土地売却における税金の抑え方!節税に使える控除・特例を解説

税金のかからない 土地の売り方

土地を売却する場合、売却手続き時に「印紙税」がかかるほか、売却益に対する「譲渡所得税」なども課税されます。

このうち、印紙税は必ず負担する必要がありますが、譲渡所得税は各種特例・控除を用いて0円にすることも可能です。

また、土地の所有年数が5年を超える場合、譲渡所得税の税率が安くなるので、場合によっては数年待ってから土地を売却したほうがよいケースもあります。

税金をかけずに土地を売りたい場合、不動産業者に相談すれば、ベストな売り方を教えてもらえるので、無料相談で問い合わせてみることをおすすめします。

以下のボタンから、複数の不動産業者へ一括査定が申し込めるので、土地の売却価格を確認すると同時に、税金のかからない売り方を相談してみましょう。

土地売却にはどんな税金がかかる?

土地を売却する場合、どのような種類の税金がかかるのでしょうか?

土地売却時にかかる税金は、以下の3種類です。

  1. 売買契約書に貼付する「印紙税」
  2. 抵当権の抹消にかかる「登録免許税」
  3. 不動産の売却益にかかる「譲渡所得税」

それぞれの税金について、詳しくみていきましょう。

土地売却にかかる税金の種類を詳しく知りたい場合、こちらの記事もあわせて参考にしてください。

関連記事
土地売却 税金 計算
不動産の売却をおこなうと、さまざまな税金がかかります。そのため、売却金額がそのまま利益につながるというわけではありません。 土地や建物などを売りたいと考えている方は、売却時にどのような税金が、いくらかかるのか気になる方もいるでしょう。 この記事では、土地売却をメインに不動産売却時にかかる税金の種類や金額の計算方法、売却…

1.売買契約書に貼付する「印紙税」

1つ目の税金は、売買契約書に貼り付ける「印紙税」です。

土地を売るときの「売買契約書」には、売却価格に応じた金額の「収入印紙」を貼りつける必要があります。

土地を売却する場合、印紙税は必ず負担しなければなりません。

以下のように、土地の売却価格に応じて印紙税の税額は変動します。

売却価格 本則税率 軽減税率
10万円~50万円 400円 200円
50万円~100万円 1,000円 500円
100万円~500万円 2,000円 1,000円
500万円~1,000万円 1万円 5,000円
1,000万円~5,000万円 2万円 1万円
5,000万円~1億円 6万円 3万円
1億円~5億円 10万円 6万円
5億円~10億円 20万円 16万円
10億円~50億円 40万円 32万円
50億円〜 60万円 48万円

2022年3月31日まで、印紙税に軽減税率が適用できるため、期間内に土地を売却するとよいでしょう。

参照:「土地売買契約書」(国税庁)

2.抵当権の抹消にかかる「登録免許税」

2つ目の税金は、抵当権の抹消にかかる「登録免許税」です。

ただし、抵当権を設定していない場合、登録免許税は負担せずに済みます。

所有権移転登記の際にも、登録免許税はかかりますが、この場合は買主が費用を負担することが多いです。

登録免許税は必ずしもかかる訳ではないという点を覚えておきましょう。

種類 税額
所有権移転登記 土地の評価額×2.0%
抵当権抹消登記 1,000円
(土地1つあたり)

3.土地の売却益にかかる「譲渡所得税」

3つ目の税金は、土地の売却益に課される「譲渡所得税」です。

譲渡所得税とは、不動産を売却した際の利益である「譲渡所得」に課税される「所得税」と「住民税」の総称です。

土地売却時の譲渡所得税は、以下の式で計算できます。

譲渡所得税={売却価格-(取得費+譲渡費用)}×税率

基本的に土地売却で利益を得た場合は、譲渡所得税を納める必要があります。

ただし、譲渡所得税に関しては、後述する各種控除・特例で節税可能です。

土地の所有期間が5年を超えると譲渡所得税が安くなる

売却する土地の所有期間に応じて、譲渡所得税には2種類の税率があります。

所有期間 税率
5年以内
(短期譲渡所得)
39.63%
5年超
(長期譲渡所得)
20.315%

売却する土地の所有期間が、5年以内だと税率が高くなる一方、5年超であれば税率が安くなる仕組みです。

土地売却にかかる税金を抑える控除・特例

土地売却には印紙税・譲渡所得税が課税されますが、これらの税金を抑えるにはどうすればよいのでしょうか?

土地売却にかかる譲渡所得税は各種控除や特例を用いて、費用を抑えられます。

  • 居住用財産の3,000万円特別控除
  • 相続空き家の3,000万円特別控除
  • 10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例

土地売却にかかる税金を抑えられる各種控除・特例を1つずつ紹介していきます。

なお、この他にも税金を抑える控除・特例が存在するので、詳しくは不動産業者に質問してみることをおすすめします。

税金を抑えた土地売却ができる不動産業者を探す

居住用財産の3,000万円特別控除

自宅の土地を売却した場合、所有期間に関係なく条件を満たしていえば、譲渡所得から3,000万円を控除できます。

「居住用財産の3,000万円特別控除」を利用できる条件は以下のとおりです。

  • 自分が実際に住んでいた家である
  • 自宅に住まなくなってから3年目の12月31日までに売る
  • 売る相手との関係が、親子・夫婦・生計を共にしている親族ではない
  • 自宅を売った年の前々年までに他の特例を受けていない
  • 住宅ローン控除を受けていない

参照:「マイホームを売ったときの特例」(国税庁)

相続空き家の3,000万円特別控除

相続した空き家を売ると「相続空き家の3,000万円特別控除」が受けられます。

「相続空き家の3,000万円特別控除」を利用できる条件は以下のとおりです。

  • 相続した年から3年目の12月31日までに売却する
  • 現在の耐震基準を満たしている
  • 1981年5月31日以前に建築された住宅で、相続が発生した時点から誰も住んでいない
  • 相続発生時から売却までの間に、売却した住宅や土地を貸付けや事業などに利用されていない
  • 売却価格が1億円を超えない

ただし、この特例は2016年4月1日〜2023年12月31日の期間しか利用できないので、売却を検討している場合は早めに行うことをおすすめします。

参照:「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」(国税庁)

10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例

10年以上住んでいた土地を売った場合は「10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例」によって、通常よりも低い税率を適用できます。

譲渡所得 税率
6,000万円以下の部分 14.21%
6,000万円超の部分 20.315%

「10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例」を利用できる条件は以下のとおりです。

  • 自分が住んでいる家屋または土地を売却する
  • 住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却する

譲渡所得における6,000万円以下の部分の税率が大幅に安くなるため、自宅の土地を売却する場合に利用できないか確認してみましょう。

参照:「マイホームを売ったときの軽減税率の特例」(国税庁)

土地売却にかかる税金の計算方法

土地売却時にかかる税金は一体どの程度なのでしょうか?

そもそも土地売却時には、譲渡所得税のかかるケース・かからないケースがあります。

また、各種控除・特例を利用する場合、譲渡所得税の計算方法も変わってくるため注意しましょう。

この項目では、土地売却にかかる税金を自分で計算する方法を解説します。

土地売却時に譲渡所得税のかかるケース

各種控除や特例を利用しても、土地売却時の譲渡所得が1円以上になる場合です。

例えば、譲渡所得が3,000万円を上回る場合、3,000万円の特別控除を利用しても、譲渡所得が残ってしまいます。

土地売却時に譲渡所得税が発生する場合、確定申告での納税が必要になるため、覚えておきましょう。

土地売却時に譲渡所得税のかからないケース

各種控除や特例を利用すると、土地売却時の譲渡所得が0円以下になる場合です。

例えば、譲渡所得が3,000万円を上回る場合は3,000万円の特別控除を利用すれば、譲渡所得税を0円に抑えることが可能です。

また、売却価格よりも取得費のほうが高い場合、土地を売っても赤字になるので、譲渡所得税は課税されません。

土地売却にかかる譲渡所得税の計算例

土地売却にかかる譲渡所得税を計算する場合、大きく4種類のケースがあります。

  1. 所有期間が5年以内の場合
  2. 所有期間が5年超の場合
  3. 3000万円特別控除を使う場合
  4. 売却する土地の取得費がわからない場合

それぞれのケースについて、具体的な計算方法を解説していきます。

【ケース1】所有期間が5年以内の場合

1つ目のケースは、売却する土地の所有期間が5年以内の場合の譲渡所得税です。

・土地の売却価格:3,000万円
・土地の所有期間:4年間
・土地の取得費:2,500万円
・土地の譲渡費用:300万円
・利用できる特例:なし

譲渡所得税={3,000万円-(2,500万円+300万円)}×39.63%=約79.2万円

「短期譲渡所得」における譲渡所得税の早見表は以下のとおりです。

譲渡所得 税額
100万円 39万6,300円
200万円 79万2,600円
300万円 118万8,900円
400万円 158万5,200円
500万円 198万1,500円
1,000万円 396万3,000円
1,500万円 594万4,500円
2,000万円 792万6,000円
2,500万円 990万7,500円
3,000万円 1,188万9,000円
4,000万円 1,585万2,000円
5,000万円 1,981万5,000円

【ケース2】所有期間が5年超の場合

2つ目のケースは、売却する土地の所有期間が5年を超える場合の譲渡所得税です。

・土地の売却価格:3,000万円
・土地の所有期間:7年間
・土地の取得費:2,500万円
・土地の譲渡費用:300万円
・利用できる特例:なし

譲渡所得税={3,000万円-(2,500万円+300万円)}×20.315%=約40.6万円

「長期譲渡所得」における譲渡所得税の早見表は以下のとおりです。

譲渡所得 税額
100万円 20万3,150円
200万円 40万6,300円
300万円 60万9,450円
400万円 81万2,600円
500万円 101万5,750円
1,000万円 203万1,500円
1,500万円 304万7,250円
2,000万円 406万3,000円
2,500万円 507万8,750円
3,000万円 609万4,500円
4,000万円 812万6,000円
5,000万円 1,015万7,500円

【ケース3】3000万円特別控除を使う場合

3つ目のケースは、3000万円の特別控除を利用する場合の譲渡所得税です。

・土地の売却価格:9,000万円
・土地の所有期間:7年間
・土地の取得費:4,000万円
・土地の譲渡費用:500万円
・利用できる特例:なし

譲渡所得税={9,000万円-(4,000万円+500万円)-3,000万円}×20.315%=約304.7万円

ちなみに、特別控除を適用しない場合の譲渡所得税は約914.1万円になるので、600万円も損をせずに済みます。

【ケース4】売却する土地の取得費がわからない場合

4つ目のケースは、売却する土地の取得費がわからない場合の譲渡所得税です。

・土地の売却価格:5,000万円
・土地の所有期間:7年間
・土地の取得費:不明
・土地の譲渡費用:300万円
・利用できる特例:なし

譲渡所得税={5,000万円-(5,000万円×5%+300万円)}×20.315%=約904万円

売却した土地の取得費が不明な場合は、売却価格の5%相当額を取得費とします。

まとめ

土地を売る場合、各種控除・特例を利用することで、売却にかかる税金「譲渡所得税」を抑えられます。

例えば「居住用財産の3,000万円特別控除」を利用して、譲渡所得税を0円に抑えることも可能です。

なるべく税金をかけずに土地を売りたい場合は、自分がどのような控除・特例を受けられるのか事前に把握しておきましょう。

また、土地の売却価格や受けられる控除額を把握すれば、土地売却時にどの程度の費用がかかるのか、自分で計算することも可能です。

とはいえ、素人にはわからないことが多いので、一括査定などを利用して、不動産業者の無料相談を受けてみることをおすすめします。

土地売却にかかる税金を抑える場合のよくある質問

土地売却時には、どのような税金がかかりますか?

売買契約書に貼付する「印紙税」と、土地の売却益にかかる「譲渡所得税」という、2種類の税金がかかります。

土地売却にかかる税金を抑えるには、どうすればよいですか?

「居住用財産の3,000万円特別控除」「相続空き家の3,000万円特別控除」「10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例」など、譲渡所得税を抑えられる各種控除・特例を利用するとよいでしょう。

どのような場合、土地売却時に譲渡所得税が課税されますか?

各種控除や特例を利用しても、土地売却時の譲渡所得が1円以上になる場合、譲渡所得税が課税されます。

どのような場合、土地売却時に譲渡所得税が課税されませんか?

各種控除や特例を利用すると、土地売却時の譲渡所得が0円以下になる場合、譲渡所得税は課税されません。

土地売却にかかる譲渡所得税は、どのように計算できますか?

土地売却にかかる譲渡所得税は「{売却価格-(取得費+譲渡費用)×税率」で計算できます。

最終更新日:
不動産売却の専門家が、あなたの疑問に回答します!プロだけがお答えする信頼性の高い掲示板です。不動産お悩み相談所。質問はこちら。