3000万で買った家はいくらで売れる?高額売却の方法と注意点

3000万 で 買った家 いくらで売れる

住み替えや相続、離婚など、家を売る理由は人によって様々です。しかし、どんな理由であっても「なるべく高く売りたい」という気持ちは誰しも持っているでしょう。

家の価格は築年数に大きく左右されます。例えば、3,000万円で買った家がいくらになるのかは「建ててから何年経っているか」で変わるのです。

また、管理状態や市場の需要など、他の要因も価格に影響します。個人で具体的な売却価格を判断するのは困難です。

なるべく正確に「売れる価格」を調べたいときは、複数社に査定してもらえる不動産一括査定を活用してみるのが良いでしょう。

「3,000万で買った家」の売却価格は築年数で決まる

家の価格は、基本的に築年数で変動します。建物や設備は時が経つごとに老朽化していくので、築年数が古いほど価値も低くなるのは避けられません。

つまり、「3,000万で買った家がいくらで売れるか」という疑問は、いつ売るのかで答えが大きく変わるということです。

また、新築同然であっても、入居した時点で価格が下落する点も押さえておきたいポイントです。

家の場合、マンションのように値上がりすることはほぼないため、売却価格は購入価格より安くなると考えましょう。

具体的な価格の低下率について、詳しく解説していきます。

築3,000万円で買った家の価格シミュレーション

中古になったときから下がり続ける家の価格ですが、具体的にどれくらいのペースで下がっていくのでしょうか?。

下記は、国土交通省が作成した「築年数によるの価格低下率」を示すグラフです。

築年数によるの価格低下率

画像引用:国土交通省「中古住宅流通、リフォーム市場の現状」

グラフを基準にすると、築10年で50%、築25年だと10%程度まで下がっています。

ただし、上記は建物部分のみの低下率をまとめたものです。土地の価格は別に考えなければいけませんが、土地は基本的に値動きしにくいため、新築時から大幅に値下がりすることは少ないでしょう。

つまり、家の売却価格を調べるときは「建物部分がどれくらい安くなるか」が重要ということです。

なお、戸建における土地と建物の価格比率は、下記の通りおおむね3:7や4:6が一般的です。


参照:住宅金融支援機構「フラット35利用者調査 2021年度集計表」

次の項目から、価格比率を4:6(土地1,200万円:建物1,800万円)と仮定して、値下げをシミュレーションしてみましょう。

築10年で売る場合|約2,100万円で売れるのが目安

まず、築10年で売る場合の価格をシミュレーションします。

国土交通省のグラフでは、木造戸建て住宅は築10年で50%程度まで安くなります。つまり、1,800万円の50%である900万が建物価格です。

これに土地部分の価格を足すと、「1,200万円+900万円=2,100万円」が価格の目安となります。

築25年で売る場合|約1,380万円で売れるのが目安

上記と同じ計算で、今度は築25年の価格をシミュレーションしてみましょう。

築25年の場合、国土交通省のグラフでは約10%まで下がります。つまり、建物価格は「1,200万円×10%=180万円」です。

土地部分の価格を足すと、「1,200万円+180万円=1,380万円」が価格の目安となります。家全体の価格としては、半分以下まで安くなってしまうのです。

地方ほど「建物比率」が高いので値下がりしやすい

ここまでのシミュレーションは4:6の価格比率で計算しましたが、実際の比率は家によって異なります。地方は土地を安く入手できる分、家全体の価格に対する建物比率が高くなりがちです。

例えば、土地・建物の価格比率を3:7だった場合、築25年の価格シミュレーションは次のようになります。

  • 土地3:建物7=土地900万円:建物2,100万円
  • 2,100万円×10%=210万円
  • 900万円+210万円=1,110万円

比率4:6で計算したときより270万円も安くなり、建物比率が高いほど値下げ幅が大きくなるとわかります。

築1年未満でも入居すれば価格は下落する

築年数に応じて価格が下がる家ですが、築0年でも入居した時点で値下がりします。中古になった瞬間に、おおむね10%程度は下がると考えておきましょう。

なお、「新築」の定義については法律で下記の通り定められています。

この法律において「新築住宅」とは、新たに建設された住宅で、まだ人の居住の用に供したことのないもの(建設工事の完了の日から起算して一年を経過したものを除く。)をいう。

引用:e-Govポータル「住宅の品質確保の促進等に関する法律 第2条第2項」

条文によれば、築年数が1年未満であっても人が居住した時点で「中古」になります。つまり、一度でも入居すると家の価格は下がってしまうのです。

一時的な入居でも「新築のメリット」は失われる

法的に中古とみなされるとはいえ、一時的な入居で価格が下がるのは感覚的に納得できない人も多いでしょう。

短期間の入居でも価格が下落してしまう具体的な理由としては、次のようなものが考えられます。

  • 日本では新築を重視する「新築信仰」があるから
  • 新築には「住宅販売業者の利益」が上積みされているから
  • 中古は住宅販売業者の10年保証がつかなくなるから※1
  • 中古は住宅ローン控除額が減るから※2

「新築信仰」という心理的な要因もありますが、10年保証や住宅ローン控除といった実利面でも、中古は新築に対して不利になります。

つまり、一時的であっても人が入居した時点で「新築のメリット」は失われるため、価格も下がってしまうのです。

※1:新築の10年保証
新築物件の販売業者は、建物の主要部分の欠陥に対して10年保証が義務付けられている。しかし、10年以内に所有者が家を売却すると、その買主が保証を引き継ぐには「1.保証に転売特約があること」と「2.販売業者などの承諾があること」が必要。
ただし、引き継ぎできない場合でも「既存住宅売買瑕疵保険」という保険を新たに利用することはできる。
※2:住宅ローン控除額
新築物件は最大13年間の控除を受けられる一方、中古物件は10年間までとなる。

「3,000万で買った家」の売却価格を正確に調べる方法

ここまで築年数による価格シミュレーションを紹介しましたが、実際の価格はさまざまな要因に影響を受けます。情報が築年数だけでは、家の売却価格を調べるうえで不十分です。

実際に家の売却価格を調べる方法として、次の3つがあげられます。

  • 不動産会社に査定してもらう
  • 不動産ポータルサイトで近隣物件を調べる
  • 近隣地域の過去の取引事例を調べる

基本的には不動産会社の査定を利用し、他2つはおおまかな目安を知りたいときなど、簡易的な調査のときに使いましょう。

それぞれ詳しく解説していきます。

不動産会社に査定してもらう

家の売却価格を調べる一番の方法は、不動産会社に査定してもらうことです。

家の価格は、物件そのものの価値だけでなく、その時々の市場動向によっても決まります。これらを正確に分析し、適正価格を判断するのは、個人では困難です。

一方、不動産会社は専門知識と独自の情報網があるため、家の適切な売却価格を算出できます。

「いま売り出したらいくらで売れるか」を調べるなら、不動産会社の査定はもっとも確実な方法といえるでしょう。

ただし、不動産会社は各社で知識・経験が異なるため、得意な物件タイプが異なります。査定額も数百万円の差が付くことがあるため、可能な限り複数社の査定を比較するようにしましょう。

不動産会社の種類にも注意

売買を取り扱う不動産会社には「仲介」と「買取」の2種類があり、それぞれ売買のプロセスが異なります。

仲介業者と買取業者の違い
仲介業者 売主と媒介契約を結び、売買をサポートして成約させることで手数料を得る業者。
買取業者 自社で物件を直接買い取り、再生・再販することで利益を得る業者。

仲介業者は相場価格で売却できる一方、買主が見つからなければ売却できず、売れるまで半年や1年以上かかる恐れもあります。

一方、買取業者は自社で直接買い取るため現金化まで最短数日ですが、再生・再販コストなどが差し引かれるため、相場より2~5割ほど安くなる傾向があります。

価格とスピードのどちらを優先するかによって、それぞれの不動産会社を使い分けることが大切です。

不動産ポータルサイトで近隣物件を調べる

近隣で売り出し中の物件を調べることで、おおよその価格相場を知ることも可能です。

自分が売りたい物件と同じ地域で検索し、面積や築年数など条件に近い物件を見つければ、具体的な価格をイメージできるでしょう。

ただし、家の価格は条件が少し違うだけで大きく変わります。似ている物件がうまく見つからないと、この方法は使えません。

また、不動産ポータルサイトに載っている売り出し価格は、値下げ交渉に備えて少し割高で設定しているケースが多々あります。実際の売却価格は、売り出し中の価格より10~20%下がると考えましょう。

近隣地域の過去の取引事例を調べる

過去の取引事例から自分の物件と似たものを探し、価格相場を判断する方法もあります。調べるときは、国土交通省の「不動産取引価格情報検索」や不動産流通機構の「REINS Market Information」を利用しましょう。

売り出し価格ではなく成約価格がわかるので、最終的にいくらで売れたのか具体的な相場を調べることが可能です。

ただし、上記のサイトはすべての取引事例を載せているわけではないので、特殊な事情を抱えた物件しかなかったり、そもそも近隣の事例自体がなかったりする場合もあります。

「3,000万円の家」をなるべく高く売る方法

3,000万円の家をなるべく高く売る方法として、次の5つを押さえておきましょう。

  • 複数の不動産会社を比較する
  • 可能な限り早く売り出す
  • 売却期間にゆとりをもつ
  • リフォームする
  • 「ネガティブな売却理由」は伝え方を工夫する

とくに、売却の結果は不動産会社選びに大きく左右されるため、複数社の比較はとても重要です。

それぞれのポイントを詳しく解説していきます。

複数の不動産会社を比較する

一括査定は、複数の不動産会社にまとめて査定を依頼するサービスです。複数の査定を比較することで、より正確に価格相場が調べられます。

先にも解説しましたが、不動産会社は各社で得意な物件が異なるため、査定で数百万円単位の差が付くことも少なくありません。

また、優良な不動産会社ほど査定額が高くなる(高く売る方法を知っている)のですが、一方で媒介契約を取ろうと相場以上に高額の査定を付ける悪質業者もいます。

そこで、一括査定で複数の査定を比較し、多くの不動産会社が提示する「相場の価格帯」を把握することが大切です。その方法として、一括査定は手軽かつ確実な方法といえます

可能な限り早く売り出す

この記事で最初に解説した通り、家の売却価格は築年数で決まります。そのため、なるべく高く売りたいのであれば築浅のうちに売却するべきです。

とくに、築10年程度であればまだ長く使えるので買い手が付きやすく、スムーズに売却できる可能性が高いのでおすすめです。

反対に、築20年を過ぎると需要も下がってくるので、価格面での妥協が必要になってくるでしょう。

売却期間にゆとりをもつ

不動産の売却は、焦らずじっくりと構えることも大切です。急いで売ろうとした結果、失敗してしまうことが少なくありません。

買主がいつ見つかるかは売り出してみないとわからないため、無理やり短期間で売ろうとするなら相場より安く「お買い得な物件」にする必要があります。

また、期限があることを買主側に知られれば、値下げ交渉の材料にされるかもしれません。余裕をもって売り出すことで、買主との交渉も落ち着いて対応できるでしょう。

リフォームする

リフォームで劣化部分を改修することで、家の値下げを抑えることが可能です。

外壁や屋根、水回りや玄関周りなど、探せばリフォームできる箇所はいくらでも見つかります。壁紙を張り替えたり、空調を最新のものにしたりといったものでも、需要を上げることは可能です。

ただし、手を入れ過ぎると費用がかさみ、数百万円単位の出費が発生します。かけたお金の分だけ値上がりするとは限らないので、赤字にならないよう注意が必要です。

独断でリフォームせず、不動産会社と相談して費用対効果をしっかり検証しましょう。

「ネガティブな売却理由」は伝え方を工夫する

家を売る理由は人によって様々ですが、なかにはネガティブな内容の人もいるでしょう。代表的な例では、離婚やローンの返済不能、家族の死亡などがあげられます。

これらのネガティブな理由は、買主の意思決定にも大きく影響します。明らかな嘘をついてはいけませんが、購買意欲を削がないよう伝え方に工夫が必要です。

例えば、

  • 離婚、家族の死亡→家族構成が変わった
  • ローンの返済不能→転職・退職などで経済事情が変わった

といった表現方法があります。事実を伝えつつ、家の印象を落とさないことが大切です。

不動産会社と、売却理由の説明についてしっかり打ち合わせておきましょう。

売却時の注意点

家を売るときの注意点として、次の3点はしっかり覚えておきましょう。

  • 住宅ローンは完済しないと売却できない
  • 家の欠点や欠陥は正直に伝える
  • 売買契約書はしっかりとチェックする

これらの注意点は、トラブルを起こさずスムーズな売却を実現するために重要です。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

住宅ローンは完済しないと売却できない

住宅ローンが残っている場合、家を売るにあたって完済しなければいけません。大半の金融機関で、「ローンを完済できなければ売却できない」と規約で定められています。

アンダーローン(残債がローン残高を下回っている場合)は売却益で返済すれば問題ありませんが、オーバーローン(残債がローン残高を上回っている場合)は自分で不足分を用意する必要があります。

貯金などから捻出するのが一般的ですが、不足しているときは借り換えも候補になります。しかし、借り換えは住宅ローンより金利が高くなることがほとんどであり、返済負担が増える点には注意が必要です。

「任意売却」という、ローンを残したまま家を売る方法もありますが、新規の借り入れやクレジットカードの利用ができなくなるので、よほど差し迫った状況以外ではおすすめできません。

借り換えや任意売却はデメリットが大きいため、可能であれば家族などから援助を受けられないかも聞いてみましょう。

家の欠点や欠陥は正直に伝える

家の欠点や欠陥は、一般的に「瑕疵」といわれます。なんらかの瑕疵がある物件を売るときは、瑕疵の内容を明確に伝えることが大切です。

瑕疵が契約内容と合っていない場合、売主は「契約不適合責任」に問われ、損害賠償や代金減額、契約解除などを請求されるかもしれません。

売主が瑕疵の存在を知らなかった場合も責任を問われるので、売却する家がどのような状態なのか事前に調べておくことも重要です。

売買契約書はしっかりとチェックする

売却後のトラブルを防ぐためには、売買契約書のチェックは大切です。内容に間違いがないか、隅々まで確認しておきましょう。

契約不適合責任の対策としても、契約書のチェックは重要です。告知事項に漏れがあると、口頭で伝えていてもトラブルになる恐れがあります。

売買契約書へサインする直前が契約修正の最終チャンスなので、不明点は不動産会社に確認し、認識のすれ違いがないようにしましょう。

まとめ

家は1軒ごとに様々な個性があり、1つとして同じものはありません。建売であっても、立地や管理状態で価格は変わります。

とくに重要なのは築年数で、築10年程度ならまだ高値で売れますが、築20年を超えると急速に値下がりします。なるべく高く売りたいのであれば、少しでも早く売り出すのがおすすめです。

また、なるべく高く売るためには、複数の不動産会社を比較することも大切です。一括査定を利用して、最良の条件で売却できる不動産会社を見つけましょう。

家の価格についてよくある質問

家の価格は、何年でどのくらい下がりますか?

個々のケースで大きく変わりますが、築26年で30~40%、築31年以降は約50%ほど下がります。また、築1年未満でも一度でも入居すると「中古」になり、10%程度下がるのが一般的です。

築1年未満でも一時的に入居すると価格が下がるのはなぜですか?

日本の不動産業界に特有な「新築信仰」もありますが、10年保証や住宅ローン控除といった実利面でも新築に対して不利になることが大きな要因です。

家の価格を調べたいときはどうすればよいですか?

基本的には不動産会社の査定を利用しましょう。簡易的に知らべたいときは、近隣の売り出し中物件や過去の成約事例を調べる方法もあります。

家をなるべく高く売る方法はありますか?

複数の不動産会社を比較しましょう。不動産会社によって得意な物件が異なるため、同じ物件でも数百万円単位で査定に差が出る場合もあります。

最終更新日:
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