不動産投資会社に相談しようにも、どの会社を選べばいいか迷う方は多いのではないでしょうか。
不動産投資は物件選びが最大の肝と言っても過言ではありません。よって、物件を紹介してくれる不動産投資会社選びも必然的に重要となります。また、長期にわたっての付き合いにもなるため、信頼できる不動産投資会社を見つけたいものです。
不動産投資会社を選ぶ際のチェックポイントは、ある程度決まっています。本記事では、不動産投資会社を選ぶ際に、どこを見るべきかを紹介し、また悪質な不動産業者の見分け方についてもお伝えします。
ぜひ自分に合った不動産投資会社を見つけるための参考にしてください。
不動産投資会社の役割と重要性とは?
そもそも不動産投資会社の役割と重要性は何なのでしょうか?
まずはその点について整理していきましょう。
不動産投資会社は「不動産投資の何でも屋」
不動産事業を取り扱う会社には、不動産仲介会社や不動産分譲会社、不動産管理会社などなど、多様なスタイルがあります。例に挙げた3つのタイプの不動産会社は、いわば専門業者といえます。
一方の不動産投資会社は「不動産投資の何でも屋」という性質があります。物件選びから不動産の管理まで一貫して任せられる存在、それが不動産投資会社です。
不動産投資会社に依頼できること
不動産投資会社にサポートを依頼した投資家は、以下に紹介する6つのサービスを得ることができます。
- 不動産投資全般の相談
- 物件の紹介・販売・仲介
- 投資計画の立案
- 物件の管理
- 入居者対応
- 専門家のあっせん
不動産投資全般の相談
当然ですが、不動産投資会社には不動産投資全般の相談ができます。
例えば、まだ「不動産投資に興味がある」といった段階なら、不動産投資の全体像の相談もできますし、すでに不動産投資に取り組んでいる場合は、運用の課題や改善提案も受けられます。
不動産投資は周囲に相談し簡単に答えが見つかるようなものではありませんから、相談できる存在自体が貴重です。
情報収集については本やネットで勉強することもできますが、リアルな情報を聞けるのは不動産投資会社に相談する大きなメリットです
物件の紹介・販売・仲介
すでに不動産投資に取り組む意欲が高い場合は、投資妙味がある物件を紹介、販売してもらえます。
ちなみに、物件は自社で販売している場合と仲介している場合があり、前者の場合は仲介手数料がかからないため、初期費用面でやや有利です。
不動産投資会社は投資用物件の内見も手配します。不動産投資会社のなかには投資物件ツアーを企画しているところもあるくらいです。
投資計画の立案
不動産投資は基本的に何百、何千万円という大きなお金が動くので、賃貸不動産投資に挑戦する投資家は、投資計画(シミュレーション)を作成する必要があり、不動産投資会社はその作成を手伝います。
このシミュレーションは物件選びにおいてとても重要な作業になります。
シミュレーションをすることで将来の不動産収益が予測できたり、リスクを評価できたりします。またシミュレーションでは資金計画をつくることも大切で、家計の財務の健全性を保つのに有効です。
シミュレーションによって最適な不動産投資ポートフォリオをつくれるようになるでしょう。
シミュレーションに必要な要素は、月額家賃収入、空室率、メンテナンス費用、購入価格、ローン金利、ローンの支払いスケジュール、不動産市場の変動リスク、キャッシュフロー、資産評価、投資期間などです。これらの要素は概算でかまわないので数値化する必要があります。そしてシミュレーションに使う要素が多いほど、投資予測は正確になります。
この説明を「難しい」と感じた方は、ぜひ不動産投資会社に協力をあおいだほうがよいでしょう。
物件の管理
賃貸用住宅を購入して借り手に入居してもらって賃貸不動産投資がスタートします。投資家はその住宅を掃除したりメンテナンスしたり修繕したりしなければなりません。しかし、通常投資家はそのような作業はしません。管理は不動産管理会社(=投資会社)にまかせるのが一般的です。
不動産投資会社は投資家に代わって、マンション清掃業者や住宅メンテナンス業者、住宅修繕業者を紹介、手配してくれます。
このように、自分で行う作業を大きく省けることは不動産投資の魅力です。
逆に言えば、不動産管理会社の協力がなければ、自力で物件を管理しなければいけなくなり、難易度は格段に上がると考えられます。
入居者対応
上記の物件の管理とともに、入居者対応も重要な作業の一つです。必ず発生する業務といえば、家賃請求と契約でしょう。これらはトラブルがなくても必ず発生する業務であり、全て不動産投資会社に任せるのが一般的です。
また、賃貸運営中は様々な問題が発生するものです。設備の老朽化が原因のトラブルであればオーナー負担になる修繕も多く、退去やさらなるクレームを防ぐためにも速やかな対応が求められます。しかし、修理業者とのツテがなければどこに修理を依頼していいのかわからない方がほとんどなのではないでしょうか。
このような場合、不動産管理会社は付き合いのある修理業者を速やかに手配してくれ、対応もスムーズです。修理費用も個人で依頼するより安く済む場合もあるでしょう。
専門家のあっせん
賃貸運用中、税理士や弁護士の力が必要になる場面があるかもしれません。この場合、修理業者と同じように専門家のあっせんを受けることも可能です。
例えば税金です。税務はとても難解なので、専門知識がないと「節税=適正な額の税金を納付すること」は至難の業です。そのため税務のサポートを得るために税理士と顧問契約を結んでいる投資家も多いです。
また不動産投資を大規模に展開するとトラブルが起きることがあり、そのとき頼りになるのが弁護士です。不動産投資会社は不動産に関わる法律に詳しい弁護士を投資家に紹介してくれます。
投資の失敗を避けるには不動産投資会社の存在が重要!
ここまでで不動産投資会社の存在がかなり心強いことがお分かりいただけたかと思います。不動産投資に失敗しないため、不動産投資会社がどのように寄与してくれるのか、要点をまとめると以下の通りです。
- 不動産投資の手間を省ける
- 専門家の観点からアドバイスをもらえる
- 「儲かる物件」を見つけやすい
不動産投資の手間を省ける
投資用とはいえマンションやアパート、一戸建て住宅のオーナーになったら「我が子」同然にいとおしくなって自分で手間をかけたくなるでしょう。しかしそれでは効率的に投資を進めることができません。また、物件に手間をかけていて、肝心な不動産投資に集中することができなくなってしまいます。不動産投資と不動産に手間をかけることは異なる作業です。
そのため、物件管理などの業務を業者に委託して、極力不動産投資の手間を省きましょう。それには不動産投資会社が頼りになります。
専門家の観点からアドバイスをもらえる
投資において、今決めたことが1年後に通用する保証はありません。よく「長期投資の視点が必要」と言われますが、しかしこれは「一度購入した投資商品を未来永劫持っていれば儲かる」という意味ではありません。長期投資とは、定期的にポートフォリオを見直して投資を長く続けていくことです。
不動産投資会社の担当者は、投資家に対し、専門家の観点から不動産投資のアドバイスをします。彼ら・彼女らは高度な知識を有していて、最新情報を絶えず入手しています。
不動産投資には一棟投資、区分投資、戸建投資、不動産投資信託、不動産リースバック、商業不動産投資などさまざまな種類があり、不動産投資会社は最適解を知っています。
また、不動産情報は日々更新されるので、一般的な個人投資家のレベルではそのすべてを把握することは不可能です。不動産投資会社が持っている最新情報が、成功確率を高めます。
投資家は、不動産投資会社の担当者の頭脳を借りて、失敗を回避しましょう。
「儲かる物件」を見つけやすい
「儲かる物件」を探しているのは個人投資家だけではなく、機関投資家も、企業も必死に探しています。個人投資家がそうやすやすと「儲かる物件」に出会えないのは、有力なライバルが多数存在するからです。
機関投資家や企業は、圧倒的な情報量で素早く「儲かる物件」を探し出し、圧倒的な資金量で素早く「儲かる物件」を購入していくので、個人投資家は圧倒的に不利です。だからこそ個人投資家は不動産投資会社の力を借りて「儲かる物件」に出会いましょう。
不動産投資会社は圧倒的な数の不動産情報を持っていて、そのなかにはインターネット上や一般には出回らないものも含まれています。
不動産投資会社を選ぶときの18のチェックポイント
ここまでの説明で「個人でも不動産投資会社を味方につければ不動産投資で成功できそうだ」と実感していただけたのではないでしょうか。
ただし成功するには、「ちゃんとした」不動産投資会社、もしくは担当者を味方につければ、という条件がつきます。
それを見極めるポイントについて、次から解説します。
1.創立・業界歴
まずは創立、設立、業界歴を調べましょう。
不動産投資業界は競争が激しく、業績を積むことは決して簡単ではありません。したがってこの業界で長く存在している不動産投資会社は信頼できると考える一つの指標となります。
具体的に何年という指標はないのですが、例えば10年間続いている会社であれば、これまで様々な経験やノウハウを蓄積してきたと推測できます。
2.従業員数
着実に良い業績を積み重ねなければ、従業員数は簡単に増やせるものではありません。
業績がいいということは、これまで営業努力を積み重ね、そして良い物件を仕入れ、多くの投資家に支持されてきたということです。
もちろん、ただの一つの着目点に過ぎませんが、従業員数も会社の実情や業績を判断する一つの指標になるでしょう。
3.実績
不動産投資の実績は、不動産投資会社の通信簿なので、その会社の実力がダイレクトに現れます。不動産投資における実績は、販売件数、顧客満足度、受賞歴などです。
特に販売件数はこれまでの取引数を表すものなので、一つの参考になるのではないでしょうか。
4.免許の有無
不動産事業に関する免許は必ず確認する事項です。
不動産投資会社に関わる事業免許には、「建設業者」「宅地建物取引業者」「マンション管理業者」「賃貸住宅管理業者」があります。これらは国土交通省の「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」で簡単に調べることができます。
参照:国土交通省の「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」のURL
5.資本金の金額
企業の資本金は多くのことを語ります。資本金が大きい企業は、資金力があり、企業体力があり、信用力があると推測できます。したがって複数の不動産投資会社の資本金を調べて、その額を比較しましょう。
ただし、資本金の額だけで不動産投資会社を決めることは危険です。
例えば、不動産投資会社10社のなから選ぶとしたら、資本金が極端に少ない企業を除外して、資本金が大きい企業のなかから選ぶという方法を採用するのがいいでしょう。
6.事務所の場所
不動産投資会社の本社の所在地、つまり本社事務所の場所はとても重要です。例えば都市部の一等地にそびえる有名ビルディングに入っている不動産投資会社なら、このチェックポイントは合格です。
企業が有名ビルのテナントに入るには、高額家賃を支払える資金力だけでなく、いわゆる入居基準にもパスする必要があります。有名ビルに入居している不動産投資会社は、ビル・オーナーの審査を通過していると推測できます。
7.上場の有無
東京証券取引所に上場している不動産投資会社も信頼できます。東証にはかつて1部、2部、マザーズ、ジャスダックがありましたが、現在はプライム市場、スタンダード市場、グロース市場の3つに変わっています。
最高位のプライム市場に上場していれば最も安心できますが、しかしそのほかの市場も厳しい基準を課しているので上場企業であれば合格点といえるでしょう。
上場企業はあらゆる企業情報を開示しなければならず、透明性の高いビジネスが求められます。したがって上場しているだけで信頼度は非上場企業より高いといえます。
ただし、不動産投資会社のなかには、豊富な実績を持ち、上場基準を軽々クリアできる状態にありながら、非上場を貫いているところもあります。
したがって、ある不動産投資会社について「良さそう」と感じたのに、非上場というだけで選考から外す必要はありません。
8.取引している金融機関
企業の公式サイトの会社概要欄に取引している銀行名や銀行支店名を掲載しているところがあります。そのなかには複数の銀行支店名を載せているところもあります。
実は銀行などの金融機関は、信用できない会社とは取引しません。金融機関にはあらゆる企業のあらゆる信用情報が集まるので、信用力が低い会社を除外しています。
例えば、複数のメガバンクと取引している不動産投資会社は、複数のメガバンクから「信用について支障はない」と判断されたとみなすことができます。
また、あなたが取引している銀行と、不動産投資会社が取引していれば不動産投資ローンが有利に運ぶかも知れません。
例えば、個人投資家がある銀行の不動産投資ローンを使って不動産投資を行っていたとします。不動産投資会社もその銀行と取り引きしていれば、その銀行は不動産投資会社のことも個人投資家のことも知ることができます。これは3者(個人投資家、不動産投資会社、銀行)ともに安心できる状態といえます。
9.専門家との連携
不動産投資会社を選考するときは、税理士事務所や法律事務所(弁護士事務所)と連携しているかどうかも調べてください。有力な税理士事務所や法律事務所と顧問契約を結んでいる不動産投資会社なら安心できます。
不動産投資会社にとって、税理士事務所や法律事務所と顧問契約を結ぶことは、顧客サービスの向上になります。顧客サービスが充実している不動産投資会社を選びたいものです。
10.サービス内容
個人投資家としては、不動産投資会社は不動産投資の何でも屋であって欲しいところですが、残念ながらすべての不動産投資会社がその能力を持っているわけではありません。なかには、仲介しかできないところもあります。
そのため、サービス内容の充実度は、不動産投資会社の重要な選考基準になります。
売買の仲介はできるのか、不動産開発を手掛けているか、新築住宅を取り扱っているか、中古住宅を取り扱っているか、商業不動産に強いか、といったことを確認しましょう。
個人投資家が今は「アパート経営から始めよう」と思っていても、不動産投資の妙味はアパート以外の不動産にも存在します。多様なサービスを提供している不動産投資会社なら、さまざまな案件を紹介してもらえます。つまり不動産投資チャンスが広がります。
ただ1つの領域に特化して、そこで優れた成績をあげている不動産投資会社もあるので、専門業者が必ずしも劣っているわけではありません。
コンサルティング目線を持っていることも重要です。例えば個人投資家が、不動産投資会社の担当者から「お客様にはこの物件が良いと思います」と言われたとします。その担当者が、自分にその物件が向いている理由まで説明できたら合格です。
11.対応地域
投資家と不動産投資会社の「近さ」も重要です。投資家が狙っている物件があるエリアを担当している不動産投資会社を選びましょう。
極端な例でいえば、大阪の個人投資家が大阪で不動産投資を行いたい場合、東京に強い不動産投資会社を頼っても高い効果は得られないでしょう。
また、インターネットの時代においても、リアルの対面方式で担当者に相談できることは重要です。そのため、投資家が直に相談に行ける場所に不動産投資会社の店舗があることも意外に重要です。
12.取り扱い物件のタイプ
「近さ」でいえば、投資家が狙っている不動産タイプに強い不動産投資会社を選ぶことも大切です。
例えば、投資家がマンション一棟投資を計画しているのに、不動産投資会社が区分マンション投資しか手がけていなかったら、あまり頼りになりません。
不動産投資会社の得意分野は、ダイレクトに不動産投資会社の担当者に聞いてかまいません。むしろ単刀直入に尋ねたほうがよいでしょう。「私は~タイプの不動産投資を検討しているが、あなたはその領域に明るいですか」と質問してみてください。この質問に対して明確に、かつ、エビデンス(根拠や証拠)を示しながら説明できたら合格です。
13.未公開物件の有無
不動産投資会社の実力は、未公開物件に現れます。多くの優良未公開物件を取り扱っている不動産投資会社は、かなり魅力的です。
その逆に、公開物件の情報しか持っていない不動産投資会社は敬遠したほうがよいでしょう。
未公開物件の情報は、実力のある不動産投資会社しか持つことができません。不動産情報を公開する未公開にするかは、その不動産オーナーが決めます。不動産オーナーが自身の不動産のポテンシャルに自信があり、なおかつ不動産投資会社が高値で買ってくれる投資家を知っている場合、その不動産は未公開のまま取り引きされます。
未公開物件をどれだけ取り扱っているかもチェックしてください。
14.顧客の数や層
顧客の数もぜひチェックしてほしいポイントです。例えば、メール会員数などでチェックできます。
なぜ顧客の数が重要になるかというと、自身の物件の売却時に関係してきます。顧客が多ければ、買い手を早く見つけられる可能性が高いということです。
また、難しいですが顧客の層も感じ取ってみましょう。これも売却時に関係のあることで、自身と似たような層であれば、売却時に早く見つけられる可能性が高まります。
15.口コミ・評判
いくつか候補となる不動産投資会社を挙げることができたら、インターネットで全社の口コミや評判を調べましょう。「ネットの口コミ・評判が当てになるのか」と思う方がいるかもしれませんが、十分参考になります。
ただし、インターネット上には正しくない情報も氾濫しています。そこで重要になるのが、インターネットの口コミ・評判の質を見極める目です。理想的な姿は、以下のようになります。
- 口コミ・評判の件数が多い
- 良い内容の口コミ・評判が多い
- 悪い内容の口コミ・評判が少ない
1についてですが、口コミ・評判の件数が多いことは、多くの投資家がその不動産投資会社に関心を持っていることを意味します。
2は当然の条件でしょう。もちろんインターネット上の良い評判にはサクラや自作自演の懸念がありますが、口コミ・評判の件数が多いうえにポジティブな内容が多ければ、サクラや自作自演の可能性が低くなります。
3は意外に思われるかもしれませんが、「少なければ」という条件つきながら、悪い口コミ・評判は意外に大切です。例えば「期待以下だった」といった口コミ・評判は、投稿者がその不動産投資会社を高く評価していたことの裏返しになります。優秀な不動産投資会社でも永遠に勝ち続けることはできないので、必ず失敗は発生します。そのとき投資家が「期待以下だった」とインターネット上に投稿してしまうのは当然の反応です。
1と2の条件をクリアしていれば、少数のネガティブ口コミ・評判はむしろ健全な証拠といえます。
16.担当者の態度
有能な人は謙虚で威張らず、顧客から尋ねられるまで自分の成果をことさら語ることはありません。したがって、もしコンタクトした不動産投資会社の担当者に不遜な態度がみられたら、敬遠したほうがよいでしょう。
また、説明が不明瞭、連絡やレスポンスが遅いといった、ビジネスパーソンの基礎がなっていない担当者が良い情報を持っているとは考えにくく、敬遠対象になります。投資家にろくにヒアリングもせず、投資案件を紹介する担当者も信用できません。
顧客目線で相談にのってくれる不動産投資会社を選びましょう。
17.リスク説明の有無
もし不動産投資会社の担当者が「これは絶対に儲かります」と言ったら、一発アウトです。その担当者だけでなく、その不動産投資会社も信用できません。
不動産投資に限らずすべての投資には損失リスクが存在します。「どれくらい儲けられるか」の説明と一緒に、「どれくらい損する可能性があるのか」を説明する担当者は信頼できます。
投資家は、損失リスクが顕在化したときに耐えられるかどうかで、投資するかどうかを決めるものです。したがってリスク説明は、投資家にとってとても重要な情報といえ、それを提供してくれる不動産投資会社を探しましょう。
18.トラブルや行政処分の有無
不動産投資の世界では、少なからずトラブルが起きています。多額のお金が絡むビジネスなので、この業界からトラブルをなくすことは難しいでしょう。
しかし小さなトラブルで収めることができず重大なトラブルに発展させてしまう不動産投資会社は、リスク管理ができていないという烙印を押されます。そのような会社に自分の資産を任せることはできません。
さらに行政処分を受けるまでに至ったら、完全に失格です。
国土交通省が「ネガティブ情報等検索システム」をインターネット上に無料公開しています。ここに不動産投資会社の名称を入力するだけで、行政処分を受けたことがあるのかどうかがわかります。このシステムにヒットしない不動産投資会社を選びましょう。
不動産投資会社に相談するときの注意点
不動産投資会社のチェックポイントが頭に入ったら、相談に行きましょう。担当者と面談するときの注意点を紹介します。
甘い勧誘に流されない
悪意ある不動産投資会社の担当者は、個人投資家が相談窓口に現れると「飛んで火にいる夏の虫」と思い、すぐに甘い勧誘をするはずです。
「ちょうどこの物件が入ってきたんです」「検討している人が多くいるので早く決めないと取られてしまいますよ」「今決め手付金を支払ってもらえば確保できます」といった言葉は裏があると疑いましょう。そして即決はしないほうがよいでしょう。
また「年利20%を30年間保証します」といった、ありえない投資話を持ち出してきたらすぐに席を立ってください。
強引な営業は警察に相談する
悪意ある不動産投資会社のなかには、相談に来た投資家にしつこくつきまとうことがあります。断っているのに、担当者が自宅や職場に何度もやってきたら「警察に相談する」と告げてください。それでも訪問がやまなかったら、本当に警察に通報してかまいません。
おとり広告にだまされない
おとり広告とは、条件が見事な案件を周知して集客する手法です。悪意ある不動産投資会社なら、本物の優良物件をおとり広告に使うことがあります。実際に存在する不動産なので、投資家は信じてしまいます。しかし担当者は「ちょうど今、この物件は成約してしまいました」と言うでしょう。そして続けて「でも似た物件があるので紹介します」と提案します。もちろんそれは、優良物件とは似ても似つかない物件です。
おとり広告にだまされない方法は、おとり広告の対象の物件が「急遽」投資対象外になったら、そのほかの物件に食指を動かさないことです。「広告の物件を案内してもらえないなら帰る」と言ってしまってかまいません。
コストの許容範囲を超えて契約しない
個人投資家が投資資金を1,000万円確保して不動産投資会社に相談に行ったところ、2,000万円の優良物件を紹介されたとします。さらに自身で調査しても、その優良物件は本当に良いものであることがわかったとします。
このとき、あきらめるべきでしょうか、それとも無理してでも2,000万円を集めるべきでしょうか。
その答えは「コストの許容範囲を超えていたらあきらめる」「コストの許容範囲であれば挑戦してみる」となります。
「コストの許容範囲」を言い換えると、投資額がすべて消えても家計に影響を与えない範囲となります。
投資予算を1,000万円と決めていた人が、無理して2,000万円の不動産投資を行い、1,000万円の利益をあげることができた、といったことももちろん起こりえます。しかし、その人の家計が、1,000万円の損失なら許容できるが、2,000万円の損失には耐えられない状態であれば危ない橋は渡るべきではありません。
投資対象の不動産は一期一会であり、チャンスを逃すともう二度とその不動産と出会えないかもしれません。しかし不動産投資のチャンスはこれからも生まれ続けます。
焦らずじっくり臨んでください。そして、もし不動産投資会社の担当者が「焦らずじっくり臨んでください」とアドバイスしてくれたら、その人は信用できるかもしれません。
優秀なパートナーを見つけるためのコツ
不動産投資会社は投資家の重要な投資パートナーです。パートナーの優劣が、投資家の不動産投資の成否をわけます。
そこで優秀なパートナーを見つけるコツを紹介します。
事前に不動産投資について勉強する
優れた不動産投資会社の担当者に成功に導いてもらうには、投資家自身もポテンシャルを有しておかなければなりません。
不動産投資について勉強しましょう。不動産投資の種類、基本的な専門用語、経済系報道機関が報じる不動産関連ニュースを押さえることは簡単です。
不動産投資の基礎知識が身についた状態で不動産投資会社の担当者の話を聴けば、その内容をよく理解できます。また、悪意ある担当者の嘘も見抜くことができます。
そして、家庭教師は優秀な子供を教えることに喜びを感じます。不動産投資会社の担当者も、よく勉強している熱心な投資家に出会うと「もっと良い情報を提供しよう」と思います。
投資の目的を明確にしておく
不動産投資の目的や目標を明確にしている人は、適切なルートを通ることができるので、投資の成功にたどり着きやすくなります。例えば、「目的:老後の資金を増やしたい」「目標:利益3,000万円」と設定していれば、不動産投資会社はそれに合った投資手法を提案できます。
この目的を決めておくことは、担当者に本気度をアピールするためにも重要で、ここが定まっていれば担当者も本気で物件を探してくれる可能性が高くなります。何より、探す物件が具体化されているので営業マンも動きやすいです。その分、自分にマッチした物件と出会える可能性が高くなります。
自己資金をなるべく多く用意しておく
金融機関から不動産投資ローンを借りて不動産投資をすることは、効率的に投資を進めるうえで重要な手法といえます。個人投資家のなかには、自己資金を使わず、不動産投資ローンで借りたお金だけで投資をする人もいます。
しかし、自己資金ゼロで不動産投資を始めることはおすすめしません。なぜなら自己資金ゼロ投資は、自身の資金力以上の資金を使って投資することになるので失敗したときのダメージが大きくなるからです。
例えば、Aさんが自己資金2,000万円、不動産投資ローン1,000万円で計3,000万円の不動産投資をしたとします。Bさんは自己資金ゼロ、不動産投資ローン3,000万円だけで不動産投資をしたとします。不動産市況が暴落してAさんもBさんも損失を抱えたとき、Aさんは借金を返済できても、Bさんは返済できなくなるかもしれません。
経済が最悪の事態に陥っても、自分が最悪の状態にならないようにするには、自己資金も投資資金に加えたほうがよいのです。
また、自己資金ゼロ投資をしようとしている個人投資家を、不動産投資会社は本気度が低いとみなすかもしれません。場合によっては契約を断られるかもしれません。
自己資金をつくることができないうちは投資を我慢して、自己資金をつくってから不動産投資を始める、という態度は正しいといえるでしょう。
無料セミナーや個別相談を受ける
ほぼすべての不動産投資会社は、無料投資セミナーを開催したり、無料個別相談を受け付けていたりします。まずはこれらを活用することで、不動産投資会社に接触しましょう。
いずれも不動産投資の知識が身につくうえに、その不動産投資会社のことを知ることができます。
無料投資セミナーや無料個別相談で良い印象を持ったら、1次審査合格とみなしてよいでしょう。そのうえで、18のチェックポイントを確認して不動産投資のサポートをうけるかどうか決めてみてください。
そして無料投資セミナーや無料個別相談で悪い印象を持ったら、一発失格でよいでしょう。なぜなら、最も丁寧に接触しなければならない無料投資セミナーや無料個別相談で見込み客に悪い印象を抱かせるのは、よほど程度の低い会社だからです。そのような不動産投資会社が良い投資提案ができるわけがありません。
複数の不動産投資会社を比較する
比較はとても重要です。
複数の不動産投資会社について、担当者に良い印象を持つことができたかどうか、18のチェックポイントのうちいくつ合格できたか、といったように確認していってください。
信頼できる不動産投資会社と契約できれば「何でも屋」になってもらうことができ、効率的に不動産投資を進めることができます。しかし不動産投資会社選びに失敗すると、その状態に到達することができません。
したがって手間をかけてでも、不動産投資会社選考は厳正に行ったほうがよいでしょう。
おすすめ不動産投資会社トップ5
ここまで紹介した厳しい審査項目をパスできていると考えうる不動産投資会社を5社紹介します。
もちろん、この5社のアドバイスを受けたからといって100%大儲けできるわけではありません。しかしこの5社であれば、自身の力だけで不動産投資を始めるより確実に、失敗確率を減らし成功確率を高められるはずです。
1.武蔵コーポレーション
会社名武蔵コーポレーション株式会社本店(本社)所在地埼玉県さいたま市大宮区桜木町1-7-5ソニックシティビル21F設立2005年12月9日資本金1億円従業員数220名(グループ会社含む)免許・宅地建物取引業:国土交通大臣(2)第8555号
・賃貸住宅管理業者:国土交通省大臣(01)第005595号
・特定建設業:東京都知事 許可(特-1)第151040号
・不動産特定共同事業:金融庁長官・国土交通大臣第108号上場非上場対応エリア全国
おすすめ度 | ★★★★★(5点中5点) |
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取り扱い物件 | 関東地方の一棟ものアパート、マンション |
実績 | 賃貸管理戸数30,000戸、中古1棟アパート・マンション買取・再生棟数全国No.1(株式会社東京商工リサーチ調べ)を4年連続獲得 |
武蔵コーポレーション株式会社のおすすめ度を5点満点としました。個人投資家が総合的なサポートを受けられるからです。
同社は投資物件の購入・売却、賃貸住宅の運営、管理、修繕をサポートしていて、つまり個人投資家は不動産投資の入口も出口も頼ることができます。
同社の強みの1つに、再生物件投資があります。割安な物件にリフォームやリノベーションを施して投資効果を高める手法で、低いリスクで、比較的高いリターンを期待できます。
また同社オリジナルの「認定収益物件リブレス」は、賃貸集合住宅投資を満室状態から始めることができます。
2.FJネクスト
設立2021年4月資本金1億円社員数564名(連結)免許・宅地建物取引業:国土交通大臣(1)第9976号
・賃貸住宅管理業者:国土交通大臣(01)第004271号上場非上場だが、親会社の株式会社FJネクストホールディングスが東証プライム上場対応エリア全国取り扱い物件東京都心や神奈川の新築・中古物件実績入居率99%、供給実績341棟23,712戸
おすすめ度 | ★★★★★(5点中5点) |
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会社名 | 株式会社FJネクスト |
本店(本社)所在地 | 東京都新宿区西新宿六丁目5番1号新宿アイランドタワー |
40年以上の歴史と実績を誇るのが、株式会社FJネクストです。同社の強みは賃貸需要の強い地域に集中して進出しているところです。「借り手が多い」=「賃貸物件の入居率が高くなる」=「不動産投資の成功確率が高くなる」という好循環を生みます。
賃貸住宅の運営・管理・修繕代行サービスを提供していたり、確定申告のサポートを依頼できたりと、きめ細かいサポートも魅力です。
頻繁に無料不動産投資セミナーを開催しているので、同社の様子を簡単に知ることができるでしょう。
資本金1億円、連結社員数500人超と企業規模して申し分なく、しかも同社は東証プライムに上場している株式会社FJネクストホールディングスの100%子会社なので、5点満点は当然といえます。
3.J.P.RETURNS
設立2002年11月資本金9,000万円社員数約60名免許・宅地建物取引業:東京都知事(5)第81523号
・賃貸住宅管理業者:国土交通大臣(02)000889号上場非上場対応エリア全国取り扱い物件東京都心、横浜市、川崎市のマンション実績売上伸び率(前年比率)110%、管理戸数伸び率(前年比率)121%、物件価格対3,000万円以下65%
おすすめ度 | ★★★★(5点中4点) |
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会社名 | J.P.RETURNS株式会社 |
本店(本社)所在地 | 東京都千代田区丸の内2-6-1丸の内パークビルディング6階 |
J.P.RETURNS株式会社は、リアルの面談方式の個別相談とWeb面談方式の個別相談を行っています。同社は納得いくまで質問してくださいと呼びかけ、希望する方にはプライベート不動産投資セミナーも行っています。
それでも5点中4点にしたのは、同社が区分マンション投資を専門にしているからです。「不動産投資の何でも屋」とはなっていません。
その代わり、個人投資家のニーズにマッチした物件選びでは高い評価を得ています。自社開発物件もあって、専門業者であることの強みを遺憾なく発揮しています。区分マンション投資を検討している方には5点満点になる可能性があるでしょう。
4.RENOSY
設立2013年3月資本金72億3879万8466円社員数967人(グループ会社含む)免許・宅地建物取引業:国土交通大臣(2)第9135号
・建設業:東京都知事許可(特-3)第145636号
・建設業:東京都知事許可(般-3)第145636号
・マンション管理業:国土交通大臣(1)第034425号
・小規模不動産特定共同事業者:東京都知事(1)第1号
・一級建築士事務所:東京都知事 第65523号上場東京証券取引所グロース対応エリア全国取り扱い物件マンション、アパート、海外物件実績中古マンションの不動産投資売上実績4年連続No.1(東京商工リサーチ調べ)、3年連続DX銘柄選定
おすすめ度 | ★★★★(5点中4点) |
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会社名 | 株式会社GA technologies (ジーエーテクノロジーズ) |
本店(本社)所在地 | 東京都港区六本木3-2-1 住友不動産六本木グランドタワー40F |
東証グロース市場に上場している株式会社ジーエーテクノロジーズが運営しているRENOSYはAIを使って不動産市場を分析しているところに強みがあります。
不動産投資には情報戦の側面があり、無限に存在する不動産情報のなかから優良な情報だけを抽出するにはコンピュータの力が欠かせないので、AIはRENOSYの強力な武器になっています。
さらに、RENOSYと契約を結んだ個人投資家には、利回り見込みや管理状況、不動産市場の分析といったデータを提供しています。
会社員をターゲットにしているので、「何でも屋」の要素が若干低下するため4点としました。
5.INVASE
設立2009年7月資本金1億円社員数不明免許・宅地建物取引業:東京都知事(1)第107360号
・貸金業登録番号 :東京都知事(2)第31690号上場未上場対応エリア全国取り扱い物件限定公開の収益物件実績会員登録数2万人突破、大手企業の出資や業務提携多数
おすすめ度 | ★★★★(5点中4点) |
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会社名 | 株式会社MFS |
本店(本社)所在地 | 東京都千代田区大手町1-6-1 大手町ビル2階 FINOLAB |
INVASEを運営するのはフィンテック事業の株式会社MFSです。フィンテックはデジタル技術を駆使した金融サービスのことで、INVASEでもデジタルをフル活用した不動産投資サポートを実施しています。
例えばINVASEバウチャーは投資可能額とローン条件を推定するシステムで、条件を入力することで、無理のない投資額や不動産投資ローンで借りられそうな額を推定します。
またINVASEダッシュボードは、不動産投資のキャッシュフローを一元管理できるシステムで、物件の将来収支予測や保有物件の収支状況や純資産金額が一目でわかります。つまり不動産会社が行っている管理体制を、個人投資家が持つことができるわけです。
それでも同社を1点減点の4点にしたのは、実際に投資物件を提供するのは、同社が提携した不動産エージェントになるからです。
まとめ
「不動産投資は難しくない。株式投資で投資の勘所がある人ならさらに簡単」と言う人がいます。確かに、運よく最初から優良物件を入手できて、購入後すぐに多額の家賃収入を獲得できる人もいます。また投資判断や投資センスという観点では、株式投資と不動産投資には共通するものがあります。
しかし不動産投資は簡単に儲けられるものではありません。不動産投資の世界は競争が激しく、その道のプロでも常に不動産情報を集め、市場調査を怠らず、資金調達をして、リスク管理をして、法律を熟知して、業界内の人脈を駆使することで、ようやく利益を出すことができています。
個人投資家が武器を持たずに不動産投資を始めるものは、オールを持たずに舟に乗るようなものです。
そこで、不動産情報を集め、市場調査を怠らず、資金調達をして、リスク管理をして、法律を熟知して、業界内の人脈を駆使している不動産投資会社の力を借りましょう。
不動産投資会社の力を借りるには手数料というコストがかかりますが、それによって不動産投資の成功確率を上げて失敗確率を下げることができるのであれば、利益につながるコストとみなすことができます。
不動産投資会社の担当者の導きで利益が出れば、投資家は心から感謝できるでしょう。
不動産投資会社に関するよくある質問
必ず不動産投資会社に投資サポートを求めなければならない、ということはありません。
しかし少しでもリスクを減らして成功確率を高めたいのであれば、不動産投資会社が頼りになります。
初回の相談や不動産投資セミナーを無料にしている不動産投資会社は多く、それでも有益な情報を得ることができます。しかしより高度な情報を得るには本格的にサポートしてもらう必要があり、そのときは手数料が発生します。また、投資不動産の売買を仲介を依頼すれば、仲介手数料が発生します。
手数料の額を確認してから、サポートを受けるようにしましょう。
残念ながら存在します。しかし「うますぎる話は嘘」「嫌だと感じたら拒絶する」の2つを守っていれば、だまされることはありません。
強引だったり、即決を求めたり、妙になれなれしかったりしたら、黄色信号というより赤信号と考えてよいでしょう。
利益が出る場合と損失が出るケースを同時に説明する担当者がいる不動産投資会社は信用できます。
また、情報量が多い、エビデンス(証拠、根拠)を示しながら説明する、話をじっくり聴いてくれる、といった特徴も良い不動産投資会社のサインです。
不動産投資会社の担当者に「不動産投資とは何ですか」といった初歩的なことを尋ねても問題ありません。担当者はプロなので、不動産投資の家庭教師になってくれるでしょう。
しかし運悪く、悪意ある不動産投資会社と出会ってしまったら、知識がないとだまされやすくなってしまいます。そのため、不動産投資に関する基礎知識は持っておいたほうがよいでしょう。
インターネットで調べたり、2時間くらいで読める参考書を買って読んでも勉強になります。