マンションの固定資産税はいくら?高い理由や節税方法、計算方法を解説

マンション 固定資産税 高い

マンションを所有している人のなかには、固定資産税が高くなって支払いが困難になっている人もいるのではないでしょうか。

固定資産税が高くなる理由には、さまざまな要因が考えられます。そこで当記事では、マンションの固定資産税が高くなる理由や支払えないとどうなるのか、またその場合の対処法を解説していきます。

固定資産税の計算方法も解説するため、マンションの固定資産税が高くなり支払いが難しい場合には参考にしてみてください。

マンションの固定資産税は高い?計算方法とは

マンションのような不動産を所有している場合、固定資産税を毎年納めなければなりません。

固定資産税は「固定資産税評価額×標準税率」の計算式で算出できます。標準税率は市区町村によって異なる場合もありますが、1.4%であることが一般的です。

不動産の固定資産税は、建物部分と土地部分の両方に課せられます。そのため、固定資産税を算出する場合、物件の建物部分と土地部分で分けて計算する必要があります。

ここまでの計算方法はマンションでも一軒家でも同様です。しかし、建物部分と土地部分の固定資産税の比率はマンションと一軒家で下記のように目安が異なります。

比率の目安
マンション 土地:建物=3:7
一軒家 土地:建物=7:3

耐用年数が長いマンションは建物のほうが土地よりも固定資産税が高くなるのが一般的です。この比率を考慮すれば、マンションすべてにかかる固定資産税が10万円である場合、土地部分は3万円、建物部分は7万円の固定資産税がかかります。

ここからは、建物部分と土地部分にかかる固定資産税の計算方法を解説していきます。マンションの固定資産税を知りたい場合は、参考にしてみてください。

【建物部分】固定資産税の計算方法

建物部分の場合、固定資産税は再建築費用をもとに算出されます。この場合における再建築費用とは、所有しているマンションを現時点で立て直した場合にかかる費用のことです。

たとえば、所有するマンションの建設時には5,000万円がかかっていたとしても、現時点で建築すると2,000万円で建てられるケースであれば、2,000万円をもとに固定資産税が算出されます。

そして、固定資産税は評価額に標準税率をかけて算出されるため、今回のケースでは下記のようにマンションの建物部分の税金を計算できます。

2,000万円×1.4%=28万円

なお、所有期間などによって物件の状態が変わるマンションは、価値もさまざまな要因によって変動します。マンションの固定資産税評価額は3年に1度見直しがされます。

基本的には経年劣化によって価値が下がり、マンションの建物部分は固定資産税評価額が減価されるのが一般的です。そのため、基本的に建物部分のみであれば、固定資産税は年々低くなります。

【土地部分】固定資産税の計算方法

マンションの土地部分は、路線価によって固定資産税が変動します。

路線価とは、道路に面している土地の1m2あたりの価格のことです。国税庁が毎年公表しており、公式サイト「令和5年分の路線価等について」から確認できます。

土地部分の固定資産税を算出する場合、まずは所有する物件で定められた路線価を確認してみてください。路線価がわかれば、下記の計算式で土地部分の固定資産税評価額を算出できます。

土地部分の固定資産税評価額=路線価×土地の面積×0.7%

たとえば、路線価が1m2あたり20万円で100m2の土地を所有している場合、「20万円×100m2×0.7%」との計算式になり、この場合の土地部分の固定資産税評価額は1,400万円となります。

そして、固定資産税は評価額に標準税率をかけて算出されるため、今回のケースでは下記のようにマンションの土地部分は「1,400万円×1.4%=19.6万円」と計算できます。

なお、地価の変動などがあれば、土地部分の価値も変わります。そのため、建物部分と同様に、土地部分も3年に1度固定資産税評価額が見直しされます。

地域にもよりますが、土地部分に関しては3年に1度評価額が変わり、固定資産税も変動する可能性があるのです。

マンションの固定資産税が高くなる理由

マンションを所有している人のなかには、毎年固定資産税が高くなっていると感じる人もいるのではないでしょうか。

マンションの固定資産税は、値上がりすることもあります。下記のケースに該当する場合、マンションの固定資産税が値上がりします。

※各項目をクリック・タップすることで詳しい解説を確認できます。

ここからは上記のケースごとにマンションの固定資産税が値上がりする理由を解説していきます。

新築から5年が過ぎたから

新築マンションには、「新築住宅に係る税額の減額措置」が適用されます。減額措置が適用されると、新築から5年間はマンションの建物部分にかかる固定資産税が1/2となります。

新築から5年が経過すると新築住宅に係る税額の減額措置が適用されません。そのため、固定資産税が本来かかるはずだった金額に戻る仕組みです。

つまり、新築から5年が過ぎたマンションを所有している場合、減額措置が適用されなくなったために、固定資産税が今までよりも高くなったといえます。

なお、新築住宅に係る税額の減額措置が適用されなくなった場合、本来かかるはずだった税額になるだけで、固定資産税が増税されるわけではありません。

周辺の地価が上がったから

マンションの固定資産税は、土地や建物の評価額によって変動します。土地の評価額は地価などによって変動し、周辺の地価が上がれば評価額も上がる仕組みです。

つまり、周辺の地価が上がった場合、土地部分の評価額が上がり、マンションの固定資産税が増えたと考えられます。

土地の固定資産税評価額は3年に1度見直しされます。

なお、地価については、国土交通省が運営する「土地総合情報システム」から確認できます。地価が上がったかどうかを確認したい場合は参考にしてみてください。

「住宅用地の特例」の適用が外れたから

マンションを所有している場合、物件の土地部分に対して「住宅用地の特例」が適用されるのが一般的です。

住宅用地の特例とは、土地の面積に応じて固定資産税と都市計画税が減税される特例措置のことです。住宅用地の特例が適用されれば、固定資産税と都市計画税が下記のように減税されます。

固定資産税 都市計画税
敷地面積200m2以下の部分 固定資産税評価額×1.4%×1/6 固定資産税評価額×0.3%×1/3
敷地面積200m2を超える部分 固定資産税評価額×1.4%×1/3 固定資産税評価額×0.3%×2/3

たとえば、敷地面積200m2以下で固定資産税評価額が3,000万円のマンションを所有している場合、固定資産税は「3,000万円×1.4%×1/6」、都市計画税は「3,000万円×0.3%×1/3」と軽減率を計算できます。

住宅用地の特例を受けられるのは、市区町村で定められた要件を満たしている場合です。要件を満たせない場合、住宅用地の特例の適用が外れて、本来の固定資産税がかかります。

つまり、固定資産税が高くなった場合、何かしらの要件を満たせずに住宅用地の特例が外れたために、固定資産税が高くなったことも考えられます。

住宅用地の特例が外れた場合、固定資産税だけでなく都市計画税も本来の税額に変わります。そのため、都市計画税も高くなった場合は、住宅用地の特例が外れていないかを疑ってみるとよいでしょう。

「認定長期優良住宅に関する特例措置」の適用が外れたから

マンションによっては、「認定長期優良住宅に関する特例措置」が適用されるケースがあります。

認定長期優良住宅に関する特例措置とは、認定長期優良住宅とみなされる物件を所有する場合に受けられる特例措置のことです。具体的には、耐震性や省エネ性能、バリアフリー性能などが一定の基準を満たしているマンションが該当します。

認定長期優良住宅に関する特例措置が適用された場合、マンションであれば7年間固定資産税などの税金が軽減されます。8年目以降は特例措置の適用が外れて、本来の税金額に戻る仕組みです。

つまり、固定資産税が高くなった場合、認定長期優良住宅に関する特例措置が外れたために、本来の固定資産税の金額に戻った可能性も考えられます。

なお、認定長期優良住宅に関する特例措置が適用される場合、固定資産税だけでなく、所得税や登録免許税、不動産取得税といった税金も軽減されます。

そのため、所得税や登録免許税といった税金も高くなった場合には、認定長期優良住宅に関する特例措置の適用が外れていないかを疑ってみるとよいでしょう。

建築資材の値段が高騰したから

基本的に、マンションは経年劣化によって年々資産価値が下がります。それに伴い、マンションの建物部分については、固定資産税評価額も下がるのが一般的です。

しかし、建物の建築資材の値段が高騰した場合、建物部分の固定資産税評価額が高くなることもあります。

マンションの建物部分は、再建築費用をもとに固定資産税評価額が算出されます。建築資材が高騰すれば、再建築にかかる費用も上がるため、固定資産税も高くなる仕組みです。

耐震改修工事をして2年が過ぎたから

マンションの耐震改修工事を行い、その地域の自治体に申告することで、固定資産税の特例措置が適用される場合があります。

この特例措置が適用されると、耐震改修工事が完了した年の翌年度分の固定資産税が1/2に減額されます。工事が完了した年の翌々年度は、本来の固定資産税の金額に戻る仕組みです。

つまり、耐震改修工事をして2年が過ぎたことで特例措置の適用が外れたために、固定資産税が高くなったことも考えられます。

なお、特例措置の適用が外れても本来の税額に戻るだけであって、固定資産税が増税になるわけではありません。

「特定空き家」に指定されたから

マンションによっては、特定空き家として指定されたために固定資産税が高くなったことも考えられます。

マンションを所有している場合、基本的に住宅用地の特例が適用され、固定資産税の控除を受けたうえで納税をすることになります。しかし、マンションが特例空き家として認定されれば、住宅用地の特例による固定資産税の軽減を受けられません。

また、「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案」では、特定空き家に指定された不動産は固定資産税が最大6倍になると定められています。

つまり、所有するマンションが特定空き家として判断されたために、住宅用地の特例が外れたうえに、最大6倍まで固定資産税が高くなった場合も考えられるのです。特定空き家として該当するケースには、下記が挙げられます。

  • 倒壊や火災の危険性が高い空き家
  • 著しく公衆衛生上有害となるおそれのある空き家
  • 管理不足によって景観を著しく損ねている空き家
  • 近隣住民の生活を脅かすおそれのある空き家

参照:国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律(令和5年法律第50号)について

いずれにしても建物全体が空室でない限りは、マンションが特定空き家とみなされることはありません。また、老朽化が進んでいなければ、特定空き家として指定される可能性は低いと考えられます。

そのため、「マンションに住人がいる」「建物全体が空室でも老朽化は進んでいない」といったマンションであれば、特定空き家以外が原因で固定資産税が高くなったことを疑ってみるとよいでしょう。

マンションの固定資産税が高くて払えないとどうなる?

マンションの固定資産税が高くなった場合、支払いが困難になるケースも考えられます。固定資産税を支払えない場合、下記のようなリスクがあります。

  • 延納金が発生してしまう
  • 財産の差し押さえが行われる
  • 競売にかけられてしまう

マンションを所有している場合、固定資産税を納めるのは所有者の義務です。正当な理由なしで固定資産税の支払いが滞れば、延納金が発生するうえに、財産の差し押さえやマンション自体が競売にかけられるおそれもあります。

延納金が発生してしまう

マンションの固定資産税を期日どおりに支払わない場合、納付催告書や督促状が届き、延納金が発生します。

延納金は固定資産税の納付期限の翌日から発生し、納付期限の翌日から1か月以内であれば年率2.4%、1か月が経過すると8.7%の割合で発生する仕組みです。

所有しているマンションの広さにもよりますが、延滞金は年間で数万円〜数十万程度になるのが一般的です。

マンションのような不動産を所有している場合、固定資産税を期日通りに納めるのは所有者の義務です。万が一延滞金が発生してしまった場合、納付期限が1か月を越える前に固定資産税と延滞金を支払うようにしてください。

財産の差し押さえが行われる

督促状が届いても固定資産税を支払えない場合は、最終的には役所による財産の差し押さえが行なわれます。この準備として、まずは役所からの財産調査が実施されます。

財産調査によって換金可能な財産があると判断されると差押予告通知書が送付され、この通知を無視すると差し押さえが実行される流れです。

差し押さえの対象となる財産には、下記が挙げられます。

  • 不動産
  • 銀行口座の預貯金
  • 各種保険の解約返戻金
  • 給与債権
  • 貴金属

なお、国税庁の公式サイト「第47条関係 差押えの要件」をみると、「督促状や納付催告書を発行した日から10日が経過するまでに税金を完納しなければ差し押さえを行える」とわかります。

納付期限までに納めるのが大前提ですが、マンションの固定資産税が支払えない場合、督促状が届いたら可能な限り早く税金を納めるようにしてください。

競売にかけられてしまう

財産が差し押さえられても固定資産税を完納できない場合、マンションが競売にかけられます。

競売とは、裁判所を通して不動産を売却する制度のことです。所有するマンションが競売にかけられた場合、下記のようなリスクがあります。

  • 一般的に市場価格よりも低い金額が設定される
  • 住宅ローンの一括返済を求められる
  • マンションからの強制退去を命じられる

競売をかけられた場合、市場価格よりも低い価格でマンションを手放すことになるのが一般的です。また、住宅ローンを利用している場合は、借入金の一括返済が求められる可能性もあります。

最終的には物件からの強制退去を命じられることになるため、固定資産税が支払えない場合、これから解説する対処法を実施するようにしてみてください。

マンションの固定資産税が高いと感じたら

固定資産税の滞納には、延納税の発生や差し押さえといったリスクがあるため、支払いが難しい場合は下記のような対処法を実施してみてください。

  • 自治体に相談する
  • 任意売却も視野に入れる

自治体に相談する

固定資産税を支払えない場合、所有するマンションの地域にある自治体に相談することで、下記のような対応をとってもらえる可能性があります。

減免を受ける
分納で支払う
徴収猶予を受ける

減免を受ける

自治体によっては、固定資産税の減免制度が用意されている場合があります。

たとえば、神奈川県横浜市には固定資産税の減免制度が用意されており、税金を納めるのが困難な事情がある場合は減免制度を利用できる場合があります。具体的には、「災害にあってしまった」「生活扶助を受けている」といった場合に減免が適用されます。

固定資産税の減免を受けられる可能性があるため、支払いが困難な場合は所有するマンションの地域で減免制度が用意されているかを確認してみるとよいでしょう。

分納で支払う

マンションの固定資産税は、原則一括または年4回に分けて支払います。一度にまとまった金額の支払いが難しい場合、分納で固定資産税を納めることを認められるケースもあります。

分納が認められれば、年12回に固定資産税の支払いを分けられるのが一般的です。マンションの固定資産税を支払えない場合、所有する物件の自治体に相談してみるのもよいでしょう。

ただし、分納を認めてもらえるかどうかは、自治体の担当者の判断次第です。支払いが困難である状況から分納が適当であると判断されない限りは、マンションの固定資産税の分納は認められないと考えられます。

自治体に相談する際は、固定資産税の支払いが困難な状態を具体的に担当者に伝えるようにしましょう。

徴収猶予を受ける

マンションの固定資産税を支払えない特別な理由がある場合、徴収猶予を受けられる可能性があります。

徴収猶予とは、一定期間固定資産税の支払いに猶予を持たせられる制度のことです。徴収猶予の内容は自治体によって異なり、たとえば東京都主税局では、一定の条件を満たしていれば、最大1年間猶予期間が設けられます。

徴収猶予が適用されれば、固定資産税の滞納による延納金の発生や財産の差し押さえを避けられます。マンションの固定資産税の納付が難しい事情がある場合、所有する物件の自治体で用意された徴収猶予を適用できないかを確かめてみるとよいでしょう。

任意売却も視野に入れる

マンションの固定資産税を支払わない場合、最終的には物件が競売にかけられます。競売になれば市場価格よりも低い価格で物件を手放すことになるのが予測されます。

また、固定資産税を滞納している場合、マンションの売却は基本的に困難です。そのため、固定資産税が支払えない場合、任意売却することも視野に入れてみてください。

任意売却であれば、競売になる前にマンションを売却できる可能性があるうえに、売却金額を滞納している固定資産税の支払いに充てられます。

また、滞納によってマンションを差し押さえられていても、任意売却で物件を売却できる可能性もあります。

任意売却で差し押さえられたマンションを売却するには、差し押さえを解除してもらう必要があります。差し押さえの解除には、自治体との話し合いで定められた要件で滞納している税金を納めなければなりません。

任意売却については、「任意売却をする流れ!競売までの期間や注意点も解説」の記事で詳しく解説しています。固定資産税の滞納を任意売却で解消する場合は参考にしてみてください。

まとめ

固定資産税は「固定資産税評価額×標準税率」の計算式で算出が可能です。マンションの場合、建物部分と土地部分の評価額を合わせた金額が固定資産税評価額となるため、それぞれ分けて算出する必要があります。

なお、マンションによっては固定資産税が高くなるケースもあります。万が一、高額になった固定資産税の支払いが難しい場合は、自治体に相談したりマンションを売却したりすることを検討する必要があります。

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