再建築不可物件は民泊として運営できる?条件から注意点や手続き内容まで解説

再建築不可物件

一般の不動産よりも売却価格が低くなる再建築不可物件。今すぐにお金が必要でないのであれば、売却せずに投資をするなど有効活用したいと考える人は少なくありません。不動産投資や空き地の活用方法などで今、注目を集めているのが民泊です。特に、今は外国人観光客の増加により、インバウンド需要が増えています。

日本政府観光局の発表によると、2018年7月の訪日外客数は前年同月比5.6%増の283万2千人でした。今後もますます外国人観光客が増加し、民泊の需要は高まっていくことが予想されます。

では、再建築不可物件を民泊として利用することは可能なのでしょうか。ここでは、再建築不可物件や民泊の概要から、民泊として利用するための条件や注意点、手続きの方法まで詳しく解説します。

再建築不可物件は民泊として運営できる?

民泊
はたして再建築物件は民泊として運営できるのでしょうか。それを知るためには、再建築物件とは何か、民泊とは何か、それぞれの概要を理解する必要があります。それぞれの概要を見ていきましょう。

再建築不可物件とは

 
再建築不可物件とは、その土地の上に建っている建物をつぶし、再度建築することができない不動産のことです。

実は、建物を建てるためには、道路に接している(前面道路)土地と建築基準法上の道路の2つの接道要件を満たさなければならない義務があります。これを接道義務といいます。

建基法(建築基準法)第43条には、「建築物の敷地は、道路に2メートル以上接しなければならない」と定められています。つまり、建築基準法上の道路に2メートル以上接していない場合は、建物を建築することができません。

また、ここでいう道路とは、建築基準法上の道路のことです。建築基準法上の道路とは道路幅が4m以上の道路で、道路法などの法律で決められた道路です。(法律が定められる前から使われていた一定の私道なども、建築基準法上の道路に含む)

具体的に言うと、間口が2m未満の建物や、道路に面していない土地にある建物は、接道義務を満たしていないため、再建築ができません。また、道路幅が4m未満の道路の場合も、建築基準法上の道路でないため、再建築できません。再建築するためには、隣地などを購入し間口を広げたり、セットバックなどをして道路の幅員を広げたりする必要があります。

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民泊とは

民泊とは、本来、民家に泊まるという意味の言葉です。しかし、新しい法律ができて個人宅などでも観光客を泊めることができるようになったため、今では民泊とは「お金を取って個人の家や別荘、マンションなどに宿泊すること」または「その宿泊施設のこと」という意味合いになっています。

今までの民泊は、簡易宿所として旅館業の許可を受けたり、民泊条例を制定した自治体の許可を受けたりする必要がありました。ただし、その許可を受けるにはハードルが高く、無許可で民泊を運営する人が現れるなどの問題がありました。しかし、外国人観光客などの宿泊施設が足りないといった問題もあったため、個人でも比較的簡単に民泊をすることができる新しい法律(民泊新法)を施行したのです。

再建築不可物件は民泊として運営できる

では、再建築不可物件は民宿として運営できるのでしょうか。結論から言うと、運営できます。詳細は後の項で述べますが、民泊をすることができる新しい法律(民泊新法)に、「再建築不可物件は民泊ができない」といった制限がないからです。逆にいうと、再建築不可物件であっても、民泊運営の条件さえ満たせば、民泊として運営することが可能になります。

民泊として運営できない条件とは?

では、民泊として運営できる条件とできない条件について見ていきましょう。

3つの民泊

実は、民泊には「旅館業法の民泊」と「民泊条例の民宿」、「住宅宿泊事業法(民泊新法)の民宿」の3つが存在します。簡単にその3つについて見ていきます。

①旅館業法の民泊

もともと旅館業法の中には、単独の施設としての「民泊」というものはありません。部屋がいくつかあるカプセルホテルなどの簡易宿所が、民泊に該当します。住宅宿泊事業法(民泊新法)ができるまでは、お金をとって宿泊させる場合、原則、旅館業法の許可が必要であったため、昔から民泊を営んでいる宿などは、「旅館業法の民泊」といわれます。

②民泊条例の民宿

民泊条例とは、国から国家戦略特区に指定された自治体の中のいくつかが設けている、民泊についての特別な条例です。

民泊条例では、民泊をするための条件などが定められており、その条件をクリアし許可を得ると、民宿を運営することができます。東京都の大田区や大阪市、北九州市、新潟市、大阪府の一部などの自治体が民泊条例を定めています。

③住宅宿泊事業法(民泊新法)の民宿

2018年6月15日に施行された、住宅宿泊事業法によって運営される民宿のことです。一般的な戸建て民家や、所有している再建築不可物件を使う場合の民宿に該当するのが、主にこの「住宅宿泊事業法(民泊新法)の民宿」です。

民宿を運営できる要件や基準が、旅館業法などに比べて大きく緩和されています。ホテルや旅館を民宿に使用するのではなく、住宅を民宿として利用できるところが、住宅宿泊事業法(民泊新法)の民宿の大きな特徴です。ただし、自治体によって用途地域や期間などが細かく規制されていることもあります。

住宅宿泊事業法(民泊新法)の民宿では、家主が宿泊者と一緒に宿泊して民泊を管理する「家主居住型」と、家主は宿泊せず、民泊施設管理者が民泊を管理する「家主不在型」があります。住宅宿泊事業法(民泊新法)の民宿では、住居地域でも運営ができます。

民宿を運営できる条件

再建築不可物件で民宿を運営する場合は、住宅宿泊事業法(民泊新法)によるケースが多いです。そこで、ここでは住宅宿泊事業法(民泊新法)によって民宿を運営する要件について解説します。民宿を運営できる主な要件は次のとおりです。

①営業日数

住宅宿泊事業法(民泊新法)による民宿では、営業日数の上限が決められています。営業できるのは、1年間に180日までとなります。180日以上営業する場合は、旅館業法の許可を受ける必要があります。また、1日単位での貸し出しとなります。

②住宅(家屋の設備)

住宅宿泊事業法で民泊を運営するためには、その家屋が住宅でなければなりません。その家屋が住宅として認められるためには、台所や浴室、便所や洗面設備など、生活の本拠として使用するために必要な設備を揃える必要があります。

③行政への届け出

住宅宿泊事業法(民泊新法)により民泊を運営するためには、都道府県知事に各種届出書類を提出する必要があります。

④衛生面や安全面の確保

民泊を運営するためには、定期的な清掃などの衛生面の確保、非常用の照明器具や火災報知器、避難経路の表示などの安全面の確保が必要です。

また、外国人向けの案内や宿泊者名簿などの帳簿管理も必要となります。家主不在型の場合は、これらの管理ができる民泊施設管理者の駐在も条件となります。

民宿として運営できない条件

ここまでで、民宿を運営できる条件について確認しました。では、民宿として運営できない条件とはどのようなものがあるでしょうか。

①上記の条件を満たしていない場合

まず、上記の「民宿を運営できる条件」を満たしていない場合は、民宿を運営することができません。例えば、1年に180日以上運営している(旅館業法の許可なし)場合、台所や浴室、便所や洗面設備などがない、ガレージなどのスペースを貸し出している場合は、民泊として運用できません

②住宅であるための判定から外れていること

上記の条件以外に注意すべき点は、住宅であるかどうかの判定です。住宅とは、人が現在生活している家屋のことです。そのため、その住居に住民票がある人が実際に住んでいる、通常の住宅の場合は問題ありません。

実はそれ以外にも、住宅宿泊事業法で住宅とされている家屋があります。1つは、今は住宅として使っていないが売却に出していたり、賃貸物件にするために住居人の募集をしていたりする物件です。買い手や入居者が見つかるまでの間、民泊に利用することは認められています。

ただし、民泊を営業するために、売却や賃貸の入居者の募集をしているように見せかけている場合や、わざと不利な条件を提示している場合などは住宅とみなされないので、注意が必要です。

また、今は住んでいないが、昔住んでいて将来、再度居住しようとしている物件や、季節などに応じて毎年少しの期間、利用している家屋なども住宅とされます。新築の家屋は住宅としてみなされないため、注意が必要です。

民泊を運営するために必要な手続き内容は?

民泊申請書類
再建築不可物件でも民泊として運営できます。では、民泊を運営するために必要な手続きとはどのようなものでしょうか。

旅行業法や民泊条例の民泊では、許可制や認定制をとっています。しかし、住宅宿泊事業法での民泊は、届出制です。必要書類を揃えて、各自治体に届け出をすると、承認がおりて民泊を運営できるようになります。では、手順を見ていきましょう。

①事前準備

民泊を運営するための届け出を提出するためには、次の事前準備が必要です。

民泊を運営しようとする自治体の情報を確認する

各自治体では、営業日数や区域などで独自の制限を設けている場合もあります。そこで、あらかじめ各自治体で民泊に対する規制がないかどうか、情報を確認しておく必要があります。

住宅宿泊事業届出書の用意

住宅宿泊事業届出書は、各自治体の窓口や観光庁の民泊制度ポータルサイトなどで入手することができます。

消防法令適合通知書の入手

民泊の適正な運営を確保する目的から、届出時に消防法令適合通知書も合わせて提出する必要があります。消防法令適合通知書は、管轄する消防署で入手します。

その他必要書類の用意

住宅の登記事項証明書や図面、届け出を提出する人が賃借人の場合は賃貸人が承諾したことを証する書類など、状況に合わせて必要な書類を用意する必要があります。

②住宅宿泊事業届出書の作成・申請

事前に用意した住宅宿泊事業届出書を作成し、自治体窓口(住宅の所在地を管轄する都道府県知事等)に申請します。
住宅宿泊事業届出書には、届出者の氏名(法人名や屋号)や住所、住宅の所在地や不動産番号、住宅宿泊管理業者の氏名等の情報や住宅の図面などを記載します。

③審査結果の通知

住宅宿泊事業届出書の提出をして、おおむね2週間程度で審査結果の通知が届きます。
承認がおりれば、手続きの完了です。

書類の作成や必要書類の用意は少し複雑です。不明な場合は行政書士などの専門家に相談した方がよいでしょう。

民泊を運営する上での注意点は?

民泊の手続きが終了したら、いよいよ運営開始です。では、民宿を運営する上で、どのような注意点があるか見ていきましょう。

①近隣への対策を怠らない

民宿を運営するうえで、注意しなければならないのが近隣住民とのトラブルです。ゴミなどの衛生面や騒音などで、近隣住民とトラブルになりがちです。近隣住民から苦情がでても対処せずに放っておくと、自治体などから営業日数などに制限がかかる可能性もあります。近隣住民から苦情がでた場合は、真摯に対応する必要があります。

②収益を上げるなら、旅館業法の許可を取得する

住宅宿泊事業法(民泊新法)による民宿の運営は1年間で180日までと決まっています。しかし、この条件で不動産投資として民宿を運営する場合、初期投資が回収できない、金融機関からの融資の返済が難しくなる、利回りが良くないなどのデメリットがでてきます。

そこで旅館業法の民宿許可を取得します。旅館業法の民宿は住宅宿泊事業法(民泊新法)よりも厳しい条件がありますが、180日以上の運営ができるため、収益性は向上します。

③再建築不可物件を購入して、民宿を運営する場合は注意が必要

再建築不可物件を購入して民宿を運営する場合は、建物を取り壊しても、再建築することはできません。セットバックなどの処置をして家屋を新築したとしても、最低床面積以下となってしまい住宅として認められず、住宅宿泊事業法(民泊新法)による民宿の運営ができない可能性があるので注意しましょう。

ただし、再建築不可物件は建物の再建築はできなくても、リフォームやリノベーションはすることが可能です。再建築不可物件を購入して民宿を運営する場合は、古戸建のリフォームやリノベーションを検討しましょう。

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再建築不可物件の民泊運営で、さらに収益を上げる方法は?

民泊収益
民宿オーナーやホストにとって重要なのが、収益を今以上にあげるためにはどうすれば良いかということです。
民宿経営で収益をあげるためには、収入の増加と経費の削減を行うことです。収入の増加と経費の削減を行うことで利益が増加します。それぞれについて見ていきましょう。

①収入の増加

収入の増加で重要なのが、稼働率と価格調整です。例えば、民宿がある場所が都市部や京都などのメジャーな観光地であれば、稼働率は常に高いでしょう。さらに稼働率をあげるためには、最新の他の民宿の宿泊料や住宅やアパートの家賃などを住宅情報や不動産会社から調べ、少し安い金額に設定したり、付加価値を付けるなどサービスを充実したりします。

また、観光客が多い時は宿泊料を高く、少ない時は安くするなどの価格調整は、収入を増加させることに必要です。価格調整をうまくするためには、日本人だけでなく、外国人の需要も知ることが重要です。日本と海外では、祝日や大型連休などの時期が異なるため、常に、海外の事情もリサーチしておく必要があります。

②経費の削減

民泊の経営では、当初予定していたよりも、経費がかかりがちです。タオルなどの備品代や清掃費、管理業者の費用など、さまざまな経費がかかります。経費の削減にはいろいろな方法があります。家具や備品は、民宿用の中古品を扱う業者などを使えば、安く手に入れることができます。

しかし、経費を削減するいちばんの方法は、民宿のオーナーやホストが自分でできることを自分ですることです。例えば、清掃や民宿の管理を業者に委託せず自分ですることで、その分の経費を削減できます。民宿によって部屋数が異なるため、管理できる範囲も民宿によって違います。まずは、自分で出来る範囲がどこまでかを精査してみる必要があります。

まとめ

再建築不可物件であっても、民宿を運営することは可能です。再建築不可物件は建て替えができませんが、リフォームやリノベーションをすることが可能です。リフォームやリノベーションを行い、民宿として運営しましょう。

また、民宿を運営するためには、さまざまな書類や設備を揃え、行政機関への届け出や許可を受ける必要があるため、しっかりと事前準備を行わなければなりません。さらに、民宿を運営すれば、黒字が出る場合も赤字が出る場合もあります。収支についてしっかり考え、健全な民宿運営を行いましょう。

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