オーナーチェンジ物件の購入は危険?手放す理由、後悔しない選び方

オーナーチェンジ物件 危険

「オーナーチェンジ物件」とは、前オーナーが売却しようとしている投資用賃貸物件です。

オーナーチェンジ物件には、家賃収入が既に確保できており・安く購入できるケースも多いため、高利回りを実現しやすいメリットがあります。

しかし「オーナーチェンジ物件の購入は危険」という意見も目にします。

確かにオーナーチェンジ物件は購入前に内見できないなどのリスクもありますが、前オーナーに手放す理由を聞いて、物件自体に問題がなければ購入を検討してもよいでしょう。

この記事では、オーナーチェンジ物件の購入時に想定される危険性や注意点を解説します。

リスクを回避する方法もわかるので、オーナーチェンジ物件の購入を検討している人は参考にしてみてください。

目次

オーナーチェンジ物件で想定される危険性や注意点

オーナーチェンジ物件の購入時、以下の危険性や注意点が想定されます。

オーナーチェンジ物件で想定される危険性や注意点

オーナーチェンジ物件は既に賃貸物件として経営する土台が完成している点がメリットですが、入居者や物件状態によっては安定した賃貸収入が続くとは限りません。

既に入居者がいるからといって家賃収入が続くとは思い込まず、退去者が出て家賃収入が減るリスクや物件に問題が生じて修繕費用の負担が生じるリスクなどを把握しておきましょう。

この項目では、オーナーチェンジ物件で想定される危険性や注意点を解説します。

入居者がいれば購入前に内見できない

オーナーチェンジ物件でもっとも注意すべき危険性は、入居者がいる場合は購入前に内見ができないことです。

より具体的にいうと、購入前に内見ができないと部屋の状況を把握できないため「購入後にどの程度の修繕が必要なのか?」がわからないのです。

例えば、水回りの老朽化・壁紙の劣化・床の傷などを確認できないせいで、オーナーチェンジ物件の購入後に高額な修繕費用を負担しなければならない恐れがあります。

入居者がいる場合、オーナーと入居者の了承がない限り、部屋を直接見ることは原則不可能なので、オーナーに依頼して「維持修繕の実施状況の記録」を見せてもらいましょう。

維持修繕の実施状況の記録とは?
マンションの共用部分および専有部分に関する、マンションの大規模修繕や各部屋のリフォームなどの記録です。

また、入居者がいない部屋は内見ができる場合もあるので、間取りや設備は確認しておくことをおすすめします。

とはいえ、入居者がいる部屋の現状はわからないので、オーナーチェンジ物件の購入時は修繕が必要になるケースを想定して、事前に自己資金を確保しておきましょう。

退去後に家賃基準が下がる

現在の入居者が退去した後に家賃基準が下がるリスクも、オーナーチェンジ物件では注意が必要です。

原則として、家賃は入居当時の相場で設定されており、入居者がいる場合は家賃を変えずに契約更新をおこないますが、入居者が退去したタイミングで家賃を下げるケースもあります。

なぜなら、建物は経年劣化で価値が低下するので、家賃を下げないと次の入居者が決まらずに家賃収入が落ちる危険性があるからです。

そのため、賃貸物件によっては入居者が住み始めた期間がバラバラのため、家賃が部屋ごとに大きく違うケースも珍しくありません。

オーナーチェンジ物件を購入する際は、現在の家賃収入が続くとは考えず、現在の入居者が退去した後に家賃が下がる可能性を想定して収益をシミュレーションしましょう。

入居者との契約内容を変更できない

オーナーチェンジ物件を購入しても、新オーナーが契約内容を変更できるわけではなく、前オーナーと入居者間での賃貸借契約がそのまま継続されます。

なぜなら、オーナーチェンジ物件の購入時に入居者と新オーナーが新しく賃貸借契約を結ぶのではなく、あくまで賃貸借契約におけるオーナーの名義が変わるだけだからです。

家賃や契約期間などの変更には入居者の同意が必要ですが、入居者は契約内容を変えたくない場合が多く、契約内容の変更は基本的に難しいと考えておくのが無難です。

ペットの飼育の可否・原状回復の費用負担など、オーナー側に不利な契約が引き継がれることもあるため、オーナーチェンジ物件の購入時は賃貸借契約の内容を確認しましょう。

物件購入後に瑕疵が見つかる

オーナーチェンジ物件購入後、物件に瑕疵が見つかると修繕が必要となります。修繕費用でキャッシュフローが悪化する危険性がある点に注意しましょう。

建物は経年劣化するため、建築から年数が経過したオーナーチェンジ物件では瑕疵が見つかることもあります。

例えば、物件に雨漏り・シロアリ被害などの瑕疵が見つかった場合、オーナーが費用を負担して修繕する必要があるため、赤字になってしまう恐れもあります。

ただし、売却する物件に瑕疵がある場合は売主から買主への説明が義務化されており、説明されていない瑕疵が売却後に発覚した際は「契約不適合責任」を追及できます。

契約不適合責任とは?
引き渡した不動産が契約内容と反する場合に追及される責任で、2020年4月の民法改正前は「瑕疵担保責任」と呼ばれていました。

具体的には、説明されていない瑕疵が売却後に発覚した場合、瑕疵に気づいてから1年以内であれば、売主に損害賠償請求や売買契約解除などを求めることが可能です。

例えば、物件に雨漏り・シロアリ被害が見つかった場合、それらの修繕費用を前オーナーに請求できますが、瑕疵の発覚から1年以上経過すると請求できません。

また、売主によっては契約不適合責任が後から発生しないように、契約不適合責任を免責する内容を契約に含めることもあるため、売買契約締結時は重要事項説明書を確認しましょう。

リノベーションや建て替えできない

入居者がいる場合、購入後にオーナーチェンジ物件のリノベーションや建て替えができない点に注意しましょう。

賃貸物件の入居率を上げるためにリノベーション・リフォーム・建て替えを実施したいとオーナーが考えた際、入居者がいない物件ならオーナーが自由におこなえます。

しかし、入居者がいる物件は入居者に立ち退いてもらう必要があるため、リノベーションや建て替えは現実的に難しいと考えておくのが無難です。

「老朽化した賃貸物件の収益性を上げるために建て替えたい」といったオーナー都合の事情は立退きの正当事由に該当しないため、入居者が立退きに応じる義務はありません。

ただし、立退き料を支払えば入居者が立退きに応じるケースもあるため、オーナーチェンジ物件のリノベーションや建て替えをしたい場合は入居者と交渉しましょう。

物件購入時期によっては退去者が多いことがある

オーナーチェンジ物件は既存の入居者からの賃貸収入が見込めますが、購入時期を見誤って退去者が多い時期に購入すると、収益が悪化してしまう危険もあります。

例えば、購入前は部屋が満室で賃貸収入が見込めると踏んでいても、購入時期を見誤ると物件購入後に退去者が続出して、予想より利益が上がらないケースもあるのです。

入居者のタイプにもよりますが、一般的に人事異動・卒業を控えた1〜3月は退去者が多いため、ある程度は空室が増えるリスクを考慮しておく必要があります。

逆をいえば、1〜3月は退去率が高い分入居率も高いので、退去者が出ても次の入居者が見つかりやすく、新しい入居者を見つけるための営業活動が効果的です。

安定した賃貸収入が欲しい場合、人の動きが少なく賃貸物件の閑散期である7月~9月がおすすめで、購入後は入居者を退去させないための維持管理に努めるとよいでしょう。

ごく稀に、不動産会社の社員や前オーナーが雇ったサクラなどを用いて、満室であると装う悪質なオーナーチェンジ物件もあるため注意しましょう。

入居者とのトラブルがある

オーナーチェンジ物件は入居者を選べないため、問題のある住人がいるとトラブルに発展する危険があります。

人が集まってよく騒ぐ、ゴミ出しのルールを守らない、自転車の止め方が雑、無断駐車、悪臭、ゴミ屋敷などトラブルにはさまざまなものがあります。

賃貸物件にトラブルメーカーとなる住人が住んでいる場合、他居住者の住み心地が悪くなり、退去者が増える恐れがあります。

その住人を強制退去させたくても「どの程度の迷惑行為であれば契約解除事由になるのか?」の明確な基準がないため、確実に退去させられるとは限りません。

そのため、オーナーチェンジ物件を購入する場合、既存の入居者について前オーナーに尋ねて、問題のある住人が住んでいないかを確認してから購入しましょう。

家賃を滞納している入居者がいる

オーナーチェンジ物件には既存の入居者がいる場合、家賃を滞納する入居者が住んでいるリスクも抱えています。

家賃を滞納する入居者がいると家賃収入が不安定になる上、管理会社に家賃の督促を依頼しなければならず、オーナー側の負担が大きくなります。

家賃を滞納している入居者がいる場合でも、強制退去させるには3ヶ月以上の滞納と民事裁判での訴訟が必要になるため、すぐ確実に追い出せるわけではありません。

なお、滞納賃料債権(滞納分の家賃を入居者に請求する権利)は前オーナーから新オーナーに引き継がれないので、前オーナー時代に滞納された家賃は請求できません。

オーナーチェンジ物件の購入時は「家賃を滞納している入居者がいないか?」を前オーナーに確認した上で、あまりに滞納がひどい物件は購入を控えましょう。

管理会社の質が悪いことがある

オーナーチェンジ物件では、基本的に前オーナー時代の管理会社を継続して利用します。そのため、管理会社の質が悪いケースもあります。

業務内容の割に管理費が高かったりサービス内容が薄かったりする管理会社の場合、いったん管理会社を解約して、新しい管理会社と契約したほうがよいでしょう。

ただし、オーナーチェンジの際に自分の選んだ管理会社を変更したい場合、前の管理会社を解約するために手数料が必要なケースもあるため注意が必要です。

前の管理会社を解約できないオーナーチェンジ物件は購入するべきではないため、管理委託契約書の解約に関する内容を確認するようにしましょう。

火災保険や保証会社が未加入になっている

オーナーチェンジ物件では、火災保険・保証会社に未加入の入居者が購入後に発覚する危険もあります。

火災・放火などの事故で賃貸物件に損害が生じた場合や入居者が家賃を支払わない場合、保険会社や保証会社に加入していないと損害を補償してもらえないため注意しましょう。

オーナーチェンジ物件を購入する際は「入居者が火災保険や保証会社に加入しているか?」を前オーナーに確認しておくことをおすすめします。

また、オーナーチェンジ物件購入時は、費用をオーナー側で負担してでも入居者に火災保険・保証会社に加入してもらい、オーナー側も建物の火災保険に加入しておきましょう。

前オーナーが物件を手放す理由は?

オーナーチェンジ物件の危険性を判断するには、前オーナーが物件を手放す理由を確認することをおすすめします。

オーナーは何かしらの理由を抱えて賃貸物件を手放します。前オーナーの個人的な理由であれば問題ありませんが、物件自体に問題を抱えている場合は危険性が高いです。

次のような理由で前オーナーが物件を手放す場合、オーナーチェンジ物件の購入を検討してもよいでしょう。

物件購入を検討しても良い理由

以下のような理由で前オーナーが物件を手放す場合、オーナーチェンジ物件の購入は踏みとどまったほうがよいです。

物件購入を踏みとどまるべき理由

この項目では、前オーナーが物件を手放す理由ごとにオーナーチェンジ物件の危険性を解説します。

より収益の上がる物件を買い替える

前オーナーが「より収益の上がる物件に買い替えたい」と考えている場合、オーナーチェンジ物件の購入を検討してもよいでしょう。

なぜなら、前オーナーが新しい賃貸物件の購入資金を現在の賃貸物件で集めたのであれば、購入したオーナーチェンジ物件である程度の収益が見込めるからです。

ただし、前オーナーが現在の賃貸物件で思うような利益を挙げられず、損切り目的でオーナーチェンジ物件を売りに出している場合は赤字を抱えるリスクが高いです。

前オーナーが買い替え目的でオーナーチェンジ物件を売りに出している場合、前オーナー時代の入居率や収支状況などを確認しておきましょう。

まとまったキャッシュが必要になった

前オーナーがまとまったキャッシュを必要としており、資金を集める目的で売りに出されているオーナーチェンジ物件は購入を検討してもよいでしょう。

「他の物件やビジネスに投資したい」や「家庭の事情でお金が必要」など、物件自体には問題がないのに前オーナーの個人的な理由で賃貸物件を手放すケースもあります。

前オーナーの個人的な理由で手放される賃貸物件は物件自体に問題がない場合が多く、購入後の家賃収入が期待できる可能性が高いです。

とはいえ、必ずしも物件自体に問題がないとは限らないので、前オーナーから入居率や収支状況などを教えてもらい、利益が見込めることを確認してから購入しましょう。

オーナー業から引退したい

前オーナーが病気や老齢などの理由でオーナー業から引退する場合、オーナーチェンジ物件の購入を検討してもよいでしょう。

なぜなら、病気や老齢などの理由で前オーナーが賃貸経営を続けられず、個人的な事情で売りに出される賃貸物件であれば物件自体に問題のないケースが多いからです。

ただし「利益率が低いのでオーナー業から引退したい」という理由の場合、オーナーチェンジ物件を購入しても思うような利益が得られないリスクもあります。

前オーナーがオーナー業から引退するため物件が売りに出されている場合、前オーナーの引退理由を必ず確認するようにしましょう。

物件を相続したのでオーナー業はしない

前オーナーが相続した物件の賃貸経営に興味がない場合、オーナーチェンジ物件の購入を検討してもよいでしょう。

「相続で賃貸物件を取得したが、引き続きオーナー業をおこなう予定がない」と遺族が考えているケースも少なくありません。

利益の出ない物件であれば手放すはずなので、前オーナーが亡くなるまで保有していた賃貸物件は家賃収入が期待できます。

とはいえ、賃貸物件の利益率を素人が予測することは難しいので、前オーナーから聞いた情報をもとに、不動産会社に判断してもらうことをおすすめします。

複数入居者の退去が決まっている

複数入居者の退去が決まっているせいで売りに出されている場合、家賃収入が期待できないためオーナーチェンジ物件の購入をおすすめしません。

なぜなら、オーナーチェンジ物件のメリットは購入当初から既存の入居者による家賃がある点ですが、購入後すぐに退去者が発生する物件は購入するメリットが少ないからです。

新しい入居者を集めるために新オーナーが営業活動を実施しなければならないので、不動産投資の初心者は購入を避けたほうがよいでしょう。

一方で、入居者の退去が決まっている点を交渉材料として、オーナーチェンジ物件の値引きを要求できる可能性が高いので、前オーナーに相談することをおすすめします。

問題のある入居者がいる

前述の通り、オーナーチェンジ物件に問題のある入居者がいるせいで売りに出されている場合、トラブルが発生するリスクが高いので購入をおすすめしません。

なぜなら、新オーナーがトラブル解決に尽力しなければならず面倒な上、退去者が出やすく家賃収入が減るリスクが高いからです。

また、騒音や悪臭が原因で住民トラブルを繰り返しているなどの正当な理由があると裁判で認められないと、居住者を強制退去させることは不可能です。

強制退去が認められる例

  • 何度注意しても騒音が収まらない
  • ゴミを放置して悪臭・害虫が発生している
  • ペットを無断で飼育している
  • 無断で他人に部屋を貸している
  • 3ヶ月以上家賃を滞納している

次のような入居者が賃貸物件にいると、他の入居者や近隣住民とトラブルを起こす可能性が高いので、オーナーチェンジ物件の購入は避けたほうがよいでしょう。

賃貸物件でよくあるトラブル

  • 騒音で眠れない
  • 共有スペースの使い方が悪い
  • ゴミ出しなどの規則を守らない

家賃滞納がある

家賃滞納をしている入居者がいるオーナーチェンジ物件は、家賃滞納トラブルの起きるリスクが高いので購入をおすすめしません。

なぜなら、家賃滞納をしている入居者・家賃滞納履歴がある入居者を抱えている場合、家賃を滞納されるリスクが高く、見込みより家賃収入が少なくなる恐れがあるからです。

家賃滞納をしている入居者を強制退去させるには、家賃を3ヶ月以上滞納しているなどの正当な理由があると裁判で認められなければならず、費用も時間もかかります。

強制退去させるにも手間や時間がかかるため、家賃滞納をしている入居者がいるオーナーチェンジ物件は基本的に購入しないほうがよいでしょう。

大規模修繕の費用がない

大規模修繕の費用がないせいで売りに出されているオーナーチェンジ物件は、新オーナーが大規模修繕をおこなう必要があるため購入をおすすめしません。

築年数の古い賃貸物件など「大規模修繕の時期が迫っているが、修繕費用がないので手放したい」といった理由から売りに出されるケースもあります。

購入後に大規模修繕が必要な場合、新オーナーが修繕費用を負担しなければならず物件の利回りが悪化するので、前オーナーに値引き交渉をおこなうことをおすすめします。

大規模修繕の費用を負担しても回収できる見込みがある物件なら問題ありませんが、収益が見込める物件でない限り基本的には購入を見送るべきでしょう。

近所からのクレームがある

近所からのクレームがあるせいで売りに出されている場合、近隣住民とトラブルに発展する恐れがあるためオーナーチェンジ物件の購入をおすすめしません。

騒音・臭い・境界などの問題で近所からクレームが寄せられており、前オーナーが対処を投げ出す形で賃貸物件を売りに出すケースも存在します。

近所からのクレームがあるオーナーチェンジ物件を購入した場合、新オーナーへ問題が引き継がれるため、トラブル解決に費用や時間を費やさなければなりません。

裁判に発展して損害賠償請求などを受けるリスクもあるので、近隣住民とのトラブルを抱えているオーナーチェンジ物件は基本的に購入しないほうがよいでしょう。

オーナーチェンジ物件の後悔しない選び方

オーナーチェンジ物件の購入で後悔したくない場合、以下の点を基準に選びましょう。

オーナーチェンジ物件の後悔しない選び方

もっとも大切なのは、前オーナーにオーナーチェンジの理由を聞くことで「物件自体に問題があるのか?オーナー自身の事情なのか?」を判断してから購入する必要があります。

前オーナーの協力を得て物件状態や契約内容などを詳細に確認した上で、物件自体に問題を抱えているようであれば、オーナーチェンジ物件の購入を控えたほうがよいでしょう。

この項目では、オーナーチェンジ物件の後悔しない選び方を解説します。

オーナーチェンジの理由を詳細に知る

オーナーチェンジ物件の購入を判断するには、売却する理由を前オーナーに詳しく聞いて、物件の経営状況や問題を知ることが大切です。

賃貸物件を手放すには何かしらの理由があるので、許容できる売却理由でない物件は購入しないほうがよいです。

前オーナーに売却理由を聞いても不明瞭な回答しか得られない場合、仲介する不動産会社を通して賃貸物件の売却理由を調べることをおすすめします。

前オーナーに売却理由を聞いても、不明瞭な回答しか得られない場合や許容できない理由である場合、オーナーチェンジ物件の購入を見送るほうがよいでしょう。

現地調査を複数回行う

オーナーチェンジ物件購入時の判断材料として現地調査をおこないますが、1度だけでなく何度も現地調査を実施して慎重に判断しましょう。

なぜなら、賃貸物件の利益率を正確に予測するには、物件自体の状況や周辺地域の環境なども時間帯ごとに把握する必要があるからです。

複数日に渡って賃貸物件のガス・電気・水道メーターなどの変化を見れば「本当に入居者がいるのか?」を確認できます。

オーナーチェンジ物件の購入で失敗しないために、場合によっては、周辺住民への聞き込みを実施するなど、徹底的に現地調査をおこないましょう。

重大な瑕疵がないか調べる

オーナーチェンジ物件が雨漏り・傾きなどの瑕疵を抱えている場合、購入後に高額な修繕費用を負担しなければならないため、重大な瑕疵がないか調べましょう。

現地調査で瑕疵の有無を確認するのはもちろん、前オーナーや不動産会社から修繕履歴を取り寄せて、現状報告をしてもらうことをおすすめします。

前オーナーが物件の瑕疵を把握している場合、新オーナーに説明する義務があるので、瑕疵の有無を確認して、修繕が必要な場合は修繕費用も事前に把握しておきましょう。

また、前オーナー自身も瑕疵を把握していないケースもあるため、オーナーチェンジ物件の売却後に瑕疵が発覚した場合の対応に関する取り決めもしておくと安心です。

大規模修繕の必要性や時期を確認する

オーナーチェンジ物件の築年数によっては、将来的に建物・設備の経年劣化に対する修繕が必要になるため、大規模修繕の必要性や時期を確認しておきましょう。

なぜなら、賃貸物件の大規模修繕になれば、配管・外壁・屋根・床・壁・エアコン・給湯器などを交換・修繕するため、修繕費用の見積もりを立てておく必要があるからです。

大規模修繕後は契約更新で修繕費の負担分として賃上げを実施するケースも多く、賃貸物件の入居率や利益率に影響を及ぼすので見通しを立てておく必要もあります。

具体的には「いつどのような修繕が必要になるか?」と「入居者から修繕費を徴収しているか?」の2点を前オーナーから確認しましょう。

可能であれば内見させてもらう

なるべく前オーナー・入居者と交渉して、オーナーチェンジ物件の内見を実施しましょう。

なぜなら、賃貸物件は各部屋の室内を見なければ経年劣化などの状態を把握できず「どの程度の修繕・値下げが必要なのか?」といった点を判断できないからです。

空き部屋を見せてもらうのはもちろんですが、入居者がいる部屋も前オーナーから間取りや修繕履歴を見せてもらうなどして、全部屋の状況を情報だけでも把握しておきましょう。

全戸の賃貸契約の内容や更新時期を確認する

オーナーチェンジ物件を購入すると、前オーナー時代から家賃収入だけでなく賃貸借契約も引き継ぐので、全部屋の賃貸契約の内容や更新時期を確認しましょう。

オーナーチェンジ物件で確認する点

  • 入居者の退去時期が迫っていないか?
  • 退去と入居が短期間でおこなわれていないか?
  • オーナー側に不利な契約内容になっていないか?
  • 保証人・保証会社はついているか?

例えば、敷金礼金ゼロ・クリーニング費用は貸主負担などのオーナーに不利な契約内容の場合、敷金礼金が得られない・費用負担が生じるなどのデメリットがあります。

他にも、更新時期が迫っている入居者の多い賃貸物件の場合、次の契約更新のタイミングで退去者が続出して家賃収入が激減するリスクも考えなければなりません。

部屋ごとに賃貸借契約の内容が異なる場合もあるので、わからない点は前オーナーや不動産会社へ徹底的に確認して、全部屋の契約内容や更新時期を把握するようにしましょう。

過去の経営実績を把握する

オーナーチェンジ物件の経営シミュレーションを立てるためにも、前オーナーに入居者の履歴や修繕履歴を見せてもらい、過去の経営実績を把握しましょう。

なぜなら、オーナーが変わったからといって賃貸物件の入居率が大幅に変化するわけではないので、過去のデータを把握しておくことで収支の予測を立てやすいからです。

より細かい部分でいうと、入居者のトラブル状況・家賃滞納の履歴なども確認しておくと、問題のある入居者を絞り込めるのでトラブル発生時に対応しやすいです。

賃貸物件の入居率や収益だけではなく、リフォームやメンテナンスによる出費を把握するためにも、重要事項調査報告書や修繕履歴も確認することをおすすめします。

敷金を引き継ぐ

オーナーチェンジ物件の購入時は、前オーナーが入居者から預かった敷金を忘れずに引き継ぐようにしましょう。

なぜなら、敷金がある賃貸物件は入居者の退去時に敷金の一部を返金する場合がありますが、前オーナーから敷金を引き継がないと自腹で負担することになるからです。

オーナーチェンジ物件でも、前オーナーと入居者が結んだ賃貸借契約の内容は引き継がれるので、入居者が退去するときは新オーナーが敷金を返還しなければなりません。

オーナーチェンジ物件に敷金がある場合、前オーナーが賃借人から預かった敷金を物件の購入価格から相殺するなど、前オーナーと新オーナー間で精算をおこないましょう。

契約不適合責任が免責になっていないかを確認する

先述の通り、オーナーチェンジ物件の購入後に不具合が発覚した場合に備えて「売買契約における契約不適合責任が免責になっていないか?」を確認しましょう。

なぜなら、契約不適合責任を免責とする内容で売買契約を結ぶと、購入した物件の不具合が発覚した際に前オーナーへ売買契約の解除や損害賠償を請求できないからです。

売主が契約不適合責任を回避するために、それを免責とする特約を設ける場合もあるため「契約書に免責特約が記されていないか?」を確認することをおすすめします。

オーナーチェンジ物件を購入する前には、売買契約書の契約不適合責任に関する部分を確認して、疑問点があれば不動産会社や弁護士に相談しましょう。

オーナーチェンジ物件を購入するメリット

オーナチェンジ物件を購入する場合、次のメリットが得られます。

オーナーチェンジ物件を購入するメリット

オーナーチェンジ物件のメリットは既に賃貸経営を始める準備ができていることで、既に入居者がついている物件なら購入後すぐに家賃収入が得られます。

前オーナー時代の管理会社などを引き継いでおけば、管理会社を探す必要もありませんし、前オーナーから運営ノウハウを教われば、賃貸経営を軌道に乗せやすいでしょう。

この項目では、オーナーチェンジ物件を購入するメリットを解説します。

既に入居者が付いている

オーナーチェンジ物件を購入する最大のメリットは、既に入居者がついているので購入直後から家賃収入が得られる点です。

新築の賃貸物件は入居者が集まらずに家賃収入が得られないリスクもありますが、既に入居者がいる賃貸物件であれば一定の家賃収入が得られるので安心感があります。

既に入居者がいる賃貸物件は積極的に入居者募集をおこなう必要がないため、賃貸経営をおこなうオーナーの負担が軽減できる点もメリットです。

とくに、ローンを組んで物件を購入する投資家は購入直後から家賃収入をローン返済に充てられるので、既に入居者がついているオーナーチェンジ物件が向いています。

すぐにリフォームしなくて良い

オーナーチェンジ物件は既に入居者が居住できる状態なので、すぐにリフォームを実施する必要がなく、リフォーム費用を抑えられるメリットもあります。

既に入居者がいるオーナーチェンジ物件であれば、実際に人が住めるレベルの物件状態なので、リフォームを実施しなくても入居者が見つかる可能性が高いです。

オーナーチェンジ物件をリフォームするとしても、将来的におこなう必要はあるかもしれませんが、購入後すぐにリフォームが必要なわけではありません。

オーナーチェンジ物件は現状すぐにリフォームが必要ではないので、物件購入後しばらくは費用を貯めておきたい投資家に向いています。

相場より安いことがある

一般的な賃貸物件の相場より価格が安い場合も多く、初期費用を抑えながら賃貸経営を始められる点もオーナーチェンジ物件のメリットです。

前オーナーが売却を急いでいる場合や退去後のリフォーム費用がかかる場合など、オーナーチェンジ物件は新築の賃貸物件と比べて安値で売り出されていることも多いです。

新築物件に比べて築年数が古い・居住者がいる場合は内見ができないなどのデメリットもあるため、基本的にオーナーチェンジ物件は安価で購入できる傾向にあります。

そのため、安く物件を買うことで初期費用を抑えつつ早く利回りを上げたい人には、オーナーチェンジ物件はおすすめです。

経営の見通しが立ちやすい

前オーナーが既に経営を経験しているので、オーナーチェンジ物件は入居者や収支などのデータが蓄積されており、経営の見通しを立てやすいメリットがあります。

既に入居者がついていれば毎月の家賃収入が把握できる上、築年数の古い物件なら家賃の大幅な下落がないので、年単位で家賃収入も予測しやすいです。

経費のデータがあれば現状の収支がわかりますし、契約更新の時期がわかれば退去者が増えやすい時期を予測できるので、対策を打ちやすいです。

オーナーチェンジ物件は将来的な経営の見通しを立てやすいので、中長期的に計画的に不動産経営をしていきたい人にも適しています。

金融機関から融資を受けやすい

前オーナー時代の収支データがあるので、オーナーチェンジ物件は金融機関から融資を受けやすい点もメリットです。

金融機関から融資を受けるには、返済に充てられる安定収入が求められますが、既に入居者がいるオーナーチェンジ物件なら収益が見込めるため融資が受けやすいです。

ただし、どのオーナーチェンジ物件でも融資を受けやすいわけではなく、入居率が低い・家賃が安い・立地が悪いなど、収益が見込めないと融資が受けられない場合もあります。

オーナーチェンジ物件は金融機関から融資を受けやすいので、自己資金が多くない投資家にも向いています。

前オーナーから物件の詳細や運営ノウハウを聞ける

オーナーチェンジ物件は前オーナーから物件の詳細・運営ノウハウを聞けるので、賃貸経営における方針や対策を立てやすいメリットもあります。

オーナーチェンジ物件は運用歴のある物件なので、設備の修繕歴・入居者の特徴といった前オーナー時代の物件情報を教えてもらえます。

例えば、入居者に学生層の多いオーナーチェンジ物件であれば、学生をターゲットに入居者募集をおこなうと効果的であるとわかるので、経営方針で失敗しにくいです。

新築の賃貸物件は手探りでノウハウを覚える必要がありますが、オーナーチェンジ物件は前オーナーからノウハウを聞けるので不動産投資の初心者にもおすすめです。

管理会社などを引き継げる

前オーナー時代の管理会社・設備会社・ガス会社などを引き継げるため、自分で探す手間が省ける点もオーナーチェンジ物件のメリットです。

新築の賃貸物件の場合、オーナーが自ら管理会社などを探さなければならず、手間や時間がかかる上に管理が不十分な業者を選んでしまうリスクもあります。

オーナーチェンジ物件なら、前オーナー時代の管理会社などを引き継げる上、前オーナーが「管理に問題がある」と教えてくれる場合は管理会社を変更すれば問題ありません。

前オーナー時代の管理会社などに管理を任せられるので、物件から遠方に住んでいる人や他の事業で忙しい投資家にもオーナーチェンジ物件は向いています。

オーナーチェンジ物件の購入に失敗したらどうする?

オーナーチェンジ物件を購入して後悔している場合、改善することで利益が見込めるなら対処するべきですが、手に負えない場合は売却も検討しましょう。

例えば、物件に雨漏りが発生している場合、修繕して利益が見込めるなら対処したほうがよいですが、利回りの低い物件なら修繕費用で損をしてしまうので売却するべきです。

オーナーチェンジ物件を高く売るには、次のような方法を実践するとよいでしょう。

オーナーチェンジ物件を高く売る方法

  • 物件全体の入居率を上げる
  • 複数の不動産会社に一括査定を依頼する

まとめ

オーナーチェンジ物件を購入する場合、基本的に購入前に内見ができないので、購入後に修繕が必要になったり、購入後に退去者が続出する危険性などがあります。

オーナーチェンジ物件の危険性を判断するには、前オーナーに物件を売る理由を聞く方法がおすすめです。

物件自体の問題ではなく、前オーナーの事情で売却されるオーナーチェンジ物件は比較的安全です。

オーナーチェンジ物件はデメリットだけでなく、既に入居者がいれば購入後すぐに家賃収入が得られたり、入居率から毎月の家賃収入を予測できるなどのメリットもあります。

とはいえ、オーナーチェンジ物件の危険性を素人が判断することは難しいので、購入前に不動産会社へ相談して、アドバイスを得た上で購入を検討するようにしましょう。

オーナーチェンジ物件に関するよくある質問

不動産のオーナーチェンジ物件とは何ですか?

不動産所有者である前オーナーが賃貸物件を売却して、買主が新しいオーナーになる物件です。

オーナーチェンジ物件の所有権はどうなりますか?

不動産の所有権が前オーナーから新オーナーに移ります。 前オーナーが結んだ賃貸借契約も新オーナーに引き継がれるため、新オーナーが貸主となります。

オーナーチェンジ物件の価格はどの程度安いですか?

3LDK・4LDKのオーナーチェンジ物件の場合、居住用物件の相場に対して90%程度の価格をつけられるケースが多いです。

オーナーチェンジ物件の契約不適合責任はどうなりますか?

原則として、瑕疵の発覚から1年以内ですが、期間は売主・買主間の話し合いで決めます。契約不適合責任を免責にしたり、責任期間を延ばしたケースもあります。

賃貸物件のオーナーチェンジ時、既存の賃貸借契約はどうなりますか?

貸主が前オーナーから新オーナーに変わるだけで、契約内容は変わらずに賃貸借契約が継続されます。

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