
不動産は敷地の形状によって売却価格が大きく変化します。旗竿地は一般的に不整形地と呼ばれており、市場価値としては同じ面積の整形地と比べると低く、思うように売却できないことも多いです。
この記事では、旗竿地を早く売る3つのコツや売れないときの活用方法を詳しく解説していきます。
また、売りやすい旗竿地と売れない旗竿地の特徴や旗竿地の問題点などもわかりやすく説明するので、ぜひ参考にしてみてください。
旗竿地(はたざおち)とは?
不動産の中には、旗竿地(はたざおち)と呼ばれる特徴的な形状をした区画の土地があります。
旗竿地は道路への間口部分が細い路地状になっており、通路部分を進んで行った先に建物のある敷地が広がっています。土地がまるで旗のような形状をしているため、旗竿地と呼ばれています。
また、旗竿地は「敷地延長(敷延)」や「専通」とも呼ばれています。
売りやすい旗竿地
一般的に通常の物件と比べて旗竿地は売却が難しいといわれますが、全く売れないということはありません。旗竿地の中でも以下のような特徴があれば、売りやすいかもしれません。
- 日当たりや風通しが良好
- アクセスの良い立地
- 防犯対策されている
次の項目から上記の特徴があることでなぜ売りやすいのかわかりやすく解説します。
日当たりや風通しが良好
旗竿地は隣接地に囲まれていることが多く、日当たりや風通しが悪くなってしまう傾向にあります。
日当たりや風通しが悪いと空気の乾燥・循環機能が低下してしまうため、室内の湿度が高くジメジメして快適に過ごせないことが懸念されます。
また、多湿の状態が続くとカビの原因にもなりかねません。そのため、日当たりや風通しの良さは物件購入の判断材料の一つでもあります。
しかし、土地面積や建物の大きさ、隣接している物件によっては日当たりや風通しが良好な旗竿地もあります。
日当たりや風通しが良好であれば、旗竿地だとしても前向きに購入を検討してくれる買主も現れる可能性があります。
アクセスの良い立地
「職場まで楽に通勤できる」「スーパーや病院等の周辺施設が充実している」などのようにアクセスの良い旗竿地であれば、需要があるといえるでしょう。
また、駅に近い物件は利便性の良さから資産価値が上がりやすいです。
そのため、立地が良くて中古物件を安く手に入れたいという買主をターゲットとして販売活動を進めるとスムーズな売却が実現できるかもしれません。
防犯対策されている
前の項目でも説明したように、旗竿地は周辺の物件に囲まれているケースが多いです。通行人や周囲の視線を妨げられるため、プライバシーが守られるといえます。
一方で、物件の状況を確認しづらくなるため、空き巣や不法侵入などの発見が遅れてしまうことも考えられます。
対策として防犯カメラや防犯ガラスなどを導入しているのであれば、買主も安心して物件購入を決断できるかもしれません。
売れない旗竿地
売りやすい旗竿地もあればなかなか売れない旗竿地もあります。主に以下の特徴を持つ旗竿地は売れるまでに時間がかかってしまう可能性があります。
- 路地状の敷地が出入り口以外に活用できない
- 工事車両が進入できない
- 建て替えができない
もしこのような特徴を持っている旗竿地であれば、早く売却するためのコツを解説しているので参考にしてみてください。
駐車スペースの確保が難しい
旗竿地における竿部分の幅が狭いことで、自動車のドアの開閉や乗り降りに支障が出てしまう可能性があります。
また、旗状の敷地は建物が専有している状態だと駐車スペースを確保するのが難しいでしょう。そのため、自動車を所有している買主に物件候補から除外されてしまうかもしれません。
工事車両が進入できない
竿部分の幅が狭いと工事車両が進入できないことも考えられます。重機やトラック等が進入できない場合、建物の解体や資材の運搬などを手作業でおこなわなければいけません。
そのため、作業時間も人手も多く必要となり、通常の物件よりも人件費が高くなってしまうこともあります。
旗竿地を安く入手したとしてもリフォームやリノベーションで多額の費用がかかるとしたら、買主は通常の物件を購入するでしょう。

建て替えできない
道路に接する旗竿地の間口が2m未満の場合、建築基準法の接道義務を満たしていないため、再建築不可物件として建て替えできません。
建物を失ってしまうと接道義務を満たさない限り、宅地利用できません。このように土地活用が制限されるリスクがあるため、購入希望者が減ってしまうというわけです。

売れない旗竿地を高く売却するための3つのコツ
それでも、旗竿地を中心に取り扱う不動産会社は存在し、活用方法がないわけではありません。具体的に旗竿地を高く売却するための方法を見ていきましょう。
①再建築不可物件専門の買取業者へ売却
「なかなか買主が現れない」「希望価格での売却が難しい」などの場合、再建築不可物件専門の買取業者に売却することも検討してみましょう。
大手不動産会社や一般的な買取業者では、建て替えできない旗竿地を扱えないことが多く、買取自体を拒否されてしまうこともあります。
一方で、再建築不可物件を専門に扱う買取業者であれば、相場に近い価格で買い取ってくれる可能性もあります。
数ある買取業者の中でも、共有不動産のエキスパートが勢揃いした「クランピーリアル・エステート」はなかなか売れない旗竿地でも高価格での買取を実現しています。

当社は旗竿地の買取に自信があります
当社、株式会社クランピーリアルエステートでは旗竿地に詳しいエキスパートが多数在籍しており、不動産として評価額が低くなりがちな旗竿地を、ご依頼後、直ちに売却することが可能です。
旗竿地で起こりやすい隣人との境界線トラブル等があってもスムーズに解決できる体制を整えているので、物件の資産価値を上げたり、賃貸として収益物件化するなど、訳あり物件の価値を向上して運用するノウハウと実績がございます。
旗竿地の売却をご検討中の方や、まずは物件のお値段を知りたいという方はお気軽にご相談ください。
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②隣人への売却
もう一つ検討したいのが、自分の旗竿地と隣接している敷地を所有する隣人への売却です。隣人があなたの旗竿地を購入することで土地の合筆(2つの土地を1つの土地にすること)をおこなえば、一つの大きな敷地にできます。
隣人があなたの旗竿地を購入し、自分の土地とあわせて高く売却することを考えていれば、良い条件がつくこともあります。
また、売却せずに自分たちで使う広い庭やカーポート、駐車スペースとして活用するかもしれません。
③一括査定に申し込む
旗竿地でも、接道義務を満たしており再建築が可能な物件であれば、さまざまな不動産会社から査定を受けられます。
旗竿地は戸建て物件を建てる用地としてはあまり適していませんが、実は集合住宅用地として意外な活用法があります。旗竿地が嫌われる原因の一つに、車の進入のしにくさがあります。
幅が狭い通路は大型の車が入れず、自家用車を持ちたい戸建て志向の人には敬遠されるのです。
しかし、都心の集合住宅であれば駐車スペースは必要ないことが多いため、車の進入が困難な土地でも賃貸物件用地として十分に活用できます。
通路は人間が普通に通れるだけの幅があれば十分ですし、奥にまとまった広さの土地があれば、そこにアパートを建てて賃貸住宅を経営できるでしょう。
インターネット上には、数々の不動産の一括査定サイトがあります。
そういったサイトで不動産会社に査定を申し込めば、旗竿地に新築アパートや新築戸建を得意としている業者や、再建築不可物件を好む顧客を多く抱えている不動産会社などからの査定が得られます。
送られてきた不動産会社の査定を見て、どの会社が良いか検討しましょう。
旗竿地の問題点
都心であれば旗竿地の売却は容易ですが、地方の旗竿地はあまり売れないかもしれません。もし旗竿地を自分で活用せずに所有し続けた場合、固定資産税が毎年発生します。
特定空き家扱いになると固定資産税の優遇措置がなくなる
自宅が旗竿地に建っている場合、居住用の土地や建物は固定資産税の優遇措置が受けられますし、奥行価格補正率により固定資産税の評価額も下がります。
そのため、毎年かかる固定資産税と都市計画税は、かなり下がるでしょう。
しかし、問題は誰も住んでいない空き家が建っている状態で、旗竿地を所有している場合です。日本では現在、空き家が大きな社会問題となっています。
空き家不動産に関しては、以下の点が問題になっています。
空き家のせいで防犯性が低下する
放置されている空き家に住所不定の人間が住み着いたり、反社会的な人間の溜まり場になる可能性がある。
管理されていない空き家は衛生面に問題アリ
ネズミなどが大量発生し、糞尿が処理されずに放置された空き家は、周囲に衛生面で悪影響を及ぼします。悪臭が発生したり、動物の死骸が溜まることもあります。
倒壊による周囲への危険性がある
管理されていない木造住宅は壁や梁など、家の構造材の腐食などが進み、揺れや強風で倒壊する可能性があります。
台風で屋根が吹き飛び他の建物を破損させる恐れがありますし、地震で建物が崩壊することもあります。所有者が不明なまま放置されている空き家は、管理がおこなわれないばかりか、周囲の家に被害が及んだ場合の責任の所在もはっきりしません。
このように数々の空き家問題が発生していますので、旗竿地に放置されている空き家は特定空き家扱いとなり、固定資産税の優遇措置が受けられなくなる可能性があります。その結果、毎年の固定資産税が一気に跳ね上がってしまい、所有しているだけで大きな出費になってしまうのです。
収益を生み出さずに毎年税金だけが発生する不動産は、負債にすぎません。活用できない旗竿地を所有すること自体、大きなリスクと言わざるを得ないでしょう。

相続税の対象になる
不動産を所有していれば、旗竿地も資産扱いになります。もしあなたが売れないままずっと旗竿地を所有する場合、将来、子どもや孫に相続させなくてはいけません。
不動産は相続の対象になりますので、負債でしかない旗竿地を相続させれば、相続税が発生します。
旗竿地でも、まとまった広さがあれば、資産評価額として1,000万円に達することもあります。不要な不動産を相続させたくない、したくないといっても、現在の日本では不動産の自治体への譲渡は非常に難しく、土地は簡単に放棄できません。
活用しない旗竿地をずっと所有することは、子孫に対し負債にしかならない不動産を相続させることと同義になります。子孫としてもお金がかかる遺産相続をすれば、どうすればいいのか不安になるでしょう。
旗竿地の活用方法
そんな旗竿地でも活用方法はあります。次の項目から、具体的な活用方法を解説していきます。
アパート用の土地として活用する
前の項目で説明したように、都心や住宅街など人口の多いエリアであれば、旗竿地はアパートなど集合住宅用地として活用できます。マンションを建てるほどの旗竿地は多くはありませんが、アパートぐらいの規模ならば、それほど広くない土地でも建てられます。
どうしても旗竿地は奥まった場所になってしまうため、立地的に周囲の建物から圧迫感を受ける、日当たりが悪く、日差しが入りにくいなどの悪条件は否めません。
ただし、そのデメリットも考えようによってはメリットに変わるのです。旗竿地の狭い通路に門を設置すれば、施錠や防犯カメラで防犯面を強化できます。入り口が限定され、不審者の侵入を未然に防げます。
また、道路に面しているアパートは、付近からの騒音や車の音がうるさい傾向にあります。しかし、奥まった場所にある旗竿地では、騒音はそれほど気にならずに静かな生活が送れます。
デメリットをメリットに変えるアピールができれば、アパートを建てて収益を上げるのも夢ではありません。
戸建て住宅として貸し出す
旗竿地に誰も住んでいない戸建て住宅が建っているのであれば、リフォームによって間取りなどを変え、リビングをつくり、賃貸住宅に転用することも選択肢の一つです。
車がギリギリ入れるぐらいの間口の広さがあれば、車が必要なファミリー向けに駐車スペースとして貸し出すこともできるでしょう。
戸建ては1世帯しか住んでいませんので、駐車スペースには自分の車しか置きません。集合住宅のように、他人の車が邪魔で自分の車が出せないなどのトラブルはなくなります。
また、自宅のある場所から路地を通らないと道路に出られません。
幅員の広い公道に直接面していないので、子どもが不注意で広い道路に飛びだすような状況にもなりにくく、敷地や路地内で安全に遊べるメリットもあります。子連れの家庭にとって、意外と使いやすいのが旗竿地にある戸建て物件なのです。
建物を取り壊して駐車場などにする
空き家の維持には修繕費など、さまざまなコストがかかります。また、土地ではなく、建物にも固定資産税が課税されますので、修繕費と税金の二重コストになります。
建て替えも面倒だし、賃貸物件としての需要もあまりないだろうと思うときは、建物を壊して別の活用法を考えましょう。
再建築可能な旗竿地であれば、一度建物を壊してもそれほど大きな負担につながりません。建物を建て直せばいいだけです。ただ、空き地のままだと固定資産税がかかりますので、初期投資が低い駐車場やコインパーキングとして活用し、収益を得ることを考えましょう。
3メートルほどの間口の広さがある路地ならば、大型車でも出入りは可能です。
隣地を買い取って一つの不動産にする
たとえば、隣地の住人が引っ越しなどの事情で自分の家と土地を売ろうと考えている場合は、隣地を買い取れるかもしれません。
隣人が所有する敷地を購入すれば、旗竿地を一つの大きな整形地に変更できるので検討するとよいです。
再建築不可の旗竿地でも建築可能な土地に再生できるなど、一つの大きな土地としてさまざまな活用方法が考えられます。資産価値も上がり、スムーズな売買が期待できるかもしれません。
将来、売却を考えているのであれば、旗竿地のままにしておくよりも整形地にしたほうが良いでしょう。

まとめ
旗竿地は扱いが難しい土地であり、特に再建築不可物件の場合、なかなか売却できません。それでも建物があれば、リフォームやリノベーションを施して物件を再生し、賃貸用のアパートや戸建てとして収益源にできます。
特に活用する気がなく、すぐに売却して現金化したいという時は、専門の買取業者に依頼してすばやく現金化してしまうのも一つの手です。
基本的にはデメリットの多さが目立つ旗竿地であるだけに、メリットが際立つ再生をするにはプロの手を借りる必要が出てくるでしょう。
旗竿地を居住以外の目的で使っている場合、そのままの状態ではただ税金がかかるだけの負債に過ぎません。専門家の力を借りて売却を検討するか、収益を上げる活用法を考えていきましょう。