投資用マンションを所持している方の中には「いつ売れば良いのか」と疑問に思っている方も多いでしょう。
投資用マンションは継続的に得られる家賃収入だけでなく、取得費よりも高い価格で売却することによる利益も大きいことから、売却のタイミングを見極めることは非常に重要です。
「査定に出してみたら買った時より価格が上がってたから売りたい」などといった方も、利益を最大化するには「今でいいのか?」と気になるでしょう。
本記事では、投資用マンション・アパートの売却タイミングや売却時の流れなど、詳しく解説していきます。
投資用マンションの売却を考えている方はぜひ参考にしてみてください。
目次
投資用マンションを売るなら今すぐに売却活動を始めよう
投資用マンションを売ろうと考えている方は「今すぐ」売却するのがおすすめです。
国土交通省が公表している不動産価格指数の推移を見ると、2023年現在は区分マンション・一棟マンション共に上昇を続けています。
参照:国土交通省「不動産価格指数(令和5年3月・令和5年第1四半期分)」
区分マンションは前期比0.5%、一棟マンションは前期比0.2%の上昇を記録しています。
近年マンションの評価指数が上昇している背景には、リモートワークにより仕事部屋が確保できる家に住み替えたいという人が増えていることなどが理由として挙げられます。
また、マンションは築年数が経過するほどその資産価値は下がっていく傾向にあるため、売り時を考えずに長く所持し続けていると売却価格がどんどん下がってしまうことも考えられます。
そのため「売りたい」と思った時が売り時とも言えますし、2023年は不動産価値の面でも売却に適したタイミングと言えます。
以上のような理由から、投資用マンションを売却するなら今すぐに売却準備を始めるのがおすすめです。
投資用マンションの売却でまずはじめに行うべきは不動産会社への査定依頼です。
1社だけではなく複数の不動産会社に査定依頼をすることで、より高く売却してくれる不動産会社に出逢いやすくなります。
下のボタンから投資用マンションを複数社に一括査定を依頼できるので、試してみてください。
投資用マンション売却における不動産会社選びのポイント
投資用マンションの売却では、仲介や買取を行う不動産会社がパートナーとなるため、不動産会社選びは非常に重要です。
投資用マンションと居住用の物件とでは、相手にる顧客のニーズや物件のアピール方法も異なります。
投資用マンションをなるべく高く、早く売却するためには、投資用物件の取引が得意な不動産会社を選ぶことが大切です。
この項目では、投資用マンション売却における不動産会社選びのポイントを紹介していきます。
収益物件・投資物件の取引実績が豊富な不動産会社を選ぶ
1つ目のポイントは、収益物件・投資物件の取引実績が豊富な不動産会社を選ぶことです。
収益物件・投資物件は、居住用の物件と異なり、不動産投資を行いたい顧客を多く抱えている必要があります。
居住用物件の仲介実績が多い不動産会社でも、投資用物件の仲介は不得意なケースもあります。
収益物件・投資物件が得意な不動産会社は、購入希望者を早期に見つけてきたり、高額で売却するノウハウを持っています。
収益物件・投資物件が得意な不動産会社かどうかは、収益物件・投資物件の取引事例をチェックすることで確認できます。
ホームページに収益物件・投資物件の取引に関する事業案内が記載されてたり、収益物件の取引事例が紹介されていたり、実績が数で記載されている不動産会社がおすすめです。
一棟マンションの場合は「一棟売買に強い不動産会社」を選ぶ
投資用マンション売却と言っても、区分マンションと一棟マンションでは、購入希望者層も営業方法も異なります。
一棟マンションの売買では取引の金額がかなりの高額になるため、より所得も年齢も高い層を相手に取引することになります。
当然、一棟マンションの取り扱い実績が多い不動産会社ほど、一棟マンション売買のノウハウが蓄積されているため、よりスムーズに売買が進みます。
一棟マンションの取引を得意としているかは、不動産会社のホームページに掲載されている過去の取引実績から判断します。多くの場合、自信がある分野やエリアの取引事例がある場合は、そのことが不動産会社のホームページに「売却実績一覧」などで掲載されています。
また、査定依頼をした際に、担当者に査定価格の根拠を尋ねてみるのも有効です。
一棟マンションの取引が得意な会社であれば、詳細なデータや実際の取引事例をもとに、査定価格の根拠を示してくれるでしょう。
早期売却したい場合は「不動産買取会社」も検討
投資用マンションを早期に売却したい場合は、不動産買取会社に買取を依頼する方法も検討しましょう。
マンションの「買取」とは、仲介とは異なり、不動産会社が直接マンションを買い取る売却方法です。
一般市場から買主を募る売却活動を行う必要がなく、売買契約交渉が長引くことがないため、仲介よりも早期での売却が可能です。
比較項目 | 買取 | 仲介 |
---|---|---|
買主 | 不動産会社 | 不動産会社とは別の取引相手 |
売却価格 | 適正価格の6〜7割程度 | 適正価格 |
手数料 | 不要 | 仲介手数料がかかる |
売却期間 | 1週間〜1ヶ月程度 | 3ヶ月〜6ヶ月程度 |
売却期間は、仲介だと3ヶ月〜6ヶ月程度かかるのに対し、買取では1週間〜1ヶ月程度で売却が成立するケースが多いです。
以上の理由から「現在所持している投資用マンションをすぐに手放したい」という方は、買取業者に買取を依頼するのがおすすめです。
投資用マンションを売却するタイミング
投資用マンションの売却は当然、なるべく大きな収益を得ることが目的でしょう。
投資用マンションの売却で大きな売却資金を得るには、売却するタイミングが非常に重要です。
不動産価値が高く、買い手への印象も良いタイミングで売却すれば、マンションが高く売れやすいです。
また、税金面が少なくて済むタイミングで売却することで、売却費用が抑えられるため、こちらもおすすめです。
こ項目では、不動産価値や買い手の印象から考えてマンション売却に適したタイミングと、税金面から考えて売却に適したタイミングに分けて解説していきます。
不動産価値や買い手の印象で考える売却タイミング
投資用マンションの売却タイミングとして1つ目に重視したいのが、不動産価値が高かったり、買い手の印象が良くなりやすいタイミングです。
具体的には、以下のようなタイミングが、投資用マンションの売り時として挙げられます。
不動産価値や買い手の印象が良いタイミング
- 不動産価格が上昇している時
- 築20年を超える前に売る
- 大規模修繕の前に売る
上記のようなタイミングを選んで売却することで、高い売却価格でも買主が見つかりやすくなるため、売却資金を最大化することができます。
上に挙げたそれぞれのタイミングについて、詳しく解説していきます。
不動産価格が上昇している時
1つ目の売却タイミングは、不動産価格が上昇している時です。
マンションや土地などの不動産は、経済的要因や社会的要因が影響を与えて、絶えず価格が変動していきます。
上記のような要因で変化する不動産の価値は「不動産評価指数」という名前で数値化され、国土交通省によって毎月更新されています。
不動産のが実際に取引された価格情報をもとに不動産価格の動向を指数化したもの。
国土交通省が全国・ブロック別・都市圏別に算出して公表している。
この不動産評価指数が高い時期にマンションを売却することで、キャピタルゲイン(売却益)を上げることができます。
キャピタルゲインとは、マンション購入時に掛かった費用よりも高い金額で売却できた時の利益を意味します。一方、キャピタルゲインと対をなすインカムゲインは、入居者からの家賃収入を指します。
キャピタルゲインが得られる状況では、1度に大きな利益を上げられることに加え、その後の出口戦略の心配をする必要がなくなることがメリットです。
そのため。投資用マンションをなるべく高く売却したいと考えている方は、1ヶ月ごとに不動産評価指数が上昇しているか確認してみるといいでしょう。
築20年を超える前に売る
投資用マンションは、築20年を超える前というタイミングも有用な売却タイミングです。
投資用マンションは、築年数によって大きく資産価値が変わり、当然築年数が古くなるほどに資産価値は低くなるため、売れにくくなってしまうからです。
というのも、東日本不動産流通機構が公開しているデータによれば、築20年越えのマンションは在庫に対して成約数が少なくなることがわかります。
出典:公益財団法人東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場」
上図から、築20年以上の在庫物件64.4%もあるのに対して、築20年以上成約件数は44.8%しかありません。
つまり、市場で売れている物件は「築0~20年」の物件が多いということです。
また、投資用マンションは買主、も不動産投資目的で物件を購入するケースが多いですが、買主が不動産投資目的でマンションを購入する場合、その買主も将来的にその投資用マンションを高く売りたいと考えているはずです。
しかし、自分が売り出す時点で築20年を超えている物件は、次のオーナーが売却する頃には築25年〜30年を超えることになってしまいます。
築25年〜30年を超える物件はいよいよ高額売却が難しくなるため、購入者が現れにくくなってしまいます。
以上のような理由から、投資用マンションは築20年を超えないうちに売却するのがおすすめなのです。
築20年超えの投資用マンションは売却価格も大きく下がってしまう
特に築20年というラインから、平均価格が大きく下がることがわかります。
参照:東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2022年)」
上図からは、築20年を超えてからは、新規登録価格と成約価格の隔たりが大きくなっていることもわかります。
端的にいうと「売りたい価格(売れると思っていた価格)で売れず、値引きせざるを得なかった」ケースが多いことを示唆しています。
以上のような理由から、明確に利回りが高い物件以外は、築20年以内を目処に売却するのがリスクが低いといえます。
大規模修繕の前に売る
投資用マンションは大規模修繕の前というのも賢い売却タイミングです。
マンションは時間とともに設備が劣化してきます。
室内外を問わずさまざまな部品や設備が故障したり劣化すれば住民にとって不便ですし、入居者も募りにくくなるため、マンションは通常、築10~20年の間に大規模修繕を行います。
この大規模修繕費用は、マンションの所有者が支払う「修繕積立金」によって賄われています。
大規模修繕とは具体的に、外壁補修や屋上防水、配管補修などの修繕が必要になったり、マンションの資産価値を高めるために新しい設備を取り入れたりする目的で行われます。
ここで重要なのは、修繕積立金が、修大規模修繕が行われる前後に値上がりするケースがあることです。
修繕積立金 値上げのタイミング |
割合 |
---|---|
5年ごとを目安に定期的に見直している | 56.3% |
修繕工事実施直前 | 12.5% |
修繕工事実施直後 | 10.1% |
上記のように、大規模修繕が行われる前後で修繕積立金が値上げされる場合があるため、値上げを待たずして売却できる「大規模修繕の前」というタイミングがお得といえるのです。
また、最近では修繕工事費用が修繕積立金だけでは支払えず、オーナーが臨時で不足額を負担するというケースも珍しくありません。
大規模修繕前のタイミングで売却すれば、上記のように修繕工事費用を臨時で払う必要もなくなるため、売却におすすめと言えます。
税金面で考える売却タイミング
不動産価値や買い手の印象以外では、税金面で売却タイミングを考えるのも有効です。
税金面の理由で売却に適したタイミング
- 減価償却が終わる前に売る
- 所有期間が5年を超えた後に売る
上記のタイミングで投資用マンションを売却することで、売却時の譲渡所得税を低く抑えられるため、結果的に不動産投資での利益を大きくできるのです。
上に挙げたそれぞれの売却タイミングについて、解説していきます。
減価償却が終わる前に売る
減価償却が終了する前、言い換えるとデッドクロスになる前のタイミングでマンションを売却するのも、不動産投資において重要です。
マンションなどの固定資産取得にかかった費用の全額をその年の費用とせず、耐用年数に応じて配分しその期に相当する金額を費用に計上する時に使う勘定科目。
所得に対する経費として計上できるため、非課税。
デッドクロスとは
不動産投資ローンの元金返済が減価償却費を上回る状態。
減価償却の手続きによって計上される費用が「減価償却費」であり、年毎に計上される減価償却費は、マンションの「取得費」の一部としてカウントされます。
減価償却費用が終了する前で、減価償却費用がローン元金返済額を上回っている場合は支出を伴わないにもかかわらず、税金を小さくしてくれる節税効果があります。
しかし、減価償却が終了すると、減価償却による所得税の節税効果と、経費計上できない元金返済負担が逆転する「デッドクロス」が発生してしまいます。
以上のような理由から、税金の面から考えると、遅くても減価償却が終了する前、デッドクロスが発生する前に売却するのが望ましいでしょう。
所有期間が5年を超えた後に売る
投資用マンションは、所有期間が5年を超えてから売却することで、税金の支払いを抑えられます。
というのも、所有期間が5年を超えることで、譲渡所得(投資用マンションを売ったことで得られるお金)にかかる税率が下がるためです。
譲渡所得税は、マンション売却によって得られた譲渡所得に対して一定の税率をかけて求められますが、この税率が、所有期間によって異なるのです。
上図のように、所有年数が5年を超えることで所得税率が30%から15%に、住民税率が15%から5%に下がります。
なお、所有期間が5年を超えるか、超えないかの区切りは、譲渡した年の1月1日になるので注意しましょう。
長期譲渡所得とは譲渡した年の1月1日において所有期間が5年を超えるものをいいます。
短期譲渡所得とは譲渡した年の1月1日において所有期間が5年以下のものをいいます。
投資用マンションを売却する流れ
投資用マンション売却の流れは以下の通りです。
- 投資用物件専門の不動産会社に査定依頼
- 価格査定後に媒介契約を結ぶ
- 売却活動を始める
- 買い手が見つかったら売買契約の締結
- 物件の引渡
- 賃貸人の地位継承通知
- 確定申告
投資用ではない通常のマンション売却のケースと異なるのは、STEP6の「賃貸人の地位継承通知」という手順があることです。
投資用物件専門の不動産会社に査定依頼
投資用マンションを売却するには、まず初めに不動産会社に物件を査定を依頼します。
投資用マンションの査定では、投資用不動産の売買実績が豊富な不動産会社に査定を依頼するのがおすすめです。
例えば、三井のリハウスでは投資用物件専門の窓口で査定および相談を受け付けており、投資用マンションの売却において非常に頼りになるでしょう。
投資用物件ならではの観点で売却のアドバイスをしてくれたり、買替えの提案をしてくれたりするため、ぜひ活用してみてください。
また、査定は1社だけでなく、複数の不動産会社に依頼することで、より高く売却できる可能性が高まります。
会社によって査定額にかなりの差が出るため、査定額が高い不動産会社を選んでコンタクトをとってみましょう。
価格査定後に媒介契約を結ぶ
投資用マンションの価格を査定し、査定価格に納得できれば、次に不動産会社と媒介契約を結びます。
媒介契約の種類は、「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類があり、それぞれの特徴は以下のようにまとめられます。
媒介契約 | 契約内容 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
一般媒介契約 | 複数の不動産会社と仲介契約する | 複数の会社に仲介を依頼できるので、買い手の幅が広がる レインズに登録しなくてよいので、売却物件が公にならない。 |
自社で売却できるとは限らないので、積極的な販売活動をしない可能性がある |
専任媒介契約 | 1社の不動産会社と仲介契約する 売主が買い手を見つけて契約しても違約金なし |
積極的な販売活動を行ってもらいやすい | 1社のみに任せるため、その会社の力量次第で売却の時期や金額が左右される |
専属専任媒介契約 | 1社の不動産会社と仲介契約する 売主が買い手を見つけて契約すると違約金あり |
専任よりもさらに積極的に活動をしてもらいやすい | 自分で買い手を見つけても不動産会社を介さずに売ることはできない 1社のみに任せるため、その会社の力量次第で売却の時期や金額が左右される |
専任媒介及び専属専任媒介契約においては、依頼主への状況報告義務があり、売却がどういう状況で進んでいるのかを確認できるため、安心感があります。
一般的に、好立地であったり築浅だったりして、需要の高い投資用マンションであれば一般媒介、立地や築年数の条件がそれほど良くない場合は専任媒介契約が適しています。
ただし、信頼できる不動産会社・信頼できる担当者が見つかった場合は、その人に積極的に売却活動を行ってもらうため、専任媒介契約を結ぶのもおすすめです。
売却活動を始める
不動産会社と媒介契約を結んだ後に、売却活動がスタートします。
流通機構への売買物件登録や広告・宣伝活動など、ほとんどの実務は不動産会社が行なってくれますが、売主自身で行うこともあります。
自分でやること
- 作成された広告内容を確認する
- 物件のアピールポイントを不動産会社に伝える
- 内覧準備で清掃などを行う
例えば区分マンションで入居者がいない場合は、玄関、水回りなど目につきやすいところの清掃を行なっておくと、購入検討者からの印象がよくなり、成約に結びつきやすくなるでしょう。
買い手が見つかったら売買契約の締結
買主が見つかったら、売買契約をおこないます。
売買契約では、具体的に以下のような手続きがおこなわれます。
売買契約での手続き
- 最終的なマンション売却価格の決定
- 引き渡し日の決定
- マンションの管理会社への連絡
- 買契約書への署名・捺印
買主との価格交渉が発生することもある
売買契約の締結前には、買主との価格交渉が発生する場合もあります。
条件交渉によって納得のいかない契約内容となってしまうのを防ぐためには「これ以上は下げない」という最低価格を決めておき、その範囲内で価格交渉に応じることが大切です。
とはいえ、マンションは査定の精度が高く、一戸建てなどに比べれば価格交渉によって大きく値引きを要求されるケースは少ないです。
物件の引渡
売買契約が完了したら、鍵やその他の関係書類を買主に渡し売買契約は完了です。
なお、飼い主が購入にあたって不動産投資ローンを組む場合は、ローン契約が成立するまで待つ必要があります。
上記のような事情があることから、契約完了から引き渡しまでおよそ1週間〜1ヶ月程度の期間がかかると考えておくといいでしょう。
賃貸人の地位継承通知
投資用マンションの売却では、売却後「賃貸人の地位承継通知」という手順を踏む必要があります。
賃貸人の地位承継通知は居住用のマンション売却では必要なく、投資用マンションならではの手順です。
単にオーナーが変わったという旨だけでなく、新たな家賃の振込先などの内容も記載されます。
賃貸人の地位承継通知書は、売主と買主の連名で判子を押す書類で、通常は不動産会社が作成してくれます。
確定申告
投資用マンションの売却によって収益が発生した場合は、翌年毎年2月16日~3月15日までの1か月(原則)の間に、確定申告を行う必要があります。
以下の計算によって譲渡所得がプラスの値になれば、譲渡所得を支払う必要があるためです。
逆に、マンション売却によって損失が出た場合、言い換えれば(取得費 + 譲渡費用)の方が譲渡収入金額より高くなった場合は確定申告の必要はありません。
なお、居住用マンションであれば確定申告を行えば損益通算ができますが、投資用マンションでは損失控除をすることはできません。
投資用マンションの売却相場
「投資用マンションを売却したらいくらになるの?」と疑問に思っている方も多いでしょう。
投資用マンションの売却価格は、周辺の環境や設備の充実度などによって1件1件全く異なりますが、おおよその相場を把握しておくことはできます。
収益物件検索サイトの健美家では、最新2023年の投資用物件の平均価格・利回り・築年数について、以下のようなデータを公表しています。
物件の種類 | 取引価格 | 前期比 | 利回り |
---|---|---|---|
区分マンション | 1,629万円 | +12万円 | 7.21% |
一棟マンション | 1億6,988万円 | +121円 | 7.74% |
参照:健美家「収益物件市場動向四半期レポート」
※調査期間:2023年1月〜3月
※利回りは表面利回り
上記のデータはあくまで目安であり、実際に自身が所持している投資用マンションは全く別の価格で査定される可能性があります。
正確な売却相場を知りたい場合は、不動産会社に査定を依頼してみましょう。
区分マンションの価格相場と利回り
区分マンションの売却価格相場と利回りを地域ごとに分けて見ると、以下のようにまとめられます。
地域 | 全国平均 | 首都圏 | 東北 | 信州・北陸 | 東北 | 関西 |
---|---|---|---|---|---|---|
価格(万円) | 1,629万円 | 1,908万円 | 1,913万円 | 439万円 | 1,541万円 | 1,229万円 |
利回り(%) | 7.21% | 6.72% | 12.88% | 16.70% | 9.06% | 7.35% |
築年数(年) | 30.8年 | 31.8年 | 32.3年 | 35.8年 | 27.9年 | 28.6年 |
参照:健美家「収益物件市場動向四半期レポート」
※調査期間:2023年1月〜3月
※利回りは表面利回り
全国平均は首都圏や東北地方が大きく引き上げており、そのほかの地域では全国平均よりも低い価格相場になることが考えられるため注意しましょう。
なお、築年数は27年〜35年程度が平均となっており、築浅物件の売却においては上記データよりも高い価格で売却できる可能性もあります。
一棟マンションの価格相場と利回り
一棟マンションの売却価格相場と利回りを地域ごとに分けて見ると、以下のようにまとめられます。
地域 | 全国平均 | 首都圏 | 東北 | 信州・北陸 | 東北 | 関西 |
---|---|---|---|---|---|---|
価格 | 16.980万円 | 18.774万円 | 17.115万円 | 13.447万円 | 13.406万円 | 13.936万円 |
利回り | 7.74% | 6.92% | 10.60% | 12.05% | 9.15% | 8.32% |
築年数 | 28.7年 | 28.1年 | 27.8年 | 29.8年 | 30.3年 | 31.3年 |
参照:健美家「収益物件市場動向四半期レポート」
※調査期間:2023年1月〜3月
※利回りは表面利回り
一棟マンションは、区分マンションに比べて取引価格も利回りも高いというデータが得られています。
また、一棟マンションも築年数の平均が27年〜32年程度となっており、築浅物件の売却においては上記データよりも高い価格で売却できる可能性もあります。
売れやすい投資用マンションの特徴
投資用マンションの売却では、売却時に得られる資金を最大限高くすることが重要です。
そのため「自分の持っているマンションは高く売れるのか?」という点が気になる方も多いでしょう。
売れやすいマンションの特徴は、以下のようにまとめられます。
売れやすいマンションの特徴
- 一棟マンションの場合は稼働率の高い物件
- 区分マンションの場合は賃貸中の物件
- 修繕が実施された物件
- 適正な管理がされている物件
逆にいえば、上記のような条件を満たしていない物件は比較的売れにくいということにもなります。
売れやすいマンション・売れにくいマンションの特徴を把握しておくことで、査定価格にも納得しやすくなるため、ぜひチェックしておきましょう。
一棟マンションの場合は稼働率の高い物件
売却する物件が一棟マンションの場合は、稼働率の高い物件が売れやすいです。
稼働率とは、稼働率とは、賃貸物件について一定期間にどの程度の入居があったのかを表す割合です。
稼働率が高いということは、退去者が出てもすぐにまた新しい入居者が入りやすく、空室期間が長引かないということを表しています。
投資用マンションにおいては、空室期間が短く、入居者が絶えない物件は継続収入が生まれやすいため、高く売れやすい特徴と言えます。
区分マンションの場合は賃貸中の物件
満室のオーナーチェンジであれば、そのまま家賃収入を得ることができるというのが大きなメリットでしょう。急ぎ入居者を募集する必要もありません。
とはいえ、購入前の建物の状態を確認する上ではデメリットも。
入居者がいる住戸内は確認できないため、廊下や階段などの共用部や外周りしか確認できません。
特に、水周り、キッチン、トイレなど購入後に漏水などの不具合が発覚した場合、近く思わぬ修繕費用が掛かってしまうかもしれません。
修繕が実施された物件
修繕が実施されたマンションも、買主から好まれやすく、売れやすい物件と言えます。
修繕が行われた物件は、買主が修繕費用を出す必要がなく、入居者も見つかりやすいことが理由です。
修繕後のマンションは外観・共用部分がきれいなので内覧時の印象が良いです。
そのため買主は、マンションが空室になっている場合は修繕後の物件の方を好む傾向にあります。
適正な管理がされている物件
適正な管理が行われているかどうかも、投資用マンションが売れる可能性に大きく関わってきます。
適正な管理が行われていれば、外装が綺麗であったり、共用部分や設備が不備なく整えられているため、購入検討者からの印象がよくなります。
区分マンションで空室中の物件を売る場合は、室内に最低限の清掃やハウスクリーニングを施すことでも売れる可能性をあげられます。
また、買い手が定額徴収される管理費が高すぎないかどうかという店も重要です。
管理費が高すぎれば、買主が払うランニングコストが高くなるため印象が良くありませんし、逆に売る前に下げすぎるのも悪影響になる場合があります。
適正価格を大きく下回る管理費だと、「管理状況が悪いのではないか?」と買主に懸念させることになってしまうからです。
管理費の適正額は具体的に、家賃の5%~8%程度が目安とされています。
投資用マンションを売却する際の注意点
投資用マンションの売却を考える上では、以下のような点に注意が必要です。
投資用マンションを売却する際の注意点
- 不動産会社一つに絞って査定依頼しない
- 空室の場合はリフォーム原則不要
- ローン残債のある場合は売却金額で完済できるかも考慮する
それぞれについて解説していきます。
不動産会社一つに絞って査定依頼しない
不動産会社の土地査定では、業者によって査定価格が大きく異なる場合があります。
低く値付けされた価格で買取を依頼すると損になってしまうため、査定は1社だけではなく、複数の不動産会社に依頼するのがおすすめです。
買取価格は仲介における相場価格から経費と利益を差し引いた金額になるため、物件につけられる価格は業者によってピンキリになります。
このうち経費と利益にあたる金額は、業者によって判断が異なるためです。
利益を多く得たいという理由から、他の買取業者よりも低い買取価格を提示されるケースも度々みられます。
査定額が低い不動産会社がある一方で、もちろん高い査定額を提示してくれる不動産会社もあります。
一括査定を行い、高く査定してくれた不動産会社を候補として問い合わせてみることで、高く土地を売却できる可能性が高まります。
空室の場合はリフォーム原則不要
築年数が経過した不動産の場合、リフォームをした方が買い手がつきやすいのではないかと考える方もいます。
結論をいうとハウスクリーニングなど「最低限の修繕は必要」ですが、大々的なリフォームは基本的に必要ないケースが多いです。
ただ、リフォームをしておいた方が内見者の第一印象を良くしたり、買主が購入してすぐに住み始められたりとメリットもあります。
しかし、リフォーム費用は不動産売却価格に上乗せさせることが難しい点や、工事中は販売活動ができないため、買い手がつくまでに時間がかかる可能性もあるため、注意が必要です。
リフォームが必要か否かに関しては不動産売却を依頼する不動産会社と相談してみてください。
ローン残債のある場合は売却金額で完済できるかも考慮する
投資用マンションを購入するにあたって、不動産投資ローンを契約した方も少なくないでしょう。
購入時に組んだ不動産投資ローン返済額がまだ残っている場合は、マンションの売却で得られた売却資金でローンが完済できるかどうか見通を立てておきましょう。
売却資金でローン完済できる場合、または売却資金に自己資金を合わせてローン完済できる場合は、通常どおりに売却ができます。
ローン完済できる場合は、不動産を売却した同日にローンを完済し、金融機関から送られてくる書類を用いて抵当権の抹消手続きを行います。
一方で、売却資金+自己資金でもローン完済ができないケースにおいては、通常の売却はできず、ローン残債を減らすために所有を続けるか、任意売却を行う必要があります。
不動産投資ローンが残っている場合の売却方法は、不動産の売却価格によって変わるといっても過言ではないため、まずはマンションを査定に出すのがおすすめです。
売ったらいくらになるのか、売却資金でローンを完済できるか、売却資金に加えて自己資金を投じれば完済できるのか、よく確認しておきましょう。
投資用マンション売却に必要な費用
投資用マンションの売却には、大きく分けて以下の2種類の費用がかかります。
費用
- 仲介手数料
- 抵当権抹消費用
それぞれの費用について、概要と実際にかかる金額を解説していきます。
仲介手数料
投資用マンションを仲介で売却する場合は、不動産会社に支払う仲介手数料が発生します。
仲介手数料は物件を契約するまでの期間に働いてくれた不動産会社や仲介会社に支払う手数料のことを指します。
不動産売買における仲介手数料は、宅建業法によって上限が以下のように定められています。
不動産の取引額 | 仲介手数料 |
---|---|
200万円以下 | 取引額×5% |
200万円超え〜400万円以下 | 取引額×4%+2万円 |
400万円超 | 取引額×3%+6万円 |
必ずしも上限金額が請求され得るとは限りませんが、およそ上記の金額を支払うことになると考えておいていいでしょう。
例えば、自身の投資用マンションが300万円と1,000万円で売買成立した場合の仲介手数料は、それぞれ以下のように計算できます。
300万円×4%+2万円×1,08(消費税8%)=15万1,200円
1,000万円で売れた場合
1,000万円×3%+6万円×1,08(消費税8%)=38万8,888円
投資用マンション売却の費用において1番高額なのはこの仲介手数料なので、上記のような計算でシミュレーションしておくことが大切です。
抵当権抹消費用
売却するマンションに住宅ローンが残っている場合、残金の支払いが完了したら抵当権の抹消を行います。
抵当権の抹消には、登録免許税と司法書士への依頼報酬の2つの費用が発生します。
抵当権抹消を司法書士に依頼する場合は、依頼報酬の目安は1万〜3万円程度です。
ご自身で行うことも可能ですが、他にも用意しなければならない書類や手続きがあることを考えると、司法書士に依頼する方が安心です。
投資用マンション売却にかかる税金
投資用マンションの売却には、仲介手数料や抵当権抹消費用などの他に、税金もかかることを忘れてはいけません。
投資用マンション売却にかかる税金
- 印紙税
- 譲渡所得税
- 消費税
中でも、消費税がかかるという点については、把握していなかった人も少なくないのではないでしょうか。
「税金による出費が思った以上に多かった」ということがないよう、チェックしておいてください。
印紙税
印紙税とは、不動産の媒介契約書に貼る収入印紙にかかる税金で、収入印紙税とも呼ばれるものです。
印紙税の金額は、自身の投資マンションが売買成立した価格によって異なります。
取引価格に応じて定められている印紙税額は以下の通りです。
取引価格 | 印紙税額 |
---|---|
100万円超え〜500万円以下 | 2,000円 |
500万円超え〜1000万円以下 | 1万円 |
1000万円超え〜5000万円以下 | 2万円 |
5000万円超え〜1億円以下 | 6万円 |
印紙税は、売買契約書に印紙を貼り、印鑑や署名で消印を行うことで納税したとみなされます。
翌年の確定申告で納めるわけではなく、契約の際にその場で上記のような金額を払って印紙を貼る必要があるので必ず用意しておきましょう。
当然、印紙を貼らずに契約すれば納税義務を怠ったことになり、通常の印紙税に加え、さらに2倍の金額の「過怠税」を払うことになってしまいます。注意しましょう。
譲渡所得税(所得税・住民税)
不動産売却で発生する税金として最も馴染みがあるのが譲渡所得税ではないでしょうか。
譲渡所得税とは、所有している土地、建物、株式、貴金属などを売って得た「譲渡所得」に対してかかる税金です。
譲渡所得には所得税や住民税がかかるので、譲渡所得税とは不動産売却時にかかる「所得税」と「住民税」をまとめて呼んでいるものと言えます。
譲渡所得の求め方は以下の通りです。
なお、給与所得を得ている会社員の方は、会社が給与所得を申告し、所得税及び住民税が天引きされているため、普段は確定申告を行っていません。
しかし不動産を売却した年において、会社が把握していない譲渡所得が発生した場合は、確定申告をする必要が出てきます。
消費税
事業者ではない個人が居住用の不動産物件を売却する場合においては、消費税がかかりませんが、投資用マンションの売却では、売却価格に対して消費税もかかります。
投資目的で所有しているマンションは、事業として「入居者から家賃を得る対価として役務の提供をしている」と判断されるため、消費税の課税要件を満たすことになります。
個人が投資用マンションを売却する場合も、事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡に該当する為、建物に消費税が課税されます。
投資用マンションの売上のうち、建物価格が1,000万円を超える場合、2年後に課税事業者と認定されるため、2年後に消費税の確定申告を行う必要が出てきます。
まとめ
投資用マンションの売却は、不動産価格が上昇しているタイミングに行うのが望ましいです。
2023年現在は、区分マンション・一棟マンション共に上昇を続けており、まさに「売り時」と言えるタイミングです。
そのため、家賃収入が安定していて黒字が出続けているケースでないかぎり、売却を考えているなら今すぐに売却の準備をするのがおすすめです。
投資用マンションの売却は、より高値での売却に結びつけてくれる不動産会社をパートナーとすることが非常に大事です。
そのため、収益物件・投資物件の取引実績が豊富な不動産会社を選びましょう。
売却したい投資用物件が一棟マンションの場合は「一棟売買に強い不動産会社」を選ぶのがベストです。
上記のように、投資用マンションの売却に最適な不動産会社を選ぶためには、まず自身の投資用マンションを一括査定に出し、複数の「収益物件・投資物件に強い」不動産会社の中から、査定額や対応を見比べてみるのがおすすめです。
投資用マンションの売却についてよくある質問
ローン残債のある投資用マンションでも売却することは可能です。
ただし、マンションの売却資金でローン完済できる場合、または売却資金に自己資金を合わせてローン完済できる場合でなければ、通常通りの売却は行えません。
売却資金+自己資金でもローン完済ができないケースにおいては、通常の売却はできず、ローン残債を減らすために所有を続けるか、任意売却を行う必要があります。
オーナーチェンジ物件として投資用マンションを売却することは可能です。
ただし、オーナーチェンジ物件として売り出されているマンションは、買主が「入居者とのトラブルがあるのではないか?」等といった点を懸念する場合があります。
そのため、売却する際はレントロールや修繕履歴をまとめておき、トラブルがないということをアピールすることがポイントです。
また、売却時には賃貸人の地位継承通知を行う必要があります。
投資用マンションの売却では、以下のような不動産会社を選ぶことが大切です。
・収益物件・投資物件の買取実績が豊富な不動産会社
・一棟マンションの場合は「一棟売買に強い不動産会社」
・早期売却したい場合は「不動産買取会社」
上記のような不動産会社を見つけるには、まず自身の投資用マンションを一括査定に出し、複数の「収益物件・投資物件に強い」不動産会社の中から、査定額や対応を見比べてみるのがおすすめです。
投資用マンションの売却相場は、地域や築年数、年月によっても変わってきますが、2023年の全国平均は以下のようになっています。
・区分マンション…1,629万円(前期比+12万円)
・一棟マンション…1億6,988万円 前期比+121円)
区分マンション・一棟マンションそれぞれの売却相場については、こちらの項目で詳しく解説してます。
物件の価格帯やエリアに関わらず、比較的投資用マンションが売れやすい時期はあります。
投資用マンションが売れやすいタイミングには以下のようなものが挙げられます。
・大規模修繕が実施された後の物件
・(区分マンションの場合)入居者が入っており、賃貸中の物件
・(一棟マンションの場合)空室の部屋が少ないタイミング
ただし、上記のようなタイミングでも確実に売れるわけではないので注意しましょう。