マンションの売却相場は築20年でどう変わる?高値で売るコツを解説

マンション売却相場 20年

公益財団法人東日本不動産流通機構の2021年のデータによると、首都圏において築16年~20年の平均成約価格は、4,685万円(平均専有面積/72.80、㎡単価/64.35)となっています。築5年以下の場合の平均成約価格は、6136万円であるので、築年数が経過することで約25%ダウンする計算となります。

では、築年数が経過すると、なぜ平均売却価格は右肩下がりになるのでしょうか?また、築20年のマンションでも高く売れるポイントやコツなども知りたいところです。この記事では、築20年を迎えたマンションの売却相場、築年数ごとに変わる売却相場の変化、高値で売れるポイントやコツなどを紹介していきます。

目次

築20年のマンションの売却相場

まずは、築20年のマンション売却相場です。先ほど、冒頭にて一部紹介したとおりに、2021年の首都圏で中古マンションの平均成約価格は、築16年~20年で4,685万円となっています

築20年ピンポイントでの平均成約価格は出ていませんが、首都圏ではおおよそ4000万円台半ば程度の金額が平均成約価格と言えるでしょう。では、なぜ中古マンションは、築年数経過ごとに平均成約価格が右肩下がりになっていくのでしょうか?

RC造りのマンションの場合、法定の耐用年数は47年とされています。下記の図によると、マンション新築時の価値を100とした場合、その価値は一定の割合にて緩やかに減少しているのが分かり、築20年では新築と比べると価値は約60%となっています。

これにより、築20年のマンション売却相場は、おおよそ新築時の価格に対し60%程度の価格になるのが、一般的な相場であることが分かります。

また、日本国内では依然として築浅物件の人気が高くなっています。新築よりも多少割安で購入できる築浅物件は、若い人を中心に人気が高く、また築浅物件自体が出ることが少ないために比較的高値で売却されるケースが多くなります。

よって、築20年ともなると不動産としての需要や人気が築浅物件よりは下がるため、必然的に売却相場も比例して下がっていきます。

築年数別マンション売却相場

下記は、築年数別のマンション売却相場となります。築年数が経過するごとに、㎡単価が下がっていくことが一目瞭然です。なお、2021年度首都圏の中古マンション成約物件の平均築年数は、22.67年となっています。

(参照)レインズトピック/築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2021年)

マンションの下落率

下記は、マンションの下落率です。築20年では40%減(新築比60%)、築25年で50%減となっているのが分かります。なお、これらは建物が経年劣化することで建物価値が減じていくことを想定して作られたものです。

また、立地やマンション自体の希少性などさまざまな付加価値的な要素により、本来の建物価値下落分をカバーできることがあります。これにより、昨今の中古マンション市場では、新築購入時よりも売値が上がるケースも珍しくありません。

築年数によるの価格低下率

(参照)国土交通省「中古住宅流通、リフォーム市場の現状」

築20年のマンションの売却事情

ここでは、築20年を迎えた中古マンションの売却事情について、下記3つのトピックスを紹介していきます。

売却されたマンションの平均築年数は20年超

先述でも紹介しておりますが、2021年首都圏において売却された中古マンションの平均築年数は、22.67年となります

築20年の中古マンションは、築5年以内の築浅マンションよりも割安なことや、築30年超の築古マンションよりも設備機器が充実し快適性が確保できるケースが多いことから、比較的誰もが手を出しやすい不動産となっています。

なお、築20年のマンションは、内装等のリフォーム工事、給湯器などの設備機器の交換工事が必要になるものの、比較的短期間の工事で済むのもメリットと言えるでしょう。

地域や立地により築20年でも高値で売れるケースはある

地域や立地により、築20年でも高値で売れるケースはあります

例えば、駅直結のマンション、大型商業施設や商店街に隣接する利便性の高いマンション、地域屈指の大型公園に隣接し住環境抜群のマンションなどです。これら建物や土地以外の要素で付加価値が求められるマンションであれば、高値で売れるケースは決して珍しくはありません。

今後もマンション価格は下落傾向、今が一番高く売れる

築20年の中古マンションは、地価高騰や付加価値が付くマンションであること以外、原則そのマンションの価値は緩やかに下がっていきます。よって、中古マンションは、今が一番高く売れる可能性があります

先ほどの築年数別の成約価格の図を見ると、築31年超の物件の平均成約価格2040万円です。この図では築31年以上となっているので、当然に築40年や50年の物件も含まれますが、築20年のマンションよりも更に半分程度の価値になるおそれがあります。

つまり、マンション売却を考えるなら1年でも早く売却するのが、原則得策であると言えます。

築20年でマンションを売却するメリットデメリット

では、築20年でマンションを売却するメリットデメリットとは、どんなことになるのでしょうか?以下に、その特性などを解説していきます。

メリット

まずは、メリットです。以下に3つ紹介します。

  • ①買い手の居住年数が一般的に長い
  • ②比較的需要があり売却はしやすい
  • ③税制の優遇を受けられる

①買い手の居住年数が一般的に長い

一つ目は、買い手が居住できる年数が一般的に長くなることです。

マンションの耐用年数は、法的には47年とされていますが、建物や配管などのメンテナンスをしっかりと行えば法定耐用年数を超えることは容易となります。実際に、1970年代に建てられ、既に築50年を超えるマンション自体は、そこまで珍しいものではありません。

また、最近のマンションでは二重床や二重天井などの構造により、1970年代に造られた建物より遥かにメンテナンス性に富んだものとなっています。さらに、高強度コンクリートにより建物自体を頑丈に造っていることなどから、今後マンション寿命は更に長くなることでしょう。

よって、築20年のマンションを購入したとしても、買い手の居住年数は一般的に長くなります。

②比較的需要があり売却はしやすい

二つ目は、比較的需要があり売却はしやすいことです。

築20年のマンションは、築浅物件に比べると割安でお得感のある物件となります。また、水回りなどのリフォームを行えばマンション自体の快適性などは決して損なわれていません。

さらに、築古物件というイメージはなく、建てられたのが2000年代以降のマンションであるので設備仕様などは充実し、現在でも遜色なく過ごすことができます。よって、築20年のマンションは比較的需要があり、売却もしやすいと言えます。

③税制の優遇を受けられる

三つ目は、税制の優遇を受けられることです。

一般的に、住宅ローン控除や住宅取得資金贈与の特例を受ける場合、マンション(耐火建築物)については築年数が25年以内と決められています。よって、築20年のマンションであれば問題なくこれら優遇を受けることができます。

ただし、中古マンションで住宅ローン控除を受ける場合、現在では築年数要件は撤廃されており、たとえ築40年超の物件でも、以下の要素を満たせばローン控除を受けられます。

  • 住宅性能評価書で耐震等級1以上を取得している
  • 耐震基準適合証明書を取得している
  • 既存住宅売買瑕疵保険に加入している

また、住宅取得資金贈与の特例についても、新耐震基準に適合する証明書を提出できれば築年数要件はなくなります。しかし、これらは建物によっては基準を満たさない可能性もあることから、築20年のマンションであれば問題なくに税制の優遇を受けられます。

デメリット

続いて、デメリットです。

  • ①契約不適合責任を追及されやすい
  • ②月のランニングコストが高くなっており、売りにくいことも
  • ③周辺に築浅物件があると割安感がないと売れない

①契約不適合責任を追及されやすい

一つ目は、契約不適合責任を追及されやすいことです。

契約不適合責任とは、2018年の民法改正により、従来の瑕疵担保責任に代わるものとして施行されました。買主はマンションを購入し引き渡しを受けた後、従来想定した快適性や利便性を損なう事象が起きているときに、売主に異議申し立てができます。その具体的な権利は、修補、代金減額請求、契約解除、損害賠償請求です。

例えば、水回りに水漏れがあった場合、買主は売主に対し修補請求、つまり正常に使える状態に修理してもらえます。また、修補で改善できないような不具合であれば、資産が減じた分を請求する「代金減額請求」、不具合があったことにより生じたことで損害を被った分を請求する「損害賠償請求」、契約自体を解除する「契約解除」が認められています。

このように築年数が経過したマンションは、建物や設備機器などに経年劣化が生じ、日常生活に影響があるような不具合が起きるおそれがあります。よって、中古マンションを買主に引き渡すにあたっては、契約不適合責任を追及されないように予め建物内の状況を把握しておくことが必要です。

このときにおすすめになるのが、住宅診断(インスペクション)となります。住宅診断とは、1級建築士などの建物の専門家が、室内及び床下や天井裏、壁の中などを調査し、建物自体の性能や設備機器などに不具合がないかなどを確認します。

これにより、専門家が指摘した個所を予め不具合箇所として「建物状況報告書」に細かく記載できることで、買主に建物の状態を詳細に伝えられます。また、不具合が酷い箇所については予め是正工事を行えるなど、総じて引き渡し後の契約不適合責任を回避する対策を取れます。

なお、買主が売主に契約不適合責任を申し立てできるのは、引き渡しを受けてから2年間です。ちなみに、買主に責任がある不具合に関しては契約不適合の対象とはなりません。つまり、売主もどのような建物を引き渡したのかを確認する意味でも、住宅診断は重要となります。

②月のランニングコストが高くなっており、売りにくいことも

二つ目は、月のランニングコストが高くなっており、売りにくいこともあります

築20年のマンションでは、修繕積立金が築浅物件よりも上がっていることが殆どです。これは、建物自体は築年数が経過するにつれて様々な箇所に経年劣化が生じているからになります。よって、定期的に補修作業や設備機器の交換工事などがあるため、修繕積立金は高くなっています。

また、築20年だと数年後に大規模修繕工事が控えているケースもあります。マンションの管理組合によっては、大規模修繕に向けて纏まった金額を徴収するケースもあるので、総じて居住後に多額のコストが掛かるケースもあるでしょう。

③周辺に築浅物件があると割安感がないと売れない

三つ目は、周辺に築浅物件がある場合、割安感がないと売れないことです。

日本では、新築や築浅を好む傾向が根強く、築浅物件ほど一般的に人気があります。よって、周辺の築浅の物件が出ている場合には、どうしても価格として比較されることは回避できないことが殆どです。よって、割安感を出さない限り売却が進まないケースもあります。

築20年のマンションが高く売れるポイント4つ

築20年のマンションには、高く売れるポイントがあります。以下に、4つのポイントについて紹介していきます。

  • ①立地や眺望などのロケーションが良い
  • ②部屋が綺麗であるなど、コンディションが良い
  • ③共用部が綺麗であるなど、管理が良い
  • ④大手不動産会社分譲のマンション

①立地や眺望などのロケーションが良い

一つ目は、先述でも触れていますが立地や眺望などのロケーションが良いマンションです。

例えば、駅直結のタワーマンション、乗降客や乗り換え路線が多い駅の徒歩5分圏内などマンションならではの好立地、若しくは富士山や夜景が綺麗に見えるなど眺望の良いマンションであれば、高く売れる可能性は十分あります。これは、マンションを購入する人の多くは、立地且つ眺望を重視している人が多いからです。

よって、このようなニーズを満たすマンションは需要が落ちることはまずないため、資産性が維持しやすく高く売れる可能性があります。

②部屋が綺麗であるなど、コンディションが良い

二つ目は、部屋が綺麗であるなど、総じて部屋内のコンディションが良いことになります。

これはマンション以外でも、一般的に中古で売られているもの全般に言えることで、やはり中古でも綺麗な状態の物件が人気は高く、高値でも売れていきます。マンションでも同様に、築20年を感じさせないような綺麗な部屋内であれば、売却は比較的容易であり高値売却も追及できます。

一方で、クロスが剥がれていること、建具などにキズや汚れが多いなど、総じて部屋内のコンディションが悪い場合、買主は数千万円のお金を出して購入したいとは思いません。このようなことからも勘案すると、部屋が綺麗な状態であることは重要となってきます。

③共用部が綺麗であるなど、管理が良い

三つ目は、共用部が綺麗であるなど管理が良いことです。

そのマンションの管理の良さは、集合ポストや駐輪場、ゴミ置き場を見れば分かります。仮に管理が行き届いたマンションであれば、このような共用部は綺麗な状態に保たれています。

このように、共用部が綺麗であるなど管理が行き届いたマンションは、建物自体の資産性維持に大きく寄与できます。よって、内見で訪れた人の印象が良くなるため、少々高値でも売却できる可能性があります。

④大手不動産会社分譲のマンション

最後は、大手不動産会社分譲のマンションであることです。

三井不動産、野村不動産、三菱地所など、不動産業界では名だたる大手である会社が建てたマンションは、一般的に安心と信頼性が高く人気があります。よって、このようなマンションを査定に出すと、他の不動産会社が建てたマンションより、査定金額が上がることが多くあります。

つまり、築20年であったとしても、このような大手不動産会社が建てたマンションには、総じて付加価値があるため、高値で売れる可能性が高くなります。

築20年のマンションを少しでも高く売るための工夫5つ

築20年のマンションでも、先述のようなロケーションや部屋の維持管理をしっかりと行うことで、高値で売れる可能性があることがわかりました。ここでは、これらを踏まえて更に少しでも高く売るための工夫について、以下5つの項目を紹介していきます。

  • ①予め周辺相場を調査しておく
  • ②査定は複数社に依頼する
  • ③売却する時期を繁忙期にする
  • ④周辺相場や市場を理解し、売却実績が多くある不動産会社を選ぶ
  • ⑤内見時はハウスクリーニングを入れる

①予め周辺相場を調査しておく

一つ目は、予め周辺相場を調査しておくことです。

周辺相場を調査しておくことで、おおよその売却できそうな金額帯を掴むことができ、査定を受けたときに提示された金額の善し悪しを判断できます。なお、周辺相場を調査するには、下記方法があります。

  • レインズマーケットインフォメーションを利用する
  • 土地総合情報システムを利用する
  • 一括査定サイトのツールを活用する

レインズマーケットインフォメーションと土地総合情報システムは、誰でも無料で閲覧でき過去の売却事例を調査できます。これらは住所の特定はできませんが、おおよその地域に於いての過去の売却金額や売却件数などを確認します。

また、レインズマーケットインフォメーション内には、過去の売却事例を集計したツールが公開されており、売却金額などの傾向を見ることもできます。

次に、一部一括査定サイト内には、現在売り出しされている物件情報を元に、売却相場を見られるツールがあります。都道府県や市町村などを選択することで、今売り出しているマンションの売却相場を確認できます。

このように予め周辺相場を調査しておくことで、現在の市場価格のなかで最も高値圏の価格設定ができることから、少しでも高く売ることを追及できます。

②査定は複数社に依頼する

二つ目は、査定は複数社に依頼することです。

査定を複数社に依頼することで、市場価格に応じた相場観をより掴みやすくなります。不動産会社毎に見解の違いは多少あるものの、殆どの不動産会社が売却事例比較法を用いて机上査定を算出するため、自らで調査したものより情報としてはより精度の高いものとなります。

また、複数社に依頼することで、仮に偏った評価の査定の場合にその不動産会社を排除できます。よって、査定は3社以上に依頼するのが良く、一般的には一括査定サイトの利用がおすすめになります。

③売却する時期を繁忙期にする

三つ目は、売却する時期を繁忙期に合わせることです。

不動産の繁忙期とは、一般的に3月から4月ごろの春先、若しくは10月~11月の秋口になります。特に3月~4月は、職場の転勤などにより春から新生活を始める人が多く、住宅に対する需要が一年で最も旺盛になる時期です。よって、これら繁忙期は買主候補となる人が多く、好立地ほど物件自体の引き合いが強く、買主間で競争が起きることもあります。

つまり、繁忙期に売却することで高値且つ早期売却の可能性が高いことから、繁忙期直前に売り出しを始めるのがおすすめとなります。具体的には、春先の繁忙期であれば買主が不動産を検討し始めるのは2月頃からになります。よって、2月上旬には売り出しをしておきたいところです。

④周辺相場や市場を理解し、売却実績が多くある不動産会社を選ぶ

四つ目は、周辺相場や市場を理解し、売却実績がある不動産会社を選ぶことです。

売却事例比較法を用いた机上査定は、売却実績がない若しくは周辺の市場に詳しくない不動産会社でも算出できます。よって、このような不動産会社に売却依頼すると実績が乏しいだけに、売却活動に行き詰った場合に大幅な値下げを提案されるなど、総じて売主的には損が大きくなる可能性があります。

つまり、売却活動を依頼する不動産会社は、周辺で売却実績が豊富にあり周辺相場や市場の特性をよく理解しているところがおすすめです。このあたりは、査定報告時に売却完了までのストーリーや売却活動に於いての具体的な戦略などを立てているかを質問するなどし、確認してみましょう。

⑤内見時はハウスクリーニングを入れる

最後に、内見時にはハウスクリーニングを入れ、綺麗な状態で見せることです。

マンション売却に於いて内見は、内見者が購入か否かを決める大事なポイントとなります。よって、部屋内は綺麗な状態で見せることが必須です。自らで掃除するのもよいのですが水回りなどに頑固な汚れがある場合には、なかなか素人で綺麗にすることは難しくなります。

このようなときには、ハウスクリーニング業者に綺麗に掃除してもらうことがおすすめです。ハウスクリーニングを入れることで、築年数の経過を感じさせないほどの綺麗な状態になれば、内見者への印象は大変良いものとなり、商談が進む可能性が高まります。

また、ハウスクリーニング以外には、部屋内の電気を全て点灯し、明るい状態で見せることもおすすめです。明るい状態の部屋を内見者が見ることで、暗い部屋を見たときよりも印象が良くなります。

つまり、ハウスクリーニング及び部屋を明るく見せることで内見者への印象が良くなり、少しでも高値で売却できる可能性を追及できます。

築20年のマンションを売却して後悔している人の共通点

これまで築20年のマンションを売却した人のなかには、売却して後悔している人も多いようです。ここでは、築20年のマンションを売却し後悔している人の共通点を紹介していきます。

  • ①安く売却し過ぎてしまった
  • ②売却前にリフォームしてしまった
  • ③売却の流れなどを理解しないまま、不動産会社任せで売却してしまった
  • ④査定を1社のみにしてしまった

①安く売却し過ぎてしまった

一つ目は、安く売却しすぎてしまったことです。

築20年のマンションは、売却に苦労すると勝手に思い込み、興味を示した買主の大幅な値引き要求に応じてしまったなどになります。

実際、築20年のマンションにも一定の需要があります。売れるか売れないか、どの程度の金額で売れそうかなどは、自らで周辺相場を調査することや、一括査定サイトを利用し実際の相場を予め掴んでおけば、このような事態は回避できます。

②売却前にリフォームしてしまった

二つ目は、売却前にリフォームしてしまったことです。

中古マンションは、築浅ほど人気があり綺麗な状態であれば高値売却の可能性があるとお伝えしてきました。しかし、リフォームすることは全く別の話しです。

確かに築20年のマンションは、一般的に内装等に傷みがある場合が多くあります。よって、リフォームし綺麗な状態にすれば高く売れると思う人も多いでしょう。しかし、リフォーム費用は安くても数百万程度掛かり、その費用を売却価格に上乗せすると相場よりも高値になるおそれがあります。

また、リフォーム工事で行う内装には個人の好みがあり、さらに築20年程度のマンションを購入する人は、自分好みの内装に仕上げたいという目的で割安な中古マンションを購入するケースが多くあります。

つまり、リフォームすることで相場より高くなること、築20年のマンションを求める人のニーズから外れるおそれがあるため、売却が余計に進まない可能性があります。以上の要因から、売却前のリフォームは行わないほうがよい、ということになります。

③売却の流れなどを理解しないまま、不動産会社任せで売却してしまった

三つ目は、売却の流れなどを理解しないまま、不動産会社任せで売却してしまったことです。

不動産会社にとって都合が良いのは、売却に関して一切口出ししない売主になります。買主は不動産会社に売却自体をほぼ丸投げすることで、不動産会社の都合で売却が進むおそれがあります。これにより「囲い込み」に合うことがあり、売却機会の損失から結果的に損してしまいます。

よって、中古マンション売却時には予め売却の流れを理解し、売却が進まなければ疑問に思い、不動産会社に売却活動の確認や状況を改善する策を自らで講じていく(不動産会社の変更や買取に切り替えるなど)必要があります。

④査定を1社のみにしてしまった

最後は、査定を1社のみにしてしまったことです。

査定は何社とっても一緒、複数社に査定依頼することに煩わしさを感じてしまった場合に査定を1社のみにしてしまうケースがあります。

しかし、査定を1社にすることで、その査定額が本来の市場価格に則ったものであるかの判断はしづらくなります。よって、査定は少なくとも3社以上に依頼し、不動産会社毎に微妙に異なる見解の違いなどを見ておくことが必要です。

まとめ

築20年のマンション売却相場は、2021年の場合の首都圏でおおよそ4000万円台半ばとなっています。また、新築時からの下落率は概ね40%(新築比60%)です。

なお、築20年の中古マンションは、築浅マンションより割安で築古マンションより快適性が高いので一定の需要があります。売却時には予め周辺相場の調査や複数社に査定を依頼し、売却したことでのちに後悔のないようにしていきましょう。

「マンション売却相場20年」に関してよくある質問

築20年のマンション売却相場はどのくらいになるのか?

公益財団法人東日本不動産流通機構の2021年のデータによると、首都圏において築16年~20年の平均成約価格は、4,685万円(平均専有面積/72.80、㎡単価/64.35)となります。築20年ピンポイントのデータではありませんが、概ね4000万円台半ばと言っても良いでしょう。

築20年のマンションの下落率はどのくらいになるのか?

国土交通省が提供する「中古住宅流通、リフォーム市場の現状」によると、新築時を100とした場合、築20年経過時のマンションの価値は、概ね40%の下落(新築比60%)となります。

マンションが築年数経過毎に価値が減少していく理由は何か?

まずは、マンション自体の法定耐用年数が47年となっており、減価償却により建物価値は法的に減少していくと考えられるからです。もう一つは、需要的な部分になります。日本国内では依然として築浅物件に人気があり、築年数経過毎に需要は徐々に減少していきます。このようなマンション自体の需要減に比例して、価値は下がっていきます。以上、二つの要素により築年数が経過すると価値が減少するのが一般的となります。

築20年のマンションが高く売れるポイントとは何か?

築20年のマンションが高く売れるポイントは、下記になります。
・立地や眺望などのロケーションが良い
・部屋が綺麗であるなど、コンディションが良い
・共用部が綺麗であるなど、管理が良い
・大手不動産会社分譲のマンション

築20年のマンションを少しでも高く売るための工夫とは何か?

以下に、少しでも高く売るための工夫について紹介します。
・予め周辺相場を調査しておく
・査定は複数社に依頼する
・売却する時期を繁忙期にする
・周辺相場や市場を理解し、売却実績が多くある不動産会社を選ぶ
・内見時はハウスクリーニングを入れる

最終更新日:
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