「中古アパート経営は利回りが高い」と聞くと、挑戦してみたいと興味を持つ人も多いのではないでしょうか。
中古アパート経営を成功させるためには、以下のように物件選びに力を入れることが重要です。
- 前オーナーが物件を売却する理由を聞く
- 周辺の環境や賃貸需要を調べる
- 購入前にホームインスペクションをする
この記事では、中古アパート経営のメリットとデメリット、必要な費用、成功のコツなどを、中古アパート経営を始める前に必要な情報を網羅的に解説します。
中古アパート経営に向いている人の特徴も紹介するため、中古アパート経営に興味がある人は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
中古アパート経営のメリット
不動産投資には区分投資や一棟投資、戸建て投資など、さまざまな方法があります。
さらに、投資対象の選択肢も新築マンションから中古アパートまでと豊富であり、それぞれ特徴が異なります。
中古アパートを経営するメリットは、主に以下の4点です。
- 高利回りが期待できる
- 家賃が下がりにくい
- 前オーナーから経営状況を聞ける
- 入居者がすでに付いている
一つずつ詳しく解説します。
高利回りが期待できる
中古アパートは新築アパートよりも安価で取得できるため、利回りが高い傾向にあります。
実際の中古アパートの表面利回りの目安は、以下のとおりです。
築年数 | 表面利回り |
---|---|
築10年以下 | 6%程度 |
築10~20年 | 7%程度 |
築20年以上 | 10%程度 |
利回りには「表面利回り」と「実質利回り」の2種類があり、表面利回りは経費が考慮されていないため、より現実に即した経営をするためには実質利回りを重視しましょう。
一般的にアパート経営で最低ラインとされているのが、表面利回りで5%程度、実質利回りで3%程度です。
中古アパートは築10年以下でも一般的な最低ラインの表面利回りを上回っており、築年数が古いほど利回りが高くなる傾向にあります。
アパート経営の利回りについては、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
家賃が下がりにくい
賃貸住宅の家賃は、新築から毎年およそ0.5~1%ずつ下がるのが一般的です。
賃貸住宅の家賃は、経年劣化により市場価値が下がること、ライバル物件が登場して競合が激化することなどが原因で下落していきます。
家賃の下落率は一定ではなく、特に築3~10年の家賃の下落率が最大で、築10~20年で下落率は落ち着き始める傾向です。
築20年を超えると下落率は安定し、いわゆる下げ止まりの状態になります。
このように、中古アパートは新築と比べて家賃が下がりにくく、収入の見通しを立てやすい点もメリットです。
前オーナーから経営状況を聞ける
中古アパートは、前オーナーが何らかの理由で手放した物件を購入し経営を始めます(オーナーチェンジ物件)。
そのため、前オーナーから話を聞くことで、入居者や経費に関する情報を引き継ぐことができます。
その物件特有のノウハウは、実際に運用してきた前オーナーしか知り得ない情報です。
以下のような観点から経営状況を聞き、これからの経営計画に活かしましょう。
- 入居者が何年ほど居住しているか
- 退去が出たときに、どのくらいの期間で次の入居者が決まっているか
- 今まで行ってきたリフォームで、効果が高かったものはどれか
- 修繕費はどのくらいかかってきたか
- 交換しなければならない設備はどれか
このような情報を聞かせてもらうことで、精度の高い経営計画を作れます。
オーナーチェンジ物件については、以下の記事で詳しく解説しているため、ぜひこちらも参考にしてください。
入居者がすでに付いている
オーナーチェンジ物件は、入居者がすでに付いている状態で売られており、購入後すぐに家賃収入が得られる点もメリットです。
新たに入居者を募集しなければならない物件だと、リフォームや入居者募集広告、入居希望者の審査などが必要です。
空室は収益に直結するため、ないに超したことはありません。
入居者がいる状態で引き継ぐと、経営開始直後から家賃収入が得られ、安心してアパート経営をスタートできます。
中古アパート経営のデメリット
中古アパート経営のメリットをみてきましたが、以下のようなデメリットも存在します。
- 突発的な修繕が起きやすい
- 築古というだけで避ける人がいる
- ローン審査が通りにくい
一つずつポイントをみていきましょう。
突発的な修繕が起きやすい
中古アパートは築年数が経っていることから、新築や築浅の物件に比べてさまざまな箇所が劣化しています。
内見時は綺麗そうに見えていても、実際に入居者が住み始めると設備不良や故障が起こる可能性があります。
壁や床は綺麗にできても、水道管やガス管は建設当時のままであることも多いでしょう。
例えば、コンクリート内部で水道管が破損し、水漏れトラブルが起きた場合は、修繕費用のみならず入居者への損害賠償が必要になるかもしれません。
修繕が起きやすく、費用がかさみやすいのは、以下のような箇所です。
- 配管関係
- 外壁塗装
- 屋上防水
- エレベーター
これらの箇所は過去の修繕記録を確認し、壊れた場合にどのくらい修繕費用がかかるかを計算しておきましょう。
築古というだけで避ける人がいる
中古アパートは、見た目の綺麗さや設備の新しさではどうしても新築には敵いません。
新築並みの綺麗さを求める層には避けられるため、空室が埋まりにくい点がデメリットです。
たとえ空室が埋まらなくても、維持管理費やローンの返済は止まらず、長期間空室が続けば物件の修繕費用を捻出できなくなるおそれもあります。
このように、中古アパートはうまく集客できれば利回りが高いですが、集客が難しい点を考慮に入れておかねばならないでしょう。
空室が続けば負債を抱えてしまいかねないため、入居者をうまく集められる物件を選ぶことが重要です。
ローン審査が通りにくい
中古アパートのような投資物件を購入する際、購入資金として金融機関のアパートローンを利用する人も多いでしょう。
しかし、中古アパートは資産価値が下がっているため、担保としての価値が低いとみなされ、ローン審査に通りにくいというデメリットがあります。
中古アパートの安く購入できるという特徴は、利回りの点ではメリットですが、ローン審査に関してはデメリットになります。
そのため、中古アパート経営ではローンにあまり頼らずに済むような、ある程度の自己資金が必要です。
中古アパート経営にかかる費用
中古アパート経営にかかる費用は、大きく分けて初期費用と維持費用に分けられます。
それぞれの費用の相場を紹介します。
初期費用
中古アパート経営では、以下のような費用が初期費用として必要です。
物件費用 | 木造:1坪あたり40~60万円前後 鉄骨造:1坪あたり50~70万円前後 鉄筋コンクリート造:1坪あたり70~100万円前後 |
仲介手数料 | 物件の購入価格×3%+6万円+消費税 |
印紙税 | 不動産売買契約書に記載された契約金額により異なる 500万円を超え1,000万円以下:1万円 1,000万円を超え5,000万円以下:2万円 5,000万円を超え1億円以下:6万円 1億円を超え5億円以下:10万円 5億円を超え10億円以下:20万円 |
登録免許税 | 物件の固定資産税評価額×2% |
司法書士報酬 | 1万円~10万円程度 |
不動産取得税 | 物件の課税標準額×税率(3~4%) |
ローン手数料 | 借入額の1~3%程度 |
アパートの価格を左右する要素にはさまざまなものがありますが、木造は価格が安めで、鉄筋コンクリート造が最も価格が高くなりやすいです。
不動産会社を通じて物件を購入した場合は、不動産会社へ仲介手数料を支払います。
また、印紙税とは、契約などの取引で作成する書類に対してかかる税金です。
不動産売買契約書も印紙税の課税対象であるため、アパートを購入する際は契約金額に応じた収入印紙を添付しなければなりません。
登録免許税は、不動産の所有権を移転する際にかかる税金です。
移転登記は司法書士に任せるのが一般的であるため、司法書士への報酬も必要です。
さらに、ローンを借りる場合は、事務手数料や保証料が必要となります。
このように、中古アパートを購入し、経営を始める際にはさまざまな費用がかかります。
新築でアパートを建てるよりは安価で物件を手に入れられるといえども、自己資金にある程度の余裕が必要でしょう。
維持費用
中古アパートを経営していく上では、以下のような維持費用がかかります。
光熱費 | 1万円程度/月 |
損害保険料 | 火災保険料:2~3万円/年 地震保険料:27,500円/年(東京都・木造の場合) |
管理委託費用 | 家賃収入×5% |
修繕費用 | 1~100万円程度 |
リフォーム費用 | 10~300万円程度 |
仲介手数料 | 家賃半月分 |
固定資産税・都市計画税 | 固定資産税:固定資産税評価額×1.4% 都市計画税:固定資産税評価額×0.3% |
広告費 | 家賃1か月分 |
光熱費は、共用部分の電気代や水道代で、毎月必要です。
損害保険料は、火災保険料と地震保険料に分けられます。
火災保険は1~5年で契約期間を設定できますが、5年契約にしたほうが保険料を節約できます。
地震保険は火災保険に付帯して加入するもので、地震や津波で建物が損壊した際の損害を補償してくれる保険です。
政府と保険会社が共同で運用しているため、どこの保険会社で加入しても保険料は変わりませんが、建物の構造と所在地ごとに保険料が設定されています。
また、アパートの管理を管理会社に任せる場合は、管理委託費用が必要です。
さらに、中古アパート経営で特に重視すべきなのが、修繕費用とリフォーム費用です。
修繕費用とリフォーム費用は物件の状態により大きく変動するため、多めに見積もってシミュレーションしておきましょう。
維持費用における仲介手数料とは、空室が埋まった際に入居者を紹介してくれた不動産会社に支払うものです。
また、広告費とは、特別な広告や集客を行う際にかかる費用のことです。
空室が長引いている物件が、通常の範囲を超えた広告を行う際に必要となります。
中古アパート経営の経費削減のコツ
アパート経営では、経費を減らせば収益を増やせるため、安定した経営をするためには、どのようにして経費を削減するかが重要です。
中古アパート経営の経費削減のコツには、以下の4つの方法があります。
- ローンを借り換える
- 適切に修繕費を計上する
- 保険を見直す
- 管理会社を見直す
現在借りているアパートローンから、より金利が低いローンに乗り換えることで利息を軽減できるでしょう。
また、修繕費は行った工事の性質によって、「修繕費」か「資本的支出」のどちらかで会計処理を行います。
修繕費に該当する場合は、単年度に一括で経費に計上可能です。
対して、耐久性を高めるための外壁塗装など、資本的支出に該当する場合は、アパートの耐用年数に応じて減価償却します。
一時的な節税効果は修繕費のほうが高くなりますが、修繕費か資本的支出か判断が難しい場合もあるため、アパート経営に詳しい税理士に相談するのも一つの節税方法です。
さらに、現在かけている保険を見直して保険料を削減したり、支払い方法を一括払いから分割払いにして毎年経費に計上し節税したりできます。
最後に、管理委託費の削減を目的に、管理会社を変更するという方法もあります。
管理委託費の相場は、総家賃収入の5%と大きいものであり、1%でも減らせたら大きな経費削減効果があります。
加えて、管理会社の対応が悪いと感じている場合は、会社を変更することで入居者への対応の質も上げられるでしょう。
中古アパート経営の経費削減のコツについては、以下の記事でさらに詳しく解説しているため、ぜひご覧ください。
中古アパート経営の成功のコツ
中古アパート経営が成功するかは、物件選びから始まります。
ここでいう「成功」とは、安定的に家賃収入を得て利益を出すことです。
中古アパート経営で、安定的に利益を出すためのコツとしては、以下の7つが挙げられます。
- オーナーが売却する理由を知る
- 周辺環境や賃貸需要を調べる
- 買う前にホームインスペクションする
- 費用対効果の高いリフォームをする
- できるところはDIYで施工費用を削減する
- 管理会社に管理を依頼する
- 出口戦略まで考える
それぞれ詳しく解説します。
オーナーが売却する理由を知る
オーナーが物件を手放そうとしている理由は、その物件を購入してもよいかの判断基準として非常に重要です。
購入してもよい理由と購入を踏みとどまるべき理由をまとめると、以下のようになります。
購入してもよい理由 | 購入を踏みとどまるべき理由 |
・より収益の上がる物件を買い換える ・まとまったキャッシュが必要になった ・オーナー業から引退したい ・物件を相続したがオーナー業はしない |
・複数入居者の退去が決まっている ・問題のある入居者がいる ・家賃滞納がある ・大規模修繕の費用がない ・近所からのクレームがある |
より収益の上がる物件に買い換えるというオーナーの場合、現在売りに出そうとしている物件による収入で買い換え資金を貯められたことがうかがえるため、その物件はある程度の収益が見込めるでしょう。
反対に、複数入居者の退去が決まっているために売りに出されている物件は、家賃収入が期待できない上、入居者募集の営業活動を行わなければならないため、購入を踏みとどまるべきです。
以下の記事では、さらに詳しくオーナーチェンジ物件の選び方を解説しているため、ぜひ参考にしてください。
周辺環境や賃貸需要を調べる
アパートの建物はお金をかければ修繕できますが、立地は動かせません。
そのため、物件選びでは立地や周辺環境、賃貸需要をしっかり調べることがポイントです。
駅近の好立地物件や、周辺にスーパーやコンビニがある環境のよい物件は入居者が集まりやすく、空室リスクを気にしすぎずにアパート経営に臨めるでしょう。
また、物件に需要がありそうかを判断するには、周辺のアパートの空室率も参考になります。
周辺のアパートが満室であれば、その地域の賃貸需要は高いと思ってよいでしょう。
物件を選ぶ際は、実際に数度現地や周辺に出向いて、自分の目で調査することをおすすめします。
買う前にホームインスペクションする
中古アパート経営の成功のためには、状態のよい物件を選ぶのは大前提です。
しかし、住宅診断のプロに見てもらわないとわからないことも多いため、物件を購入する前にホームインスペクションを行いましょう。
ホームインスペクションとは、一級建築士などの住宅に精通したプロが物件の状態をチェックし、劣化や欠陥を診断することです。
アパートの場合は、壁や柱、梁、天井、外壁、内壁などを診断します。
雨漏りやシロアリ、傾きなどを含めた物件の状態を詳しく知ることができます。
中古住宅の場合、ホームインスペクションの費用を売主と買主のどちらが負担するというルールはないため、費用については売主と交渉の余地があります。
費用相場は5~15万円ですが、ホームインスペクションを行って欠陥が見つかり、買わないという選択になったとしても、リスク回避のための資金と思うようにしましょう。
費用対効果の高いリフォームをする
中古アパートのすべての部分をリフォームすると費用がかさむため、劣化が激しい部分に絞ってのリフォームがおすすめです。
浴室やトイレ、キッチンの流しなどの水回りは汚れやすいため、リフォームの優先度が高い部分です。
リフォームを行うと一時的にキャッシュフローは悪化しますが、入居者の多くは綺麗な物件に住みたいと考えているため、長期的に見れば利回りの上昇が期待できます。
どこをどのようにリフォームするかは、不動産会社とよく相談して、費用に見合った効果が得られるようによく検討しましょう。
また、共用部分の清掃をきちんと行うことも、入居者や入居希望者の印象をよくするために重要なポイントです。
できるところはDIYで施工費用を削減する
リフォームは、できるところはDIYすることで施工費用を抑えられます。
自分でペンキを塗ったり、クロスやクッションフロアを貼ったりすると、材料の相場を把握できるというメリットもあります。
しかし、知識も経験もないままDIYすると事故やトラブルの元になるため、先輩大家のリフォームを手伝うなどして経験を積んでから、自分の物件をDIYしましょう。
リフォームの人手が欲しい先輩大家を探し、ボランティアでお手伝いすることで基礎技術を身につけられ、現場でどのような道具が必要になるかなども知ることができます。
ただし、リフォーム内容によっては有資格者しかできない改修もあるため、以下のような部分は専門業者に任せるようにしてください。
- 水道管の水漏れ
- ガス給湯器の交換
- ビルトインコンロの機器交換
- 電源直結式のインターホンの交換
管理会社に管理を依頼する
中古アパートを購入したら、いよいよアパート経営に乗り出すことになりますが、管理は個人で行わず管理会社に依頼しましょう。
アパートの管理は、管理会社に委託する「委託管理」と自身で管理する「自主管理」の2通りの方法があります。
しかし、入居者からのクレーム対応や家賃の回収、入居者募集など、個人がアパート管理をすべて行うことには、物理的に無理があるといえるでしょう。
特に、本業があり中古アパート経営を副業として行っている人や、初めてアパート経営を行う人は、管理委託費用を払ってでも管理を業者に任せるのが安心です。
出口戦略まで考える
出口戦略とは、アパートを経営していった先にどうするのか考えることです。
中古アパートの場合は、そのまま売却する、リノベーションして売却する、建て替える、更地にして売却するなどが考えられます。
アパート経営で収益が上がっていても、売却がうまくいかなければ収益がなくなり、損失になってしまうおそれもあります。
出口戦略を考えるタイミングは、物件を購入する前です。
「どのように売却すれば、いくらぐらいになりそうか」をあらかじめ考えた上で、物件の購入に進みましょう。
また、安定的に家賃収入を得て収益を上げるには、空室を埋めることが重要なポイントです。
以下の記事では、空室を埋める方法や空室になりにくいアパートの特徴を紹介しているため、ぜひ参考にしてください。
中古アパート経営の注意点
中古アパート経営で安定的に収益を上げるためには、選んではいけない物件があります。
以下のような点に注意して、物件を慎重に選びましょう。
- 表面利回りが高すぎる物件には注意する
- 築40年以上の物件は購入しない
- オーナーチェンジ物件ならではのリスクがある
一つずつ詳しく解説します。
表面利回りが高すぎる物件には注意する
表面利回りが高すぎる物件、すなわち購入価格が低すぎる物件には、売主にどうしても早く手放したい理由があると考えたほうがよいです。
このような物件は、初期費用が安く済んでも思わぬトラブルがあったり、修繕費がかさんだりするおそれがあります。
また、表面利回りは経費を考慮に入れていないため、現実に即した数字ではないことを念頭に置いておかねばなりません。
表面利回りが高い物件は魅力的に映りますが、甘い見通しをせず、実質利回りで綿密にシミュレーションしましょう。
実質利回りでシミュレーションした上で、収益が出る物件を選ぶのが重要なポイントです。
築40年以上の物件は購入しない
築40年以上の物件を購入してアパート経営を始めるのは、以下の理由からおすすめできません。
- 構造部分が劣化している可能性がある
- 旧耐震基準で建てられている
- 減価償却が終わっている
築40年以上も経過していると、リフォームではどうにもならない構造部分の劣化が見つかり、大幅な改修工事が必要になるかもしれません。
そうなると、物件を安く購入しても、修繕費用がかさんでしまい、キャッシュフローが悪くなって経営が失敗に終わるおそれもあります。
また、1981年5月31日以前に建築された物件は、「震度5程度で倒壊しない」旧耐震基準で建てられています。
現行の「震度6強程度で倒壊しない」新耐震基準で建てられた物件と比べると、耐震性に問題があるといえるでしょう。
さらに、アパートは構造ごとに法定耐用年数が定められていますが、以下のとおり築40年以上の物件は鉄筋コンクリート造と鉄骨鉄筋コンクリート造以外は残存期間がなくなっています。
構造 | 法定耐用年数 |
---|---|
木造 | 22年 |
鉄骨造(骨格材の厚みが3mm以下のもの) | 19年 |
鉄骨造(骨格材の厚みが3mmを超え4mm以下のもの) | 27年 |
鉄骨造(骨格材の厚みが4mmを超えるもの) | 34年 |
鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造 | 47年 |
法定耐用年数が過ぎると、減価償却ができず節税効果が得られないため、税金面でも魅力のない物件といえます。
オーナーチェンジ物件ならではのリスクがある
中古アパートを購入する場合は、以前のオーナーが経営していたアパートを購入するオーナーチェンジ物件がほとんどです。
オーナーチェンジ物件には、以下のようなリスクがあります。
- 入居者がいれば購入前に内見できない
- 退去後に家賃基準が下がることがある
- 入居者との契約内容を変更できない
- 物件購入後に瑕疵が見つかることがある
- リノベーションや建て替えできない
- 入居者とのトラブルがあることがある
- 家賃を滞納している入居者がいることがある
- 管理会社の質が悪いことがある
- 火災保険や保証会社が未加入になっていることがある
入居者がいる場合、部屋を直接見られず、今後水回りや壁紙などをどの程度修繕する必要があるかを確認できません。
その場合は、オーナーに依頼して修繕の実施状況の記録を見せてもらうなど、慎重に調査してリスクを回避しましょう。
オーナーチェンジ物件ならではのリスクについては、以下の記事で詳しく解説しているため、ぜひ参考にしてください。
中古アパート経営に向いている人
中古であってもアパートは大きな買い物であるため、中古アパート経営は誰にでもおすすめできるものではありません。
中古アパート経営に向いているのは、以下のような人です。
- 金銭的なリスク低く不動産投資に挑戦したい人
- 不動産投資をビジネスとして考えられる人
- 節税効果があるほど高年収な人
一つずつポイントを解説します。
金銭的なリスク低く不動産投資に挑戦したい人
不動産投資に挑戦したいけれど、新築アパートを建てるほどの資金をかけられない人におすすめなのが中古アパートです。
築古物件は、新築と比べ修繕費が多くかかる傾向にありますが、新築を建てるより遙かに低価格で手に入れられます。
中古アパートは、金銭的なリスクを抑えて不動産投資を始めたい人や、2棟目に挑戦したい人に向いています。
不動産投資をビジネスとして考えられる人
不動産投資は不労所得といわれますが、簡単に稼げるわけではありません。
特に物件選びが重要であり、不動産投資をビジネスとして捉え、現地での周辺物件を含めた調査に手間を惜しまない人に向いています。
また、ビジネスとして考えるためには、以下のような経営者としての目線も必要です。
- 長期的な視点を持っている
- 数字を根拠に考えられる
- さまざまなリスクを検討できる
さらに、アパート経営がうまくいかなかった場合に、早めに撤退して損切りできるような冷静さを持った人も向いています。
中古アパートを経営した先にどうするのかという出口戦略をしっかり考えられる用意周到さが必要です。
節税効果があるほど高年収な人
中古アパートには法定耐用年数が定められており、残存期間があるうちは減価償却費として経費に計上できるため、節税効果があります。
特に木造アパートは法定耐用年数が22年と短く、1年間で計上できる減価償却費が大きくなり、節税効果が高いです。
減価償却による節税効果があるのは、年収1,000万円以上の人です。
所得税率は、課税所得が900万円以上になると、23%から33%に引き上げられます。
年収で考えると、1,000~1,200万円程度の収入がある人が、中古アパート経営による高い節税効果を得られます。
中古アパート経営の始め方
中古アパート経営をいざ始めようと思っても、何から手をつけたらよいのかわからない人も多いでしょう。
中古アパート経営は以下のステップを踏んで進めていくことをおすすめします。
- 投資するエリアを探す
- 購入する物件を探す
- 不動産投資ローンを申し込む
- 物件を買う
- 管理会社を選定する
- 運用を開始する
空室を作らず、安定的に家賃収入を得るためには立地が最重要であるため、まずは賃貸需要があるエリアを探すところから始めましょう。
エリアが決まったら、不動産会社やポータルサイトなどで物件の候補をいくつか洗い出し、実際に現地を訪れ物件や周辺環境などを綿密に調査します。
ここで注意したいのが、よさそうな物件があっても即決しないことです。
中古アパート経営で成功するためには、物件購入前の事前調査が重要であるため、しっかり時間を使って調査、検討してください。
購入したい物件が決まったら、金融機関の不動産投資ローンに申し込み、審査に通ったら物件の購入に進みます。
売買契約を締結し、決済と所有権の移転登記が済めば購入手続きは終了です。
アパートの管理会社は、アパート経営のパートナーとも呼べるものであるため、現行の会社とそのまま契約するのではなく、自分で選び直すことをおすすめします。
管理会社が決まれば、アパート経営のスタートです。
長期的な視点を持って、安定的に収益を上げられるように経営していきましょう。
まとめ
中古アパートは新築と比べて購入価格が低いため、中古アパート経営では高利回りが期待できます。
オーナーチェンジ物件は全オーナーからこれまでの経営状況を聞けたり、入居者がすでに付いていたりする点もメリットです。
ただし、築古な分、修繕費用がかかりやすい点、入居者を集めにくい点には注意しましょう。
中古アパート経営は、金銭的なリスクを抑えて不動産投資に挑戦したい人に向いています。
不動産投資で正しい選択をするためには、知識とプロからのアドバイスが重要です。
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不動産投資に関するコラムも充実しているため、ぜひ参考にして失敗のない中古アパート経営を目指してください。
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よくある質問
アパート経営を始めるにあたって、資格は必須ではありません。
しかし、不動産に関する全体的な知識を身につけられ、アパート経営のリスクを軽減できるという点で、資格取得はアパート経営に役立ちます。
アパート経営に役立つ資格には、以下のようなものがあります。
・宅地建物取引士
・管理業務主任者
・マンション管理士
・不動産実務検定
・賃貸不動産経営管理士
・住宅診断士
・ファイナンシャルプランナー
・簿記
それぞれの資格については、以下の記事で詳しく解説しているため、ぜひ参考にしてください。