
不動産投資を始めるにあたって、「現金一括購入」と「ローン購入」のどちらを選ぶかは重要な問題です。
不動産投資は長期的な視点で行うものですが、最初の物件購入方法によって、運用方法や収益に大きな影響が出ます。
逆に言えば、どのような運用をしたいのか、どの程度の収益を狙うかで、現金一括購入とローン購入の向き不向きが変わります。
この記事では、現金一括購入とローン購入それぞれのメリット・デメリットや向き不向き、選ぶときの判断基準を解説します。不動産投資を始めるにあたって、どのように物件を購入するか悩んでいる人は、ぜひ最後までご覧ください。
なお、より自分に合ったアドバイスが欲しい場合は「不動産投資会社」に相談しましょう。細かい希望や状況をヒアリングしたうえで、資金計画や物件選びを的確にサポートしてくれます。
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目次
不動産投資はローンと現金一括購入どちらで始める?
現金一括購入とローン購入のどちらが良いかは、どの不動産投資家にとっても悩ましい問題です。この問題には一概に正解というものがなく、自分の状況や目的に合わせて最適な方法を選ぶ必要があります。
判断基準としては、以下の3つが重要です。
- 自己資金の有無
- 物件購入までの時間
- 不動産投資の運用スタイル
それぞれ詳しく解説していくので、どちらの購入方法が自分に適しているかの参考にしてください。
判断基準1|自己資金の有無
不動産投資を始める際にまず考えるべきことは、自己資金の有無です。自己資金がなければ、そもそも現金一括購入は選べません。
注意すべきなのは、ほしい物件の価格が自己資金内であっても、ギリギリのラインで購入してはいけない点です。自己資金をすべて購入費用に使ってしまうと、その後の運用に余裕がなくなってしまいます。
どれだけ良い物件を購入しても、生活に支障が出てしまう無理な投資だとうまくいきません。そのため、現金一括購入は「物件購入費用を差し引いても自己資金に余裕がある場合」に選びましょう。
なお、不動産投資に必要な自己資金については、関連記事を参考にしてください。

判断基準2|物件購入までの時間
現金一括購入とローン購入の違いとして、「物件を買うまでの時間」が挙げられます。ローン購入の場合、金融機関の審査で通常1ヶ月程度かかります。
物件をすぐに購入したい場合や、すぐに買わないと売れてしまうような優良物件を見つけたなどの場合は、現金一括購入のほうが確実かつスピーディーです。反対に、急いで購入する必要のない物件であれば、無理して現金一括購入しなくても良いでしょう。
ただし、物件購入を焦って事前の調査を怠ると、何らかの瑕疵(欠点・欠陥)を見落とす可能性があります。また、購入を急かしてくるような不動産会社は悪徳業者の可能性が高いため、注意が必要です。
判断基準3|不動産投資の運用スタイル
どのような方針で不動産投資を行うかも、購入方法を選ぶときに重要です。求める利益やリスクへの考え方など、自分がなにを重視するか明確にしましょう。
運用の安定性やリスク低減を考えるなら、現金一括購入がおすすめです。ローンの返済がないため月々の収支に余裕が生まれ、空室や修繕費などのリスクもカバーしやすくなります。
一方、収益性や投資効率を高めたいならローン購入がおすすめです。ローンを利用して高額物件や複数物件を購入すれば、レバレッジ効果によって収益性が高まります。
直訳すると「てこの作用」という意味で、投資においては「少ない資金で高額投資を行うこと」を指す。ローンを利用すれば少ない資金で高額物件が買えるため、自己資金に対する投資効率が高くなる。
安定性を重視するなら現金一括購入、投資効率を重視するならローン購入を選ぶと良いでしょう。
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現金一括購入のメリット
ここからは、購入方法別のメリット・デメリットをより詳しく解説していきます。現金一括購入におけるメリットは以下の通りです。
- 金利がかからない
- 毎月のローン返済負担がない
- 審査がないので確実に物件を購入できる
- 現金購入だと値引き交渉がしやすい場面もある
- ローン購入が難しい物件でも購入できる
- 運用中に投資物件の売却がしやすい
ローン返済がないことや柔軟に運用できることが、現金一括購入の特徴です。それぞれ解説していきます。
金利がかからない
現金一括購入は、ローン購入のように金利が発生しないため、利息を節約できます。
利息額は借入金額や借入期間などでも変わりますが、トータルで物件価格の数十%にもなることもあります。
・返済総額:約6,430万円
・利息:約1,430万円
上記のように、利息だけで物件価格の30%近くにかかる計算になる。
※元利均等方式…毎月の返済額を固定し、その内訳が変動していく返済方式。返済が進むにつれて元金分は増え、利息分は減っていく。
現金一括購入をすれば、トータルで数百万~数千万円の利息を節約できます。
毎月のローン返済負担がない
現金一括購入を選ぶことで月々のローン返済がなくなり、賃貸運営が楽になります。金銭的な面はもちろん、気持ちのうえでも余裕をもった投資が可能です。
投資において精神面は重要な要素であり、気持ちに余裕がないと誤った判断をしがちです。多少の出費や空室で不安になってしまい、不必要に処分や家賃の値下げをしてしまう場合もあります。
現金一括購入であれば毎月返済に追われることがなく、冷静な状態で運用に専念できます。
審査がないので確実に物件を購入できる
ローン購入では金融機関の審査を受ける必要があり、その結果によって物件を購入できるかどうか決まります。しかし、現金一括購入なら資金があれば確実に購入可能です。
金融機関の審査では、年収や職業、購入する物件の立地などで制限がかかります。現金一括購入ならそのような制限がなく、自由に物件を選べます。
ただし、確実に購入できる分、物件選びには慎重さが必要です。一方、決断を渋っている間に売れてしまうこともあるので、良い物件をスピーディーに見極める力が重要となります。
現金購入だと値引き交渉がしやすい場面もある
現金一括購入の場合、売主との値引き交渉で有利になる可能性があります。
不動産の売主はなるべく早く現金が必要な場合が多く、ローンで買う人より現金で買う人のほうを優先しがちす。「すぐに払えるからもう少し値下げできないか?」という交渉が上手くいくケースも少なくありません。
実際に値下げできるかは個々の状況によりますが、うまく交渉できれば数十万~数百万円の値下げができるかもしれないので、試してみる価値はあるでしょう。
ローン購入が難しい物件でも購入できる
ローンを利用する場合、物件自体も審査の対象となるため、自分が気に入った物件でも購入できない可能性があります。しかし、現金一括購入では、ローン購入が難しい物件も自由に選べます。
例えば、以下のような物件は金融機関の審査に通りにくいですが、現金一括なら購入可能です。
- 担保性が低い物件(例:敷地が借地で、建物だけを購入する場合)
- 訳あり物件(例:過去に火災や水害などの被害を受けた物件)
- 築古物件(例:築30年以上の古い木造建築)
- 低額物件(例:1,000万円以下の安価な物件)
これらの物件は、価格や収益率が魅力的であっても、ローン審査では不利になります。しかし、現金一括であれば、これらの物件でも購入できます。
現金一括は自分の判断だけで物件を選べるため、ローン購入では見逃してしまうようなチャンスを掴めるかもしれません。
運用中に投資物件の売却がしやすい
ローンで物件を購入した場合は抵当権が設定され、ローンを完済するまで原則として売却できなくなります。一方、現金一括で物件を購入する場合は、いつでも自由に売却できます。
ローン返済中に物件を売却する場合、売却益や手持ち資金などで残債を完済するしかありません。残債が売却価格を上回る「オーバーローン」の場合、金銭的な負担が大きくなります。
現金一括購入なら抵当権がないため、不動産価格が高騰したときや物件を買い替えたいときなど、タイミングを逃さず売却が可能です。
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現金一括購入のデメリット
現金一括購入には多くのメリットがある一方、次のようなデメリットもあります。
- レバレッジ効果を得られない
- 投資資金の回収までに時間がかかる
- 団信に加入できない
- 税務署の調査が入る恐れがある
レバレッジ効果や団信加入など、不動産投資に特有の恩恵を受けられない点が主なデメリットです。それぞれ詳しく解説していきます。
レバレッジ効果を得られない
現金一括購入の場合、「少ない資金で大きく稼ぐ」というレバレッジ効果の恩恵を受けられません。ローン購入に比べて、自己資金に対する投資効率が低くなります。
例えば、自己資金が1,000万円あったとして、1,000万円の物件を1戸買うより、ローンを使って1億円の物件(あるいは1,000万円の物件を10戸)を買うほうが賃料収入は多くなります。
「専用ローンがある投資」自体が不動産投資しかなく、株やFXにはない大きな優位性です。株やFXでもレバレッジ効果を利用した投資は可能ですが、物件を担保に入れる不動産投資であれば、失敗したときのリスクを抑えつつレバレッジ効果を活用できます。
投資資金の回収までに時間がかかる
現金一括購入の場合、初期投資額が高くなるため、それをすべて回収するのに時間がかかります。
例えば、物件価格5,000万円、想定年間所得が200万円の物件があるとします。この物件を現金一括購入した場合と、ローンを使って初期投資額500万円で購入した場合だと、投資資金の回収期間は以下の通りです。
- 現金一括購入の場合…5,000万円÷200万円=25年
- ローン購入の場合…500万円÷200万円=2.5年
上記のように、ローンを使ったほうが10倍の早さで回収できます。
投資は期間が長くなるほど不確実になりますし、物件価格の下落といったリスクもあります。不動産は長期投資に向いている資産といわれますが、投資資金は早く回収できるに越したことはありません。
ただし、上記の計算はローンの返済負担を考慮していない点に注意しましょう。ローンの返済があると実際の年間所得は減りますし、投資資金の回収後も残債があるうちは売却が難しくなります。
団信に加入できない
団信とは「団体信用生命保険」の略で、ローンを借りた人が死亡もしくは高度障害を負ったとき、残債が弁済される保険です。
団信に加入しておけば、自分が死亡したときに「残債のない不動産」を家族に遺せます。言い換えれば、残債の分だけ相続財産が増加します。
現金一括購入も「残債のない不動産を遺せる」という点では同じですが、それはもともと持っていた現金を不動産に換えただけです。一緒に団信に加入することで、ローンは生命保険と同じ効果を生みます。
なお、団信については下記の関連記事で詳しく解説しています。

税務署の調査が入る恐れがある
現金一括購入をすると、税務署の調査が入る恐れがあります。これは、所得税や贈与税の申告漏れを調べるためです。
不動産という高額資産を現金一括で購入できる人は少ないため、税務署としては「申告していない収入があったのでは?」「内緒で贈与を受けて購入したのではないか?」といった疑いを持ちます。税務署は、これらを確認する目的で調査を行います。
ただし、すべてのケースで調査されるわけではなく、実際に調べられるかどうかはランダムです。購入物件が収入や年齢に見合わないほど高額なケースほど、調査の可能性は高くなります。
調査では「買い入れされた家屋等についてのお尋ね」といった書面が送付されます。回答せず無視していると、呼び出しや立ち入り調査に移行するため、早めに対応しましょう。
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現金一括購入が向いている人
現金一括購入のメリットとデメリットを紹介しましたが、具体的にどのような人が現金一括購入に向いているのでしょうか?
現金一括購入が向いている人の条件として、以下の3つが挙げられます。
- 安価で担保性の低い物件を運用したい人
- 相続税など節税対策もしたい人
- 返済や金利変動など運用中の不安を無くしたい人
安価で担保性の低い物件を運用したい人
安価で担保性の低い物件を運用したい人は、現金一括購入に向いています。こうした特徴を持つ物件は、金融機関の審査に通りにくいからです。
安価で担保性が低いといっても、収益性が低いとは限りません。むしろ、高利回りで早く収益を生み出せる可能性があります。
自分でリフォームをしたり、入居者付けが難しかったりなどのデメリットもありますが、うまく運用できれば効率的に稼げます。自分で積極的に運用や維持管理をしたい人におすすめです。
相続税など節税対策もしたい人
相続税などの節税を重視している人も、現金一括購入が向いています。現金を不動産に変えることで、以下のような節税効果があります。
相続税の評価減 | 相続税を算定する際、不動産は現金より評価額が少なくなる |
---|---|
登録免許税の節約 | 抵当権設定登記にかかる費用が不要になり、登録免許税(登記申請の手数料)が不要になる |
特に大きいのは相続税の節税効果で、不動産の相続税評価額は時価の8割程度に下がります。つまり、現金で相続するより、不動産で相続したほうが、相続税の対象となる価額が安くなります。
大金を貯金で残しておくより、不動産に換えたほうが相続税を大きく節税可能です。
なお、不動産投資の相続税対策については、関連記事でも詳しく解説しています。

返済や金利変動など運用中の不安を無くしたい人
返済や金利変動といった運用中の不安を無くしたい人も、現金一括購入が向いています。
返済負担があると運用中は常に精神的負担がかかりますし、金利が変動すれば月々の返済額や利息総額が高くなります。現金一括購入なら、こうしたデメリットはありません。
返済がなければキャッシュフロー(資金の流れ)が良くなり、余裕のある運用ができるため、投資運用に集中できます。
最初にしっかりシミュレーションを行い、そこからズレることなく安定して運用したい人には、現金一括購入がおすすめです。
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ローン購入のメリット
ここからは、ローン購入をした場合のメリットを紹介します。具体的なメリットは以下の通りです。
- 少ない自己資金から始められる
- 自己資金では購入できない物件も選べる
- レバレッジ効果を得られる
- 団信に加入できる
- ローン費用は経費として計上できる
先にも解説したレバレッジ効果や団信など、「不動産投資に特有の恩恵」が大きなメリットです。それぞれ解説していきます。
少ない自己資金から始められる
ローン購入の最大のメリットは、少ない自己資金から始められることです。一括購入できるほど貯金や収入がない人でも、無理なく投資を始められます。
ローン購入でも頭金や諸費用のために自己資金は必要ですが、その金額は現金一括購入と比べて大幅に少なくなります。
資産家でなくても高額な物件に投資できるため、参入障壁が下がり、一般的なサラリーマンでも資産形成が可能です。
自己資金では購入できない物件も選べる
ローンを組むことで、自己資金を遥かに超える高額物件に投資できます。貯蓄が少ない人でも不動産投資を始められますし、金銭的に余裕がある人ならより高額な物件を購入可能です。
ローンを組む場合、物件価格の15~30%程度を自己資金として用意するのが目安といわれます。自己資金が500万円なら、1,600万円~3,300万円程度の物件を買える計算です。
3,000万円あれば、都内の中古マンションも購入範囲になるので、賃貸需要の高い物件も見つけやすくなります。地方に目を向ければ、より収益性の高い物件も候補になるでしょう。
レバレッジ効果を得られる
先述した通り、ローン購入はレバレッジ効果で高い収益性を実現できます。1億円を超えるような高額物件を買っても良いですし、複数の物件を買ってのリスク分散も可能です。
また、あえて自己資金を手元に残し、維持管理費や突発的な修繕費用に備えるのも1つの方法です。その他、リフォーム代に充てて資産価値を上げたり、既存の建物を解体して建て直したりといった手段も取れます。
このように、ローンによってレバレッジ効果を得ることで、状況に合わせた柔軟な運用も可能になります。
団信に加入できる
先にも解説しましたが、ローンを組むと団信に加入できます。団信に入っていれば、死亡など万が一のときに残債がすべて弁済され、家族に返済負担なく物件を相続できます。
死亡もしくは高度障害を負ったときに弁済されるのが一般的ですが、特約で保障内容を広げることも可能です。具体的には、以下のような特約があります。
- 3大疾病(がん、脳卒中、急性心筋梗塞)
- 重度の慢性疾患(高血圧症、糖尿病、慢性心不全など)
- 所定の身体障害(人工透析、ペースメーカーなど)
具体的な特約内容は保険会社によって異なるため、金融機関の窓口などで弁済条件を細かく確認しましょう。
ローン費用は経費として計上できる
ローン費用のうち、月々支払う利息やローン保証料は経費として計上できます。団信に加入している場合、その保険料も経費計上が可能です。
経費を増やすことで課税対象となる年間所得を減らせるので、所得税の節税効果が生まれます。
ただし、元金分の返済については経費計上できません。これは、「借りたお金を返しているだけ」とみなされるためです。元金に代わり、購入した不動産の価額を「減価償却費」として経費計上します。
物件の購入価格を所定の年数(耐用年数)で割って経費計上する制度。
例えば、耐用年数が10年の物件を3,000万円で購入した場合、1年につき300万円を10年にわたって経費計上できる。
利息と減価償却費を経費計上することで節税できますが、返済が進めば利息は減りますし、減価償却費も耐用年数を過ぎれば終わります。そうなると節税効果がなくなり、税金が増えてしまうので注意が必要です。
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ローン購入のデメリット
ローン購入におけるデメリットには、以下の2つが挙げられます。
- 審査があるため購入が確実ではない
- 金利上昇リスクと返済総額の増加
審査と金利の存在が、ローン購入のネックとなります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
審査があるため購入が確実ではない
ローン購入の場合、銀行や信用金庫などの審査を通過しなければなりません。物件を買えるかどうかは、金融機関の判断に左右されてしまいます。
収入などの属性が低い人は審査に通りにくくなりますし、借入可能額が希望額より低くなってしまう場合もあります。また、審査に時間がかかると、物件が他の人に買われてしまうかもしれません。
審査で見られるポイントや通る・通らないの基準(ボーダーライン)について下記の記事で解説しているので、ぜひ参考にしてください。

ローンを利用するときは、以下のような流れになります。
- 購入の申し込みをする
- ローンの仮審査を受ける(数日~2週間程度)
- 売買契約を結ぶ
- ローンの本審査を受ける(2週間~1ヶ月程度)
仮審査中に他の人が購入してしまうケースもありますし、本審査中に手付倍返し(売主から手付金の倍額を支払う)などで解約される可能性もあります。
なお、仮審査に通っても本審査で落ちる場合があります。そうなると買主のほうが手付金を放棄して解約しなければいけませんが、売買契約に「住宅ローン特約」を付けておけば、無償での白紙撤回が可能です。
審査に必要な書類の準備にも手間がかかる
ローン審査を受ける場合、書類の準備も必要になるため、現金一括購入より手間が1つ増えてしまいます。
審査に必要な書類の種類と、それぞれの入手方法(入手場所や費用)は以下の通りです。
書類名 | 入手方法 | 費用 |
---|---|---|
収入証明書 | 勤務先から発行してもらう | 無料 |
住民票 | 市区町村役場で取得する | 数百円 |
印鑑証明書 | 市区町村役場で取得する | 数百円 |
本人確認書類 | 運転免許証やパスポートなど | 無料 |
物件情報書類 | 不動産会社から提供してもらう | 無料 |
公図 | 法務局や登記所、所定のオンラインサービスで取得する | 数百円 |
健康診断書(団信に加入の場合) | 職場で受けているものか、改めて自分で受ける | 5,000~1万5,000円程度 |
借入状況の確認書類 | ローン返済予定表や返済明細など | 無料 |
金融資産がわかるもの | 通帳、登記事項証明書、固定資産税評価証明書など | 無料~数百円 |
上記はあくまで一般的な必要書類なので、実際は金融機関の指示に従いましょう。
金利上昇リスクと返済総額の増加
金利には大きく分けて「固定金利型」と「変動金利型」の2種類があり、変動金利型を選ぶと返済途中に上昇するリスクがあります。
以下は、固定金利型と変動金利型の特徴をまとめたものです。
項目 | 固定金利型 | 変動金利型 |
---|---|---|
金利の特徴 | 借入期間中、金利が一定 | 一定期間ごとに金利が変動 |
利率の水準 | 変動金利型より高め (1.5%~3.5%程度) |
固定金利型より低め (1.0%~2.5%程度) |
返済額の変動 | なし | あり |
返済計画の立てやすさ | 立てやすい | 立てにくい |
インフレ時のメリット | 金利上昇の影響を受けない | なし |
景気後退時のメリット | なし | 金利下降の恩恵を受ける |
変動金利型のほうが設定金利は安くなりますが、インフレが進むと想定より返済負担が増えてしまいます。
例えば、3,000万円の借入で返済期間が35年の場合、金利2%と2.5%で比較すると次のように変わります。
適用利率 | 毎月返済額 | 返済総額 | 内利息 |
---|---|---|---|
2% | 99,378円 | 41,738,760円 | 11,738,760円 |
2.5% | 107,248円 | 45,044,160円 | 15,044,160円 |
金利が0.5%上昇すると、返済総額が300万円以上変わります。
不動産投資ローンの金利タイプは、自分の不動産投資の目的や計画に合わせて選ぶことが大切です。
- 固定金利型:将来的な返済額を確定させたい場合、インフレが予想される場合
- 変動金利型:現在の低金利状況を活用したい場合、景気後退時に返済負担を軽減したい場合
なお、金利以外の費用として、事務手数料や保証会社の保証料なども発生します。これらの諸経費は借入額や契約内容によりますが、おおまかな目安は数十万~数百万円程度が一般的です。
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ローン購入が向いている人
ローン購入のメリットとデメリットを踏まえて、どのような人が向いているか見ていきましょう。
具体的には、以下の3つに当てはまる人はローン購入が向いています。
- 金融機関からの信用が高い人
- 収入が安定し毎月の返済に余裕がある人
- 手元に資金を残しつつ収益を早く上げたい人
金融機関からの信用が高い人
金融機関から信用度を高く評価される人は、好条件で借り入れられるので、ローン購入に向いています。
一般的な審査基準としては、収入や勤続年数、年齢や健康状態、他社からの借入状況や信用情報などが影響します。
具体的に「金融機関から高く評価される人」の特徴を挙げると、以下の通りです。
- 収入が高い
- 社会的地位の高い職業に就いている(士業や役員など)
- 公務員もしくは大手企業や上場企業に勤めている
- 勤続年数が長い
- 大きな借入がなく、滞納もしたことがない
- 保有している資産が多い
- 健康状態に問題がない
上記の条件に当てはまる場合、借入可能額が高くなったり、金利面で優遇されたりする可能性があるので、ローン購入がおすすめです。
収入が安定し毎月の返済に余裕がある人
収入が安定しており、毎月の返済に余裕を持てる人もローン購入に向いています。収入が安定していれば金融機関の評価も高くなりますし、ゆとりのある運用が可能です。
反対に、収入が安定していない人は審査でも不利になりやすく、十分な借入ができない可能性があります。具体的には、自営業やフリーランスなどの仕事をしている人は、収入が変動しやすいので向いていません。
ローンの返済を滞納すると、物件を差し押さえられて競売にかけられてしまいます。ローン購入をするときは、「空室や突発的な出費があっても耐えられるかどうか」を考えましょう。
手元に資金を残しつつ収益を早く上げたい人
ローン購入は投資資金の何倍もの物件を購入できるため、手元に資金を残しつつ収益を早く上げたい人にもおすすめです。
例えば、5,000万円の自己資金がある場合、ローンを利用すれば最大で3億円程度(5,000万円÷15%)の物件を購入できます。しかし、投資資金を3,000万円に抑えれば、手元に2,000万円を残しつつ2億円程度(3,000万円÷15%)の物件が購入可能です。
物件価格こそ下がりますが、それでも2億円の物件であれば、5,000万円の物件を現金一括で買うより遥かに高い投資効率を得られます。手元に2,000万円あれば想定外の出費にも対応できるため、柔軟かつスピーディーな運用ができるでしょう。
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まとめ
この記事で解説した「現金一括購入」と「ローン購入」のメリット・デメリットをまとめると、以下のようになります。
項目 | 現金一括購入 | ローン購入 |
---|---|---|
メリット | ・金利がかからない ・毎月のローン返済負担がない ・審査がないので確実に物件を購入できる ・現金購入だと値引き交渉がしやすい場面もある ・ローン購入が難しい物件でも購入できる ・運用中に投資物件の売却がしやすい |
・少ない自己資金から始められる ・自己資金では購入できない物件も選べる ・レバレッジ効果を得られる ・団信に加入できる ・ローン費用は経費として計上できる |
デメリット | ・レバレッジ効果を得られない ・投資資金の回収までに時間がかかる ・団信に加入できない ・税務署の調査が入る恐れがある |
・審査があるため購入が確実ではない ・金利上昇リスクと返済総額の増加 |
重要なのは、それぞれの状況や購入する物件によって、適切な購入方法は変わることです。どちらが優れているというものではなく、ケース・バイ・ケースで選ぶ必要があります。
不動産投資の運用方法や物件購入、始め方などで迷うなら不動産投資の専門会社に相談しましょう。投資の目的や希望をヒアリングしたうえで、的確なアドバイスやサポートをしてくれます。
ただし、一口に不動産投資会社といっても各社に強みや弱みがあるため、相性の良い業者を探すことが大切です。一括比較サービスなどを利用して、複数の不動産投資会社に話を聞いてみましょう。
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不動産投資の現金一括購入について良くある質問
メリットとしては、「金利がかからない」「毎月のローン返済負担がない」「値引き交渉で有利になることがある」などが挙げられます。一方、デメリットは「レバレッジ効果を得られない(投資効率が悪い)」「団信に加入できない」などです。
なお、現金一括で購入するケースについては、関連記事でも詳しく解説しています→不動産投資を無借金でするメリットとデメリット!自己資金のみで成功するコツ
メリットとしては、「少ない自己資金から始められる」「レバレッジ効果を得られる」「団信に加入できる」などが挙げられます。
一方、デメリットは「審査があるため購入が確実ではない」「金利上昇リスクと返済総額の増加」などです。
住宅ローンよりは厳しい傾向ですが、一般的なサラリーマンでも借り入れは可能な範囲です。本人の返済能力だけでなく、購入する物件の担保価値も見られるため、資産価値の低い物件だと落ちやすくなります。
詳しくは関連記事でも解説しています→不動産投資ローンの審査は厳しい?審査基準と申し込みのポイントを解説
不動産の購入に対する申告は原則不要ですが、購入後の投資運用で生じる収支については申告が必要です。
なお、不動産購入時に資金の贈与を受けている場合は、贈与に対しての確定申告も必要になります。
不動産投資会社に相談しましょう。物件選びから資金計画、購入後の維持管理まで、あらゆる面で適切なサポートをしてくれます。会社ごとにサービス内容の違いがあるため、なるべく多くの不動産投資会社を比較するのがおすすめです。→【プロが最適な投資をアドバイス!】不動産投資会社の一括比較はこちら