4000万で買った家はいくらで売れる?高額売却の方法と注意点

4000万 で 買った家 いくらで売れる

新築住宅は土地・価格あわせて4,000万円程度が一般的な相場ですが、売却するときは新築価格で売れることはほぼありません。建物の経年劣化は避けられないため、築年数に応じて売却価格も下がります。

売却を検討しているオーナーとしては、実際にいくらで売れるのか気になるところだと思います。

最終的な売却価格は売り出してみないとわかりませんが、築年数に応じた低下率から、おおまかな予想は可能です。この記事では、目安として築年数ごとのシミュレーションを解説していきます。

ただし、家の価格は細かい違いによって大きく変動するため、より正確に調べるには不動産会社の査定が必要です。

一括査定を利用すれば、各社の査定額を比較することで価格相場を把握できます。条件の良い業者が見つかればそのまま売却を依頼できるので、ぜひ活用してみましょう。

「4,000万で買った家」の売り出し価格は築年数を基準に決めよう

家の売却価格は、基本的に建物の築年数を基準にします。それぞれの物件がもつ特徴にもよりますが、築年数が古いほど安くなるのが原則です。

値下がりするのは建物部分で、経年劣化による資産価値の低下が主な原因となります。また、減価償却で使われる「法定耐用年数」も、売買価格に影響します。

減価償却・法定耐用年数とは?
「減価償却」は経年劣化による価値の減少を計算する税制上の手続きのこと、「法定耐用年数」は減価償却をするときに使われる使用可能期間のことを指す。法定耐用年数が10年であれば1年ごとに資産価値を減じ、10年でゼロになるよう計算する。
あくまで税制上の期限であり物理的な耐久期限とは異なるが、法定耐用年数に比例して値下がりするのが不動産市場の慣習となっている。

一方、土地は建物と比べ価格が安定しており、年数が経っても大きく変動することはあまりありません。地域の開発状況に大きな変化でもない限り、購入当時とそれほど価格は変わらないでしょう。

したがって、家の売却価格は「建物の価値がどれほど下がったのか」が焦点となります。

築年別の価格目安

築年別の価格低下率を示す目安として、国土交通省が作成した下記のグラフがあります。

築年数によるの価格低下率

画像引用:国土交通省「中古住宅流通、リフォーム市場の現状」

このグラフをもとに、4,000万円で買った家がどのように値下がりしていくのか分析していきましょう。

なお、シミュレーションにあたっては、価格における土地と建物の比率を決めなければいけません。一般的には土地と建物が3:7、もしくは4:6となっているケースが多いため、ここでは4:6と仮定します。

つまり、土地が1,600万円、建物が2,400万円という条件で、建物がどれほど値下がりしていくのか計算していきます。

【築0~5年】3,800万円~3,400万円程度が目安

築0~5年の場合、資産価値はそれほど低下せず、築浅物件として高い需要が見込めます。国土交通省の試算では築5年時点で約25%ほど下がっているので、計算式は次のようになります。

建物2,400万円-25%+土地1,600万円=3,400万円

ここで注意したいのが、築0年(1年未満)で売却するケースです。一度も使用していないなら新築価格で売れますが、短期間でも入居していると値下がりする可能性があります。

なぜなら、新築の定義は法律で「築年数1年未満」かつ「一度もひとが入居していない」と定められているため、一時的にでも人が住んでいれば中古となってしまうからです。

この法律において「新築住宅」とは、新たに建設された住宅で、まだ人の居住の用に供したことのないもの(建設工事の完了の日から起算して一年を経過したものを除く。)をいう。

引用:e-Govポータル「住宅の品質確保の促進等に関する法律 第2条第2項」

新築でなくなると、新築住宅の10年保証がなくなったり、住宅ローン控除額の控除期間が減ったりと、実利的なマイナス要因も発生します。

新築住宅の10年保証
新築住宅の販売業者は、建物の基本構造部分(屋根・柱など)について、10年間の保証が義務付けられている。しかし、10年以内に所有者が家を売却すると保証は原則解除され、買主側が保証を引き続き受けるには「転売特約のついた保証であること」と「販売業者から承諾を得られること」が必要。

ただし、引き継ぎできない場合でも「既存住宅売買瑕疵保険」という保険を新たに利用することはできる。

住宅ローン控除額の上限
新築物件は最大13年間の控除を受けられる一方、中古物件は10年間までとなる。

これらのことから、築0年でも中古物件になると資産価値が下がり、売却価格も10%ほど値下がりするのが一般的です。

【築6~10年】3,400万円~2,800万円程度が目安

築6~10年の場合、一般的には築浅と呼べなくなりますが、中古住宅としてはまだまだ需要が見込めます。築10年時点で建物価格は50%ほど下がり、計算式は次の通りです。

建物2,400万円-50%+土地1,600万円=2,800万円

なお、築10年ごろは建物が劣化し始める時期で、点検・補修をすべき最初のタイミングです。家の構造や建材にもよりますが、メンテナンスに100万円以上かかる場合もあります。

築10年前後で売る場合、その費用分を価格から差し引くか、あるいはメンテナンスを施してから売るのかといった判断が必要となります。実際の劣化具合によるので、詳しくは不動産会社に相談してみましょう。

一方、早め(築6~8年ごろ)に売ればメンテナンスは不要になることが多いので、費用を浮かせて売却することが可能です。

【築11~15年】2,800万円~2,200万円程度が目安

築11~15年になると建物の劣化具合も目立つようになり、建物価格も原価より大きく下がります。築15年で建物価格の低下率は約75%となり、計算式にあてはめると次の通りです。

建物2,400万円-75%+土地1,600万円=2,200万円

この時期に売る場合、見た目の印象が成約率に大きく影響します。外壁塗装や壁紙の張替えで見た目をきれいにすれば、買い手を見つけやすくなるでしょう。

【築16~20年】2,200万円~1,960万円程度が目安

築16~20年は、法定耐用年数が間近に迫っていることや、メンテナンスに高額の費用がかかることから、売却もむずかしくなってきます。建物価格の低下率は、築20年でおよそ85%です。

建物2,400万円-85%+土地1,600万円=1,960万円

このあたりの築年数になると、リフォームを施しているかどうかで売却価格が変わります。リフォームをすれば資産価値の低下を抑えられるので、想定より高く売れる場合もあるでしょう。

ただし、大規模なリフォームだと数百万円はかかるため、費用対効果について事前に不動産会社と相談することが大切です。

【築21~25年以降】1,960万円~1,600万円程度が目安

築21~25年以降は法定耐用年数も過ぎており、建物の価値はゼロと考えるのが基本です。築古の建物があることで買い手がつかず、解体して更地にしなければ売れないケースもあります。

ただし、実際の取引では必ずゼロになるとも限らず、数百万円程度の価値がつく場合もあります。立地や管理状態など、個々の状況によって売れやすさは変わるでしょう。

底値の状態なので地価が変わらない限り価格も変動しませんが、空き家として放置していると建物が急速に劣化していきます。

倒壊事故などで近隣から損害賠償を請求されるケースもあるので、早めに処分するか、適切な管理を続けるようにしましょう。

価格の低下率は「土地建物比率」も重要

ここまでのシミュレーションはすべて土地4:建物6で計算しましたが、実際の価格比率は物件ごとに異なります。

地域による違いも大きく、地価の高い都市圏ほど土地比率が、地価の安い地方ほど建物比率が高くなる傾向です。

下記は、フラット35で土地付注文住宅を購入した人が、土地と建物にそれぞれどれくらいお金をかけたかをまとめたグラフです。地域によって比率に大きな差があるとわかります。


参照:住宅金融支援機構「フラット35利用者調査 2021年度集計表」

仮に土地3:建物7の比率だと、築5年の試算は「建物2,800万円-25%+土地1,200万円=3,000万円」となり、土地4:建物6のときより400万円も安くなります。

つまり、建物比率が高くなりがちな地方だと、家の価格低下も急速に進んでいくということです。地方にある家ほど、なるべく早く売ることが高額売却につながるといえます。

「4,000万で買った家」の適正価格を正確に調べる方法

築年数ごとの価格をシミュレーションしましたが、これらはあくまで平均的な目安です。実際の売却価格は、物件の特徴や地域の不動産需要にも大きな影響を受けます。

そのため、より正確に価格を知りたいときは、次の方法で調べるようにしましょう。

  • 複数の不動産会社に査定してもらう
  • 近隣の不動産相場を調べる
  • 似た物件で過去に成約した売買事例を調べる

これらの方法を使えば、適正価格でスムーズに売却できるようになります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

複数の不動産会社に査定してもらう

家の価格を調べるもっとも確実な方法は、不動産会社の査定を受けることです。家を売買するプロとして、専門的な知識にもとづいて価格を算出してもらえます。

ただし、不動産会社によって営業力や判断基準に違いがあるため、同じ物件でも査定額が異なる場合もあります。そのため、なるべく多くの査定額を調べることが大切です。

そこでおすすめなのが「一括査定サイト」で、複数の不動産会社にまとめて査定を出せるため手軽に各社を比較できます。提携業者はサイト側で厳選しているので、優良業者が揃っているのも嬉しいメリットです。

近隣の不動産相場を調べる

不動産会社に頼らず自分で調べたいときは、近隣の不動産相場を調べるとよいでしょう。具体的には、現在売りに出されている物件から、平均的な相場を計算する方法です。

不動産ポータルサイトを使えば地域ごとの売り物件を検索できるので、立地や面積など条件の近い物件を探し、いくらぐらいで売り出されているかチェックします。

ただし、売り出し価格は買主からの価格交渉を考慮して10~20%ほど高値に設定するのが一般的なので注意しましょう。

また、使っている建材や売り出す時期など、細かい条件の違いも価格に影響するため、自分で調べる方法はあくまで参考程度に考えておきましょう。

似た物件で過去に成約した売買事例を調べる

過去に成約した売買事例から似た物件を探すことで、価格相場を把握する方法もあります。

具体的には、国土交通省の「不動産取引価格情報検索」や不動産流通機構の「REINS Market Information」で成約事例を調べます。

「最終的に成立した価格」が調べることで、売り出し中物件を見るより正確に相場を把握できるでしょう。

ただし、上記のサイトはすべての取引事例を保存しているわけではないので、似た物件の取引事例が存在しない場合もあります。

不動産ポータルサイトを使って調べる方法と同じく、あくまで参考程度の調べ方であると考えましょう。

「4,000万で買った家」をなるべく高く売る方法

4,000万円の家をなるべく高く売る方法として、次の5つがあげられます。

  • 築年数が浅いうちに売り出す
  • 物件と相性の良い不動産会社を選ぶ
  • 価格交渉を考慮して価格を設定する
  • 清掃や補修をおこなう
  • 余裕のある売却スケジュールを立てる

上記の方法を押さえれば、高額かつスムーズな売却も可能です。それぞれ詳しく見ていきましょう。

築年数が浅いうちに売り出す

この記事のシミュレーションでもわかる通り、築年数が浅いほど売却価格は高くなります。築10年程度なら買い手も見つけやすいので、短期間での売却も可能です。

なるべく早く売れば家の維持・管理にかかるコストを抑えることもできるので、価格の高さ以上に金銭的な恩恵を受けられます。

ただし、近隣で大規模な都市開発や大型商業施設の開業が計画されている場合など、地価が大きく高騰する可能性があれば、しばらく様子見をするのもよいでしょう。

物件と相性の良い不動産会社を選ぶ

不動産会社は、各社で得意な物件や地域が異なります。培ってきた知識や経験、顧客ネットワークなどによって、それぞれの業者に違った特徴が生まれるためです。

有名な大手業者だからといって高く売れるとは限らず、地元密着型の中小業者のほうが高く売れるケースも少なくありません。

そのため、査定を申し込む際は1社だけで判断せず、なるべく多くの業者を比較しましょう。査定額だけでなく他の売却条件や担当者の接客態度などを見て、相性の良い不動産会社を選ぶことが大切です。

価格交渉を考慮して価格を設定する

不動産取引では買主から値下げを求められることが多く、売り出し価格が低すぎるとさらに安く買われてしまう場合があります。

価格交渉で買い叩かれてしまわないよう、希望の売却価格から10~20%高値で売り出してみましょう。最終的な価格は同じでも、「交渉で値下げした」という事実が買主にお得感を与えられます。

交渉がなく、そのまま売却できれば売却益を増やせるので、高値で売りたいときはぜひ高めの価格設定を検討してみましょう。

清掃や補修をおこなう

中古住宅の売却は、見た目の印象が成約率に大きく影響します。適切に管理され、きれいな状態を保っていれば、高値の価格設定でも売却しやすくなります。

浴室やトイレなど水回りの掃除はとくに重要なので、汚れがひどい場合はプロのハウスクリーニングも検討してみましょう。10万円程度かかりますが、それ以上に売却価格を上げられる可能性もあります。

また、外壁の汚れや床の傷みなど、細かい部分の補修も可能な範囲でおこなうのがおすすめです。家全体のリフォームだと数百万円かかりますが、ポイントを絞れば20~30万程度に抑えられます。

ハウスクリーニングも補修工事も、まずは業者に見積りを依頼し、具体的な価格を調べることが大切です。必要な費用を正確に把握し、計画的に売却活動を進めましょう。

余裕のある売却スケジュールを立てる

家を売るとき、期間は約3ヶ月ほどかかるのが一般的です。しかし、立地や築年数によっては半年、あるいは1年以上かかる場合もあります。

焦って早く売ろうとすると、大幅に値下げしたり、大掛かりなリフォームをおこなってしまったりする場合があるため、余裕のある売却スケジュールを立てることが大切です。

余裕をもって売却にあたることで冷静な判断が可能になり、損失を生むような判断ミスを防げます。なるべく高く売るのであれば、心にゆとりをもって売却活動にあたりましょう。

「4,000万で買った家」を売るときに失敗しないための注意点

家を売るときに失敗しないためには、次の3点に注意することが大切です。

  • 査定額だけで不動産会社を選ばない
  • 値下げしすぎない
  • 相性が悪い業者・担当者なら変更する

これらの注意点を押さえれば、売却で後悔するようなことは起こらないでしょう。

それぞれ詳しく解説していきます。

査定額だけで不動産会社を選ばない

「不動産会社によって査定額は異なる」と解説しましたが、査定額の高さだけ見て不動産会社を選ぶと失敗する恐れがあります。

なぜなら、顧客獲得のため相場より高く査定額を提示し、後から値下げを強要してくる悪質業者もいるためです。

このような悪質業者を避けるためには、適正な価格相場を把握しておくことが大切です。複数の査定を比較し、不自然に高値を提示する業者は依頼候補からはじくようにしましょう。

値下げしすぎない

早く売ろうと価格設定を安くしすぎると、かえって買い手側に不信感を与えてしまう恐れがあります。「なにかトラブルを抱えているのでは?」と思われ、購入希望が集まらないかもしれません。

また、何度も値下げを繰り返しているような物件も、家そのものや売主自身に問題があると疑われやすくなります。

値下げしても買い手が見つからないのであれば、一度売却を取り下げ、時期を変えることも検討してみましょう。春頃の需要が上がる時期なら、高値設定でも売却できる可能性があります。

相性が悪い業者・担当者なら変更する

不動産会社の企業体質や、直接の担当者に不満があるときは、遠慮せず積極的に変更を検討しましょう。

悪質業者とまではいかなくても、相性の善し悪しは誰にでもあるものです。我慢して依頼するより、他の不動産会社を探したほうが気持ちよく売却活動をおこなえます。

接客態度や連絡の早さなど、対応の一つひとつをよく見て、家を売るパートナーとして信頼できるか見極めることが大切です。

まとめ

家の売却価格は様々な要因で決まりますが、築年数はとくに重要な指標です。なるべく高く売りたいのであれば、早めに売り出すことがなにより重要となります。

また、優良な不動産会社を見つけることも大切なので、一括査定を活用して複数の業者を比較してみましょう。

信頼できる不動産会社に依頼し、適正価格を把握したうえで工夫を施せば、スムーズかつ高値での売却を実現できるでしょう。

家の価格についてよくある質問

家の価格は、何年でどのくらい下がりますか?

個々のケースで大きく変わりますが、築20年から築25年程度で建物部分の市場価格はゼロになるのが一般的です。また、築1年未満でも一度でも入居すると「中古」になり、10%程度下がるのが一般的です。

価格が下がるのは建物だけ?土地は値下がりするのでしょうか?

基本的には建物の価格のみ下がりますが、土地も近隣環境や経済情勢の変化で変動する場合があります。

家の価格を調べたいときはどうすればよいですか?

基本的には不動産会社の査定を利用しましょう。簡易的に知らべたいときは、近隣の売り出し中物件や過去の成約事例を調べる方法もあります。

家をなるべく高く売る方法はありますか?

複数の不動産会社を比較しましょう。不動産会社によって得意な物件が異なるため、同じ物件でも数百万円単位で査定に差が出る場合もあります。

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