マンション売却に関する仲介手数料の相場を知っていますか?

仲介手数料相場

マンションを売却するとき、知り合いに売却するのではない限り不動産仲介業者に買い手を探してもらおうと考えるでしょう。しかし、一般の方がマンションを売却するのは一生に1度、多くても2、3度でしょうから、信頼できる業者さんを知っている方は多くないと思います。
不動産仲介業者を探してみると、最近では仲介手数料が半額!無料!などの広告が目につきますが、安くてオトクそうだからと言って安易にこのような業者を利用することはお勧めできません

この記事では、法律により規制されている不動産業者の仲介手数料の上限や不動産業者が仲介手数料を無料にする理由、仲介手数料の値引き交渉をするデメリットについて説明します。

仲介手数料の相場は法律で上限が決められている

法的上限

不動産仲介業者が受け取ることができる仲介手数料は、宅地建物取引業法により上限が規制されています。この金額はあくまで上限なので、建前ではこの金額の範囲内で売主と不動産仲介業者が話し合って決めることとされています。

これまで、実際にはこの上限額が仲介手数料の相場とされていました。しかし、最近では仲介手数料をこの上限額の半額や無料にしている不動産業者が見受けられます。このような業者の実情は後ほど解説しますので、まずは仲介手数料について知っておきたい3つのポイントを解説します。

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ポイント1.仲介手数料は売買契約の成立により発生する

不動産売却の仲介手数料は成功報酬ですから、原則として売買契約が成立するまでは費用を請求されません。不動産仲介の際に一般的に行われる広告の費用や購入希望者の現地案内費用、資料の作成費用などは、すべてこの仲介手数料に含まれます。

法律上は、売買契約が成立したら仲介手数料の全額を請求することが認められています。しかし、売買の契約が済んでから売主が買主に不動産の引き渡しをするまでに少し時間があいてしまうことが多いですから、一般的には売買契約を終えたときに仲介手数料の50%、不動産の引き渡しが終わったら残りの50%を支払うという条件になっていることが多いです。

しかし、支払条件は業者により様々ですから、仲介を正式に依頼する前に確認しておきましょう。

ポイント2.特別な理由で生じた費用は実費を請求されるかも!?

不動産売却の支払時期は上記のとおりですが、仲介手数料以外の費用が絶対にかからないというわけではありません。依頼人が特別に依頼した、通常の仲介では行わない以下のような業務については、かかった費用の実費を請求されることがあります。また、これらの費用は売買契約の成立前であっても請求されることがありますので、特別な依頼をする際には実費請求の有無に加えて支払時期についても事前に確認しておきましょう。

  • 通常の仲介では行わない方法・内容の広告
  • 遠隔地への出張旅費
  • 売却のための測量・建物の解体・荷物の保管・ゴミの廃棄
  • 空き家の原状維持や清掃

しかし、仲介手数料以外の実費の請求は、あくまで以下の条件のすべてを満たした場合にのみ認められている例外的なものであることに注意しましょう。

  • 依頼者の依頼に基づいて発生したものであること
  • 通常の仲介業務では発生しない費用であること
  • 実費であること

ポイント3.2018年から仲介手数料に変更アリ!

不動産を売却する際の仲介手数料の上限は、物件の売却価格の3%+6万円と法令で定められていることはご存知の方も多いでしょう。しかし、これは物件の価格が400万円を超える場合の計算式ですから、以前は物件の価格が400万円以下の場合には下記の計算式を利用する必要がありました。

  • 取引額200万円以下の金額 取引額の5%
  • 取引額200万円を超え400万円以下の金額 取引額の4%+2万円

しかし2018年からは、売主が支払う仲介手数料に限り、物件の売却価格が400万円以下の場合には一律18万円を上限とすることになりました。

なお、この改正は売主が支払う仲介手数料にのみ適用されますので、買主が支払う仲介手数料の上限を計算する場合には以前の計算式を利用する必要があることに注意しましょう!

「仲介手数料無料」のカラクリ

手数料無料

不動産仲介業者は不動産売買を行った際の仲介手数料で収益を得ていますから、仲介手数料が無料なんておかしいんじゃないか!?そのように思う方が少なくありません。しかし、不動産仲介業者が仲介手数料を無料にしても十分に収益を得られる理由があるのです。仲介手数料無料の背景には、不動産業者との契約方法が深く関連しています。

<不動産業者との契約は3種類>

不動産業者に物件の売却を依頼する場合、大きく分けて「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」「一般媒介契約」の3種類があります。まずは、それぞれどのような契約なのかご紹介します。

専属専任媒介契約

その不動産の売却を1つの不動産業者にのみ依頼し、他の業者には依頼しないことを約束する契約です。さらに、親戚や友人など、売主が自分で買主を見つけてきた場合であっても、その不動産業者を通して取引をする必要があります。3種類の契約の中で売主にとって最も拘束が厳しい契約ですが、その分不動産を売却できれば不動産仲介業者は確実に収益を得られますので、いちばん売却に力を入れてもらえる契約です。

専任媒介契約

専属専任媒介契約と同じく、その不動産の売却を1つの不動産仲介業者にのみ依頼し、他の業者には依頼しないことを約束する契約です。しかし、親戚や友人など、売主が自分で買主を見つけてきた場合にはその不動産仲介業者を通して取引をする必要がありません。

一般媒介契約

上記の2つの契約と異なり、その不動産の売却を複数の不動産仲介業者に依頼することが可能です。

<専属専任媒介契約・専任媒介契約を結んだ不動産仲介業者の義務>

専属専任媒介契約と専任媒介契約は売主にとって負担が大きい契約ですから、不動産仲介業者に以下のような法規制がかけられています。

(1)媒介契約の有効期間

専属専任媒介契約と専任媒介契約を結ぶと他の不動産仲介業者にその不動産の仲介を依頼できなくなりますから、万一その不動産仲介業者が積極的に行動してくれない場合には不動産を処分できなくなり、売主は困ってしまいます。

そのような事態を避けるため、契約の有効期間は最長でも3カ月とされています。もちろん延長することは可能ですが、延長する場合でも有効期間は最長3カ月ですから、3カ月ごとに契約を更新しなければいけません。もちろん、売主は有効期間満了とともに延長を断ってもかまいません。

(2)指定流通機構(レインズ)への登録義務

専属専任媒介契約と専任媒介契約を結んだ場合には指定流通機構(レインズ)への物件情報の登録が義務付けられています。レインズとは、多くの不動産業者が加入している物件情報の共有システムです。この機構に情報を掲載することで売却物件の情報を広く公開できますので、売主にとっては有利なのですが、不動産業者は必ずしも掲載を喜びません。

不動産業者は、売主と買主を自分でみつけて両方から仲介手数料を受け取ることで最も多くの収益を得ることができます。なお、両者から仲介手数料を受け取ることを業界用語で両手取引といいます。また、売主または買主どちらか一方から仲介手数料をもらうことを片手取引といいます。

しかし、売主側の不動産仲介業者がレインズに物件情報を掲載してしまうと、他の不動産仲介業者が買主をみつけてきてしまうことがあります。その場合には、その業者が買主から手数料を受け取ってしまい両手取引ができず片手取引になってしまうため、不動産業者にとっては必ずしも有利とは言えないのです。

一方、売主から仲介の依頼を受けてレインズに掲載さえしておけば、他の不動産仲介業者が買手をみつけてくることがありますから、運がよければ苦労せずに売主から仲介手数料を受け取ることができることがあります。したがって、レインズへの掲載を喜ぶ不動産仲介業者もいます。しかし、そのような業者は積極的に広告や宣伝をしてくれないことがありますから、注意が必要です。

(3)業務処理状況の報告

専属専任媒介契約を結んだ場合には1週間に1回以上、専任媒介契約を結んだ場合には2週間に1回以上、業務処理の状況を売主に報告しなければいけません

<手数料を無料にできるワケ>

同じ不動産仲介業者が売主・買主とも自社でみつけることで両方から仲介手数料を受け取ることを両手取引ということはすでにご説明しました。実は、売主の仲介手数料を無料にしている不動産仲介業者は、買主から受け取る仲介手数料を収益としています

売主の仲介手数料をあえて無料にすることで、依頼を受ける物件数を増やして魅力的な物件を取り扱い、多くの買主を集めることで事業を成立させているのです。

仲介手数料は交渉で下げることもできるがデメリットも…

値引き交渉

仲介手数料が無料なのは売主にとって大きなメリットですが、反面デメリットも存在します。下記のデメリットを認識し、自分にとって本当に仲介手数料無料の不動産仲介業者を利用するのは良いことなのかどうか、確認してみましょう。

<仲介手数料無料のデメリット>

デメリット1 レインズに掲載してもらえない

仲介手数料が無料の不動産仲介業者は、買主から仲介手数料を受け取ることで収益を得る事業を営んでいることはすでにご説明しました。しかし、他の不動産仲介業者が買主をみつけてきてしまうと、買主からの仲介手数料はその不動産仲介業者が受け取ってしまいますから、売主側の不動産仲介業者は利益が半減することになってしまいます。したがって、レインズへの物件情報の掲載が義務付けられる専属専任媒介契約や専任媒介契約は締結しないか、もしレインズへの掲載を希望する場合には仲介手数料無料の対象外となってしまう不動産仲介業者が多いようです。

デメリット2 魅力的な物件でなければ引き受けてもらえないことも

デメリット1と関連するのですが、不動産仲介業者にとってレインズへの掲載は両手取引が出来なくなるかもしれないというデメリットがある一方、レインズに掲載さえしておけば、他の業者が買主を見つけてきてくれた場合に売主からの仲介手数料を受け取ることができるというメリットがあることは既に説明しました。したがって、あまり魅力的ではない物件を持ち込まれた場合、ひとまず仲介を引き受けてレインズに掲載だけしておき、他の業者が買主を探してくるのを気長に待つ……という営業方法が考えられます。

しかし、売主の仲介手数料が無料の場合には、この方法をとることができません。仲介手数料無料の不動産仲介業者は買主から仲介手数料を受け取らなければタダ働きになってしまいますから、自力で広告や宣伝を行い、買主をみつけてこなければならないのです。したがって、あまり魅力的ではなく、買主をみつけるのに苦労しそうな物件は仲介を断られるか、引き受けてくれたとしても積極的に売却活動を行ってくれないケースも考えられます。

デメリット3 受けられるサービスが少ないことも

仲介手数料が無料となる代わりに、様々なサービスを省略しているケースが多いようです。もちろん、法律上の上限の仲介手数料を受け取る業者と同じサービスを求めるのは無理がありますが、売主にとって必要なサービスまで省略されていないかどうか確認したほうがいいでしょう。

たとえば、不動産の売却にあたり法務局から登記事項証明書を取得する必要があります。通常は不動産仲介業者が取得してくれるのですが、仲介手数料無料の場合にはご自身で取得しなければならないケースがあります。平日の昼間に時間を取ることができ、法務局までアクセスしやすい場所にお住まいで、このような手続きに慣れている方にとっては問題ありませんが、そうでなければ一苦労です。

また、購入希望者が内覧をしたいと希望した場合や価格交渉をしてきた場合に、通常は不動産仲介業者が対応してくれるのですが、仲介手数料無料の業者の場合には売主自ら対応しなければならないケースがあります

<仲介手数料を支払うことで受けられるメリットとしてのサービス例>

最近では仲介手数料無料の不動産仲介業者が増えてきていますから、そうではない業者は仲介手数料を受け取ることができるように様々なサービスを工夫しています。なかにはとても魅力的なサービスを提供している業者もありますから、仲介手数料が有料だからといって敬遠せず、サービス内容を確認してみましょう。

例えば、一定条件を満たした場合には物件の補修をしてくれたり、内覧に向けてハウスクリーニング業者を不動産仲介業者の費用負担で手配してくれたりといったサービスが流行しています。

<仲介手数料の引き下げ交渉をしてもいいの?>

最初から売主の仲介手数料を無料にしている不動産仲介業者であれば、売主の仲介手数料を受け取らないことを前提としてサービス内容を考えています。しかし、そうではない不動産仲介業者に仲介手数料の値引き交渉を行うのは慎重になった方がいいでしょう。

なぜなら、仲介手数料を受け取る不動産仲介業者は、それを前提にサービス内容を考えています。それなのに値引き交渉をされると、その業者が提供しているサービスの一部を省略されてしまう可能性があるだけでなく、担当者のモチベーションも一気にダウンしてしまいます。

担当者とは物件の売却が完了するまで協力関係が続きますから、仲介手数料の値引き交渉で人間関係を悪くしてしまうより、少しでも高くマンションを売却できるように担当者と協力した方がいいでしょう。

まとめ

このように、仲介手数料無料の不動産仲介業者には費用がかからないというメリットだけでなく、デメリットも存在します。特に、売却しようとしているマンションが魅力的な物件かどうか、省略されるサービスが売主にとって重要なものかどうかによって、仲介手数料無料の不動産仲介業者に依頼したほうがいいのか、それとも費用がかかっても通常の不動産仲介業者に依頼した方がいいのか変わってきます。

マンションの売却は人生に何度もあることではありませんし、多額の金銭に関わりますから、事前に考えている以上に気力・体力を消耗します。仲介手数料がかかるかどうかよりも、ストレスなくマンションを売却できるかどうか、適正価格で売却できるかどうかという観点で不動産仲介業者を選択した方がいいでしょう。

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