アパートの売却を検討している場合、所有している物件がどの程度の金額で売れるのかが気になることでしょう。
アパートの売却価格の相場を調べるには、REINSや土地総合情報システムを使ったり、不動産会社の査定を受けたりといった方法があります。
当記事では、アパートの売却相場や売却価格を調べる方法を解説していきます。また、売却相場より高く売るためのコツや売却にかかる税金なども紹介していくため、アパートの売却を検討している場合は参考にしてみてください。
目次
アパート売却の相場
不動産流通機構が運営するREINSの「首都圏不動産流通市場の動向(2022年)」をみると、中古マンションの価格は2012年から2022年にかけて右肩上がりであることがわかります。
不動産業界では、マンションとアパートの明確な区分はありません。登記簿謄本でも構造や面積などの情報は載っていますが、マンションとアパートを区分する記載はありません。
つまり、REINSが公表しているデータを参考にすれば、アパートの売却価格は今後も右肩上がりになることが予測されます。
ただし、「首都圏不動産流通市場の動向(2022年)」では、2022年の中古マンションの成約件数は前年よりも下がっているとも公表されています。
高い価格を設定しても、買い手がつかなければアパートは売れません。アパートを売却する場合、そのエリアや物件状態などに合わせて適正な価格設定で売却活動をすることが大切です。
アパート売却相場を確認する方法
アパートを売却する場合、所有している物件の売却価格を把握しておくことが重要です。相場を把握しておかなければ、適正な価格設定ができないためです。
アパートの売却価格の相場を調べる方法には、下記が挙げられます。
- REINS(レインズ)を使う
- 土地総合情報システムを使う
- 不動産会社の査定を受ける
アパートを売却する場合、これらの方法で所有物件の売却価格の相場を事前に把握しておきましょう。
REINS(レインズ)を使う
REINSとは、国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構によって運営されているシステムのことです。正式には「Real Estate Information Network System(不動産流通標準情報システム)」という名称で、英語の頭文字をとってREINS(レインズ)と呼ばれています。
REINSにはアパートのような不動産の売買取引情報が蓄積されており、不動産会社だけでなく一般の方向けにもこれらの情報が公開されています。所有しているアパートに条件が似ている物件の取引情報がREINSにあれば、売却価格の目安として確認が可能です。
REINSでアパートの取引情報を確認する手順は下記のとおりです。
- REINSの公式サイトにアクセスする
- 都道府県と地域を選択して検索する
- 最寄り駅や築年数などの追加検索条件を設定し再検索する
- 取引情報一覧から似ている物件情報を探す
なお、不動産の価値はその物件の状態によっても変わるため、似ている物件の取引情報があっても、その価格で所有するアパートが売れるとは限りません。
あくまで売却価格の目安となりますが、アパートの売却価格の相場を知りたい場合、まずはREINSを利用してみるのもよいでしょう。
土地総合情報システムを使う
土地総合情報システムとは、国土交通省が運営するWEBサイトのことです。不動産の取引価格や地価公示、都道府県地価調査の価格の閲覧が可能です。
土地総合情報システムで取引情報を確認する手順は、下記のとおりです。
- 土地総合情報システムにアクセスする
- 建物の場合は「不動産取引価格情報検索」、土地の場合は「地価公示都道府県地価調査」を選択する
- 所有するアパートがあるエリアを選択する
- 情報一覧から似ている物件情報を探す
REINSとは異なり、土地総合情報システムでは土地の取引情報も調べられます。そのため、アパートの建物と土地の売却相場を知りたい場合には、土地総合情報システムを利用してみるとよいでしょう。
不動産会社の査定を受ける
不動産会社に依頼をすれば、所有するアパートを査定してもらえます。不動産会社の担当者によって所有しているアパートを調査してもらえるため、REINSや土地総合情報システムを利用するよりも高い精度で売却価格の相場を把握できます。
不動産会社に査定を依頼する場合、一括査定サイトの利用がおすすめです。査定結果は不動産会社によって異なる場合があるため、1社だけに査定を依頼しても適正な売却価格を把握できるとは限らないためです。
一括査定サイトを利用すれば、複数の不動産会社に査定を依頼できるうえに、最も高い査定額を提示してもらえた業者に依頼することも検討できます。
一括査定サイトでアパートの売却相場を調べたい場合、所要時間約2分かつ0円で査定できる「不動産売却一括査定」を利用してみてください。
アパートの売却相場にかかわる要因
アパートの売却価格は、さまざまな要因によって変動します。その例としては下記が挙げられます。
- 立地・エリア
- 築年数
- 耐震性
- 周辺環境
アパートの売却相場を調べる際には、これらの要因を主にチェックしてみるとよいでしょう。
立地・エリア
立地・エリアは、アパートの売却価格に関わる1つの要因です。
たとえば、需要が高いエリアにある物件であれば、比較的高値での売却を期待できます。また、土地自体の価格が高い場合も、売却価格の相場は高くなるのが一般的です。
なお、土地の価格については、国土交通省が運営する土地総合情報システムから調べられます。所有しているアパートの土地から売却相場を調べる際には、土地総合情報システムを利用するとよいでしょう。
築年数
物件の築年数もアパートの売却価格に関わる要因です。
国土交通省が公表しているデータからもわかるように、築年数が経過するごとに、アパートの資産価値は下落するのが一般的です。そのため、築浅の物件であれば高値がつきやすく、築古であれば比較的安値で売却されます。
耐震性
物件の耐震性もアパートの売却価格に関わる要因です。設備も含めて耐震性に優れている物件であれば、比較的高額で売却できる傾向があります。
アパートのなかには、長期優良住宅と定められた物件もあります。このような物件は、長期間よい状態で使用するための措置が講じられた優良物件と国から認められているため、相場よりも高い価格で売却できるのが一般的です。
なお、アパートの耐用年数は、構造ごとに法律で下記のように定められています。
構造 | 耐用年数 |
---|---|
木造 | 22年 |
軽量鉄骨造 |
19年(骨格材の肉厚が厚み3㎜以下) 27年(骨格材の肉厚が厚み3㎜超4㎜以下) |
重量鉄骨造 | 34年 |
鉄筋コンクリート造 | 47年 |
参照:国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表」
築年数が耐用年数を超えているアパートの場合、基本的に建物部分の価値はほぼなくなるとされています。アパートの売却価格を知りたい場合、所有する物件の構造に応じた耐用年数を超えていないかも調べておくとよいでしょう。
周辺環境
周辺環境もアパートの売却価格を決定する要因になります。売却価格によい影響を与える周辺環境の例には下記が挙げられます。
- 治安のよさ
- 駅やバス停の近さ
- コンビニやスーパーといった商業施設の近さ
- 学校や病院といった施設の近さ
治安のよいエリアの物件や駅までの距離が近い物件などは、需要が高く売却相場も高まる傾向があります。逆に、治安の悪いエリアにある物件や駅までの距離が遠い物件は、売却相場が低くなるのが一般的です。
なお、周辺環境のよさはアパートを売却する際のアピールポイントとして活用できます。売却活動の際に買い手へよい印象を持ってもらうためにも、アパートを売却する際には、物件のアピールポイントを洗い出しておくとよいでしょう。
アパート売却相場より高く売るコツ
アパートを売却する場合、相場価格よりも高く売るためのコツがあります。その例としては下記が挙げられます。
- 築浅のうちに売る
- 複数の不動産会社に査定を依頼する
- 引っ越し需要の高い1~3月を狙う
- アパートの売却相場を把握しておく
1つでも多くコツを実践することで、アパートを高値で売却できる可能性が高まります。アパートの売却を検討している場合、実施できそうなコツがないかを確かめてみてください。
築浅のうちに売る
アパートのような不動産は、築年数が経過するごとに資産価値が下がるのが一般的です。そのため、築年数が浅いうちにアパートを売れば、資産価値の下落を抑えつつ高値での売却を期待できます。
実際にREINSで公表されている「首都圏中古マンション・中古戸建住宅 地域別・築年帯別成約状況【2023年1~3月】」では、築年数ごとの成約価格が下記のように記載されています。
築年数 | 成約価格 |
---|---|
5年まで | 6,704万円 |
10年まで | 6,304万円 |
15年まで | 5,765万円 |
20年まで | 5,318万円 |
25年まで | 4,648万円 |
30年まで | 3,374万円 |
30年超 | 2,318万円 |
参照:REINS「首都圏中古マンション・中古戸建住宅 地域別・築年帯別成約状況【2023年1~3月】」
REINSのデータを参考にすると、築年数が5年までの中古マンションが最も成約価格が高いとわかります。
アパートを売却する場合、築年数がかさむ前に可能な限り早期で売却することを検討するとよいでしょう。
複数の不動産会社に査定を依頼する
アパートを売却相場よりも高く売るコツには、複数の不動産会社に査定を依頼することが挙げられます。
複数の不動産会社に査定を依頼することで、所有しているアパートの査定額を各社ごとに比較検討することができます。そのため、所有しているアパートの売却相場を把握できるだけでなく、査定額が最も高い不動産会社を探すこともできるのです。
そのような不動産会社に売却を依頼することで、ほかの業者に依頼するよりもアパートを高値で売却することを期待できます。
なお、「不動産売却一括査定」であれば、所要時間2分かつ0円で複数の不動産会社に査定を依頼できます。アパートの査定を複数の不動産会社に依頼する場合、「不動産売却一括査定」の利用を検討してみてください。
引っ越し需要の高い1~3月を狙う
アパートの購入需要は、季節によっても変動します。たとえば、1月から3月にかけては、就職や進学、転勤などのライフステージの変化に合わせて引っ越しが必要となり、不動産購入の需要が高まる傾向があります。
実際にREINSが公表する「月例速報Market Watch(2021年12月度)」をみると、中古マンションの成約件数が最も多いのは1月〜3月です。
需要が高い物件であれば高値かつ早期の売却にも期待できるため、アパートの売却を検討している場合、1月〜3月までに売却ができるように売却活動を進めるようにしてみてください。
アパートの売却相場を把握しておく
アパートの売却価格をある程度把握しておかなければ、所有する物件を相場よりも低い価格で売却してしまい損をする可能性があります。そのため、アパートを売却する場合、事前に売却価格の相場を把握したうえで売却活動を始めることが重要です。
なお、不動産会社のなかには、自社の利益を優先して売却価格を相場よりも下げて、買い手を募る業者も存在します。事前に売却価格の相場を把握しておけば、このような業者に売却を依頼してしまうリスクを減らすことも可能です。
こういったリスクを回避するためにも、アパートを売却する場合、不動産・住宅サイトであるSUUMOの「全国のマンション売却価格相場」などを活用して売却相場を調べておきましょう。
アパート売却の流れ
アパートを売却するまでは、大まかに下記のような流れとなります。
- 不動産会社に査定をしてもらう
- 不動産会社と媒介契約を締結する
- 売却活動をして買主を探す
- 買主と売買契約を締結する
- アパートを引き渡す
まずは不動産会社に査定を行なってもらい、依頼先が決まったらその業者と媒介契約を締結します。その後は売却活動を行ない、買い手が見つかれば売買契約を締結し、アパートを引き渡す流れです。
アパートを売却する場合、売却までの流れを把握しておくとよいでしょう。
不動産会社に査定をしてもらう
アパートを売却する場合、まずは不動産会社に査定をしてもらう必要があります。査定の結果に問題がなければ、その不動産会社と契約を結ぶ流れです。
前述したように、不動産会社に査定をしてもらう場合、1社だけでなく複数社に依頼することが大切です。一括査定であれば一度に複数社へ依頼できるため、アパートを売却する際には一括査定を活用するとよいでしょう。
なお、アパートの一括査定を依頼する場合、所要時間2分かつ0円で依頼できる「不動産売却一括査定」の利用を検討してみてください。
不動産会社と媒介契約を締結する
査定を行なってもらったうえで依頼する不動産会社が決まれば、その業者との媒介契約に進みます。
媒介契約とは、不動産業者に物件売買の仲介を依頼するための契約のことです。不動産売買における媒介契約には、「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類があります。
種類 | 内容 |
---|---|
一般媒介契約 | 複数の不動産会社に仲介を依頼できる |
専任媒介契約 | 不動産会社1社に仲介を依頼するが、自分で買い手を探して物件売却も可能 |
専属専任媒介契約 | 不動産会社1社のみに仲介を依頼する契約。不動産会社が見つける買い手にのみ物件を売却できない |
どの種類で媒介契約を締結するかは、アパートの所有者が決定できます。それぞれメリットとデメリットがあるため、自分の希望にあった種類でアパートの媒介契約を締結するとよいでしょう。
媒介契約のメリットやデメリットなどについては、「媒介契約は3種類どれがいい?メリット・デメリットや契約内容の違いを解説」の記事で詳しく解説しているため参考にしてみてください。
売却活動をして買主を探す
アパート売買の媒介契約を締結した後は、物件の買い手を探すための売却活動に進みます。
売却活動は主に不動産会社によって行なわれるため、売り手は対応をすべて不動産会社に任せることも可能です。とはいえ、売り手が希望をすれば、内覧希望者の対応をすることも可能です。
内覧希望者の対応をする場合、所有するアパートのよさを所有者から直接伝えられます。実際に所有している人からの意見があることで購入に至るケースも考えられるため、可能であれば内覧に立ち入ることも検討してみてください。
また、アパートの状態が悪いと思われてしまえば、買い手が購入に至らないことも考えられます。アパートを売却する場合、清掃や設備の修繕などを事前にしておき、よい印象をもってもらえるように物件の状態を保っておくとよいでしょう。
買主と売買契約を締結する
買い手が見つかった後は、アパートの売買契約に進みます。売買契約の際には、事前に不動産会社によって作成された重要事項説明書の説明が行なわれます。
重要事項説明書とは、売買するマンションや取引条件にかかわる事項が記載されている書類のことです。重要事項説明書に記されている内容の例には、下記が挙げられます。
内容 | 具体例 |
---|---|
取引物件に関する事項 |
売買するマンションに関する内容 ・登記記録に記録された事項 ・法令に基づく制限の概要 ・飲用水・電気・ガスの供給施設および排水施設の整備状況に関する事項 など |
取引条件に関する事項 |
マンションの売買取引に関する内容 ・代金、交換差金および借賃以外に授受される金銭に関する事項 ・手付金などの保全措置の概要 ・瑕疵担保責任の履行に関する措置の概要 など |
その他の事項 |
・国土交通省令・内閣府令で定められた事項 ・割賦販売に係る事項 ・引渡し猶予 など |
重要事項説明書の内容には、手付金や引渡しなどの事項のようにアパートの売り手が決めなければならないものもあります。
また、重要事項説明書の内容を把握していないと、契約違反となり得る行動をとってしまうリスクもあるため、アパートを売却する際には不動産会社の担当者に相談しつつ契約内容を定めていくとよいでしょう。
アパートを引き渡す
買い手との売買契約が締結し、買い手から売却代金などが支払われた後はアパートの引き渡しに進みます。
引き渡しを行なう日は、売買契約が締結する際に売り手と買い手が話し合うことで決定できます。引っ越し先などが決まり、都合のよい日時を引渡し日として定めるとよいでしょう。
なお、アパートを売却する場合、引渡し日までに物件の所有権移転の手続きが必要です。所有権移転の手続きは基本的に物件の買い手が行ない、その際には売り手の本人確認書類やマンションの権利書なども必要になります。
アパートを売却する場合、所有権移転の手続きで必要な書類についても不動産会社の担当者に尋ねておき、不備なく買い手に渡せるように準備しておきましょう。
アパートを売却したら課税される税金
アパートを売却した場合、売り手には下記のような税金を納める義務が生じます。
- 譲渡所得税
- 印紙税
- 登録免許税
- 消費税
これらの税金には、納めなければアパートを売却できない税金もあります。アパートを売却する場合、納める税金についても把握しておきましょう。
なお、アパートの売却でかかる税金の種類や計算方法などについては、「マンション・アパート売却時の税金はいくら?計算方法や節税に使える特例も解説」の記事でも詳しく解説しているため参考にしてみてください。
譲渡所得税
アパートの売却でかかる税金には、譲渡所得税が挙げられます。
譲渡所得税とは、不動産の売却によって得た利益(譲渡所得)に課税される税金のことです。譲渡所得は下記の計算式で算出が可能です。
- アパート売却による収入金額ー(取得費+譲渡費用)
参照:国税庁「No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)」
譲渡所得税は、アパートの売却による収入金額から物件の取得や譲渡にかかった費用を差し引いた金額に課税されます。そのため、譲渡所得が多ければ多いほど、納めなければならない譲渡所得税も増える仕組みです。
なお、アパートの売却による収入金額が取得費や譲渡費用を上回った場合、譲渡所得は発生しません。この場合は「譲渡損失」となり、譲渡所得税は発生しません。
印紙税
アパートの売買契約を締結する際には、売買契約書の作成が必要です。この売買契約書を法的に有効なものにするため、契約書1つにつき印紙税を納めなければなりません。
印紙税の金額は、アパートの成約価格によって下記のように変動します。
成約価格 | 本則税率 | 軽減税率 |
---|---|---|
10万円を超える~50万円以下 | 400円 | 200円 |
50万円を超える~100万円以下 | 1千円 | 500円 |
100万円を超える~500万円以下 | 2千円 | 1千円 |
500万円を超える~1千万円以下 | 1万円 | 5千円 |
1千万円を超える~5千万円以下 | 2万円 | 1万円 |
5千万円を超える~1億円以下 | 6万円 | 3万円 |
1億円を超える~5億円以下 | 10万円 | 6万円 |
5億円を超える~10億円以下 | 20万円 | 16万円 |
10億円を超える~50億円以下 | 40万円 | 32万円 |
50億円を超えるもの | 60万円 | 48万円 |
参照:国税庁「「不動産譲渡契約書」及び「建設工事請負契約書」の印紙税の軽減措置の延長について」
アパート売却でかかる印紙税には軽減措置が設けられています。令和4年4月1日から令和6年3月31日までに作成された売買契約書であれば、軽減率が適用されるため、発生する印紙税が少なくなります。
たとえば、アパートが1,000万円超の金額で売れた場合、通常は2万円の印紙税がかかりますが、軽減措置がとられれば税額が1万円となる仕組みです。
なお、売買契約書は売り手と買い手で最低2通用意しなければならず、売り手と買い手がそれぞれ印紙税を負担するのが一般的です。
アパートの売買契約書を作成する場合、少なくとも1通分の収入税の金額を用意しておくようにしましょう。
登録免許税
アパートを売却する場合、物件の建物と土地の所有権移転の手続きが必要です。また、アパートに抵当権がついている場合は、抵当権抹消の手続きも行なわなければなりません。
これらの手続きを行なう場合、登録免許税という税金を納める必要があります。登録免許税の税額は手続きによって異なり、下記の計算式で算出できます。
手続き | 計算式(軽減税率適用) |
---|---|
土地部分の所有権移転の手続き | 固定資産税評価額×1.5% |
建物部分の所有権移転の手続き | 固定資産税評価額×0.3% |
抵当権抹消の手続き | 不動産1つにつき1,000円 |
参照:国税庁「登録免許税の税額表」
所有権移転の手続きの際には、固定資産税評価額に一定の割合をかけた金額の登録免許税がかかります。
固定資産税評価額とは、固定資産税を決定する基準となる評価額のことです。各市区町村が定めており、納税通知書や固定資産税評価証明書から確認できます。
たとえば、建物部分の固定資産税評価額が1,000万円である場合、アパートの所有権移転の手続き時には「1,000万円×0.3%=3万円」の登録免許税がかかります。
また、抵当権の抹消手続きが必要であれば、不動産1つにつき1,000円の登録免許税も必要です。
アパートを売却する場合、登録免許税がどの程度かかるのかを把握しておくとよいでしょう。
消費税
アパートのような不動産を個人で売買する場合、基本的に消費税はかかりません。しかし、アパートの売り手が年間売上1,000万円以上の課税事業者である場合、物件の売却によって消費税が発生します。
また、課税事業者が事業として活用している不動産を売却した場合も消費税はかかります。具体的には、賃貸として活用しているアパートを売却するケースが該当します。
アパートを売却する場合、消費税が発生するのかどうかも事前に把握しておくとよいでしょう。
なお、消費税は商品やサービスといった消費されるものにかかる税金です。建物部分は該当しますが、土地部分は消費される性質を持たないため、アパートの売却時で土地部分には消費税がかかりません。
訳ありアパートも売却できる?
物理的もしくは心理的に瑕疵(かし)を持つ物件を一般的に「訳あり物件」と呼びます。訳ありアパートの例としては、下記が挙げられます。
物理的瑕疵のある物件 |
・屋根や窓などが一部破損している物件 ・シロアリによる腐食が進んでいる物件 |
---|---|
心理的瑕疵のある物件 |
・他殺や自殺などの事件が起きた物件 ・病死や孤独死などが発生した物件 |
アパートの売却を検討している人のなかには、このような訳あり物件を売却できるのかを気にしている人もいるでしょう。
訳あり物件には買い手がつきづらいのも事実であるため、不動産会社に仲介を依頼しても売ることは難しいといえます。しかし、専門の買取業者に依頼すれば、訳あり物件の売却を期待できます。
買取業者によっては、最短数日での買取も可能です。また、訳あり物件を専門とする業者もあり、そのような業者であればほかに依頼するよりも高額で買い取ってもらえる可能性もあります。
訳ありアパートを所有している場合、仲介ではなく買取業者に依頼することも視野に入れてみるとよいでしょう。
なお、訳あり物件の買取を得意とする「訳あり不動産買取窓口」では、「どんな不動産でも高額買取」と謳われています。最短即日で査定が可能なうえ、諸経費0円で物件を売却できるため、訳ありアパートの買取を検討している場合は参考にしてみてください。
まとめ
近年、アパートの売却相場は右肩上がりの傾向にあるため、所有している物件によっては高額での売却に期待できます。不動産の売却には相場よりも高く売るコツがあるため、アパートの売却を検討している場合は可能な限りコツを実施してみるとよいでしょう。
なお、所有しているアパートの売却相場を調べる方法はいくつかありますが、所有している物件の査定額を比較検討できる「一括査定サイト」の利用がおすすめです。
「不動産売却一括査定」であれば所要時間約2分かつ0円で一括査定を依頼できるため、アパートを売却する際には活用してみてください。
よくある質問
アパート売却相場の調べ方は主に3種類です。
・REINS(レインズ)を使う
・土地総合情報システムを使う
・不動産会社の査定を受ける
実際に不動産会社の査定を受けるのが最も正確ですが、手軽に知りたい場合はインターネット上で調べられるREINSや土地総合情報システムを利用してもよいでしょう。
アパートの売却相場にかかわる要因として下記のようなものが挙げられます。
立地・エリア
築年数
耐震性
周辺環境