不動産投資家は知らなきゃ損!経費と節税を理解して利益を上げよう

不動産投資家 経費

不動産投資では安定した家賃収入が期待できるだけでなく、所得税の節税効果も期待できるということを聞いて、より不動産投資に興味を持った方もいるのではないでしょうか?

確かに不動産投資では、減価償却費といった経費をうまく活用することで所得税の節税効果が期待できるというメリットがあります。しかし、不動産投資の所得税の節税効果についてしっかりと理解していないと、不動産投資で赤字になってしまう可能性があるので注意が必要です。

この記事では、不動産投資の経費とは何なのか、経費と認められる費用、節税する方法、確定申告時に気を付けるポイントなどについて解説します。

不動産投資で経費と認められる費用

不動産投資経費
不動産投資では家賃収入がすべて自由に使える費用になるわけではありません。たとえば、不動産管理会社に支払う管理費や運用する投資用不動産の固定資産税などの費用を引いて残った分が自由に使えるお金です。このように不動産投資を行うには費用がかかりますが、不動産投資でかかる費用の中には経費として計上できるものもあります。経費とは何なのでしょうか?

そもそも経費とは?

会社から貰う給料や賞与は給与所得、株式を保有することで得られる配当は配当所得など、所得は性質ごとに分類されます。ちなみに、不動産を保有して貸し出すことで得られる家賃収入は不動産所得です。不動産所得の算出方法は以下の通りです。

不動産所得=総収入金額-必要経費

経費(必要経費)とは、所得を得るためにかかった費用です。総収入金額から経費を引いて算出した不動産所得に対して所得税や住民税が課されます。そのため、必要経費が増えるということは不動産投資における利益が減少する一方、不動産所得に対して課される税金も減少。しかし、すべての費用が経費として計上できるわけではないため、どの費用が経費として計上できるのか理解しておく必要があります。

経費は全部で約13種類

経費を多く計上して少しでも所得税を抑えたいと思った方も多いのではないでしょうか?しかし、経費として計上できる費用は限られています。不動産投資で計上できる主な費用は以下の13種類です。

・租税公課
・損害保険料
・減価償却費
・借入金利息
・管理費
・修繕費
・旅費・交通費
・広告宣伝費
・通信費
・新聞図書費
・接待交際費
・消耗品費
・その他費用

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租税公課

租税公課とは税金関係の経費です。不動産投資では、以下のような租税公課がかかります

・固定資産税・都市計画税
・登録免許税・不動産取得税
・事業税
・印紙税・自動車税

固定資産税や都市計画税は土地や建物を所有していることによってかかる税金です。また、登録免許税や不動産所得税は投資用不動産を取得する際にかかります。事業税は不動産投資を事業として行う際にかかる税金、印紙税は売買契約書を交わす時にかかる印紙税です。また、物件の管理に車を使用するという名目で車を所有している時には自動車税がかかります。

【経費申請に必要な書類】
・領収書
・レシート
・支払い明細
・銀行口座の履歴

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損害保険料

自然災害で投資用不動産に万が一の事態が生じると、修繕費用が多くかかります。そのため、不動産投資では万が一の事態に備えて保険に加入しているのが一般的です。不動産投資で加入する保険は主に以下の3つです。

・火災保険
・地震保険
・施設賠償責任保険

日本は地震大国であるため、地震保険に加入しておいた方が安心ですが、地震保険は単体で加入できません。地震保険は火災保険に付帯しているものなので注意しましょう。

【経費申請に必要な書類】
・保険会社から届く証書
・引き落とし口座の履歴

減価償却費

減価償却費とは、資産価値の減少を経費として計上できるものです。詳しくは別の見出しで説明しますが、他の経費と異なり実際に支出を伴わない経費なので大きな節税効果が期待できます。

【経費申請に必要な書類】
・契約書
・領収書

借入金利息

不動産投資では、投資用不動産を購入するにあたって多くの資金が必要なので、金融機関の融資を受けながら不動産投資を始めるのが一般的です。融資を受けると原資部分に加えて利息を支払う必要がありますが、この利息を経費として計上できます。しかし、経費として計上できるのは利息部分のみで、原資部分は経費として計上できません。

【経費申請に必要な書類】
・銀行口座の支払い履歴

管理費

不動産投資では、投資用不動産の管理を不動産管理会社に依頼するのが一般的で、管理には管理委託費が発生。また、投資用不動産がマンションの場合は、マンション全体の管理をマンション管理会社に依頼するので管理費が発生します。これらの費用もすべて経費として計上することが可能です。

【経費申請に必要な書類】
・領収書
・支払い明細

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修繕費

不動産投資では、投資用不動産が築年数の経過で経年劣化が生じます。経年劣化が生じると、劣化した部分の修正が必要に。また、投資用不動産がマンションの場合には、修繕費をマンション全体で修繕積立金として徴収します。これらの修繕費は経費として計上することが可能です。

【経費申請に必要な書類】
・領収書
・振込明細

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旅費・交通費

不動産投資を行う場所が必ず自宅に近いとは限りません。たとえば、離れた投資用不動産を見に行く場合は宿泊費やガソリン代、駐車場代などがかかります。また、不動産投資会社が開催しているセミナーに参加するための電車代といった交通費もかかりますが、これらも経費として計上することが可能です。

【経費申請に必要な書類】
・領収書
・レシート

広告宣伝費

入居者を募集する際には広告費がかかります。単純な広告費は不動産管理会社の管理委託費に含まれていますが、不動産管理会社の通常の広告方法を上回る広告は追加で広告宣伝費を支払うのが一般的これらの広告宣伝費も経費に含めることができます。

【経費申請に必要な書類】
・領収書
・振込明細

通信費

不動産投資を行うにあたって、不動産管理会社との電話でかかる通話料やインターネット回線費用などの通信費がかかりますこれらの通信費も経費に計上することが可能です。

【経費申請に必要な書類】
・領収書
・口座引き落としの履歴

新聞図書費

不動産投資では、安定した不動産投資を続けていくために、市場や経済の情報を得ることが重要です。これらの情報を得るには、新聞の購読や書物の購入などの方法が挙げられます。これらの新聞の購読や書物の購入などにかかる新聞図書費も経費に含むことが可能です。

【経費申請に必要な書類】
・領収書
・レシート
・支払い明細

接待交際費

不動産管理会社や税理士などと打ち合わせや不動産投資仲間などとの意見交流を飲食店で行うと飲食費がかかりますこれらの飲食費は接待交際費という項目で経費として計上可能です。

【経費申請に必要な書類】
・領収書
・レシート

消耗品費

不動産投資では、投資用不動産の外観や劣化部分などを撮影するのに使うデジタルカメラ、写真編集に使うパソコン、資料の印刷に使用するプリンターといった購入費がかかります不動産投資で使うことがハッキリしているものは、消耗品費として経費に計上することが可能です。

【経費申請に必要な書類】
・領収書
・レシート

その他費用

他にも、会計を税理士に依頼する、権利関係の手続きを司法書士に依頼すると、それぞれで依頼料がかかります。このように専門家に支払う依頼料も、不動産投資に関するものであればその他費用として計上可能です。

【経費申請に必要な書類】
・領収書
・レシート
・支払い明細

初年度だけかかる経費もある

経費の中には、初年度だけかかる経費もあります。たとえば、以下のような費用です。

・登録免許税・不動産取得税
・印紙税
・司法書士の依頼料

登録免許税や不動産取得税は投資用不動産を取得した時、印紙税は売買契約の時、依頼料は投資用不動産の所有権移転などを司法書士に依頼した時など、初年度だけかかります。そのため、初年度は2年目以降よりもより多くの経費を計上できるでしょう。

経費計上されないものもある

経費として計上できる費用は約13種類でしたが、状況によっては経費計上できないものもあります。不動産投資の使用とプライベートの使用が区別できないものは経費として計上することに問題が生じる可能性があるので注意が必要です。

たとえば、電話やネット、車などはプライベートでも使用するので場合によっては一部しか経費として認められない場合があります。何でも経費として認められるわけではないので、分からない場合は税理士などの専門家に聞いてみましょう

不動産投資で少しでも節税する2つの方法

赤字決算
不動産所得は、給与所得などの他の所得と合算して所得税を算出します。所得税は、所得が多くなれば税率が高くなる累進課税が適用されるため、少しでも節税したいと思った方もいるのではないでしょうか?

不動産投資で少しでも節税する方法として以下の2つが挙げられます。

・経費を増やして赤字経営に見せる
・一定の所得を得られるようになったら法人化する

経費を増やして赤字経営に見せる

1つ目は経費を増やして赤字経営に見せるという方法です。経費が増えることで不動産所得が少なくなることから、所得税の節税につながります。

しかし、節税目的で赤字経営に近づけると、経営がうまくいっていないと判断されて、次の物件を購入する際の融資を金融機関に断られる可能性もあるので注意しましょう。

一定の所得を得られるようになったら法人化する

個人で不動産投資を行うと、事業という側面とプライベートという側面の両方が混在してしまうため、経費が限られるまたは一部しか経費として認められない可能性があります。

しかし、法人化することで経費として計上できる項目を増やすことが可能です。たとえば、社用車として車を購入して自動車税やガソリン代、自宅を事務所にして賃料や固定資産税、水道光熱費などを経費として計上できます。また、生命保険料といった個人事業では経費として計上できないものも経費に含めるため、法人の方が大きな節税効果を期待できるでしょう。

確定申告時に気を付ける3つのポイント

確定申告とは、1月1日~12月31日までの1年間の所得を計算して、3月中旬に税務署に申告して納税するものです。会社に勤めているサラリーマンの場合は、源泉徴収で所得税が給料から引かれているため、確定申告を行っていない方も多いと思います。

しかし、サラリーマンであっても給与所得以外に年間で20万円以上の所得があるもしくは給与所得が2,000万円を超える時は確定申告が必要です。確定申告する際は何か気を付けるポイントがあるのでしょうか?確定申告する際の3つのポイントについて見ていきましょう。

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確定申告書Bを使用する

確定申告の際に使用する書類は、確定申告書Aと確定申告書Bの2種類あります。確定申告書Aとは、所得が給与所得や公的年金、その他の雑所得のみの場合に使用します。一方で、確定申告書Bとは、所得の制限がなく項目が多いので誰でも使用可能です。

不動産投資の時は項目が多いので、より広い範囲をカバーしている確定申告書Bを使って確定申告します。

投資規模によって白色申告・青色申告が異なる

確定申告には白色申告と青色申告の2種類あります。白色申告とは、不動産投資を始めて最初の確定申告などで使用する申告方法です。申告には以下のような書類が必要です。

・確定申告書B
・収支内訳書
・医療費控除の明細書

白色申告と青色申告を比較すると、青色申告の方が白色申告よりも控除額が大きいという特徴があります。しかし、青色申告で申告するには、不動産投資の規模が事業的規模であることが条件です。事業的規模とは以下のような条件を満たしている場合を言います。

・5棟の物件を保有する
・10室の物件を保有する

また、青色申告では、複式簿記による記帳や貸借対照表に加え損益計算書を添付することも求められるなど、手間がかかる点に注意しましょう。

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収入の計算で漏れやすいもの

不動産投資では、家賃収入しか収入がないと思っている方もいるかもしれませんが、他にも収入が発生するので注意が必要です。不動産投資で発生する収入には以下のようなものがあります。

・家賃収入
・名義書換料・承諾料・更新料・頭金
・敷金・保証金
・共益費(電気代・水道代など)

これらの費用も収入として計上しなければなりません計上せずに過少申告となった時は、過少申告加算税の対象となって追加で納税が必要になるので注意しましょう。

物件の購入時には要チェック!減価償却費を活用しよう

減価償却
経費として計上できる費用の中に減価償却費がありましたが、減価償却費とはどんなものなのでしょうか?減価償却費について見ていきましょう。

減価償却費とは?

減価償却費とは、減価償却資産を取得した場合に、取得費用を一定年数に分けて経費として計上するものです。たとえば、建物や機械といった高価なものは、身近なティッシュペーパーやメモ帳とは違い、1度購入したからと言ってすぐに使い切るものではありません。このような場合、その価値が1年ずつ減っていくものとして考え、減った分だけを掛かった費用として計算します。これが「減価償却」です。

減価償却費とは、この減価償却によって発生する経費のこと。たとえば、100万円のコピー機を購入して、1年で20万円の経費を使ったと仮定し、5年間に分けて計上するなどです。なお、減価償却資産とは、時間の経過とともに資産価値が減少していく取得時の購入費用が10万円以上の資産のこと。

不動産の減価償却を考える際は、建物は経年劣化とともに資産価値が減少しますが、土地は経年劣化が生じないため、建物の減価償却費だけを経費として計上します。

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法定耐用年数内なら経費として計上できる

減価償却費は、いつまでも計上できるわけではありません法定耐用年数の範囲内のみしか計上できないので注意が必要です。法定耐用年数は建物の構造ごとに異なります。主な建物の法定耐用年数は以下の通りです。

建物の構造 法定耐用年数
鉄骨鉄筋コンクリート 47年
れんが・石造 38年
木造 22年
木骨モルタル造 20年

新築の投資用不動産を購入した時は上記の法定耐用年数が適用されますが、中古の投資用不動産の時は計算方法が少し異なります

築年数が法定耐用年数を経過している

築年数が法定耐用年数を経過している場合には、減価償却費を経費として計上できないと思った方もいるかもしれませんが、経費として計上できます。計算方法は以下の通りです。

耐用年数=法定耐用年数×0.2

たとえば、築30年の木造物件を取得した場合は、22×0.2=4年(端数は切り捨て)です。

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築年数が法定耐用年数を経過していない

築年数が法定耐用年数を経過していない場合には、残りの耐用年数が適用されそうですが、残りの耐用年数よりも長くなります計算方法は以下の通りです。

耐用年数=(法定耐用年数-築年数)+築年数×0.2

たとえば、築10年の木造物件を取得した場合は、(22-10)+10×0.2=14年(端数は切り捨て)です。新築物件を取得するか、中古物件を取得するかによって計算方法が異なるので覚えておきましょう。

まとめ

会社で働いて得られた給料は給与所得、不動産投資によって得られた所得は不動産所得といったように、所得は全部で10種類に分類されています。不動産所得を計算する際は、総収入金額から必要経費を差し引いて求めますが、何でも経費として計上できるわけではないので注意が必要です。

経費として計上できる費用は、租税公課・損害保険料など全部で約13種類。多くの経費を計上することで節税効果が期待できますが、赤字経営に近づくと次の物件を購入する際の融資を受けにくくなる可能性があります。節税効果を高めることも重要ですが、まずは継続的に安定した不動産投資ができる状況をしっかり築くようにしましょう

最終更新日:
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