
マンションやアパートを第三者へ売却する場合、不動産仲介業者に依頼して買主を探してもらいますが、どの不動産業者を選ぶべきか悩んでしまう人も多いでしょう。
そうした場合に不動産業者を選ぶ判断基準となるのが「仲介手数料」であり、仲介手数料は法律によって上限額が定められているため、ある程度の相場が存在します。
また近年では、仲介手数料を「半額」「無料」としている不動産仲介業者もありますが、仲介手数料が安い場合、さまざまなサービスが受けられないケースも少なくありません。
一方で、仲介手数料が安くても優れたサービスを提供している不動産業者が存在することも事実ですが、1社ずつ相談して探していたら時間も手間もかかってしまいます。
ですので、まずは一括査定サイトを利用して、仲介手数料が無料の不動産業者を絞り込み、その中から気になった業者へ相談してみるとよいでしょう。
マンション・アパート売却時の仲介手数料はいくら?
マンションやアパートを売却する場合、不動産仲介業者へ依頼して買主を探してもらい、その相手に物件を売却することがほとんどです。
このとき、不動産仲介業者に支払う「仲介手数料」ですが、宅地建物取引業法により上限が定められています。
上限額が存在するため、その範囲内で売主と不動産仲介業者が話し合い、実際の仲介手数料を決めることになります。
まずは、不動産売却時における仲介手数料の仕組みと金額の相場を見ていきましょう。

仲介手数料は売買契約の成立により発生する「成功報酬」
不動産売却の仲介手数料は成功報酬であるため、原則として売買契約が成立するまでは費用を請求されません。
不動産仲介の際に、一般的におこなわれる広告の費用や購入希望者の現地案内費用、資料の作成費用などは、すべてこの仲介手数料に含まれます。
法律上は、売買契約が成立したら仲介手数料の全額を請求することが認められています。
一般的には売買契約を終えたときに仲介手数料の50%、不動産の引き渡しが終わったら残りの50%を支払う条件になっていることが多いです。
しかし、支払条件は業者によりさまざまなため、仲介を正式に依頼する前に確認しておきましょう。
追加の広告費などを請求されるケースもある
不動産売却の支払時期は上記のとおりですが、仲介手数料以外の費用が絶対にかからないわけではありません。
依頼人が特別に依頼した、業務については、かかった費用の実費を請求されることがあります。
- 通常の仲介では行わない方法・内容の広告
- 遠隔地への出張旅費
- 売却のための測量・建物の解体・荷物の保管・ゴミの廃棄
- 空き家の原状維持や清掃
これらの費用は売買契約の成立前であっても請求されることがありますので、特別な依頼をする際には実費請求の有無に加えて支払時期についても事前に確認しておきましょう。
しかし、仲介手数料以外の請求は、あくまで以下の条件を満たした場合のみ認められています。
- 依頼者の依頼に基づいて発生したものであること
- 通常の仲介業務では発生しない費用であること
- 実費であること
仲介手数料は法律で上限が決められている
不動産を売却する際の仲介手数料の上限は「物件の売却価格の3%+6万円」と法令で定められています。
なお、売主が支払う仲介手数料に限り「物件の売却価格が400万円以下の場合には一律18万円」が上限です。
売買価格 | 仲介手数料 |
---|---|
200万円以下 | 売買価格(税抜)×5%+消費税 |
200万円〜400万円 | 売買価格(税抜)×4%+2万円+消費税 |
400万円超 | 売買価格(税抜)×3%+6万円+消費税 |
(4000万円 × 3% + 6万円 ) × 消費税10% = 138万6000円(税込)
ただし、買主が支払う仲介手数料の上限を計算する場合には、計算式を利用する必要があることに注意しましょう。
仲介手数料の相場はマンション売却価格に応じて変わる
先述したとおり、仲介手数料は宅地建物取引業法によって上限額が定められています。
仲介手数料は法律上の上限額を適用している不動産業者がほとんどなので、法律上の上限額が仲介手数料の相場と考えて差し支えありません。
100万円から1億円までの、売却価格ごとにおける仲介手数料の上限額は以下のとおりになります。
売却価格 | 仲介手数料 |
---|---|
100万円 | 5万5,000円 |
200万円 | 11万円 |
300万円 | 15万4,000円 |
400万円 | 19万8,000円 |
500万円 | 23万1,000円 |
1,000万円 | 39万6,000円 |
2,000万円 | 72万6,000円 |
3,000万円 | 105万6,000円 |
4,000万円 | 138万6,000円 |
5,000万円 | 171万6,000円 |
6,000万円 | 204万6,000円 |
7,000万円 | 237万6,000円 |
8,000万円 | 270万6,000円 |
9,000万円 | 303万6,000円 |
1億円 | 336万6,000円 |
このように、マンションやアパートの売却価格が高いほど、仲介手数料も大きな出費となるため注意が必要です。
仲介手数料の安い不動産業者を探すなら一括査定がおすすめ
仲介手数料を抑えつつマンションを高額で売りたいときは、複数の不動産業者に査定してもらうとよいでしょう。できるだけ多くの不動産業者に査定してもらい、価格や仲介手数料を比較するのがセオリーといえます。
しかし、いくつもの不動産業者と直接やり取りして査定を依頼するのは手間がかかります。なるべく手間を省いてスムーズに売却したいと考えるのは自然なことです。
そこで、複数の不動産業者に一括で査定依頼を出せる無料サービスの利用をおすすめします。
一括査定を使えば大手から地元密着型まで、さまざまな不動産業者の査定額を調べられます。一括査定で数社をピックアップし、直接相談をして一番信頼できるところと契約しましょう。
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マンション売却時に仲介手数料を払うメリット
媒介契約は大きい契約なので、不動産仲介業者には売却活動をおこなうように法律で定められています。
不動産業者へ仲介手数料を払うことで、次のようなメリットがあります。
- 最低3カ月間は売却活動をおこなってもらえる
- レインズに物件情報を登録してもらえる
- 進捗状況を1〜2週間ごとに報告してもらえる
- ハウスクリーニングなどを無償で受けられる場合がある
それぞれのメリットについて、1つずつ見ていきましょう。
1.最低3カ月間は売却活動をおこなってもらえる
もしも、不動産仲介業者がきちんと売却活動をおこなってくれない場合には、不動産を売却できずに売主は困ってしまいます。
そのような事態を避けるため、媒介契約の有効期間は最長3カ月としています。
3カ月ごとに契約を更新することも可能ですが、きちんと成果を出さないと他の不動産業者へ乗り換えられてしまいます。
そのため、不動産業者は3カ月以内に物件を売却できるように、きちんと売却活動をおこなってくれます。
2.レインズに物件情報を登録してもらえる
レインズに物件情報を掲載しておけば、物件を売却できる可能性が飛躍的に上がります。
他の不動産仲介業者が抱える買主から、購入を申し込まれる場合もあるからです。
売主が仲介手数料を払えば、売主側の不動産仲介業者も収益を上げられるので、レインズを利用して積極的に買主を探してもらえる可能性が高いです。
3.ハウスクリーニングなどを無償で受けられる場合がある
最近では、仲介手数料無料の不動産仲介業者が増えてきています。
一方で、そうではない業者は仲介手数料を受け取れるように、さまざまなサービスを工夫しています。
とても魅力的なサービスを提供している業者もありますから、仲介手数料が有料だからといって敬遠せず、サービス内容を確認してみましょう。
一定条件を満たした場合には物件の補修をしてくれたり、内覧に向けてハウスクリーニング業者を手配してくれたりといったサービスも流行しています。
仲介手数料無料のリスク
仲介手数料が無料の不動産業者は、手数料でコストカットをしている分、サービスが行き届いていないケースも多いようです。
仲介手数料無料の不動産業者へ依頼する場合、次のようなリスクがあります。
- レインズに掲載してもらえない
- 売れにくい物件は媒介契約を断られる
- さまざまな手続きを売主自身でおこなう必要がある
ただし、これらのリスクは必ずしも起こるわけではなく、仲介手数料無料であっても優れたサービスを提供している不動産業者もあります。
1.レインズに掲載してもらえない
専属専任媒介契約と専任媒介契約を結んだ場合「レインズ」への物件情報の登録が義務付けられています。
仲介手数料が無料の不動産仲介業者は、買主から仲介手数料を受け取ることで収益を得ています。
他の不動産仲介業者が買主を見つけてきてしまうと、買主からの仲介手数料を受け取ることができません。
したがって、レインズへの物件情報の掲載が義務付けられる専属専任媒介契約や専任媒介契約は締結されないケースが多いようです。
2.売れにくい物件は媒介契約を断られる
レインズへ掲載すると、両手取引が出来なくなるのは仲介業者にとってデメリットです。
一方で、レインズに掲載さえしておけば、売主からの仲介手数料を受け取れることはメリットといえます。
したがって、あまり魅力的ではない物件を持ち込まれた場合、ひとまず仲介を引き受けてレインズに掲載だけしておき、他の業者が買主を探してくるのを気長に待つという営業方法が考えられます。
しかし、売主の仲介手数料が無料の場合には、この方法をとることができません。
仲介手数料無料の不動産仲介業者は、買主から仲介手数料を受け取らなければタダ働きになってしまいますから、自力で広告や宣伝をおこない買主をみつけてこなければならないのです。
買主をみつけるのに苦労しそうな物件は仲介を断られるか、引き受けてくれたとしても積極的に売却活動をおこなってくれないケースも考えられます。
3.さまざまな手続きを売主自身でおこなう必要がある
仲介手数料が無料の不動産業者は、さまざまなサービスを省略しているケースが多いようです。
もちろん、法律上の上限の仲介手数料を受け取る業者と同じサービスを求めるのは無理があります。
ただし、売主にとって必要なサービスまで省略されていないかどうか確認したほうがいいでしょう。
また、内覧や価格交渉の対応も、仲介手数料が無料の場合は売主自ら対応しなければならないケースがあります。
仲介手数料の引き下げ交渉をしても大丈夫?
最初から売主の仲介手数料を無料にしている不動産仲介業者であれば、売主の仲介手数料を受け取らないことを前提としてサービス内容を考えています。
しかし、そうでない不動産仲介業者に仲介手数料の値引き交渉をおこなうのは慎重になった方がよいでしょう。
なぜなら、仲介手数料を受け取る不動産仲介業者は、それを前提にサービス内容を考えています。
それにもかかわらず値引き交渉をされると、その業者が提供しているサービスの一部を省略されてしまう可能性があるだけでなく、担当者のモチベーションも一気にダウンしてしまいます。
担当者とは物件の売却が完了するまで協力関係が続きます。仲介手数料の値引き交渉で人間関係を悪くしてしまうより、少しでも高くマンションを売却できるように担当者と協力した方がよいでしょう。
まとめ
仲介手数料は法律によって上限額が定められているため、それを上回る金額を請求してくる不動産仲介業者は利用を避けましょう。
また、仲介手数料無料の不動産仲介業者もありますが、費用面でのメリットだけでなくデメリットも存在するため注意が必要です。
そのため、仲介手数料の金額はもちろん「きちんと物件を売却できるか?」や「適正価格で売却できるか?」といった観点で不動産仲介業者を選ぶ必要があります。
一括査定サイトを利用すれば、全国1,600以上の不動産業者の査定額や仲介手数料を一気に比較できるので、安心できる不動産仲介業者へ売却を依頼するとよいでしょう。
マンション売却時の仲介手数料に関するよくある質問
法律上の制限はないので、不動産業者と交渉して仲介手数料を無料にできれば、支払わなくても問題ありません。
法律によって仲介手数料には上限額が定められており、それを上回る金額は支払わなくて大丈夫です。例えば、物件の売却価格が400万円以下の場合、売主の仲介手数料は18万円が上限と定められています。
買主から仲介手数料を受け取ることで売主側の仲介手数料を無料にしている不動産業者もありますが、法律上は一切問題ありません。
レインズに掲載してもらえなかったり、売れにくい物件は媒介契約を断られることがあります。また、さまざまな手続きを売主自身でおこなう必要があるため注意しましょう。
最低3カ月間は売却活動をおこなってもらえる上、レインズに物件情報を登録してもらえるので、物件が売れやすいです。また進捗状況を1〜2週間ごとに報告してもらえたり、ハウスクリーニングなどを無償で受けられるといったメリットもあります。