不動産の消費税還付申告をするなら税務調査を覚悟すべき!その対処法とは

消費税還付申告

「税務調査」と聞くと、ガサ入れのようなことをされて、税金をむしり取られるのではないかと心配する人もいます。税務調査を招きやすい環境はいくつかありますが、不動産事業をしている場合や、消費税還付の申告をした場合には税務調査が入りやすくなります。2つの要素を合わせた「不動産の消費税還付申告」では、かなりの確率で税務調査が入ると考え、できる限りの対処・対策を講じることが大切です。そこで今回は、消費税還付申告に伴う税務調査についてご紹介します。

消費税の還付申請をすると、高確率で税務調査が来る

税務調査
一般の税務調査は、それほど頻繁に行われるものではありません。脱税や申告ミスの可能性が高く、何かしらの証拠を握られているような場合にだけ来るものと考えて良いでしょう。国税庁の実地調査率を参照してみると、平成27年には法人のうちの3.1%、個人のうちの1.1%にしか税務調査は実施されていません。しかし、不動産取引にまつわる消費税の還付申告をした場合、この確率は跳ね上がります

一般の税金申告は、「私はこれだけの税金を払うつもりです」という意思表示です。他方、消費税還付申告は、税務当局に対する返金要求になります。税金を徴収することが仕事の税務当局が、せっかく徴収した税金を返してくれと言われて、すんなり返すことの方が考えにくいものです。そこで、還付が正当なものかどうかを見極め、不要な返金を防ぐ目的で、消費税還付申告に対しては集中的に税務調査を行うようになっているものと考えられます。

ちなみに、平成28年の税制改正後は、消費税の還付申告をしたという事実のみで税務調査の対象とされることが多くなりました。平成28年の税制改正は消費税還付を封じ込めるための改正であったとも言われており、ただでさえ厳しかった税務当局の目が、それ以降は一層厳しくなっているのです。個人であろうと法人であろうと、還付申告した金額が数万円でも数千万円でも、税務調査の対象となる可能性は非常に高いと考えるべきでしょう。もちろん、税務調査が入った=消費税還付が認められない、ということにはなりません。正当な申告であればきちんと還付されます。ただ、不動産の消費税還付申告をするのであれば、税務調査が入ることは重々承知の上で行いましょう

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税務調査の深刻度がうかがえる3大要素

消費税の還付申告による税務調査は、悪意があると疑われてはいないケースがほとんどです。それでも普通の人にとって、税務調査は人生のうちで一度あるかないかの一大イベントですから、否が応でも緊張してしまうのは当然でしょう。以下の3つの要素を考えると税務調査の深刻度、つまり税務当局にとっての重要度を推察することができます

1.調査員の人数

税務調査の第一報は、電話連絡で入ります。その際に、調査は何名で来るのかを尋ねてみましょう。個人の場合はたいてい1名、どんなに多くても2名です。法人でも1名で来ることがありますが、会社の規模によっては複数名になることもあります。調査員の人数が多ければ多いほど、事態は深刻ということになります。多忙を極める税務当局が多くの人員を割いて調査するということは、それだけ調査したい内容が多いということだからです。

2.調査の所要時間

税務調査に要する時間も重要です。個人の場合は2、3時間で終了することも多いので、丸一日かかると言われた場合は何かしらのミスや問題点があったと考えるべきでしょう。法人の場合は、おおむね丸2日間かけて行われます。

3.調査日程の融通が利くか

調査日程は、基本的に税務当局の都合で決められます。しかし重要度の低い事案については、日程や時間帯に融通を利かせてもらえる場合が多いようです。逆に、日程や時間の変更が一切できないと言われたなら、事態はそれなりに深刻と言えます。

「お尋ね」への対応が、税務調査の回避につながることも

税務調査の前段階として、税務署から通知が届くことがあります。「消費税等還付申告の内容についてのお尋ね」というタイトルの書面です。回答書に記入し、必要書類があれば添付して返送するようにと書いてあるはずですので、面倒くさがらずに対応しましょう。この「お尋ね」は、回答する義務があるものではありません。しかし書面にも記載されているように、回答書の提出がない場合は税務調査に入られる可能性が高くなります税務調査を回避できるかもしれませんので、お尋ねが来たら早めに対応しておきましょう。

税務調査当日の対応ポイントは?

税務調査対応
税務調査を受けることが決定してしまうと、何も悪いことをしていなくても身構えてしまうものです。当日の対応はとても重要で、申告通りに還付してもらえるかどうかにも影響します。それでは、自分に有利な結果を導き出すための対応のポイントを考えてみましょう。

1.好感を与える態度で応対する

媚びへつらう必要はありませんが、調査員に対してはできるだけ好感を与えるような態度で接しましょう。例えるならば、仕事上の大切な取引先や、長年お世話になっている恩師を出迎えるようなイメージです。「本日はよろしくお願いいたします」「わざわざご足労いただきありがとうございます」くらいの挨拶はしたいものです。本音としては、やましいことはないのになぜ税務調査を受けなければならないのか、と不愉快に思う気持ちもあるかもしれません。しかし、調査員に対して高圧的に接するべきではありません調査員も人間なので、悪い印象を持った相手には厳しく対応してしまいがちです。

2.協力的な態度を見せる

税務調査では、経理関係の書類やデータの開示を要求されます。求められたものは何でも見せ、必要であればコピーなどを取って渡しましょう。言うまでもなく、開示を拒む態度は怪しまれます。最近では、業務に使用しているパソコンの中身を開示するよう求められる場合もあります。パソコンにはプライベートな情報が入っていることも多いですから、調査員が勝手に操作することはありません。自分で操作し、要求されたデータはすべて見せるようにしましょう。

3.正直に答える

当然ですが、ウソをつかないようにしましょう。1つでもウソがあれば、すべてが台無しになってしまいます。あまり触れられたくない事情だとしても、自分の間違いを認めることになるとしても、包み隠さず本当のことを話して下さい。正直であるのと同時に、分からないことや同意できないことについては、はっきり伝えることも重要です。分からない点を質問されたら適当に答えてしまうのではなく「調べますので少しお時間を下さい」などと切り返すべきです。

また、自分が知らないことや、専門用語が含まれていてよく意味が分からない質問に対していい加減な返事をしてしまうと、後々大変なことになる場合がありますので注意しましょう。時には、調査員が何かを誤解していたり、間違った解釈をすることもあります。協力的で正直な態度は大切ですが、ノーというべきところではしっかりノーと言いましょう。「それは違います。実は・・・」と、温和に丁寧に事実を伝えれば、分かってくれることでしょう。

税務調査前に準備しておきたいポイント

スムーズな税務調査を実現するためには、事前の準備が欠かせません。特に、還付申告した消費税に関係する書類については、出せと言われた時にすぐに出せるようにしておきたいものです。

特に、以下の5つの書類は万全の状態にしておきましょう

・総勘定元帳
・銀行の預金通帳
・請求書・領収書など、取引や経費に関係する資料
・現金出納帳
・不動産の契約書

税務調査には、ある程度のスペースも必要です。所要時間の間、税務調査のためだけに使用できるよう、応接室や会議室のスペースを確保しておくことも忘れないようにしましょう。個人の場合は自分が立ち会うしかありませんが、事業主や法人の場合は、誰が立ち会うのかも決めておかなければなりません。なお、必ずしも社長や代表者が最初から最後まで立ち会う必要はありません。社員や、顧問税理士の立ち合いでも可能とされています。

税務調査で指摘を受けたらどうなる?

税務調査修正申告
もし、税務調査で何かしらの問題点を指摘されてしまったらどうなるのでしょうか。事情によりますが、所定の税額がプラスされてしまいます。平たく言えば、罰金です。

申告済みの消費税や控除額などに間違いがあり、還付金額の修正を指摘された場合には、「過少申告加算税」が科されることになります税率は、新たに納付することになった税額の10%です。

申告漏れなどが指摘された場合は、「無申告加算税」が科される場合もあります。本来納めるべき税額が50万円までの場合は15%、50万円以上の場合は20%が加算されてしまうため注意が必要です。

過少申告加算税や無申告加算税などの罰金が科されるケースで、不正や悪質性があると判断されてしまうと、罰金は最も重い「重加算税」になります。過去5年間にも無申告加算税、または重加算税を科されたことがある場合は、最大で55%の税率になります。

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顧問税理士がいれば税務調査も恐くない?

法人の場合は、顧問税理士を付けていることもあるでしょう。顧問税理士に、税務調査の立ち会いを依頼することも可能です。税務のプロ同士が顔を合わせることになるため、申告者本人が立ち会うよりもスムーズに調査が運ぶことでしょう。ただし、税理士はどんな場合でも申告者の味方をしてくれるわけではありません。例えば、いわゆるグレーゾーンの取引について調査員がクロだと言う時には、その決定を支持しなければならないこともあるでしょう。当たり前ですが、申告者の落ち度があった場合には、罰則や罰金も甘んじて受け入れる必要があります。税理士にできることと、できないことをよく理解し、不相応な期待を寄せないことも大切です。

まとめ

不動産の消費税還付申告をする場合、かなりの確率で税務調査が入ります。今回、不動産の消費税還付申告に伴う税務調査の実態と税務調査の対処法について解説してきました。

不動産の消費税還付申告にお困りの方は、ぜひ税理士と連携している不動産会社にお問い合わせください。

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