アパート経営の利回りは?最低ラインや計算方法を解説

アパート経営 利回り

アパート経営では、利回りを計算して投資対効果を確認しますが、実際「どのくらい利回りがあれば儲かるのか?」と疑問に思う人も多いのではないでしょうか。

利回りには、表面利回り・想定利回り・実質利回りの3種類があります。

アパート経営では維持コストや空室リスクを計算に含めている実質利回りを重視するべきです。

アパート経営の実質利回りは、最低ラインが3%程度、一般的な目安は5%、理想的には7〜8%あるとよいですが、地域や物件の種類などによって差があるので不動産会社に相談してみると良いでしょう。

この記事では、アパート経営の利回りについて、表面利回り・想定利回り・実質利回りの違いや計算方法を解説します。

アパート経営における利回りの最低ラインや一般的なライン、地域別の平均相場もわかるので、ぜひ参考にしてみてください。

アパート経営の利回り最低ラインは3%程度

地域や物件によって異なりますが、新築・中古を含めたアパート経営の利回りは最低ラインが3%程度で、一般的な実質利回りでも5%程度が平均といわれています。

新築アパートは建築費などの出費が大きいため利回りが低く、中古アパートは購入費用が安いので利回りが高くなる傾向にあります。

不動産投資情報サイトの調査によれば、新築アパートの表面利回りは全国平均が8.06%、東京都は7.56%という結果で、地価の高い地域ほど利回りが低いです。

中古アパートの表面利回りは築10年以下で6%程度、築10~20年で7%程度、築20年以上で10%前後程度とされており、築年数が古いほど高くなる傾向にあります。

新築アパートは毎年0.5〜1%ほど家賃が下がるリスクを加味して、実質利回りが7〜8%はある状態が理想的です。

利回りの高い物件は基本的に築古が多いので、不動産投資会社と相談しながら市場に埋もれている良い物件を探すとよいでしょう。

参照:不動産投資と収益物件の情報サイト 健美家 ( けんびや )「収益物件 市場動向 四半期レポート 2023年4月~6月期」

アパート経営の利回り計算方法

利回りとは「投資額に対してどの程度の利益が得られるのか?」を表す指数です。

不動産投資の場合は表面利回り・想定利回り・実質利回りの3種類があり、それぞれ以下の方法で計算します。

種類 計算式
表面利回り 年間賃料収入÷投資額×100(%)
想定利回り 年間賃料収入÷投資額×100(%)
※満室の場合で計算
実質利回り (年間賃料収入-年間経費)÷投資額×100(%)

それぞれの利回りは年間の賃料収入を投資額で割る点は同じですが、表面利回りは経費、想定利回りは経費と空室リスクが考慮されていません。

そのため、実質利回りとの差が生じやすくなっています。

より現実に即した経営をするため、不動産投資においては実質利回りを重視することをおすすめします。

しかし、経費や入居率は実際にアパート経営を始めないとわからないため、物件情報には表面利回りや想定利回りしか掲載されていないケースも多いです。

表面利回り 想定利回り 実質利回り
経費 考慮していない 考慮していない 考慮している
利回りの高さ 実際より高すぎる 実際よりやや高い 実際に近い数値
物件情報への記載 記載されている 記載されている 記載されていない

この項目では、3種類ある利回りの違いや計算方法を解説します。

表面利回り

表面利回りとは、物件の購入価格に対する年間の家賃収入を示す数値です。

表面利回りは、以下の計算式で求められます。

年間家賃収入÷物件価格×100(%)

大抵の物件情報には表面利回りが掲載されています。

計算しやすく大体の収益を簡単に確認できますが、アパート経営を始めないと具体的な経費を把握できません。

膨大なデータから物件情報を絞り込む際には表面利回りが便利ですが、実際のアパート経営には固定資産税や修繕費など経費がかかります。

表面利回りはコストを考慮していない分、実際よりも数値が高くなりやすいため、表面利回りだけで物件を決めないようにしましょう。

想定利回り

想定利回りとは、賃貸物件が満室の場合における物件の購入価格に対する年間家賃収入の割合を示す数値です。

想定利回りの計算式は、以下のとおりです。

満室の場合の年間家賃収入÷物件価格×100(%)

わかりやすくいうと「そのアパートで最大どれだけ利益が上げられるか?」という指標です。

空室リスクが考慮されていないので実際の利回りとは差が生じやすくなっています。

想定利回りは、入居率のわからない新築物件の収益性を試算する際に使う数値です。

不動産投資会社の見積もりでは想定利回りを提示されるケースが多いです。

先述したとおり、想定利回りは空室リスクや維持コストが考慮されておらず、実際の利回りとは異なる場合が多いので、アパート経営においては実質利回りを重視しましょう。

実質利回り

実質利回りとは、物件の購入価格に対して年間の家賃収入から経費を差し引いた、実質的な収益の割合を示す数値です。

実質利回りは、以下の計算式で求められます。

(年間家賃収入-維持コスト)÷(物件価格+購入時コスト)×100(%)

実際のアパート経営には電気代や管理費などの経費が必要ですが、表面利回りや想定利回りは経費を計算に含めていないので、現実的な数値とはいえません。

表面利回りや想定利回りと異なり、実質利回りは経費を考慮した現実的な収益を算出できるため、アパート経営のシミュレーションでは実質利回りを重視するべきです。

物件情報には表面利回りが表示されていることが多いため、賃貸物件の利回りを調べる際は「どの利回りを指しているのか?」を必ず確認しましょう。

アパート経営の利回りに影響を与える要因

アパート経営の利回りは、以下の要因に応じて変動します。

家賃や敷金などの収入が多く費用が少ないいほど、利回りは高くなります。

この項目では、アパート経営の利回りに影響する要因をみていきましょう。

家賃とその他の収入

アパート経営をおこなう場合、家賃だけでなく以下4種類の収入が得られます。

種類 金額の目安
家賃 物件による
管理費・共益費 家賃の5〜10%程度
礼金 家賃の1〜2ヶ月分
更新料 家賃の1〜2ヶ月分

上記のうち、家賃と管理費・共益費は毎月定期的に入りますが、礼金と更新料は賃貸借契約の締結や更新時などの不定期に得られる収入である点に注意が必要です。

管理費・共益費とは、賃貸物件の運営や維持のために入居者から受け取る費用で、金額は家賃の5~10%程度が相場とされています。

礼金は賃貸物件の入居時に借主が貸主へお礼の意味で支払う金銭で、金額は家賃の1〜2ヶ月分が相場ですが、礼金無料で入居者募集をおこなう場合は受け取れません。

賃貸物件の契約期間は2年程度なので、入居者が契約更新をおこなう場合、手続きに対する手間賃として、家賃1〜2ヶ月分程度の更新料を受け取れます。

例えば、家賃5万円の賃貸アパートの場合、その他の収入は以下のとおりです。

種類 金額の目安
管理費・共益費 2,500~5,000円程度
礼金 5万円~10万円程度
更新料 5万円~10万円程度

アパート経営の収益は家賃収入が大半であり、その他の収入は副次的なものなので、利回りを上げるには家賃収入を増やすことが大切です。

入居時に敷金を受け取るケースもありますが、これは一時的に預かる費用であり、退去時の原状回復に用いた後、余った敷金は借主に返還されるので収入には含めません。

初期費用

アパート経営を始める際、次のような初期費用を支払わなければなりません。

種類 金額の目安
土地購入費 物件による
物件価格 物件による
建築費
(60坪の場合)
3,360万円~4,380万円程度
(木造)
4,980万円~6,480万円程度
(軽量・重量鉄骨造)
4,980万円~6,480万円程度
(鉄筋コンクリート造)
5,760万円~7,500万円程度
(鉄骨鉄筋コンクリート造)
外構や駐車場の整備費 7万5,000円〜18万円程度
仲介手数料 購入価格×3%+6万円+消費税
登録免許税 1,000円
(不動産1件につき)
不動産取得税 物件の課税標準額×税率(3%~4%)
印紙税 200円〜60万円
(不動産の売買価格による)
ローン手数料 借入額の1~3%程度
(金融機関による)
司法書士の手数料 1万円~10万円程度
(司法書士による)


※=上記は一例です。条件によって異なります。

アパート経営の初期費用に大きく影響するのは「土地を所有しているか?新たに購入するか?」と「新築物件か?中古物件か?」の2点です。

土地を所有している場合は購入費用が浮くため、立地にもよりますがアパート経営にかかる初期費用が数百万円〜数千万円単位で安くなります。

また、アパート経営を始める際は建物の取得費もかかります。

しかし、中古物件を購入すれば新築物件よりも初期費用を抑えられる可能性が高いです。

中古アパートは価格は物件ごとに大きなばらつきがあります。

立地の悪い築古物件は安く購入できますが、都心の築浅物件などは高額なので初期費用が増えてしまいます。

また、あまり知られていませんが、水道を新しく引く際には10万〜15万円程度の水道加入金なども必要なので、詳細は不動産投資会社に確認しましょう。

参照:国土交通省「建築着工統計調査報告」
参照:神奈川県「給水装置工事申し込みに係る『水道利用加入金』及び『審査、検査手数料』について」

維持費・固定費

アパート経営を始めた後も、以下のような維持費・固定費が継続的に発生します。

種類 金額の目安
固定資産税 課税標準額×1.4%
都市計画税 課税標準額×0.3%
火災保険料 2万〜3万円(1年あたり)
管理費・清掃費 家賃の5%程度
修繕積立金 7〜52万円(1戸あたり)
不動産会社へ支払う費用 家賃収入の5%程度
ローン(金利) 1.2%~4.5%程度


※=上記は一例です。条件によって異なります。

上記の費用は必ずしもすべてかかる訳ではありません。

火災保険や管理会社などはオーナーが任意で加入するものなので、費用が発生しないケースもあります。

とはいえ、物件で火事が起きた際の補償や管理の手間を考えると、火災保険や管理会社に加入しておくほうがよいでしょう。

アパート経営では、固定資産税と都市計画税を毎年支払う必要がありますが、一定要件を満たせば、住宅用地の軽減措置を用いて節税できます。

その他の費用は加入する保険や管理会社、借入先のローンなどによって異なるので、維持費・固定費を抑えたい人は金額の低いものを選択するとよいでしょう。

参照:国土交通省「民間賃貸住宅の計画修繕ガイドブック」

土地の有無での利回りの違い

アパート経営の利回りは「土地を既に所有しているか?新しく土地を購入するか?」によって大きく異なります。

土地の有無 利回りの目安
土地を所有している 年間賃料収入÷建築費
土地を所有していない 年間賃料収入÷(土地価格+建築費)

土地を所有している場合は購入費用を負担せずに済み、高い利回りが期待できるのでアパート経営において有利です。

土地を所有していない場合、建物の建築費に加えて土地の購入費用も負担しなけれなばらず、アパート経営の利回りが低くなります。

この項目では、土地の有無によるアパート経営の利回りを解説します。

地主(土地あり)の場合

地主の場合は土地を購入する必要がなく、基本的には建物の建築費だけでアパート経営を始められるので、高い利回りが期待できます。

既に土地を所有していれば、以下の工事費や諸費用でアパート経営を始められます。

費用 解説
本体工事費 基礎・土台・内装・外装・屋根・設備など
別途工事費 外構・配線・排水など
諸経費 手数料・税金など

国土交通省のデータによれば、木造アパートの建築費は1坪あたり56万~73万円程度、鉄筋コンクリート造で1坪あたり83万~108万円程度になります。

アパート経営をする場合の面積は60坪以上が望ましいとされているので、木造アパートで3,360万円〜4,380万円程度、鉄筋コンクリート造で4,980万円〜6,480万円ほど必要です。

アパート経営の利回りを上げたい場合は、工事費を安く抑えられる大手ハウスメーカーの規格アパートがおすすめです。

構造や場所によってアパートの建築費は変わるため、正確な費用を知りたい場合は不動産会社に見積もりを出してもらいましょう。

参照:国土交通省「建築着工統計調査報告」

土地の購入から行う場合

地主でない人がアパート経営を始める場合、建物の建築費に加えて土地の購入費用も負担する必要があるため、利回りが低くなります。

国土交通省発表の公示地価によると、日本全国の地価は1坪あたり平均80万2,286円で、都道府県別にみると東京都の1坪あたり383万3,617円が1番高いです。

アパート経営に60坪の土地が必要だとして、土地の購入費用は全国平均でも4,800万円程度、東京都なら土地だけで約2億3,000万円もかかってしまいます。

土地の価格は地域によって異なりますが、地主の場合に比べて数千万円〜数億円も初期費用が増えてしまい、アパート経営の利回りが低くなる点に注意しましょう。

参照:国土交通省「地価公示」

新築と中古の利回りの違い

新築アパートと中古アパートでは、以下のように利回りが違います。

物件 利回りの目安
新築アパート 8%以上
中古アパート 7%程度
(築10年以下)
7~8%程度
(築10~20年)
10%前後
(築20年以上)

築年数の古い物件ほど安く取得できるので、基本的には初期費用の安い中古アパートは新築アパートよりも利回りが高いです。

ただし、築10年以下の中古アパートは新築アパートより利回りが低いケースもあるため注意が必要です。

この項目では、新築アパートと中古アパートの利回りをそれぞれ解説します。

新築アパートの利回り

新築アパートは中古アパートよりも利回りが低く、8%以上が理想とされています。

なぜなら、仮に同じ構造や面積のアパートを取得する場合、基本的に新築物件は中古物件よりも初期費用が高額になるからです。

一方、新築アパートは売却時の価値が高く、金融機関側のリスクが少ないと判断されるため、中古物件よりも不動産投資ローンの審査に通過しやすいです。

新築アパートは中古アパートのような修繕が必要ないので、表面利回りと実質利回りに差が生まれにくいといえます。

中古アパートの利回り

中古アパートは新築アパートよりも安価で取得できるので、利回りが高い傾向にあります。

目安としては、築10年以下で6%程度、築10~20年で7%程度、築20年以上で10%前後とされており、古い中古アパートほど安く取得できるので、高い利回りが期待できます。

一方、古い中古アパートは修繕やリフォームが必要となり、リフォーム費用などの維持コストがかかるので、表面利回りと実質利回りに差が生じやすいです。

中古アパートは担保としての価値が低いため、金融機関からの融資が受けにくく、金利が高くなったり融資期間が短くなったりする恐れもあります。

中古アパートは入居率が低い傾向にあり、空室が増えると利回りも下がってしまうので、新築アパートよりも慎重に物件選びをおこないましょう。

利回りの地域別の平均相場

不動産投資情報サイトが全国にあるアパートの表面利回りを調査したデータによれば、以下のようにアパートの利回りは地域によって平均相場が異なります。

地域 利回り 価格 築年数
全国平均 8.06%
(平均)
7,935万円 22.2年
6.36%
(築10年未満)
7.35%
(築10年〜20年)
9.39%
(築20年超)
北海道 11.26%
(平均)
4,725万円 28.9年
8.62%
(築10年未満)
8.06%
(築10年〜20年)
12.40%
(築20年超)
東北 11.81%
(平均)
4,927万円 25.4年
8.04%
(築10年未満)
9.40%
(築10年〜20年)
13.34%
(築20年超)
首都圏 7.56%
(平均)
8,517万円 21.7年
6.28%
(築10年未満)
6.95%
(築10年〜20年)
8.63%
(築20年超)
信州・北陸 12.44%
(平均)
4,735万円 24.6年
7.17%
(築10年未満)
10.49%
(築10年〜20年)
14.75%
(築20年超)
東海 9.16%
(平均)
6,124万円 20.1年
6.74%
(築10年未満)
8.37%
(築10年〜20年)
11.18%
(築20年超)
関西 8.88%
(平均)
6,671万円 24.2年
6.37%
(築10年未満)
7.85%
(築10年〜20年)
11.19%
(築20年超)
中国・四国 11.17%
(平均)
5,236円 26.5年
6.63%
(築10年未満)
8.94%
(築10年〜20年)
12.83%
(築20年超)
九州・沖縄 9.06%
(平均)
6,353万円 23.0年
6.72%
(築10年未満)
7.68%
(築10年〜20年)
10.86%
(築20年超)

※2023年4月〜6月のデータ
※=表面利回りで算出

アパート経営においては、地方にある物件のほうが利回りは高く、都心部の物件は利回りが低くなる傾向にあります。

どの地域においても、築年数の古いアパートは利回りが高く、築年数の新しい物件ほど利回りが低くなる点は共通しています。

立地によってはアパート経営の利回りが伸び悩む場合もありますが、地域差によるところが大きいといえます。

利回りが地域別の平均相場を上回ることを1つの目安としてもよいでしょう。

参照:不動産投資と収益物件の情報サイト 健美家 ( けんびや )「 収益物件 市場動向 四半期レポート 2023年4月~6月期」

アパート経営の利回りを高めるコツ

アパート経営の利回りを高めるには、以下のコツを実践しましょう。

賃貸アパートの利回りを高めるには、良い立地や不動産会社を選んで入居率を上げたり、リフォームや修繕を施して入居率や家賃を上げたりする方法が有効です。

一方、支出を減らすほど利回りが高くなるので、新築アパートの場合は建築業者を比較して、初期費用を抑えることをおすすめします。

この項目では、アパート経営の利回りを高めるコツを解説します。

建築業者を比較する

アパート経営の利回りを高めるには初期費用を抑える方法が有効なので、建築業者を比較しましょう。

アパートを建てる場合の建築業者は大きく分けて3種類あり、それぞれメリット・デメリットが異なります。

建築業者 メリット デメリット
ハウスメーカー ・ブランド力がある
・取扱い商品が多い
・大手の安心感がある
・施工から管理まで依頼できる
・品質管理と工期の短縮できる
・モデルルームがある
・アフターサービスが充実している
・広告費などを含むため建築費が高め
・設計の自由度が低い
工務店 ・小さい要望にも対応できる
・地域の事情などを把握している
・コストが低く済む傾向にある
・ブランド力が弱い
・選択できるプランが少ない
・設計は設計事務所に依頼する場合がある
設計事務所 ・土地にあった適切な提案ができる
・設計力やデザイン力がある
・工期が長い
・設計事務所のコンセプトを勧められる場合がある

初めてアパート経営をおこなう場合、建物の建築だけでなく管理も任せられて、保証やアフターサービスも充実しているハウスメーカーがおすすめです。

建築業者から提案された金額やプランの良し悪しを自身で判断できない場合は、不動産会社に相談してアドバイスをもらうとよいでしょう。

立地にこだわる

入居率や家賃は利回りに直結するため、良い立地でアパート経営を始めましょう。

以下のような立地であれば、アパート経営に適しています。

  • 面積が60坪以上の土地
  • 形状が整っている土地
  • 東西に間口が長い土地
  • 駅から徒歩10分圏内の土地
  • 住宅街の中にある静かな土地
  • 周辺にコンビニやスーパーがある土地

アパートを建てるなら面積は60坪以上が望ましいとされており、この場合は1戸あたり25㎡程度の1Kタイプが8戸ある2階建てアパートを建てられます。

車移動が多い郊外の場合、駐車場つきのアパートを建てるには80坪以上が望ましく、一般的には敷地面積が80~100坪程度のアパートが多いとされています。

駅や商業施設などに近い便利な立地ほど入居者が集まりやすく、徒歩1分は距離として80m程度なので、駅から800m以内のアパートが好ましいです。

とはいえ、単身者とファミリーでは人気の高い立地は異なるため、不動産会社のアドバイスを受けながらアパートの立地やターゲットを見極める必要があります。

以下のような立地はアパート経営に向いていないので、別の土地活用をおすすめします。

  • 風俗店やパチンコ店などに近い土地
  • マンションが建てられる土地
  • 面積が300坪以上の広すぎる土地

適切なリフォームや修繕で家賃下落を抑える

家賃の下落を抑えるには、必要に応じてアパートのリフォームや修繕を実施しましょう。

入居者の多くは綺麗な物件に住みたいと考えています。

そのため、建物が劣化するほどアパートの入居率は下がりやすく、家賃を下げざるを得ないケースも多いです。

リフォームをおこなうタイミングとしては、室内設備の耐用年数を迎える築年数10年前後がひとつの目安で、遅くても築年数が20年を迎えることには実施するべきです。

一時的にキャッシュフローは悪化しますが、長期的に見れば利回りの上昇が期待できます。

不動産会社と相談して必要最低限のリフォームや修繕を施すとよいでしょう。

良い不動産投資会社を見つける

アパート経営の利回りを高めるには、良い物件・不動産投資会社を選ぶことが大切です。

アパート経営は投資額が大きく投資期間も長いので、パートナーである不動産投資会社選びで失敗してしまうと、取り返しのつかないことになる恐れがあります。

例えば、赤字のアパートを長期間にわたって保有させられたり、ローン返済ができなくなって自宅まで失うなど、不動産投資で失敗してしまうケースも存在します。

その反対に、良い不動産投資会社であれば、アパートに空室が出た際に広告出稿やリフォームなどをおこない、入居率を上げて利回りを高められます。

良い不動産投資会社を見つけるコツは、以下のとおりです。

  • 顧客目線で考えてくれる
  • リスクも説明してくれる
  • 赤字のシミュレーションもしてくれる
  • 赤字の際に物件の売却先がある
  • 不動産業界の歴が長い
  • さまざまな金融機関と提携している
  • 管理・アフターフォローが充実している

不動産投資会社の良し悪しは、実際に担当者と話をしないと判断できない部分も多いので、さまざまな業者の無料相談を受けてみることをおすすめします。

>>土地活用に関する無料相談はこちら

利回りを見積る際に考慮したいこと

アパート経営の利回りを見積もる際は、以下の点を考慮しましょう。

アパート経営は順調に行くとは限らず、空室を抱えるリスクや維持管理のコストもかかるので、それらを考慮した上で実質利回りを見積もる必要があります。

また、アパートの築年数が古くなると、家賃が下がったり金利が上昇したりするリスクもある上、建物の老朽化に伴い修繕費のかかるケースもあるため注意が必要です。

この項目では、アパート経営の利回りを見積る際に考慮することを解説します。

実質利回り

アパート経営においては表面利回りや想定利回りではなく、実際の収益に近い実質利回りで計算しましょう。

表面利回りや想定利回りは空室リスクや維持管理コストが考慮されておらず、膨大なデータから物件情報を絞り込む際に用いる数値で、正確な見積もりには向いていません。

実際のアパート経営は満室になるとは限らず、税金や保険料、修繕費や管理費、ローンの支払いなどの出費もあるため、それらを加味した実質利回りで計算する必要があります。

不動産会社の広告などは表面利回りが掲載されている場合が多く、一見すると利回りが高いように見えますが、実際の実質利回りは低い可能性もあるため注意が必要です。

実質利回りで見ると数値は低くなりますが、より現実的なシミュレーションがおこなえるので、アパート経営で失敗に陥る可能性を減らせます。

空室リスク

アパート経営は常に満室とは限らないため、空室が発生するリスクも加味して実質利回りを計算しましょう。

想定利回りは満室を想定して計算しますが、実際のアパート経営では満室になるとは限らないため、空室率を想定して家賃収入を計算するべきです。

アパート経営の空室率は、以下の式で計算します。

種類 計算式
特定の時点での空室率 空室部屋数÷総戸数
年間の空室率 (空室数×空室期間)÷(全体の室数×365日)

総務省のデータによれば、賃貸物件の空室率は全国平均で21.4%です。

とはいえ、空室率は実際にアパート経営を始めてみないとわからない部分が多く、似たようなエリア・築年数・間取りでも、空室が多い物件と入居率の高い物件が存在します。

アパートの空室率は専門家でないと予測が難しいため、不動産会社に相談して周辺地域の動向や過去のデータなどからシミュレーションしてもらいましょう。

参照:総務省統計局「平成30年住宅・土地統計調査 特別集計」

家賃下落

どのようなアパートも経年劣化するため、築年数が古くなるほど入居者が集まりにくく、家賃が下落していく点も考慮しましょう。

なぜなら、経年劣化でアパート自体の価値が下がることに加えて、新たな賃貸物件が増えれば、競争が生まれて家賃相場が下落するリスクもあるからです。

総務省の調査によると、アパートの家賃下落率は年1%が平均とされており、家賃10万円の新築物件でも10年後には家賃9万円まで下落することが想定されます。

築年数の新しいアパートほど家賃が下落しやすいですが、築20年程度で家賃の下落も落ち着くため、利回りを見積る際は20年後の家賃も想定しておきましょう。

築年数 家賃下落率
築3年~10年 家賃下落率が大きい
築10年超~20年 家賃下落率が落ち着く
築20年超 家賃下落率が安定する

参照:総務省統計局「消費者物価指数に関する検討資料について」
参照:三井住友トラスト基礎研究所「経年劣化が住宅賃料に与える影響とその理由」

金利上昇

金融機関から融資を受けてアパートを取得する場合、返済方法によっては将来的にローンの金利が上昇するリスクを考慮する必要があります。

ローンの返済方法は固定金利型と変動金利型の2種類ですが、変動金利型は定期的に金利の見直しがおこなわれるため、金利が上昇するリスクがあります。

アパートを取得する際のローンは元々の借入額が大きく、0.1%金利が上昇するだけで出費が増えて利回りも下がってしまう点に注意が必要です。

ローンの金利は基本的に下がらないものと考えておき、金利が上がっても支払えるように余裕のある返済計画を建てておきましょう。

修繕費

アパート経営を続けると、建物や設備が経年劣化して修繕やリフォームが必要になるので、将来的な修繕費・リフォーム費用を見積もりに含めましょう。

目安としては、アパートのエアコンや内装などは5年に1回のペース、外壁や水回りなどは10年に1回のペースで修繕やリフォームが必要です。

金額的には、エアコンや内装などの軽いメンテナンスで数十万円、外壁や水回りなどの大規模なメンテナンスは数百万円単位の費用がかかります。

特に中古物件は築年数が経過しており、近いうちに修繕やリフォームが必要となる可能性が高いため、修繕費やリフォーム費用を加味して利回りを考える必要があります。

大規模修繕費用を用意するには、毎月の家賃収入から5%程度を積み立てしておき、実質利回りの計算でも支出として計上しましょう。

利回り以外の大切なこと

アパート経営において利回りは大切ですが、あくまで指標のひとつに過ぎません。

利回りだけでなく、アパート経営では以下の点も大切にする必要があります。

  • 立地
  • 空室リスク
  • 家賃相場
  • 金利と利回りの差
  • 経費を差し引いた手残り
  • 物件の管理
  • 入居者トラブル対策
  • 売却時の価値
  • 建物の解体費用

利回りは物件価格・家賃収入・維持コストの3点のみで算出しているので、仮にアパート経営をやめる場合における物件の売却価格や建物の解体費用などは考慮されていません。

アパート経営をおこなう場合でも、副業で不動産投資をおこなう人は本業で忙しいので、利回りだけでなく管理の手間や労力も考える必要があります。

このように、アパート経営では現時点の利回りだけに執着せず、中長期的に考えて利益を出せる最善な方法を考えましょう。

その他の土地活用の利回り

アパート経営以外の土地活用方法と、利回りの目安は以下のとおりです。

方法 利回りの相場
駐車場 5〜15%程度
コインラインドリー 8〜12%程度
トランクルーム 15〜25%程度

不動産投資で高い利回りを目指すには、アパート経営だけに選択肢を絞らず、さまざまな土地活用方法を比較・検討することが大切です。

例えば、駅から遠い立地でアパートを経営しようと考えても、家賃を安く設定せざるを得ない上に入居率も低くなりやすいため、成功する可能性は低いでしょう。

アクセスの悪い立地であれば、アパート経営ではなく駐車場経営を選択するほうが高い利回りが期待できるなど、所有する土地によって最適な活用方法は異なります。

この項目では、アパート経営以外の土地活用と利回りを解説します。

駐車場

駐車場経営をおこなう場合、一般的に5〜15%程度の利回りが期待できます。

駐車場経営はアパート経営よりも初期費用を抑えられる点がメリットで、簡易的な月極駐車場であれば土地の整地にかかる費用だけで始められます。

車を1台止めるために必要なスペースは15㎡程度なので、アパート経営には向かない狭小地や変形地で土地活用ができる点もメリットです。

駐車場経営はゴミ拾い・除草程度の管理で済むため、アパート経営に比べて管理の手間がかからないメリットもあります。

駐車場経営はアパート経営に比べると収益性が低いですが、不動産投資のリスクを抑えたい人や管理に手間をかけたくない人におすすめです。

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コインラインドリー

コインランドリー経営をおこなう場合、一般的な利回りは8〜12%程度が目安です。

セルフサービスが基本のコインランドリーは無人でも営業できるため、清掃・集金などを自分で対応できる場合であれば、ほとんど人件費がかかりません。

コインラインドリー経営も洗濯機・乾燥機・監視カメラ・プレハブ小屋などの設備導入費が必要ですが、アパート経営に比べれば初期費用を安く抑えられます。

駐車場のないコインランドリーなら最小5坪ほどの面積で十分なので、アパート経営には向かない狭い土地で不動産投資ができる点もメリットです。

コインランドリーの稼働率は立地に左右されやすいですが、住宅街やスーパーに近い土地であれば高い利回りが期待できるのでおすすめです。

トランクルーム

トランクルームとして貸し出す場合、一般的に15〜25%程度の利回りが期待できます。

トランクルームには、ビルやマンションなどの建物にパーテーションを設置する屋内型と、屋外の土地にコンテナを設置する屋外型の2種類があります。

屋内型のトランクルームは、空室が埋まらない賃貸物件や築年数が経過して賃料の値下げを迫られているビルなどの活用方法として効果的です。

特に管理の手間がかからず、アパート経営に比べると大規模な工事や初期費用が必要ないので、ハードルが低い点が大きなメリットです。

半径2km以内にオフィス街や集合住宅があれば、収納スペースが不足している人からの需要が多いので、トランクルーム経営で高い利回りが期待できます。

とはいえ、立地や周辺環境によってトランクルームの利回りは異なるので、不動産会社に利回りを予測してもらい「どの土地活用が向いているのか?」を判断しましょう。

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まとめ

アパート経営の利回りの目安は、実質利回りで最低ラインが3%、一般的な目安が5%、将来的に家賃が下落する点を加味すると7〜8%以上が理想的とされています。

新築アパートより中古アパートのほうが有利で、築10年以下で6%程度、築10~20年で7%、築20年以上で10%前後と築年数が古いほど利回りが高いです。

アパート経営は順調にいくとは限らないため、どのような物件・戦略を選ぶ場合でも、利回りは低めに見積もっておき、少しでも収益を高める努力をすることが大切です。

アパート経営の利回りを良くするには、物件と不動産投資会社の選び方が大切なので、まずは無料相談を利用してアドバイスをもらうとよいでしょう。

アパート経営に関するよくある質問

アパート経営の利回りはいくらくらいですか?

地域の家賃相場などの条件で変動しますが、新築・中古を含めたアパート経営の利回りは最低ラインが3%程度で、一般的な実質利回りでも5%程度が平均とされています。

アパート経営はどのくらい儲かりますか?

国税庁の調査によれば、アパート経営者の平均年収は540万円です。

アパート経営は新築と中古どちらのほうが儲かりますか?

条件によりますが、初期費用の安い中古アパートのほうが儲かる可能性が高いです。築年数が古いアパートほど安く購入できるので、利回りが高くなる傾向にあります。

アパート経営は都心と地方どちらのほうが儲かりますか?

条件によりますが、地方のほうが物件を安く購入できるので、儲かる可能性が高いです。不動産投資情報サイトの調査によれば、首都圏にあるアパートの利回りは平均7.56%ですが、北海道にあるアパートの利回りは平均11.26%です。

アパート経営では、どの利回りを参考にするべきですか?

経費や空室リスクも考慮されている実質利回りを参考にしましょう。

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