不動産の税金の計算とは?各種税金の計算方法を解説

税金計算

不動産の取引には実に多くの税金が関係しています。特に不動産の取得時には、担税力が求められます。

ここでは、不動産取得税・固定資産税・譲渡所得税の3つの税金に焦点をあて、概要や計算方法、税額軽減措置の実施状況などについて紹介します。

不動産を取得した時の「不動産取得税」の計算方法

不動産取得税
土地や建物などの不動産を取得した人には、不動産取得税を支払う義務が生じます。不動産取得税は、次の計算式で算出します。

「固定資産税評価額 × 4%」

新築の建物などでまだ固定資産税評価額が決定していない場合には、都道府県知事が定める基準に従って評価額が設定されます。

不動産取得税の税率は原則として4%ですが、軽減措置などによって税率が低くなる場合もあります。2018年4月現在も、不動産取得税の税率は軽減されています。税率軽減については後に詳しく取り上げます。

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借地権や付帯設備は、不動産取得税の課税対象か?

不動産取得税は、借地権のみを取得をした人には課されません。不動産取得税は、不動産の所有権を取得した人に対する課税だからです。したがって、借地権を取得した後に所有権も取得した際には不動産取得税が課されます。

では、建物の付帯設備の価格は不動産取得税の課税対象になるのでしょうか。建物の付帯設備を設置したのが建物の所有者である場合には、付帯設備の価格も評価額に含まれることになり、課税対象金額が増額となります。

不動産を取得しても、不動産取得税を課されない場合

不動産を取得しても、その取得原因が特殊なものである場合は、不動産取得税が課税されることはありません。具体的には、遺産相続や遺贈によって不動産を取得した場合や、譲渡担保または土地区画整理事業の換地として不動産を取得した場合などです。さらに、固定資産税評価額から各種控除などを適用した価額が一定の金額以下(免税点以下)である場合にも、不動産取得税は課税されません。

免税点となる金額は、次の通りです。

・土地を取得した場合・・・10万円以下
・新築などで建物を取得した場合・・・1戸につき23万円以下
・既存の建物を売買によって取得した場合・・・1戸につき12万円以下

ただし、次のケースに当てはまる場合は、その前後の土地または建物の取得とあわせて一連の不動産取得をしたものとみなされますので、注意が必要です。

・土地を取得した人が、その土地を取得した日から1年以内にその土地に隣接する土地を取得した場合
・建物を取得した人が、その家屋を取得した日から1年以内にその家屋と一構となるべき家屋を取得した場合

取得した不動産の用途が公共の用に供する道路や施設である場合にも、不動産取得税は課税されません。

不動産を保有している時の「固定資産税」の計算方法

不動産を保有している間にも、定期的に支払うべき税金があります。固定資産税です。固定資産税は、その年の1月1日現在で固定資産を所有している所有者に対し、その固定資産の価格をもとに算定される税額を、固定資産の所在する都や市町村が課税する税金です。

課税対象の固定資産となるのは、次のような資産です。

・土地:田、畑、宅地、塩田、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野、その他の土地(雑種地)
・建物:住家、店舗・工場(発電所・変電所含む)、倉庫、その他の建物
・償却資産:構築物、機械・装置、工具・器具及び備品、船舶、航空機などの事業用資産で、法人税法または所得税法上、減価償却の対象となるべき資産(ただし、自動車税、軽自動車税の課税対象となるものは除く)

いずれの固定資産についても、固定資産税の税額は次の計算式で算出されます。

「課税標準額 × 1.4%」

土地の課税標準額は、その土地の用途や規模によって異なる基準で求められます。土地課税台帳に記載されている課税標準額に対し、土地の用途や規模による負担水準を乗じることで求められたものが税額となります。

建物の課税標準額は、課税台帳に登録されている価格となります。一般的な水準としては、建築費の約60~80%ほどが課税標準額となるでしょう。

償却資産の課税標準額は、品目ごとに異なります。当該償却資産の取得年月、取得価額および耐用年数に基づき、その年の1月1日現在の評価額を算出する必要があります。

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固定資産税は3年ごとの「評価替え」によって変動する

建物や土地に対する固定資産税の評価額は、3年ごとに設けられている基準年度が到来すると、評価が替わるようになっています。

例えば新築の建物の評価額は、構造や建築材料の種類、施工量や施工態様などを基準にして算出された評点数に規定の単価を乗じ、再建築費を求めて評価額を決定します。やがて評価替えの年がやってくると、その基準年度に再建築したと仮定した場合の再建築費を求め、さらに経年減価分を差し引くことで新たな評価額が算出されます。評価額から差し引くことのできる経年減価分は最大で8割までと定められているため、耐用年数が経過しても2割は必ず残ることになります。

住宅となる建物については「初期減価」という概念があり、当初から2割が減額されるようになります。混同しやすい点ですが、不動産取得税には初期減価の概念はありません。土地の評価替えについては、何らかの要因で地価が急騰した場合の評価額の急増による税負担を緩和するために、負担調整措置がとられています。土地の用途や規模ごとに設定された負担水準を、行政が定める「固定資産税における負担調整率」にあてはめて課税標準額を求め、税率を乗じることで固定資産税の税額を求めることになります。

固定資産税の免税点

不動産取得税と同じく、固定資産税にも次のような免税点があります。

・土地・・・30万円以下
・建物・・・20万円以下

納税義務者の所有する土地や建物の課税標準額を集計し、合計額が上記の免税点以下と判定されれば、固定資産税は課税されません。不動産取得税と同じく、所有している不動産が公共の用に供するものである場合も、固定資産税の課税はありません。

不動産を売却した時の「譲渡所得税」の計算方法

譲渡所得税
不動産を売却して利益(譲渡益)が出ると、譲渡所得税を課税されます。譲渡所得税は、給与所得や事業所得などの他の所得とは分離して課税されることになります。譲渡所得税を計算するためにはまず、課税対象となる譲渡所得がいくらなのかを算出する必要があります。
譲渡所得は、次の計算式で求めます。

「譲渡収入金額 -(取得費 + 譲渡費用)= 譲渡所得」

譲渡収入金額とは、不動産を売却したことによって手にした代金に加え、固定資産税や都市計画税の精算金も含まれます。譲渡収入金額が分かったら、取得費と譲渡費用を差し引きます。取得費は原則として、減価償却分を差し引いた残りの金額を意味しています。取得費の算出では、次の2通りの方法で算出される金額のうち、いずれか金額の多い方を選択することができます。

1.実額法
不動産の購入代金と取得に要した費用を合計した金額から、減価償却費を差し引いた金額

2.概算法
譲渡収入金額 × 5%で求められる金額

譲渡費用とは、不動産を売却するためにかかった費用を指しています。具体的には、不動産会社に支払った仲介手数料、登記の際に支払った登録免許税、契約書作成に要した印紙税や測量費など、売却に直接的な関係がある費用が含まれます。したがって、不動産を使用していた期間に費やした修繕費や固定資産税、その他不動産を維持管理するために費やした費用などは売却と直接関係していないため、譲渡費用には含まれません。

譲渡所得が求められたら、譲渡所得税の税率を乗じます

「譲渡所得 × 税率」

譲渡所得税の税率は、不動産をどのくらいの期間、所有していたかによって、次のように異なります

・所有期間5年以下「短期譲渡所得」・・・39.63%(所得税30.63% 住民税 9%)
・所有期間5年超え「長期譲渡所得」・・・20.315%(所得税15.315% 住民税 5%)

所有年数のカウントは、実際に取得および売却した日付ではなく、売却した年の1月1日を基準にして行われます。つまり、取得日からぴったり5年経った日に売却しても、その年の1月1日時点で5年が経過していないとすれば5年未満の短期譲渡所得とみなされてしまいますので、注意しましょう。

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不動産投資における譲渡所得の計算の注意点

譲渡所得を計算する際に、「買った金額よりも安く売ったんだから、税金はかからないですよね?」という認識の方がよくいますが、これは大きな間違いです。先程もふれたとおり、譲渡所得の計算における「買った金額」とは、売買契約時の買値そのものではなく、そこから減価償却したあとの未償却残高部分のことを指しています。

例えば、マンションを購入した場合、購入代金については一般的に「土地」と「建物」に分けて建物部分を減価償却しながら毎年経費として落としていきます。そのため、建物部分の価格割合が多い方が、減価償却費が多く計上出来ることになり節税効果があります。(土地と建物の価格割合については、消費税をもとに計算する方法や、固定資産税評価額で按分する方法などがあります)

一方、土地部分については減価償却されないため、そのままの価格で残り続けます。そして売却する際に、建物部分の未償却残高に土地の値段をプラスすると、いわゆる「買った金額」というものになります。そのため、より多く減価償却が進んでいればいるほど譲渡所得は発生しやすくなるのです。

税額軽減措置を利用した節税も可能

節税
不動産に関係する税金に対する税額軽減措置は、度々延長や改正がなされています。2018年4月現在では、次のような軽減措置が施行されています。

不動産取得税に関する軽減措置の具体例

・宅地および宅地比準土地を取得した場合の不動産取得税の課税標準を1/2とする軽減措置が、2021年3月31日まで延長
・住宅および土地を取得した場合の不動産取得税の標準税率(4%)を3%とする軽減措置が、2021年3月31日まで延長
・住宅用土地を取得した場合の不動産取得税の減額措置について、土地取得後に住宅を新築するまでの猶予年数を3年にする特例措置が、2020年3月31日まで延長
・新築の認定長期優良住宅を取得した場合の課税標準の1,300万円の軽減措置が、2020年3月31日まで延長

固定資産税に関する軽減措置の具体例

新築住宅は3年間、3階以上の中高層耐火建築物である集合住宅は5年間の間、固定資産税が1/2になるという軽減措置が、2020年3月31日まで延長されます。2020年3月31日までに新築された住宅で、家屋の床面積が50㎡(共同住宅および区分所有の貸家の場合は40㎡)以上280㎡以下で、1/2以上が居住用部分であることが、適用のための要件です。

リフォーム促進税制として、住宅の耐震改修やバリアフリー化、省エネその他の長期優良住宅への改修をした場合、翌年度の固定資産税額を一定の割合で減額することができるというものもあります。耐震改修した場合は1/2に、バリアフリー化と省エネ補修では1/3に、長期優良住宅化リフォームの場合は2/3に減額されることとなります。この施策の背景には、環境問題や資源問題の深刻化が挙げられています。さらに人口や世帯数が減少傾向にある中で、耐震性・断熱性・耐久性に優れた住宅が大切な資産として次の世代に承継されていくという、新たな流れを生み出す必要性が認識されたことなどもあります。リフォームや長期優良住宅に関する特例は2020年3月31日までの延長となっており、賃貸住宅へ適用することは不可となっています。

譲渡所得税に関する軽減措置

譲渡所得税に関しては、居住用財産の譲渡に関連する次の3つの特例措置が、2019年12月31日まで延長されます。

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まとめ

この記事では、不動産取得税・固定資産税・譲渡所得税の3つの税金に焦点をあて、概要や計算方法、税額軽減措置の実施状況などについて説明してきました。

税金に関することで分からないことがあれば、税理士と連携している不動産会社にご相談ください

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