アパート経営の経費を削減するには?大切な2つのポイントを解説!

アパート 経営 削減

黒字化経営するためには、経費の扱い方を理解しなければいけません。経費削減のみならず経費を上手に申告し、納税額を減らすということも経費削減の重要なポイントです。しかし、極端に経費を減らしたり増やしたりすることは、得策ではありません。大切なのは、経費と上手に向き合いながら経営を進めていくことです。

本記事では、アパート経営において考えるべき経費削減のポイントについてご紹介します。黒字化経営を目指したいオーナー様は、必見です!

経費を削減する2つのポイント

経費
アパート経営において、経費をどう扱うかが黒字化経営のキーポイント。ご存知の通り、経費を多くすれば納税額を抑えることができますが、キャッシュの負担が大きくなります。反対に、経費を少なくすれば手元のキャッシュを増やすことができますが、税金負担が増えてしまいます。

ここで重要視してほしいことは、最終的に手元に残るお金がどのくらいかということ。納税時期は翌年です。納税後に手元に残るお金はどの程度になるのかも同時に考えなければ、例え儲かっているようにみえても「実は赤字だった」ということにもなりかねません。そこで、重要視してほしいのが、以下の2つのポイントです。

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ポイント1.経費は正しく申告すること

アパート経営は事業のひとつ。事業である以上、収益から経費をひいた額を申告して、納税しなければなりません。納税額は「収入-経費=納税額」で決まります。つまり、税金は経費が多ければ多いほど安くなり、反対に経費として計上できなければ余計な税金を払うことになります。

しかしながら、経費を無意味に増やすことは、損失を大きくする原因にもなりかねません。たしかに経費計上は節税対策に大きな効果をもたらしますが、中には経費として認められない出費もあります。

大切なのは、正しく申告できるかどうかということ。経営に必要な出費かを見極め、正しく申告することが、黒字化経営の第一歩となるのです。

ポイント2.経費を惜しんで経営の質を低下させないこと

経費削減を意識するあまり、必要な清掃や修繕を行わなかったり、管理がずさんになったりしないよう注意しましょう

たしかに修繕費や管理費用、宣伝費用をかけなければ大幅に経費を削減することが可能です。しかしながら、入居者の不満を改善しない経営は、いずれ空室率を改善することができず経営は悪化の一途をたどるでしょう。

アパート経営は、入居者がいてはじめて成り立つものです。経営の質を落とし退去率を高めないよう注意しましょう

アパート経営の経費を正しく申告する方法

固定費
それでは、上記の2つのポイントのうち「経費を正しく申告する方法」から解説していきます。

まずは、経費を正しく申告するために、アパート経営にかかる費用にはどんなものがあるのか把握しておきましょう。運用費用は、大きく分けると以下の4つに分類されます。

固定費用 管理委託費、地代、ローンの支払い、減価償却費など
変動費用 共有部の光熱費、仲介手数料、宣伝費用など
保険料 損害保険料、火災保険料など
税金 固定資産税、譲渡費用など

固定運営費とは、オーナーが毎月支払う費用。ほぼ毎月変わりなく同じ金額を支払い続けるため「固定費」と呼びます。一方で、変動運営費は、状況に応じてかかる運営費用です。支払うときもあれば、不要なこともあるするため「変動費」と呼びます。

このように経営にかかる必要な費用を正しく経費を申告することで、大きな節税効果が得られます。経費計上しなければ、余分な税金を払うことになりかねません。赤字経営を防ぐためには「何が経費に該当するのか」「申告でどのように経費計上するのか」を見極めていきましょう

ここからは、どんな費用が経費計上できるのか、それぞれ詳しく紹介していきます。

固定費にあたる経費

固定費にあたる経費は「毎月変わらずにかかる費用」です。以下のようなものが固定費用にあたります。

管理委託費 管理会社に管理を委託している際に支払う費用
浄化槽清掃費用 排泄物の回収や清掃にかかる費用
地代 土地を借りている場合にかかる賃金
ローン アパートローンの支払い。土地や建物を購入したときの返済金
減価償却費 固定資産を時間の経過に合わせて分割する経費
従業員への給与 アパート経営で従業員を雇っている場合に発生する賃金

管理委託費用や清掃費用、地代のような毎月支払うことが決まっている経費は固定費として申告時に計上できます。

なかでもちょっと複雑なのが減価償却費。減価償却費とは、時間の経過とともに価値が減少する物を耐用年数で割ったものを指します。アパートでいえば、建物や設備などを減価償却費として計上する必要があります。減価償却費の計算方法は、購入代金を耐用年数で割り同額ずつ返済していく「定額法」と、毎年一定の割合のもと償却していく「定率法」のいずれかを選択することになります。

ちなみに、固定費として計上できるのは実際に支払った費用です。修繕積立金のような貯蓄に関しては経費計上できませんので、ご注意ください。

変動費にあたる経費

変動費用にあたる経費は「その月によって金額が変動する費用」です。以下のようなものが変動費用にあたります。

共有部の光熱費 玄関や廊下にある共用灯や散水に使用する光熱費
仲介手数料 入居者との契約時に仲介会社に支払う手数料
原状回復費用 建物を修繕したり退去清算時にかかる費用
接待費 管理会社や業者などへの手土産や食事代に使用した費用
通信費 管理会社や業者、入居者と連絡をとったときに使用した費用
消耗費 管理事務作業に使用したPCなどの備品を購入した費用
広告宣伝費 入居者募集時に物件を宣伝するときに使用した費用

上記のような変動費用は、経営に直結する費用です。空室対策や経営を維持するために使う変動費用は、毎回金額が変動するためどの程度使用したのか領収書をきちんと保管しておきましょう

保険料として計上できる経費

アパートにかけている保険も経費として計上できます。アパート経営では、主に以下のような保険をかけることが多い傾向にあります。

火災保険 自然災害が発生したときに破損した家財道具や建物にかける保険料
地震保険 地震で被災したときのためにかける保険料
施設賠償保険 建物の劣化や事故で他人に損害を与えたときに補償する保険料

その年にかかった保険料を経費として計上します。ただし、ここで保険料の経費計上で注意したいことは、保険料の支払い方によって経費計上できる額が違うことです。

保険料の支払いには「年払い」と「数年払い」とに分かれます。1年単位で契約した保険料は、その年に計上できますが、2年・3年・5年契約というような数年単位で契約した保険料については、月割りで計算し計上しなければいけません。

また賃貸兼住宅としてアパート経営している場合は、自宅分の保険料は経費として計上できませんので、自宅分を含めないよう注意してください。

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経費計上できる税金

アパート経営では以下の税金は、経費計上することができます

固定資産税 土地や建物など、償却資産に対してかかる税金
都市計画税 市街化区域内にある償却資産の所有者に課せられる税金
事業税 事業主が納める税金(個人経営も含む)

ここで注意したいのが、税金の中でも経費計上できるものと、計上できない税金とに別れるという点です。上記の税金は経費計上できますが、所得税や住民税はアパート経営として経費計上ができません。

考え方として、事業として課税されている税金は経費に含むことができますが、オーナー個人の税金は計上できないということです。

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アパート経営の質を下げずに経費を削減する方法4つ

ローン
それでは、続いて経費を削減するポイント2つ目である「経費を削減する方法」について紹介していきます。前述したように、アパート経営では「経費削減すると経営に響く」ものが存在します。経費削減を意識するあまり入居者の生活の質を下げることになっては、入居率低下につながります。しかしながら、短期的にでも手元に残るお金を少しでも多くし負担を軽減したいときもあると思います。

そこで、経営に大きな影響を与えない費用削減方法を4つピックアップしました。とりあえずの出費を抑えたいと考えているときは、以下の4つの方法を試してみてください

方法1.ローンを借り換える

アパートローンを借り換えることで、返済額の負担を軽減させることが可能現在契約している金融機関よりも金利が低い融資に乗りかえれば、利息軽減効果が得られます

例えば、残高5,000万円で現在の金利が3%、返済期間が30年だったとしましょう。金利が2%の融資に切り替えると、以下のように返済負担を軽減させることができます。

現状 毎月の返済額 総返済額
残高5,000万円で金利が3% 210,802円 75,888,443円
残高5,000万円で金利が2% 184,809円 66,531,359円

このように金利を下げることで、毎月の返済額が3万円ほど軽減されます。

残高が高いほど利息軽減効果が高く、手元に残るお金が増えます。ただし、金融機関の借り換えには事務手数料や保証料などの諸経費が生じます。借り換えを検討するときには、諸経費を支払ってもトータル的にお得になるのかを検討してから、判断していきましょう

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方法2.適切に修繕費を計上する

建物の劣化や不具合を治すときに使用する、修繕費。修繕費には「修繕費用」と「資本的支出」の2種類があり、どちらに該当するかによってその年の納税額が大きく変わります。

修繕費よりも減価償却費として計上した方が、節税効果が高くなることは明白です。修繕費用と資本的支出の違いを理解して、節税効果をアップさせていきましょう

修繕費用と資本的支出の違い

修繕費用に該当した場合は、その年に経費計上する必要がありますが、資本的支出の場合は固定資産となり減価償却費として数年に渡り計上しなければいけません。

修繕費用と資本的支出の違いは、修繕の目的と内容から判断します。劣化や不具合を改善する原状回復工事は修繕にあたり、一方で建物の価値を造り変えるリノベーションは資本的支出です。

退去時の原状回復工事やクレーム対応などで古くなった物を補修する工事は、修繕費用として計上します。そして、空室対策のために間取りを変更したり最新設備導入したりするようなアップグレード工事するときには、資本的支出となるのです。

修繕費用と資本的支出の判断基準

しかし、修繕工事の中には「どちらに該当するのかわからない」ということもあるでしょう。このような場合には、以下のような判断基準を目安にするというルールが設けられています

修繕費用 ・20万円以内の資本的支出

・頻繁(3年周期)に修繕が必要なもの

・原状回復工事に該当するもの

・区分が不明な60万円未満の工事

資本的支出 上記に該当しない工事

ここで注意したいのが、少額であれば修繕費用として計上できるという点です。明らかに資本的支出と判断されても、その工事費用が20万円以下の場合は修繕費用とみなされます

方法3.保険を見直す

現在かけている保険を見直すことで経費削減できます。保険会社やプランによって保険料が異なるため、定期的に保険料を見直していきましょう。

また保険料は、その年にかかった分しか計上できません。一括払いにするとその年度分しか経費として計上できませんので、保険料を分割支払いに変更することで節税効果が得られます。このように支払い方法を変更するだけでも経費削減としては、有効な手段です。

方法4.管理会社を見直す

委託管理費を削減するために、管理会社を変更するのもひとつの手段管理会社の変更は、管理委託料を削減できるという点のみならず、対応の質をあげたいときにもおすすめです。

委託管理費用は、総家賃収入の2~5%ほど。支払う金額が1%減るだけでも、手元に残るお金を増やすことができます。

また、管理会社の見直しは月々の費用を軽減させるだけではありません。「現在の管理会社の対応が悪い」と感じる場合は、そもそも契約を継続しているメリットはゼロに近いと言えます。

・管理委託費が相場よりも高く感じる
・要求に対して管理会社の対応が遅い、または対応してくれない
・空室対策を提案してくれない

上記のいずれかに該当する場合は、管理会社の質が悪いと判断せざるを得ません。契約継続を見直し、管理会社の変更も視野に入れてみましょう

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最終的に収益を増やす方法を考えるのが吉

アパート経営のみならず、投資は最終的な収益を考えて行動していかなければいけません。削減する経費を短期的に減らしたとしても、そのせいで資産価値が下がってしまうのでは、上手な経費削減とは言えないのです。

しかし、アパート経営をはじめて間もないオーナーは、最終的収益をどう増やすべきか、経営方針に迷うことも多いのではないでしょうか。そんなときは、収益相談に乗ってくれるメンター的存在を確保しておきましょう収益相談を行っているのは、PM(プロパティマネジメント)管理会社です。

プロパティマネジメント会社とは、管理会社のひとつ。通常の建物管理のほかに空室対策や入居付けなどの、収益をあげるための相談にも乗ってくれる不動産事業者です。プロパティマネジメント会社は、オーナーの収益をあげることで、自社の報酬も増やすシステム。つまりは、不動産を収益アップさせることに尽力している会社なのです。プロパティマネジメント会社の業務内容については、下記ページで詳しく解説していますので、参考にしてください。

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まとめ

経費を削減するためには「経費は正しく申告すること」「削減しすぎて経営の質を低下させないこと」が重要です。

アパート経営で支払った費用を正しく申告すれば、納税額が減るため大きな節税効果が得られます。また、収益を得る期間を少しでも長くしたり、徐々に収益額を増やしたりすることができるのであれば、一時的に支出を増やすことも検討すべきと言えます。

アパート経営をはじめた初年度は、入居率も低く支出も多いため、赤字経営になりがちです。しかし経営が軌道に乗れば、収益があがり資金も増えていきます。まずは、現在の支出が将来的に利益を生む可能性があるかどうかを見極め、支出を減らすべきか否かを判断していきましょう

最終更新日:
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