海外不動産投資とは?知っておくべきリスクや失敗例を解説

海外不動産

近年、海外不動産投資が人気を集めています。しかしこれには大きなチャンスがあると同時に、大きなリスクもあることを理解しておくべきです。 

ここでは、海外不動産投資でよくある失敗例やリスクについて解説します。

為替レート変動による損失のリスク

為替リスク
海外の不動産へ投資する場合は、現地の通貨の価値で必要費用や利益が変わってきます。しかし日本円と現地通貨の間の為替レートは日々変動しており、一秒先にどうなっているかも読むことはできません。円高の時期に不動産を購入し、円安になってから売れば大きな利益を生むことになりますが、為替レートが逆の動きをした場合には大きな損失を招くことになります。

ここ数年、ドルをはじめポンドやユーロなど、先進国と呼ばれる国の通貨は往々にして円安状態が続いています。ですから、今後円高が生じて大きな利益が上げられると期待することもできなくはありませんが、ギャンブル的要素を多分に含むと言えるでしょう。

一方で、発展途上国や新興国のある国々への不動産投資は、為替レートが底値付近にある今が狙い目であると考える投資家もいます。確かに東南アジアの一部の国やアフリカの一部など、今後の経済成長や開発がおおいに期待されている国々もあり、成功すれば巨額の利益も夢ではないかもしれません。

しかし同時に、大きなリスクも潜んでいることを忘れてはなりません。発展途上国の為替レートは非常に不安定であり、予測がまったくつかないものだからです。また、先進国通貨と比較してボラティリティが非常に大きく、テロや紛争ぼっ発などで暴落するリスクも大きいものです。通貨危機によるすさまじいインフレの恐れもあります。海外不動産へ投資する際には、これらのリスク面を許容できるかどうかをよく考える必要があるでしょう。

投資先の様子を把握できない

投資先が海外ということは、おいそれと現地の様子を見に行くこともできないということです。そうであれば、その物件が価格に見合うものかどうか、周辺の環境からして今後に期待できる物件かどうかも、判断が付きにくいでしょう。現地に足を運ぶ費用や時間のことを考えて、現物を確認しないで投資を始める人もいるようですが、それは危険です。海外に投資物件を購入したのに、実際に行ってみたら何もないところだったというケースも珍しくはないからです。また、これは掘り出し物だと思って購入したのは良いものの、周辺環境の目まぐるしい変化で物件の相場が下がり、数年後には価値が激減したという事例もあります。

実際に自分が住んでいる土地や地域であれば事情をある程度知っているので、今後価値が上がりそうかを何となく予測することはできるかもしれません。しかし海外ではそうはいきません。手に入る情報には限界があり、正確なものもあれば信頼できないものもあります。投資すべき物件なのかどうかを判断するのが極めて難しいのです。

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投資先の現地で、信頼できるパートナーを選ぶことは困難

海外に投資するのですから、必然的に現地の管理会社や不動産会社をパートナーとすることになります。しかし現地の事情に精通している人でなければ、その会社が信頼できるのかどうかを正しく把握することは難しいでしょう。インターネットなどである程度の情報は入手できても、それを信じて良いかどうかも分からないかもしれません。

日本との感覚の差も問題になることがあります。現地にある管理会社や不動産会社が企業として実績を持っており、国内では有名であっても、日本国内の同業種と同じような姿勢で仕事をしてくれるとは限らないためです。日本の場合、たいていは管理会社を入れることで物件の維持管理は定期的に行われ、何か気にかかる点があってもクレームを述べれば対応してくれることがほとんどです。やる気のない社員がいたとしても、その上司が指揮をとることである程度は統率されていることが多いでしょう。

しかし海外の場合、仕事に対する意識においては日本人との差が大きいことも考えられます。実際、日本ではあまり考えられませんが「失恋したから」「仕事をする気分じゃないから」「クリスマス前だから」という理由で無断欠勤したり、堂々と仕事をサボる社員も珍しくない国があります。もし管理を依頼した先が、会社としてその程度の職業意識しか持っていない場合、せっかく購入した物件も適正に管理してもらえなかったり、入居者のクレームに対応してもらえず入居者が不満を抱える可能性もあります。最悪の場合、それによって退去されてしまうかもしれません。

何度も現地に足を運んだとしても、現地の言葉か英語を十分操ることができ、相手先とコミュニケーションを取りながら地域の実情を詳しく理解できなければ、良きパートナーを選ぶことはできません。もし英語すら使えないのであれば、自分ひとりで信頼できるパートナー探しをすることはほぼ不可能となるでしょう。

管理会社選定は非常に重要

日本でも言えることですが、質の低い管理会社の中には、物件購入後の客付けを手厚くサポートするとしながら、実際には売りっぱなしに近い状態で放置するところもあります。不動産投資は入居者がいなければ成り立ちませんから、物件の入居者を探してくれる管理会社の働きは非常に大きいものです。海外不動産投資の場合はこの点が、言葉の問題でおろそかにされがちです。片言での会話では念を押したり、注意深く確認したりすることは難しいためです。売買契約後に契約書類を読み返しても、問題となる点が記載されているかどうかさえ分からないこともあるでしょう。費用はかかりますが、信頼がおけ、日本語と現地の言語に堪能なエージェントを雇うことが安心な取引のための近道と言えます。

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カントリーリスクがある

治安
日本は比較的、治安や政治情勢が安定した国であると言えます。しかし、海外ではそうとは限りません。法律が頻繁に、また大きく変わることが普通の国もありますし、テロや紛争が頻繁に起きている国もあります。また政治情勢が不安定で、クーデターなど国がひっくり返るような大事件が度々起きる国もあります。先進国であっても、地域によって治安や法律が大きく異なる場合があります。このように、その国が独自に抱えている課題によって投資した財産が影響を受けることを「カントリーリスク」と呼びます。

海外にはまだまだ投資において未成熟の地があり、不動産投資の面で大きなチャンスが眠っているのも事実です。しかし投資の際は、常にリスクを想定して管理しておかなければなりません。ですから、できるかぎり政情不安のない国、治安が安定している国を投資先に選ぶことや、投資先の国をひとつに限定しないで分散させることなどが有効でしょう。

建物に関する日本との基準の違いを想定する

海外の建築基準と日本の建築基準は、当然ですが異なります。一部の国をのぞき、日本の建築基準や建物性能と同等、またはそれ以上のクオリティを満たしている海外の国は、ほぼありません。もちろん、日本が地震大国であるための基準の高さでもあるのですが、海外の不動産に投資しようと考える際に日本の物件と同じ感覚で耐用年数などを考えると、とんだ計算違いを起こす場合もあります。先進国であっても、州や市によって基準がまちまちになっている国もあります。発展途上国であれば、仮に基準があったとしてもそれが本当に物件に反映されているかどうかは分かりません。注意深く確かめなければならないでしょう。

補償や権利に関する違い

国による違いは、補償や権利に関する考え方にも表れます。日本のように、瑕疵担保責任やそれに類する概念がある国もあれば、無い国もあります。予期せぬ事態が生じた場合の補償はあるのか、購入者としてどんな権利を行使できるのか、自己責任になるとしたらどう対処すればよいのかなど、その国ごとに異なるやり方をあらかじめ理解し、承知しておく必要もあります。往々にして、発展途上国や新興国の場合は、この点はあまり期待できないでしょう。先進国においても、日本と同等またはそれ以上の手厚い補償や権利の擁護を実施している国は少なく、覚悟が必要でしょう。

「訴訟大国」に投資する際のカントリーリスク

アメリカの不動産市場は、投資という面ではかなり成熟していますが、今後の開発が予定されている地域も数多く存在します。発展途上国や新興国に投資すればハイリターンかもしれませんが、ハイリスクを被るのは避けたいと考える投資家にとって、アメリカの不動産へ投資することは魅力的に映るかもしれません。しかし、アメリカにも特有のカントリーリスクが潜んでいます訴訟大国であるという点です。

日本では考えられないような些細なことも、アメリカではすぐ訴訟問題にされます。例えば不動産で考えるなら、「配管が臭う」「ドアを開け閉めする時のキーという音が耳障りだ」などのことでも、人によっては訴訟問題になり得ます。ですからアメリカの物件に投資するのであれば、訴訟を起こされた場合にどう対処するのか、所有者としてどこまで責任を取るのかなどを明確に定めてから契約するべきでしょう。

しかし、なぜこれほど訴訟が多いのでしょうか?ひとつの理由としては、アメリカが多民族国家であるため、国民全体で共通している価値基準や倫理観をあまり持っていないことが原因と考えられています。そのため、何か揉め事が起きたらまずは訴訟を起こし、どう折り合いをつけるかは公の場で決めよう、という風習が根付いたものとされています。「郷に入っては郷に従え」のことわざ通り、アメリカで不動産投資をするなら訴訟対策も万全にしておく必要があるでしょう。

詐欺のリスク

詐欺
ここ数年海外不動産投資は、おもに先進国の投資家から熱視線を浴び続けています。しかしそれに乗じて、大胆な手法の詐欺が横行していることも無視できません。古典的ではあるものの現在でもよく起きる詐欺のひとつは、日本で言うところの「原野商法」のような手口のものです。

例えば、「この土地一帯に、富裕層向けのコンドミニアムを建設します。将来的な値上がりは計り知れないものでしょう。この土地をこんなに安い価格で提供できるのは今だけです。ですが、あなたが決めないなら無理にとは言いません。他にもこの土地を買いたいと言っている人はいくらでもいるので」などと言葉巧みに惑わして焦りを抱かせ、出資させるのです。

たいていの場合、建設計画自体が真っ赤なウソで、出資後に連絡が付かなくなることがほとんどです。もっと巧みなケースでは、本物の不動産会社さながらの「現地説明会」を開催する詐欺師もいます。魅力的な完成予定図を見せるだけでなく、基礎部分だけは着工した状況にしておいて投資家に見せることで、投資プランに対する信頼を集め、高額の出資金を集めることに成功しやすくするのです。詐欺に慎重になっている投資家も、すでに着工している様子を見れば安心してしまうことがあります。しかしこのケースでも、出資金の支払い後は工事も止まり、業者とも連絡が付かなくなるのがよくあるパターンです。

「仲介役」を買って出る現地の日本人に注意

近年、日本人が海外の不動産投資に目を向け始めていることは、海外の不動産業者や現地の日本人もよく知っていることです。そしてそれを利用して、一儲けしようと企む詐欺師がいることも事実です。現地の不動産業者が、投資をしたいという日本人をだますケースももちろんありますが、さらに巧妙で注意しなければならないのは、現地の日本人詐欺師です。

日本人詐欺師は、現地の言葉や英語が十分に扱えない日本人をよく狙います。投資用の物件を探している日本人を見つけると、通訳や仲介などを買って出ると言って近づきます。投資したい日本人にとっては、相手も同じ日本人であるということで油断してしまいますし、言葉の面で助けてくれるなら仲介をお願いしようかな、という気持ちにもなってしまうでしょう。そして、すっかり安心しきって色々任せてしまったところで、購入したはずの物件が契約内容とは似ても似つかない粗悪物件であったり、さらにひどい場合は架空の物件を契約させられたりすることで、ようやく詐欺に気づきます。

また、物件には特に問題はないように思えても、現地の価格や相場が分からないことをいいことに法外な仲介手数料を加算されてしまう例もあります。日本人による日本人への詐欺は、日本人の投資への関心を悪用していますし、海外で会った日本人へ自然と心を許してしまう心理を利用した、狡猾な手口です。実際、海外の不動産投資で詐欺にあう事例の多くが、同じ日本人によるものであると言われています。ですから「日本人だから安心だ」という油断は禁物です。海外で安全に不動産投資をするためには、国内にいる時点で信頼できるパートナーを選んでおくか、自分で現地の言葉または英語を自在に操れるようになるまで、勉強しておく必要があるかもしれません。

海外は中古物件の価格が強気

日本人は新築を好む傾向にあるため、中古物件は経年とともに値下がりしていく傾向があります。ところが、欧米諸国ではむしろ中古物件のほうがむしろ築年数分の実績を買われて値上がりすることもあります。

日本の感覚で海外の中古物件を買おうとすると、相場観の違いに驚くこともあります。日本でも、人口減少を受けて中古住宅の有効活用を政府主導でやりはじめたところですので、今後日本についても中古物件の価格設定に変化が出てくる可能性はあるでしょう。

海外の物件に投資する場合は、築年数を見るだけではなく、過去の修繕履歴や立地条件などを総合的に考慮して判断するよう心がけましょう。

まとめ

この記事では、海外不動産投資でよくある失敗例やリスクについて解説しました。

海外不動産は、利益だけでなくリスクもあるので十分注意して投資しましょう。

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