長い物件を選ぶのもよいでしょう。
立地条件や生活利便性が良い
立地の条件や生活の利便性がよいマンションは需要があり、買い手がつきやすい傾向があります。その具体例には下記のようなマンションが挙げられます。
- 駅から近い
- 最寄駅が都心にアクセスしやすい
- スーパーや学校、病院といった施設が徒歩圏内にある
- 治安がよい
- 災害のリスクが少ない
交通アクセスがよい物件や生活で利用する施設が近くにある物件は需要が高く、築年数がある程度古くても売れやすい傾向があります。
また、災害時の安全性もマンションの資産価値を決定する要因の1つです。地盤沈下や土砂崩れなどのリスクが少ないマンションであれば、安全性の観点から資産価値が高まる傾向があります。
売るつもりでマンションを買う場合、立地条件や生活の利便性がよい物件を探してみるとよいでしょう。
今後需要が高まるエリアにある
需要が高いエリアにあるマンションであれば、将来的にも高値での売却が期待できます。また、再開発が予定されている地域など、今後需要が高まるエリアにある物件も同様です。
このようなマンションであれば、現在は需要が低くても、将来的に需要が高まることも考えられます。その場合、現時点では安い価格で購入可能で、将来売却する際には高値でマンションを売れることも期待できるのです。
今後需要が高まる可能性があるエリアの例には、下記が挙げられます。
- 大型のショッピングモールが建設される予定がある
- 新しい駅が建設される予定がある
ただし、購入したマンションの近くに高層ビルが建設された場合、日当たりなどの問題からその物件の需要が低くなるリスクもあります。
売るつもりでマンションを買う場合、周辺地域の建設予定を調べたうえで、需要が高まりそうなエリアの物件を探してみるとよいでしょう。
売るつもりで買ったマンションを高く売るには
マンションを高く売るには、いくつかのコツがあります。その例には下記が挙げられます。
- 築浅のうちに売る
- 複数の不動産会社に査定してもらう
- 売却の相場を把握しておく
- 1~3月に売却する
コツを1つでも多く実践することで、売るつもりで買ったマンションをさらに高値で売却できることも考えられます。売るつもりでマンションを購入する場合、これらのコツを実践したうえで物件を売却してみてください。
築浅のうちに売る
マンションを高く売るためのコツには、物件が築浅のうちに売却することが挙げられます。
マンションの売却価格は、物件の資産価値で変動します。資産価値はさまざまな要因で決定されますが、その1つには物件の築年数が挙げられます。
築年数が浅ければ浅いほど資産価値は高まり、マンションの売却価格が高まることが期待できるのです。
そのため、マンションを売るつもりで買う場合、築年数が浅い物件を選び、築古物件になる前に売却することが重要です。
ただし、所有期間が5年以下のマンションを売却する場合は短期譲渡所得となり、所有期間が6年以降の場合よりも譲渡所得税が高額になります。
具体的には、所有期間が5年以下の短期譲渡所得であれば39.63%、5年超の長期譲渡所得の場合は20.32%の税率で譲渡所得税がかかる仕組みです。
納める税金が高額になるのを避けるため、マンションを売却する場合は所有年数が5年を超えてからにするとよいでしょう。
複数の不動産会社に査定してもらう
マンションを高く売るためには、複数の不動産会社に査定を依頼してもらうことが重要です。1社のみに依頼すると、所有しているマンションの売却価格の相場を判断できず、安値で売ってしまうことも考えられるためです。
不動産会社の査定額は業者によって異なります。そのため、複数の不動産会社に査定を依頼すれば、最も高い査定額を提示してもらえた業者を探すことも可能です。
そのような不動産会社に仲介を依頼すれば、ほかの業者よりもマンションを高値で売却できると考えられます。
複数の業者に査定を依頼する場合、所要時間2分かつ0円で一括査定ができる「不動産売却査定」を試してみてください。
売却の相場を把握しておく
マンションを売却する場合、所有している物件の売却価格の相場を事前に把握しておくことが大切です。相場を知らずに売却活動を行なうと、安値でマンションを売ってしまう可能性があります。
また、悪質な業者に依頼することを防げる点も、売却価格の相場を知っておくことのメリットです。不動産会社のなかには、自社の利益を優先してマンションの売却価格を相場よりも下げて、買い手を募る悪質な業者も存在します。
そのような悪質な業者は、マンションの査定額を相場よりも低く提示することが予測されます。事前に相場を把握しておくことで、査定額が相場よりも低い業者であると判断ができるのです。
購入したマンションを売却する際には、不動産・住宅サイトであるSUUMOの「全国のマンション売却価格相場」のようなサイトを活用して、物件の売却相場を調べるとよいでしょう。
1~3月に売却する
マンションの売買件数は、季節によっても変動する傾向があります。
REINSが公表する「月例速報Market Watch(2021年12月度)」をみると、中古マンションの成約件数は1月〜3月が1年で最も多いことがわかります。
これは、4月からの就職や進学、転勤などのライフステージの変化に合わせて引っ越しする人が多いためだと考えることも可能です。
マンション購入の需要が高いタイミングであれば、早期かつ高値での売却を期待できます。マンションを売る場合、1月〜3月までに売却ができるように売却活動を始めるとよいでしょう。
なお、購入したばかりのマンションをすぐに売る方法については、「新築マンションをすぐに売却する方法!築年数ごとの売却価格も解説」の記事で詳しく解説しています。新築マンションを購入してすぐに売る予定がある場合は参考にしてみてください。
マンションを売る流れ
マンションを売却するまでは、大まかに下記のような流れとなります。
- 不動産会社にマンションを査定してもらう
- 不動産会社と媒介契約を締結する
- 買主を探す
- 買主と売買契約を締結する
- 税金を納める
まずはマンションの査定を行ってもらい、不動産会社と媒介契約を締結させる必要があります。その後は買い手を探してもらい、買い手が見つかれば売買契約を締結し、発生した税金を納める流れです。
なお、マンションを売却するまでの流れについては、「【マンション売却の流れは5ステップ】基礎知識を徹底解説!」でも解説しています。大まかな流れではなく、それぞれの詳細まで確認したい場合は参考にしてみてください。
不動産会社にマンションを査定してもらう
マンションを売る場合、まずは不動産会社に査定をしてもらう必要があります。査定を依頼する不動産会社は1社ではなく複数社にすることで、査定額を比較できるうえに最も高い金額を提示してもらえた業者を探せます。
複数の不動産会社に査定を依頼する場合、所要時間2分かつ0円で一括査定ができる「不動産売却査定」を試してみるとよいでしょう。
なお、依頼する不動産会社を探す際は、査定額だけではなく業者の実績も調べておくことも大切です。実績を確認しておくことで、その不動産会社が「中古マンションの売買が得意なのか」「どのエリアを得意としているのか」といった点を把握できます。
これらの点は不動産会社によって異なり、マンション売買の得意不得意や物件があるエリアによって、マンションの売買金額が変わることもあります。
一括査定で不動産会社を絞り込んだ後は、自分の所有する物件があるエリアと中古マンションの売買の実績があるかどうかをその業者の公式サイトから確認しておくとよいでしょう。
不動産会社と媒介契約を締結する
依頼する不動産会社を決めた後は、その業者と媒介契約を締結する必要があります。
媒介契約とは、不動産業者に物件売買の仲介を依頼するための契約のことです。不動産売買における媒介契約には3種類があります。
種類 | 内容 |
---|---|
一般媒介契約 | 複数の不動産会社に仲介を依頼できる |
専任媒介契約 | 不動産会社1社に仲介を依頼するが、自分で買い手を探して物件売却も可能 |
専属専任媒介契約 | 不動産会社1社のみに仲介を依頼する契約。不動産会社が見つける買い手にのみ物件を売却できない |
媒介契約の種類はマンションの売り手が決められます。それぞれ内容が異なるため、自分の希望にあった種類で媒介契約を締結することが重要です。
なお、媒介契約のメリットやデメリットなどについては、「媒介契約は3種類どれがいい?メリット・デメリットや契約内容の違いを解説」の記事で詳しく解説しています。自分に合った契約種類を見つけたい場合には、参考にしてみてください。
買主を探す
不動産会社と媒介契約を締結した後は、マンションの買い手を探すための売却活動が行なわれます。依頼した不動産会社が主に売却活動を行ないますが、マンションの売り手にも対応するべきこともあります。
- 内覧希望者の対応
- 室内清掃や破損設備の修繕といった物件整備
マンションの買い手を募る際、物件の売り手は内覧希望者の対応が求められます。内覧の際に悪い印象を与えてしまうと、売り手が購入に至らないことも考えられるため、適切な身づくろいをしたうえで内覧に対応するようにしてみてください。
また、マンションの状態が悪い場合も買い手がつきづらい原因となります。マンションを売却する場合、事前にハウスクリーニングや設備の修繕などを行なっておき、よい印象をもってもらえるように物件の状態を保っておくとよいでしょう。
買主と売買契約を締結する
買い手が見つかった後は、その人とマンションの売買契約を締結させる手続きが必要です。この際には、仲介に入ってもらっている不動産会社の担当者によって、重要事項説明書の内容の説明をしてもらいます。
重要事項説明書とは、売買するマンションや取引条件にかかわる事項が記載されている書類のことです。重要事項説明書で定められる内容の例には、下記が挙げられます。
内容 | 具体例 |
---|---|
取引物件に関する事項 | 売買するマンションに関する内容 ・登記記録に記録された事項 ・法令に基づく制限の概要 ・飲用水・電気・ガスの供給施設および排水施設の整備状況に関する事項 など |
取引条件に関する事項 | マンションの売買取引に関する内容 ・代金、交換差金および借賃以外に授受される金銭に関する事項 ・手付金などの保全措置の概要 ・瑕疵担保責任の履行に関する措置の概要 など |
その他の事項 | ・国土交通省令・内閣府令で定められた事項 ・割賦販売に係る事項 ・引渡し猶予 など |
重要事項説明書は基本的に不動産会社が作成してくれますが、手付金や引渡しなどの事項のように、なかにはマンションの売り手が決定する内容もあります。
また、重要事項説明書の内容を把握していないと、契約違反となり得る行動をとってしまうリスクもあるため、書類に不明点があれば契約が締結する前に担当者へ質問しておくようにしましょう。
税金を納める
マンションを売却すると、基本的には下記のような税金を納めなければなりません。
- 譲渡所得税
- 登録免許税
- 印紙税
たとえば、譲渡所得税はマンション売却によって利益が出た場合に納めなければならない税金です。売却金額からマンションの取得でかかった費用や売却にかかった費用を差し引くことで算出できます。
マンション売却にかかる税金については、税理士や最寄りの税務署に相談することで調べることが可能です。売るつもりでマンションを購入する場合、売却時にはどの程度の税金がかかるのかも調べておくとよいでしょう。
なお、マンションを売却する際の税金については、「マンション・アパート売却時の税金はいくら?計算方法や節税に使える特例も解説」の記事で詳しく解説しているため参考にしてみてください。
マンションにおける資産価値の下落率
マンションの資産価値は、物件の築年数に応じて変動します。築古の物件であれば資産価値は比較的低くなり、新築に近い物件であれば資産価値が高いのが一般的です。
つまり、築年数がかさむにつれて資産価値も下落し、マンションの売却価格は低くなるといえます。
不動産流通機構が運営しているコンピュータネットワークシステムの「REINS」では、首都圏にある中古マンションの築年数に応じた成約価格や件数が公表されています。
築年数 | 成約件数 | 成約価格 |
---|---|---|
5年まで | 693件 | 6,704万円 |
10年まで | 1,306件 | 6,304万円 |
15年まで | 1,048件 | 5,765万円 |
20年まで | 1,267件 | 5,318万円 |
25年まで | 1,055件 | 4,648万円 |
30年まで | 757件 | 3,374万円 |
30年超 | 2,922件 | 2,318万円 |
参照:REINS「首都圏中古マンション・中古戸建住宅 地域別・築年帯別成約状況【2023年1~3月】」
REINSのデータからもわかるように、マンションの築年数が上がるほど成約金額は低くなります。
ここからは築年数ごとのマンションの資産価値について解説していきます。購入するマンションを売却する際に、その物件にどの程度の資産価値があるのかの目安として参考にしてみてください。
新築~築5年
新築から築5年のマンションは、比較的高い金額で売れる傾向があります。実際に、REINSが公表する「首都圏中古マンション・中古戸建住宅 地域別・築年帯別成約状況【2023年1~3月】」をみると、築年数が5年までであれば成約金額が6,704万円と、最も高い金額であるとわかります。
そのため、資産価値が最も高いタイミングは新築から築5年であるといえます。
一方、新築から築5年のマンションは、成約数が最も低いのも特徴です。これは市場に新築から築5年の物件が比較的に少ないことも考えられますが、ほかの築年数の物件よりも購入金額が高いことが原因であるとも推測されます。
なお、所有年数が5年以内のマンションを売る場合、所有年数が6年以降の場合よりも譲渡所得税が高額になります。
買い手がつかない可能性がある点や税金が高額になる点から、新築から築5年は売るのに適したタイミングとはいえません。買うつもりでマンションを購入する場合、特別な事情がなければ築年数が5年を超えたタイミングで売却を検討するとよいでしょう。
築10年前後
築10年前後のマンションは、新築から築5年の物件よりも資産価値が下落しますが、比較的高額で買い手がつきやすい傾向があります。
実際に、REINSが公表する「首都圏中古マンション・中古戸建住宅 地域別・築年帯別成約状況【2023年1~3月】」をみると、築10年までの物件は成約率が1,306件で、成約金額が6,304万円であることがわかります。
成約金額を見れば新築から築5年の物件よりも約400万円下がっていますが、成約率は2倍近く増えています。
築年数がかさむほど資産価値は下落することを踏まえると、築10年前後で売却することは、最も高い金額かつ売り手が見つかりやすいタイミングといえるでしょう。
なお、マンションの場合は築12年から15年ほどで大規模修繕が必要になる傾向があります。築10年前後で売却すれば、大規模修繕にかかる費用を抑えられる可能性があるため、費用を抑えやすい点も築10年前後のマンションの特徴といえます。
売るつもりでマンションを買う場合、可能であれば築10年前後のタイミングで売却を検討してみるのもよいでしょう。
築20年前後
築20年前後のマンションは資産価値が比較的下がりづらくなり、売却金額もなだらかに下降していく傾向があります。
実際にREINSが公表する「首都圏中古マンション・中古戸建住宅 地域別・築年帯別成約状況【2023年1~3月】」をみると、築10年から15年にかけては成約金額が600万円近い金額で下落していますが、築15年から20年の場合は400万円程度と下がり幅が小さくなっています。
一方、築20年の成約率は1,267件と築15年よりも多いこともわかります。つまり、築20年のマンションは「比較的資産価値を保ちつつ、買い手がつきやすい物件」ともいえるでしょう。
ただし、築20年前後のマンションの場合、経年劣化による老朽化がみられることも考えられ、物件の状態によっては買い手がつかないことも考えられます。
売るつもりでマンションを買う場合、物件が築20年前後のタイミングで修復やメンテナンスを行ない、物件をよい状態で保つようにするとよいでしょう。
築30年以降
前述したように、中古マンションの資産価値の下落率は、築20年を超えたあたりで横ばいになるのが一般的です。そのため、築30年以降のマンションも資産価値をある程度保てるといえます。
REINSが公表する「首都圏中古マンション・中古戸建住宅 地域別・築年帯別成約状況【2023年1~3月】」をみると、築30年以降の成約金額は2,318万円とわかります。
築30年以降すべての中古マンションが含まれた成約金額であるため、物件によってはさらに高い金額で売却できることも考えられます。
また、築30年超の成約率は2,922件と、ほかの築年数と比べて最も高いこともわかります。つまり、築30年超のマンションは「物件によっては比較的高値での売却が期待できるうえに需要高い物件」であるともいえるでしょう。
ただし、築30年超のマンションの場合は、老朽化によって設備や部屋などが古くなることが予測され、高額で売却するにはリフォームやリノベーションが必要になる可能性があります。
築30年超でマンションを売却する可能性がある場合は、大規模修繕を行うことを視野に入れつつ、それらにかかる費用を把握しておくことが重要です。
まとめ
売るつもりでマンションを買うことには、ライフステージが変化してもスムーズに住み替えられる点や、築浅物件であれば高値での売却を期待できる点などのメリットがあります。
また、購入するマンションの選び方や売却活動の進め方によっては、高値での物件売却を期待することも可能です。
ただし、ローン残債や発生する税金など、マンションを売るつもりで買う際には注意点もいくつかあります。マンションを売るつもりで買う場合、メリットだけでなく注意点も把握したうえで、購入する物件を探すとよいでしょう。