住宅ローンは2回使える?住宅ローンの概要と適用条件について

住宅ローン

マイホームの購入は、人生において最も高い買い物と言っても過言ではないでしょう。マイホームを住宅ローンで購入すると、一定の条件を満たすことで「住宅ローン控除」を受けることができます

そこで今回は、住宅ローン控除の概要や適用要件などについて詳しく解説します。

住宅ローン控除ってどんな制度?

住宅ローン
住宅ローンを組んでマイホームを購入、新築、増改築した場合、各年末の住宅ローン残高の1%相当額を所得税から控除できるのが「住宅ローン控除」という制度で、マイホームを取得した人の金利負担を軽減することが目的です。所得税が控除されるため、会社員で源泉徴収されている場合については、住宅ローン控除によって、所得税の還付を受けることができます。

控除される金額の具体例と概要

新築のマイホームを購入し、年末の住宅ローン残高が3,000万円だった場合、その1%である30万円が所得税から控除されます。また、所得税から控除しきれない分については、住民税からも控除されます。

住宅ローン控除制度の概要
適用期間:2014年4月〜2021年12月
最大控除額:400万円(年間40万円を10年間)
控除期間:10年
住民税の控除上限:13.65万円/年(前年課税所得×7%)
※長期優良住宅、低炭素住宅の場合はそれぞれ500万円

住宅ローン控除を適用するためには、以下の適用条件に該当する必要があります。

・新築または取得から6カ月以内に自己の居住とし、12月31日まで住んでいる
・住宅ローン控除を受ける年の所得が3,000万円以下
・新築または取得した住宅の登記床面積が50㎡以上で、かつ床面積の半分以上を自らの居住用としている
・返済期間10年以上の住宅ローンを組んでいる
・居住した年とその前後2年の5年間において、居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の特例などを受けていない

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ワンポイント豆知識:長期優良住宅・低炭素住宅とは?

上記のとおり、長期優良住宅や低炭素住宅については、住宅ローン控除の控除限度額が一般住宅よりも高く設定されています。では、長期優良住宅と低炭素住宅とは具体的にどのような住宅を指しているのでしょうか。

長期優良住宅

長期にわたって良好な状態で住み続けることができると認定された住宅を「長期優良住宅」といい、住宅ローン控除以外でもさまざまな優遇が受けられます。具体的には、耐震性・耐久性・省エネなど各要件をクリアした物件で、耐震基準適合証明書または、耐震等約1以上と認められた既存住宅性能評価書、あるいは既存住宅売買瑕疵保険への加入が必要です。

低炭素住宅

低炭素化に対する取り組みがされている住宅のことで、エネルギー消費を削減し、地球温暖化対策としても期待されています。例えば、太陽光発電パネルや天井断熱、外壁断熱、床断熱などが低炭素住宅のイメージです。認定基準としては、節水対策、エネルギーマネジメント、ヒートアイランド対策、低炭素対策などをもとに審査されます。

長期優良住宅はもっと優遇される

長期優良住宅
長期優良住宅であれば、住宅ローン控除以外にも、以下のような制度も適用されるため、非常にメリットが大きいといえます。

不動産取得税の優遇

不動産を取得した場合については、取得した人に対して不動産取得税が課税されます。

不動産取得税の計算方法は以下の通りです。

土地・建物の税額 = 固定資産税評価額 × 4%(標準税率※・本則)
※現在は特例により土地と建物(住宅)については3%、住宅以外の建物については4%(2021年3月31日まで)

ここでポイントになるのが、固定資産税評価額の控除額です。一般住宅の場合、固定資産税評価額から1,200万円が控除され、その残額に対して3%が不動産取得税として課税されます。長期優良住宅の場合、この控除額が1,200万円から1,300万円に増額されるため、より不動産取得税を節税することができるのです。

登録免許税の優遇

不動産を取得した際には、所有権保存登記などを行うのが一般的で、この際に課税される税金が登録免許税です。不動産登記を司法書士に依頼した場合は、司法書士費用と一緒に精算するため、あまり税金を課税されているという認識がない人も多いのですが、実際は登記申請の際に納税をしています。一般住宅の場合は、不動産の価格に対して0.15%の税率で計算されますが、長期優良住宅の場合は、0.1%に優遇されます。

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住宅ローン控除を適用する際の2つのポイント

このように、住宅ローン控除を適用すれば、人によっては高額な還付を受けられたり、大幅な節税対策になるため、マイホームを購入する際には制度の仕組みをよく理解した上で判断することがとても重要です。

そこでここでは、住宅ローン控除を利用するにあたって、あらかじめ注意すべきポイントについて解説します。

ポイント1:戻ってくる税金があるか

住宅ローン控除は所得税の控除制度であるため、そもそも控除されるだけの所得税や住民税がなければ、いくら住宅ローン控除を適用したところで、その効果は発揮できません。例えば、住宅ローンの年末残高が3,000万円だった場合、控除される金額は30万円です。ところが、所得税と住民税の一部で30万円に満たなければ、その金額までしか住宅ローン控除の効果は及びません。特に住民税については、年間で控除できる上限金額が136,500円と低いため、自分自身の年収と照らし合わせて、実際に住宅ローン控除を適用した場合に、いくらまで控除されて戻ってくるのか計算してみることをおすすめします。

ポイント2:繰り上げ返済の判断について

住宅ローン控除は、住宅ローンの年末残高の1%が控除額となるため、繰り上げ返済を検討する際には、繰り上げ返済した場合と、繰り上げ返済をせずに住宅ローン控除額を大きく確保した場合と、どちらの方がキャッシュフロー上有利なのかを確認することが重要です。一般住宅の場合、住宅ローン控除の年間控除額上限は40万円のため、それ以上の金額の住宅ローンを組んでいる場合、4,000万円前後までは繰り上げ返済しても影響はありません。ただし、それ以上については、住宅ローン金利との兼ね合いが重要になってきます。最近の住宅ローン金利は、変動金利であれば1%を下回っているため、低い金利で住宅ローンを組んでいる場合は、繰り上げ返済を住宅ローン控除が終わる11年目以降に先延ばししたほうが得をする可能性が高いでしょう。

購入以外で住宅ローン控除が使えるケースとは?

住宅ローン控除は、マイホームを購入する場合はもちろんのこと、以下のようなケースにおいても適用することが可能です。

・自宅の増改築や建築基準法上で規定されている大規模修繕または模様替えなどの工事
・マンションの専有部分の床や階段、壁の過半に対して行う一定以上の工事
・自宅の居室、キッチン、バスルーム、トイレ、洗面所、納戸、玄関または廊下の一室の床又は壁の全部について行う修繕や模様替えの工事
・現在の耐震基準に適合させるために行う耐震改修工事
・バリアフリーのために行う一定の改修工事
・省エネのために行う一定の改修工事

また、住宅ローン控除は新築ではなく中古住宅を購入した場合でも適用できます。

住宅ローン控除の申請方法について

住宅ローン控除申請
住宅ローン控除は、条件にあてはまれば当然適用されるのではなく、自ら手続きをしなければなりません。ここでは、住宅ローン控除の申請方法について解説します。住宅ローン控除を受けるためには、取得した物件に入居した年の翌年に「確定申告」をする必要があり、主に以下のような添付書類を一緒に提出しなければなりません。

住宅ローン控除に必要となる書類について

住民票の写し

取得した物件の住所地の住民票が必要です。

残高証明書

毎年、年末頃に金融機関から住宅ローンの残高証明書が郵送されてきます。

登記事項証明書

最寄りの法務局で取得できます。

売買契約書または請負契約書など

売主や業者と交わした契約書が必要です。

源泉徴収票

勤務先から発行される源泉徴収票が必要です。

中古物件の場合、以下のいずれかが必要
耐震基準適合証明書、既存住宅性能評価書、既存住宅売買瑕疵保険の付保証明書

会社員など給与所得者の場合は、初年度に確定申告をすれば、残りの9年間については確定申告が不要で、年末に勤務先に住宅ローンの残高証明書を提出することで、「年末調整」によって控除を受けることができます。

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転勤で一時的に住まなくなったらどうなる?

住宅ローン控除は、自ら居住することで適用を受けることができます。ところが、仕事の都合で転勤を言い渡された場合は、一時的に住むことができなくなることもあるでしょう。では、そのような場合、住宅ローン控除は適用できるのでしょうか。結論から言うと、居住していない期間については、住宅ローン控除を適用できません。ただし、住宅ローン控除の期間中に再度転勤が終わって戻ってくる場合については、改めて書類を提出して確定申告をすることで、住宅ローン控除の残存期間について住宅ローン控除を受けることが可能です。

住宅ローン控除は2回利用できる?

マイホームを取得して住宅ローン控除を使った後に、さらに住宅を購入した場合、住宅ローン控除を2回利用できるのでしょうか。

住宅ローン控除を2回利用できるケース

住宅ローン控除は適用要件を満たしていれば、基本的に2回目であっても適用することが可能です。そのため、住宅ローンを組んで2回目の物件を購入して居住すれば、理論上は適用できます。ただ、現実的にはそのようなケースは少なく、あるとすれば、1回目に購入した自宅を売却して2回目の自宅を購入するというケースです。この場合は、自宅を売却する際の「譲渡所得」に注意が必要です。自宅を売って利益が出た場合については、譲渡所得税が課税されます。ただ、自宅の場合は「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」が受けられるため、よほどの利益が出なければ、自宅の売却によって譲渡所得税が課税されることはありません

ところが、2回目に購入する自宅で住宅ローン控除を使う場合は注意が必要です。なぜなら、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」は住宅ローン控除と併用ができないからです。どちらを適用する方が有利であるかについては、ケースバイケースになりますので、住み替えで2回目の住宅ローン控除の適用を検討している場合については、十分注意しましょう。

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まとめ

住宅ローン控除を使えば、当面の間はかなりの税金が節約できますので、家計も楽になるはずです。

ただし、適用期間の10年が経過すると、一気にキャッシュフローが変わってくるため、あらかじめ繰り上げ返済ができるだけの現金を貯蓄しておくなどの対策が必要になるでしょう。

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