不動産取得税は節税できる!控除や特例を活用して税金を下げよう

不動産取得税

不動産を取得した時には、一度限り「不動産取得税」が課されます。不動産取得時には他にもたくさんの税金がかかるため、税負担は重くなります。しかし不動産取得税には様々な軽減措置や控除・特例が設けられており、上手に活用すれば不動産取得税を0円にすることも可能です。

取得状況によっては、不動産取得税は非課税になる

不動産取得税
そもそも不動産取得税が課されない状況というものがあります。ひとつは、法定相続人が相続・遺贈を受けることによる不動産取得です。

相続による不動産取得は取得者の意思によるものではない場合が多く、予測のできない事です。また相続においては不動産を取得したというより、当然受け継ぐべき人へ不動産の所有権が移動したという表現の方が適切でしょう。そのような事象に対して税金を課すということは不条理と言えるため、不動産取得税が非課税になっているものと考えられます。

遺言書によって指示されたこと(遺贈)による不動産取得に対しても、不動産取得税は非課税となります。

ちなみに遺贈においては、不動産取得税が課税されるケースがあります。友人や内縁の配偶者などの法定相続人でない人が、遺贈によって不動産を取得する場合です。法定相続人でない人には当然に不動産を取得する権利はなく、その義務もないことから、偶発的に得た利益と見なされて課税されるものと考えられます。

相続に関連する不動産取得の原因としては他にも、生前贈与や死因贈与が考えられます。これらの贈与による不動産取得においても、原則として不動産取得税がかかります

不動産取得税が課税されない別の状況は、共有物の分割による不動産取得です。他の人との共有状態にある不動産があり、共有状態を解消した際に持分に応じて分割し取得した不動産については、不動産取得税が非課税となります。ただし、分割後に取得した不動産が共有時の持分以上の割合となった場合は、不動産取得税が課税される場合があります。

社会福祉法人や学校法人、宗教法人などがその活動目的や事業の用に供するために取得した不動産についても、不動産取得税は非課税になります。また、会社の分割や合併を理由とする不動産取得についても、一定の要件を満たす場合には不動産取得税が非課税になります。

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不動産に対する税額軽減措置も活用できる

不動産取得税
取得した建物や土地が一定の条件に当てはまる場合には、不動産取得税が軽減されます。具体的な軽減措置の例をいくつかご紹介します。

不動産取得税の課税標準の控除および税率の軽減措置

不動産を取得した際に課される不動産取得税について、課税標準の控除および税率の軽減措置が施行されています。新築住宅の場合は1戸につき1200万円の控除中古住宅の場合は当該住宅の新築時に地方税法で規定されていた控除額を課税標準より控除できるというものです。

不動産取得税の標準税率は4%ですが、新築または中古住宅を取得し、次の要件を満たす場合には税率が3%に軽減されます。

1.新築住宅

住宅の床面積が50㎡(共同賃家住宅の場合は40㎡)以上、240㎡以下であること

2.中古住宅

住宅の床面積が50㎡以上、240㎡以下であること
上記の条件に加え、下記のいずれかを満たすこと

・耐火建築物は築25年以内、木造等は築20年以内
・昭和57年1月1日以降に新築されたもの
・一定の耐震基準を満たしていることが耐震基準適合証明書や住宅性能評価書の写しなどで証明されたもの

税率軽減措置については、2021年3月31日までの延長が決定しています。課税標準の控除については恒久的な措置のため、期限の定めはありません。

認定長期優良住宅に係る軽減措置

認定長期優良住宅に該当する住宅を新築した場合に、不動産取得税の課税標準からの控除額を、一般住宅特例の1200万円より100万円増額し、1300万円の控除とするものです。ここで言う長期優良住宅とは、長期にわたり良好な状態で使用するための処置が、構造や設備に取り入れられている優良な住宅のことです。

具体的には、次のような機能を備えた住宅を指します。

1.劣化対策

数世代に渡って住み続けられるような構造の住宅であること

2.耐震性

免震構造、あるいは耐震等級2以上の耐震性を備えていること

3.省エネ性

断熱性能などの省エネルギー性能が備わっていること

4.住戸面積

75㎡以上であり、一つの階層が40㎡以上あること(地域により規定に相違あり)

5.計画的な維持管理

定期的に点検や補修が行われるような計画案が策定されていること

6.維持管理および更新の容易性

内装・設備の清掃や点検、補修、更新を容易に行うために必要な措置が講じられていること

7.居住環境

景観などについて配慮された建物であること

認定長期優良住宅に係る軽減措置は、良質の建物を建てて出来るだけ長く大切に使用するという考え方を社会に浸透させ、長期優良住宅の普及を促進させることを目的として施行されている措置です。従来のように、古くなった建物は取り壊して新しいものを建て、また古くなったら取り壊せば良いという使い捨てのような考え方を否定するものとなっています。

平成28年度の時点では、長期優良住宅として認定された住宅戸数は109,373戸でした。新築着工住宅の全体数に占める割合は11.2%となっています。平成37年度までに、新築住宅の20%を認定長期優良住宅が占めるようにする、という目標が掲げられています。

長期優良住宅として認定されるためには、建物の着工前に建築および維持保全に関する計画を申請する必要があります。
申請する計画が満たしていなければならない基準は、次の4点です。

1.住宅の構造および設備について、長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられていること
2.住宅の面積が、良好な居住水準を確保するために必要な規模を有すること
3.地域の居住環境の維持・向上に配慮されたものであること
4.維持保全計画が適切なものであること

認定長期優良住宅に係る軽減措置は、2020年3月31日までの延長が決定しています。
参照:国土交通省

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買取再販で扱われる住宅の取得に係る特例措置

宅地建物取引業者が既存の建物(住宅)を取得し、住宅性能の向上のためにリフォーム工事を行ってから個人の消費者に向けて居住用住宅として販売する場合、建物の取得に際して宅地建物取引業者へ課される不動産取得税について、課税標準から一定額を控除するという特例措置が施行されました。

控除額は、当該住宅の築年月日に応じて次のように異なります

築年月日 控除額
平成9年4月1日~ 1200万円
平成元年4月1日~平成9年3月31日 1000万円
昭和60年7月1日~平成元年3月31日 450万円
昭和56年7月1日~昭和60年6月30日 420万円
昭和51年1月1日~昭和56年6月30日 350万円
昭和48年1月1日~昭和50年12月31日 230万円
昭和39年1月1日~昭和47年12月31日 150万円
昭和29年1月1日~昭和38年12月31日 100万円

この軽減措置によって、住宅リフォームや販売のノウハウを有する不動産業者によってリフォームされた一定以上の品質を備えた住宅の販売が促進されることが期待されています。消費者にとっては、リフォームの手間が要らないだけでなく安心して購入できる良質な住宅が数多く提供され、購入対象の選択肢が増えることになりますし、低下傾向にあるリフォーム・住宅市場の拡大も大いに見込まれています。

平成29年時点では、2025年までに既存住宅流通市場規模を8兆円に、リフォーム市場規模は12兆円に倍増させることが目標とされています。

買取再販で扱われる住宅の取得に係る特例措置においては、平成30年度に実施された税制改正によって新たな軽減措置が加わりました。

「安心R住宅」に該当する住宅もしくは「既存住宅売買瑕疵担保責任保険」に加入する住宅の場合、宅地建物取引業者による当該住宅の敷地の用に供する土地の取得に課される不動産取得税について、45,000円または「土地1㎡当たり評価額×1/2×住宅の床面積の2倍(上限200㎡)×3%」の、いずれか多い方を減額するという軽減措置です。この軽減措置の適用を受けるためには、以下の要件すべてを満たすことが必要となります。

1.宅地建物取引業法第2条第3項に規定する宅地建物取引業者であること

2.宅地建物取引業者が個人に譲渡する住宅の床面積が50㎡以上240㎡以下の住宅であること

3.宅地建物取引業者が個人に譲渡する住宅が、地震に対する安全性を有するものとして、
以下のいずれかに該当する住宅であること
 A.昭和57年1月1日以後に新築された、新耐震基準に適合する住宅であること
 B.一定の耐震基準を満たしていることが次のいずれかの書類により証明されたもの
  a.建築士、指定確認検査機関、登録住宅性能評価機関又は住宅瑕疵担保責任保険法人が証明する書類(耐震基準適合証明書)
  b.住宅性能評価書の写し(耐震等級が1、2または3であるものに限る。)
  c.既存住宅売買瑕疵担保責任保険に加入していることを証する書類(保険証券の写しまたは保険付保証書)

4.宅地建物取引業者が個人に対し住宅を譲渡し、その個人が自己の居住の用に供すること

5.宅地建物取引業者が住宅を取得した後、後述の7および8の要件を満たすリフォーム工事を行って個人に譲渡し、当該個人の居住の用に供するまでの期間が2年以内であること

6.宅地建物取引業者が取得した時点で、新築された日から起算して10年を経過した住宅であること

7.次に挙げるA~Gに該当する工事内容に要した費用の総額が、当該住宅の個人への売買価格の20%(当該金額が300万円を超える場合には300万円)以上であること
 A.増築、改築、建築基準法上の大規模な修繕または模様替え
 B.マンションの場合で、床または階段・間仕切り壁・主要構造部である壁のいずれかのものの過半について行う修繕または模様替え
 C.居室・調理室・浴室・便所・その他の室(洗面所・納戸・玄関・廊下)のいずれか)の床または壁の全部についての修繕・模様替え
 D.一定の耐震基準に適合させるための修繕又は模様替え
 E.バリアフリー改修工事(以下a~hのいずれかの工事)
  a.車いすで移動するための通路または出入口の拡幅
  b.階段の勾配の緩和
  c.浴室の改良(以下のいずれかに該当するもののみ)
   ・入浴またはその介助を容易に行うために浴室の床面積を増加させる工事
   ・浴槽をまたぎ高さの低いものに取り替える工事
   ・固定式の移乗台、踏み台その他の高齢者などの浴槽の出入りを容易にする設備を設置する工事
   ・高齢者等の身体の洗浄を容易にする水栓器具を設置、または同器具に取り替える工事
  d.便所の改良(以下のいずれかに該当するもののみ)
   ・排泄またはその介助を容易に行うために便所の床面積を増加させる工事
   ・便器を座便式のものに取り替える工事
   ・座便式の便器の座高を高くする工事
  e.手すりの取付け
  f.段差の解消
  g.出入口の戸の改良(以下のいずれかに該当するもののみ)
   ・開戸を引戸、折戸等に取り替える工事
   ・開戸のドアノブをレバーハンドル等に取り替える工事
   ・戸に戸車その他の戸の開閉を容易にする器具を設置する工事
  h.滑りにくい床材料への取り替え
 F.省エネ改修工事(改修後の改修部位の省エネ性能がいずれも平成28年基準以上となる工事)
  a.窓の断熱性を高める工事又は日射遮蔽性を高める工事
  b.天井及び屋根の断熱改修
  c.壁の断熱改修
  d.床の断熱改修
 G.給水管、排水管又は雨水の浸入を防止する部分に係る工事

8.当該住宅について、次のいずれかに該当するリフォーム工事が行われたこと
 a.前述のA~Fに該当するリフォーム工事を行い、工事の合計額が100万円を超えること
 b.50万円を超える、D・E・Fのいずれかに該当する工事を行うこと
 c.50万円を超えるGに該当する工事を行い、給水管、排水管または雨水の浸入を防止する部分の瑕疵を担保する保険に加入すること

9.宅地建物取引業者が個人に譲渡する住宅が、次の要件すべてに該当するものであること
 a.当該住宅を譲渡する宅地建物取引業者が、当該住宅に関して「安心R住宅」標章を使用するものであること
 b.当該住宅が特定既存住宅情報提供事業者団体登録規程第2条各号に掲げる基準に適合するものであること
 c.当該住宅の構造耐力上主要な部分および雨水の浸入を防止する部分の瑕疵を担保する、既存住宅売買瑕疵担保責任保険に加入すること

安心R住宅とは、次の要件を満たしているものを指します。

1.耐震性などの基礎的な品質を備えている
2.リフォームを実施済み、またはリフォーム提案が付いている
3.点検記録等の保管状況について情報提供が行われる

上記のような安心R住宅の要件を満たすことによって、従来の中古住宅につきものであった「経年劣化が不安」「中古なので汚い」「状態が分からない」などのマイナスイメージを払拭するとともに、住んでみたい・購入しても良いと思わせるような魅力的な住宅によみがえらせることができます。

既存住宅売買瑕疵保険とは、中古住宅の検査と保証が合わさった保険です。加入できるのは、保険法人に登録された宅地建物取引業者または住宅の調査を行った登録検査事業者です。中古住宅の購入後に、構造耐力上主要な部分や雨水の浸入を防止する部分などについて瑕疵が見つかった場合、当該瑕疵に対する補修費用などが保険金として宅地建物取引業者または検査事業者(業者が倒産している場合には住宅の買主)に対して支払われるというものです。中古住宅に既存住宅売買瑕疵保険を適用するためには、建築士などの専門家による住宅の検査に合格していることが必要です。ですから既存住宅売買瑕疵保険が適用されている中古住宅であれば、消費者にとって安心して購入を検討できる物件となります。当該軽減措置によって直接的に税額軽減の恩恵を受けるのは事業者ですが、消費者にとっても良質で安心な住宅が提供されるなどの、間接的な恩恵がもたらされることになります。

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申請することで不動産取得税が軽減・免除される「減免措置」

減免措置
不動産取得税は一般的な税金と異なり、納税義務者が申告することで課税されるものではありません。課税される場合のみ、都道府県から納付書が送られてくることになります。

しかし次の場合には、納税義務者となり得る人が自ら申請することで、不動産取得税の軽減や免除などの特例が受けられます。

1.災害などによって不動産が滅失した場合

災害などによって滅失または損壊した不動産があり、次の要件のどちらかに当てはまる場合に関しては、被災の程度に応じて不動産取得税が減免されます。ただし土地については、崖崩れや地滑りなどによって実際に地積が減じたことが認められる場合に限ります。また、家屋の床上および床下浸水については減免の対象外です。

・取得した不動産が、その不動産取得税の納期限までに災害などにより滅失または損壊した場合
・災害などにより滅失または損壊した不動産があり、その代わりに他の不動産を災害などの発生後3年以内に取得した場合

参照:東京都主税局

2.土地区画整理事業に関連して移転した場合

所有者本人の意思によらない土地区画整理事業などによって移転を余儀なくされ、その補償金で代わりの建物を取得した人に対しては、当該建物の不動産取得税相当額が減免されます。ただし、移転前に所有していた建物を除却した日から2年以内、もしくは仮換地を引き渡した日から2年以内に代わりの建物を取得した場合に限っての特例です。また、移転前の建物所有者と新たに建築する建物の所有者が同一であることも要件です。

まとめ

不動産の価格や用途、地域毎の規定にもよりますが、ここまでご紹介してきたような軽減措置や特例を活用すれば、不動産取得税は0円にすることも可能になります。

不動産取得税が0円になる可能性があるなら、関連する法令を自分でよく調べて不動産を取得するか、不動産会社に相談して確実に節税するためのアドバイスを求めましょう。

また、相続により不動産取得をしたが、どうしたらいいか分からないという時は、不動産会社に問い合わせてみましょう。売却から税金のことまで詳しく説明してくれるはずです。

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