
不動産投資を始める際、まずは区分マンションや区分アパートなどの投資用物件を購入するため、まとまった資金が必要になりますが、条件を満たすことで金融機関から融資を受けられるので自己資金を抑えられます。
しかし、融資を受けられない、購入資金の一部しか融資を受けられない場合には、自己資金が必要になるため、不動産投資を始めることが困難です。
そうした場合、少額で始められる4種類の不動産投資をおすすめします。
この記事では、少額で始められる不動産投資の方法をはじめ、メリット・デメリットやスタートするまでの流れなどを解説します。
ちなみに、どの不動産投資を選択すればよいかわからない場合、以下のリンクから不動産業者の無料相談を受けてみるとよいでしょう。
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少額で始められる4つの不動産投資
少額で始められる不動産投資には、以下の4種類があります。
- REIT(リート)
- クラウドファンディング
- ソーシャルレンディング
- 中古物件の運用
それぞれの不動産投資について、順番に解説していきます。
REIT(リート)
REIT(リート)とは、不動産投資信託のことで、投資家から集めた資金を使って不動産投資をおこない、利益を分配金として還元する仕組みです。
運用する物件の選別や購入・売却、日常の管理などは、不動産投資のプロである不動産投資法人が全ておこなってくれます。
そのため、不動産投資の知識や経験がない初心者でも、気軽に始めやすいという特徴があります。
しかし、不動産投資を任せることに対する手数料・投資信託を購入する際にかかる手数料も加わるため、自分で購入して運用する場合よりも利回りが低くなる上、不動産投資法人の経営がうまくいかないと、破綻する可能性もあるので注意しましょう。
REITは値動きが激しい金融商品で、2021年11月時点の予想配分利回りは平均4%程度です。
例えば、10万円を投資して1年後に売却した場合、4,000円の利益が出る計算で、予想分配金利回りは以下のサイトで確認できます。
参照:「不動産投資信託(REIT)取扱銘柄一覧」(SBI証券)
クラウドファンディング
クラウドファンディングとは、インターネット上でプロジェクトに対する出資者の募集を行う仕組みで、大きく以下の4種類に分類されます。
- 寄付型クラウドファンディング
- 投資型クラウドファンディング
- 融資型クラウドファンディング
- 購入型クラウドファンディング
このうち少額不動産投資に該当するのが、購入型クラウドファンディングです。
物件情報がクラウドファンディングを手掛ける事業者のホームページに掲載されており、興味のある物件を選んで出資します。
REITと同じように見えますが、物件を自分で選べる・実際に物件の所有者または債権者になれるといった違いがあります。
クラウドファンディングでは、出資金に応じた分の配当金が手に入りますが、管理している事業者が不正を働く場合もあるため注意しましょう。
ソーシャルレンディング
ソーシャルレンディングとは、融資型クラウドファンディングのことで、不動産投資をおこなっている企業に対して融資をして、見返りとして利息を得るREITに似た仕組みです。
REITよりも手数料を抑えられるため、ソーシャルレンディングの方が利回りは高い一方で、経営がうまくいかないと、破綻する恐れがある点は同じです。
ソーシャルレンディングを始める際、新しく口座を開設するといった手間がかからないため、手軽に始められる少額不動産投資として注目されています。
中古物件の運用
中古物件の運用とは、新築物件ではなく中古物件を購入して運用することで、新築物件よりも初期費用を抑えて不動産投資を始められます。
新築物件は物件価格だけでなく、建築会社の利益や販売を手掛ける不動産会社の手数料などが上乗せされているため、価格が高くなります。
とくに、区分マンションやワンルームマンションは、アパートや戸建住宅とは異なり「修繕維持積立基金」という新築物件にだけかかる修繕費も上乗せされるため、購入時にはより多くの自己資金が必要です。
しかし、中古物件はそれらの費用が上乗せされない上、実際に不動産を取得できるというメリットがあります。
しかし、固定資産税や修繕費などの支出も増えるため、いくら新築物件よりも価格が安くなるとはいえ、REIT・クラウドファンディング・ソーシャルレンディングよりは初期費用が必要な点に注意しましょう。
少額不動産投資のメリット・デメリット
少額不動産投資は資金が少なくても始められる点が魅力ですが、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?
メリット | デメリット |
---|---|
気軽に始められる | 案件(物件)が限られてしまう |
少額なのでリスクを抑えられる | 手数料で利回りが低くなりやすい |
分散投資でリスクを抑えられる | 空室リスクや修繕リスクなどを伴いやすい |
維持管理を気にせずに済む | 実際に物件を手に入れることができない |
この項目では、少額不動産投資のメリット・デメリットを4種類ずつ解説していきます。

少額不動産投資の4つのメリット
少額不動産投資のメリットは以下の4つです。
- 気軽に始められる
- 少額なのでリスクを抑えられる
- 分散投資でリスクを抑えられる
- 維持管理を気にせずに済む
気軽に始められる
不動産投資を始める際には、区分マンションやワンルームマンション、アパートなどを購入しなければならないため、数千万円以上の資金が必要になるため、気軽に始められる運用方法とはいえません。
しかし、少額不動産投資であるREITやクラウドソーシング、ソーシャルレンディングは、資金が数万円あれば十分始められます。
始めるにあたって多くの資金を必要としないため、気軽に始められるでしょう。
少額なのでリスクを抑えられる
不動産投資では、投資用不動産があって入居者がいる限りは、継続的に安定した家賃収入が手に入ります。
しかし、火災や地震などの自然災害によって投資用不動産が倒壊した場合は、家賃収入が得られません。
もし、保険に加入していなかった場合は、建物の価値分の資産が減少するので大きな損失を抱えることになります。
しかし、REITやクラウドソーシング、ソーシャルレンディングは運用額が小さいため、万が一の事態が起きた場合でも損失を最小限に抑えられるでしょう。

分散投資でリスクを抑えられる
通常、不動産投資を行う際は多くの資金を必要とするため、複数の不動産を保有することはできません。
そのため、空室リスクや家賃滞納リスク、自然災害リスクなどを1点に背負うことになるので、リスクが大きくなってしまいます。
しかし、REITやソーシャルレンディングは、複数の不動産を所有して運用している不動産投資法人や企業に対して投資するのでリスクを分散できます。
維持管理を気にせずに済む
投資用不動産を購入しただけで、自動的に家賃収入が得られる訳ではありません。
入居者募集、建物の管理など、様々な管理業務をおこなう必要があり、これらの管理業務は、不動産管理会社に委託できますが、契約書へのサインや修繕計画に対する意思決定などは依然として大家さんの業務として残っています。
しかし、REITやクラウドソーシング、ソーシャルレンディングは、管理を全て不動産投資法人や企業に任せているため、何もせずに済みます。
また、REITとソーシャルレンディングは物件を選ぶ手間も省けるため、維持管理だけでなく物件選定や出口戦略も気にせずに済むでしょう。
少額不動産投資の4つのデメリット
少額不動産投資のデメリットは以下の4つです。
- 案件(物件)が限られてしまう
- 手数料で利回りが低くなりやすい
- 空室リスクや修繕リスクなどを伴いやすい
- 実際に物件を手に入れることができない
それぞれのデメリットを順番に解説していきます。
案件(物件)が限られてしまう
一般的な不動産投資では、市場に売りに出ている物件の中から自分の条件に合った物件を選んで購入して運用を始めます。
そのため、選択肢が豊富なので、より自分の条件にあった物件を見つけやすいと言えます。
しかし、REITやソーシャルレンディングは案件、クラウドファンディングは物件がかなり限定されてしまうため、自分の条件に合った物件が見つかりにくいことも少なくありません。
利回りが低い、立地条件があまり良くないなど、条件面で妥協しなければならない可能性もあるので注意が必要です。
手数料で利回りが低くなりやすい
購入した賃貸用物件の管理を賃貸管理会社に委託した場合は、家賃総額の5%前後の管理委託費という手数料がかかります。
そのため、REIT・ソーシャルレンディング・クラウドファンディングは、管理委託費の他に購入時の手数料や不動産管理に必要な経費などが引かれるため、利回りが低くなるのが一般的です。
せっかく少額で不動産投資を始められても、得られる利回りが低い点は大きなデメリットと言えるでしょう。

空室リスクや修繕リスクなどを伴いやすい
新築物件を購入して始める不動産投資では、建物のきれいさや設備の新しさなどの魅力である程度の需要が期待できます。
また、建物や設備の修繕が必要になることがほぼないため、委託管理費を除いた家賃収入をそのまま受け取ることが可能です。
しかし、中古物件を購入して始める不動産投資では、自己資金を抑えられる一方で、建物や設備の劣化を修繕するための支出が多くなるため、実際の利回りは低くなることも少なくありません。
また、築年数の経過とともに徐々に需要が下がるなど、空室リスクや修繕リスクが高くなるので注意が必要です。

実際に物件を手に入れることができない
新築物件や中古物件への投資、クラウドファンディングでは、物件を選んで購入するため、実際に物件を手に入れる(所有権または債券)ことが可能です。
しかし、REITやソーシャルレンディングは、不動産投資を行う不動産投資法人や企業への出資なので、実際に物件を手に入れることができません。
「この物件は自分が運用している物件だ」という愛着感がないため、不動産投資の楽しみが少ないこともデメリットと言えるでしょう。
少額不動産投資でも利益を上げるコツ
少額不動産投資の評価を下げている要因は「案件(物件)が限られる」「利回りが低くなる」「空室リスクや修繕リスクを伴う」「物件が手に入らない」の4点です。
これらの要因は利益を下げる要因にもなるため、対策を練ることで少しでも利益を上げることが求められます。
少額不動産投資でも利益を上げるコツは、以下の3つです。
- なるべく築年数が浅い物件を選ぶ
- リノベーションやリフォームを実施する
- 少しでも利回りの高い案件(物件)を選ぶ
なるべく築年数が浅い物件を選ぶ
中古物件は築年数が経過すればするほど価格が低くなるため、より少額で投資することが可能です。
しかし、空室リスクや修繕リスクが高くなるので注意が必要なので、少額不動産投資の中でも中古物件を購入するという手段を選ぶ場合は、なるべく築年数が浅い物件を選ぶことをおすすめします。
そうすることで、建物の劣化具合や設備の古さも比較的軽減されるため、空室リスクや修繕リスクを抑えられるでしょう。
リノベーションやリフォームを実施する
利回りが低くなる要因として挙げられるのは、築年数の経過によって建物や需要が下がることによる家賃の引き下げと修繕費の増加です。
これらへの対策としておすすめするのが、物件のリノベーションやリフォームです。
「費用を抑えて利回りを上げる必要があるのでは?」と思った方もいるかもしれませんが、そこは最初に手を付けてしまったほうが良いと言えます。
必要に応じて修繕を繰り返しても、結局は支出がかさむだけで、不動産会社と相談しながら適切なリノベーションやリフォームを行えば、安定した需要が期待できるようになるほか、継続的な支出を少しでも抑えられるため、利回りの低下を防ぐことが期待できるでしょう。
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少しでも利回りの高い案件(物件)を選ぶ
利回りが低くなる要因には、REITやソーシャルレンディング、クラウドファンディングの手数料が高いということも挙げられます。
これらに対しては、少しでも手数料の少ない方法を選ぶという選択肢もありますが、反対に少しでも利回りの高い案件(物件)を選ぶという選択肢もあります。
案件(物件)が限られているからこそ、しっかりと案件(物件)を選ぶことが、少額不動産投資で少しでも多くの利益を得るポイントといえるでしょう。
少額でできる不動産投資の始め方
REIT・クラウドファンディング・ソーシャルレンディング・中古物件の運用、4種類ある少額不動産投資の始め方についてそれぞれ解説します。
REITの始め方
REITとは証券取引所で売買する金融商品なので、まずは証券会社で口座を開設しなければなりません。
証券口座を開設した後は、口座に入金して取引を開始します。
REITには、オフィスビルが対象のREIT、住居が対象のREIT、商業施設が対象のREITなど様々な種類があります。
その中から興味のあるREITを選んで取引を開始しますが、住居は比較的安定している一方、オフィスビルや商業施設は景気によって賃貸需要や収益性が低下しやすいといった特徴があるため、対象施設の違いをよく理解してから取引を開始しましょう。
クラウドファンディングの始め方
クラウドファンディングでも少額不動産投資を手掛けている業者で会員登録および投資家登録を行って取引用の口座を開設します。
口座を開設して入金した後は、業者が手掛けている少額不動産投資の中から自分に合った案件を選んで投資を開始します。
ソーシャルレンディングの始め方
ソーシャルレンディングもクラウドファンディングと同様で、ソーシャルレンディングを手掛けている業者で会員登録および投資家登録を行って取引用の口座を開設します。
その後の流れも、クラウドファンディングと同じです。
中古物件の運用の始め方
中古物件の運用は、まず物件選びから始める必要があり、不動産ポータルサイトで物件を自分で選ぶ方法や不動産会社に物件を提案してもらう方法などがあります。
他の3つの運用方法とは異なり、ある程度の資金が必要になるため、資金を準備しなければなりません。
自己資金だけで足りない場合には、金融機関でローンを申し込みますが、中古物件にはローンの返済期間が短くなる、融資審査に通りにくいといったデメリットもあります。
返済期間が短いと、1回あたりのローン返済額が大きくなるため、返済シミュレーションをおこなう、金融機関に相談するなど、後でトラブルになることを防ぐための対策を事前に練っておきましょう。
まとめ
不動産投資といえば、マンション経営やアパート経営を思い浮かべる方が多いと思います。
しかし、マンション経営やアパート経営を始める際には、金融機関から融資を受けられても自己資金が不要のフルローンを契約することは厳しく、ある程度の自己資金が必要なので容易に始められるものではありません。
そこでおすすめするのがREIT・クラウドファンディング・ソーシャルレンディング・中古物件の運用といった少額不動産投資です。
少額不動産投資は通常の不動産投資とは異なり、初期投資を抑えられるため、自己資金が少ない人でも始めやすいという特徴があります。
少額不動産投資は分散投資でリスクを抑えられるなどのメリットがある一方、案件(物件)が限られてしまう・手数料で利回りが低くなりやすいというデメリットがある点も否めません。
少額で始められると言っても、資産運用である以上は何らかのリスクを伴うため、入居率が高いかどうか、安定収入が得られるかどうかなど、しっかりと確認してから投資しましょう。
小額不動産投資に関するよくある質問
「REIT(リート)」「クラウドファンディング」「ソーシャルレンディング」「中古物件の運用」という、4種類の方法があります。
気軽に始められる・少額なのでリスクを抑えられる・分散投資でリスクを抑えられる・維持管理を気にせずに済む点の4つです。
案件(物件)が限られてしまう・手数料で利回りが低くなりやすい・空室リスクや修繕リスクなどを伴いやすい・実際に物件を手に入れることができない点の4つです。
なるべく築年数が浅い物件を選ぶこと・リノベーションやリフォームを実施すること・少しでも利回りの高い案件(物件)を選ぶことです。
少額不動産投資の種類のよりますが、証券会社や少額不動産投資を手掛けている業者で口座を開設したり、自身で物件選びから始める必要があります。