マンション売却と築年数の関係とは?売り時や高く売るコツなども解説

マンション 築年数 価値

マンションの売却を検討している人のなかには、所有する物件の築年数だとどの程度の価値があるのかを気にしている人もいるでしょう。

売却価値を決定する一つの要素であるため、マンションの売却では築年数を把握することが重要です。そのうえで、築年数に適した売り時や売り方を実践することで、希望条件でのマンション売却を期待できます。

当記事では、マンション売却と築年数の関係性や売り時、高く売るためのコツを解説していきます。また、築年数に応じた価格の目安も紹介するため、マンションの売却を検討している場合は参考にしてみてください。

中古マンションの需要は増加傾向にある

不動産流通機構が運営しているREINSの「首都圏中古マンション・中古戸建住宅 地域別・築年帯別成約状況」をみると、首都圏の中古マンションの成約率が増加の傾向にあります。とくに築20年超のマンションはほかの築年数の物件よりも成約件数が多い結果が出ています。

この背景には、昨今の景気や新築マンションの平均価格の上昇があると考えられます。景気や価格の上昇によって新築よりも中古マンションの購入を検討する人が増えていることが予測可能です。

一般的に、新築でなくても状態がきれいで価格が下がっている段階の中古マンションであれば需要が多いといえます。このような物件を所有していれば、売却のタイミングと成約価格の相場を把握したうえで売却の戦略を練ることで、中古マンションであっても売却を期待できます。

マンション売却における築年数と資産価値

マンションのような不動産は、築年数に応じて資産価値が変動するのが一般的です。築年数の経過に比例して、マンションの資産価値は落ちていきます。


引用:国土交通省「中古住宅流通、リフォーム市場の現状

国土交通省が公表する「中古住宅流通、リフォーム市場の現状」をみると、中古マンションの場合は築年数がかさむにつれて資産価値も下がることがわかります。たとえば、築20年のマンションであれば、資産価値が約半分まで落ちています。

また、一般的な鉄筋コンクリートマンションの法定耐用年数は47年といわれており、築年数が47年を超えると建物部分の価値はほぼ無くなるとされています。そのため、耐用年数(減価償却年数)が比較的長いマンションでも、築50年を超えた物件は土地のみの価値で売却することも考えられるのです。

マンション売却に適した築年数の目安

マンションの売却価格は、原則物件の所有者が決定できます。

築年数に応じた売却価格でなければ、買い手がつきづらいことも想定されます。そのため、築年数が新しいからといって、マンションが必ず売れるとは限りません。

売却価格を設定する際は、マンションの築年数を考慮することが重要です。不動産流通機構が運営しているコンピュータネットワークシステムの「REINS」では、首都圏にある中古マンションの築年数に応じた成約価格や件数が公表されています。

築年数 成約件数 成約価格
5年まで 693件 6,704万円
10年まで 1,306件 6,304万円
15年まで 1,048件 5,765万円
20年まで 1,267件 5,318万円
25年まで 1,055件 4,648万円
30年まで 757件 3,374万円
30年超 2,922件 2,318万円

参照:REINS「首都圏中古マンション・中古戸建住宅 地域別・築年帯別成約状況【2023年1~3月】

上記のデータをみると、首都圏では築年数が10年刻みで成約率が高まる傾向があるとわかります。これは築年数が10年ごとに売却価格が下がりやすくなることが理由だと考えられるため、物件の売り手にとっては「比較的売れやすいが高値で売れない可能性がある」とも言い換えられます。

また、REINSのデータからは、築5年までのマンションが最も成約件数が低い結果が見て取れます。そのため、新築のマンションだと築古の物件よりも売れづらい可能性があるのです。

なお、新築マンションの売却を検討している場合は下記の記事を参考にしてみてください。

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築年数6~10年が最も売り時といえる

REINSで公表されているデータでは、築5年までと築10年までの中古マンション(首都圏)の成約に関して下記のように公表されています。

築年数 成約件数 成約価格
5年まで 693件 6,704万円
10年まで 1,306件 6,304万円

参照:REINS「首都圏中古マンション・中古戸建住宅 地域別・築年帯別成約状況【2023年1~3月】

築10年までのマンションは、築5年までの物件よりも倍近くの成約件数がありますが、成約価格の下落は400万円程度と少ない結果が出ています。そのため、築6年~10年のマンションであれば、売却価格を大幅に下げずに売買契約が成立する可能性があるといえるのです。

当然築10年超の物件も売れる可能性はありますが、データを参考にすれば築年数6年~10年が中古マンションの売り時といえるでしょう。

築5年未満の築浅物件は新築に近い価格で売れることもある

築年数が浅いマンションであれば、内装や外観、設備などが新築物件とほぼ変わらないよい状態であると考えられます。この場合、築年数が浅いマンションは売れづらい傾向にあると説明しましたが、一方で新築物件に近い価格で売却できる可能性があるのです。

ただし、新築の価格を超えた金額での売却は難しいうえに、競合となる物件の数も多いため、高値で売却活動をすると購入希望者がつきづらくなることが考えられます。

立地などの条件がよいマンションであれば高値で売却できる可能性もありますが、築5年未満の築浅物件はスピード感を持って売却活動を行なうのが大切です。

築年数が古いマンションを売却する際の注意点は?

一般的に、築年数が20年以上のマンションは築古の物件とされています。築古のマンションを売却する場合、下記のような注意点があります。

  • 設備の不具合が出てくるタイミングである
  • 築25年超は住宅ローン控除が利用できない

築年数が古いマンションを売却する場合は、これらの注意点を踏まえて売却活動を行なうようにしましょう。

設備の不具合が出てくるタイミングである

築年数がかさめばかさむほど、マンション設備に不具合が生じる可能性が高まります。築年数が古いマンションであれば、設備の不具合が出ている、もしくは近いうちに不具合が出ることも考えられます。

マンションを売却する場合、売り手には物件の設備の状態などを買い手に説明する義務があります。また、マンションの売買契約が成立した後、物件の売り手は契約不適合責任と呼ばれる責任を負わなければなりません。

マンション売買における契約不適合責任とは、契約内容に適合しない引き渡しが行われた場合、売り手が負担する責任のことです。

たとえば、マンションの引き渡し後に設備の不具合が発覚した場合、売り手は何かしらの責任を取らなければなりません。この場合、一般的に買い手は補修にかかる費用や損害賠償を売り手に請求できます。

そのため、「売却できないリスクを考慮して設備の不具合は伝えない」のように考えてマンションを売却すると、補修にかかる費用などを負担しなくてはならないこともあるのです。

築年数が古いマンションを売却する場合、事前に設備の不具合を確認しておくことが重要です。

なお、マンションの売買契約では、通常の契約内容とは別に特約を設定することもできます。築古のマンションの場合は設備の不具合が起こりやすいため、「設備に関しては契約不適合責任は負わないものとする」といった特約を定めることも可能です。

とはいえ、売り手が設備の不具合を知っていたにもかかわらず買い手に伝えなかった場合、契約不適合責任を免責することはできません。

築年数が古いマンションを売却する場合、まずは設備の不具合を確認して、不具合があれば売り手に伝えたうえで特約を設定するようにしましょう。

築25年超は住宅ローン控除が利用できない

住宅ローンを利用してマンションを購入する場合、一定の条件を満たせば節税対策として住宅ローン控除が適用されます。

住宅ローン控除の適用要件にはさまざまな項目がありますが、なかには築年数に関する要件が定められています。

家屋が建築された日からその取得の日までの期間が20年(マンションなどの耐火建築物(注4)の建物の場合には25年)以下であること。
出典:国税庁「No.1214 中古住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)」

マンションは耐火建築物に該当するため、住宅ローン控除を受けるには原則築25年以下の物件である必要があります。築25年超のマンションの場合、基本的に購入者には住宅ローン控除が適用されません。

控除が適用されずに買い手がつきづらくなるため、築25年超のマンションは売れづらいといえるのです。

築年数が古いマンションを売却する場合、築年数が25年を超える前に売却することを検討してみてください。

築年数ごとのマンション売却のコツ

マンションの売却には、築年数に応じて売却のコツがあります。築年数に応じた売却のコツをまとめましたので、マンション売却を考えている場合は参考にしてみてください。

築年数 売却のコツ
築5年未満 買い手に売却理由を正直に伝える
築6〜10年 物件の綺麗さをアピールする
築20年 市場よりも安めの価格設定にする
築30年超 安全性をアピールする
築50年超 賃貸してから売る

基本的にマンションは築年数が経過するごとに資産価値が落ちるため、売却を検討している場合は早めの行動が大切になります。マンション売却を考えている場合は、所有する物件の築年数に応じた売却のコツを実践してみてください。

築5年未満のマンションは売却理由を正直に伝える

築年数が浅いマンションの場合、買い手のなかには「新しい物件なのになぜ売るのだろう」と気にする人もいる可能性があります。このように考える人に対して売却の理由を明確に伝えなければ、購入を敬遠されてしまう原因になりえます。

購入を敬遠されないためにも、築5年未満の比較的新しいマンションを売る場合、購入希望者に売却に至った理由を正直に伝えることが大切です。売却理由を伝えるのに気が引けるような事情がある場合、まずは不動産会社の担当者に相談するようにしてみてください。

なお、マンションの売却にかかる税金(譲渡所得税の税率)は、築年数によって変わります。築5年を超えている場合は税率が下がるため、築5年のマンションであれば節税対策として築6年になってから売却活動を始めるのも一つの手です。

築5年のマンションを所有している場合、築6年になるまで待つべきかを不動産会社の担当者に相談をしたうえで、よりお得に売却ができる方法を見極めるようにするとよいでしょう。

築6〜10年のマンションは物件の綺麗さをアピールしよう

築6年〜10年のマンションの場合、新築とほぼ変わらないのに低価格であることが購入者の期待している点になると考えられます。そのため、マンションの状態が綺麗であればあるほど、購入希望者の目に留まりやすくなります。

「築年数が比較的浅いのに価格が安い」と思ってもらえる価格を設定するのも重要ですが、マンションの綺麗さをアピールすることも大切な戦略です。

需要が高く競合も多い年数の物件であるため、不動産一括査定で売却価格の相場を調べてから、買い手にとって好条件で売却活動を行なうとよいでしょう。

なお、不動産一括査定をする際は、所要時間2分で無料査定ができる「不動産売却査定」を活用してみてください。

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築20年のマンションは市場よりも安めの価格設定にする

築20年のマンションは設備の不具合などが買い手に危惧されやすくなります。市場の相場よりも安めの価格設定が築20年のマンションを売るための対策となります。

市場の相場を調べる方法としては、不動産一括査定が挙げられます。不動産一括査定により複数の不動産会社に査定をしてもらえば、所有するマンションの相場感を把握することが可能です。

不動産一括査定をする際は、所要時間2分で無料査定ができる「不動産売却査定」を活用してみるとよいでしょう。

なお、設備の不具合や物件の瑕疵(キズや欠損など)を事前に解消しておくことは、買い手に購入を敬遠されないための対策となります。

また、大規模修繕はリフォームと同様に物件の資産価値が上がる要因にもなるため、築20年のマンションを売る場合、可能な限り物件の修繕をしたうえで売却活動を進めるとよいでしょう。

築30年超のマンションは安全性のアピールをしよう

築年数がかさめばかさむほど、買い手にマンションの安全性を不安視される可能性が高まります。そのため、築年数が30年を超えたマンションであれば、設備の老朽化や物件自体のキズなどの問題を事前に解消しておくことが重要です。

また、耐震基準を満たしているかを危惧される可能性もあるため、基準に適合していることを買い手に伝えることもアピール方法の一つとなります。

なお、築30年超のマンションを売却する場合は、瑕疵担保保険を付保することも重要です。

瑕疵担保保険(かしたんぽほけん)とは、物件の引き渡し後に欠陥が見つかった際、補修にかかる費用が事業者に支払われる保険のことです。正式には「住宅瑕疵担保責任保険」といいます。

補修費用が事業者に支払われる保険であるため、万が一欠損が見つかっても買い手が費用を負担せずに補修が可能です。

さらに、築25年超のマンションの場合は住宅ローン控除が原則適用されませんが、瑕疵担保保険に加入している物件であれば例外的に控除対象となります。

つまり、瑕疵担保保険に加入している物件であれば、「住宅ローンの控除を利用して物件を購入できる」「万が一欠陥が見つかっても補修費用がかからない」とアピールして買い手を募れるのです。

瑕疵担保保険に加入するには、マンションが下記に該当している必要があります。

  • 新耐震基準に適合した(1981年(昭和56年)6月1日以降に建築確認を受けた)住宅であること
  • インスペクション(既存住宅状況調査)に合格していること

参照:住宅瑕疵担保責任保険協会 公式サイト

不動産会社によっては、インスペクションや瑕疵担保保険の付保の無料サービスを行っている業者もあります。不動産会社を選ぶ際には、これらのサービスを実施している業者を探すのもよいでしょう。

築50年のマンションは賃貸してから売る

築50年を超えているマンションだと、築浅物件よりも買い手がつきづらい傾向があります。立地などの条件がよい物件でなければ、買い手がつかずに売れない状態が続くことも考えられます。

そのため、居住用としてではなく、賃貸物件として売り出すのも一つの手です。毎月一定の収入を得られる収益物件であれば、築50年を超えているマンションにも需要があると考えられます。

ただし、物件の状態によってはフルリフォームが必要になることも考えられます。また、築50年を超えている物件の場合はターゲット層の設定や売り出し方などの戦略が重要になるため、マンションの売却にノウハウのある不動産会社を選ぶのも大切です。

不動産会社を選ぶ際は、築古物件を専門とする業者に査定を依頼してみることも検討してみてください。

築年数が古くても買い手が付きやすいマンションの特徴

築年数が古いマンションであっても、買い手がつかないとは限りません。下記のようなマンションであれば、築年数にかかわらず買い手がつくことも考えられます。

  • 市場相場よりも価格が安い
  • 補修がされているため、内装や外観、設備などが新しい
  • 瑕疵担保保険などの保険に入っている
  • 安全性が担保されている
  • 収益物件として活用できる
  • フルリフォームや大規模修繕がされている

築年数が古いマンションで買い手が危惧することには、経年劣化による不具合、安全性などが挙げられます。そのため、不具合の補修や耐震基準の適合などをアピールすることが大切です。

そして、価格の安さや収益物件として活用可能な点もアピールポイントになります。マンションを売却する場合、所有する物件の特徴を洗い出しておき、アピールポイントとして宣伝するとよいでしょう。

まとめ

マンションの資産価値は築年数がかさむにつれて下落します。築6年〜10年程度のマンションであれば売り時のよい物件といえますが、築古の物件であっても宣伝方法次第で売却を期待できます。

マンションを売る場合、築年数だけでなく、物件のよさをアピールすることが重要です。

なお、マンション売却を依頼する不動産会社を探す際は、高い査定額を提示してもらえた業者に依頼するのが得策です。依頼する不動産会社を探す際は、所要時間2分で無料査定ができる「不動産売却査定」を活用してみてください。

最終更新日:
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