相続放棄の仕方と手順をわかりやすく解説!注意点なども説明

相続放棄 仕方 手順

相続と聞くと多くの人は「財産がもらえる」と考えるでしょう。しかし、現金や預貯金、不動産などのプラスの財産(資産)だけでなく、借金や債務といったマイナスの財産(負債)も相続対象です。

そのため、ケースによっては相続財産がマイナスになってしまうことも少なくありません。もし借金や債務などが多くトータルでマイナスになってしまうのであれば「相続放棄」を検討しましょう。

この記事では、相続放棄の仕方を手順に沿って詳しく解説します。また、注意しなければならないことも説明するのでミスやトラブルなく手続きを進められるように、参考にしてみてください。

相続放棄の仕方と手順

裁判所
相続放棄をするには、必要書類を集め家庭裁判所に提出をしなければなりません。相続放棄の手続きは主に以下のような手順でおこなわれます。

  1. 必要書類を入手する
  2. 提出先の家庭裁判所を確認する
  3. 相続放棄申述書・必要書類を提出する
  4. 裁判所から送付された照会書に記入・返信する
  5. 相続放棄受理通知書を受け取る

相続放棄をスムーズにおこなえるように相続放棄の仕方と手順としっかりと理解しておきましょう。

必要書類とそれぞれの入手方法

まず相続放棄に必要な書類は主に以下の通りです。

  • 相続放棄の申述書
  • 被相続人の戸籍謄本
  • 被相続人の住民票の除票または戸籍附票
  • 相続放棄する人の戸籍謄本

それぞれの書類と入手方法については次の項目で解説します。

相続放棄の申述書

「相続放棄の申述書」は家庭裁判所に相続放棄を申し出るときに必要です。口頭での意思表示だけでは手続きをおこなうことは不可能なので必ず作成しましょう。

申述書のひな形や記入例は裁判所のホームページで公開されているので参考してみてください。ちなみに、申述書を提出する際は収入印紙800円が必要です。

参照:裁判所「相続の放棄の申述書(20歳以上)」

被相続人の戸籍謄本

「戸籍謄本」は被相続人と相続人との関係を確認するために必要です。基本的には出生から死亡までの戸籍謄本を取得して、相続人になり得る人数を確定します。

被相続人の本籍地である市区町村役場の窓口や郵送で取得できます。遠方の場合は郵送での取得が一般的ですが、取り寄せに1〜2週間ほどかかることもあるので早めに請求しましょう。

窓口で取得する場合は「出生から死亡までの戸籍謄本が必要」なことを説明すると、過去の戸籍まで発行してくれることがあります。

被相続人の住民票の除票または戸籍附票

「被相続人の住民票の除票または戸籍附票」は相続放棄申述書と一緒に家庭裁判所に提出をします。

住民票の除票は故人が最後に住民登録をしていた市区町村役場、戸籍附票は故人の本籍地の登録がされている市区町村役場で取得できます。

被相続人の本籍地と住民票が違う市町村の場合、戸籍謄本の取得と同時に戸籍附票を取得すると二度手間になりません。

相続放棄する人の戸籍謄本

戸籍謄本も家庭裁判所に提出しなければならない書類です。本籍地のある市区町村役場の窓口や、郵送で取り寄せることで取得可能です。

また、代理人による取得や一部の市区町村ではコンビニで取得もできます。印鑑や本人確認書類などが必要になるので、事前に市区町村役場に確認しましょう。

ただし、相続放棄をする人によって追加で書類が必要になるケースもあります。具体的には以下の書類です。

被相続人の孫(代襲相続)
・被代襲者(孫の親)の死亡の記載がある戸籍謄本

被相続人の父母または祖父母(直系尊属)
・第一順位の相続人の出生から死亡までの戸籍謄本

被相続人の兄弟姉妹またはめい・おい
・第一順位の相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
・被相続人の直系尊属の死亡の記載のある戸籍謄本

提出する家庭裁判所の確認

相続放棄の手続きをおこなうには相続放棄申述書と必要書類を家庭裁判所に提出する必要があります。

ただし、家庭裁判所であればどこでも良いわけではなく、被相続人が最後に住所登録していた場所を管轄する家庭裁判所でなければいけません。相続人が住んでいる住所を管轄する家庭裁判所ではないので注意しましょう。

被相続人が最後に住所登録していた場所は住民票などで確認できます。住所地ごとに管轄裁判所が異なるため、裁判所のホームページを参照するとよいです。
参照:裁判所「裁判所の管轄区域」

相続放棄申述書・必要書類の提出

相続放棄申述書・必要書類の提出は窓口の提出だけでなく、郵送でも可能です。郵送するのであれば「書留郵便」を利用するとよいでしょう。

書留郵便にすると追加費用がかかりますが、引き受けから配達までの送達過程を記録したり配達状況を確認できます。そのため、書類の紛失や郵送事故などによって書類が届かないという場合でも速やかに対処可能です。

ちなみに、家庭裁判所に提出した書類は原則返還されないので、コピーして保管しておくとよいかもしれません。

裁判所から送付された照会書に記入・返信

無事に必要書類が受理されると10日ほどで裁判所から申述者のもとに照会書が届きます。照会書の書式は家庭裁判所によって異なり「照会書のみ」または「照会書と回答書」が送られてくるでしょう。

その内容は「相続放棄は自分の意思なのか」「相続発生を知った日はいつか」などの質問事項が記載されています。すでに申述書に記載されている内容だとしても再度問われることもあります。照会書には具体的に以下のような質問があります。

  • 相続放棄をするのはあなたの意思か
  • 相続開始を知った日はいつか
  • すでに相続した財産はあるか
  • 被相続人とあなたの関係
  • 相続財産にはどのようなものがあるか

もしすでに一部の相続財産を相続している場合は相続放棄が認められない可能性があります。また、相続財産の取り扱いによっては相続したとみなされてしまうこともあるので注意しなければいけません。

相続したとみなされてしまうような取り扱いは以下の記事で詳しく解説しているので、確認しておくとよいでしょう。

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相続放棄受理通知書を受け取る

相続放棄が認められると家庭裁判所から「相続放棄受理通知書」が送られてきます。この通知書が届くと相続放棄の手続きは完了します。

相続放棄受理通知書は再発行されないので大切に保管し、紛失した場合や金融機関などに相続放棄を証明する場合は「相続放棄受理証明書」の発行を家庭裁判所に申請しましょう。

相続放棄受理証明証は相続放棄の申述を裁判所が受理したことを証明する書類です。他の相続人が不動産の名義変更をするときなどに必要になることもあるので、人数分申請しておくとよいです。

相続放棄の注意点

注意点
相続放棄をおこなう際はいくつかの注意点があります。主な注意点は以下の通りです。

  • 手続きは相続発生を知った日から3カ月以内におこなう
  • 相続放棄するべきか検討する
  • 撤回・取消しは難しい
  • 相続放棄したことを親族に連絡する

それぞれの注意点について次の項目から具体的に説明します。

手続きは相続発生を知った日から3カ月以内におこなう

相続放棄の手続きには「相続の開始を知った日から3カ月以内」におこなう必要があります。これを「熟慮期間」といいます。

例えば、被相続人が1月1日に亡くなった(相続が開始した)として、相続人はその事実を2月1日に認知したとします。このケースにおける相続放棄の期限は3カ月後の「5月1日」となります。

もし手続きが期限を過ぎてしまいそうであれば、家庭裁判所に申し立てることで延長(伸長)を認められるケースもあります。

「財産調査をしたけど相続放棄の判断が難しい」などの理由であれば、正当なものだとされ受理してもらえる可能性があります。

一方で「期限があることを知らなかった」「忙しくて期限に間に合わなかった」などの理由は「個人の過失」として受理されないことが多いので早めの手続きが大切です。

相続放棄するべきか検討する

被相続人が「連帯保証人になっている」「個人間で借金を背負っている可能性がある」などのケースであれば相続放棄を検討した方がよいでしょう。

なぜなら、連帯保証人としての義務も相続されるからです。もし借主が返済能力を失ってしまうと、相続した人が借金や債務などを負担しなければいけません。

また、個人間におけるお金の貸し借りは借用書を作成していない可能性もあり、どのくらいの借金があるのか把握できないことも考えられます。

相続放棄をおこなうか慎重に判断するためにも、被相続人にどんな資産や負債があるのかを調査することが大切です。

撤回・取消しは難しい

相続放棄の手続きが完了すると原則、撤回・取り消しは不可能です。負債を抱えないために相続放棄したあとに、資産価値の高い遺産が見つかりプラスに転じる可能性もあります。

このような事情があったとしても相続放棄の撤回・取り消しは認めてもらえません。

そのため、相続放棄を検討しているのであれば、他にプラスの財産が残っていないかしっかりと財産調査をおこなうことが大切です。

撤回・取消しが認められるケース

撤回・取消しはどんな事情だとしても認められないというわけではありません。撤回・取消しが認められるケースは以下の通りです。

  • 詐欺または強迫されて相続放棄した
  • 未成年者が法定代理人の同意を得ずに相続放棄した
  • 成年被後見人が勝手に相続放棄した

例えば「他の相続人に騙されて相続放棄してしまった」場合「自らの意思に反する」として撤回・取消しが可能なこともあります。

また、未成年者や成年被後見人は十分な判断能力を持ち合わせていないと考えられているため、受理されるケースがあります。

ちなみに、撤回・取消しの申述は「詐欺被害にあったことを知った日から6カ月以内」かつ「相続放棄から10年以内」におこなう必要があります。

相続放棄したことを親族に連絡する

相続放棄をすることで次順位の相続人に相続権が移動することがあります。

例えば、被相続人が亡くなり、配偶者と子どもが法定相続人だとします。仮に子ども全員が相続放棄すると被相続人の父母(直系尊属)に相続権が移ります。

このとき、父母がすでに亡くなっていたり相続放棄をすると、第三順位である被相続人の兄弟姉妹が相続人になります。

もし相続放棄したことを親族に連絡しないままだと、父母や被相続人の兄弟姉妹が相続放棄のタイミングを失ってしまう可能性があります。

その結果、次順位の相続人にマイナスの財産を押し付ける形になってしまうというトラブルにもなりかねません。

相続放棄を検討していたり手続きが完了したのであれば、忘れずに親族に連絡することが大切です。

相続放棄は専門家に相談しよう

弁護士
相続放棄は3カ月という短い期間で「相続放棄の検討」「必要書類の準備」「相続放棄の手続き」などをおこなわなければいけません。

平日の日中に仕事をしている人であれば必要書類を入手するために役所へ出向くのは難しいでしょう。また、手続きまでの期限が迫っており間に合いそうにないと不安を抱く人も少なくありません。

このようなケースであれば相続放棄に詳しい弁護士や司法書士などの専門家に相談しましょう。

司法書士は書類作成の代理権のみであるため、申述手続きは相続人本人がおこなう必要があります。

一方で、弁護士であれば手続きすべての代理権を有しているため、手続きも代行してもらえます。また、相続放棄が適切か否かのアドバイスも受けることが可能です。

そのため、相続放棄を全体を任せたいという人は司法書士よりも弁護士に相談すると良いかもしれません。

まとめ

相続放棄は相続が発生したことを知った日から3カ月以内に手続きを終える必要があります。

手続きをおこなうためにはさまざまな必要書類を取得しなければなりません。書類ごとに取得方法や取得先が異なったり時間がかかることもあります。

もし期限が過ぎてしまった場合は相続放棄が認められなくなるので注意しましょう。

「日中は仕事で書類の準備が難しい」「期限に間に合いそうになくて困っている」という人などは相続放棄に詳しい弁護士に相談することが大切です。

最終更新日:
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