連帯保証人なしでも不動産投資ローンを引き出すための方法

連帯保証人なし 不動産投資ローン

不動産投資をしようと思い立った場合、全額を自己資金から支出して始められる人はそう多くありません。多くの場合は、金融機関からの借入れ金を運用することで賃貸経営をスタートすることでしょう。しかし、「不動産投資ローンを借りたいけど、連帯保証人がいない」という悩みはよく聞かれるものです。

この記事では、連帯保証人なしで不動産投資ローンを利用する方法を解説していきます。

不動産投資ローンは「連帯保証人付き」が原則

連帯保証人
不動産投資ローンは、原則として連帯保証人を求められます。事業資金としてのローンであるためです。連帯保証人として最適なポジションにいるのは、借り入れる人の配偶者です。配偶者がいなければ、次の候補は親兄弟ということになるでしょう。配偶者にしろ親兄弟にしろ、連帯保証人として機能すると判断されるためには、以下のような基本的条件をクリアしていなければなりません。

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1.収入

一番重要なのは収入です。当然、収入の多い人であるほど金融機関は安心します。ただし、配偶者が連帯保証人になる場合は、専業主婦などの無職でも可とされる場合が少なくありません。借り入れる人にもしものことがあっても、不動産は配偶者が相続することになるためだと思われます。

2.職業・職種

上場企業の正社員や公務員、医師、弁護士など、いわゆる「属性の高い」職業に就いている人であれば、たとえ収入が平均的な水準であったとしても問題ないと判断される傾向があります。

3.年齢

年齢も重要なポイントです。高齢者と呼ばれる年代だと、借り入れ期間中に死亡してしまう可能性もあるため、連帯保証人としては望ましくありません。親よりも配偶者の方が連帯保証人に適しているのは、このためでもあります。

4.信用情報

過去に債務整理をした経歴がないか、現在多額の借り入れをしていないかなども確認されるでしょう。長引く経済不況に加え、晩婚化や非婚化が進む現代ですから、配偶者や親兄弟の中から連帯保証人を見つけてくれと言われても難しい、という人も少なくありません。仮に連帯保証人になってくれる存在がいるとしても、100%迷惑をかけないという保証はないため、万が一のことを考えるととても頼めない、という人もいます。

では、連帯保証人を付けずに不動産投資ローンを引き出すためにはどうしたら良いでしょうか。考えられる手段は、「法人化する」ことと「団体信用生命保険を活用する」ことです。

法人設立によってローンを引き出す

法人設立
合同会社など初期投資が安価な会社でよいので、まず会社(法人)をつくることが重要です。なぜなら、法人として不動産投資ローンを申し込む場合には、第三者の連帯保証人を付ける必要がないからです。かつて「バブル」と呼ばれる時代においては、法人代表者の友人や知人など、経営と無関係な個人が連帯保証人となる事例はよくありました。しかしバブルの崩壊と共に多くの法人の業績は悪化し、順調だった返済も滞るようになります。当然、その余波は連帯保証人に及びました。督促に関する現在のような法規制のない時代ですから、取り立ては熾烈を極めたことでしょう。連帯保証人になったことですべてを失い夜逃げしたり、最悪の場合は一家心中や自殺を選ぶ人も大勢いました。そもそも、往々にして巨額の負債になる法人の借り入れについて、個人の連帯保証人に弁済責任を課すこと自体が不合理だったわけですが、バブル景気の真っ只中にいた人々にとっては「お金がなくなる」「返済を迫られる」というイメージが頭に浮かぶことすらなかったのかもしれません。法人の連帯保証人についての規制は、このような悲惨な先例を繰り返さないために設けられたものです。

話を戻しましょう。法人が不動産投資ローンを申し込む場合は、法人の代表者が連帯保証人となることで審査をクリアできる可能性があります。ただし、連帯保証人を付けずに法人として不動産投資ローンを引き出す場合は、良くも悪くも会社と運命を共にすることとなります。事業としての不動産投資が失敗してしまえば、会社も自分も共倒れです。このことは、「不動産投資ってブームだしなんか儲かりそうだから」などという浅はかな理由で不動産投資をスタートし、結果として行き詰るような人を出さないための、一種の抑止力ともなっています。会社と自分が運命共同体であると認識していれば、間違っても倒産などしないよう、事業計画や返済プランを緻密に立てて堅実に運営をしていく覚悟が決まることでしょう。

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法人設立後の流れ

では、晴れて法人を設立したとして、その後はどのように運営していけば良いのでしょうか。ここでは、法人として無事にローンを引き出せたと仮定した場合の、おおよその流れをご紹介します。

  1. 投資用物件のオーナー(または親族)が出資して、不動産保有会社を設立
  2. オーナーからの借入金や社債の引き受け、ローンなどで投資用物件の購入資金を用意
  3. 投資用物件を法人名義で取得し、賃貸経営をスタート
  4. 賃料収入を法人の売上として計上
  5. 不動産保有会社として、オーナー(または親族)に対して給与を支払う

ひとたび賃貸経営がスタートすれば、あとは毎月4と5を繰り返していくのみです。

法人設立のメリット

法人化がもたらす効果は、ローンを引き出しやすくすることだけではありません不動産投資における次のようなメリットもあります。

1.所得分散ができる

法人としての所得を分散することで、個人の実効税率を抑えられるのがメリットのひとつです。法人ではない個人が不動産投資をする場合だと、所得が増えるほどに実効税率が上がり、税額負担が大きくなってしまいます。法人であれば、配偶者や親族を役員または社員としておき給与を支払うことで、所得が大きくなったとしても複数名に分配することで税額負担を抑えられます。ポイントは、給与を支払う配偶者や親族に役職を付けるだけでなく、実際の経営責任や役割を付与しておく必要があることです。これを怠ると税務上は給与として認められなくなってしまい、代表者の所得が膨らんだままになってしまうこともありますので、よく注意しておきましょう。

2.給与所得控除を受けられる

所得を圧縮する効果が高いのが、給与所得控除です。個人が不動産投資をして得た所得は、ほとんどそのまま課税所得とされてしまいます。法人であれば、役員や社員に給与を支払うことで給与所得控除が受けられるため、課税所得を大幅に減らすことができるのです。1も2も、所得の再分配が可能である法人ならではのメリットと言えるでしょう。

団体信用生命保険加入でローンを引き出す

団体信用生命保険
団体信用生命保険とは、住宅ローンなどを借り入れた人が死亡したり高度障害状態になった場合に、ローン残債分の保険金が下りて相殺してくれるという保険です。返済中、借り入れた人の身に万一のことがあっても、残された家族が多額の負債を抱えなくて済むということから、生命保険感覚で利用する加入者も多くいます。投資用物件のローンに団体信用生命保険を利用する場合は、個人のみが利用できます

団体信用生命保険の注意点

団体信用生命保険を利用する場合は、以下の3点に注意しましょう。

1.金利が上がる

団体信用生命保険の保険料は、ローン金利に上乗せする形で支払うことが多くなります。そのため、通常のローンよりは金利が高くなるでしょう。

2.融資金額の上限に注意

団体信用生命保険を利用する場合には、融資可能な金額に限界があります。一般的には、信用金庫などは5,000万円まで、メガバンクや都市銀行などは1億円まで、というのが基準になっているようです。

3.健康状態が悪いと加入できない

生命保険と同一ではないとしても一種の保険ですから、契約者の健康状態については一定の基準を満たしていなければなりません。既往症の有無や種類によっては、加入できない場合があります。

まとめ

連帯保証人なしで不動産投資ローンを引くためには、投資用物件としての価値が高い不動産を選ぶこと以上の切り札はないでしょう。言うまでもなく、金融機関は融資を検討するにあたって、申込者と連帯保証人の属性を注意深く考慮します。ただ、それ以上に重視されることがあるのは、対象となる不動産の価値です。

投資用不動産の価値は、収益性と担保価値という2つの側面からはかられます。収益性の高い不動産であれば、継続的で安定した収益を想定できるため、返済が焦げ付く心配も軽減されます。万が一返済が滞ることがあっても、担保としての価値が高い不動産であれば、没収して売却してしまえば融資額の回収も容易です。このようなわけで、申込者に連帯保証人がいないとしても、その不安を補って余りあるような優良不動産であれば、ローンを引き出せる可能性は高まります。場合によっては、不動産の購入額以上の融資が下りることもあるでしょう。

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