相続放棄の仕方と手順をわかりやすく解説!必要書類や費用もすべてわかります

相続放棄 仕方 手順

被相続人の財産に借金が含まれる場合など、相続放棄を考えている人は多いと思います。

必要書類を用意して裁判所へ申述書を提出することで、相続放棄は自分でおこなえます。

ただし、相続期限には3ヶ月の期限があるため、注意が必要です。期限を過ぎてしまうと、相続放棄が認めれない恐れがあります。

相続放棄には、財産の調査や複雑な手続きが必要になります。

相続放棄の手続きを自分でおこなうことが困難だったり面倒に感じる場合は、司法書士や弁護士に手続きを代行依頼するとよいでしょう。

相続放棄の手順

相続放棄の手続きは、1週間前後で完了できます。

また、相続放棄は、以下の手順でおこないます。

  1. 相続放棄に必要な書類を用意する
  2. 財産調査をする
  3. 家庭裁判所に相続放棄の申述をする
  4. 裁判所から届く照会書を記入して返送する

次の項目から、それぞれの手順をわかりやすくお伝えするので、参考にしてください。

ちなみに、相続放棄の手続きを自分でおこなうことが難しい場合は、司法書士や弁護士に代行を依頼できます。

相続放棄の期限は3ヶ月間と定められているので、早めに判断するとよいでしょう。

1.相続放棄に必要な書類を用意する

まずは、相続放棄に必要な書類を用意しましょう。

相続放棄には被相続人の戸籍謄本などが必要ですが、被相続人の本籍地などが遠方で取り寄せが必要な場合は1~2週間程度かかることもあります。

そのため、相続放棄を決めたら準備は早めに始めましょう。

必要書類の一覧と、入手先は次の項目で詳しくお伝えします。

相続放棄に必要な書類と入手先一覧

相続放棄に必要な書類と入手先の一覧は、以下のとおりです。

必要書類 入手先
相続放棄の申述書 裁判所のホームページ
被相続人の住民票除票又は戸籍附票 被相続人の本籍地の自治体窓口
相続放棄する人の
戸籍謄本
本籍地の自治体窓口

上記の書類に加えて、相続放棄する人と被相続人との関係に応じて必要な書類が以下のように異なります。

相続放棄する人が被相続人の配偶者の場合
・被相続人の死亡の記載がある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
相続放棄する人が被相続人の子やその代襲者(孫やひ孫など)の場合
・被相続人の死亡の記載がある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
・孫やひ孫が申立てる場合、本来の相続人の死亡の記載がある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
相続放棄する人が被相続人の両親や祖父母(直系尊属)の場合
・被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
・被相続人の子供で死亡者がいる場合、その方の出生時から死亡時までの戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
・被相続人の直系尊属に死亡者がいる場合、その方の出生時から死亡時までの戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

※直系尊属・・・父母や祖父母など、自分より前の世代で直通する親族。養父母も含まれる。

相続放棄する人が被相続人の兄弟姉妹や甥・姪の場合
・被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
・被相続人の子供で死亡者がいる場合、その方の出生時から死亡時までの戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
・被相続人の直系尊属に死亡者がいる場合、その方の出生時から死亡時までの戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
・甥・姪が申立てる場合、本来の相続人の死亡の記載がある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

戸籍謄本などは、当該人の本籍地がある自治体の窓口で申請すれば、取得できます。郵送対応している自治体も多いので、問い合わせてみるとよいでしょう。

参照:最高裁判所「相続の放棄の申述」

2.財産調査をする

相続放棄は、基本的に後から取り消すことができません。

相続放棄では、マイナスの遺産だけでなくプラスの財産も破棄する必要があります。

例えば「財産が少ないと思っていたため相続放棄したが、後々に遺産として不動産が見つかった」というケースもあります。

そのため、財産調査は今一度しっかりとしておきましょう。

財産調査は自分でもできますが、被相続人の財産における範囲がわからない場合などは、司法書士や弁護士といった専門家に依頼するとよいでしょう。

3.家庭裁判所に相続放棄の申述をする

相続放棄に必要な書類が揃ったら、家庭裁判所へ相続放棄の申述をします。

相続放棄の申述とは、必要書類を家庭裁判所へ提出することです。相続放棄をする本人がおこなうのが原則ですが、未成年の場合は両親などの法定代理人が申述できます。

相続放棄を申立てるのは、被相続人が最後に住んでいた住所地を管轄する家庭裁判所です。

管轄の家庭裁判所は、以下のページで調べることができます。

参照:最高裁判所「裁判所の管轄区域」

4.裁判所から届く照会書を記入して返送する

提出した書類が受理されると、10日ほどで裁判所から照会書が届きます。

照会書の書式は家庭裁判所によって異なり「照会書のみ」または「照会書と回答書」が送られてきます。

この時点ではまだ相続放棄は完了していません。照会書に必要事項を記載して返送する必要があります。

通常、照会書には返送期限が記載されているので、その期限内に返送しましょう。

5.裁判所から相続放棄申述受理通知書が届く

照会書の返送から10日ほどで、裁判所から相続放棄申述受理通知書が届きます。

この通知書が届くと相続放棄の手続きは完了です。

相続放棄受理通知書は再発行されないので大切に保管しましょう。

相続放棄にかかる費用

相続放棄には、印紙代と切手代が必ずかかります。

また、必要書類の取得費も必要となるケースが多いです。

相続放棄にかかる費用として、一番高額となるのは司法書士や弁護士への依頼費用ですが、相続放棄は自分でおこなえます。

この項目では、相続放棄を自分でおこなう場合と司法書士などに依頼する場合、それぞれの費用について詳しくお伝えします。

手続きを自分でする場合は2,000〜5,000円程度

相続放棄の手続きを自分でする場合、かかる費用は2,000~5,000円程度が相場です。

内訳は以下のとおりです。

種類 金額
印紙代 800円
切手代 約500円
戸籍謄本 約500~750円
住民票 約300円

財産調査が必要であれば、調査する財産に応じて書類の取り寄せなどに数千円がかかる可能性があります。

司法書士・弁護士に手続きの代行を頼む場合は3~7万円程度

相続放棄の手続きは、司法書士や弁護士に代行してもらうことも可能です。

申述書の作成や戸籍取得なども代行してもらえるため、以下のような場合は司法書士や弁護士に代行してもらうのもよいでしょう。

  • 相続放棄を手続きする時間がない
  • 自分で手続きできるか不安
  • 期限である3ヶ月が過ぎてから相続放棄したい

相続放棄の代行にかかる費用は、3~7万円が相場となりますが、事務所ごとに値段は違うため事前に確認しておきましょう。

また財産がすべて明らかになっておらず、相続するべきか迷っている場合、財産調査も約20~30万円で司法書士や弁護士へ依頼できます。

訴訟や交渉をともなう場合は弁護士へ依頼しよう

弁護士よりも司法書士へ依頼した方が、費用は安いのが一般的です。

しかし、司法書士は法律行為に制限があり、請求額が140万円を超える訴訟手続きや、交渉を要する遺産分割は受任できない場合があります。

そのため、訴訟や交渉をともなう相続の場合は、弁護士へ依頼した方がよいでしょう。

無料相談を受け付けている弁護士事務所も多いので、まずは一度相談してみることをおすすめします。

相続放棄をする前に知っておくべきこと

相続開始後は葬儀や遺品整理などで忙しく、つい遺産分割は後回しとなってしまうケースは珍しくありません。

逆に、被相続人に借金があることがわかっている場合などは、借金を引き継がないためにも相続放棄を急いでしまう人は多いです。

しかし、一度相続放棄をすると、後から取り消すことは原則できません。

そのため、次の項目から相続放棄をする前に知っておくべきことをお伝えします。

また、以下の記事を参考に相続放棄のメリットとデメリットもよく確認しておくとよいでしょう。

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相続放棄の期限は相続の開始を知ってから3ヶ月間

相続放棄には、期限が決められています。

それは「相続の開始を知ってから3ヶ月間」です。

相続の開始を知ったときというのは、一般的に以下の2パターンがあります。

  • 被相続人が亡くなった日から3ヶ月間
  • 被相続人との身分関係を知った日から3ヶ月間

また、相続には優先順位があり、先順位の相続人が相続放棄をすると後順位の相続人へ遺産が相続されます。

第九百条 同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。
一 子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする。
二 配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は、三分の二とし、直系尊属の相続分は、三分の一とする。
三 配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は、四分の三とし、兄弟姉妹の相続分は、四分の一とする。
四 子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする。出典:e-Govポータル「民法第900条」

そのため、本来は相続するはずのなかった後順位の相続人が、先順位の相続人が相続放棄したことによって負債を相続してしまうケースがあります。

その場合「先順位の相続人全員が相続放棄をした事実を知ったとき」から3ヶ月間は、相続放棄が認められます。

もしも、やむを得ない事情によって3ヶ月以内に相続放棄の手続きが難しい場合は、家庭裁判所へ「相続の承認又は放棄の期間の伸長」を申請しましょう。

申請が受理されると、相続放棄までの期限をさらに3ヶ月伸ばすことができます。

期限の伸長に必要な書類などは、以下のページで確認できますので参考にしてください。

参照:最高裁判所「相続の承認又は放棄の期間の伸長」

3ヶ月の期限を過ぎてしまったら早急に弁護士に相談を!

相続放棄が可能な期間の起算日から3ヶ月が経つと、原則的に相続放棄できません。

ただし、事情によっては相続放棄が認められる可能性があります。

その際「相続放棄に期限があることを知らなかった」という理由は認められませんので、注意しましょう。

3ヶ月が過ぎた後に相続放棄をしたい場合は、期限に間に合わなかった事情や、相続放棄をしたい理由を裁判所に認めてもらわなければなりません。

そのため、早急に弁護士へ相談して対策するとよいでしょう。依頼をするときは、相続問題に詳しい弁護士を選ぶのがおすすめです。

相続放棄に他相続人の同意は不要だが事前に通知しよう

相続放棄は、他の相続人に同意を得る必要はありません。

しかし、自分が放棄した財産は他の相続人に分配されます。

放棄した財産にマイナスの財産が含まれていると、のちに相続人同士でトラブルとなる恐れがあります。

そのため、相続放棄をするときは、他の相続人にも知らせてから手続きを開始するのがよいでしょう。

相続放棄をしても保険金や遺族年金は受取り可能

相続放棄をしても、被相続人が加入していた生命保険の保険金や遺族年金は受け取れます。

なぜなら、保険金や遺族年金は保険会社などから直接相続人へ支払われるものであるため、相続時の財産には含まれないからです。

つまり、保険金や遺族年金は被相続人の財産ではなく、受取人の固有財産として扱われます。

相続人が保険金を受取る際は、以下の基準で一定の保険金額が非課税とされる制度があります。

「500万円×法定相続人数」の額が非課税となる

ただし、相続放棄すると相続人とはみなされないため、非課税の適用を受けられないことに注意が必要です。

限定承認なら一部の財産のみ相続できる

被相続人に多額の借金があり、相続放棄を検討しているケースはよくあります。

しかし、なかには「借金は引き継ぎたくないが、どうしても手元に残したい遺品がある」という方もいるのではないでしょうか。

そのような場合「限定承認」を検討してみるとよいかもしれません。

限定承認とは、引き継ぐプラスの財産分だけマイナスの財産も引き継ぐ制度です。

例えば、被相続人に2,000万円の借金があるけれど、形見として20万円の価値がある腕時計を相続したい場合、借金も20万円引き継ぐことで腕時計を相続できます。

また、被相続人にどれくらいマイナスの財産があるのかわからない場合も、限定承認が選択されるケースが多いです。

ただし、限定承認は相続放棄とは違い、相続人全員でおこなう必要があります。

また、清算が必要になることも多く、相続放棄よりも手続きが複雑となります。

限定承認を利用したい場合は、弁護士に相談するとよいでしょう。

まとめ

相続放棄は自分でもできますが複雑な相続の場合や期限間近の場合などは、司法書士や弁護士に依頼したほうが確実です。

また、一部の財産のみ引き継ぎたいときや、負の財産がどれくらいあるかわからない場合は、限定承認も検討するとよいでしょう。

相続対象の財産が「訳あり物件」であり、相続を迷っているのなら、訳あり物件専門の買取業者へ査定や買取を依頼するのをおすすめします。

当社でも、査定や相談を無料でおこなっていますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

相続放棄に関するよくある質問

相続放棄はどのような手順でおこなえばよいですか?

必要書類を用意した後、財産調査で相続対象の財産を特定しましょう。
そして家庭裁判所に申述書を提出して、裁判所から届く照会書を記入して返送することで相続放棄が完了します。

相続放棄の手続きには、どのくらいの期間が必要ですか?

相続放棄の手続きから完了するまで、1週間前後でおこなえます。

相続放棄にかかる費用はどのくらいですか?

自分で手続きする場合、2,000〜5,000円程度でおこなえます。司法書士・弁護士に代行してもらう場合は3~7万円程度かかります。

相続放棄はいつまでに手続きすればよいですか?

相続放棄には期限が決められているため、相続開始を知ってから3ヶ月以内に手続きしましょう。期限を過ぎてしまった場合、司法書士や弁護士へ手続きを依頼する必要があります。

相続放棄するべきか迷った場合、どうすればよいですか?

一部の財産のみ相続したい場合、限定承認という方法があります。相続すべきか迷う対象が不動産の場合、訳あり物件の専門業者に買取してもらうとよいでしょう。

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